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年齢による体組成,下肢筋力の変化
(医)大田姫野クリニック
岡田理江 小林幸造 福村宏 角昌晃 滋野和志
透析患者の栄養状態,筋肉量がADL,QOLの
低下に影響する要因とされている.当院では,体組成と下肢筋力を定期的に測定し運動療法を推進している.
今回外来に通院している患者の年齢と体組成,下肢筋力との関連性を検討した結果と実際の取り組みについても重ねて報告する.
はじめに
当院に通院の維持透析患者69名を対象とした.時期は2015年9月.年齢とDW,BMI,体脂肪率,下肢筋力,骨格筋量指標(BaumgarthnerによるSMI.体幹骨格筋量/身長²)の関連性を検討した.
体組成は治療後にBIA法(inBody10)による測定を行い体脂肪率,SMIを算出した.
下肢筋力はロコモスキャンにより測定した.
対象と方法
年齢(歳)~5955±6.1
60~6964.3±2.7
70~7973.2±2.9
80~83.6±3.3
男(名) 7 16 13 6
女(名) 4 8 7 8
DM(名) 5 7 8 4
HD歴(月) 138±133.1 119±102.8 86.9±58.9 62.5±38.0
GNRI 96.1±2.5 93.2±5.6 93.6±3.9 94.8±3.2
PCR(g/Kg/day)
0.93±0.17 0.91±0.13 0.87±0.17 0.90±0.15
%CGR (%) 108.9±16.0 108.5+22.6 105.3±26.2 115.8±19.6
Kt/V 2.1±0.4 2.2±0.3 2.1±0.3 2.2±0.3
対象患者の背景 透析指標
年齢VSHD歴:P<0.05
0
10
20
30
40
50
60
70
~59 60~69 70~79 80~
DW
R=-0.4634
P=0.0024
20
40
60
80
100
30 40 50 60 70 80 90 100
年齢(歳)
DW(Kg)
(Kg)
年代(歳)
*
**
年齢とDW** P<0.01
* P<0.05
**
0
5
10
15
20
25
30
35
~59 60~69 70~79 80~
体脂肪率
R=-0.181560
P=0.1384
0
10
20
30
40
50
60
30 40 50 60 70 80 90 100
年齢(歳)
体脂肪率(%)
(%)
年代(歳)
NS
NS
年齢と体脂肪率
NS
0
1
2
3
4
5
6
7
8
~59 60~69 70~79 80~
SMI
R=-0.463445P<0.01
2
3
4
5
6
7
8
9
30 50 70 90 110
年齢(歳)
SMI(Kg/㎡)
(Kg/㎡)
年代(歳)
** P<0.01
**
**
**
年齢とSMI
0
100
200
300
400
500
~59 60~69 70~79 80~
筋力(N)
年齢と筋力
年代(歳)
*
*
*
*
**
* P<0.05 ** P<0.01
R=-0.462070P<0.0001
0
100
200
300
400
500
600
700
30 50 70 90 110
年齢(歳)
筋力(N)
• SMIとDWは年齢とともに徐々に低下し,体脂肪率は年齢と相関はなかった.
• 下肢筋力は加齢とともに有意に低下していた.
• 高齢化に伴い減少する体重は体脂肪量の変化より筋肉量減少が影響してると思われた.
• 筋肉量減少は筋力にも関与してると推測される.
• 筋力維持には早期の対策が必要と考える.
まとめ
下肢筋力測定 ロコモスキャン
ロコモスキャンの特徴
1)現状の運動機能が客観的に評価できる
2)運動指導における維持向上に合わせた定量
目標の設定ができる
3)継続された運動療法の実施成果が確認できる
電動サイクルマシンエスカルゴ
透析中に寝たまま行える運動療法のひとつ.
モーターがペダリングをアシストするので体力のない方でも無理なく股関節運動や膝の屈曲運動が行える.
透析中の運動電動サイクルマシン エスカルゴ
負荷量可変式エルゴメータ
テラスエルゴⅡ
低負荷タイプ(20W)高負荷タイプ(70W)の2機種がある.
テラスエルゴⅡでは効果を上げるために軽度から中等度の負荷量を加えることができる.
負荷量変式エルゴメータ てらすエルゴⅡ
ロコモ度テスト
はい、立ってみて
あら!立てたわ
スクワット指導
つかまってしゃがむだな そうそう
それぐらいだね
患者の感想
• 家では横になってばかりだから良い運動になっている• 冬場は寒くて運動不足なのでここで運動ができて良い• 最初は見られてるのが嫌だったがスクリーンしてもらえたから大丈夫
• 歩くのにフラフラしてるが自転車こぎして調子がいい• 時間つぶしに気分が変わっていい• 立ち上がりが良くなった• 足が太くなった感じがする• 歩行時,杖がいらなくなった• 歩くのに足が軽い感じがする• 家でも運動やっている
当院透析患者において年齢とともに体重が減少した.
筋肉量が体重減少に関与し,その影響で下肢筋力が衰える結果になると思われた
下肢筋力低下予防には運動が重要と思われる
結 語
運動している患者、誰もが
「今後も運動続けたい!」