国語科教育における トワルミン・モデルの受容につ...

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国語科教育における トワルミン・モデルの受容についての批判的検討 幸坂健太郎 .問題の設定と本稿の目的 国語科教育では、「論理J ・「論証J をどう捉え、扱うかに関心が持たれている。そして、「論証J を捉える際、 Toulmin (1 958) のモデル(以下 TMと表記)が用いられることがある。 TMは、「デー (D)J ・「理由づけ (W)J・「裏づけ (B)J ・「主張 (C)J ・「限定 (Q) J・「反証 (R)J6 素から構成される九 TM の例として、 Toulmin が示す例を図 1 2に挙げる。 C:ハリーはパミュ ーダ諸島で生まれた ーーしたがって C:ハリーは Q:たぶん一一一英国民である R: 彼の両親が 宇宙人だった/ 彼がアメリカに 帰化した/… でない限り W:なぜなら パミューダ諸島で生まれたも のは一般的に英国民になる B:それは以下に挙げる 法律や法規定による: 【図1] TMについては、当初の Toulminが提唱したものとは異なった形で受容されている点を指摘する 論がある。たとえば牧野 (2008) は、 Ehningerらが TMの要素を彼らなりに解釈し直した上で受容し ていることを指摘している・ では、国語科教育においては TMはし、かに受容されているのか。その受容では、 Toulminが提唱 したモデ、ルをそのまま受容しているのか、それともいくらか違った解釈が加えられた上で受容され ているのか。この点については、管見によれば未だ十分に論じられていない。この点を論じること は、国語科教育における TM の受容に課題はないのか、国語科教育における「論証Jを扱うための モデルとして TM はどの点で有効なのか、といったことを明らかにすることに繋がる。よって、 TM の国語科教育における受容の検討に、稿者は意義を見出す。 以上より、本稿の目的を定める。本稿はまず、①国語科教育において TM がどのように受容され ているのかを調査・考察することを第一の目的とする。それは、本稿が国語科教育における TM 容の現状を調査するという、今後の研究に繋がる基礎的資料を提示することを大きな柱とするから である。そして、②国語科教育の TM の受容における課題を取り上げ、その課題とは何かを明らか にすることを第二の目的とする。なお、その課題を克服するとまではいかずとも、その課題の克服 のために今後どのような研究が必要か、その道筋を示す。 2. 国語科教育における TM の受容の実態調査 (1)調査観点 国語科教育における TMの受容の実態を調査する。調査する文献は、 2009年までの種々の著作 8 Fhd

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Page 1: 国語科教育における トワルミン・モデルの受容につ …...国語科教育における トワルミン・モデルの受容についての批判的検討 幸坂健太郎,

国語科教育における

トワルミン・モデルの受容についての批判的検討

幸坂健太郎

, .問題の設定と本稿の目的

国語科教育では、「論理J・「論証Jをどう捉え、扱うかに関心が持たれている。そして、「論証J

を捉える際、 Toulmin(1958)のモデル(以下 TMと表記)が用いられることがある。 TMは、「デー

タ (D)J・「理由づけ (W)J・「裏づけ (B)J・「主張 (C)J ・「限定 (Q)J・「反証 (R)Jの6要

素から構成される九 TMの例として、 Toulminが示す例を図 1・2に挙げる。

C:ハリーはパミューダ諸島で生まれた

ーーしたがって C:ハリーはQ:たぶん一一一英国民である

R:彼の両親が宇宙人だった/彼がアメリカに帰化した/…でない限り

W:なぜならパミューダ諸島で生まれたものは一般的に英国民になる

B:それは以下に挙げる法律や法規定による:

【図1]

TMについては、当初の Toulminが提唱したものとは異なった形で受容されている点を指摘する

論がある。たとえば牧野(2008)は、 Ehningerらが TMの要素を彼らなりに解釈し直した上で受容し

ていることを指摘している・

では、国語科教育においては TMはし、かに受容されているのか。その受容では、 Toulminが提唱

したモデ、ルをそのまま受容しているのか、それともいくらか違った解釈が加えられた上で受容され

ているのか。この点については、管見によれば未だ十分に論じられていない。この点を論じること

は、国語科教育における TMの受容に課題はないのか、国語科教育における「論証Jを扱うための

モデルとして TMはどの点で有効なのか、といったことを明らかにすることに繋がる。よって、 TM

の国語科教育における受容の検討に、稿者は意義を見出す。

以上より、本稿の目的を定める。本稿はまず、①国語科教育において TMがどのように受容され

ているのかを調査・考察することを第一の目的とする。それは、本稿が国語科教育における TM受

容の現状を調査するという、今後の研究に繋がる基礎的資料を提示することを大きな柱とするから

である。そして、②国語科教育の TMの受容における課題を取り上げ、その課題とは何かを明らか

にすることを第二の目的とする。なお、その課題を克服するとまではいかずとも、その課題の克服

のために今後どのような研究が必要か、その道筋を示す。

2. 国語科教育におけるTMの受容の実態調査

(1)調査観点

国語科教育における TMの受容の実態を調査する。調査する文献は、 2009年までの種々の著作

8吐

Fhd

Page 2: 国語科教育における トワルミン・モデルの受容につ …...国語科教育における トワルミン・モデルの受容についての批判的検討 幸坂健太郎,

-研究誌論文・雑誌掲載論文である。なお、学会発表要旨集については、今回は調査対象に含めて

いない。調査では、詳細な考察のために、次の 3観点を特に設定した。

① rTM依拠文献J(=その論者が TMを取り上げる際に参照した文献)

②その文献が取り上げた TMの「要素」

③その文献が TMを「取り上げた理由」

各観点設定の理由を述べる。まず① rTM依拠文献Jである。この観点からの調査により、各論者

がどの論者を参考に TMを受容していったのか、受容の流れがわかる。次に②「要素」である。こ

の観点により、 TMのどの要素が国語科教育で受容されているかがわかる。最後に@ r取り上げた

理由」である。この観点により、国語科教育のどの文脈・場面で TMが受容されているかがわかる。

その他、年代や著者名、(論文の場合)出典文献など、基礎的情報も調査観点とした。

( 2)調査結果と考察

調査の結果を、資料として本稿末に示す。

まず、① rTM依拠文献J項を見る。近年ほど、 Toulminの著書を参照せず、日本の論者の著書

から TMを取り入れている文献が多くなっている。参照されている日本の文献で中心的なのは、井

上尚美の文献である。また、国語科教育外の論者の文献、たとえば足立幸男(1984)~議論の論理』

などを参照する文献も見られる。

次に、②「要素」欄である。多くの文献が、「データJ(D)・「理由づけJ(W)・「主張J(C)

の3要素を TMの中心的要素として扱っている。 TM(J2-他の要素である「裏づけJ(B)・「反論J(R)

・「限定J(R)を扱っている文献は少数派であった。「裏づけ」・「反論J・「限定Jについては、 TM

の要素として言及しつつも補助的な要素として捉えている文献、または TMの要素として言及もし

ていない文献の両者がある。

最後に、 @r取り上げた理由J欄である。 TMは国語科教育において、「論証j モデノレとして、

文章分析・文章表現などに用いられている。さらに、 TMを望ましいモデ、ルのための先行モデノレと

して活用する文献もある。つまり、 TMを素材とし、新たなモデノレを提案している文献である。そ

れは、文献 32などの光野と、文献49の藤森である。光野は、 TMに帰納論理を取り入れ、藤森は、

文学教材の解釈を話し合うためにやりやすいよう、 TMに基づく新しいモデ、ルを提案している。

「取り上げた理由」欄は、 TMの有効性・限界性を検討しているかどうかも記している。 TMを

検討した文献は、井上の文献3・7¥中村の文献I3・ 17、田中の文献 35、難波の文献 57である。

ここで、国語科教育において、 TMが有効だとされた点・批判された点を整理しておく。

まず、国語科教育において TMの有効性を論じているのは、文献3・I3・ 17・35の4文献であ

る。それらの論をまとめると、国語科教育で論じられた TMの有効性は、以下の 4点に集約できる。

0形式論理とは違い日常言語の「論理Jにおける「不確実な要素」を考慮することができる。

(文献 3 p.154, 158・文献I3pp.75・6・文献35p.45)

0国語科で看過されがちな「理由づけ」に光を当てられる。(文献I3pp.76・7・文献 35p.45)

0教育において「事実」と「事実に解釈を加えた「推論JJを区別した学習活動ができる。(文

献 17p.227)

o r心理的・感情的」側面を捨象した「論理Jを捉えられる。(文献I3pp.94・5)

次に、批判された点である。 TMの批判的検討をしている文献は、文献7と文献 57である。そ

れらの文献が TMの何を批判したのかを整理すると、次のようになる。

ア:r理由づけJには「裏づけJが必要なのに、なぜ「データJにはその必要がないのか。

phd

phd

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イ:r限定」や「反証」は、場合によっては「データJや「理由づけJにもつくはずだ。

ウ:r裏づけ」は、「理由づけJそれ自体を 1つの「主張Jと見てその「データ」に当たるとも

考えられる。(以上ア~ウは文献7p.91)

エ:r論証」は rfield-dependentJな面がある。 TMは「論証j モデルで、あり、専門的な場ではな

い日常において、日常言語でTMを扱うことはできない。(文献57p.27)

上の調査結果の他、特に注目しておきたい点を 2点、考察として述べる。

まず 1点めは、 TM受容における井上尚美の影響力の大きさである。 rTM依拠文献Jを見ても、

国語科教育の論者の中で最も参照されていたのは井上の文献であった。特に、井上による文献4と

その再刊版である文献 7は、平易な文体で書かれたということもあり、広く後の文献に参照されて

いる。井上は、国語科教育における TMの受容において大きな影響を及ぼしたといえる。

2点めは、多くの文献が「データJ(D)・「理由づけJ(W)・「主張J(C)の3要素を TMの中

心的要素として扱っていることの妥当性についてである。「裏づけJの消去に対しては、学会にお

ける難波の批判があるへまた、(国語科教育の論者ではないが)牧野(2008)も、「トクールミンの

問題提起の本質」を、「裏づけ」・「反論J・「限定Jという rr文脈Jこそが「議論に必要不可欠な

要素Jであるという点Jにあるとし、この 3要素を TMの「追加要素」と位置づけた論者に対して

疑義を呈している・7。このような論に鑑みても、「裏づけ」・「反論J・「限定Jを削除する、または

補助的要素とすることを無条件に良しとするのは望ましくない。国語科教育が「データJ・「理由

づけJ・「主張」を TMの中心的要素として受容することに関しては、今後十分議論するべきである。

以上、 TMが国語科教育でどのように受容されているのかを調査・考察した。さて、 TMの受容

のされ方において生じている課題に論を移す。国語科教育の TMの受容における課題として、稿者

は少なくとも次のものがあると考える。

or限定」・「反証J・「裏づけ」を消去し、「データ」・「理由づけJ・「主張」の 3要素のみを TM

とする受容が多い。

O国語科教育では「理由づけJが多様に用いられており、そのことが指摘されず暖昧なままにな

っている。

前者については先に取り上げた。先述のように、この点については今後の議論が求められる。だが、

本稿では、その課題はさておき、管見の限り未だ指摘されていない後者の課題を取り上げたい。後

者の課題がもし国語科教育においであるとすれば、それは看過できない重要な課題である。なぜな

ら、「理由づけ」の多様さによって理論としても不整合をきたすし、結果、実践においても混乱が

生じてしまうからだ。また、 TMが「理由づけ」に焦点を当てていることを、国語科教育における TM

の有効性の 1っとしている論者がいるのは先述の通りである。この点からも、「理由づけ」に関す

る課題があるならば、それは克服すべきである。以上より、後者の課題について以下に論じる。

3. 国語科教育における「理由づけJ

(1)国語科教育における「理由づけJの定義

「理由づけJについて、井上尚美は以下の 2点のように定義している九

A: rこれこれのデータがあるとどうしてその主張が真だといえるのかその理由を示す」もの。

B : rデータJが「個別的な事実」である一方、「理由づけのほうはより一般的な仮説」。

TMを受容している論者の多くが、井上の影響を受けていることは先述の通りである。したがって、

国語科教育で TMを受容している論者の多くに共通しているであろう「理由づけ」の定義は、井上

ρb

Fhu

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によるこの定義だと想定できる。事実、例えば中村は、「理由づけ」を「なぜ、その根拠によって

ある主張ができるかを説明する要素j としている。

( 2)実際のTM適用例

では、国語科教育における実際の TM適用はどうなっているのか。もちろん、上の定義通りに「理

由づけJを捉えている例も存在する九しかし、そうではなく、「理由づけj が上の定義から外れる

例もいくつか見られた。ここでは、その適用例を 3つ挙げたい。なお以下の図は、「データJ・「理

由づけ」・「主張Jの3要素のみを文献から引用している。それは、「理由づけ」の多様性を証明す

るため、必要な要素だけに限定したからである。もし引用元の文献が「データJ・「理由づけJ・

「主張J以外の要素を扱っている場合、引用はしないが、注にその旨を示すこととする。

まずは、図 2・10を挙げる。これは、 f森林と水J(学図4年下、平8) という説明文に TMを当て

はめた例である。まず図 2のデータは、「干ばつの時」・「水害の時Jの森林の果たす機能に関する

「データJである。そしてそのデータから、 r(したがって)森林は私たちの生命を守るJという

「主張Jを導いている。このとき、「データJから「主張」を導ける「理由を示」す「理由づけ」

は、「なぜ森林に「データJのような機能があれば、「森林は私たちの生命を守るj といえるのかJ、

という疑問に答える命題であるはずである。となると、「理由づけ」は、「干ばつの時に飲み水を

まかなったり、水害の時に被害を小さくしたりする機能を持つものは、私たちの生命を守る。」と

いう命題になると考えられる。

しかし、図 2の「理由づけ」は、なぜ「データJから「主張Jが導けるのかではなく、なぜ「デ

ータ」とし、う現象が起こるのかを説明するものとなっている。つまり、「データj が結果であり、

その結果の原因となる森林の「働きJ(= r水を蓄え、少しずつ吐き出す働きJ) を述べたものと

なっている。以上より、図 2の「理由づけ」は、「データ」から「主張Jを導ける「理由を示Jし

ておらず、国語科教育における「理由づけJとは違った「理由づけ」を持つ例だといえる。

「5給格差は当然

次に図 3・11を挙げる。図 3は、新聞記事に TMを適用した例である。高校生・大学生聞の能力・

経験の差を持ち出し、両者の時給格差の正当性を主張した「論証」である。

図3については、まず「データJの位置にある命題を問題化しておく。 TMの「データJは、「主

張Jを提出する際、私たちが「何に頼ったのかWhathave you got to go on? Jを示すものである・口。

図3でいえば、「時給格差は当然」だと「主張Jする際、なぜ「時給格差は当然」だといえるのか、

iphd

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そのために「頼Jるのが「データ」ということになる。

図3の「データJは、「時給格差があるJという存在的な事実である。となると図 3は、「時給

格差は当然Jだと「主張Jし、「何に頼ってそのように主張するのか?J と問われたときの説明と

して、「なぜなら時給格差があるからj、と説明する「論証Jとなる。このような「データJは、「主

張Jと繋がっていない。

図3は新聞記事を分析したものだった。では、図 3が分析したもとの記事は、そもそも上のよう

な「データJが「主張」と繋がっていない「論証Jをしていたのか。記事本文の一部を引用する・日。

…大学生と高校生の大きな違いは責任能力の問題です。大学生が失敗したときは当の本人が当

然責任をとらされます。それは十八歳以上で、一般に社会人と責任能力に大差ないと判断され

るからです。高校生にはそれだけの責任能力はまだない、と判断され、その責任能力というの

は最終的には保護者にゆだねられます。/高校生は社会においても保護されているわけで、い

ってみれば、従業員の価値がないということになります。また、大学生は高校生よりも経験が

豊富です。ですから、スタート時の時給は、格差があってもいいと思います。

この文章の「主張」は、高校生と大学生の時給格差は「あってもし、い」という命題である。だが、

その「主張」が「何に頼ったのか」については、決して「時給格差があるJから、と「論証Jして

いるのではない。「主張」が「頼Jっている「データ」は、高校生に「責任能力」がなく、「従業

員の価値がないj ということ、そして大学生が「高校生よりも経験が豊富Jだということである。

上の新聞記事に TMを適用するなら、「データJにはこのような内容を位置づけるべきである。

図3をもう一度見てみよう。「データ」に入るべき内容は、「理由づけj に位置づけられている。

図3の「理由づけ」は「データ」に入るべき内容が位置づいており、多くの論者が参照しているで

あろう井上の「理由づけ」の定義とは違った「理由づけ」の例だといえる。

もちろんその場合、「責任能力がないJために高校生に「従業員としての価値がな」く、一方「大

学生の経験が豊富jならば、なぜ「時給格差が当然Jだという判断をして良いのか、を保証する「一

般的な仮説Jとしての「理由づけ」が別に求められるe しかし、図 3にその「理由づけ」はない。

f-主

私は国語が苦手である。 門島先生が悪い。

【図4】

最後に、図 4・M を分析する。図4の「門島先生Jとは国語教師のことである。

図4の「理由づけ」は、それ自体が r""から…Jという形をしている。つまり、「理由づけ」自

体が 1つの「論証」である(=r門島先生の授業はおもしろくない。したがって国語の力が身に付

かないJ)。もちろん、そのように 1つの「論証」となっている「理由づけ」は、図4の「データJ

からなぜ「主張j が導けるかの「理由を示」さない。つまり、図4の中には、「理由づけJによっ

て保証されていない「データ」・「主張Jが 1セットと、 cr理由づけ」の位置にある)その「デー

タ」・「主張Jとは別の「論証」が共存することになる。

(3 )課題の克服のための方向性

以上、国語科教育における TMの適用例を考察し、その多様性を確認した。実際の例を考証した

-58-

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ところ、国語科教育で「理由づけJが定義されているにもかかわらず、「理由づけJは多様に用い

られていた。このような多様性がなぜ生まれたのか。原因として、以下のものが考えられる。

原因 1 各論者の「理由づけJの定義についての理解が異なっている。

原因 2: r理由づけ」の定義は理解していても、文章などに適用する過程で困難が生じている。

原因 2を説明しておく。日常言語における「論証Jは、レトリックなど、「論証J以外の要素が関

わってくる。結果、あるモデルで「論証Jを捉える際、そこに困難さが生じることが考えられる。

上のうちどちらが原因なのか、または両方が関わり合っているのか、それは判断しかねる。しか

し、いずれにしろ、国語科教育における「理由づけ」の多様性は課題であり、それを克服するため、

今後の研究が必要である。

では、国語科教育における「理由づけJの多様性という課題を解決し、「理由づけ」の共通認識

を作るために、どのような研究が今後必要なのか。

まず必要なのは、 Toulmin自身の論に立ち返ることである。つまり、国語科教育が「理由づけJ

としてきた rwarrantJ という要素を、そもそも Toulminがどのようなものとして捉えているかを明

らかにすべきだ・"これを今後求められる研究 1とする。

次に必要なのは、 Toulminの rwarrantJ概念が国語科教育における「論証j を捉える上で有効な

のか、ということの論究である。 Toulmin自身の rwarrantJの定義をそのまま国語科教育が取り入

れる必要はない。 Toulmin自身の論を国語科教育において受容する際に課題があるならば、それを

改変すべきだ。このことを論じるのが、今後求められる研究2である。

以上の研究 1・2を、「理由づけJの多様な使用という課題を克服する方向性として示す。

4. Toulminの rwarrantJ

さて、本稿の最後に、研究 1、つまり Toulmin自身が rwa汀加tJをどのように捉えていたのかに

ついて、ある程度明らかにしておきたい。

今、私たちが「データJ・「主張」のセットを提出したとする。すると、次のことが問題になる。

…私たちの仕事は、もはや、私たちの論証 argumentが構成されている地盤 groundを強化する

ことではなく、むしろ、これらのデータを開始点としてみなすと独自の主張や結論が適切で正

当なものとなる、ということを示すことなのだ。 CToulmin(2003) p.98)

このために用いられるのが rwarrantJである。本稿でも述べた通り、 rwarrantJは、「データ」・「主

張」聞のつながりを保証する。 Toulminは、 rwa汀如tJのことを「データ」・「主張」聞の「橋 bridgesJ

と表現したり、「データJ→「結論」の移行に「資格を与える entitleJ・「権限を与える authoriseJ

ものだ、と説明している・16

他にも Toulminは、 rwarrantJを「推論許可証 inference・licensesJ と述べている。

順を追って述べてし、く。国語科教育でも定義されていたが、 rwarrantJ とは、一般的・法則的な

ものである。そのことを述べた Toulminの論を、以下に引用する。なお、引用中に「グラウンド

groundsJとし、う語が出てくるが、 rdataJと同義であると考えられる。 Toulminet al. (1984)では、 rdataJ

のことを rgroundsJ と呼称している。

・(※引用者注:rデータJ→「主張」の移行の保証のために)私たちは、さらなるデータで

i主主牛、(引用者中略)むしろ違った種類の命題を持ち出さねばならない。すなわち、さら

なる情報的な付加項目ではなく、ルール、原則、推論許可証(引用者中略)を持ち出すのだ。

CToulmin (2003) p.91,下線は引用者)

Qd

phd

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彼(※引用者注主張者)が提出する主張 (C) と、そのサポートのために彼が持ち出す

グラウンドのまとまり (G) は、非常に特定的で固有なふのである一方、(引用者中略)通常

彼ほ、より一般的な generalある事柄を持ち出すと左によって、 GからCへの段階を正当化し

なければならず、(引用者後略)

(Toulmin et al. (t984)p.46ら太字は原文イタリック・下線は引用者)

引用からも明らかだが、 rw町加tJは、一般的なルールである。そして rwarrantJは、実用的な場

・法の場などの違いにより、「経験則J・「原則J・「自然法則」・「慣習」・「手続き」といった「形を

取るJとされるぺ名前は違えど、すべて rw町 antJが個に適用されうるようなルールであること

に変わりない。 rwarrantJは(規則〉であると考えられる。

r warrantJが(規則〉であり、「データ」・「主張」聞のつながりを保証するという考えは、 Toulmin

が G. Ryleに示唆を得たものである。上に引用したが、 Toulmin(2003)は、 rwarrantJ を f推論許可

証 inference-licensesJ という語で表現している明。この語は、 Ryle(1949:訳 1987)で「推論のため

の切符 inferenceticketJ とされたものから示唆を得たと考えられる.19

では、 Ryleの「推論のための切符Jとはどのような概念か。

…法則の確立を試みる目的として次のものが考えられる。すなわちそれは、いかにしてある特

定の事実から他の特定の事実を推論するか、いかにしてある特定の事実を他の事実に言及する

ことによって説明するか、そしてまた、いかにしである特定の事態を惹き起こしたり妨げたり

するか、ということを見出すことである。法則はいわば推論のための切符 inference ticket (定

期会員切符 season ticket) として使用されるのであって、われわれはその切符をもつことによ

って初めてある事実言明の主張から他の事実言明の主張へと移行することを許可されるのであ

ゑ。 (Ryle(J 949 :訳 1987)pp.170・1,下線は引用者)

端的に言えば、「推論のための切符Jとは「法貝IJJの機能に注目し、その機能に基づいて「法則J

を言い換えた表現である。 rwarrantJが(規則〉であり、それが「推論許可証Jとして機能すると

いう Toulminの論は、 Ryleの論に示唆を得ていると考えられる。

ただ、注意すべきは、 Toulminの考える rwarrantJ とRyleの考える「法貝IJJが完全には一致しな

いことである。 Ryleの概念によれば「法則Jは、「し、かなる anyJ・「であるときはつねに wheneverJ

といった表現を「少なくとも 1つは含み得」て、「真であるか偽であるかの一方Jである・目。しか

し、日常の「論証Jを考えたとき、そのような言明が可能な場合はほぼない。そのため Toulminは、

r warrantJが必ずしも確実な(規則〉ではないと考えている。だからこそ、 Toulminは rwarrantJ

に「裏づけ backingJ を付した。これが Ryleの考える「法貝IJJ と rwarrantJ との違いである。

Toulminが rwarrantJ をどのように捉えていたかをある程度明らかにした。以下にまとめる。

A: rデータ」・「主張J聞のつながりを保証するものである。

B : (規則〉である。ただし絶対性を有する「法則Jだとは限らず、 rbackingJが担保する。

4. まとめ

本稿では、国語科教育における TMの受容の実態を調査した。そして、それに基づき、 TMの「理

由づけJが多様に捉えられている課題を指摘した。そして、その課題を克服するための今後の研究

の方向性を示し、少しではあるが、その研究の方向へと歩を進めた。

今後も、稿者は TMに関する研究を継続する。そして、国語科教育で TMをどう受容すべきか、

国語科教育で「論証Jを捉える際、どのモデルをどう用いるのが望ましいかを明らかにしていく。

-60-

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参考文献(資料として挙げた文献 1-60は除く)

牧野由香里(2008)F議論Jのデザインメッセージとメディアをつなぐカリキュラム』ひつじ書房

G ・ライル/坂下百大・宮下治子・服部裕幸共訳(1987) ~心の概念』みすず書房 (Ryle (1 949) The

concept 01 mind, Hutchinson's University Librruγ.)

Toulmin, S. E. (2003) The uses 01 argument. Updated Edition, Cambridge: Cambridge University Press. (First

published: 1958)

Toulmin, S. E., Rieke, R. & Janik, A. (1984)An introduction to reasoning, 2nd ed, New York: Macmillan.

(Earlier editon: 1978)

* 1 Toulmin (2003) pp.89-100。なお本TMの要素の名称については基本的に井上(1989)に拠る。ただし、井上 (19

89)で「理由の裏づけJとしていたものを単に「裏づけJとしている。

勺 Toulmin(2003) p.97に稿者がD・Wなどの略記を付加。

*3牧野(2008)pp.95・6。なお牧野は、 Ehningerらの TMの要素の解釈に対して、「トクールミン本人の主張とは全

く逆の解釈ともいえる説明が加えられているJ部分があることも指摘している(同 p.95。傍点は原典ママ)。

*4その文献がある要素を繍助的に捉えている場合、その要素を( )っきで表記することとする。

ホ5井上の文献7は文献4の再刊である。よって両者の内容はほぼ同じである。また、文献2の論文も文献7と

同内容の部分が大きい。ただここでは、 rTM依拠文献Jとして多くの論者に参照されている文献7を代表さ

せて取り上げた。

*6難波博孝(2010) r論理・論証の妥当性についてJW全国大学国語教育学会国語科教育研究第 118回東京大会

研究発表要旨集~ pp.201・2。なお難波は、特に「裏づけ」の消去を問題としている。

η牧野(2008)pp.95・6。傍点は原文ママ。

*8文献7p.104の井上のもの。

句たとえば文献29p.27。

ホ10文献21 p.215.o rデータJ・「理由づけJ・「主張Jだけを引用したが、「反証J・「限定Jもモデルの要素に含

まれている。また、原典で「事実Jとなっているものを「データ」とした。

*11文献 13p.175図 1

* 12 Toulmin (2003) p.90

*13文献 13pp.173-4

叶4文献23p.38下②

*15もちろん井上などは rwarrantJ を「理由づけJとして定義し論じているが、本稿が引用した「理由づけJ

以上の論は展開していない。

*16 Toulmin(2003)p.91

*17 Toulmin et al.(1984)p.26, 47

*18この表現は Toulminet aI.(1984)pp.48・9でもなされている。

*19 Ryle(I949 :訳 1987)p.169o Toulmin (2003)の後書きには「ここで提示した議論は、 GilbertRyle教授に大いに

恩恵を受けたJとあり、「推論許可証」概念が Ryleに影響されたことについての言及も見られる (p.239)。

*20 Ryle (I949 :訳 1987)p.l68

(広島大学大学院博士課程前期 2年)

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Page 9: 国語科教育における トワルミン・モデルの受容につ …...国語科教育における トワルミン・モデルの受容についての批判的検討 幸坂健太郎,

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年代

1972

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1976

1977

1987

1988

1989

1990

1993 番号 1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

論者

(U l:t著著書書‘/論rI文は論支1・1出

典(著書については出版社名)

井上

尚美

「言語と論理鈴明『木国治治語図科書・井.に第上おH尚け章美る思・福考沢の周発亮達』編

井上

尚美

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井上

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Vol.3匁2,

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井上

尚美

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No.4

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井上

尚美

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No.432,

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明治図書

中村

敦雄

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教育出版センター

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年代

1995

1997

1998

1999

2000

2001

2002 番号 14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

26

27

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出典(著書については出版社名)

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正史

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pp.160・179

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, pp.l37-44

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, pp.96-9

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w教育科学国語教育.!I

No.637, 文献

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w月刊国語教育研究.!I

No.383, 文献

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No.25,

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2005

2006

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41

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46

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48

49

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典(箸書については出版社名)

光野

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W月刊国語教育研究~

No.398,

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『国語科教育~

No川

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2008

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NO.700,1

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:指導で高める

:pp.56

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53 I光

野公

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思考

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jw教育科学国語教育~

NO.702,1

(明記なし)

:pp.8・10

「根拠~基ヲUて、意克・

・を述べる力を育てる一・『月刊国語教育研究~

No.445,1福

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論理的な思考力・表現力i

古尚

56 I鶴田清司:の育成に向けてー根拠・理・『教円科十国語教円~

NO.703,1文

献4

・文献¥3・文献

43

:由・主張の三点セットー

J'~:pp.30-4

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表現

に用

いる

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(ただし唯一のものではなく手段

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Dwcl文章分析に用いるため。

※1

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Mという諾を明示していなくとも、主張ー根拠ーデータという語を用いているもの、

TMを参照したモデルを用いていると恩われるものは調査対象とした。

※2 文献に明示されていない項目については、文献に基づいて稿者が判断した。