外国語習得のウソ・ホント!? ·...

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― 11 ― 外国語教育 ―理論と実践― 第41号 平成27年 3 月31日発行 <研究ノート> 外国語習得のウソ・ホント!? 第二言語習得研究の成果から<要 旨> 社会における急速なグローバル化に伴い、年齢を問わず、英語を学びたいと願う 学習者が増加している。そのような学習者を対象に、さまざまな「効果的な英語学 習法」が提案されている。しかし、それらの方法の中には根拠がないものも少なく ない。本稿では、ある英語学習法の検証を通じて第二言語習得研究の成果を紹介す る。そして、第二言語習得研究の見地から言語教育に関わる教師が効果的な学習法、 教授法を構築する前に考えるべきこと、すべきことについての示唆を行う。 <キーワード> 第二言語習得、英語学習法、言語習得のメカニズム 1.は じ め に 社会における急速なグローバル化に伴い、英語力の向上は極めて重要な課題になってきてい る。英語教育においては英語力を養成するための改革が必要とされている。しかし、日本のよ うに日常的に英語を使う機会がそれほど多くない環境では、英語を習得するには何らかの「工夫」 が求められる。その「工夫」として数多くの「効果的な英語学習法」と銘打った学習方法が提 案され、学習者を翻弄している。たとえば、このような広告である。 (1) (1)〇〇〇〇〇を聞き始めたころ、恥ずかしいくらい英語が話せませんでした。でも、翌年、 僕は英語を話し始めました。何度も言いますが、僕は〇〇〇〇〇を聞き流し続けただけんです。そして、3年前、イギリスで英語の取材を受けた時、英語には困らなくなって いました。なぜ、こんなに成長できたのか。それは聞くことをやめなかったから。続け

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― 11 ―

外国語教育 ―理論と実践― 第41号

平成27年 3 月31日発行

<研究ノート>

外国語習得のウソ・ホント!?

—第二言語習得研究の成果から—

吉 田 智 佳

 <要 旨>

 社会における急速なグローバル化に伴い、年齢を問わず、英語を学びたいと願う

学習者が増加している。そのような学習者を対象に、さまざまな「効果的な英語学

習法」が提案されている。しかし、それらの方法の中には根拠がないものも少なく

ない。本稿では、ある英語学習法の検証を通じて第二言語習得研究の成果を紹介す

る。そして、第二言語習得研究の見地から言語教育に関わる教師が効果的な学習法、

教授法を構築する前に考えるべきこと、すべきことについての示唆を行う。

 <キーワード>

 第二言語習得、英語学習法、言語習得のメカニズム

1.は じ め に

 社会における急速なグローバル化に伴い、英語力の向上は極めて重要な課題になってきてい

る。英語教育においては英語力を養成するための改革が必要とされている。しかし、日本のよ

うに日常的に英語を使う機会がそれほど多くない環境では、英語を習得するには何らかの「工夫」

が求められる。その「工夫」として数多くの「効果的な英語学習法」と銘打った学習方法が提

案され、学習者を翻弄している。たとえば、このような広告である。(1)

 (1)〇〇〇〇〇を聞き始めたころ、恥ずかしいくらい英語が話せませんでした。でも、翌年、

   僕は英語を話し始めました。何度も言いますが、僕は〇〇〇〇〇を聞き流し続けただけな

   んです。そして、3年前、イギリスで英語の取材を受けた時、英語には困らなくなって

   いました。なぜ、こんなに成長できたのか。それは聞くことをやめなかったから。続け

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― 12 ― 外 国 語 教 育

   た分だけ聞きためることができる。聞きためた文だけ英語が口から出せる。それが〇〇

   〇〇〇です。

 これはある有名人がご自身の英語上達法について語ったエピソードである。一英語学習者と

してこのように語られているだけで、なんら問題はない。ただ、気になった一言、「聞き流し続

けただけ」のフレーズが頭に残り、絶賛されているこの教材に深い関心を持った。そこで、こ

の教材の推薦コメントを読んでみた。

 (2)日本人が何年勉強しても英語を話せない理由の多くは使いすぎの左脳に英文法や単語を

   機械的に詰め込む勉強法にこだわるからです。(中略)一方、〇〇〇〇〇は空っぽに近い

   右脳に、英語を言語としてではなく、音としてインプットする方法です。感性を担う右脳

   は、左脳よりずっと英語を吸収しやすいうえに、聞いたままをきれいな発音で再現しやす

   いのです(中略)〇〇〇〇〇は脳科学的に見て、とても効果の高い教材なのです。

 これを読んだときには正直驚いた。もちろん、このように学習者を惹きつける推薦コメント

は、他の教材広告でも見られる。こうした広告では「効果的な学習法(教材)」と謳ってあって

も、少し調べてみるとその根拠がなかったり、曖昧であったりするものが多々見受けられる。

したがって、本稿では俗説や推薦者の権威に誤って誘導されないために、外国語の習得、特に、

英語習得について言われていることの「ウソ・ホント」の検証を通じて第二言語習得研究、あ

るいはその関連分野からの研究の成果を紹介し、効果的な学習法、教授法を構築するに当たり、

語学を教える教員が「何を検討すべきなのか」について考察したい。

2.英語の習得に関する俗説

 もう一度(1)のコメントを見よう。前後の文脈から推測すると(1)の太字部分「聞き流し続けただけ」

は(3)のように解釈できる。

 (3)○○○○○を聞き流し続けただけで(聞き流しを始めた)翌年には英語を話し始め、(イ

   ンタビュー時点から遡り)3年前には英語には困らなくなっていた。

さらに、(2)の推薦文の太字部分はそれぞれ(4a)-(4d)のように解釈される。

 (4)a.使いすぎの左脳に英文法や単語を機械的に詰め込む勉強法にこだわるから英語が話せ

     ない。

   b.空っぽに近い右脳に、英語を言語としてではなく、音としてインプットすれば英語が

     話せるようになる。

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― 13 ―外国語習得のウソ・ホント!?

   c.右脳は左脳よりずっと英語を吸収しやすい。

   d.右脳に(英語を言語としてではなく、音として)インプットすると聞いたままをきれ

     いな発音で再現しやすい。

さて、(3)と(4)のそれぞれの内容を整理すると、検証すべき点は(5a)と(5b)の2点に集約さ

れると思われる。

 (5)a.「聞き流すだけ」の方法は英語の習得において効果があるのかどうか?

   b.英語は右脳で処理されるのかどうか?

以下ではこの 2 点について順に検討していきたい。

2.1.  「聞き流すだけ」の方法は英語の習得において効果があるのか?

2.1.1. 母語獲得と第二言語習得の違い

 「聞き流すだけ」の方法の効果を検証する前に、母語獲得と第二言語(外国語)習得の違いを

述べ、言語習得観の変遷について概観する(2)

。なぜなら、「聞き流すだけの方法」では母語獲得と

第二言語習得の重要な違いが無視、あるいは軽視されているように思われるからである。少な

くとも(6)に挙げる7点において母語獲得と第二言語習得は異なる(3)

 第二言語習得においては学習者が幼児や、成人の場合があるため、ここでは成人第二言語学

習者について述べる。まず、母語獲得においては乳幼児は初めて言語を習得するのに対し、第

二言語習得においては学習者は(少なくとも母語獲得が終了しているため)一つの言語を習得

した段階から学習を開始する。第二に、身体的成熟度に関しては、乳幼児は喉などの身体的器

官がまだ十分に発達していないが、第二言語学習者はすでに身体的器官が十分に発達した状態

にある。第三に、母語獲得では乳幼児は問題解決能力、演繹的推論、複雑な記憶課題に取り組

む力は持っていないが、第二言語習得においては学習者はすでにそのような力を持ち合わせて

いる。第四に、乳幼児は世界に対する知識をまだ持っていないが、第二言語学習者はその知識

を使って(第二言語で)対話する相手が言っている内容について推測することができる。第五に、

母語獲得では乳幼児は語の定義や、文法の規則などは言えないのに対し、第二言語学習におい

(6)母語獲得と第二言語習得における違い母語獲得 第二言語習得

1 少なくとも1つの言語を習得している No Yes2 身体的成熟度が高い No Yes3 認知的熟達度が高い No Yes4 世界に対する知識がある No Yes5 メタ言語知識がある No Yes

6 学習開始年齢が早い Yes(0 歳)

No(母語獲得後)

7 インプットが十分に与えられる Yes No

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― 14 ― 外 国 語 教 育

ては学習者はそれを言うことができる。第六に、母語獲得では 0 歳が開始年齢であるのに対し、

第二言語習得においてはその年齢よりもかなり高い年齢(通常 12 歳以上)であることが多い。

最後に、インプットの量であるが、母語獲得においては生まれてから常に母語にさらされてい

るのに対し、第二言語習得においては母語獲得時と比べてはるかに少ないインプットしか与え

られない。

 現在ではこれらの違いは第二言語習得において大きな影響を与える要因として認知されては

いるが、1950 年代はそうではなかった。当時の心理学では行動を観察することによって心を解

明しようとする「行動主義(behaviorism)」と呼ばれるアプローチが盛んであった。この考え

を言語に当てはめたのが B. F. スキナー(Skinner)である。彼は母語獲得は他の習慣形成と同

様に、刺激と反応の結合が強化されることによって説明されると主張したのである。親が子供

に話しかけ、それに対して子供が何らかの反応を示す。これが刺激と反応である。たとえば、

親が(車のおもちゃを持って)「これは車。ブーブよ。」と語りかけ、その語りかけに対して子

供が「ブーブ」と模倣をしたとしよう。親は喜んで「そうねえ。ブーブ。上手に言えたね。」な

どと褒めたりすると、子供はその喜ぶ親の顔を見て、親のことばを模倣し、その繰り返しによっ

て母語を獲得するという仮説である。ところが、この仮説には大きな弱点があった。その弱点

を突いたのが N. チョムスキー(Chomsky)である。彼は「人間は生まれてからわずかな期間で

母語をほぼ完全に獲得するようになるが、その間に受ける環境的・言語的刺激は限られたもの

である。それにも拘わらず、創造的で豊かな内容を持つ言語知識を獲得できるのはなぜか?(=

プラトンの問題)」という問いを掲げ、行動主義に基づく言語習得観ではこの問いに答えられな

いと批判した。そして、この問いに対してチョムスキーは「人間は生まれながらにして、人間

の言語であればどのような言語でも獲得できる装置を持って生まれてくる。」と答えたのである。

これが生得仮説(innateness hypothesis)である。この仮説に従えば母語獲得は(7)のように

図示することができる。

 (7)

   母語の言語データ⇒  言語習得装置  ⇒ 母語の文法

 子供が生まれて、その子供の周りで日本語が話されているとしよう。子供の両親、祖父母な

どが日常的に日本語を使って生活をしているため、子供は常に日本語にさらされていることに

なる。つまり、その子供にとっては日本語が入力データとなり、数年後には日本語を獲得して

しまうということである。

 次に第二言語習得の変遷についてであるが、1950 年代は行動主義のアプローチが盛んであっ

たことは前述した。当時は第二言語習得観もこの仮説に基づいたものであった。つまり、第二

言語学習者がある文法項目を習得するためには、その文法項目を繰り返し練習することでその

項目が自動的に使用できるようになるというものであった。そうして生まれた練習方法が「パ

ターン・プラクティス(pattern practice)」である。当時この方法がアメリカで効果を上げたこ

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― 15 ―外国語習得のウソ・ホント!?

とにより、世界中へと広まっていった。「パターン・プラクティス」とその効果については第3

節で詳しく検討する。

一方、生得仮説に基づいた第二言語習得観も存在する。特に、1980 年代後半以降、生得仮説に

基づいた研究が増えてきた。しかしながら、母語獲得と第二言語習得では(6)の 1 - 6 に示した

ように習得の初期状態が異なる。つまり、第二言語習得の開始時点では、既に母語が獲得され

ていて、認知能力も高く、身体的にも成熟した状態である。この違いによって持って生まれた

言語習得装置が母語獲得の場合とまったく同じように機能するのか、それともしないのか、あ

るいは部分的に機能するのかなどいくつかの場合について検討する必要が出てくる。第二言語

習得研究の分野では、今なお、この大きな課題についてはさまざまな習得データをもとに検証

中である(4)

 さて、ここで「聞き流すだけ」の方法の背後にある言語観は何かと考えてみると、おそらく

それは「子供が母語を獲得するのと同じように第二言語学習者は第二言語を習得していく」と

いう言語観だろう。そうでなければ、「聞き流すだけ」の方法は理論的裏付けのないものになっ

てしまうからである。仮にこの想定が正しいとすれば、第二言語習得の初期状態は母語獲得の

場合と同じであり、(7)の言語習得装置は第二言語習得の場合にも母語獲得の場合とまったく

同じように機能するということを前提としていることになる。しかしながら、「母語獲得と同じ

ように第二言語学習者は第二言語を習得していく」という言語観を支持する仮説「完全転移・

UG 完全利用モデル(No Transfer / Full Access Model)」は実証的データによって支持されず、

次第に取り上げられなくなってきている(5)

。つまり、「聞き流すだけ」の方法は現時点では理論的

根拠が存在しないということになる。

2.1.2.気づき

 「聞き流すだけ」の方法を「気づき(noticing)」の点から検討してみよう。「聞き流す」を国

語辞典で調べてみると、「聞いても気にしないでおく」と定義されている。つまり、(音声を)

聞いても「注意を払わない」ということと解釈できる。したがって、「気づき」の点からの考察

は外せない。

 Schmidt(1990)は日本のように教室を一歩出ると英語にさらされることのないような言語環

境において第二言語能力を伸ばすためには、特定の学習項目に注意を払い、意識すること、つ

まり、「気づき」が必要であると主張した。さらに、それらの項目が表す意味や機能との関連に

学習者が気づいたときに習得が可能となり、学習が進むと提唱した(6)

。「聞き流すだけの方法」で

はいかなる項目に対しても「気づき」は生まれない。なぜなら、いかなる言語形式に対しても

注意を払わないからである。その結果、習得は進まないということになる。それでも、もし、

効果があるとするならば、それを検証する必要があろう。

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― 16 ― 外 国 語 教 育

2.1.3.インプットの質と量

 次に学習者が受ける言語インプットの量と質の点から考えてみたい。まず、言語インプット

の「質」から検討してみよう。日本のような言語環境で、第二言語学習者が受けるインプット

は主に教師の話す英語(外国語)である。教師は学習者が理解できるような語彙、表現を用い(た

とえば、短い文や平叙文を多く使い、使用頻度の高い単語を繰り返し使うなど)、ゆっくり話す

ことが多い。この点では乳幼児が母語を獲得する際に与えられるインプットと類似している。

もし、インプットの質が言語習得に大きな影響を与えるのだとすれば、同じようなインプット

を与えられる第二言語学習者も母語話者のように第二言語を容易に習得できるはずである。そ

こで「どのようなインプットを与えれば第二言語習得がうまくいくのか」という研究がなされ

てきた。しかし、第二言語学習者は母語話者よりも「ゆっくりとしたスピードで話されないと

理解ができない」ということは報告はされているが、インプットの質に関しては未だ明確な結

果は報告されていない(7)

 次に「量」について検討してみたい。母語獲得の場合、乳幼児が受ける母語のインプット量

としては 12 時間(1 日に乳幼児が起きている時間)× 365 日× 4 年間(母語獲得が完了する期

間)とすると、17,520 時間であると言われている(8)

。一般的な日本人英語学習者が受けるインプッ

ト量は 1 時間(英語の授業内でインプットを受ける時間)× 365 日× 6 年間(中学校・高等学

校で学ぶ期間)= 2,190 時間であるという。つまり、日本のような言語環境においては、母語獲

得の場合と比べると、第二言語の言語インプット量は圧倒的に少ないと言わざるを得ない。で

は、インプット量がもっと多い場合はどうだろうか?イマ―ジョン(immersion)教育の環境で

は、1 年間でインプットを受ける時間は 7,000 時間にも上ると言われている(9)

。母語獲得ほどのイ

ンプット量ではないにしても、かなりの時間数のインプットを受けていることになる。確かに

イマ―ジョン教育を受けている英語学習者の英語運用能力は高く、リスニングテストの成績は

母語話者並みだと報告されている。その一方で、文法能力が不完全にしか発達していないこと、

場面に適したことば遣いができないことが報告されている(10)

 さて、「聞き流すだけ」の方法はどうだろうか?音声教材に収録されているインプットは有限

である。さらに、インプットの時間を増やしても英語母語話者並みの英語力は身につかないこ

とはイマ―ジョン教育の場合で検証されている。つまり、「聞き流すだけ」の方法では母・

語・

話・

者・

と・

同・

じ・

よ・

う・

な・

英・

語・

能・

力・

は・

身・

に・

つ・

か・

な・

い・

のである。

 ただ、ここで注意したいのは「英語母語話者並みの英語力は身につかない」ことは報告され

ているが、「英語力が伸びない」とは言われていないことである。宣伝広告では「英語が話せる

ようになる」「英語がペラペラになる」などという表現が使われることが多い。しかし、その解

釈はその広告の読み手(あるいは聞き手)に任されているのである。つまり、「英語が話せる」

を「英・

語・

母・

語・

話・

者・

並・

み・

に英語を使うことができる」のか「海外に行ったときに入国審査の時に

尋ねられたことに対して答えられる」、あるいは「外国人に道を尋ねられて教えてあげられる」

程度なのか、到達度についての解釈はさまざまである。実際に教材を使用した方々からのコメ

ントを読むと、その点が統一されていないことに気づく。効果について言及する場合には、「ど

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― 17 ―外国語習得のウソ・ホント!?

のような発達段階の学習者がどの程度の段階まで到達できるのか」を明らかにしなければなら

ないのである。その点を明確にしない限り、「効果がある」あるいは「効果がない」とは言えない。

2.2.外国語習得は右脳で行うことができるのか?

 「外国語習得は右脳で行うことはできるのか?」については脳のしくみを概観する必要がある。

人間の脳は【図 1】のようになっている(11)

人間の成人の脳は約 1,300 gであり、

大脳、小脳、脳幹の 3 つの部分に分

けられる。脳幹は心臓の働きや呼吸

など、生命活動の基本的な営みをコ

ントロールする部分である。小脳は

運動機能に関わる。大脳はことばに

最も関係の深い部分であり、前頭葉、

側頭葉、後頭葉、頭頂葉の 4 つの領

域に分けられる。前頭葉は主に考え、

判断を下し、行動に移す機能を司る。

前面部にある前頭連合野は思考や、

意思決定、創造性などに関わり、後方にある運動野は運動指令を司るという。その中間に位置

する運動性言語野(ブローカ野)はことばを話すときに喉や口の筋肉に指令を出す部分である。

側頭葉は主に聴覚や記憶を司る。聴覚野では音の大小や高低を判別する。側頭連合野では、も

のの形や色の識別と記憶を司り、感覚性言語野(ウェルニッケ野)でことばを理解する。頭頂

葉は主に知覚や感覚を司る。体性感覚や痛みや温度、圧力などの皮膚感覚を司り、それらの情

報を頭頂連合野が統合することにより、体感(暑い、寒いなど)を得ることができる。後頭葉

は視覚を司る部分であり、視覚連合野で目からの情報を処理し、形、色、大きさなどを分析する。

このように脳はいくつかの領域がそれぞれの働きを担っている。

 次に、頭を上から眺めてみよう。【図2】に右脳と左脳のそれぞれの働きを記載した(12)

【図2】で示したように、右脳と左脳はそれぞれ担う役割が違うことが分かっている。そして、

で示した部分が「脳梁」と呼ばれる部分であり、両方の脳の情報を常に交換し合っている。さて、

【図2】の右脳と左脳の役割を見比べてみると、左脳は圧倒的に言語に関して優位に働くことが

分かる。この言語の左脳優位性は R. W. スペリー(Sperry)と M. S. ガザニガ(Gazzaniga)ら

が分離脳を持つてんかん患者に対して行った実験の結果判明したことである(13)

。言語に関して左

脳が優位であることが判明すると、次に左脳のどの領域がどのような役割を担うのかという実

験がブローカ (Broka) やウェルニッケ(Wernicke)たちによって行われた。

【図1】人間の脳

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― 18 ― 外 国 語 教 育

その結果、現在では言語の関わり合

いが深い部分は【図3】の A から E

で示された部分であることが判明し

ている。角回は字を読んだり書いた

りすることに関わる領域であり、視

覚情報を聴覚情報に変換し、音読に

必要な処理をしていると考えられて

いる。縁上回は角回よりも前方にあ

り、ウェルニッケ野を経て音の情報

が送られてくる領域である。した

がって、この部分が損傷を受けると、

相手の言ったことをそのまま繰り返

して言うことができないことが判明

している。現在では言語の文法能力と言語発達に関与するという遺伝子(FOXP2)が発見され、

それがブローカ野とその右半球相同領域と両側の頭頂葉縁上回辺りに存在すると言われている。

したがって、この遺伝子の分布とその部位の機能を結び付けて考えれば、縁上回に障害が起こ

ると、記憶装置である作動記憶(ワーキングメモリ)が機能不全を起こし、言語的情報の処理が

適切にできなくなる結果、相手の言ったことをそのまま繰り返して言うことができなくなると

いう説明ができよう。

 このように右脳と左脳のはたらきが明らかになってくると、「外国語習得は右脳で行うことは

できるのか?」という問いに対しては「できない」と答えざるを得ない。右脳には右脳の役割

があるし、左脳には左脳の役割があるのである。また、英語はやはり言語としてしかインプッ

【図2】右脳と左脳の側性化(14)

【図3】左脳の言語に関わる領域

左 脳

・文字・単語

・言語関連音

・複雑な随意運動

・言語的記憶

・話す・読む・聞く・計算

右 脳

・複雑な幾何的パターン

・非言語環境音

・複雑なパターンの触覚

 再認

・空間的パターンをなす

 運動

・非言語的記憶

・幾何・方向感覚

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― 19 ―外国語習得のウソ・ホント!?

トされず、音楽のように音としてインプットすることはできない。したがって、(4b),(4c),(4d)を裏付ける根

拠は何もない。

 次に(4a)「使いすぎの左脳に英文法や単語を機械的に詰め込む勉強法にこだわるから英語が

話せない。」を検証したい。PET(Positron Emission Tomography;陽電子放射断層法)を用い

た実験の結果、単語は左脳の特定部位に記憶されることが分かった。【図4】の示すとおりであ

る(15)

 このことから、たとえ、右脳のイメージ力を使って単語を記憶しようとしても、単語は人間

の意志に関係なく、自動的にその記憶と関係のある左脳の特定部位に保存される。したがって、

(4b)の「使いすぎの左脳に英文法や単語を機械的に詰め込む勉強法にこだわるから英語が話せ

ない。」から推測される「右脳活用法」には無理があることになる。さらに、(4b)を「単語を記

憶する際に右脳のイメージ力を使おう」ということだと善意に解釈したとしても、そのイメー

ジ力についてさえも左脳が関与しているという実験報告もある(16)

 最後に(4d)の「右脳に(英語を言語としてではなく、音として)インプットすると聞いたま

まをきれいな発音で再現しやすい」について考えてみよう。音を再現するには「どのような音

であるか」を認識して分析し、発声器官を通じて産出することである。すでに見たように、言

語に関わる一連の作業が行われる領域は左脳である。

 このように言語理解や産出に関わるのは、右脳ではなく、左脳である。したがって、(4a)-(4d)

のいずれも根拠がないということになる。

3.第二言語習得研究の成果から分かっていることと英語教授法への示唆

3.1.繰り返し練習の利用可能性と段階指導法

 第2節で「パターン・プラクティス」に言及した。この練習方法は 1950 年代の第二言語に対

する言語観、「外国語は母語と異なる項目や特性を習得することが難しく、母語と同じ特性を持

つ項目は習得が容易である」に基づいている。つまり、「母語と異なる項目は習得が難しいから、

繰り返し練習をして習得しなければならない」という考えが背景にある。当初アメリカでこの

【図4】左脳と単語の保管場所

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― 20 ― 外 国 語 教 育

方法の成果があがったことから、その方法は急速に広まった(17)

。ところが、日本のような教室環

境では機械的な繰り返し練習は一時的な効果しか認められなかったことと、一時的に正しく発

話されたとしてもその構造を習得できたとは言えないという問題点が挙げられ、現在ではその

方法は下火になった。しかしこの「パターン・プラクティス」は全く意味がないのかと言えば、

そうとも言えない。

 【図5】は Levelt(1989)の言語産出モデル(Production Model)を簡略化したものであ

る。このモデルでは、伝えようとする概念を生み出す概念化装置(conceptualizer)、語彙項目

(lexicon)、概念化装置と語彙項目からの情報を受けて文を作る形式化装置(formulator)、発声

器官を動かして実際の発話を調音する調音化装置(articulator)が言語産出の言語処理を司って

いる。その過程の概略は【図5】の枠で囲まれた部分に示されている(18)

 このモデルは第二言語習得で何が重要であるかを把握する点で重要であると思われる。つま

り、話すためにはまず「伝えたいメッセージを持つこと」、「言語知識が言語化するのを支えて

いること」、そして「その言語化する作業を自動化すること」である。「パターン・プラクティス」

は⬅で示された部分、つまり、言語化を自動化する練習の一部として取り入れることが可能で

あると思われる。たとえば、(ある場面で言いたいことを適切に伝えるための)新しい構文を教

えるとしよう。学習者がその構文が使えるようになるために(=自動化を促すために)、パターン・

プラクティスを利用することには意義があると思われる。

 さらに英語を「聞く」「話す」という作業にはいくつかの異なる作業段階があるということに

注意を払わなければならない(19)

。Field(2008)は聞く作業は少なくとも 2 つの段階、「音を単語や

文に置き換える段階(decording)」と「文を解釈する段階(interpretation)」があると指摘して

いる。話す作業は Levelt(1989)のモデルが示すように「伝えたいメッセージを考える段階」「そ

のメッセージを文にする段階」「メッセージを伝えるための構文がスラスラ言えるように自動化

する段階」の3つの段階がある。一つのトレーニング(たとえば、シャドーイングなど)です

べての異なる段階の力を養成しようとするには無理がある。しかし、実際の教育現場ではトレー

ニングに焦点が置かれ、そのトレーニングが「どの作業段階を鍛えるものであるのか」につい

【図5】Levelt(1989)の言語産出モデル(簡略化)

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― 21 ―外国語習得のウソ・ホント!?

ては軽視されているように思われる。「聞く」あるいは「話す」の作業段階をいくつかに分けた

上で、そのそれぞれの段階でどのようなトレーニングを必要であるのかを考えるべきである。

3.2.発達段階・習得順序の存在

 最後に第二言語習得研究の見地から語学教師が特に注意しておきたい点を述べておく。それ

は学習者の発達段階についてである。母語獲得の場合と同じように第二言語習得においても一

定の習得の道筋があると言われている。Krashen and Terrall(1983)は自然な環境で第二言語

として英語を学ぶ学習者を対象に文法形態素の習得について調査した。その後、日本の教室環

境で英語を6年間学習した 31 人の日本人高校生を対象に、文法形態素の習得順序を調べた研究

として Shirahata(1988)がある。この両者を比較したものが(8)である。

 (8)の表からは日本人英語学習者は be 動詞、進行形、所有格(-s)の習得が早く、三人称単数

現在(-s)や、規則変化の過去形、冠詞の習得が遅いことが分かる。他の研究からも日本人英語

学習者は所有格(’s)の習得は早いのに対して、冠詞の習得が遅いことが報告されている。(8)の

教科書の導入順序と日本人学習者の習得順序とを比較すると、連結辞(=be 動詞)については

早い段階から正しく使えるようになる。しかし、ここで注意したいのは早い段階に導入された

項目が必ずしも早く習得できるわけではないということである。たとえば、冠詞は早い段階に

導入されるが、その習得はかなり遅い結果を示している。実際の第二言語学習者の文法項目の

習得順序を観察すると、基本構造が早く習得され、複雑な構造の習得が遅れるというわけでは

ないことが分かる。つまり、英語の教育現場では「どのような項目の習得が早く」「どのような

項目の習得が遅いのか」を注意深く観察し、それを記述していく必要性があろう。そういった

積み重ねが教授法の構築への基礎調査となっていくのである。

(8)文法形態素の自然な習得順序と教室内における習得順序自然な環境での習得順序

(Krashen & Terrell, 1983)教室環境での習得順序(Shirahata, 1988)

New Horizon(平成 14 年度)の出現順序

1 進行形(-ing) 連結辞(be) 連結辞(be)2 複数形(-s) 進行形(-ing) 不定冠詞(a/an)3 連結辞(be) 所有格(’s) 定冠詞(the)4 助動詞(be) 助動詞(be) 複数形(-s)5 冠詞(a/an, the) 複数(-s) 三人称単数現在(-s)6 一般動詞(不規則過去) 一般動詞(不規則過去) 所有格(’s)7 不定冠詞(a/an) 助動詞(be)8 一般動詞(規則過去)(-ed) 三人称単数現在(-s) 進行形(-ing)9 三人称単数現在(-s) 一般動詞(規則過去)(-ed) 一般動詞(規則過去)(-ed)10 所有格(s) 定冠詞(the) 一般動詞(不規則過去)

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― 22 ― 外 国 語 教 育

4.おわりに

 日本のように教室を一歩出ただけで、日常的に英語が話されていない言語環境では何らかの

「工夫」が必要だと述べた。しかし、その「工夫」を凝らす前に、英語教師(あるいは外国語教師)

は少なくとも第二言語習得研究の成果を知ろうとする努力が必要である。そのうえで、ある教

授法を用いて指導して、その指導効果が出た場合であっても「どのような発達段階の学習者に

対して」「なぜうまくいったのか?」を考えることが必要であろう。

 一方、研究者は学習者からデータを収集し、それを詳細に分析し、「何が習得できていて」「何

が習得できていないか」を明らかにする基礎研究をすべきである。第二言語習得研究の目的は、

一つは第二言語の発達過程の解明を目指した習得の事実をもとに、なぜそのような習得段階を

辿って第二言語を身につけていくのかという理論の構築を目指すことであり、もう一つは研究

成果を外国語の教育現場へ応用することである。一つ目の理論構築には基礎研究が必須である。

基礎研究なくして理論の構築はできない。また、基礎研究なくして教育現場への応用は不可能

である。

 語学教師に求められることは、一つは学習者にとって何の習得が容易であり、何の習得が困

難であるのかという事実を一つ一つ拾い上げていくことであり、もう一つは第二言語習得研究

の成果を知ることである。その両方を意識して日々の教育を行うことが、やがては効果的な教

授法の構築につながっていくものと信じる。

謝   辞

 本稿は平成 26 年度 9 月 27 日(土)に天理大学公開講座「外国語への招待」ことばを考える―「学び」から「伝える工夫」へ―での第 1 回講座「外国語を習得するメカニズムって何だろう?」での講座内容に加筆・修正行い、まとめたものである。

注(1)本稿では教材そのものを批判するつもりはないため、〇〇〇〇〇にしてある。(2)厳密には学習する言語が日常生活で使用されている場合、その言語を「第二言語」と呼び、当該第二言

語が話されている国や地域で、学校教育などの一環として学習する場合、その言語を「外国語」と呼んで区別する。しかし、本稿ではその区別をせず、「第二言語」と呼ぶことにする。

(3)鈴木・白畑(2011)、Lightbown & Spada(2013)を参照した。(4)現在では、Schwartz & Sprouse(1996)の Full Transter/Full Access Hypothesis が優勢である。この

仮説では第二言語習得開始時の言語習得装置の値は母語の値に設定されていて、言語習得装置のメカニズムにアクセスすることによって、その母語の値を第二言語の値に書き換えていくというものである。

(5)詳細な議論については White(2003)を参照。(6)Schumidt(1990)は学習者に気づきを起こさせるためには、文法にのみ焦点を充てた指導法には限界が

あり、伝えようとする意味を重視したコミュニケーション活動の中で、学習者の意識を言語形式に向けさせる指導をしなければならないと主張した。この提案以降、ターゲットとする言語形式に学習者の意識を向けさせる研究が盛んになされ、現在では「フォーカス・オン・フォーム(focus on form)」という指導法が文法指導において組み込まれている。もちろん、この「フォーカス・オン・フォーム」に基づく指導法にも課題はある。白畑・若林・村野井 (2010:135-136)は効果の検証法の難しさを挙げている。

(7)Griffiths(1990)は、母語話者は 1 分間に 320 語程度で話された文を理解できるのに対し、第二言語学

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習者は一分間に 150-200 語程度で話されないとその内容が理解できないと報告している。(8)白畑・若林・須田(2004)を参照。(9)Hammerly(1987)を参照。(10)Pawley(1985)を参照。(11)図は http://kanousei88.com/wp-content/uploads/2014/11/ 4つの部位 .png より引用した。(12)左脳と右脳の働きの記述部分については、菊池・谷口・宮元(2002:215)を参考に簡略化した。(13)先に見たように、右脳と左脳は脳梁でもって左右の情報を相互交換し合っている。ところが、てんかん

患者の場合、どちらか一方の脳でてんかん波が起こると、それが脳梁を通じてもう一方の脳にも波動を与えてしまう。その結果、脳が急停止してしまうという。そうなると、急に倒れたりして命の危険性が生じるため、脳梁を切断するという手術を行ったそうである。

(14)図は http://www.d6.dion.ne.jp/~hiudent/brain1.html の図を加工した。(15)乾(1998:69)の図 12 を参考に筆者が図を作成した。そのため、位置が若干ずれている可能性がある。

それによる非はすべて筆者にある。(16)川島(2003)によれば、実際に何か知っているものの名前を思い浮かべるときには物の形状や名前が保

存されている左脳と右脳の側頭葉の下部と左脳の前頭前野が活動するそうである。さらに架空のものを思い浮かべるときでもその同じ部位が活動するそうである。したがって、この実験結果が正しいものであれば、イメージを思い浮かべる場合にも左脳が関係していることになる。

(17)当初の学習者は第二次世界大戦中のアメリカの軍隊に属する人たちだった。研修プログラムの詳細は田中(1995)を参照。

(18)【図5】は筆者によって Levelt(1989)のモデルを簡略化されている。(19)2011 年に東京外国語大学大学院で行われた若林茂則先生の英語教育の集中講義時に受けた示唆である。

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