風力発電と太陽光発電を組み合わせた 発電システム設置ビルモデ … ·...
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1
風力発電と太陽光発電を組み合わせた発電システム設置ビルモデルの最適
設計とその発電特性評価
三重大学大学院 工学研究科 機械工学専攻准教授 西村 顕
東海国立3大学新技術説明会2014年6月27日(金) 10:30~11:00JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
2
提案技術の紹介
化石燃料枯渇
CO2増大による温暖化
エネルギー需要の増大
再生可能エネルギーの普及
スマートシティ
日本
総発電量に占める再生可能エネルギーの割合*
2009年:3.5%(大規模水力6%除く)
2020年(目標):10%
*資源エネルギー庁 エネルギー白書2011,2012
ドイツ
最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合*
2010年:15% 2020年(目標):18%
イギリス 2010年:3% 2020年(目標):15%
背景
3
提案技術の紹介目的
従来の導入方法
スマートシティにおいて
本研究の導入方法
既存の街に風車・太陽光パネルを設置
風力発電・太陽光発電を活かすビル形状・配置
設置制約により、最適発電が困難
最適発電可能
風力発電にビル風を利用、ビル屋上に太陽光パネル
高い風力発電電力量が得られる施設条件(ビル形状・配置)を提案
任意の土地の対象ビルの電力需要特性と比較
本研究
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提案技術の紹介モデリング
定格出力 50 kW
カットイン風速 3.0 m/s
定格風速 10 m/s
カットアウト風速 25 m/s
ローター直径 18 m
ハブ高さ 30 m
風車全高 39 m
AEOLOS社の50kW級風車(発電電力量評価風車)の仕様
1世帯当たりの床面積= 100 m2(=10 m×10 m)
ビル1階の世帯数 = 4 世帯 ビル1階の床面積 = 400 m2
ビル1棟の世帯数 40 世帯
全国住宅平均延べ面積 = 94.13 m2
ビル1階の高さ = 4 m風車の全高 = 39 m
ビル高さ = 40 m
モデルビル寸法
5
提案技術の紹介モデリング
ビル角度:R度
ビル間隔:Bm
R = 0,45,90,135
B = 20,40,60
10m
40m
40m
Bm
R度
ビル寸法: 10m×40m×40m
A = 10,20,40,60
40m
Am
20m
20m
Am
ビル寸法: 20m×20m×40m
ビル間隔: Am
⇒ ⇒
6
提案技術の紹介計算モデル
計算条件表
計算モデル図
提案ビルモデル
ビル寸法:10m×40m×40m,ビル角度:90度,ビル間隔:40m,ビル配置:ノズル状,ビル数:2
80m
40m
40m10m
10m
520m
y
z
(1) 西村浩一ら,大気環境学会誌,34-2 (1999),103.
流入風密度 [kg/m3] 1.166
流入風温度 [K] 293
流入風圧力 [MPa] 0.10
流入風動粘度 [m2/s] 1.56×10-5
流入風速 [m/s]U = U 0×(z /30)0.25
(U 0 = 3.00~12.00)
ビル壁でのスリップ速度 V = (0.41×|l |)0.25U (1)
乱流モデル Standard k - e model
乱流エネルギー [m2/s2] 0.025 (1)
散逸率 [m2/s2] (1.58×10-3)/z (1)
計算回数 [-] 10000
残差 [-] <1.0×10-5
計算条件 定常状態
7
提案技術の紹介計算モデル
提案ビルモデル
ビル寸法:10m×40m×40m,ビル角度:90度,ビル間隔:40m,ビル配置:ノズル状,ビル数:2
風向の変化を考慮
25.0
0 30cos
zUU
25.0
0 30sin
zUV
主風向
8
提案技術の紹介風力発電出力算出
R2=0.999
R2=0.972
=3.00~10.00[m/s]の時U
AEOLOS社50kW級風車のパワーカーブを利用
=10.00~19.00[m/s]の時U
E =59.075 3-62.619 2-33.433U U U
E=-793.94 +61012U
風車受風面の平均風速
風力発電出力
0
10000
20000
30000
40000
50000
60000
0 5 10 15 20
Pow
er o
utpu
t E [W
]
Wind speed U [m/s]U平均風速 U [m/s]
出力
E[W
]
9
提案技術の紹介
ビル周囲風速分布計算結果の一例
xy y
z
ビル間通過による加速を確認
z = 30 m でのx方向速度U分布(U0 = 10.00 m/s)
ビル後方位置x/L = 1.25, 1.875, 2.50 でのx方向速度U分布 (U0 = 10.00 m/s, L = 16 m)
ビル後方位置x/L = 1.25, 1.875, 2.50 でのx方向速度U度数分布 (U0 = 10.00 m/s, L = 16 m)
10 10.5 11 11.5 120
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
Freq
uenc
y [-
]
U[m/s]10 10.5 11 11.5 12
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
Freq
uenc
y [-
]
U[m/s]10 10.5 11 11.5 12
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
Freq
uenc
y [-
]
U[m/s]
x/L = 1.25 x/L = 1.875 x/L = 2.50
頻度
[-]
頻度
[-]
頻度
[-]
10
提案技術の紹介
ビル周囲風速分布計算結果の一例
xy
斜め流入風条件におけるz = 30 m でのx方向速度U分布 (U0 = 10.00 m/s)
ビルモデル流入部に角度を有して風が流入すると加速効果低い
風向データに基づくビルモデル配置が重要
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提案技術の紹介
ビル周囲風速分布計算結果の一例
U 0 [m/s] 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 8.00 9.00 10.00 11.00 12.00
U h, ave at x /L = 1.25 [m/s] 3.23 4.32 5.41 6.50 7.58 8.67 9.76 10.84 11.93 13.02
U h, ave at x /L = 1.875 [m/s] 3.15 4.22 5.28 6.35 7.41 8.47 9.54 10.60 11.67 12.73
U h, ave at x /L = 2.50 [m/s] 3.04 4.07 5.10 6.13 7.16 8.19 9.22 10.25 11.28 12.31
異なる流入風条件でのビル後方風車設置位置での受風面平均風速(ビルモデル流入部に水平に風が流入する主風向からの入力条件)
○主風向からの流入風では加速風が漏れなく得られる○ビル後方20m(x/L=1.25)で発電電力量評価
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提案技術の紹介
任意の土地の発電電力量算出
気象庁の気象データ(2007~2011年のデータ使用)
三重県津市
座標 緯度:34度44分 経度:136度31.1分
評価地(観測データ使用地)
1時間毎の風況データ(風向・風速)
数値解析ではハブ高さ30mを基準
流入風の一般式U=U0×(z/30)0.25
U0=U/(z/30)0.25
z=3.96m(津市の場合)
U:観測地点で得られた風速の実測値[m/s]
U0:ハブ高さ30mの風速[m/s]
風速計の地上高:3.96m
風速を換算
(ただし整数)
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提案技術の紹介
任意の土地の発電電力量算出
津市の年間風向分布データ(2007年~2011年平均)
モデルでの利用可能風向 西・西北西・北西(主風向)・北北西・北
(その他の風向は風力発電に利用できないと仮定)
0
0.02
0.04
0.06
0.08
0.1
0.12
0.14
0.16
0.18
0.2
N NNE NE ENE E ESE SE SSE S SSW SW WSW W WNW NW NNW
Freq
uenc
y [-
]頻度
[-]
主風向に決定
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提案技術の紹介
冬(1月)(1日の総量:407.37kWh) 春(4月)(1日の総量:323.24kWh)
夏(7月)(1日の総量:78.25kWh) 秋(10月)(1日の総量:192.91kWh)
三重県津市に設置した場合の発電電力量 年間発電電力量:77.21MWh
0
5
10
15
20
25
30
1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112131415161718192021222324
風力
発電
電力量
[kW
h]
時刻[h]
0
5
10
15
20
25
30
1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112131415161718192021222324
風力
発電
電力量
[kW
h]
時刻[h]
0
5
10
15
20
25
30
1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112131415161718192021222324
風力
発電
電力量
[kW
h]
時刻[h]
0
5
10
15
20
25
30
1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112131415161718192021222324
発電
電力
量[k
Wh]
時刻 [h]
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提案技術の紹介
太陽光発電の評価方法
品番 HIT-B205J01メーカー パナソニック
公称最大出力 205Wモジュール変換効率 17.4%
温度特性 -0.35%/℃モジュール寸法 1319mm×894mm×35mm
設置想定太陽光パネルの仕様
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提案技術の紹介
太陽光発電の評価方法 発電電力量
EP:太陽光発電電力量[kWh] :日射強度 [kW/m2]
P:太陽光パネルシステム容量[kW]
KP:パワーコンディショナ電力変換効率(=0.945)[-]H:日射量[kWh/m2]
Km:モジュール温度での発電効率 [-]
モジュール温度での発電効率
TA:外気温度[℃] V:風速[m/s]
TPA:モジュール温度[℃] A,B:係数[-]
KT:温度特性[%/℃] (=0.35)
モジュール設置方式 A B架台設置型 46 0.41屋根置き型 50 0.38屋根一体型 57 0.33
参照:NEDOhttp://www.nedo.go.jp/library/pamphlets/ZZ_pamphlets_08_1shinene_taiyoukou_ft_index.html
参照:JEMA※使用データ出典
日射量:METPV-11(1990~2009) 風速・外気温度:気象庁の気象データ(2010~2011)
Ke:その他(受光面汚れ、配線)発電効率(=0.950)[-]
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提案技術の紹介
設置条件の最適化
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90
年間
日射
量[M
J/m
2 ]
角度[度]
津市の照射角度別の年間日射量データ(METPV-11; 1990~2009)
最適設置角度35度
最適設置条件について日射量・風速・気温データを用いて発電特性評価
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提案技術の紹介
太陽光発電電力量の算出
0
0.02
0.04
0.06
0.08
0.1
0.12
1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112131415161718192021222324
太陽
光発
電電
力量
[kW
h/m
²]
時刻[h]
1日の総量:0.54kWh/m2
0
0.02
0.04
0.06
0.08
0.1
0.12
1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112131415161718192021222324
太陽
光発
電電
力量
[kW
h/m
²]
時刻[h]
1日の総量:0.71kWh/m2
0
0.02
0.04
0.06
0.08
0.1
0.12
1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112131415161718192021222324
太陽
光発
電電
力量
[kW
h/m
²]
時刻[h]
1日の総量:0.64kWh/m2
0
0.02
0.04
0.06
0.08
0.1
0.12
1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112131415161718192021222324
太陽
光発
電電
力量
[kW
h/m
²]
時刻[h]
1日の総量:0.54kWh/m2
冬(1月) 春(4月)
夏(7月) 秋(10月)
三重県津市の太陽光発電電力量の1日の時間推移(日射量、気温、風速を考慮)
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提案技術の紹介
複合発電電力量と電力需要(三重大学)との比較冬(1月)(1日の自給率:23.32%) 春(4月) (1日の自給率:30.02%)
夏(7月) (1日の自給率:15.67%) 秋(10月) (1日の自給率:19.88%)
0
20
40
60
80
100
020406080
100120140160180200220
1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23
複合
発電
電力
量の
自給
率[%
]
電力
量[k
Wh]
時刻[h]
0
20
40
60
80
100
020406080
100120140160180200220
1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23
複合
発電
電力
量の
自給
率[%
]
電力
量[k
Wh]
時刻[h]
0
20
40
60
80
100
020406080
100120140160180200220
1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23
複合
発電
電力
量の
自給
率[%
]
電力
量[k
Wh]
時刻[h]
0
20
40
60
80
100
020406080
100120140160180200220
1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23複
合発
電電
力量
の自
給率
[%]
電力
量[k
Wh]
時刻[h]
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従来技術とその問題点
先行技術
○特開2008-83971・・・①○特開平11-193773・・・②
①:風力発電装置、太陽光発電装置、太陽熱集熱装置ならびにコジェネ装置を単用、併用、もしくは合用するシステムのそれぞれの装置規模構成および運転方法をシミュレーションするソフトウェアが提案されている。
②:建築物群の配置と形状により、建築物群として建築物周辺の風の流れを制御し、建築物周辺に風力発電に必要な強風域を発生させ、その強風を電気エネルギーに効率的に変換できるようにしたシステムが提案されている。
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従来技術とその問題点
先行技術
○特開2008-83971・・・①○特開平11-193773・・・②
問題点:
✓①、②に記載のシステムでは、それぞれの発電手段に同時
に影響する因子(気象条件および施設条件)について考慮し
て、発電評価指数を算出することは行われていない。
✓異なる電力消費形態に基づく電力量の需要データベースと
照合して、時間的および季節的に変動する電力消費形態
に調和した、風力発電と太陽光発電の2種類の発電手段に
関して同時に発電、電力供給する方法は提案されていない。
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新技術の特徴・従来技術との比較
新技術の特徴
• ビルの形状、配置を工夫することで、ビル風を意図的に作り出し、風力発電電力量を向上させるモデルを提案。
• ビルの屋上や壁にソーラーパネルを設置した際の太陽光発電電力量を向上させる最適条件を選定可能。
従来技術との比較
• ビル形状、配置に応じた風力発電、太陽光発電の設置を想定し、任意の土地の天候データを入力して、施設条件・季節条件に応じた発電特性の見積りを新たに可能にした。
• 季節や時間的に変動する電力需要特性データと風力発電、太陽光発電の対応評価を新たに可能にした。
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想定される用途
• 分散型発電インフラ導入のための設計指針を得るのに使用可能。 例えば、電力会社
• スマートビル建設の際の設計指針を得るのに使用可能。 例えば、ゼネコン、ハウスメーカー
• スマートシティ開発のための環境性能評価が可能。
例えば、政府、自治体
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実用化に向けた課題
• 現在基本ビルモデルについて、風力発電と太陽光発電の発電量向上条件の選定が可能。実用化のためには、より実際のビル群に近い施設条件でのモデル化が必要。
• 提案ビルモデルの設置を想定する土地の気象データの入力数を増やして汎用性を確認。
• 実機実証試験による提案モデルの精度確認。
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企業への期待
• より実際に近いビル群での発電特性評価は、よりハイスペックな計算機での解析で可能と考える。
→ハイスペック計算機貸出もしくは購入を支援して頂
ける共同研究を希望。
• 風力発電装置、太陽光発電装置の仕様・発電特性データを有する企業との共同研究を希望。
• スマートシティ開発に関心のある企業、自治体との実証プロジェクトチーム立ち上げを希望。
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :風力発電と太陽光発電の2種類の
発電手段で構成される発電システ
ムの発電評価システム
• 出願番号 :特願2012-16566• 公開番号 :特開2013-156824• 出願人 :国立大学法人三重大学
• 発明者 :西村顕、鎌田泰成、安藤俊剛、
村田淳介
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お問い合わせ先
国立大学法人三重大学
社会連携研究センター 知的財産統括室
TEL: 059 - 231 - 5495
FAX: 059 - 231 - 9743
e-mail: chizai-mip@crc.mie-u.ac.jp