模擬口頭審理の実演の見どころ6 4.口頭審理の進行 ① 開廷 ②...

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1 模擬口頭審理の実演の見どころ 口頭審理は、特許や意匠、商標の権利について、無効とすべき/取り消すべきものである か否かを審理する審判において、審判官 3名又は5名からなる審判合議体、権利者、及び、 審判請求人が一堂に会して議論を行うものです。 今回の模擬口頭審理は、ハンドメイド製品のインターネット販売を行う有限会社徳川デザ イン(請求人)が、インテリア製品の製造販売会社である株式会社織田インテリア(被請求 人:意匠権者)を相手取り、登録意匠を無効とすべきとする無効審判を請求した事件に関す るものです。登録意匠の新規性及び創作容易性について議論される予定です。 ※この模擬口頭審理はフィクションであり、実在する、人物・事件・製品とは一切関係あり ません。 1.口頭審理を行う審判廷での配置図 徳川 デザイン 織田 インテリア 特許庁

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Page 1: 模擬口頭審理の実演の見どころ6 4.口頭審理の進行 ① 開廷 ② 出頭者の確認 ③ 本日のスケジュールの確認 ④ 発言についての注意事項

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模擬口頭審理の実演の見どころ

口頭審理は、特許や意匠、商標の権利について、無効とすべき/取り消すべきものである

か否かを審理する審判において、審判官 3 名又は5名からなる審判合議体、権利者、及び、

審判請求人が一堂に会して議論を行うものです。

今回の模擬口頭審理は、ハンドメイド製品のインターネット販売を行う有限会社徳川デザ

イン(請求人)が、インテリア製品の製造販売会社である株式会社織田インテリア(被請求

人:意匠権者)を相手取り、登録意匠を無効とすべきとする無効審判を請求した事件に関す

るものです。登録意匠の新規性及び創作容易性について議論される予定です。

※この模擬口頭審理はフィクションであり、実在する、人物・事件・製品とは一切関係あり

ません。

1.口頭審理を行う審判廷での配置図

徳川 デザイン

織田 インテリア

特許庁

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2.審理の対象となっている登録意匠や証拠

(1)審理の対象となっている登録意匠(出願日:平成29年10月1日)

意匠に係る物品:モビール

意匠権者:株式会社織田インテリア

図面:

【正面図】

※その他の図は省略

(2)証拠

甲第1号証

請求人(有限会社徳川デザイン)のインターネット上の販売サイトの出力

物。平成30年1月5日より販売が開始されている。

「モビール」とは、細い針金や糸な

どで、様々な形のオーナメントを

吊り、均衡を保たせた造形品で、室

内装飾などに用いられるもの

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甲第2号証、甲第3号証

モビールに関する外国意匠公報。支持竿の形状が直線状のものと、湾曲状

のものが表されている。

甲第4号証

インテリア雑誌。クリスマス特集として、ツリーに吊り下げる、クリスマ

スツリーオーナメントの意匠が掲載されている。中央をハートにくりぬいた

孔の内側に、小さなハートが吊り下げられている。

甲第5号証~甲第9号証

インテリア雑誌。モビール用オーナメントの意匠が掲載されている。

甲第10号証

口頭審理プレゼン資料

002036764-0013 Mobiles [decoration] 002036764-0011 Mobiles [decoration]

甲第5号証 甲第6号証 甲第7号証 甲第8号証 甲第9号証

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乙第1号証

モビール製作を解説した書籍。一般的なモビールの吊り構造について、説

明されている。

乙第2号証

インテリア雑誌。モビール用オーナメントの意匠が掲載されている。

乙第3号証

口頭審理プレゼン資料

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3.事件に関する時系列

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4.口頭審理の進行

① 開廷

② 出頭者の確認

③ 本日のスケジュールの確認

④ 発言についての注意事項

⑤ 提出書類の確認(実演は省略)

請求人側が提出した甲第1~10号証及び被請求人が提出した乙第1~3

号証の確認を行う。

⑥ 当事者の主張の概要(実演は省略)

⑥-① 請求人の主張の概要

請求人は、本件登録意匠は無効とすべきものである旨主張する。

⑥-② 被請求人の主張の概要

被請求人は、本件審判請求は成り立たない旨主張する。

⑦ 争点の整理・確認

無効理由1(新規性(類似)(意匠法3条1項3号))、

無効理由2(創作容易性(意匠法3条2項))

⑦-① 争点整理・確認の開始

⑦-② 請求人によるプレゼンテーション

(新規性(類似)による無効を主張)

⑦-③ 被請求人によるプレゼンテーション

(新規性(類似)による無効を否定)

⑦-④ 請求人によるプレゼンテーション

(創作容易による無効を主張)

⑦-⑤ 被請求人によるプレゼンテーション

(創作容易による無効を否定)

⑦-⑥ 合議体からの確認事項

⑧休廷、調書案作成

※今回の模擬口頭審理では、調書記載事項のポイントの投影を行いますが、実

際に投影を行うか否かは、事案と合議体の判断次第です。

⑨口頭審理の再開

⑩閉廷

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5.今回の見どころ(無効理由について)

(1)無効理由1について

無効理由1:本件登録意匠は、甲第1号証意匠と類似するため、意匠登録を受け

ることができないものである(意匠法第3条第1項第3号に違反)。

<無効理由1の見どころ>

本件登録意匠と甲第1号証意匠は、いずれも「モビール」の意匠であって意匠

に係る物品が同一であるが、その形態において、主に中央列の装飾体に配された

オーナメントの形状が異なる。両意匠の形態は、その他オーナメントの形状及び

配置、吊り下げ構造など多くの共通点があり、それら共通点と、中央列装飾体の

形状が相違する点がそれぞれ、意匠全体の美感にどのような理由でどの程度影

響すると双方は主張するのか。

(2)無効理由2について

無効理由2:甲第1号証意匠(モビールの意匠)に基づき、中央列装飾体下端の

オーナメントを甲第4号証意匠(クリスマスツリー用オーナメント)に変更する

ことは容易。中央列装飾体上方の小さなオーナメントの変形も、当業者にとって

容易である(意匠法第3条第2項に違反)。

<無効理由2の見どころ>

モビールの一部のオーナメントを、クリスマスツリー用オーナメントに変更

することは、当業者にとって容易といえるか。また、オーナメントの変更に加え

て、その上方に配された小オーナメントの形状も変形されており、この変形が本

件登録意匠の創作性の判断にどのように影響するか。

(甲第○号証は、請求人が提出した証拠、乙第〇号証は、被請求人側が提出した

証拠を指します。)

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意匠の類似 (1)意匠の「類似」(意匠法第

3条第1項第3号)

物品が同一又は類似

かつ

形態が同一又は類似

(2)両意匠の形態の類否判断

需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて、

意匠全体として対比・判断する。

(3)需要者

ここにいう「需要者」とは、主に、市場で代価を払って商品を選択・購入す

る者(消費者)のこと。需用者には「取引者」も含まれる。

モビールの場合は、一般消費者や店舗の内装を手がける内装業者等。

(4)需要者の注意を引く部分とそうでない部分の例

【需要者の注意を引く部分】

物品の特性から、需要者が着目する部分(例:「腕時計」の文字盤部分)

物品全体の中で占める割合が大きな部分

先行意匠にはない特徴的な形態

【需要者の注意を引かない部分】

使用時に目につきにくい部分

物品全体の中で占める割合が小さな部分

出願前よりありふれた形態

(5)各形態の評価→意匠全体としての形態の類否判断

需要者の注意を引く部分の形態が共通

→ 意匠全体として「類似している」という印象に傾く。

需要者の注意を引く部分の形態が相違

→ 意匠全体として「類似していない」との印象に傾く。

形態各部から生じる共通する印象、異なる印象の強さを、意匠全体として美感

を総合的に検討して、類似/非類似を判断する。

形態

同一 類似 非類似

同一 同一 類似 非類似

類似 類似 類似 非類似

非類似 非類似 非類似 非類似

別紙1

共通点

類似 非類似

相違点

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意匠の創作容易

(1)意匠法第3条第2項

「意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が

日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの

結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたときは、その意匠(前項

各号に掲げるものを除く。)については、前項の規定にかかわらず、意匠登録

を受けることができない。」

(2)意匠が容易に創作できたものであるための要件

①出願前に公然知られた形態に基づいて、

②本件登録意匠の属する物品分野における通常の知識を有する者(当業者)

が、

③容易に意匠の創作ができたものであること

(3)新規性(意匠の類似)と異なる点

・引用意匠と必ずしも物品が類似する必要はない

・需要者に起こさせる美感の共通性ではなく、創作の手法として容易である

といえるか否かについて判断する

別紙2

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2019年11月28日

令和元年11月28日口頭審理説明資料

有限会社徳川デザイン0

甲第10号証

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本件登録意匠 甲第1号証意匠

CD

AB

B’

B’A

第1列

第2列

第3列

第4列

類似(1)両意匠の共通点=需要者の注意を引く部分

① 計4列の吊り構造② オーナメントの形態③ オーナメントの配置

類似(2)吊り下げ構造の共通性

本件登録意匠 甲第1号証意匠

・需要者は、モビールの吊り下げ構造に注目・需要者は、モビールの吊り下げ構造に注目

・両意匠は吊り下げ構造が共通・両意匠は吊り下げ構造が共通

=需要者に共通の印象を与える=需要者に共通の印象を与える

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類似(5)支持棒の相違について

・支持棒の形状は、直線状も、湾曲状も、いずれも本件登録意匠出願前にありふれた形態

=需要者の注意を引かない

・支持棒の形状は、直線状も、湾曲状も、いずれも本件登録意匠出願前にありふれた形態

=需要者の注意を引かない

甲第2号証

002036764-0013 Mobiles [decoration]

002036764-0011 Mobiles [decoration]

甲第3号証

類似(4)オーナメントの形態及び配置の共通性①

本件登録意匠 甲第1号証意匠

・需要者は、各オーナメントの形態及び配置に注目・需要者は、各オーナメントの形態及び配置に注目

・両意匠のオーナメントは、形態及び配置の大部分が共通・両意匠のオーナメントは、形態及び配置の大部分が共通

両意匠は、需要者に共通の印象を与える両意匠は、需要者に共通の印象を与える

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本件登録意匠 甲第1号証意匠

類似(5)オーナメントの形態及び配置の共通性②

・星形のオーナメントの形態及び位置が共通・ツリーのオーナメントの形態が概ね共通、位置が共通

=需要者に共通の印象を与える

・星形のオーナメントの形態及び位置が共通・ツリーのオーナメントの形態が概ね共通、位置が共通

=需要者に共通の印象を与える

本件登録意匠 甲第1号証意匠6

D C

類似(6)オーナメントの形態の相違点

公知意匠(甲第4号証意匠)

・中央の装飾体は、全体の中では限られた部分・中央列の配置方法は共通しており、これによる共通感に劣る

・オーナメントDは、出願前に公知(甲第4号証意匠)である

=中央列のオーナメントの相違による印象の差は微弱である

・中央の装飾体は、全体の中では限られた部分・中央列の配置方法は共通しており、これによる共通感に劣る

・オーナメントDは、出願前に公知(甲第4号証意匠)である

=中央列のオーナメントの相違による印象の差は微弱である

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類似(7)両意匠の類似について(まとめ)

・両意匠は、骨格的態様である吊り下げ構造が共通・オーナメントの形態及び配置のほとんどが共通=意匠全体として需要者に強い共通の印象を与える

・支持棒の形状の相違・中央第3列のオーナメントの形態の相違=需要者の注意を引かない

⇒両意匠は類似する

・両意匠は、骨格的態様である吊り下げ構造が共通・オーナメントの形態及び配置のほとんどが共通=意匠全体として需要者に強い共通の印象を与える

・支持棒の形状の相違・中央第3列のオーナメントの形態の相違=需要者の注意を引かない

⇒両意匠は類似する

本件登録意匠 甲第1号証意匠

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11月28日口頭審理説明資料

株式会社織田インテリア

乙第3号証

① ② ③

類似(1)吊り下げ構造の共通性①

【ありふれた吊り下げ構造の例】乙第1号証

水平な支持竿の両端に吊り紐を設けたもの

左右の片側のみ、その下方にさらに支持竿を設けるもの

中央に吊り紐を設けたもの

①から③はすべて一般的な態様

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本件登録意匠 甲第1号証意匠

ありふれた範囲内のもの

=需要者の注意を引かない

類似(2)吊り下げ構造の共通性②

吊り下げ構造共通

2

・オーナメントA~B’は、ありふれた形状

=需要者の注意を引かない

A:乙第2号証 B:甲第5号証 B’:甲第6号証

類似(3)オーナメントの共通性

3

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⇒意匠全体の美感に及ぼす影響は顕著

本件登録意匠 甲第1号証意匠

D C

類似(4)中央列オーナメントの相違について

4

C及びDはモビールの中心で、最も大きなモチーフ

=需要者の注意を強く引く

類似(5)両意匠の類否判断(結論)

両意匠の吊り下げ構造は、本件登録意匠の出願前よりありふれた範囲内のもの

オーナメントA、B及びB’は、本件登録意匠の出願前よりありふれた形状

⇒共通点は需要者の注意を引かない

• 中央列のオーナメント形態はモビールの中心かつ最も大きなモチーフ⇒差異点は需要者の注意を強く引く

両意匠は類似しない5

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① ② ③

類似(1)吊り下げ構造の共通性①

【ありふれた吊り下げ構造の例】乙第1号証

水平な支持竿の両端に吊り紐を設けたもの

左右の片側のみ、その下方にさらに支持竿を設けるもの

中央に吊り紐を設けたもの

①から③はすべて一般的な態様

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類似(2)吊り下げ構造の共通性

本件登録意匠 甲第1号証意匠

・需要者は、モビールの吊り下げ構造に注目・需要者は、モビールの吊り下げ構造に注目

・両意匠は吊り下げ構造が共通・両意匠は吊り下げ構造が共通

=需要者に共通の印象を与える=需要者に共通の印象を与える

⇒意匠全体の美感に及ぼす影響は顕著

本件登録意匠 甲第1号証意匠

D C

類似(4)中央列オーナメントの相違について

4

C及びDはモビールの中心で、最も大きなモチーフ

=需要者の注意を強く引く

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本件登録意匠 甲第1号証意匠8

創作容易性(1)オーナメントの変更

・他のモチーフとの組み合わせは、当業者の通常の創作力の範囲内

=当業者にとって容易に行うことができる

・他のモチーフとの組み合わせは、当業者の通常の創作力の範囲内

=当業者にとって容易に行うことができる

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本件登録意匠 甲第1号証意匠

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D C

創作容易性(2)中央第3列オーナメント

甲第7号証 甲第8号証 甲第9号証

・大小の相似形のオーナメントを連続して配置すること・複数の小さなハートのオーナメントと、大きなハートのオーナメントを連続して設けること

=出願前からありふれた手法

・大小の相似形のオーナメントを連続して配置すること・複数の小さなハートのオーナメントと、大きなハートのオーナメントを連続して設けること

=出願前からありふれた手法

甲第4号証

本件登録意匠オーナメントB’

甲第1号証意匠オーナメントB

【公知意匠】

10

甲第5号証 甲第6号証

容易創作性(3)オーナメントBからB‘への変更について

・幹の無いものも、幹の有るものも、オーナメント形状としてありふれたもの(公知意匠)

=ありふれた改変の範囲内

・幹の無いものも、幹の有るものも、オーナメント形状としてありふれたもの(公知意匠)

=ありふれた改変の範囲内

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容易創作性(4)まとめ本件登録意匠 甲第1号証意匠

D C

・モビールにおいて、一部のオーナメント変更は、当業者にとってありふれた手法である

・オーナメント形状Dは公然知られたもの・中央列の小さなオーナメント形状の変更は出願前からありふれた手法である

・オーナメントBをB‘に変更することは当業者にとってありふれた改変の範囲内である

⇒当業者が容易に創作できる

・モビールにおいて、一部のオーナメント変更は、当業者にとってありふれた手法である

・オーナメント形状Dは公然知られたもの・中央列の小さなオーナメント形状の変更は出願前からありふれた手法である

・オーナメントBをB‘に変更することは当業者にとってありふれた改変の範囲内である

⇒当業者が容易に創作できる

B‘ B

11

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• モビールの創作は、全体のバランスが重要• モビールの創作は、オーナメントの種類、オーナメントの数、吊り下げ構造の組合せにより、様々な意匠が創作される

創作容易性(1)オーナメントの変更

6

本件登録意匠は、全体のバランスを考慮し、創意工夫して組合せたもの

=創作性が認められる。

創作容易性(2)オーナメントDの採用

7

本件登録意匠 公知意匠(甲第4号証意匠)

物品「クリスマスツリー用オーナメント」

物品「モビール」

異なる物品の意匠を流用することは容易ではない

=創作性が認められる

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• オーナメントCをオーナメントDへ変更• 上部の小さなオーナメント形状をオーナメントと相似形に変更

• 特徴のあるオーナメントDと小さなハートのオーナメントを組み合わせて吊り下げている

=これらの組合せは創作性が認められる

本件登録意匠 甲第1号証意匠

創作容易性(3)中央列オーナメントの組合せ

8

D C

創作容易性(4)(結論)

⇒当業者が容易に創作できない

9

・一般的に、モビールにおいて、他のオーナメントへの変更は、創作性が認められる・中央第3列下方のオーナメント形状が大きく異なる・本件登録意匠と甲第4号証意匠とでは、物品が異なる・中央第3列上方の複数の小さなオーナメント形状が異なる

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無効2019-880100号 調書記載事項のポイント

令和1年11月28日【請求人】

① 審判請求の趣旨及び理由は,審判請求書及び令和1年10月31日付け口頭審理陳述要領書に記載のとおり陳述。

② 甲第4号証ないし甲第9号証は原本を、甲第2号証ないし甲第3号証は原本に代えて写しを、甲第1号証及び甲第10号証は写しを原本として書証申出する。

③ 乙第1号証ないし乙第3号証の成立を認める。

【被請求人】① 答弁の趣旨及び理由は,令和1年9月8日付け審判事件答弁書,令和1年11月14日付け口頭審理陳述要領書に記載のとおり陳述。

② 乙第1号証ないし乙第2号証は原本を、乙第3号証は写しを原本として書証申出する。

③ 甲第1号証ないし甲第10号証の成立を認める。

【審判長】① 甲第1号証ないし甲第10号証及び乙第1号証ないし乙第3号証について取り調べた。

② 本件審理を終結する。

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御静聴ありがとうございました