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遺伝子組換え農作物の管理について 平成26年4月 農林水産省 消費・安全局 農産安全管理課 生物多様性を確保する観点から

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遺伝子組換え農作物の管理について

平成26年4月 農林水産省

消費・安全局 農産安全管理課

- 生物多様性を確保する観点から -

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目 次

第Ⅱ部:国内の状況 6.遺伝子組換え農作物の安全を確保する仕組み 7.遺伝子組換え農作物の生物多様性への影響評価 8.審査等の透明性、科学的一貫性の向上 9.承認済み遺伝子組換え農作物のモニタリング 10.未承認遺伝子組換え農作物の流入防止 11.未承認遺伝子組換え農作物のモニタリング

第Ⅰ部:国外の状況 1.世界の遺伝子組換え農作物栽培状況 2.日本の輸入状況 3.世界の遺伝子組換え農作物の今後の動向 4.OECDにおけるLLPを巡る議論 5.カルタヘナ議定書締約国会合における議論

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第Ⅰ部:国外の状況

1.世界の遺伝子組換え農作物栽培状況

2.日本の輸入状況

3.世界の遺伝子組換え農作物の今後の動向

4.OECDにおけるLLPを巡る議論

5.カルタヘナ議定書締約国会合における議論

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○ 世界の遺伝子組換え農作物(GM作物)の栽培面積は年々増加。 ○ 従来は米国での栽培が主。近年、米国での栽培が飽和に近づきある中、南米を中心として栽培面積が増加

○ 昨年の栽培面積は約1億8千万ha(日本の農地面積の約39倍) ○ 主要な作物は、ダイズ、トウモロコシ、ワタ、ナタネの4種

1.世界の遺伝子組換え農作物栽培状況(1)

(億ha)

(1)GM作物の栽培面積の推移 (2)GM作物の栽培面積割合

(出典:「ISAAA報告書(2013年)」国際アグリバイオ事業団(ISAAA))

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

1.4

1.6

1.8

1996 2000 2005 2010 2013

(年)

1億7,530万ha

(出典:「ISAAA報告書(2013年)」国際アグリバイオ事業団(ISAAA))

8,450万ha

2,390万ha

5,740万ha

ダイズ

トウモロコシ

ワタ

ナタネ

48%

5%

33%

14%

820万ha

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○ 現在、27ヶ国において遺伝子組換え農作物を栽培 ○ 日本における遺伝子組換え農作物の栽培はない(遺伝子組換えバラのみ栽培)

1.世界の遺伝子組換え農作物栽培状況(2)

(出典:「ISAAA 報告書(2013年)」 国際アグリバイオ 事業団(ISAAA))

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○ 主要な遺伝子組換え農作物は、トウモロコシ、ダイズ、ワタ、ナタネの4種 ○ 主要な栽培国では、その多くを遺伝子組換え作物に切換

1.世界の遺伝子組換え農作物栽培状況(3)

資料:ISAAA報告書(2013年)

【遺伝子組換え農作物の栽培状況(最大栽培国におけるGMの作付割合(白抜きの数値))】

73 80 85 86 88 88 90

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

トウモロコシ(米国) (万ha)

91 92 91 93 94 93 93

0

1,000

2,000

3,000

4,000

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

ダイズ(米国)

88 86 93 94 96 98 96

0

200

400

600

800

1,000

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

ナタネ(カナダ)

(年)

95 94 94

99 100 100 99

0

10

20

30

40

50

60

70

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

ワタ(オーストラリア)

(年) (年)

(年)

(万ha)

(万ha) (万ha)

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○ 日本は飼料用途や加工用途に、トウモロコシ、ダイズ、ナタネ及びワタを大量に輸入(※) ○ これらの大半がGM 不分別で輸入されることから、多くが組換え体と推定 (※)ダイズ、ナタネ及びワタは、主として油脂加工後の残さが飼料に用いられる

2.日本の輸入状況(1:飼料用・加工用)

【トウモロコシ】

【ナタネ】

【ダイズ】

【ワタ】

(単位:万トン、%)

(単位:万トン、%) (単位:万トン、%)

(単位:万トン、%)

米国国内のGMトウモロコシの栽培率:90% 米国国内のGMダイズの栽培率:93%

カナダ国内のGMナタネの栽培率:96% オーストラリア国内のGMワタの栽培率:99%

資料:財務省貿易統計(2013年) ISAAA報告書(2013年)

生産国 輸入量 シェア

米 国 644.7 44.8

ブラジル 437.5 30.4

アルゼンチン 190.9 13.3

その他 167.2 11.6

合 計 1,440.2 100.0

生産国 輸入量 シェア

米 国 166.0 60.1

ブラジル 64.9 23.5

カナダ 37.8 13.7

その他 7.5 2.7

合 計 276.2 100.0

生産国 輸入量 シェア

カナダ 230.9 93.8

オーストラリア 15.2 6.2

フランス 0.0 0.0

その他 0.0 0.0

合 計 246.1 100.0

生産国 輸入量 シェア

オーストラリア 10.14 94.6

ギリシャ 0.35 3.3

米国 0.23 2.1

その他 0.00 0.0

合 計 10.72 100.0

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○ 日本は栽培用種苗を多く輸入・輸出 ○ 遺伝子組換え農作物の栽培がないため、全て非組換え体

2.日本の輸入状況(2:栽培用)

【種苗輸出入額の推移】 (単位:百万円)

輸 入 輸 出

2013年 2012年 2011年 2013年 2012年 2011年

野菜の種 12,329 9,039 7,541 9,063 7,310 8,854

草花の種 2,026 1,624 1,512 2,180 1,716 1,710

豆類の種 436 864 261 23 24 -

穀類の種 903 717 424 - 0 -

飼料作物の種 2,597 2,212 1,578 24 2 10

てん菜の種 563 683 503 - - -

とうもろこしの種 1,566 1,635 1,636 - - -

種ばれいしょ - - - - 0 -

きのこ菌類 743 556 514 141 165 230

球根類 7,453 6,457 6,899 93 78 79

苗木類(植木を含む) 9,352 8,414 8,126 9,586 8,245 6,672

その他の種 1,310 1,020 1,186 375 325 295

合計 39,279 33,221 30,181 21,487 17,865 17,850

資料:財務省貿易統計

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○ 世界の今後の動向の特徴は、① イネやサトウキビなど新たな作物の栽培、② 開発途上国を中心とした栽培の伸び、③ 成分改変などの新たな形質の導入

3.世界の遺伝子組換え農作物の今後の動向

・ 従来はトウモロコシ、ダイズ、ワタ、ナタネの4作物が中心

・ 今後、サトウキビ、イネ、コム

ギなどの栽培が見込まれている

・ さらに、ジャガイモ、リンゴなどが研究開発中

・ 従来は、除草剤耐性及び

害虫抵抗性などの、農業生産性向上を目的とした形質が導入

・ 今後は、高オレイン酸(ダイ

ズ)、乾燥耐性(トウモロコシ)などの、成分や機能を改変した形質の導入が見込まれている

開発途上国を中心とした栽培の伸び

新たな作物の栽培 新たな形質の導入

・ 開発途上国の中でも、中

国、インド、ブラジル、アルゼンチン及びパラグアイ等で高い伸び

・ 平成25年、先進国の栽

培面積は横ばいであるのに対し、開発途上国では引き続き増加(対前年比+6%)

資料:ISAAA報告書(2013年)

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4.OECDにおけるLLPを巡る議論(1:LLPとは)

○ 多くの国で、遺伝子組換え農作物の輸入に先立って、承認を義務づけている ○ 輸出国で承認されたものの、輸入国で承認されていない遺伝子組換え農作物が、輸入貨物中に非意図的に微量に混入する問題(LLP: Low Level Presence)が存在する

○遺伝子組換え作物の国際間の取引量や栽培国が増大する中、LLPに関する国際的な議論が活発化している

【LLPの発生例】

輸入される穀物の陸揚げ

【輸出国】 【輸入国A】 【輸入国B】

申請

承認

栽培

収穫

自国での消費

申請

申請 又は 未申請

承認

輸入

荷口中に混入

LLPの発生

×

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○ 平成19年よりOECDの作業部会においてLLPに関する議論を開始 ○ 議論の中身は、① 環境への影響をいかにして評価するのか、② LLPに対しいかなる管理措置を適用すべきか、を中心としたもの

○ 平成25年9月、議論の成果をまとめたガイダンスが公表。

4.OECDにおけるLLPを巡る議論(2:議論の内容)

【ガイダンスの概要】 1.目的及び範囲

2.リスク評価

3.リスク管理 ・ LLPを「一ヶ国以上で承認された遺伝子

組換え農作物を、意図せずに微量に含むこと」と定義 ・ LLPによる生物多様性への影響及び管理措置を議論。食品のLLPは取り扱わない

・ 国内で生育した場合の生物多様性への

影響を評価(競合性、有害物質の産生性、こぼれ落ちの程度などにより決定)

・ 科学に基づくリスク評価の結果に基づき、管理措置を決定するのが基本 ・ 栽培用種子、食用・飼料用穀物など用途に応じ、異なる管理措置を適用 ・ 社会的な影響により管理措置が決定される場合もある ・ 生産・流通業界による未然防止のた

めの取組や輸出国・輸入国間での緊密な連携が肝要

(参考) LLPについての農林水産省ウェブページ http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/llp.html ガイダンスの概要 http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/pdf/oecd_llp_130917_j.pdf

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○ 平成4年、生物多様性条約が採択 ○ 本条約に基づき、平成12年、カルタヘナ議定書が採択 ○ 平成15年、日本は同議定書を締約。同時にいわゆるカルタヘナ法を施行 ○ 2年ごとに、カルタヘナ議定書締約国会合(MOP)が開催

5.カルタヘナ議定書締約国会合における議論(1)

カルタヘナ議定書 (2000.1採択、2003.9発効、2003.11我が国締結/事務局:モントリオール)

【締約国】 165ヶ国及びEU(2013年5月現在)。しかし、遺伝子組換え作物の主要生産国である米国、アルゼンチン、カナダ、オーストラリア等は非締約国。

【内容】条約に基づき、遺伝子組換え生物の国境を越える移動に焦点を当て、生物多様性の保全及び持続可能な利用に悪影響を及ぼさないよう、安全な移送、取扱い及び利用について、十分な保護を確保するための措置を規定。

生物多様性条約 (1992.5採択、1993.5我が国締結、1993.12発効/事務局:モントリオール)

【目的】 ①生物多様性の保全 ②生物多様性の構成要素の持続可能な利用

③遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分

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○ 平成24年10月、第6回会合(MOP6)がインド・ハイデラバードにおいて開催 ○ この会合において、未承認の遺伝子組換え体が意図しないまま国際間移動する

ことを食い止めるため、対応措置をまとめたガイドラインの作成に着手することなどを決議

○ 種苗の輸入・輸出国である日本としてこの議論に積極的に関与

5.カルタヘナ議定書締約国会合における議論(2)

【MOP6での主な議論】 ・ 未承認遺伝子組換えパパイヤ問題の対処経験を有する日本として、同様の事例を引き起こさぬよう、対応措置をまとめたガイダンス文書を作ることの重要性を提起

・ ガイダンス文書の作成を進めることで合意 ・ MOP7前までに、その範囲や内容を条約事務局に提出することを決議

日本 海外 多くの種苗を輸入・輸出

組換え体の検査のためには、単価の高い種苗を大量に収去する必要

採種場の管理実態や周辺環境で交雑が起こるリスクの程度などを判断し、管理措置を適用

【今後の議論の方向性】

・ 検査における見逃しの可能性を排除することは困難

・ 貿易の停滞をまねくおそれ

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第Ⅱ部:国内の状況 6.遺伝子組換え農作物の安全を確保する仕組み

7.遺伝子組換え農作物の生物多様性への影響評価

8.審査等の透明性、科学的一貫性の向上

9.承認済み遺伝子組換え農作物のモニタリング

10.未承認遺伝子組換え農作物の流入防止

11.未承認遺伝子組換え農作物のモニタリング

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○ 遺伝子組換え作物は、 ① 生物多様性への影響は「カルタヘナ法」 ② 食品としての安全性は「食品安全基本法」及び「食品衛生法」 ③ 飼料としての安全性は「食品安全基本法」及び「飼料安全法」(※) に基づき、それぞれ科学的な評価を行い、全てについて問題のないもののみが栽培、流通される仕組み。 (※)生産された畜産物の食品としての安全性も評価

6.遺伝子組換え農作物の安全を確保する仕組み

飼料としての安全性 食品としての安全性

生物多様性への影響

食品安全委員会

厚生労働省

食品安全委員会

農林水産省

食品としての安全性確認 飼料としての安全性確認

農業資材審議会(農林水産省)

農林水産省/環境省

生物多様性影響評価検討会 農作物分科会

同総合検討会

パブリックコメント

隔離ほ場試験 承認申請

一般的な使用 承認申請

隔離ほ場試験の承認申請と同様の仕組

問題のないもののみが輸入、流通、使用、栽培等

食品や飼料の安全性確認との整合性を考慮(カルタヘナ法に基づく基本的事項で規定)

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○ 遺伝子組換え農作物の生物多様性への影響の評価については、 ① 競合における優位性: 雑草化して他の野生植物を駆逐しないか ② 有害物質の産生性: 野生動植物に対して有害な物質を生産しないか ③ 交雑性: 導入された遺伝子が在来の野生植物と交雑して拡がらないか 等の観点から、最新の科学的知見に基づき、農林水産省及び環境省で実施

7.遺伝子組換え農作物の生物多様性への影響の評価

主な評価項目 評価の基本的な考え方

左記の項目それぞれについて

影響を受ける野生動植物がいるかどうか

どのような影響を受けるか

影響の生じやすさはどうか

の点を確認し、生物多様性への影響が生じるおそれがあるかどうかを判断。

トウモロコシ 66 64ダイズ 15 10

アルファルファ 3 3セイヨウナタネ 12 10

テンサイ 1 1パパイヤ 1 1ワタ 23 -

カーネーション 8 8バラ 2 2小計 131 99

注:平成26年2月28日現在

うち栽培可作物名 一般的な使用

カルタヘナ法に基づき承認された遺伝子組換え農作物の数

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8.審査等の透明性、科学的一貫性の向上

予備的情報収集 申請に関する情報収集 →申請に備える ・農作物や導入形質の基礎的情報等

事前相談

新しい評価項目が必要かどうかチェック

審 査

結果は、審査報告書として、広く情報提供

リスク管理措置等の見直し 生物多様性に影響が生じていないかモニタリングなどの管理措置 →必要に応じて見直し

隔離ほ場試験申請

事前相談

審 査

リスク管理措置等の見直し

一般使用申請

承認申請・審査

未承認遺伝子組換え農作物の混入対応

初期作業

・海外での開発・栽培の情報収集 ・情報の解析と評価の優先度付け ・リスク評価の実施

リスク管理措置の検討・実施

・信頼性の高い検査法の確立 ・水際検査等の流入防止措置

一定期間後に、国内外の管理措置の実施状況などを踏まえ、管理措置の追加・継続・中止を判断

リスク管理措置等の見直し

*:「遺伝子組換え農作物のカルタヘナ法に基づく審査・管理に係る標準手順書」

○ 遺伝子組換え農作物の審査や管理の能力や透明性及び科学的一貫性を向上させるため、審査や管理の標準的な手順をまとめた標準手順書(SOP)*を公表(H22.8)

○ SOPは、審査や承認後のモニタリングなどを透明性や一貫性を保ちつつ行うため、担当部署における業務の標準的な手順を明らかにするもの

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○ 遺伝子組換えセイヨウナタネや遺伝子組換えダイズについては、運搬時にこぼれ落ちて生育したとしても生物多様性に影響は無いと評価し、輸入や流通を承認。

○ 科学的知見の充実を図るとともに、承認の際に予想されなかった生物多様性への影響が生じていないか調べるため、輸入港の周辺において、生育状況等のモニタリングを実施。

9.承認済み遺伝子組換え農作物のモニタリング(1)

(1)セイヨウナタネに関する調査 (2)ダイズに関する調査

調査開始時期: 平成18年 調査開始時期: 平成21年 調 査 対 象 港: 12港+3港(平成24年~) 調 査 対 象 港: 10港

調査対象植物: セイヨウナタネ、 (近縁種) カラシナ、在来ナタネ

調査対象植物: ダイズ (近縁野生種) ツルマメ

●●

●●

●●

●● ●●

●●

●●

●●

セイヨウナタネ カラシナ 在来ナタネ ツルマメ(右はツルが巻きつく様子)

ダイズ

調査対象範囲: 陸揚げ地点から半径5 km 調査対象範囲: 陸揚げ地点から半径5 km

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9.承認済み遺伝子組換え農作物のモニタリング(2)

これまでの調査の結果から、 ○ 遺伝子組換えセイヨウナタネが繁殖して、非遺伝子組換えのセイヨウナタネや近縁種を駆逐したり、交雑体が拡がるといった傾向は見られない。

○ 遺伝子組換えダイズとツルマメとの交雑体は見つかっていない。

平成21年から平成23年分の調査結果の取りまとめ (セイヨウナタネ、平成25年4月26日公表)

• 生育していた遺伝子組換えセイヨウナタネは、運搬時のこぼれ落ちが生育したものと考えられた。

• カラシナ又は在来ナタネと、遺伝子組換えセイヨウナタネとの交雑個体は、本調査では見つかっていない。(環境省の調査で、平成22年に2 個体、在来ナタネとの交雑個体が見つかっている。)

見つかった遺伝子組換えセイヨウナタネは、ほぼ全て道路沿いに生育していた。

数ヵ年続けて生育が見つかった地域でも、それぞれの年で生育していた場所は異なっていた。

過去3ヵ年のナタネ類の生育群落数

博多港のセイヨウナタネ群落中のGM群落の割合

• 我が国に輸入されるナタネ類の94%はカナダ産 • カナダでは、ナタネの栽培面積の96%がGM

(全18港)

H21 H22 H23 全国

ナタネ類

640 541 548

セイヨウナタネ 241 235 223 博多 セイヨウナタネ 42 41 43

0

20

40

60

80

H21 H22 H23

博多港

全18港の合計

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○ 我が国で未承認の遺伝子組換え農作物について、海外における開発状況や流出事故等の情報を収集・解析。優先度に応じてリスク評価。

○ 我が国に未承認の遺伝子組換え農作物の栽培用種子が流入するおそれがあるとの情報があった場合には、植物防疫所において、栽培用種子の輸入時の検査を実施(食品の検査は検疫所で実施)。

○ 現在、アマ、パパイヤ、ワタについて、検査を実施。

10.未承認遺伝子組換え農作物の流入防止

(1)栽培用種子の輸入時の検査件数

※()内は、検査した荷口のうち、遺伝子組換え体が検出された件数。 遺伝子組換え体が検出された場合は、カルタへナ法違反となり、我が国で流通させることは出来ない。

(2)検査開始のきっかけ ①アマ

平成21年9月、ドイツに輸入されたカナダ

産アマから、安全性未確認の遺伝子組換えアマが検出された。

②パパイヤ 平成22年12月、安全性未確認の遺伝子

組換えパパイヤの種苗が輸入され、国内で流通している疑い。

③ワタ 平成24年7月、それと知らずに我が国で

栽培が認められていない遺伝子組換えワタの種子が輸入され、廃棄された。

アマ (H22.7.1~)

パパイヤ (H23.2.22~)

ワタ (H25.3.1~)

平成23年度 1 (0 ) 47 (0)

平成24年度 0 (0 ) 17 (0) 0 (0)

平成25年度 4 (0 ) 25 (1) 0 (0)

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○ 平成23年4月、我が国で未承認の遺伝子組換え(GM)パパイヤの種苗が、国内で流通・栽培されていたことが判明。

○ 農林水産省と環境省は、このGMパパイヤの我が国の生物多様性への影響は低いと考えられるとの見解を公表。

○ 平成23年末までに商業栽培されていたこのGMパパイヤは全て伐採。

11.未承認遺伝子組換え農作物のモニタリング(1)

(1)未承認遺伝子組換えパパイヤの発見まで (2)農林水産省及び環境省の見解

平成17 年以降、台湾から輸入され、「台農5 号」(※)の名

称で販売されてきたもので、パパイヤリングスポットウイルス1系統への耐性を持つ。 ※台農5号は、遺伝子組換え体ではない

通常の品種として、交雑育種により昭和62 年に開発されたもので、葉柄が赤いなどの特徴がある。

1 論文等の情報にもとづけば、 ① パパイヤは、もともと日本国内に

は存在せず、栽培用に海外から導入された植物であり、交雑可能な在来野生種もない。

② 仮に栽培パパイヤや、道ばた等に生えているパパイヤが遺伝子組換え体であったとしても、パパイヤは日本の自然環境下では他の植物との生存競争に負け、拡大していくことはないと考えられる。

2 このことから、生物多様性への影響は低いと考えられる。

<未承認の遺伝子組換えパパイヤ>

• 平成22年12月、科学的信頼性の高い種子及び苗の検査法の確立に着手し、平成23年2月に確立。

• 国内の種苗会社が有する全てのパパイヤ種苗(種子29種類、苗4種類)を検査。

• 平成23年4月、種子1種類がGMパパイヤと判明。

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○ 平成24年より、農林水産省と環境省は、沖縄県の道ばた等に、未承認遺伝子組換え(GM)パパイヤがどの程度生育しているか実態調査を実施。

○ 沖縄県内での、平成23年4月時点のパパイヤ総栽培面積に占める割合を考慮すれば、道ばた等で見つかったGMパパイヤの割合は低い。

○ 今後、引き続き調査を実施。

11.未承認遺伝子組換え農作物のモニタリング(2)

(1)調査対象

(2)調査の結果 H24 H25

道ばた等 2 / 69 ( 3 ) 0 / 40 ( 0 )

民家の庭先等 (うち、非植栽 )

57 /627 (9.1) ( 16 /432 (3.7))

- (-)

参考:沖縄県のパパイヤほ場栽培総面積に占める、GMパパイヤの割合(平成23年4月当時、沖縄県の聴き取り調査):2割弱

• GMパパイヤの露地栽培が確認されたほ場のうち、GMパパイヤを50本以上栽培していたほ場全てを含む、36箇所を選定。各ほ場から半径400 m内の空き地や道ばた等で調査。

• 平成24年は、対象地域内の民家の庭先にGMパパイヤの疑いのある葉柄の赤いパパイヤ(赤さの程度は個体差が大きい)が生育していた場合、これも調査。(平成25年より、民家の要望に応じ調査。)

(GM / 個体数 (陽性率))

※ 聴き取り調査で、食後のパパイヤ種子や購入した種苗の植栽によらず、自然に発芽し生育したことが判明した個体