装備品等の安全規制の変更 よくあるご質問(faq)への ...basa...

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i 装備品等の安全規制の変更 よくあるご質問(FAQ)への回答 令和元年12月19日掲載 令和2年1月20日追加 航空局安全部航空機安全課 <注意事項> この文書は、「装備品等の安全規制の変更」に関していただいた「よくある質問(FAQ)」 への回答として、現時点での方針をまとめたものですが、今後変更の可能性があることを ご了承ください。最終的には、通達等に反映することになりますが、それまでの間の参考 文書としてお使いください。 【総 論】 ................................................................................................................. 1 問 今般の装備品等に係る新たな安全規制の趣旨について。 ........................................... 1 問 新たな装備品等の安全規制(法第 16 条第 2 項)の内容について .............................. 1 問 新たな装備品等の安全規制(法第 16 条第 2 項)は、新規に耐空証明検査を受けよう とする航空機にも適用されるのか(航空機の製造過程で装備された装備品等について も、装備品基準適合証の確認や入手が必要なのか。)。............................................... 1 BASA 関係】 .......................................................................................................... 3 問 我が国の BASA 等の締結状況について。 ................................................................... 3 問 (整備分野の)BASA 締結に向けた諸外国との協議状況を教えてほしい。 ............... 3 問 米国、欧州、シンガポールとは整備分野の BASA を締結する予定とのことだが、これ らの国に所在する事業場については、新たに事業場認定を取得しなくてよいか。また、 既に我が国の認定を取得している事業場について、次回の認定を更新しなくてよいか。 ....................................................................................................................................... 3 問 協議中の欧州との BASA において、BASA の対象となる具体的な欧州の加盟国はどこ か。それらの BASA 対象国以外の欧州に所在する国の事業場については、我が国の認定 を取得する必要があるのか。また、英国が欧州連合から離脱しようとしているが、協議 中の欧州との BASA における英国の取り扱いはどうなるのか。.................................... 3 問 整備分野の BASA では、(耐空性分野の BASA とは違い、)なぜ第三国 ARC を受け 入れることができないのか。 ......................................................................................... 4 問 今後改正法施行前に米国、欧州、シンガポールとの BASA が締結された場合におい て、BASA を締結するより前に当該締結国で製造/修理・改造された装備品等は受け入 れることができるのか。 ................................................................................................ 4

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Page 1: 装備品等の安全規制の変更 よくあるご質問(FAQ)への ...BASA を締結しても)当該事業場から出荷される装備品等は受け入れることができない

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装備品等の安全規制の変更 よくあるご質問(FAQ)への回答

令和元年12月19日掲載

令和2年1月20日追加

航空局安全部航空機安全課

<注意事項>

この文書は、「装備品等の安全規制の変更」に関していただいた「よくある質問(FAQ)」

への回答として、現時点での方針をまとめたものですが、今後変更の可能性があることを

ご了承ください。最終的には、通達等に反映することになりますが、それまでの間の参考

文書としてお使いください。

目 次

【総 論】 ................................................................................................................. 1

問 今般の装備品等に係る新たな安全規制の趣旨について。 ........................................... 1

問 新たな装備品等の安全規制(法第 16条第 2項)の内容について .............................. 1

問 新たな装備品等の安全規制(法第 16条第 2項)は、新規に耐空証明検査を受けよう

とする航空機にも適用されるのか(航空機の製造過程で装備された装備品等について

も、装備品基準適合証の確認や入手が必要なのか。)。 ............................................... 1

【BASA関係】 .......................................................................................................... 3

問 我が国の BASA等の締結状況について。 ................................................................... 3

問 (整備分野の)BASA締結に向けた諸外国との協議状況を教えてほしい。 ............... 3

問 米国、欧州、シンガポールとは整備分野の BASAを締結する予定とのことだが、これ

らの国に所在する事業場については、新たに事業場認定を取得しなくてよいか。また、

既に我が国の認定を取得している事業場について、次回の認定を更新しなくてよいか。

....................................................................................................................................... 3

問 協議中の欧州との BASAにおいて、BASAの対象となる具体的な欧州の加盟国はどこ

か。それらの BASA対象国以外の欧州に所在する国の事業場については、我が国の認定

を取得する必要があるのか。また、英国が欧州連合から離脱しようとしているが、協議

中の欧州との BASAにおける英国の取り扱いはどうなるのか。 .................................... 3

問 整備分野の BASAでは、(耐空性分野の BASAとは違い、)なぜ第三国 ARCを受け

入れることができないのか。 ......................................................................................... 4

問 今後改正法施行前に米国、欧州、シンガポールとの BASAが締結された場合におい

て、BASAを締結するより前に当該締結国で製造/修理・改造された装備品等は受け入

れることができるのか。 ................................................................................................ 4

Page 2: 装備品等の安全規制の変更 よくあるご質問(FAQ)への ...BASA を締結しても)当該事業場から出荷される装備品等は受け入れることができない

ii

問 主たる事務所が我が国と BASAを締結した国にある Repair Stationの第三国にある事

業場(サテライト等)から発行された ARCが添付された装備品等は受け入れることが

できるのか。特に欧州では、欧州域外に所在する事業場も同じ認定番号の事業場として

扱われているところ、ARCの受け入れの考え方を教えてほしい。 ............................... 5

問 現在、協議中の米国、欧州、シンガポールとの整備分野の BASAについて、(カナダ

との場合と同様に)我が国の独自要件への適合が承認されなければ、(整備分野の

BASAを締結しても)当該事業場から出荷される装備品等は受け入れることができない

こととなるのか。また、今後、カナダとの整備分野の BASAが見直される予定はある

か。 ................................................................................................................................ 5

問 例えば、我が国に所在する装備品の修理改造の認定事業場が米国の認定も取得してい

る場合、我が国と米国との間の整備分野の BASAが締結された後は、米国の認定は返上

しなければいけなくなるのか。(我が国の装備品基準適合証では流通性が悪いため)整

備分野の BASA締結後も、米国の Form 8130-3を発行できるようにしてほしい。 ....... 5

【例外装備品等】 ....................................................................................................... 6

問 国内で製造される装備品等について、装備品基準適合証が不要とされる「その他、耐

空性を有するものとして、別途定める通達等に定められた装備品等」とは、具体的にど

のような装備品等を想定しているのか。 ....................................................................... 6

問 海外で製造される装備品等について、具体的にどのような装備品等が規制の対象とな

り、どのような外国の証明書を受け入れることができるのか。 .................................... 6

問 「型式証明の発行後、航空機製造検査認定を取得する前に設計者が認める場所で作製

される装備品等」については装備品基準適合証又は有効な外国の証明書(以下、

「ARC」という。)は不要とのことだが、どのような場合が該当するのか。 ............... 7

問 「Standard Parts」とはどのような部品か。また、どのようにして、航空機に取り付

けることができる Standard Partsかどうかを見分ければよいのか。............................. 7

問 「Commercial Pats」とはどのような部品か。 ........................................................... 8

問 「Material」については装備品基準適合証や ARCは不要とのことだが、具体的にどの

ようなものが「Material」に該当するのか。 .................................................................. 9

問 「航空機使用者が作製する部品」については装備品基準適合証や ARCは不要とのこ

とだが、どのような場合が該当するのか。 .................................................................... 9

問 例えば米国では、FAAの製造証明を受けていない部品製造者(サプライヤー)が、航

空機使用者に装備品等を直接出荷することが認められているが、我が国でも、航空機製

造検査認定を受けていないサプライヤーが航空機使用者に装備品等を直接出荷できるよ

うに制度を改正する予定はあるか。..............................................................................10

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問 以下の装備品等の製造について、それぞれ事業場認定を取得する必要があるか。 ・

旅客サービス用の吐しゃ袋、紙コップ ・型式証明で要求されるライト(bulb) ・型式

証明で要求される、機内外に貼付するデカール、プラカード .......................................10

問 現行では、製造検査認定事業場が、製造工程の一部を他社(非認定事業場)に委託す

ることが認められているが、今般の制度改正後も認められるのか。 ............................11

問 国内で修理される装備品等について、具体的にどのような装備品等に装備品基準適合

証が求められることになるのか。 .................................................................................12

問 海外で修理される装備品等について、具体的にどのような装備品等が規制の対象とな

り、どのような外国の証明書を受け入れることができるのか。 ...................................12

【STC/修理改造検査関係】 ................................................................................... 14

問 今後は、STCにより設計承認を受けた装備品等の製造又は修理・改造をし、航空機に

装備する場合には、装備品について事業場認定を取得する必要があるのか。 ..............14

問 STCを 1機(供試機)のみにしか適用しない場合、当該 STC部品の製造について

は、事業場認定を取得しなくてもよいか。特殊な改修であり、極めて限定された航空機

にしか装備しない部品の取り付け等の特殊な改修については、事業場側に認定を取得す

るメリットに乏しいことから、必ずしも事業場認定を取得しなくてもよいこととしてほ

しい。 ...........................................................................................................................14

【装備品規制関係のその他の問】 ............................................................................ 17

問 取り下ろした装備品等を他機へ良品流用する場合は、装備品基準適合証がなくてもよ

いが、「一定の条件」を満たす必要があるとのことだが、具体的にどのような条件を満

たす必要があるのか。 ...................................................................................................17

問 カーゴ・コンテナやギャレー・カートのような運航側の要求により航空機に搭載する

ものに対しても、新たな装備品等の安全規制は適用となるのか(カーゴ・コンテナやギ

ャレー・カートにも装備品基準適合証が求められるのか)。 .......................................17

問 現在、カーゴ・コンテナやギャレー・カート等については、仕様承認等の設計承認を

取得していないものが多数、国内で使用されており、新たな規制が適用されるまでに、

それらについて仕様承認を取得した上で、それらの修理・改造をする十分な数の事業場

が認定を取得することは困難であることから、対応を検討してほしい。 .....................17

問 新たな制度が施行されるより前に、予備品証明を受けた重要装備品については、施行

後の取り扱いはどうなるのか。また、現行で「予備品証明を受けたこととみなす」装備

品等についてはどうか。 ...............................................................................................18

問 予備品証明検査はいつまで実施されるのか。 ............................................................18

問 「法律公布日(令和元年 6月 19日)以降に購入」した装備品等は、改正法施行後は

装備品基準適合証が必要とのことだが、「購入日」は「契約日」「使用者への納品日」

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「製造者からの出荷日」のうちどれで判断すれば良いか。また、商社にも同様の考え方

が適用されるか。 ..........................................................................................................18

問 「法律公布日(令和元年 6月 19日)以降に購入」した装備品等はすべて装備品基準

適合証が必要とのことだが、「法律公布日」ではなく「省令の公布日」としてほしい。

......................................................................................................................................19

【事業場認定関係】 ................................................................................................. 20

問 今般の制度改正により、中小の装備品修理事業者を含めた多くの事業場が事業場認定

を取得する必要があるが、現行制度では、装備品の認定に関する確認主任者の要件(特

に学歴要件)を満たすことができず、認定を取得できない事業場が多数あると考えられ

るところ、確認主任者の要件を見直してほしい。 ........................................................20

問 少ない確認主任者数での運用を確保するため、型式や装備品の種類ごとの限定を取り

除く等により、一人の確認主任者で確認できる範囲を広げてほしい。 .........................20

問 現行制度においては、「重要装備品」の製造又は修理・改造について事業場認定の取

得を求めていたことから、装備品に係る認定事業場の業務の範囲(Rating)について

も、「重要装備品」を念頭においたものとなっているところ、見直しの予定はあるか。

「非重要装備品」について認定を受ける際には、どの業務範囲で認定を受ければよい

か。 ...............................................................................................................................20

問 非破壊検査に関する事業場認定を受けたいと考えているが、どの「業務の範囲」(規

則第 33条)で認定を受ければよいか。 ........................................................................21

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【総 論】

問 今般の装備品等に係る新たな安全規制の趣旨について。

答 今回の制度改正の趣旨は、技術の進展により航空機の装備品等のデジタル化・高度化が

進んでいる等の現状を踏まえ、より合理的かつ適切な装備品等の耐空性を確保するための

制度を設けるものである。

すなわち、装備品等の耐空性維持について、現行制度では、重要装備品の安全性につい

ては、予備品証明制度において国が確認を行い、非重要装備品の安全性については航空機

使用者が確認することとなっているところ、今後はこれを改め、航空機に装備する全ての

装備品等について、国が製造又は修理・改造について能力を認定した者が実際に作業を行

い、基準適合性を確認することを原則とするものである。

問 新たな装備品等の安全規制(法第 16条第 2項)の内容について

改正後の航空法第 16条第 2項の規定では、航空機の整備又は改造の際に航空機に装備す

る全ての装備品や部品は、我が国がその能力を認定した事業場(認定事業場)が確認をし

「装備品基準適合証」を発行したものでなければならないこととしている。

ただし、認定事業場が確認した装備品等と同等以上の安全性が確保されるものとして国

土交通省令(及びその運用について別途定める通達等)で定めるものについては、「装備品

基準適合証」がなくても、航空機に装備することを認める予定である。具体的には、下記の

装備品等は、「装備品基準適合証」は不要とする予定である。

・国際民間航空条約の締約国の航空当局(又はその代理人)が発行した輸出耐空証明書

を有する装備品等

・我が国と同等以上の能力を有すると認められる外国(すなわち、我が国と航空安全に

関する相互承認協定(BASA)等を締結した外国)が認定した事業場が発行した有効な

証明書を有する装備品等

・その他、耐空性を有するものとして、別途定める通達等に定められた装備品等(【3.

例外装備品等】参照)

問 新たな装備品等の安全規制(法第 16 条第 2 項)は、新規に耐空証明検査を受けようと

する航空機にも適用されるのか(航空機の製造過程で装備された装備品等についても、装

備品基準適合証の確認や入手が必要なのか。)。

答 今回の制度改正により新設された法第 16 条第 2 項の規定は、既に耐空証明を受けた航

空機の整備又は改造をする際に、当該航空機に装備する装備品等を対象としたものである。

なお、新規に耐空証明検査を受ける機体についても、装備されている装備品の安全性が

担保されていることは必要であり、耐空証明検査の際に必要な書類等については、別途定

める予定である。

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↑新法第 16 条(既に耐空証明を取得していることが前提。

耐空証明検査については別途定める。)

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【BASA関係】

問 我が国の BASA等の締結状況について。

答 我が国と航空安全に関する相互承認協定(BASA)等を締結した国については、相手国当

局の責任のもと、相手国の事業場の発行する Authorized Release Certificate(ARC)を受

け入れることとなる。

現時点において、新規製造品については、米国、欧州、カナダ、ブラジルとの間で耐空性

分野の BASA等を締結済みである。また、修理品の受け入れに関する整備分野の BASA等

については、カナダとの間で締結済みであるほか、米国、欧州、シンガポールとも協議中で

ある。これらの国の認定を受けた事業場が基準適合性を確認し、これを証するものとして

ARCが添付された新規製造品については、我が国の認定を取得した事業場が基準適合性を

確認したものと同等のものとして受け入れることとなる。なお、新規製造品の場合、相手

国の認定を持つ事業場の所在地が第三国であったとしても、受け入れることができる。

問 (整備分野の)BASA締結に向けた諸外国との協議状況を教えてほしい。

答 相手国との交渉事であることから、具体的な締結時期について確実なことは申し上

げられないが、本改正の施行日までの締結を目指して鋭意協議を進めているところである。

今後とも情報提供に努めていきたい。

問 米国、欧州、シンガポールとは整備分野の BASAを締結する予定とのことだが、これら

の国に所在する事業場については、新たに事業場認定を取得しなくてよいか。また、既に

我が国の認定を取得している事業場について、次回の認定を更新しなくてよいか。

答 米国、欧州、シンガポールについては、整備分野の BASAを締結予定であるが、

BASA 締結及び発効までは、重要装備品の修理・改造をする事業場が認定を取得及び更

新することが必要である。BASA 締結後の事業場認定の取得及び更新については、現時点

においては、整備分野の BASA の仕組みや締結方法が決定している訳ではないことから、

明確に回答することはできない。今後の BASA協議において明らかにしていく。

問 協議中の欧州との BASA において、BASA の対象となる具体的な欧州の加盟国はどこ

か。それらの BASA対象国以外の欧州に所在する国の事業場については、我が国の認定を

取得する必要があるのか。また、英国が欧州連合から離脱しようとしているが、協議中の

欧州との BASAにおける英国の取り扱いはどうなるのか。

答 協議中の欧州との BASA については、欧州連合(EU)の加盟国が対象となるため、EU

に加盟していない一部の国は BASA の対象外となる。具体的には、アイスランド、ノルウ

ェー、スイス、リヒテンシュタインについては、BASAの対象外となる。

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また、英国が、欧州連合離脱後欧州との BASA の範囲外となる場合において、新規製造

品については、欧州と締結している内容と同等の協定を締結することを調整済みであり、

また、修理品については、欧州と協整中の整備分野の BASA の内容と同等の協定を締結で

きるよう、協議をしていくこととなる。

問 整備分野の BASAでは、(耐空性分野の BASAとは違い、)なぜ第三国 ARCを受け入れ

ることができないのか。

答 例えば、我が国が米国と整備分野の BASA を締結した後であっても、米国以外の第三国

に対して FAAが認定した Part 145 Repair Stationが装備品等の修理作業を実施し発行した

FAA Form 8130-3は、有効とみなすことはできない。これは、整備分野の BASAにおいて

は、我が国以外の他国においても、BASA を締結する当事国以外の第三国を対象としない

ことが通例となっており、我が国が整備分野の BASA を締結する際も、第三国の認定事業

場(Repair Station)を BASAの範囲内とすることは不可とされているからである。

問 今後改正法施行前に米国、欧州、シンガポールとの BASAが締結された場合において、

BASAを締結するより前に当該締結国で製造/修理・改造された装備品等は受け入れるこ

とができるのか。

答 締結する BASA の内容によるため、交渉中である現時点において明確に回答することは

できないが、一般的には、BASAは締結後からその効力が及ぶことになることから、BASA

締結前に相手国の認定した事業場によって確認され、発行された ARCについては、BASA

による相手国の責務が及ばないことになる。

しかし、現時点において、我が国の航空機使用者の使用する装備品等の取り扱いが極め

て多い、米国、欧州、シンガポールとの間で整備分野の BASA が締結できておらず、これ

らの国で修理又は改造された装備品等の受け入れを、それぞれの整備分野の BASA 締結後

にしか認めないこととした場合、新制度施行後の航空機の継続的な運航に大きな支障が出

る恐れがある。したがって、米国、欧州又はシンガポールに所在する事業場で修理又は改

造された装備品等については例外的に、それぞれの BASA 締結前に発行された ARC が添

付されたものであっても、航空機に装備することを認めることとする。

ただし、この場合、当該装備品等に安全上の懸念があり、これを修理又は改造をした相

手国の事業者の作業に問題がある場合であっても、BASA の適用範囲外となり、相手国に

対して問題を追及することができない(相手国としてはボランタリーな対応となる)こと

に留意する必要がある。

なお、本措置は、非重要装備品に限る。

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問 主たる事務所が我が国と BASAを締結した国にあるRepair Stationの第三国にある事業

場(サテライト等)から発行された ARC が添付された装備品等は受け入れることができ

るのか。特に欧州では、欧州域外に所在する事業場も同じ認定番号の事業場として扱われ

ているところ、ARCの受け入れの考え方を教えてほしい。

答 現時点では、確実なことは申し上げられないが、今後、欧州等各国との整備分野の BASA

の議論を深めていく中で、本件についても明らかにしていきたい。

問 現在、協議中の米国、欧州、シンガポールとの整備分野の BASA について、(カナダと

の場合と同様に)我が国の独自要件への適合が承認されなければ、(整備分野の BASA を

締結しても)当該事業場から出荷される装備品等は受け入れることができないこととなる

のか。また、今後、カナダとの整備分野の BASAが見直される予定はあるか。

答 現時点では、確実なことは申し上げられないが、シンガポールについては、なるべく多

くの事業場が BASAに参加できるよう、必要最小限の要件のみを課す方向で調整中である。

また、米国や欧州についても、可能な限り要件が設定されないような形で BASA を締結で

きるよう、協議を続けていく。

また、カナダとの整備分野の BASA の見直しについては、今後、カナダとの装備品の流

通の状況や米国等との整備分野の BASA の締結状況や内容を踏まえ、要すれば見直しを検

討していく。

問 例えば、我が国に所在する装備品の修理改造の認定事業場が米国の認定も取得している

場合、我が国と米国との間の整備分野の BASAが締結された後は、米国の認定は返上しな

ければいけなくなるのか。(我が国の装備品基準適合証では流通性が悪いため)整備分野

の BASA締結後も、米国の Form 8130-3を発行できるようにしてほしい。

答 現時点では、明確に回答することはできないが、今後、米国との BASA 協議の議論を深

めていく中で、本件についても明らかにしていきたい。

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【例外装備品等】

(全 般)

問 国内で製造される装備品等について、装備品基準適合証が不要とされる「その他、耐空

性を有するものとして、別途定める通達等に定められた装備品等」とは、具体的にどのよ

うな装備品等を想定しているのか。

答 航空機に装備する装備品等については、国が製造又は修理・改造について能力を認定し

た者が実際に作業を行い、基準適合性を確認することが原則である。そのため、新規製造

した装備品や部品を航空機に装備する際には、全ての装備品及び部品に対して ARCが添付

されていることを求めることとなる。

例外として、他の方法により品質が担保されることが確実である場合には、例えば、以

下の国内で製造された装備品等については、必ずしも装備品基準適合証までは求めず、適

合性証明書や合格票等でよいこととすることを検討中である:

①型式証明の発行後、航空機製造検査認定を取得する前に設計者が認める場所で作製さ

れる装備品等(Production under TC)

②標準部品(Standard Parts)

③原材料(Material)

④民生品(Commercial Parts)

⑤設計者の指示に基づき、整備のために使用者が製作する部品

問 海外で製造される装備品等について、具体的にどのような装備品等が規制の対象とな

り、どのような外国の証明書を受け入れることができるのか。

答 航空機に装備する装備品等については、国が製造又は修理・改造について能力を認定し

た者が実際に作業を行い、基準適合性を確認することが原則である。そのため、新規製造

した装備品や部品を航空機に装備する際には、全ての装備品及び部品に対して ARCが添付

されていることを求めることとなる。

例外として、他の方法により品質が担保されることが確実である場合には、以下の海外

で製造された装備品等については、必ずしも ARCまでは求めず、適合性証明書や合格票等

でよいこととする:

①型式証明の発行後、航空機製造検査認定取得前に設計者が認める場所で作成される装

備品等(Production under TC)

②標準部品(Standard Parts)

③原材料(Material)

④民生品(Commercial Parts)

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(型式証明の発行後、航空機製造検査認定を取得する前に設計者が認める場所で作製される

装備品等関係)

問 「型式証明の発行後、航空機製造検査認定を取得する前に設計者が認める場所で作製さ

れる装備品等」については装備品基準適合証又は有効な外国の証明書(以下、「ARC」と

いう。)は不要とのことだが、どのような場合が該当するのか。

答 航空機に装備する装備品等については、国が製造又は修理・改造について能力を認定し

た者が実際に作業を行い、基準適合性を確認することが原則である。ただし、例外として、

他の方法により品質が担保されることが確実である場合には、必ずしも装備品基準適合証

や ARCまでは求めず、適合性証明書や合格票等でよいこととする装備品等がある。

このうち、装備品基準適合証や ARC の添付を求めないこととする「型式証明の発行後、

航空機製造検査認定を取得する前に設計者が認める場所で作製される装備品等」について

は、型式証明の発行後、航空機製造検査認定を取得する前に設計者が必要な装備品等

(Production under TC)を想定しており、これらについては基準適合証の添付ができない

ことから、添付を不要とするものである。

なお、米国においても、航空機の型式証明の発行から、当該航空機を量産する航空機メ

ーカーに対して製造証明が発行されるまで 6か月を要することから、この間は、「Production

under TC」として、型式証明保有者が装備品等の製造について確認し、航空機使用者に出

荷することが認められている。

(Standard Parts関係)

問 「Standard Parts」とはどのような部品か。また、どのようにして、航空機に取り付け

ることができる Standard Partsかどうかを見分ければよいのか。

答 航空機に装備する装備品等については、国が製造又は修理・改造について能力を認定し

た者が実際に作業を行い、基準適合性を確認保証することが原則である。ただし、例外と

して、他の方法により品質が担保されることが確実である場合には、必ずしも装備品基準

適合証や ARC までは求めず、適合性証明書や合格票等でよいこととする装備品等がある。

このうち、「Standard Parts」は、一企業ではなく国や産業界共通の規格として制定され

ているものに則って製造された部品であり、設計国及び設計者が認めたものであり、例え

ば、ボルト、ナット等が該当する。このような規格・標準としては、例えば、以下のような

規格・標準が該当し、我が国では、日本産業規格(JIS)が該当する。

・National Aerospace Standards (NAS)

・Army-Navy Aeronautical Standard (AN)

・Society of Automotive Engineers (SAE)

・SAE Sematec

・Joint Electron Device Engineering Council

・Joint Electron Tube Engineering Council

・American National Standards Institute (ANSI)

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・EN Specifications

・Aerospace Standard (AS)

・Military Standard (MS)

「Standard Parts」については、製造工場の品質管理体制が該当する規格・標準に関する

法令・基準等に適合し、かつ当該工場で製造された製品が該当規格・標準の要件を満足し

ていることについて登録認証機関の厳格な評価を受け、それらの適合性が確認された事業

者のみが当該標準に適合していることを示すマークを表示できることとなっており、当該

標準のマークを確認することにより当該部品の品質を確認できるため、装備品基準適合証

や ARCは不要とするものである。

ただし、「Standard Parts」であれば何でも航空機への装備が認められる制度ではなく、

あくまで航空機の型式証明(TC)や追加型式設計承認(STC)等の設計承認の中で、当該

部品も含めた航空機の基準適合性が設計国当局により証明され、当該 TC/STC 保有者が

作成する部品表等に掲げられているものについて、装備品基準適合証や ARCは不要とする

ものであり、航空機使用者は、これを確認するとともに、当該部品を領収する際に、製造者

が特定できること、標準マークを確認する等により規格への適合性が保証されること、有

効期限や状態等を確認することが必要である。

なお、欧米を始めとする諸外国においても、同様の制度となっている。

必要となる証明書類も含め、これらの要件について、通達等に規定する予定である。

(Commercial Parts/COTS品関係)

問 「Commercial Pats」とはどのような部品か。

答 航空機に装備する装備品等については、国が製造又は修理・改造について能力を認定し

た者が実際に作業を行い、基準適合性を確認することが原則である。ただし、例外として、

他の方法により品質が担保されることが確実である場合には、必ずしも装備品基準適合証

や ARCまでは求めず、適合性証明書や合格票等でよいこととする装備品等がある。

例えば、米国では、Consumer Electronics 等の主たる用途が航空機用に製造されたもの

ではない民生品を航空機に装備する場合について、必ずしも当該民生品を製造する者に対

して、製造証明を取得することを求めていない。

このような民生品については、TC/STC等の航空機の設計承認において、当該民生品の

故障が当該航空機の安全レベルを低下させないことが証明され、かつ、当該民生品の製造

に係る仕様が製造者が規定したとおりに行われることが確実である場合であって、航空機

の設計承認保有者が「耐空性を継続するための指示書(ICA)」の一部として作成する

「Commercial Parts List」に掲載されているもののみが、「Commercial Parts」として、ARC

なく航空機に装備することが Acceptableなものとして扱われる。なお、「Commercial Parts

List」は、米国連邦航空局(FAA)の承認が必要とされている。

「Commercial Parts」については、米国で製造証明の取得の必要がなく、ARCの添付が

求められておらず、我が国への出荷の際にも ARC が添付されないケースがあることから、

我が国においても、必ずしも ARC がなくても航空機に装備することを認めることとする。

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また、我が国において製造されたものについても同様に、我が国の TC/STC 等の設計承

認において、当該民生品の故障が当該航空機の安全レベルを低下させないことが証明され、

かつ、当該民生品の製造に係る仕様が製造者が規定したとおりに行われることが確実であ

る場合であって、航空機の設計者が「耐空性を継続するための指示書(ICA)」の一部とし

て作成する「Commercial Parts List」に掲載されている場合については、必ずしも装備品基

準適合証がなくても航空機に装備することを認めることとする。

ただし、装備品基準適合証や ARCが添付されていない「Commercial Parts」を航空機に

装備する場合には、航空機使用者において、「Commercial Parts List」に掲げられたもので

あること等を確認することが必要であり、これらの要件については、今後、通達等におい

て規定することとする。

(Material関係)

問 「Material」については装備品基準適合証や ARCは不要とのことだが、具体的にどのよ

うなものが「Material」に該当するのか。

答 航空機に装備する装備品等については、国が製造又は修理・改造について能力を認定し

た者が実際に作業を行い、基準適合性を確認することが原則である。ただし、例外として、

他の方法により品質が担保されることが確実である場合には、必ずしも装備品基準適合証

や ARCまでは求めず、適合性証明書や合格票等でよいこととする装備品等がある。

このうち、航空機やその装備品等の原材料である「Material」についても、当該 Material

が使用されている装備品全体として安全性を確認する場合、必ずしも装備品の材料単位で

の確認は必要ないことから、装備品基準適合証や ARCがなくても航空機に装備することが

認められる。例えば、以下のものが該当する:

・潤滑剤、接着剤、コンパウンド、塗料、化学染料等の消耗品

・装備品等を製作するための金属、プラスチック、木、繊維等の原料

ただし、このような「Material」は、設計承認の保有者が指定した当該材料に要求される仕

様を満足するものであり、かつ、トレーサビリティが確保されていることが必要である。

したがって、装備品基準適合証や ARC のない「Material」を航空機に装備する場合は、航

空機使用者がこれを十分に確認することが必要であり、確認の方法等の要件については、

今後、通達等において規定することとする。

(航空機使用者が作製する部品関係)

問 「航空機使用者が作製する部品」については装備品基準適合証や ARC は不要とのこと

だが、どのような場合が該当するのか。

答 航空機に装備する装備品等については、国が製造又は修理・改造について能力を認定し

た者が実際に作業を行い、基準適合性を確認することが原則である。ただし、例外として、

他の方法により品質が担保されることが確実である場合には、必ずしも装備品基準適合証

や ARCまでは求めず、適合性証明書や合格票等でよいこととする装備品等がある。

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型式証明等の航空機の設計承認の保有者が作成する Maintenance Manual 等で指示され

る整備作業の中には、当該 Manualで指示される方法にしたがって、部品を自ら作製しなけ

ればならない場合がある。このような場合の航空機使用者の部品作製作業については、装

備品等の製造作業ではなく、航空機の整備作業の一環として有資格整備士による確認又は

航空機整備改造認定に基づく確認が行われることから、装備品等の製造の能力に関する認

定の取得は不要であり、装備品基準適合証や ARCは不要である。

また、例えば、Maintenance Manualにしたがって整備をする際に、製造者に問い合わせ

た上で、ダブラー等を作製して取り付ける場合等についても、装備品基準適合証や ARCは

不要である。

(Direct Ship Authorization関係)

問 例えば米国では、FAAの製造証明を受けていない部品製造者(サプライヤー)が、航空

機使用者に装備品等を直接出荷することが認められているが、我が国でも、航空機製造検

査認定を受けていないサプライヤーが航空機使用者に装備品等を直接出荷できるように

制度を改正する予定はあるか。

答 米国では、サプライヤーが製造証明保有者(PAH等)の品質管理及び検査制度に則って

装備品等を製造し、製造証明保有者に代わって耐空性を保証することで、サプライヤーが

ARC を発行し、航空機使用者に装備品等を直接出荷することを認める制度として、Direct

Ship Authorizationの制度がある。

現在、米国の Direct Ship Authorizationに該当する制度は国内にはない。我が国における

将来的な制度については今後検討していく予定である。

問 以下の装備品等の製造について、それぞれ事業場認定を取得する必要があるか。

・旅客サービス用の吐しゃ袋、紙コップ

・型式証明で要求されるライト(bulb)

・型式証明で要求される、機内外に貼付するデカール、プラカード

答 航空機に装備する装備品等については、国が製造又は修理・改造について能力を認定し

た者が実際に作業を行い、基準適合性を確認することが原則である。そのため、航空機を

構成するものとして IPC に掲げられた装備品等であって、かつ、航空機の設計承認におい

て耐空性基準への適合が求められているものについては、当該装備品等単体での安全性の

確認が必要であることから、事業場認定を取得し、装備品基準適合証を添付することが必

要である。

(旅客サービス用の吐しゃ袋、紙コップ)

吐しゃ袋、紙コップについては、IPCに掲げられたものではなく、耐空性基準への適合

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が求められるものでもないため、装備品基準適合証は必要なく、事業場認定の取得も不

要である。

(型式証明で要求されるライト、機内外に貼付するデカールやプラカード)

TCで要求されるライト、また、航空機に貼り付けるデカールやプラカード等の標識類

については、IPCに掲げられる装備品であり、かつ、耐空性基準への適合が求められるこ

とから、装備品基準適合証が必要であり、事業場認定の取得が必要となる。

問 現行では、製造検査認定事業場が、製造工程の一部を他社(非認定事業場)に委託する

ことが認められているが、今般の制度改正後も認められるのか。

答 ご指摘のとおり、現行制度下でも、装備品の製造及び完成後の検査の能力について認定

を受けた事業場(装備品製造検査認定事業場)は、製造工程の一部を、認定を受けていな

い事業場に委託することを認めている。ただし、この場合には、委託先の能力が委託する

業務の実施に適切であり、かつ、適切に業務が実施されていることについて委託元が委託

先監査等により監視・監督した上で、委託元である認定事業場の責任で、当該委託先の作

業内容も含めて基準適合性を確認することが必要となっている。

このような形での製造工程の一部の委託については、今回の制度改正後も引き続き実施

することが可能である。

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(全 般)

問 国内で修理される装備品等について、具体的にどのような装備品等に装備品基準適合証

が求められることになるのか。

答 航空機に装備する装備品等については、国が製造又は修理・改造について能力を認定し

た者が実際に作業を行い、基準適合性を確認することが原則である。そのため、修理又は

改造をした装備品等(以下、「修理品」という。)を航空機に装備する際には、全ての装備品

等に対して装備品基準適合証が発行されていることを求めることとなる。

例外として、他の方法により品質が担保されることが確実である場合には、以下の修理

品については、必ずしも装備品基準適合証までは求めず、合格票等でよいこととする:

①民生品(Commercial Parts)

②設計者の指示に基づき、整備のために使用者が製作する部品

※民生品については、TC/STC等の航空機の設計承認において、当該民生品の故障が当該航

空機の安全レベルを低下させないことが証明され、かつ、当該民生品の製造に係る仕様が

製造者が規定したとおりに行われることが確実である場合であって、航空機の設計承認保

有者が「耐空性を継続するための指示書(ICA)」の一部として作成する「Commercial Parts

List」に掲載されているもののみが、「Commercial Parts」として、ARCなく航空機に装備

することが Acceptableなものとして扱われる。(別問参照。)

問 海外で修理される装備品等について、具体的にどのような装備品等が規制の対象とな

り、どのような外国の証明書を受け入れることができるのか。

答 航空機に装備する装備品等については、国が製造又は修理・改造について能力を認定

した者が実際に作業を行い、基準適合性を確認することが原則である。そのため、修理品

を航空機に装備する際には、全ての修理品に対して、我が国の認定を受けた事業場が発行

する装備品基準適合証、又は整備分野の BASA 等を締結した外国の認定を受けた事業場で

発行された Authorize Release Certificate(ARC)が添付されていることを求めることとな

る。

例外として、他の方法により品質が担保されることが確実である場合には、以下の修理

品については、装備品基準適合証や ARCは求めない。詳細については、今後の BASA協議

において明らかにしていく:

①民生品(Commercial Parts)

※外国の証明書の受け入れの考え方については、別問を参照。

※①の考え方については、別問を参照。

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【STC/修理改造検査関係】

問 今後は、STCにより設計承認を受けた装備品等の製造又は修理・改造をし、航空機に装

備する場合には、装備品について事業場認定を取得する必要があるのか。

答 航空機に装備する装備品等については、国が製造又は修理・改造について能力を認定し

た者が実際に作業を行い、基準適合性を確認することが原則である。そのため、今般の制

度改正後は、STC 部品等を含めた全ての装備品及び部品に対して装備品基準適合証又は

ARCが必要となる。(ただし、「例外装備品等」に該当するものは除く。)

このため、我が国が設計国となる STCについては、以下のいずれかの対応が必要となる。

・STC保有者が装備品製造検査認定を取得

・STC保有者とライセンス契約を行った者が装備品製造検査認定を取得

今回の制度改正の趣旨は、装備品等の製造又は修理・改造を行った者に対して、適切に

その責任を負わせることであることから、追加型式設計承認(STC)により航空機への装

備が認められた装備品等についても、当該装備品等を製造する者が装備品の製造及び完成

後の検査の能力について事業場認定を取得し、装備品基準適合証が発行されることが必要

である。なお、当該装備品等の修理・改造をする場合は、装備品修理改造の能力について認

定を受ける必要がある。

外国が設計国となる STC については、当該 STC 保有者が製造証明承認保有者として発

行した ARC か、当該 STC 保有者から認められた製造承認保有者が発行した ARC が必要

となる。

なお、本来、航空機の設計の承認や量産体制の適切性、型式としての同一性については

TCの取得が前提としているものの、我が国ではこれまで、型式証明を取得していない航空

機に対する便宜上の措置として「同等 STC」を実施してきた。

今後は、法的には、新法第 18条の「修理改造設計承認」として承認をすることで、同等

STC制度は継続する。「同等 STC」の場合も STCの場合と同様に、「同等 STC」を取得し

た者が装備品製造検査認定を取得して装備品等の基準適合証を発行するか、装備品等の仕

様承認を受け装備品製造検査認定により基準適合証の発行が行われた装備品等を使用する

ことが必要となる。

問 STCを 1機(供試機)のみにしか適用しない場合、当該 STC部品の製造については、

事業場認定を取得しなくてもよいか。特殊な改修であり、極めて限定された航空機にしか

装備しない部品の取り付け等の特殊な改修については、事業場側に認定を取得するメリッ

トに乏しいことから、必ずしも事業場認定を取得しなくてもよいこととしてほしい。

答 航空機に装備する装備品等については、国が製造又は修理・改造について能力を認定し

た者が実際に作業を行い、基準適合性を確認することが原則である。そのため、航空機の

整備及び改造の際に装備する装備品等については、装備品基準適合証又は ARCが添付され

たものである必要がある。したがって、当該装備品等の製造者は、STC取得後に STCに従

って修理・改造され、航空機に装備されることを想定して事業場認定を取得することが必

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要である。ただし、供試機については、まだ設計承認を受ける前の段階であり、装備品基

準適合証の添付ができないことから、装備品基準適合証は不要である。

また、修理改造検査を受けた機体についても、修改部品を交換する場合には、当該交換

部品が、承認した設計どおりに製造されていることが確保される必要があることから、当

該装備品等の製造者が事業場認定を取得し、仕様承認を受ける必要がある。

ただし、特異な事情により、事業場認定の取得が著しく困難な場合については、対応を

検討するため、個別に相談いただきたい。

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【装備品規制関係のその他の問】

(他機への良品流用の条件)

問 取り下ろした装備品等を他機へ良品流用する場合は、装備品基準適合証がなくてもよい

が、「一定の条件」を満たす必要があるとのことだが、具体的にどのような条件を満たす

必要があるのか。

答 航空機に装備する装備品等については、国が製造又は修理・改造について能力を認定し

た者が実際に作業を行い、基準適合性を確認することが原則である。そのため、航空機の

整備及び改造の際に装備する装備品等については、装備品基準適合証又は ARCが添付され

たものである必要がある。ただし、装備品基準適合証や ARCは、事業場が実施した製造又

は修理・改造に係る作業について基準適合性を示すために求めるものであり、装備品等を

航空機から取り外した後に整備作業を行わず、当該装備品が良品であることが確認できる

場合には、当該装備品等の装備にあたり新たに装備品基準適合証や ARCが必要となること

はない。

ただし、当該装備品等の時間管理や適切な保管等の十分な品質管理が必要であることか

ら、航空機使用者が整備規程に当該手順を定め、認可(又は認定)を受けた上でこれにした

がって作業を実施する場合のみ、当該整備規程の適用を受ける航空機間に限り、これを認

めることとする。

(カーゴ・コンテナ、ギャレー・カート等の取り扱い)

問 カーゴ・コンテナやギャレー・カートのような運航側の要求により航空機に搭載するも

のに対しても、新たな装備品等の安全規制は適用となるのか(カーゴ・コンテナやギャレ

ー・カートにも装備品基準適合証が求められるのか)。

答 認定/認可された整備規程の下、不具合のない状態であることが確認されているカーゴ・

コンテナやギャレー・カート等については、搭降載自体は整備行為とはせず、搭降載の度

に装備品基準適合証や ARCが発行される必要はない。

ただし、カーゴ・コンテナやギャレー・カート等は、TC/STC の IPC 等で装備品等とし

て取り扱われており、また、当該装備品等に対して耐空性基準が課されていることから、

不具合修復等の整備については、装備品の修理改造の能力について認定を受けた事業場に

より修理を行うことが必要となる。

問 現在、カーゴ・コンテナやギャレー・カート等については、仕様承認等の設計承認を取

得していないものが多数、国内で使用されており、新たな規制が適用されるまでに、それ

らについて仕様承認を取得した上で、それらの修理・改造をする十分な数の事業場が認定

を取得することは困難であることから、対応を検討してほしい。

答 航空機に装備する装備品等については、国が製造又は修理・改造について能力を認定し

た者が実際に作業を行い、基準適合性を確認することが原則である。そのため、航空機を

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構成するものとして IPC に掲げられた装備品等であって、かつ、航空機の設計承認におい

て耐空性基準への適合が求められているものについては、当該装備品等単体での安全性の

確認が必要であることから、事業場認定を取得し、装備品基準適合証を添付することが必

要である。

カーゴ・コンテナやギャレー・カート等については、諸外国においても耐空性基準への

適合性の証明が求められており、その製造又は修理・改造についても、認定事業場で実施

されなければならないこととされているところ、我が国においても、設計承認を有してい

ないものについては、仕様承認の取得及び製造又は修理・改造に関する事業場認定を取得

する必要がある。

(経過措置関係)

問 新たな制度が施行されるより前に、予備品証明を受けた重要装備品については、施行後

の取り扱いはどうなるのか。また、現行で「予備品証明を受けたこととみなす」装備品等

についてはどうか。

答 改正法の附則第 5 条の規定により、改正法の施行日(令和 4 年 6 月 18 日)より前に、

旧法の規定により予備品証明(みなしを含む。)を受けている装備品については、改正法の

施行後も、改正後の規定にかかわらず、航空機に装備することが可能である。

また、改正法の施行の時点で既に航空機に装備されている装備品等は、改正後の規定に

かかわらず、当該航空機に引き続き装備し続けることが可能である。ただし、改正法の施

行後に、当該航空機から取り卸し、整備作業を行った場合は、改正後の規定が適用される。

問 予備品証明検査はいつまで実施されるのか。

答 予備品証明検査は、改正前の航空法に基づく制度として、改正法が施行されるまでは実

施されるが、施行後(令和 4年 6月 18日以降)は廃止されることになる。

ただし、法律施行日の前には、多くの予備品証明の申請が予想されるところ、今後、あら

かじめ関係者に通知した上で申請の期限を設けるなど、適切な予備品証明検査の実施が確

保できるよう検討している。

(在庫品の取り扱い)

問 「法律公布日(令和元年 6 月 19 日)以降に購入」した装備品等は、改正法施行後は装

備品基準適合証が必要とのことだが、「購入日」は「契約日」「使用者への納品日」「製造者

からの出荷日」のうちどれで判断すれば良いか。また、商社にも同様の考え方が適用され

るか。

答 制度改正が明らかになる前に購入済みの装備品等については、新たな制度を知らずに購

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入したものであり、その使用を認めないのは不合理であると考えられることから、改正航

空法の公布前に購入した装備品等については、特例措置として、改正後も航空機に装備す

ることを認めることとする。

なお、「購入日」については、航空機使用者、商社・代理店等が発注等により「購入する

意志を示した日」であり、実際に納品された日が法律公布日以降であっても、発注日が法

律公布日より前であれば、これを装備することを認めることとする。

問 「法律公布日(令和元年 6 月 19 日)以降に購入」した装備品等はすべて装備品基準適

合証が必要とのことだが、「法律公布日」ではなく「省令の公布日」としてほしい。

答 この措置は、大量に在庫品を買い占めることにより、本改正の意義が損なわれることを

防ぐためのものであり、今後の日程を基準日とすることは適切ではないと考えられるとこ

ろ、既に予備品証明制度を廃止する改正法については公表されていることから、公平を期

すためにも、「法律の公布日」を基準日とすることにご理解いただきたい。

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【事業場認定関係】

(確認主任者の要件)

問 今般の制度改正により、中小の装備品修理事業者を含めた多くの事業場が事業場認定を

取得する必要があるが、現行制度では、装備品の認定に関する確認主任者の要件(特に学

歴要件)を満たすことができず、認定を取得できない事業場が多数あると考えられるとこ

ろ、確認主任者の要件を見直してほしい。

答 現行の航空法施行規則第 35 条第 4 項において、認定業務の区分毎に確認主任者の要件

として、必要な資格や学歴とともに、必要な認定業務の経験を定めているが、「国土交通大

臣がこれと同等以上の能力を有すると認めた者」として、必要な資格や学歴を持たない者

であっても、通常より長い認定業務経験を積むことにより選任できることとしており、通

達(サーキュラーNo.2-001)においてその具体的内容を定めている。

これに加え、装備品の修理改造認定の確認主任者については、あらかじめ承認を受けた

審査基準及び方法にしたがって、認定事業場が審査を実施し、これに合格した者について

も確認主任者に選任できることとしていることから、現行制度においても十分に対応でき

るものと考えている。

今後、この承認審査の具体的な要件について明確化していく。

なお、必要に応じ、装備品の製造及び完成後の検査の能力に係る事業場認定の確認主任

者要件についても同様の対応を検討していく。

問 少ない確認主任者数での運用を確保するため、型式や装備品の種類ごとの限定を取り除

く等により、一人の確認主任者で確認できる範囲を広げてほしい。

答 確認主任者要件については、「国土交通大臣がこれと同等以上の能力を有すると認めた者」

として、必要な資格や学歴を持たない者であっても、通常より長い認定業務経験を積むこ

とにより選任できる制度を活用することにより、確認主任者の確認できる範囲も拡大する

ことが可能である。

(業務範囲の見直し)

問 現行制度においては、「重要装備品」の製造又は修理・改造について事業場認定の取得

を求めていたことから、装備品に係る認定事業場の業務の範囲(Rating)についても、「重

要装備品」を念頭においたものとなっているところ、見直しの予定はあるか。「非重要装

備品」について認定を受ける際には、どの業務範囲で認定を受ければよいか。

答 今般の航空法改正により、装備品の認定事業場の対象範囲が、全ての装備品及び部品へ

と拡大されたことに伴い、今後、認定事業場の業務範囲及び限定について定めた規則第 33

条を、改正する方向で検討中である。

省令が改正されるまでの間は、該当する業務の範囲が明確でない場合には、「その他」と

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して取扱うこととする。

問 非破壊検査に関する事業場認定を受けたいと考えているが、どの「業務の範囲」(規則

第 33条)で認定を受ければよいか。

答 今後、認定事業場の業務範囲及び限定について定めた規則第 33条を、改正する方向で検

討中であるが、省令が改正されるまでの間は、「その他」の区分により認定することとする。