主観的気分や心地を簡便に記録できるkokoroス...
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主観的気分や心地を簡便に記録できるKOKOROスケール
KOKORO scale, a new technique for analyzing
subjective feeling and state of mind
(独)理化学研究所 ライフサイエンス技術基盤研究センター 細胞機能評価研究チーム
片岡 洋祐
心理評価の難しさ
人の気分・心地を測定するときの問題点 ・気分や心地は一日の間で数分から数時間毎に変化す るのでは? ・主観的な測定は被験者のそのときの感覚の違いによる バイアスが入るのでは? ・微妙な「こころの変化」まで本当に数値化できるのか?
人の気分や心地を測定することなんて できるの?!
従来技術の問題点と新技術(KOKOROスケール)の特徴
従来の心理学調査票やアンケートの多くは設問に記述や選択肢で回答していく方式である ・数分毎・数時間毎に調査することが困難で、「こころの動き」を捉えにくかった。 ・言葉を使用して筆記で回答するため、直観的な感覚をそのまま表記しづらかった。 ・数種類の選択肢(例 ない・ときどきある・よくある)により回答する場合、微妙な心地の 程度を数値化できず、さらに、数理学的統計計算に持ち込めなかった。
そこで、KOKOROスケールでは・・ ・2, 3秒で心地を入力できるため、数分毎・数時間毎の調査が容易。また、2次元空間へ入 力することで、「こころの動き(変化)」を捉えることも可能。 ・ 2次元空間内へタッチするだけの入力方式のため、直観的な感覚をそのまま入力可能。 ・二次元空間内の実数をデータとして取り扱うため、微妙な心理変化を数値化でき、さらに、 数理学的統計計算に対応可能。
喜び
高揚感
歓喜、エクスタシー
安堵 心配 不安 恐怖
いらいら
怒り
激怒
正の強化のある状態
負の強化のある状態
正の強化のない、 あるいは消滅した状態
負の強化のない、 あるいは消滅した状態
情動の2軸
セロトニン
ドーパミン
(Rollsのモデルを一部改定)
(1辺 10 cm)
ワクワクする気分
イライラする気分
安心な気分
不安な気分
(KOKOROスケール)
-50
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0
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安心度 不安度
イライラ度
ワクワク度
安心度 不安度
イライラ度
ワクワク度
安心度 不安度
イライラ度
ワクワク度
起床時 昼12時 昼1時 夕方6時 就寝時
一日の気分変化 震災前後14日間ずつの気分データ (東京在住の被験者7名の平均)
2/8 – 2/21 2/23 – 3/8 3/11 – 3/24
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-60
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-20
0
20
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-50
-30
-10
10
30
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安心度
不安度
ワクワク度
イライラ度
東日本大震災
起床時 昼12時 昼1時 夕方6時 就寝時
震災による気分の落ち込みとその後の回復
企業勤務者の毎日の気分変化
タッチパネル式KOKOROスケール
メンタルタフネスとは・・ 苦しい時でも集中力、モーチベーション、 そして自分を信じる気持ちを持ち続ける精神的な強さ
メンタルタフネスが必要な時代
調査概要 スポーツジム内の各種目フロアにKOKOROスケール調査のための iPadを設置し、会員に運動前後の心地を入力していただいた。 結果 スポーツによって、ほとんどすべての会員の安心度が大きく上昇した。また、ワクワク度(物事に対するモーチベーション)も平均すると上昇した。 (全員の平均: 安心度 運動前20.4点→運動後56.9点 ワクワク度 運動前17.6点→運動後20.9点)
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スポーツジムでの運動による気分改善効果
ワクワク度
イライラ度
安心度 不安度
ワクワク度
イライラ度
安心度 不安度
運動前
運動後
想定される用途 健康産業関連 ・エアコンや空調、調光など 気分による屋内環境の調節 ・スポーツジム メンタルタフネスメニューの作製や気分を改善する運動強度の確認 ・食品 サプリメントや化粧品などの効果の評価 教育産業関連 ・アスリート育成 競技中に脳のフロー状態をつくるためのメンタルトレーニング ・学校・学習塾 勉強中の気分を把握して、より効果の高い授業の実現 ・コミュニケーション能力向上のための訓練 互いの気分や印象を入力して表情や話し方を訓練 ビジネス関連 ・会議や作業環境の改善 会議中の集中力や活力を評価し、効率のよい環境やタイムスケジュール管理 ・商品評価 商品やサービスの使用感調査や消費者の印象による商品分類
遠くにおられる患者さんや 介護をされている方々の 心理データ
医療機関など
データ分析と 新しい分析法 の研究
KOKOROスケール測定の今後の展開例
匿名化されたデータ
分析結果
研究機関など
本技術に関する知的財産権
【発明の名称】 心理データ収集装置、心理データ収集プログラムおよび心理データ収集方法 【出願番号】 特願2012-191141 【出願人】 独立行政法人理化学研究所、公益財団法人大阪市都市型産業振興センター 【発明者】 片岡洋祐、武坂寿夫
お問い合わせ先
理化学研究所 連携推進部知財創出・活用課 井門 孝治、 今井 英治 TEL 048-467-9762 FAX 048-467-9962 e-mail: [email protected] [email protected]