薬剤師と看護師が⼀体となって外来化学療法室を運⽤ cdtm …...写真4...

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2017年7⽉作成 伴 晶⼦ 先⽣ 公⽴⻄知多総合病院 診療技術局 治療サポート部 薬剤科 主任薬剤師 薬剤科には常勤26名、非常勤1名計27名の薬剤師が所属しており、1階には救 急外来に隣接した調剤室があり、時間外の救急の投薬がスムーズに⾏えるよう⼯ 夫されている(写真1)。また地下1階には製剤室、無菌調製室、⿇薬管理室、 DI室、注射薬室があり、ピッキングマシンによる注射セット業務が⾏えるシス テムを有する(写真2、3)。病棟は1病棟を1名が担当。同院のがん医療をリー ドしているのが、⽇本医療薬学会・がん指導薬剤師、がん専門薬剤師の資格を持 つ伴晶⼦先⽣だ。合併前は東海市⺠病院に所属しており、現在は主に外来化学療 法室を担当している。 「薬剤師になったころは、患者さんの死が怖くて、がん患者さんにかかわるの を避けていました。ところが、祖⺟2⼈と⺟ががんになり、多くの医療スタッフ に⽀えてもらった。病院は切実な状況に陥った⼈が藁をもすがる思いで訪れると ころなんだなと実感しました。当時はまだ専門薬剤師制度がなかったのですが、 上司から病棟で抗がん剤の勉強をするように⾔われ、何もできないながらも、 “患者さんのことをよく知っている⼈”になろうと病棟の患者さんと話すことから 始めました。そして、スキルがないと役に⽴てる⼈になれないと考え、まずはが ん薬物療法認定薬剤師の資格を取りました」(伴先⽣)。 晶⼦ 先⽣ 薬剤師と看護師が⼀体となって外来化学療法室を運⽤ CDTM導⼊で化学療法を安全・確実・迅速に推進 【がん医療へのかかわりの第⼀歩は、患者と話すことから】 公⽴⻄知多総合病院(468床、浅野昌彦院⻑)は、2015年5⽉1⽇、東海市⺠病院と知多市⺠病院を統合して急性期病 院として開院した。2017年4⽉1⽇より新設されたリウマチ科を含めて31診療科があり、知多半島医療圏の北⻄部の地域 医療と救急医療を担っている。また、東海地震に備えて⾼台に建つ免震構造の建物になっており、同年9⽉30⽇には災害 拠点病院の指定を受けた。 がんについては、がん検診による早期発⾒から治療(⼿術、薬物療法)、緩和ケアまでを⾏っており、放射線療法につ いては半⽥市⽴半⽥病院など近隣の病院と連携している。 写真1 薬剤科の調剤

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  • 2017年7⽉作成

    伴 晶⼦ 先⽣

    公⽴⻄知多総合病院診療技術局 治療サポート部 薬剤科 主任薬剤師

     薬剤科には常勤26名、非常勤1名計27名の薬剤師が所属しており、1階には救急外来に隣接した調剤室があり、時間外の救急の投薬がスムーズに⾏えるよう⼯夫されている(写真1)。また地下1階には製剤室、無菌調製室、⿇薬管理室、DI室、注射薬室があり、ピッキングマシンによる注射セット業務が⾏えるシステムを有する(写真2、3)。病棟は1病棟を1名が担当。同院のがん医療をリードしているのが、⽇本医療薬学会・がん指導薬剤師、がん専門薬剤師の資格を持つ伴晶⼦先⽣だ。合併前は東海市⺠病院に所属しており、現在は主に外来化学療法室を担当している。

     「薬剤師になったころは、患者さんの死が怖くて、がん患者さんにかかわるのを避けていました。ところが、祖⺟2⼈と⺟ががんになり、多くの医療スタッフに⽀えてもらった。病院は切実な状況に陥った⼈が藁をもすがる思いで訪れるところなんだなと実感しました。当時はまだ専門薬剤師制度がなかったのですが、上司から病棟で抗がん剤の勉強をするように⾔われ、何もできないながらも、 “患者さんのことをよく知っている⼈”になろうと病棟の患者さんと話すことから始めました。そして、スキルがないと役に⽴てる⼈になれないと考え、まずはがん薬物療法認定薬剤師の資格を取りました」(伴先⽣)。

    伴 晶⼦ 先⽣

    薬剤師と看護師が⼀体となって外来化学療法室を運⽤CDTM導⼊で化学療法を安全・確実・迅速に推進

    【がん医療へのかかわりの第⼀歩は、患者と話すことから】

     公⽴⻄知多総合病院(468床、浅野昌彦院⻑)は、2015年5⽉1⽇、東海市⺠病院と知多市⺠病院を統合して急性期病院として開院した。2017年4⽉1⽇より新設されたリウマチ科を含めて31診療科があり、知多半島医療圏の北⻄部の地域医療と救急医療を担っている。また、東海地震に備えて⾼台に建つ免震構造の建物になっており、同年9⽉30⽇には災害拠点病院の指定を受けた。

     がんについては、がん検診による早期発⾒から治療(⼿術、薬物療法)、緩和ケアまでを⾏っており、放射線療法については半⽥市⽴半⽥病院など近隣の病院と連携している。

    写真1

    薬剤科の調剤室

  • 写真2

    朝は病棟⽤の薬剤を運ぶワゴンが広がる

    写真3

    注射薬のピッキングシステム

    図1

    外科と呼吸器内科、消化器内科、泌尿器科、産婦⼈科の化学療法におけるCDTMマニュアル

    【CDTMマニュアルの活⽤︓薬剤師が処⽅・検査の代⾏オーダーを⾏い、医師が確認する】

     開院時から化学療法に「医師・薬剤師協働薬物治療管理」(Collaborative Drug Therapy Management︓CDTM)を導⼊しているのも同院の特⻑だ(図1)。平成22年4⽉30⽇付の厚⽣労働省医政局⻑通知「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」の中で、薬剤師を積極的に活⽤することが可能な業務として、「薬剤の種類、投与量、投与⽅法、投与期間等の変更や検査のオーダーについて、医師・薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、専門的知⾒の活⽤を通じて、医師等と協働して実施すること。」と記載されている。同院では、医師・薬剤師・看護師が協議を⾏い、薬物治療の基本⽅針について、プロトコール・マニュアルにまとめている(以下、CDTMマニュアル)。CDTMマニュアルに基づき、薬剤師は⼀部の処⽅・検査の代⾏オーダーを⾏っており、それを医師が確認している。代⾏オーダーは、現在、外科と呼吸器内科、消化器内科、泌尿器科、産婦⼈科の化学療法を受ける患者を対象にしている。代⾏オーダーできる項目は⽪膚障害、⼝内炎・⼝角炎・⼝唇炎、悪⼼・嘔吐、味覚異常、下痢、便秘、筋⾁・関節炎の予防・治療薬などの処⽅や、電解質異常、B型肝炎、蛋⽩尿、間質性肺炎の検査である。B型肝炎のスクリーニングやKL6の検査が未実施などの場合は薬剤師が代⾏オーダーを⾏うことが、同院では可能である。

     CDTMでは代⾏オーダーを⾏うにあたり、薬剤師にはCDTMマニュアルの遵守、副作⽤のグレードの評価、薬剤の禁忌・慎重投与や併⽤薬の相互作⽤の評価を⾏うことと定められている。また、代⾏オーダーができるのは化学療法の経験のある薬剤師に限定され、オーダーミス防⽌のために、セット登録されたオーダー⽅法や前回までに処⽅されたオーダーを利⽤することなども決められている。

     「CDTMマニュアルは適宜⾒直しています。CDTMによって化学療法を効率よく迅速に進めることができ、医師からも助かっているという声を聞きます。また、患者さんからもオーダーを待つ時間が短縮されるのと同時に、外来化学療法室や病棟で薬剤師や看護師に丁寧にみてもらえると喜ばれています。」(伴先⽣)。

     また、安全に治療を遂⾏するために「がん化学療法開始時チェックリスト」(図2)を作成して医師・薬剤師・看護師が、化学療法前に⾏う必要のある検査や他科との連携など必要なチェック項目を確認している。化学療法同意書についても、医師、薬剤師、看護師のサインが条件とされており、薬剤師、看護師が介⼊しやすいようチェックリストの項目として掲げられている。

  • 写真4

    外来化学療法室のスタッフステーション

    写真5

    外来化学療法室は18床

    写真6

    ベッドは14床、リクライニングチェアは4床分ある

    図2

    薬剤師によるインフォームド・コンセントや看護師によるオリエンテーション時の標準となっている

    「がん化学療法開始時チェックリスト」

    【副作⽤のグレードを重視した「副作⽤チェックシート」を活⽤】

     外来化学療法室は18床で、伴先⽣を含めて薬剤師3名と、副看護師⻑で、がん化学療法看護認定看護師の⼩林和⼦⽒(取材時)ら看護師3名が担当している(写真4、5、7、8、9)。併設されている抗がん剤無菌調製室で⼊院患者の抗がん剤も調製するなど多忙を極める薬剤師だが、看護師と密接に連携して多岐にわたる業務に取り組んでいる(写真10、11)。

     患者の処⽅内容は前⽇に看護師とともにチェックする。投与当⽇の副作⽤の確認に役⽴つのが患者に記⼊してもらう「副作⽤チェックシート」だ(図3、写真12)。「これは合併前、両病院にもあったのですが、それぞれのよい部分を取り⼊れ病院の合併時に副作⽤のグレードを意識した質問内容に変え、患者さんにわかりやすく、医療者にも使いやすく改良しました」(伴先⽣)。そして、患者の回答を看護師や薬

    剤師が確認しながら、患者対応を⾏う。その際、看護師は患者の状態も確認。「⼿のひらや⽖を⾒て、患者さんが⾃分でできるケアを患者さんといっしょに考えます。」(⼩林⽒)。

  •   写真7

     薬剤師や看護師が副作⽤や内服薬などについて聞き取り をする診察室

      写真8

     診察室兼⾯談室で悩みを聞くことも多い

      写真10

     抗がん剤調製室では外来と病棟の両⽅の抗がん剤を調製する

      写真11

     調製した抗がん剤を点滴準備室へ払い出すパスボックス

      写真12

     副作⽤チェックシートは問診時スタッフによりさらに 必要な情報が追記され、患者の⽒名順にファイリング される

      図3

     患者が記載し提出する副作⽤チェックシートには、 副作⽤のグレードに対応した質問項目が並ぶ

    写真9

    外来化学療法室の佐藤知⾹先⽣と

  •  「副作⽤チェックシートを⽤いて副作⽤について確認し、飲み忘れや休薬期間が守られているかについても尋ねます。患者さんからは“これまでどの病院でもこのような話を聞いたことがなかったので安⼼した”という声も聞きます。⻑年抗がん剤を内服して顔の⿊ずみが気になるという患者さんにはカバーメイクについてお話ししました。将来的には、内服抗がん剤とホルモン剤全般についてかかわれるようにしたいと思っています。」(⼩林⽒)。

     患者は外来化学療法だけでなく、⼊院時の化学療法導⼊時にも外来化学療法室で説明を受ける。告知を受けたばかり、再発がわかったときといった⼼理的に不安定な患者を受け⼊れるにあたり、「私たち薬剤師は薬物療法を含めた治療の⾯からアプローチをするのに対し、看護師は患者さんの⽣活状況や⼼理を汲み取るのが得意。患者さんに何が必要か、今、誰が声をかけるべきかを⼀緒に判断して、対応しています」(伴先⽣)。

    ⼩林 和⼦ 先⽣公⽴⻄知多総合病院 副看護師⻑がん化学療法看護認定看護師

    写真13

    患者がどのベッドやリクライニングチェアで診察や治療を受けているかが⼀覧できるボード

     外来化学療法室では患者がどのベッド⼜はリクライニングチェアで診察や治療を受けているか、スタッフが把握できるように、スタッフステーションにあるボードが活⽤されている。患者の⽒名の横に、化学療法室へ患者が⼊室すると⾚のマグネット、薬剤師の服薬指導終了時に緑のマグネットをそれぞれ担当スタッフが貼る。(写真13)。少ないスタッフで共通認識を持つための⼯夫の⼀つだ。

     この副作⽤チェックシートの利⽤と看護師との協働は、CDTMの運⽤にも効⽤を発揮している。「CDTMには副作⽤グレードにより処⽅をすることが決められているものがあり、そのグレードの判断を決定することが重要です。以前は薬剤師と看護師のグレード評価が異なっている場合がありましたが、薬剤師と看護師がチェックシートを⽤いて⼀緒に⾏うことで、副作⽤グレードが統⼀されるようになってきました」と伴先⽣は語る。⼩林⽒も「副作⽤チェックシートとCDTMの処⽅オーダーを薬剤師と⼀緒に⾒ることで、必要な処⽅を確認できるのがいいですね」と看護師にとっての効⽤を実感している。なお、この副作⽤チェックシートの内容は、看護師によって毎回、患者カルテにExcelチャートで⼊⼒されており、患者の副作⽤の経過が経時的にわかるようになっている。また、患者が処⽅や栄養指導の希望を書けるようになっているのも特徴で、CDTMによる処⽅代⾏オーダーに反映されることも多い。

     外来化学療法室が内服抗がん剤をチェックするポイントとなっているのも、同院の特徴だ。院外処⽅となる内服抗がん剤の場合、患者が抗がん剤に詳しい薬剤師に服薬指導を受ける機会が乏しく、処⽅する調剤薬局においても副作⽤が起こったときの対応に苦慮しているのが現状だ。そこで、同院では内服抗がん剤が処⽅された場合、患者は医師の診察後に外来化学療法室で薬剤師と看護師から指導を受けて、調剤薬局と連携するシステムを構築した(後述)。

    【化学療法委員会の効率的運⽤を推進】

     病院の合併にあたり、元の2つの病院でそれぞれ作成されていた化学療法のプロトコールをどう扱うかは⼤きな課題だった。そこで、合併が決まった後、開院の2年半前から2つの病院の化学療法委員会は3カ⽉に1回の割合で合同会議を設け、プロトコールの統合を進めてきた。そのため、開院時にはほぼすべてのプロトコールを揃えることができた。「プロトコールの統合はリスクマネジメントの観点からも重要です。合同会議では両院のレジメンをオープンにして、違うところと同じところを検証していきました。ガイドラインなどで標準化されているレジメンはそれに沿って決められますが、ガイドラインに掲載されていないものは投与順序や投与量、投与の際のメインルートを何にするかなど毎回議論を重ね、決まらないところは他院で⾏っている治療法について調査をしたうえで、妥当な点を⾒つけました」(伴先⽣)。

  • 写真14

    化学療法委員会のアジェンダには話し合う議題や担当者が記載され、議論の結果を記⼊できるようにしてある

    図4

    「化学療法委員会からのお知らせ」は医師などがん化学療法に関わるスタッフに届けられる

     伴先⽣らは、地域の調剤薬局との情報共有に⼼を配っている。とくに重要視しているのは内服抗がん剤の投薬スケジュールだ。1部の内服抗がん剤ではあるが、薬を処⽅された患者は、初回だけではなく、毎回、外来化学療法室で薬剤師、看護師による指導を受けている。また、内服抗がん剤の処⽅せんを調剤薬局に持っていってもらう際には、「医師に処⽅せんに服薬開始⽇と投与スケジュール(例︓2週間内服し、1週間休む、など)を必ず記載してもらいます」(伴先⽣)。そして、薬剤師が記載の有無だけでなく、投与開始⽇やスケジュールや投与量が合っているか当⽇の検査値に問題がないか、希望される薬剤は処⽅されているかなどもチェックしている。

     伴先⽣は、医師も参加した地域の医療スタッフ向けの講演会で、内服抗がん剤のヒヤリハット事例を紹介し、病院側の協⼒なしで調剤薬局が⼗分な副作⽤チェックや服薬指導をするのは難しいことと同時に、医師が処⽅せんに投薬スケジュールまで記載することにより患者がきちんと服薬しているかなど、調剤薬局での患者サポートが可能となることを訴えた。「こうした機会や毎⽇の診療で何度も繰り返し伝えることで、処⽅箋へ必要な情報を書いてくれる医師が増えました」。さらに、院内の調剤室では、抗がん剤の処⽅監査に必要な情報を書いた「抗がん剤患者チェック票」(図5)を設置し、調剤室の薬剤師が利⽤できるよう⼯夫している。

    図5

    抗がん剤患者チェック票には、調剤室の薬剤師が気をつけるべきポイントが列記されている

    ⽀持療法や溶解液、投与速度などについても、順次統合を進めた。例えば、CVポートのロック液として⽣理⾷塩⽔にヘパリンを⼊れるかどうかは医師や使⽤しているポートの種類によって異なり、混在していたが、化学療法委員会で検討し、ヘパリン⼊りと決まったという。

    合併後の新しい化学療法委員会は、化学療法に詳しい乳腺外科医をはじめとする6名の医師と、伴先⽣ら薬剤師3名、認定看護師3名から成る。新しいレジメンは化学療法委員会に申請された後、薬剤師がエビデンスを評価し、保険適応なども確認し、「認証」「仮認証」「患者限定」の3つの枠に分けて承認できるプロトコールであるかの議論を⾏う。そして、化学療法委員会が「承認」「却下」「保留」の3つに分類する。委員会は⽉1回の開催で⾏っているが、必要に応じて、委員⻑である医師とがん専門薬剤師、がん化学療法看護認定看護師と新規レジメン申請した医師により臨時委員会を開催することもある。

     化学療法委員会が開催される際は、事前に進⾏表が作られ、議題毎に担当者が決められており、審議の結果について「承認」「却下」「保留」が書き込めるようになっている(写真14)。「効率よく、メンバーがまんべんなく話せるように、また議論がゴールにつながるように⼯夫しました」と伴先⽣。

     さらに、委員会での決定事項はA4⽤紙1枚にまとめられ、がん医療に携わる医師や各科外来、病棟、医事課、薬剤科に「化学療法委員会からのお知らせ」として届けられる(図4)。「時間のあるときに私が1枚ずつ配りながら、医師に困っていることはないかと聞いてまわると、医師からいくつか質問や注⽂があります。合併になってからはまだよく話していない医師もいるので、こうやってコミュニケーションを取るのもいい⽅法だと感じます」(伴先⽣)。

    【地域の調剤薬局との連携を強化。ポイントは重要な情報を漏らさないこと】

  •  調剤薬局からの疑義照会は、医師に直接問い合わせるのではなく、いったん薬剤科が受け、医師に問い合わせる。「問い合わせ内容が抗がん剤であれば、抗がん剤担当薬剤師が対応します。全ての内服抗がん剤について、外来化学療法室でフォローするには、マンパワーの問題があり、難しい状況です。調剤薬局と連携、協⼒し、安全な医療につながるシステムを作る必要があると思っています。今後の重要課題の1つです。」

    【がん薬物療法の専門性を⾼めて、患者個々の病態に対応したい】

     開院から2年が過ぎ、同院は元の2つの病院のいいところを統合したがん医療を目指してきた。2016年4⽉より、同院にDPC(包括医療費⽀払制度)が導⼊され、外来化学療法の患者はさらに増えることが⾒込まれる。

     伴先⽣は、「医師には聞けないけれど、薬剤師には聞けるという患者さんがいます。そんな患者さんの質問に対して、ガイドラインでどのように書かれている治療法が医師から勧められているのか、⼜どういう病態でありどのようなリスクに対する治療であるのかなど、⼀⼈ひとりの病態に応じたがん薬物療法について説明できる専門性を⾝につけ、患者さんやその家族の⼒になり、⽀えていきたいです。」と話す。また、今、がん専門薬剤師を目指したいと⼿を挙げた若⼿薬剤師も含めて、がん医療にかかわる薬剤師が統⼀した指導ができるようになることも目標だ。「抗がん剤曝露のガイドラインの遵守にも⼒を⼊れ、薬剤師や看護師、患者さんの曝露についても意識を⾼めて、薬物療法の安全に関するリーダーシップを取っていきたい」と抱負を語っている。

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