電子材料学特論 - 北海道大学hara/lectures_2009/...definition of group...
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平成22年1月19日 第14回
(原担当分 第7回)
電子材料学特論
Advanced Electronic Materials
5. 固体の結晶構造と結晶物理
Crystal Structure and Crystal Physics
2009年度版講義資料PDFファイルのURLhttp://hydrogen.rciqe.hokudai.ac.jp/~hara/lectures_2009.htm
5.3 Group Theory
Crystallographic Point Groups
Definition of Group郡の(数学的)定義:
「集合Gの元R1, R2, …, Rgのどの2個の元Ri, Rjにつ
いても積RiRjが定義されており、次の4つの公理が
満たされている時、集合Gを郡という」
1. クロージャ(Closure): Gは積に関して閉じている、すなわち、任意の
2個の元Ri, Rjの積RiRjもGに属する
2. 単位要素(Identity): 単位元Eが存在する、すなわち、Gの中には他の全
ての元Riと交換し、かつ、それら全ての元を不変に保つ単位元Eが存
在する (ERi = RiE = Ri)
3. 結合則(Associative Law): 結合律 (RiRj)Rk = Ri(RjRk) が成立する
4. 逆要素(Inverse Element): 逆元Xが存在する、すなわち、任意の元Riに対して、RiX = XRi = Eを満たす逆元XがGの中に存在する
結晶構造結晶構造 = = 空間格子空間格子 ((LatticeLattice)) + + 単位構造単位構造
格子点 (Lattice Point)は周囲の環境が同一である点であるので、
並進対称操作により無限に再現される。
対称操作対称操作 (Symmetry Operation)(Symmetry Operation) : 格子点を不変にする操作
(1) 並進(対称)操作, (2) 回転操作, (3) 反転操作, (4) 鏡映操作, (5) 恒等操作
以上5つの対称操作は、群(集合)を構成する要素(元)であり、
対称要素 (Symmetry Element) とも呼ばれる。
Symmetry Operations for Crystals
(1) 並進(対称)操作 (Translation) :
321 aaaT 321ˆ uuu ++=
u1, u2, u3: 整数、a1, a2, a3: 基本単位格子を表わすベクトル
(2) 回転操作 (Rotation) :
nn π2360 =o (ただし「結晶」では、n = 1, 2, 3, 4, 6)
Symmetry Operations for Crystals
(3) 反転操作 (Inversion) :
(5) 恒等操作 (Identity) : 何もしない操作
(4) 鏡映操作 (Reflection) :
だけ回転した後、全く同一の格子に重なる時、その回転軸を「n回回転軸」と呼ぶ。
反転中心 (Inversion Center) に関する座標変換操作(x, y, z) → (-x, -y, -z)
鏡映面 (Mirror Plane) に対して、ある点Aを点A'に映し出す操作
Diad Triad Tetrad Hexad
nn π2360 =o (n = 1, 2, 3, 4, 6)
Rotation Operation
n回回転軸を英語ではそれぞれ、Monad, Diad, Triad, Tetrad, Hexadと呼び、2回回転軸以上は次の記号で表記される:
結晶の対称性を記述する空間群は並進対称操作と点群操作を共に含むため、並進対称操作と回転対称操作は互いに両立しなければならず、「結晶の対称性」を分類する「空間群」の回転操作は、n = 1, 2, 3, 4, 6の5つの回転軸に限定される。
なぜ、以上の5つに限定されるのか?他の回転軸はないのか?
結晶の対称性における回転操作
Rotation Operation
整数Nは、-2, -1, 0, 1, 2の5通りであることが分かる。
( )nπ2cos の取り得る範囲は-1 ~ 1であるから、これを満たす
(証明) n回回転軸に垂直な大きさaの格子
並進ベクトルを とすると、それに回転操作を行った も格子並進ベクトルである。
POPO ′′′,OP
( ) Nanaa ==∴ πα 2cos2cos2
αP′
P
P ′′
O
αa
aa
また並進対称性が満たされているので、ベクトル は、ベクトルの和で表わされ、Nを整数として次式が成り立つ。POPO ′′′,
OP
αcos2OPPOPO =′′+′
( ) ( ) ( )3cos,2cos,32cos,cos,2cos πππππこの時
すなわち、n = 1, 2, 3, 4, 6 のn回回転軸のみが満たす。
※ もちろん並進対称操作を満たさない5回、7回回転軸等も存在する。例えば、5回回転対称性を示す正20面体Al-Mn合金やフラーレンC60等が発見された。このように5回、8回、10回、12回等の回転対称性を示す物質を準結晶準結晶と呼ぶ。
Space Groups1414のブラベー格子 (7つの結晶系)
3232の点群 (Point Group)(並進対称性による分類)
(回転・反転・鏡映対称性による分類)これを組み合わせて、存在する全部で230230の空間群(Space Group)で結晶の対称性を系統的に分類する。
Schönfliesの表示法
国際表示法 (Hermann-Mauguinの表示法)
他 + 添字OTVSDC nnn ,,,,, sidvh ,,,,
回転軸, 回反軸, 鏡映面
6,4,3,2,11, 2, 3, 4, 6 m
Point Groupsある1点の回りに作用する対称操作で、これらの操作に対して不変に保たれる対称性を点対称性点対称性 ((Point Point Symmetry)Symmetry)と呼ぶ。そのような対称操作は点対称操作と呼ばれ、次の4つが存在する。
(1) 回転操作 (Rotation Operation) (2) 鏡映操作 (Mirror Operation) (3) 反転操作 (Inversion Operation) (4) 回反操作 (Roto-inversion Operation)
これによる閉じた対称操作の集合を点群点群(Point Group)(Point Group)と呼ぶ。
北半球上の一般点3回回転軸
参照球 南半球
点群の図示法 :参照球とステレオ投影図
Reference Sphere and Stereographic Projection
参照球とステレオ投影図
北半球上の一般点3回回転軸
参照球 南半球
極点極点極点極点
極点極点((PolePole)) : : 対称性を反映する点対称性を反映する点点対称操作によって不変な点対称操作によって不変な
点を球の中心に置く点を球の中心に置く
Point Groups(1) 回転操作 (Rotation) :
国際表示法(Schönfliesの表示法)nn π2360 =o (n = 1, 2, 3, 4, 6)
北半球上の一般点 :
1 (C1) 2 (C2) 3 (C3) 4 (C4)
2 (C2)
南半球上
の一般点 :
6 (C6)
Point Groups(2) 鏡映操作 (Mirror) :
国際表示法(Schönfliesの表示法)
(3) 反転操作 (Inversion) :
m (σv)
i (S2)
m (σh)
太線 : 鏡映面 (Mirror Plane)
参照球の中心を通過する面を鏡と考え、反対側に映し出す対称操作
中心の1点に関して、極点の座標を
反転させる対称操作
白丸 : 反転中心(Inversion Center)
直線 : 面に垂直な鏡映面外周円 : 面内の水平な鏡映面
南半球上の一般点
北半球上の一般点
Point Groups(4) 回反操作 (Roto-inversion) :
12
2S
hσ
国際表記 Schönflies表記 回反軸の記号
+
6S3 +
4S4 +
3Chσ6 +
回転操作のすぐ後に反転操作を行う対称操作 2
北半球と南半球上の一般点の重なり
32 Point Groups32点群の国際表記
XX回回転軸の主軸: 対称要素として主軸しか存在しない場合は、
これで全てだがさらに対称要素が存在する
場合、次のように列記する。XX回回反軸:
mm4X回回転軸の主軸
に直交する鏡映面: mX / m/6 )/6( mmmm/2 m/2Full Symbol (Short Symbol)
32 Point Groups32点群の国際表記
222 ちなみにSchönflies表記
では(後述) 2D例えば・・・直方晶系の点群
次に2yという2回回
転操作を行うと南
半球上に2つの一般
点が生成
北半球上の一般点aに対してまずは、2zという2回回転操作
を行うとbが生成
結果的にこれら4つの一般点
を関係付ける2xという2回回
転軸も自動的に生成
2z 2y
a
b
2x
32 Point Groups
nCnn回回転操作回回転操作: :
knC
n回回転軸の周りに だけ
回転する操作を と表わす。
対称操作のSchönflies表記
nkπ2
34
12
24
14 ),(, CCCC =
例えば主軸の周りに90o, 180o, 270o
回転する4回回転操作は次の通り:
hσ鏡映操作鏡映操作: : 主軸に直交する鏡映面:
vσ主軸を含む鏡映面:
dσ
主軸を含み、主軸と
直交する2回回転軸の
間にできる鏡映面:
32 Point Groups
nS対称操作のSchönflies表記
回映操作回映操作: :
nSn ≠反転操作反転操作: :
nhhnn CCS σσ ==
E
nS
右手系・左手系変換を伴う鏡映操作
や反転操作を Improper回転という。
国際表記では により、n回回転
+反転操作を表わすが、 Schönflies表記では により、n回回転+鏡映
操作を表わし、回映操作と呼ぶ。
n
となるが、一般に である。
222 CCSI hh σσ ===恒等操作恒等操作: :
,13
13
13 ECCC = EII =例えば
32 Point Groups32点群のSchönflies表記
回転操作のみからなる群回転操作のみからなる群: :
nC 回転操作を連続して行い、自身に戻るまでの各操作からなる点群で、対称要素の数はn個
nD n回回転軸を主軸とし、それに直交するn個の2回回転軸が存在する
点群で、対称要素の数は2n個
T 4つの3回回転軸と3つの2回回転軸からなる対称操作からなる点群
((正四面体を不変に保つ回転操作正四面体を不変に保つ回転操作))
O 4つの3回回転軸と3つの4回回転軸及び、6つの2回回転軸からなる
対称操作からなる点群 ((立方体と正八面体を不変に保つ回転操作立方体と正八面体を不変に保つ回転操作) )
鏡映操作を伴う群鏡映操作を伴う群: :
nS n回回映軸からなる点群
nhC 主軸であるn回回転軸と直交する鏡映面からなる点群
32 Point Groups32点群のSchönflies表記
鏡映操作を伴う群鏡映操作を伴う群: :
dThT 点群Tに反転操作を加えた点群
立方晶系に属し、かつ鏡映操作を伴う群立方晶系に属し、かつ鏡映操作を伴う群: :
点群Tに存在する2回回転軸の間にσdを導入すること
で得られる点群 ((正四面体の完全な対称性を記述正四面体の完全な対称性を記述))
hO
nvC
nhD
上記Dnに存在する主軸に直交するn本の2回回転軸の
中間に、鏡映面σd加えた点群ndD
主軸であるn回回転軸とそれを含む鏡映面σvからなる点群
上記Dnにさらに主軸に直交する鏡映面σhを加えた点群
vC3
σv
σv
σv
点群Oに反転操作を加えた点群
((立方体と正八面体の完全な対称性を記述立方体と正八面体の完全な対称性を記述))
32 Point Groups and Stereographic Projection
5.4 Symmetry of the System
Tensor Properties of Matter
Property of Materials
ある材料の「物性」とは?
応答 (Response) = 物性物性 ((PropertyProperty)) ×作用 (Action)
例えば熱膨張率熱膨張率を求めるには、材料を加熱(作用)し、
温度変化に対する長さの変化量(応答)を測定する。
こうした「物性」を数学的・物理的に記述する方法は?
ある「作用」と「応答」を測定して1つの「座標系」
で表わし、それらを関係付ける「物性」を「成分」
として記述する。
テンソルテンソル (Tensor)(Tensor)により物性を記述し、通常、
座標系として直交座標系を扱う。
材料のマクロな物性は、結晶全体の対称性に従う。
Definition of Tensors テンソルテンソル (Tensor)(Tensor)の定義
xyz軸の3つの方向で定義される直交座標系で、例えば、
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛=
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛
′′′
3
2
1
333231
232221
131211
3
2
1
ppp
aaaaaaaaa
ppp
3個の成分で表わされる作用 と応答 は、9個すなわち、
32個の成分 で関係付けられることになる。ip′jp
ija
このとき例えば32個の成分で記述される量 を2階の
テンソル (Tensor of 2-rd Rank)と呼ぶ。一般に、成分
の数が3n個である などの量を、n階のテン
ソル (Tensor of n-th Rank)と呼ぶ。
ija
jiji pap ,,′
Examples of Tensors
テンソルの種類
(1)(1) フィールドテンソルフィールドテンソル (Field Tensor): (Field Tensor): 作用 のように物質固有のものではなく、外場として
与えられ、外から制御可能なテンソル量
(2) (2) 物性テンソル物性テンソル (Matter Tensor): (Matter Tensor): 物質固有の量であり、外から制御不可能な のような
テンソル量ija
jp
テンソルの例
(1)(1) 00階テンソル階テンソルスカラー量:例えば、温度、密度、ポテンシャルなど
Examples of Tensors テンソルの例
(2)(2) 11階テンソル階テンソル
3つの成分で記述されるベクトル量:
例えば、スカラー量を座標で微分した温度勾配や電場などの量、熱の流れや電流など物質の移動を示す量、分極や磁化など静的な変化を示す量:
0階フィールドテンソルを作用させた結果、1階フィールドテンソルが観測される時、物性は1階テンソルとし
て表わされる。例えば温度変化に対して、物質に分極を生じる焦電性(Pyroelectricity):
TpP ii ∆=∆
11階フィールドテンソル階フィールドテンソル
11階物性テンソル階物性テンソル
iiiii
MPJExT ,,,,
∂∂
Examples of Tensors テンソルの例
(3)(3) 22階テンソル階テンソル
x1x2
x3x2
x1
・応力 (単位面積当たりに働く力)22階フィールドテンソル階フィールドテンソル
2211,σσ方向の応力が 面に働いている時、 と表わす。i± ijσj±
等は引っ張り応力 2211, σσ −− 等は圧縮応力
3221,σσ 等はせん断応力
Examples of Tensors
Δx
Δx Δu
1次元における歪 e
2次元における歪をx1成分とx2成分に分解
・歪 (元の長さに対する変化量の比の極限)22階フィールドテンソル階フィールドテンソル
xue
x ∆∆
=→∆
lim0
j
i
xij x
ue∆∆
=→∆
lim0
122
1
0limtan e
xu
x=
∆∆
=≈→∆
θθ∆xで作られる正方形が変形し平行四辺形に歪む時、∆xの無限小極限での変形の角度変化
Examples of Tensors
・帯電率 (Electric Susceptibility)22階物性テンソル階物性テンソル
jiji EP χ=
誘電体を1階のフィールドテンソルである電場Ej中に置くと、誘電分極Piを生じる。このとき、それを関係付ける物性を帯電率あるいは電気感受率と呼ぶ:
jiji EJ・電気伝導率 (Electrical Conductivity)
σ=
・熱膨張率 (Thermal Expansion Coefficient)温度変化∆Tによる変形は、歪εijで表わされる:
Tijij ∆= αε
Examples of Tensors テンソルの例
(4)(4) 33階テンソル階テンソル
3階以上のテンソルは全て物性テンソルである。2階と1階 のフィールドテンソルを関係づける33 = 27の成分からなるテンソル量:・圧電テンソル
物体に応力σjkを加えた時、分極Piを生じる。このような現象を、ピエゾ効果と呼び、2つのフィールドテンソルを関係付ける3階の物性テンソルを圧電テンソルdijkと呼ぶ:
jkijki dP σ=
kijkij Ed=ε逆に、電場Ekを印加することにより、歪εijを生じる
現象を逆ピエゾ効果と呼び、同様に圧電テンソルdijkを用いて次のように与えられる:
※dijkの成分3×3×3立方体のため、通常の行列表示ができない。
Examples of Tensors テンソルの例
(5)(5) 44階テンソル階テンソル
物質に同じ力を印加した場合でも、変形量が異なる。この時、応力σijと歪εklとの関係を与える4階の物性テンソルをスティフネスcijklと呼ぶ:
klijklij c
・弾性スティフネス定数 (Stiffness) あるいは弾性率
εσ =
例えば、2つの2階のフィールドテンソルを関係づける34 = 81の成分からなる物性テンソル量:
スティフネスと逆の関係にある4階の物性テンソルsijklであり、フックの法則 (Hook's Law) を一般化したもの:
・弾性コンプライアンス定数 (Compliance)
klijklij s σε =
5.5 Dislocation in Crystals
Deformation
定義:
・応力 = (外力)/(試料の断面積)・歪 = (長さの変化量)/(元の長さ)
結晶に外力を印加した場合の変形は、
弾性変形 (Elastic Deformation)
塑性変形 (Plastic Deformation)
の領域に分けられる。弾性変形領域
では、応力と歪が正比例するフックの
法則が成立し、外力を取り除くと結晶
は元の形状に戻る。
一方、さらに外力を印加して、塑性変
形領域に入り結晶が変形すると、外力
を取り除いても結晶の形は元に戻らず、
永久歪 (Permanent Strain)が残る。
結晶の変形
Deformation
引っ張り軸
引っ張り軸
引っ張り軸
すべり面
すべった領域と、まだすべっていない領域の境界を「転位」と呼ぶ
転位 (Dislocation)
変形前
弾性変形 塑性変形
すべり面で、
結晶がせん断
される。
すべりは一斉に生じるわけではなく、結晶の一部から徐々に面積を広げていく
バーガーズ・ベクトルbの定義:(1) 転位線(Dislocation Line)の向きを表わす単位ベクトル ζ (dzeta)を定義する。
このとき「方向」は任意。(2) ζ の方向を向いて転位線をまたぎ、その周りに右巻き(右手系RH)の閉じた
回路C1を描く(上左図)(3) 同じ回路を転位線を含まない完全な結晶(Perfect Crystal)内で描いたとき、
閉じないこの回路C2が描ける(上右図)(4) 回路C2を閉じるため終点Fから出発点Sを結ぶベクトルFSをbと定義する。この定義法をFS/RH(Perfect)法などと呼ぶが、例えば、左手系LHを採用するFS/LH(Perfect)法など、定義の仕方は様々あるので要注意。
Burgers Vector
Dislocations
刃状転位刃状転位
(Edge Dislocation)(Edge Dislocation)
バーガーズ・ベクトルbと転位線ζが直交する転位を刃状転位、bとζが平行な転位をらせん転位と呼び、bとζが任意の角度βを成している転位を混合転位
とよぶ。
らせん転位 (Screw Dislocation)
転位線
bs
らせん転位らせん転位
(Screw Dislocation)(Screw Dislocation)
be
ζ ζ
bs
beζ
bβ
混合転位
Dislocations
刃状転位 (Edge Dislocation)らせん転位 (Screw Dislocation)
bsbe
ζ ζ
Dislocations
V型あるいはI型転位ループのバーガーズ・ベクトルbの向きは、上下いずれか。
格子間原子格子間原子 ((Interstitial AtomInterstitial Atom))
空孔空孔 (Vacancy)(Vacancy)
結晶中には、本来原子が存在する位置に存在しなかったり、存在しないはずの原子が存在する場合がある。前者を空孔、後者を格子間原子と呼び、総称して点欠陥点欠陥 (Point Defects)(Point Defects)と呼ぶ。
単独の点欠陥も存在するが、多くの場合集合体を形成する。同一種類の点欠陥が円盤状に集合すると、その外周は刃状転位となり転位線は閉じたループとなる(下図):
Stacking Faults面心立方格子(F.C.C.)結晶中の{111}面での積層欠陥
積層欠陥 (Stacking Fault)
cショックレイの部分転位 (Partial Dislocation)または、不完全転位 (Imperfect Dislocation)
a a c
部分転位を経て、全体とし
てc → cのずれを完了する。
拡張転位
(Extended Dislocation)または、
完全転位
(Perfect Dislocation)
Contrast in TEM Images of Dislocations
回折電子線 回折電子線 回折電子線 回折電子線
入射電子線
((hklhkl))面面
Bθθ >Bθθ =1Bθθ <2
左図のように、刃状転位の余分な(hkl)面を含
む結晶に対して、右上から電子線が入射する。(hkl)面は転位によって局
所的に曲げられているため、ブラッグの回折条件を満たす面からの回折強度が強くなる。
明視野像でのコントラストは、入射強度から回折強度を差し引いた強度に対応するため、回折条件を満たす転位心近傍の①の部分が暗くなる。
Contrast in TEM Images of Dislocations入射電子線
転位ループ 転位ループ
試料
空孔(V)型
転位ループの内側にコントラスト
転位ループの外側にコントラスト
左図のように、試料中で転位ループが斜めに入っており、試料に垂直に電子線が入射する。
格子間原子(I)型
転位ループの内側にコントラスト
転位ループの外側にコントラスト
※転位ループの傾きが分かれば、コントラストの位置からI型かV型かの判定が可能