鉛筆でラクラク、 スケッチ力アップ › s-text.pdf · 第2節...
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あなたもスケッチ力をアップして人生を豊かに、創造力豊かに。
スケッチ力を上達させるには描く技術よりも、
ものをしっかりと観察するほうが大切です。
他の学問と同様、まずしっかりと基礎をマスターすることで、
どなたでも平等に上達していきます。
センスや才能は描く事の楽しさを感じた後の
繰り返しの練習によって自然とついてくるものです。
鉛筆でラクラク、スケッチ力アップスケッチ力アップで充実した人生を!
スケッチの基礎から応用までスケッチの基礎から応用まで
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第1節 エンピツの削り方を覚えましょう
これからスケッチを練習する前に、描きやすいエンピツの削り方をご紹介します。日
本では通常エンピツを削る時には、カッターを手前から前方に押して削る事がほとん
どです。しかしこの方法だと、よほど削り方に慣れた人でないと、なかなか削ったエン
ピツの先の形が、スマートな形状にならず、エンピツを紙に走らせる時にいろいろなタッ
チの線を描くことができません。本講座では、鉛筆の先を長く綺麗なクサビ型に削る
方法を紹介します。
写真5写真1 写真2 写真3 写真4
エンピツをカッターで削る理由は、通常の鉛筆削りだと芯先の角度が浅く、描いている最中にすぐに芯先が丸くなっ
てしまうからです。カッターを手で芯を長く出すように長めに削ると、かなりの時間削らなくてもいいので、描画作業に
集中できます。それから、日本の一般の削り方だと、手前から押して削る場合が多いので、慣れないと、どうしてもき
れいに削る事が出来ません。そこで、本編では欧米の鉛筆の削り方を導入しました。この削り方だと削る時の力も少な
くて済み、なおかつ削る時間も早く、削った鉛筆の形もキレイに整います。
写真 10写真 6 写真 7 写真 8 写真 9
まず、エンピツの削る面を手前にして、約3センチくらい奥の、ちょうど六角形の角にカッターで切り込みを入れます。
カッターの歯がグラグラ動かないように、枝の部分をしっかり持って、少しずつ一気に木の端まで 一気に削ります。
エンピツは六 角形ですので、角を手で回しながら、切り込 み を6カ所入れます。
さらに、木の角を見つけながら、削り進めて行きます。エンピツは削るたぶに手で回転させながら削るようにしてください。
ある程度削り進めると、だんだ んと芯 が見 えてきます。ここで注意しなければならない事は、芯が10ミリくらい出てくるまで、芯は削らないように残しておく事がコツです。
芯が十分出て来たら、エンピツを手前に傾け、芯が紙に当たるようにします。
今度は、芯だけをカッターで尖らせます。あまり芯を押しつけると、芯が折れる事がありますので、カッターが滑る場合は、カッターの歯を交換してください。
芯の断面はキレイに丸くする必要はありません。芯の先も針のようにとがらせなくても構いません。
だんだん芯が尖ってきました。もう少しで出来上がりです。
これでエンピツ削りは終了です。他のエンピツも同じようにして削ってください。ただし、濃度が薄いエンピツほど堅く、削りにく、濃いエンピツほど削りやすいですが、気をつけないと、芯が折れやすいので注意しましょう。
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ンポイント
扌クリックすると動画で見られます
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第1節 描きやすいエンピツの持ち方
鉛筆の持ち方には、基本的に次の 3 つの形があります。
大きく分けて「受け持ち型」「かぶせ型」「筆記風型」などです。
それぞれに特徴があり、描きはじめや仕上げなどに応じて使い分けるといいでしょう。
これらは描く時の腕の動きに対応した、最も自然な手の形を示しています。引きにくければ、紙の角度を変えてみます。
紙を立てた時に良く使う持ち方です。イーゼルなど描く紙の面が手前に立っている時に良く使います。補助線を薄い線で引く時や、下描など、大雑把に輪郭線を描く時にメインで使います。エンピツを握った時に、手のひらが内側、横になるように持つと描きやすいです。エンピツに軽く手を添えるのが握るコツです。
この持ち方は、おそらく一番良く使う持ち方だと思います。大ざっぱな下描きから、比較的細かい部分までカバー出来ます。親指と中指二本で軽く持ち、手のひらをかぶせるようにして、人差し指で上からエンピツを押さえて筆圧を調整します。この描き方は紙を立てても寝かせても両方使えるオールマイティーな持ち方なので、大きく描くときも、小さく描く時にも活躍します。
最後に紹介する持ち方は、一見文字を描く用にも見えますが、良く見ると、文字を書く時よりもエンピツの先を1~2センチほど前に長く出して持っています。こうする事によって指や手首が動く事なく、腕全体で線を引けますから、スムーズできれいな線を引く事が出来ます。また、仕上げ段階で、手首や指先を使わなければならない時は、眺めに出したエンピツの先を短く持てば楽に描けるようになります。
❶ 受け手型
上の写真のような持ち方だけでなく、少しずつ持ち方を変えてみてください。人によって持ち方にはクセが
あります。自分が一番楽に描ける持ち方をいろいろ試してみてください。紙を寝かせて描いたり、立てて描いたり、
紙の角度を変えた場合、持ち方も変えたほうが楽に描け、線の流れも安定してきます。
❷ かぶせ型 ❸ 筆記風型
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ンポイント
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第1節 水平線の引き方と腕の動かし方
●平行線の練習
最初は薄いエンピツ(2H)を使い、ゆっくり左の端点から右の端点へ向かって、ゆっくりと引きます。それを上下に
何本も引いてみます。間隔は10ミリくらいが良いでしょう。エンピツの持ち方もいろいろ変えてみて、自分が描きやす
い持ち方を見つけてみてください。これらの線を引く時のコツは、指や手首は動かさず、鉛筆を持った時に、腕全体を
動かすことです。
慣れて来たら筆圧を変えて線の太さにに強弱をつけたり、徐々に線幅を広くしたり、狭くしたりしてみましょう。。
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第1節 ウォーミングアップ(ラクガキ感覚で)
下に、小さな点を等間隔で四方にちりばめた方眼を用意しました。休憩も兼ねてリラックスした気分で点と点の間、
あるいは点と点を結ぶ直線や曲線を引いて、思いつくままに自由にラクガキをしてみてください。頭の中に浮かんだイメー
ジが浮かべばその形を思い出しながら、子供時分にもどった気分でラクガキ気分で描いてみてください。幼児の頃のよ
うに、感情に赴くままにグジャグジャと線を走らせてみてください。この次のページから2ページ用意してあります。
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円や楕円 正三角形 台形 四角形
平面体(2次元)第2節 基本図形の描き方(練習課題)
円をスムーズに描くコツは、一発で描いてしまわずに、薄い線でグルグルと円周を2~3回回しながら、次第に円に近づけていきます。
➡➡
正 三 角 形 の 場合は、まず天地を通る中心線を薄く描きます。
底 辺の水平 線 を長めに引きます。
内角が60°になるようになるまで調整します。
楕円は仮想の四角形を薄く描き、その中に内接する円弧を描くとバランス良く描けるようになります。その場合も2~3回、回転させて調節してください。
円錐形の場合もまず、中心線を描きます。
同じく四角形も最初は中心線を描きます。
上辺の水平線と下の水平 線を平 行に引きます。
上辺の水平線と下の水平 線を平 行に引きます。
上辺の水平線と下の水平 線を平 行に引きます。
上辺の水平線と下の水平 線を平 行に引きます。
➡ ➡ ➡
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第3節 楕円を実際の題材に当てはめてみましょう これまでの楕円の描き方を元に、楕円形を基本形にしたいくつかの題材(食器や課程雑貨など)を描いてみましょう。
例としてコーヒーカップを描いてみます。まず左の楕円を見下ろした時の図を参照しながら上面の楕円と底面の楕円
の天地の幅の変化を確認しながら2つの楕円を上下に描き、楕円の左右の端の接するように、ゆるやかな曲線でつな
ぎます。
➡上下の楕円を描き終わったら、緩やかな曲線で
楕円の接線をつなぐ。
描き終わったら点線部分の線は消して完成。
楕円とタテの曲線がスムーズにつながり、実物と比べても違和感のないスケッチが出来ます。
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線で形が表現出来たら、陰影をつける事によって、さらにリアル感を表現することが出来ます。
早描きを要求されるスケッチについては、ハッチング(平行線の集合)による陰影のつけ方が良く使われます。
その他にも鉛筆の芯の腹(側面)を使ったボカシ技法も使われます。
8.陰影をつけると、さらにリアルな表現ができる
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●ハッチング(平行線の集合)による陰影練習(別紙練習用紙あり) ハッチングの場合は鉛筆を立てて描きます。面塗りによるボカシ技法は、鉛筆を寝かせて描きます。 平行線の感覚がムラになっても構いません。最初は薄く、徐々に濃くしていきましょう。 ハッチングの線は、できるだけ等間隔に引くようにしてください。
●別紙の陰影練習用紙を使います。 ●最初は一番左のマス目を、もっとも薄く、次に一番右のマス目をもっとも濃くします。
三番目に真ん中のマス目を中間の濃さにします。
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①↓
③↓
②↓
●ハッチング(平行線の集合)による立体(立方体、円柱)の陰影練習(別紙練習用紙あり) 面塗りによるボカシ技法も、時間があれば試してみてください。
第1節 陰影「グラデーション」の表現方法
線で形が表現出来たら、陰影をつける事によって、さらにリアル感を表現することが出来ます。早描きを要求される
スケッチについては、ハッチング(平行線の集合)による陰影のつけ方が良く使われます。
その他にも鉛筆の芯の腹(側面)を使ったボカシ技法も使われます。