成長曲線自動作成プログラム...
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成長曲線自動作成プログラム 取扱説明書
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成長曲線自動作成プログラム 取扱説明書
エクセルの準備
ソフトを起動する前に、エクセルの「マクロの設定」を無効から有効に変更します。メニューバーの「開発」
-「マクロのセキュリティ」を選択し、「すべてのマクロを有効にする」にチェックを入れてください。
Ⅰ. 目的
学校健診用ソフトのうち、時系列に身長・体重データを入力して、成長曲線・肥満度曲線を自動で描
画するためのソフトです。
学校健診用ソフトの概略を、以下の図に示します。
Ⅱ. 操作
ソフトを起動すると初画面が表示されます。初画面には、白い入力枠とマクロボタンがあります。
マクロボタンについて
ボタンには、赤色・水色の 2種類があります。赤色は自動でデータを書き換え、水色は画面移動します。
赤のボタンをクリックすると、入力内容の変更について確認画面が出ます。
変更しない場合は、閉じれば変更はされません。
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赤色ボタン
1)データ保存:ボタンをクリックすれば、「保存データ」シートに、データが保存。
2)入力データクリア:ボタンをクリックすれば、入力されたデータが消去されます。
水色ボタン(画面移動用)
「保存データシートへ」、「成長曲線・6 歳以上」、「肥満度曲線」、「成長速度」、「成長曲線 0~6 歳」、「BMI」、
「データ印刷へ」、「成長速度データ印刷へ」、「成長グラフ印刷・男女別」
A データ入力
データ入力には、「データ抽出転送プログラム」からの自動入力と、直接白枠に手入力する方法があります。
○「データ抽出転送プログラム」からの自動入力
「データ抽出転送プログラム」-取扱説明書に詳述しています。
○ 直接白枠に手入力
1)個人データ(ID、ふりがな(氏名)、性別、出生日)を入力し、計測日・身長・体重を、時系列に入
力します。
2)父母の身長を入力すれば、目標身長が表示されます。以下にサンプルデータを示します。
目標身長は 154.5cm となります。ネット上では海外での数式が用いられていることが多く、156.5cm
と(以下の図より+2cm 多く)表示されます。日本人小児の場合は、+2cm 足しません。
B データの解釈
1)計測日から、年齢(歳・月)が表示。
2)身長・体重・年齢から、標準身長・身長 Z score・体重 Z score・BMI・村田式および伊藤式の標準
体重・肥満度が計算。
(健康管理プログラムの肥満度曲線は、年齢を横軸、村田式肥満度%を縦軸にグラフ化しています)
3)計測日の前後 2点測定値から、成長速度(cm/年・Z score、諏訪論文)が計算。
成長速度 Z score から身長 SD 差が予測できます(データ抽出転送プログラム 4頁で説明)。
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4)身長 Z score から、身長 SD 差(MIN-MAX)の最大値が計算。
健康管理プログラムの成長異常群②身長増加過多、④身長増加不良
5)肥満度%から、肥満度%差(MIN-MAX)の最大値が計算。
健康管理プログラムの成長異常群⑦肥満度増加過多、⑨肥満度減少過多
健康管理プログラムの成長異常群の基準は、身長 Z score では 1.0SD 以上の変化、
肥満度%差では 20%以上の変化。
例:データ抽出・転送プログラム「サンプルデータ 5」では、以下のような異常を示します。
C 身長・体重成長曲線
初画面:「成長曲線 6歳以上」ボタンをクリックすると、標準身長・体重曲線グラフに、時系列の身長・
体重がプロットされます。グラフ表示は、性別を自動処理しています。
左が SD 表示による曲線、右がパーセンタイル表示による曲線です。
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注)旧パーセンタイル表示の成長曲線と、新 SD 表示の成長曲線について
「一般社団法人日本小児内分泌学会 下垂体・成長障害委員会、成長曲線管理委員会」の見解
(平成28年10月~)
1)パーセンタイル表示による曲線
教育現場で使用される成長曲線は、パーセンタイル表示による曲線。
(2000 年度乳幼児身体発育調査・学校保健統計調査データから作成。)
このパーセンタイル曲線は、マイナスの値がないため、教育現場では用いやすい。
2)身長・体重の SD表示による曲線(SD 曲線)
平均からどれだけ乖離しているかで評価する医療現場では、パーセンタイル表示による曲線は使いにくい。
そこで、身長・体重の SD 表示による曲線(SD 曲線)が作成された。
(例えば、-2.0 SD が 2.28 パーセンタイル、-2.5SD が 0.62 パーセンタイル、-3.0SD が 0.13 パーセンタイ
ルと表現)
3)旧 SD 曲線
従来の身長・体重の SD表示による曲線(旧 SD 曲線)は、身長や体重が正規分布していると仮定して平均値
と SD 値を算出。
しかし、身長は正規分布に近いが体重は正規分布せず。
4)新 SD 曲線
新 SD 曲線は、パーセンタイル曲線と同様に 2000 年度データをもとに作成。
2000 年度データを新しい正規化方法(LMS 法)を用いて、ブロックに分けてひとつひとつ正規分布化し、歪み・
ばらつき・ゆらぎを修正して、より正規分布に近い形に変換した後に、平均値と SD 値を算出。
正規分布に近い分布を示す身長は旧 SD 曲線とほぼ同じ。正規分布を示さない体重は旧 SD 曲線の間に明らか
な差がある。
追記:新 SD曲線は男女別に 2歳まで、6 歳までおよび 18 歳までの成長曲線が用意。
6歳までおよび 18 歳までの成長曲線には、新たに -2.5SD と-3.0SD の曲線も記入。
-2.5SD と-3.0SD の曲線は、LMS 法で作成されたものでなく、
小児慢性特定疾病の成長ホルモン治療開始基準の身長基準表に合わせて作成。
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D 伊藤式「性別・身長別・標準体重による肥満度曲線」
初画面:「肥満度曲線(伊藤式)」ボタンをクリックすると、「肥満度判定曲線」シートに移動します。
グラフには、時系列の体重がプロットされています。性別は自動処理。
左が幼児用(身長 70~120cm)、右が学童用(身長 101~184cm)です。
伊藤式「性別・身長別・標準体重による肥満度曲線」について、日本成長学会・日本小児内分泌学会合同標準
値委員会が、問題点と見解を述べている。
伊藤式「性別・身長別・標準体重による肥満度曲線」について
日本成長学会・日本小児内分泌学会合同標準値委員会が、問題点と見解を述べている。
(問題点)
・村田式「性別・年齢別・身長別標準体重」よりも全般的に標準体重値が低く、
肥満の出現率を過大評価している可能性がある。
特に 13 歳以降の 140~150cm の低身長群では肥満度を過大評価する点には注意が必要である。
・思春期発達段階の違い等に基づく、年齢による体型の差は、考慮されない。
(コメント)
・標準的な集団としての評価や疫学的な評価には、
村田式「性別・年齢別・身長別標準体重」を用いた肥満度評価の方が優れていると思われる。
・個人の肥満度の変化の評価には、伊藤式肥満度は、グラフ化すると視覚的に判定しやすく、縦断的な評価を行いやすい。
日本成長学会・日本小児内分泌学会合同標準値委員会
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E その他の曲線(成長速度・BMI 曲線、6 歳未満児の成長曲線)
1)初画面:「成長曲線 0~6歳」ボタンをクリックすると、横断的標準身長・体重曲線(0~12 ヵ月)
と同(0~6歳)のシートに移動します。グラフ表示は省略。
2)初画面:「成長速度」ボタンをクリックすると、成長速度曲線が得られます。性別は自動処理。
成長速度曲線(左が 0~6 歳、右が 0~18 歳)
成長速度は新生児が最も速く、1 年で約 25cm 成長します。その後は、年齢とともに低下しますが、思春期に
なると成長にスパートがかかり、最も伸びる時期には、男子は約 10cm/年、女子は約 8cm/年、伸びます。
スパートの始まりは、女子が約 9 歳、男子が約 11歳です。
3)「BMI」シート
初画面:「BMI」ボタンをクリックすると、成長速度曲線が得られます。性別は自動処理。
BMI 曲線 成人では BMI 値は有用ですが、小児期は BMI パーセンタイル曲線を指標に使います。
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4)「成長グラフ印刷・男女別」シート
初画面:「成長グラフ印刷・男女別」ボタンをクリックすると、プロットされていない男女別の成長グラ
フに移動します。印刷 1 ページ目が女子、2ページ目が男子です。
軽度~中等度肥満・ヤセなど、受診を勧めるほどではないが経過観察が必要な生徒には、この成長グラフを
印刷して渡し、家庭で管理をします。
F データ保存
1)データ入力後、「データ保存」赤ボタンをクリックすれば、「保存データシート」に、データが保存
されます。サンプルデータ 5の場合を示すと、
初
画面の「データ保存」赤ボタンをクリックして、保存確認の「OK」ボタンをクリックします。
データは、「保存データシート」に保存されます。
2)保存されたデータを見るためには、初画面の「保存データシートへ」ボタンをクリックします。
以下は、保存データシートの画面です。
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保存されたデータは、Data No.が付けられて、一行におさめられています。
3)保存されたデータは再セットできます。方法は、画面右に記述していますが、
「Data No を選択」の「0」を「1」にして、「入力データ再セット」ボタンをクリックします。
サンプルデータ 5の成長曲線が、すぐに描かれます。なお、No.0 はサンプルデータです。
G データ印刷
データ入力後、初画面の「データ印刷へ」または「成長速度データ印刷へ」ボタンをクリックして、
画面移動します。
印刷画面1:「データ印刷へ」は、身長・体重の成長曲線・肥満度曲線が印刷できます。
印刷画面2:「成長速度データ印刷へ」は、身長の成長曲線・成長速度曲線・肥満度曲線が印刷できま
す。
印刷画面その他1:「成長曲線 SD表示・%表示」、
印刷画面その他2:初画面右上の「成長グラフ印刷-男女別」
正常範囲内の各個人に、無記入で配布できます。
いずれも「印刷」ボタンをクリックすれば、個人データの印刷プレビューが出ます。
学校の場合、印刷して家族に渡し、医療機関の受診を勧めます。
医療機関の場合、印刷してカルテに保存します。
H 「成長曲線自動作成プログラム」自体の保存
成長曲線自動作成プログラムには、毎年保存シートに、大事な時系列情報が保存されます。
そのため、「学校健診プログラム」と同様、新しいファイルを供給しますので、年度末には名前を変え
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て保存してください。例えば、2018 年度版の保存名は「成長曲線自動作成プログラム 2018」とします。
保存シートには、今までに作成した健康管理プログラムの「Excel 原票」データも転送できます。例え
ば、「Excel 原票 2011 小学5年生」データを転送して保存する場合、「成長曲線自動作成プログラム- Excel
原票 2011 小学5年生」のように名前を付けて保存します。
平成 30 年 4月 1 日
(文責:高橋泰生)