降下ばいじんの測定結果について - tottori prefecture...95 1 はじめに...

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95 1 はじめに 降下ばいじんは、地域の大気汚染、おもに粉じん 汚染を知る上で有用な項目であり、また測定が簡便 なことから、全国各地で測定されている。 当所においては、平成10年度から外部委託により 継続して県内5地点において測定を実施している。 2 方 法 1)調査期間 平成15年4月から平成16年3月 2)調査地点 鳥取市(東部総合事務所)、倉吉市(倉吉市役所)、 米子市(西部総合事務所)、境港市(済生会境港総 合病院)、日吉津村(日吉津小学校)の5地点 3)採取方法・分析方法 藻類発生防止剤として0.02N硫酸銅溶液10éを入 れたデボジットゲ-ジを各地点に設置し、毎月交換、 回収した。 分析は、衛生試験法注解の方法に準じた。 4)測定項目 pH、塩素イオン、降下ばいじん量不溶解物質量、 溶解性物質量 3 結果及び考察 1)降下ばいじん量(t/à/月) 鳥取市(0.89.1)、倉吉市(1.36.6)、米子市(1.7 8.1)、境港市(0.810.4)、日吉津(0.74.4)で あった。また、年平均では鳥取(3.4)、倉吉(3.2)、 米子(4.1)、境港市(4.2)、日吉津(2.7)であった。(図 1) 2) 不溶解性物質(t/à/月) 鳥取市(0.42.4)、倉吉(0.32.7)、米子市(0.6 4.9)、境港市(0.23.4)、日吉津(0.41.6)であっ た。また、年間の平均では鳥取(0.9)、倉吉(1.1)、 米子(1.4)、境港市(0.9)、日吉津(0.7)であった。(図 2) 3)溶解性物質(t/à/月) 鳥取市(0.48.1)、倉吉市(0.25.0)、米子市(0.8 6.1)、境港市(0.49.7)、日吉津(0.33.5)であっ た。また、年間の平均では鳥取(2.5)、倉吉(2.1)、 米子(2.7)、境港市(3.2)、日吉津(1.8)であった。(図 3) 降下ばいじんの測定結果について 【大気・地球環境室】 尾田喜夫 図2 不溶解性物質の経月変化 0 2 4 6 8 10 12 4 6 8 9 10 11 12 1 5 7 2 3 測定月 降下ばいじん量(t/ /) 鳥取 倉吉 米子 境港 日吉津 0 1 2 3 4 5 6 4 6 5 7 8 9 10 11 12 1 2 3 測定月 不溶解性物質(t/ /) 鳥取 倉吉 米子 境港 日吉津 図1 降下ばいじん量の経月変化

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  • 95

    1 はじめに

     降下ばいじんは、地域の大気汚染、おもに粉じん

    汚染を知る上で有用な項目であり、また測定が簡便

    なことから、全国各地で測定されている。

     当所においては、平成10年度から外部委託により

    継続して県内5地点において測定を実施している。

    2 方 法

    1)調査期間

     平成15年4月から平成16年3月

    2)調査地点

     鳥取市(東部総合事務所)、倉吉市(倉吉市役所)、

    米子市(西部総合事務所)、境港市(済生会境港総

    合病院)、日吉津村(日吉津小学校)の5地点

    3)採取方法・分析方法

     藻類発生防止剤として0.02N硫酸銅溶液10�を入

    れたデボジットゲ-ジを各地点に設置し、毎月交換、

    回収した。

     分析は、衛生試験法注解の方法に準じた。

    4)測定項目

     pH、塩素イオン、降下ばいじん量不溶解物質量、

    溶解性物質量

    3 結果及び考察

    1)降下ばいじん量(t/�/月)

     鳥取市(0.8~9.1)、倉吉市(1.3~6.6)、米子市(1.7

    ~8.1)、境港市(0.8~10.4)、日吉津(0.7~4.4)で

    あった。また、年平均では鳥取(3.4)、倉吉(3.2)、

    米子(4.1)、境港市(4.2)、日吉津(2.7)であった。(図

    1)

    2) 不溶解性物質(t/�/月)

     鳥取市(0.4~2.4)、倉吉(0.3~2.7)、米子市(0.6

    ~4.9)、境港市(0.2~3.4)、日吉津(0.4~1.6)であっ

    た。また、年間の平均では鳥取(0.9)、倉吉(1.1)、

    米子(1.4)、境港市(0.9)、日吉津(0.7)であった。(図

    2)

    3)溶解性物質(t/�/月)

     鳥取市(0.4~8.1)、倉吉市(0.2~5.0)、米子市(0.8

    ~6.1)、境港市(0.4~9.7)、日吉津(0.3~3.5)であっ

    た。また、年間の平均では鳥取(2.5)、倉吉(2.1)、

    米子(2.7)、境港市(3.2)、日吉津(1.8)であった。(図

    3)

    降下ばいじんの測定結果について【大気・地球環境室】

    尾田喜夫

    図2 不溶解性物質の経月変化

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    4 6 8 9 10 11 12 15 7 2 3

    測定月

    降下ばいじん量

    (t/

    /月) 鳥取

    倉吉

    米子

    境港

    日吉津

    0

    1

    2

    3

    4

    5

    6

    4 65 7 8 9 10 11 12 1 2 3

    測定月

    不溶解性物質

    (t/

    /月)

    鳥取 倉吉 米子 境港 日吉津

    図1 降下ばいじん量の経月変化

  • 96

    4)pH

     鳥取市(4.5~5.3)、倉吉市(4.3~5.0)、米子市(4.3

    ~6.9)、境港市(4.1~6.0)、日吉津(4.2~5.6)であっ

    た。また、年間の平均では鳥取(4.8)、倉吉(4.7)、

    米子(5.0)、境港市(4.8)、日吉津(4.9)であった。(図

    4)

    5)捕集液量(�)

     鳥取市(3.52~17.44)、倉吉市(2.68~20.4)、米

    子市(1.98~23<)、境港市(0.61~23<)、日吉津

    (0.61~11.93)であった。また、年間の平均では鳥

    取(10.38)、倉吉(11.19)、米子(9.32)、境港市(8.55)、

    日吉津(7.56)であった。(図-5)

    6)塩化物イオン(㎎/�)

     鳥取市(0.7~24.4)、倉吉市(0.6~15.0)、米子市(0.4

    ~23.0)、境港市(0.4~28.6)、日吉津(0.7~47.4)

    であった。また、年間の平均では鳥取(7.4)、倉吉

    (5.7)、米子(7.9)、境港市(10.5)、日吉津(12.1)

    であった。(図6)

    4 まとめ

    1)降下ばいじん量、溶解性物質は冬季から春季に

    高く、夏季に低くかった。また、不溶解性物質は

    春季に高くなる傾向が認められた。原因として黄

    砂の飛来が考えられる。

      降下ばいじん総量は平成16年1月に境港市で

    中等度の汚染(10t/�/月以上 20t/�/月未満)

    に該当する10.1t/�/月の降下量があった。

    デボジットゲージ法による降下ばいじん汚染度の評価

    汚染度 降下ばいじん量(トン/�/月) 評 価

    1 10未満 軽微な汚染

    2 10以上 20未満 中等度の汚染

    3 20以上 高度の汚染

    図4 pHの経月変化

    図5 捕集液量の経月変化

    図3 溶解性物質の経月変化

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    4 6 7 8 10 11 12 15 9 2 3

    測定月

    溶解性物質

    (t/�

    /月)

    鳥取 倉吉 米子 境港 日吉津

    4

    4.5

    5

    5.5

    6

    6.5

    7

    7.5

    4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

    測定月

    pH

    鳥取 倉吉 米子 境港 日吉 津

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    4 65 7 8 9 10 11 12 1 2 3

    測定月

    捕集液量

    ( ) 鳥取

    倉吉 米子 境港 日吉 津

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

    測定月

    塩化物イオン

    (㎎/ 

    ) 鳥取 倉吉 米子 境港 日吉津

    図6 塩化物イオンの経月変化

  • 97

    2)pHは、冬季に低く(鳥取市を除く他地点で16.1

    月に最低値(4.1~4.3))春季に高くなる傾向が見

    られた。また、県内のpHの年平均は4.7~5.0であっ

    た。

    3)捕集液量は梅雨と秋雨前線の影響で7月と12月

    に多かった。

    4)塩化物イオンは秋季から冬季に高くなる傾向が

    見られた。

    annual_report_vol44_div2.pdfから挿入したしおり第44号(2003)平成15年度調査報告湖沼中の難分解性有機物に関する研究山林汚濁負荷原単位調査について(平成15年度まとめ)降下ばいじんの測定結果について大気環境中のアスベスト濃度について(第2報)鳥取県における有害紫外線量調査結果について