防災と観光の共存に向けた 国・地域間の連携の在り方調査報告書 ·...
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平成16年度国土施策創発調査
防災と観光の共存に向けた
国・地域間の連携の在り方調査報告書
平成17年3月
内閣府政策統括官(防災担当)
総務省情報通信政策局地域通信振興課地方情報化推進室
防災と観光の共存に向けた国・地域間の連携の在り方調査
【 目 次 】
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
総括編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
S.K.Y.広域圏における広域的な防災対策に関する調査要約編・・・・・・・32
1.広域避難に関する調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
2.広域防災拠点整備に関する調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
3.防災知識の普及・啓発に関する調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
観光地における先進的な防災対策構築のための指針作成に関する調査要約編・・53
1.遊休観光施設等の防災利用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54
2.増加する外国人観光客にかかる安心・安全対策・・・・・・・・・・・・・59
3.発災を想定した広域対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68
広域的な情報通信システムに関する調査要約編・・・・・・・・・・・・・・・75
1.情報基盤の現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76
2.情報基盤整備のあり方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80
3.整備方策モデル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82
はじめに 火山や複雑な海岸線等は、多くの地域で重要な観光資源となっているが、一
方で火山の噴火による溶岩流到達・降灰、地震による津波等災害が発生する地
域ともなっており、これらを観光資源としている地域においては、観光振興と
防災対策とを共存させることが不可欠である。
また、これらの地域は、防災対策からは特に被災地域内の広域的連携が求め
られているにもかかわらず、一般的には都道府県境地帯にあるため、効果的な
連携がとりにくい状況にあり、発災時の域外からの応援の受け入れ、国の機関
との連携等に支障をきたすおそれがある。
このような課題について、特に強く問題意識を有する富士箱根伊豆国立公園
を中心とする「S.K.Y.広域圏」(静岡県、神奈川県、山梨県)は、年間1億
2千万人を越す観光客が訪れるわが国有数の国際観光地であるが、昨年東海地
震に関する被害想定、東海地震対策大綱が発表され、この6月には富士山ハザ
ードマップが発表されたところであり、富士山噴火や東海地震により広域的な
被害が生じる恐れがあるとともに、緊急に対策の検討を進めるべき地域となっ
ている。
本調査では、広域的な連携・交流に大きな蓄積を残してきており、防災対策
と観光振興との融合についての問題意識を強く持っているS.K.Y.広域圏を
モデル地域とし、当該圏域構成市町村からの課題の提示と連携しながら、
①S.K.Y.広域圏における広域的な防災対策(内閣府)
②観光地における先進的な防災対策構築のための指針作成(内閣府)
③広域的な情報通信システム(総務省)
に関する調査を行い、防災対策と観光振興とを融合する上での課題と広域的な
連携を構築する上での情報ネットワーク等に関する課題を抽出するとともに、
これを解決するための広域的整備方策として、防災と観光の共存に資する社会
資本整備(情報インフラ、交通インフラ、拠点整備等)推進に向けた国・地域
間の連携の在り方を検討し、全国における同種の地域における安全・安心の向
上に資することを目的としている。
総 括 編
S.K.Y.広域圏形成調査(平成 16 年度)の全体構図 -「防災と観光の共存に向けた国・地域間の連携の在り方調査」の総括-
1.S.K.Y.広域圏の現状と課題
2.S.K.Y.広域圏の骨格構造
4.S.K.Y.広域圏の重点方策
■自然資源(火山観光)を活かした新しい共生・共存関係の構築
全国随一の国際観光地域での危機管理
■富士山噴火、東海地震等による複合被害が甚大かつ広域にわたる災害への対応
富士山噴火時、最大の罹災地域
東海地震における地震防災対策
■情報機能の集約化とブロードバンドネットワークインフラの整備
広域で情報集約した総合情報システム未構築
県境を越えたブロードバンドネットワーク未整備
地域イントラネットが殆ど未整備 内外観光客対策と火山防災情報(ハザードマップ)の提供手段が不備
「
防災・情報」
と「観光」の共生・共存のための
広域連携モデル構築の早期実現
わが国のシンボル「
富士山」
との共生と
安全・安心・安定の地域社会システムの形成
■多様な共生・共存のための総合協定づくり 利益と不安の共有のための多様な主体の参加と連携 平常時における観光交流・まちづくりの相互活性化 非常時における防災・危機管理の相互支援 地域コミュニティの再生と居住・文化・産業の永続性
■広域交通インフラの整備と連携 陸路(国・県道、高速道路、鉄道、農道・林道) 海路(海) 空路(自衛隊基地、ヘリポート)
■広域防災・観光拠点の新設と連携 基幹的広域防災拠点(危機管理センター) 広域防災拠点を結ぶネットワーク化 地域防災拠点(道の駅、街の駅、海の駅)
■広域情報インフラの整備と連携 情報システム 通信・ネットワーク(回線多重化) 防災情報センター
S.K.Y.広域圏の骨格構造概念図 3.モデルケーススタディ
①東富士地域 S.K.Y.広域圏危機管理センター構想 「道の駅」情報ネットワークモデル構想
②富士五湖地域 環境と健康づくりに配慮した交通ネットワークシステム構想 遊休観光施設(保養所等)コンバージョン構想
③箱根山周辺地域 足柄千年古道ルネッサンス構想 映像・情報文化創造拠点構想 箱根山パーク&ライド構想
総合協定のモデル化と
三県重層的総合協定区域の設定
④相模湾・酒匂川流域地域 酒匂川流域砂防・環境一体監理情報センター構想 相模湾沿岸セーフティ・コリドール構想
⑤伊豆半島北東部地域 「海の駅」交流ネットワークモデル構想 海上交通ネットワークモデル構想
①三県広域防災拠点・避難路等の体系化による防災インフラの整備
広域防災拠点、広域避難路・輸送路の計画的整備とネットワーク化 地域防災拠点としての「道の駅」「街の駅」「海の駅」の位置付けと整備 農道・林道も含む避難路の体系化 等
②危機管理センターと広域防災公園の整備 合同現地災害対策本部の設置 組織・地域を越えた防災情報センターの整備 県境を越えた災害救援活動拠点としての広域防災公園の整備 防災意識啓発施設の整備 等
④広域防災情報通信インフラ整備に向けた実証実験 情報収集による被災者・危険地域の把握 現状及び被害予測を基にした避難経路の導出 既存・臨時通信インフラによる防災員への避難経路の伝達確認 地域イントラネット等を経由した自治体への情報発信 等
■構造改革特区や地域再生計画等による事業展開 規制緩和、権限移譲、アウトソーシング、各種施策の連携 各省の既存施策の活用・集中 各種交付金制度の導入、民間事業への支援 等
―「道の駅」「街の駅」「海の駅」 地域防災拠点ネットワーク構造の構築―
■総合協定の合意及び個別協定のネットワーク化 <平常時> 情報交換、人的交流の促進 防災員の養成、防災教育・訓練の実施の促進 観光等の広域的な地域づくり共同・協働事業の実施の促進 風評被害対策 バンクシステム(ファンド等)の導入 等 <非常時> 被災者の収容施設及び住宅の提供 資機材及び物資の提供 災害対策本部設置に対する施設の提供 被災者に対する避難誘導、防災員等の派遣 災害ボランティアの斡旋と活動拠点の提供 等
■国と地域の役割分担
財団法人 都市経済研究所 作成
③相模・伊豆沿岸コリドール・インフラネットワークの整備 「海の駅」:港湾・漁港の他、ヨットハーバー、マリンセンター、船溜まり等の整備
海上防災通信ネットワークの整備 等
情報提供端末
情報提供端末
情報提供端末
危機管理センター (基幹的広域防災拠点) -御殿場市周辺-
広域防災拠点 -富士吉田市周辺-
地域防災拠点 (道の駅)
地域防災拠点 (道の駅)
地域防災拠点 (道の駅)
地域防災拠点 (街の駅)
地域防災拠点 (街の駅)
地域防災拠点 (街の駅)
地域防災拠点 (海の駅)
地域防災拠点 (海の駅)
地域防災拠点 (海の駅)
富士 箱根
伊豆
道の駅ネットワーク 街の駅ネットワーク(地域イントラネット)
海の駅ネットワーク
広域防災拠点 -小田原市周辺-
避難経路伝達
防災員 (情報提供端末)
災害情報伝達
住民 観光客
避難経路
避難誘導
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成果の取りまとめにあたり、
①S.K.Y.広域圏における広域的な防災対策(内閣府)
②観光地における先進的な防災対策構築のための指針作成(内閣府)
③広域的な情報通信システム(総務省)
の各調査の総括(全体構図)として、「1.S.K.Y.広域圏の現状と課題」に
もとづき、「2.S.K.Y.広域圏の骨格構造」および「3.モデルケーススタデ
ィ」を通じた、「4.S.K.Y.広域圏の重点方策」の抽出を行った。
内容としては、「モデルケーススタディ」である、
(1)東富士地域(テーマ:S.K.Y.広域圏の中核軸・拠点)
(2)富士五湖地域(テーマ:交通手段の多様化)
(3)箱根山周辺地域(テーマ:リダンダンシーとパーク&ライド)
(4)相模湾・酒匂川流域地域(テーマ:セーフティ拠点・コリドー)
(5)伊豆半島北東部地域(テーマ:伊豆半島の結節・ゲート拠点)
とともに、「S.K.Y.広域圏の重点方策」として、
○総合協定の合意及び個別協定のネットワーク化
および
①三県広域防災拠点・避難路等の体系化による防災インフラの整備
②危機管理センターと広域防災公園の整備
③相模・伊豆沿岸コリドール・インフラネットワークの整備
④広域防災情報通信インフラ整備に向けた実証実験
の概要について整理を行った。
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□モデルケーススタディ
(1)東富士地域(テーマ:S.K.Y.広域圏の中核軸・拠点)
東富士地域は、国道138号及びその沿道地域を中心に「S.K.Y.広域圏の中
核軸・拠点」としての以下の地域性を有する。
①多くの観光地(客)が集積している沿道地域であること
②静岡、神奈川、山梨の3県を結ぶ代表的な基幹道路であること
③S.K.Y.広域圏の最重要課題である南北連携の強化に資する幹線道路であ
り、東西連携の重要な幹線道路と結節していること
④中央自動車道と東名高速を結ぶ国土軸上の重要な沿道地域であること
⑤防災と観光に関する交流・連携の基盤となる交通系の重要課題(噴火・地震
の被災想定エリア、交通渋滞等)を抱えていること
⑥自衛隊演習場(東富士・北富士)等が近接していること
⑦国道138号沿道を軸として、山・海(沿岸)・平野等の自然的区分に応じた多
様な防災対策・観光振興策モデルの推進が期待できること
⑧地元の取組み意欲が高く、広域的な組織体制と計画・事業の熟度が高い沿道
地域であること
そこで、以下これら地域特性の整理とともに、‘S.K.Y.広域圏危機管理センタ
ー構想’および‘「道の駅」情報ネットワークモデル構想’の2つのモデルをケ
ーススタディとして提案を行った。
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(2)富士五湖地域(テーマ:交通手段の多様化)
富士五湖地域は、霊峰・富士山の北麓に位置し、富士五湖など豊富な自然資
源に恵まれた国際観光地として、以下の地域性を有する。
①富士山や富士五湖、青木ヶ原樹海等に代表される豊富な自然や観光施設など
の地域資源に恵まれている国際観光地域であること
②中央自動車道、東富士五湖道路、国道 137・138・139号等の広域幹線道路の
交差する交通結節点であること
③S.K.Y.広域圏の最重要課題である南北連携の強化に資する幹線道路を有
する地域であること
④静岡県・神奈川県と山梨県の中央部(甲府市等)を結ぶ国土軸上の重要な地
域であること
⑤防災と観光に関する交流・連携の基盤となる交通体系の重要課題(富士山噴
火の被災想定エリア、交通渋滞等)を抱えていること
⑥日本に類を見ない高地としての環境と各種グラウンド・体育館・アリーナ等
のスポーツ基盤施設が整っていること
⑦国際観光地であり、富士山噴火等の災害も想定されていることによる多様な
防災対策・観光振興策モデルの推進が期待できること
⑧地元の取組み意欲が高く、官・民それぞれの組織体制の確立と計画・事業の
熟度が高い観光地域であること
そこで、以下これら地域特性の整理とともに、‘環境と健康づくりに配慮した「交
通ネットワークシステム構想」’、‘一流スポーツ選手強化合宿メッカとしての
「ナショナル・高地トレーニングセンター構想」’および‘遊休観光施設(保養
所等)コンバージョン構想’の3つのモデルをケーススタディとして提案を行
った。
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(3)箱根山周辺地域 (テーマ:リダンダンシーとパーク&ライド)
箱根山周辺地域は、S.K.Y.広域圏を代表する箱根を中心とする地域で、次
のような特性を有している。
①多くの観光地が集積し、かつ、自然環境に恵まれていること
②東名高速、国道1号、138号、246号など広域的な幹線道路を有する交通結節
点であること
③静岡、神奈川の県際地域であること、急峻な地形、国立公園等の指定等によ
り広域的なアクセス道路が限られていること
④防災と観光に関する交流・連携の基盤となる交通系の重要課題(噴火・地震
の被災想定エリア、交通渋滞等)を抱えていること
⑤箱根エリアは日本有数の国際観光地であり、周辺地域との多様な防災対策・
観光振興策モデルの推進が期待できること
⑥また、箱根エリア・丹沢エリアは急峻な山岳地形を呈しており、トレッキン
グ・ハイキングのメッカとなっていること
⑦足柄平野における映像関連企業が集積しており、新たな映像関連拠点の形成
に係る動向が見るれられること
⑧地元の取組み意欲が高く、広域的な組織体制と計画・事業の熟度が高い沿道
地域であること
そこで、以下これら地域特性の整理とともに、広域的な観光連携、国道 138
号・246号のリダンダンシーの確保(箱根に集中する観光客の災害時の避難経路
の確保)等に鑑み、‘千年古道(足柄古道)ルネッサンス構想’‘映像・情報文
化創造拠点構想’および‘箱根外輪パーク・アンド・ライド拠点構想’の3つ
のモデルをケーススタディとして提案を行った。
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(4)相模湾・酒匂川流域地域 (テーマ:セーフティ拠点・コリドー)
相模湾・酒匂川流域地域は、神奈川県西地域に位置し、酒匂川を軸に足柄平
野を中心とした豊富な自然資源を有する田園地域と豊富な観光資源と急峻な山
間地に囲まれた箱根を主とした国際観光地域を中心に「S.K.Y.広域圏の国際
観光拠点」として、以下の地域性を有する。
①箱根や湯河原等を主として、豊富な観光資源や温泉資源を有し、国内外の多
くの観光客が集う国際観光地域であること
②箱根外輪山や丹沢等の山間地に囲まれた地形上の制約によりインフラ基盤整
備が停滞している地域であること
③東名高速自動車道や国道 246号等の東西軸、西湘バイパスや国道 135号等の
南北軸等、首都圏へ続く国土軸上の重要な地域であること
④S.K.Y.広域圏の最重要課題である相模湾沿岸沿いにおける南北連携の強
化に資する幹線道路強化が求められた地域であること
⑤防災と観光に関する交流・連携の基盤となる交通体系の重要課題(噴火・地
震の被災想定エリア、交通渋滞等)を抱えていること
⑥IT社会の進展している状況下、情報通信基盤の遅れた地域であること
⑦国際観光地であり、地震や噴火等の災害も想定されていることによる多様な
防災対策・観光振興策モデルの推進が期待できること
⑧各種基盤整備に向けた協議会の設置等地元の取組みが活発であり、観光・防
災両面から計画・事業の重要性が高い観光地域であること
そこで、以下これら地域特性の整理とともに、‘防災・観光に対応した「セーフ
ティコリドー・交通ネットワーク構想」’および‘緊急災害時に対応した「酒匂
川・鮎沢川流域砂防・環境情報一体監理センター事業構想」’の2つのモデルを
ケーススタディとして提案を行った。
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(5)伊豆半島北東部地域 (テーマ:伊豆半島の結節・ゲート拠点)
伊豆半島北東部地域は、半島という地理的特徴において「伊豆半島の結節・
ゲート拠点」としての以下の地域性を有する。
①温泉資源を中心とした歴史的観光集積地域であること
②神奈川(県西部)と静岡(伊豆半島)を結ぶ基幹区間であるが、交通需要に
対してインフラが脆弱であること
③S.K.Y.広域圏における海洋結節点として重要なエリアであり、観光・防災
の海洋アクセスの多様な可能性を有している
④国土政策上半島地域としての地理的不利性の対策が必要であること
⑤近年、近海での海底火山の噴火や、地震の際の地盤対策、津波対策等課題を
有していること。
⑥下田市を起点に高速艇の多様なネットワークの模索が図られていること
⑦鉄道・道路・船舶等多様なインフラに応じた多様な防災対策・観光振興の拠
点・結節ネットワークづくりが期待できること
⑧熱函道路(伊豆湘南道路)などインフラ整備に向けた地元の連携した取り組
みが見られる地域であること
そこで、以下これら地域特性の整理とともに、‘「海上交通」「海の駅」交流ネ
ットワークモデル構想’のケーススタディとして提案を行った。
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□S.K.Y.広域圏の重点方策
○総合協定の合意及び個別協定のネットワーク化
S.K.Y.広域圏
「総合協定」の仕組みづくり(提案)
①利益と不安の共有のための多様な主体の参加(権)と連携(義務)
②平常時における観光・交流・まちづくりの相互活性化
③非常時における防災・危機管理の相互支援
④地域コミュニティの再生と居住・文化・産業の永続性
総合協定の目的
-自助と自立の精神-
地域間・主体間の多様な共存・共生関係の構築の重要性
総合協定の背景
<平常時> ①情報交換の促進 ②人的交流の促進 ③防災教育・訓練の実施の促進(防災員の養成など) ④共同・協働事業(ソフト、ハード)実施の促進 ⑤風評被害対策 ⑥バンクシステム(ファンド等)の導入 等 <非常時> ⑦被災者の収容施設及び(仮設)住宅の提供 ⑧被災者に対する避難誘導 ⑨資機材及び物資の提供 ⑩災害対策本部設置に対する施設の提供 ⑪人材(行政・企業・NPO法人等)や防災士(認定防災員)の派遣
⑫災害ボランティアの斡旋と活動拠点の提供 等
総合協定の項目例
①地域住民・団体
②NPO法人
③観光業者・団体
④民間企業
⑤大学・研究機関
⑥地方自治体 等
総合協定の主体
①地域間の協定
②主体間の協定
総合協定の形態
多様な共存・共生のための総合協定
総合協定の合意及び個別協定のネットワーク化
①広域拠点の整備
②広域交通インフラの整備
③広域情報インフラ・システムの整備
④広域圏再生ファンドの組成
⑤規制緩和措置 等
総合協定を支える 社会資本整備に対する国の支援
総合協定の枠組
地方分権の時代
知恵と工夫の競争の時代
構造改革特区や地域再生計画等による事業展開
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①.三県広域防災拠点・避難路等の体系化による防災インフラの整備
S.K.Y.広域圏の骨格構造概念図
―「道の駅」「街の駅」「海の駅」 地域防災拠点ネットワーク構造の構築―
情報提供端末
情報提供端末
情報提供端末
危機管理センター (基幹的広域防災拠点) -御殿場市周辺-
広域防災拠点 -富士吉田市周辺-
地域防災拠点 (道の駅)
地域防災拠点 (道の駅)
地域防災拠点 (道の駅)
地域防災拠点 (街の駅)
地域防災拠点 (街の駅)
地域防災拠点 (街の駅)
地域防災拠点 (海の駅)
地域防災拠点 (海の駅)
地域防災拠点 (海の駅)
富士 箱根
伊豆
道の駅ネットワーク 街の駅ネットワーク(地域イントラネット)
海の駅ネットワーク
広域防災拠点 -小田原市周辺-
避難経路伝達
防災員 (情報提供端末)
災害情報伝達
住民 観光客
避難経路
避難誘導
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②.危機管理センターと広域防災公園の整備
S.K.Y.広域圏(S:静岡県、K:神奈川県、Y:山梨県)は、
◆全国随一の観光地域であり、災害時において観光客等の非居住者を的確に広域避難させ
る必要がある。
◆土砂災害等による孤立化をおこしやすい中山間地であり、被災者の一時避難場所の確保
とそこからの空路等による後方輸送を実現する必要がある。
◆富士山噴火や東海地震の際に被害が甚大かつ広範囲に及ぶ地域であり、国および広域圏
防災協定にもとづく各市町村が一ヶ所に参集し、統一した避難誘導方策を決定する必要
がある。
そこで、被災地全体に関わる広域的な災害対策活動の中枢である
危機管理センター
と、被災者の一時避難、広域支援部隊の集結・ベースキャンプ、人員・物資の広域搬送等
を行うための場所を
広域防災公園
として整備し、被災者の円滑な広域避難と、迅速かつ効果的な災害対策活動のために活
用する。
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<危機管理センターについて> 危機管理センターは、広域連携防災の基幹拠点として、情報収集、情報分析、意思決定、
指揮命令、情報配信等を行うための設備を備えている。その他、センター内に防災訓練施
設を有しており、平常時の認定防災員を対象とした災害対応訓練も行う。
※その他、地下に電力室を備えており、停電対策として無停電電源設備、非常用発電設備
も設置している。
① 災害対策本部室
② 災害対策室
④ AV操作室
③ 報道機関室
⑥ 情報処理機械室
⑤ 情報システム室
フロア面積 1000㎡
フロア面積 1500㎡
フロア面積 600㎡
フロア面積 600㎡
・S.K.Y.広域圏防災協議会メ
ンバー・自衛隊東部方面総監
・災害発生時において、災害対策本部会議を開催する。 ・現地被災状況に対して、避難方針や救援方針について意
思決定を行い、災害対策室に指示する。 ・国の防災担当者
・市町村の防災担当者
・自衛隊連絡担当者 ・災害発生時において、広域/地域拠点などに配置された
認定防災員や関係機関との連絡、調整を行い現地被災情
報を収集する。 ・収集した災害情報の分析を行う。 ・災害対策本部室の指示に基づき、認定防災員や関係機関
へ具体的対処方法を伝達する。
・危機管理センターの職員
・災害対策本部室および災害対策室の各種AV設備(大型ス
クリーン、表示盤、スピーカ、マイクなど)の制御を行う。
・報道機関関係者(新聞社、テレ
ビ局) ・災害発生時における記者発表を行う。
・情報システムや通信システムの端末等を設置し、制御、監
視を行う。
・情報システムや通信システムのサーバー等を設置する。
① 災害対策本部室
② 災害対策室
④ AV操作室
③ 報道機関室
⑤ 情報システム室
⑥ 情報処理機械室
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③.相模・伊豆沿岸コリドール・インフラネットワークの整備
首都圏3千万人 相模・伊豆の地域構造とネットワーク模式図
修善寺 伊 東
熱 海 三島 函南
稲 取
沼 津
土 肥
松 崎 河 津
下 田 南伊豆
西伊豆
東伊豆
中伊豆
海の駅航路 海の駅航路
至久里浜港等 至清水港等
真 鶴 小田原
海上防災通信ネットワークの整備
条件不利地域
豊かな観光資源(海・山・温泉・気候)
東海地震・伊豆東部火山
道の駅
海の駅
街の駅
海の駅を中軸とした道の駅・街の駅
の防災と観光ネットワーク化
伊豆半島は、半島振興法に基づく中山間地域として、地
形上も交通上も極めて厳しい条件下にある。 従って、交通条件の改善は、伊豆半島の振興にとって最
重要課題となっている。交通条件を改善するに当たって
は、半島の基幹的な拠点構成(海の駅・道の駅・街の駅)
を明確化した上で、相模湾とのネットワーク化を図ること
が重要である。
相模・伊豆沿岸コリドール
相模
相模・伊豆沿岸コリドール
海の駅:港湾・漁港の他、ヨットハーバー、マリンセンター、船溜まり等
※上記は、モデル的に検討したものであって、計画として担保されたものではない。
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※上記は、モデル的に検討したものであって、計画として担保されたものではない。
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参考資料:検討委員会 平成16年度「防災と観光の共存に向けた国・地域間の連携の在り方調査検討委員会」委員
氏 名 役職名
特別顧問 荒牧 重雄 東京大学 名誉教授
委員長 三本木健治 明海大学 教授
委員 石 山 醇 社団法人日本旅行業協会 事務局長兼理事
〃 田畑日出男 国土環境㈱ 代表取締役会長
〃 中村 直司 株式会社NTTデータ 代表取締役副社長
〃 花森 憲一 静岡県企画部長
〃 田中 克己 神奈川県広域行政担当部長
〃 長谷川友宏 山梨県企画部長
〃 川口 市雄 静岡県熱海市長
〃 小池 政臣 静岡県三島市長
〃 鈴木 尚 静岡県富士市長
〃 長田 開蔵 静岡県御殿場市長
〃 長田 央 静岡県小山町長
〃 小澤 良明 神奈川県小田原市長
〃 沢 長生 神奈川県南足柄市長
〃 佐藤精一郎 神奈川県山北町長
〃 露木 順一 神奈川県開成町長
〃 山口 昇士 神奈川県箱根町長
〃 萱沼 俊夫 山梨県富士吉田市長
〃 小佐野常夫 山梨県富士河口湖町長
〃 高村 朝次
高村 忠久
山梨県山中湖村長(~H16.12.26)
山梨県山中湖村長(H16.12.27~)
〃 山本 徳治 内閣府防災担当政策統括官付参事官
〃 谷 史郎 総務省情報通信政策局地域通信振興課地方情報化推進室長
〃 若林 陽介 国土交通省総合政策局観光地域振興課長
〃 福本 俊明 国土交通省都市・地域整備局大都市圏整備課長
〃 小橋 雅明 国土交通省国土計画局大都市圏計画課長
〃 宮田 年耕 国土交通省道路局企画課長
〃 木村 治和 農林水産省農村振興局地域振興課グリーンツーリズム推進室長
調査実施機関(委員会事務局):財団法人 都市経済研究所 敬称略・順不同
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検討委員会における審議経過と総括
■「第1回検討委員会」 <審議事項>
調査の目的と概要について
重点整備地域とモデルケーススタディの実施について
<審議結果>
防災と観光の共存に資する社会資本整備の推進を図るための、
①陸・海・空の交通ネットワーク整備
②広域防災・観光拠点整備
③情報通信基盤整備
④防災と観光の一体的広域連携体制づくり
を中心とする具体的な検討
地域の主体性、地域からの発意・発案を重視した地域づくりを展開するた
めのモデルケーススタディの実施
新たな国土計画におけるS.K.Y.広域圏の位置付けとその基本方向を視野
に入れた検討
■「第2回検討委員会」 <審議事項>
S.K.Y.広域圏・広域連携防災インフラの骨格構造モデル(案)について
モデルケーススタディ(案)について
地域公共ネットワークの現状と今後の展開について(補足)
<審議結果>
広域連携防災インフラの骨格構造モデルに対する、
①合意インフラとしての基本協定づくり
②ゼロリスク心理への対応策
③リダンダンシー(防災インフラ)の確保
④現地災害対策本部機能を有する基幹的広域防災拠点の設置
⑤地域防災拠点(観光客の一次避難場所)としての「道の駅」
⑥情報の共有化、収集・伝達手段の確立
⑦外国人観光客への情報対策
などの重要性
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■「第3回検討委員会(最終総括)」 <審議事項>
モデルケーススタディ(案)について
S.K.Y.広域圏形成調査(平成 16年度)の全体構図(案)について~本調
査の総括~
<審議結果/委員会総括>
合意インフラとしての総合協定の締結及び個別協定のネットワーク化
「防災」と「観光」の共生・共存のための広域的連携・整備に関わる国と地
域の役割分担の明確化
構造改革特区や地域再生計画等による協定区域の事業展開
「防災」と「観光」の共生・共存のための四大重点方策の採択・決議
①三県広域防災拠点・避難路等の体系化(「道の駅」「街の駅」「海の駅」地
域防災拠点ネットワーク構造)による防災インフラの整備
②危機管理センターと広域防災公園の整備
③相模・伊豆沿岸コリドールインフラネットワークの整備
④広域防災情報通信インフラ整備に向けた実証実験
上記四大重点方策をはじめとする広域公共整備を推進するための「調査・
企画機能」を有するS.K.Y.広域圏の常設機関の創設、及び国とS.K.Y.
広域圏との協議機関の設置