栄養改善を目指したソーシャルビジネス · 種々の社会 セクターとの ......

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栄養改善を目指したソーシャルビジネス ガーナ栄養改善プロジェクトー 2014年6月24日 味の素㈱ 研究開発企画部 取出 恭彦

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Page 1: 栄養改善を目指したソーシャルビジネス · 種々の社会 セクターとの ... 食品科学 アミノ酸栄養 ソーシャルビジネス:栄養丌足のような途上国の社会課題を解決するための

栄養改善を目指したソーシャルビジネス ーガーナ栄養改善プロジェクトー

2014年6月24日

味の素㈱ 研究開発企画部

取出 恭彦

Page 2: 栄養改善を目指したソーシャルビジネス · 種々の社会 セクターとの ... 食品科学 アミノ酸栄養 ソーシャルビジネス:栄養丌足のような途上国の社会課題を解決するための

2

I. 今なぜ味の素グループがアフリカで栄養改善に取り組む

のか?

II. ガーナ栄養改善プロジェクト概要

ー 離乳期用栄養強化食品の開発

III. 現地食品企業と連携による生産体制確立

IV. 種々の社会セクターとの協働によるプロジェクト推進

V. 味の素におけるソーシャルビジネスの意義、位置づけ

VI. 展望

内容

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3

自己紹介:栄養改善、ソーシャルビジネスとの関わり

必須アミノ酸リジンによる栄養改善の実証試験に参画 (1995年から、パキスタン、中国、シリア、バングラデシュ、ガーナ)

2005年ー2009年 欧州R&D統拢(パリ駐在) 時代 ダノン社と情報交換、Grameen Danoneの取組みを知る。

2009年よりガーナ栄養改善プロジェクトを推進する社内横断的チームのリーダー

2010年7月 M.Ynunus氏来日時のシンポジウム (ダノン社主催)にて

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4

I. 今なぜ味の素グループがアフリカで栄養改善にと

りくむのか?

II. ガーナプロジェクト概要

ー 離乳食用栄養強化食品の開発

III. 現地食品企業と連携による生産体制確立

IV. 種々の社会セクターとの協働によるプロジェクト推進

V. 味の素におけるソーシャルビジネスの意義、位置づけ

VI. 展望

内容

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アフリカ市場の大きさ

アフリカ、インド、中国の比較

アフリカ

人口 10.2億人

GDP 1.69兆ドル

人口増 2.3 %/年

インド

11.7億人

1.73兆ドル

1.3 %

中国

13. 4億人

5.93 兆ドル

0.5%

出展:世界銀行2009年

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成長をはじめたアフリカ市場

出展 The Economist

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成長をはじめたアフリカ市場

出展 The Economist

2013年 2000年

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途上国における深刻な社会課題としての栄養丌足の問題 途上国の社会課題としての栄養問題

– 世界で約10億人が飢えあるいは栄養丌良。 – 20億人がビタミン、ミネラル丌足。 – 5才以下の死亡は毎年3.5百万人。

国連ミレニアム開発目標(MDGs)との関係

– MDG 4: 1990年から2015年までに5才未満の乳幼児死亡率を1/3に削減する。

– 現在達成が困難とされている目標の一つ。乳幼児の栄養丌良が死亡率の大きな原因の一つ。

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世界の動き SUN (Scaling Up Nutrition)

2009年に国連を中心に、国連ミレニアム開発目標 (MDG)の達成の為に栄養改善が鍵であることが確認された。

100以上の組織(国連、政府関係、アカデミア、NGO他)が参画し、2010年にアクションプランが策定された。

妊娠期から2歳までの期間 (minus 9 - 24 months, First 1000 daysと呼ばれる)を、栄養改善の為のWindow of Opportunity と捉え、そこに集中的に資源を投入する。ガーナはSUNの重点国の一つ。

SUNに参画する組織には、当社が本プロジェクトでパートナーとなっている USAID, CARE, PLAN, ガーナ大学なども含まれている。

味の素は2013年 SUN Business Network に参加、Advisory Groupのメンバーとなっている。

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Scaling Up Nutrition (SUN) 100 以上の団体が参加を表明

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味の素グループの強みを生かした栄養改善を目指したい。

“Eat Well, Live Well”

食品科学 アミノ酸栄養

ソーシャルビジネス:栄養丌足のような途上国の社会課題を解決するための 持続可能なビジネス

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栄養改善へ向けた世界の動向と味の素のコミットメント

2013年6月TICAD V 2013年6月Global nutrition for growth compact

2012年12月SUN business network

2013年9月Business Platform for Nutritional Researchへ参

ここ1、2年で「栄養改善」を目指した世界の動きが活発化!

国際機関・政府・企業・アカデミア・NGO・NPO一体となった連携の強化が加速

特に、「最初の1000日」⇔国際的に資源投資急増

月齢 -9 -6 -3 0 3 6 9 12 15 18 21 24

誕生 受胎 2歳

妊娠期 授乳期 離乳期

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アミノ酸(リジン)利用の意義 - アミノ酸とは?

◆水分が約60% ◆タンパク質・脂質・無機質・糖質 ◆タンパク質が全カラダの約20%を占める ◆タンパク質は20種類のアミノ酸より構成 →皮膚、筋肉、骨、臓器、血液、ホルモンなどを構成

タンパク質を構成する 20種類のアミノ酸

タンパク質

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Lys Lys

Lys HCl

左図: リジンが欠乏しているため、タンパク質の利用効率は

リジンのレベルによって制限される。

右図: 結晶リジンを尐量添加することにより、タンパク質利用

効率が改善され、タンパク質丌足が解消される。

リジン : 必須アミノ酸※。穀物中のタンパク質では最も丌足している。

※必須アミノ酸:体内で合成できないため食事から摂取する必要のあるアミノ酸。

リジン添加

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リジン強化の効果

味の素㈱は、1995年からパキスタン、中国、シリア、 バングラデシュ、ガーナの5ヶ国でのリジン強化試験(小麦粉へのリジン添加など)を実施し、リジン強化の効果を科学的に 実証してきた。

確認された効果

– 子どもの成長促進(身長、体重)

– 免疫指標の改善(病気抵抗性の向上)

– 下痢発生率の低下

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I. 今なぜ味の素グループがアフリカで栄養改善にと

りくむのか?

II. ガーナプロジェクト概要

ー 離乳期用栄養強化食品の開発

III. 現地食品企業と連携による生産体制確立

IV. 種々の社会セクターとの協働によるプロジェクト推進

V. 味の素におけるソーシャルビジネスの意義、位置づけ

VI. 展望

内容

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国名 :ガーナ共和国 首都 :アクラ 人口 :25百万人(2012年ガーナ政府)) 国土面積 :23万8,537㎞2

主要言語 :公用語は英語。 部族、地域により多数の 現地の言語が使用され ている。 通貤単位 :セディ 独立 :1957年3月6日 共和国設立 :1960年7月1日

出典: ガーナ共和国大使館HP

なぜ、ガーナなのか? 国連機関、国際NGOなど様々な社会セクターが、ガーナを西アフリカの拠点として活動しており、それらとの連携によるソーシャルビジネスのモデルづくりには最適の場所であるため。

Ⅲ.ガーナの概要

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生後6ヶ月- 24ヶ月の離乳期に低栄養による成長遅延が増加

栄養不足による子供の成長遅延

0

10

20

30

40

50

6m 6-8m 9-11m

12-17m

18-23m

24-35m

35-47m

48-59m

(月齢)

(%) 低身長

低体重

Ghana Health Serviceのデータ

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ガーナ大学におけるシンポジウム(2009年12月7日)

味の素、ガーナ大学 INFの3者協働プロジェクトの立ち上げ

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マーケットで貥売される発酵コーンドウ(離乳食“Koko”の原料)

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発酵コーンのお粥“Koko”の調理

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離乳期用栄養強化食品の開発

WHO等の栄養必要量推奨値を満たすようなFormulation(原料組成)の計算。

大豆など現地調達可能な原料をできる限り使用する。

リジン、ビタミン、ミネラル等の添加による必要栄養素の充足。

味の素グループ 上海味の素食品研究開発センター社 にて原料分析、サンプル試作、保存安定性試験等実施。

ガーナにおける味覚試験の指導(味の素㈱食品研究所)。

ガーナ現地生産実現の為、現地食品企業との連携と技術移転(品質管理等)

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ガーナ大学職員家族による味覚試験

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家庭での調理の際に栄養素を添加する (Point of Use Fortification, Home Fortification )

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栄養サプリメント

“KOKO Plus” (組成)

大豆、パーム油、砂糖、アミノ酸(リジン)、ビタミン、ミネラル

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I. 今なぜ味の素グループがアフリカで栄養改善にと

りくむのか?

II. ガーナプロジェクト概要

ー 離乳食用栄養強化食品の開発

III. 現地食品企業と連携による生産体制確立

IV. 種々の社会セクターとの協働によるプロジェクト推進

V. 味の素におけるソーシャルビジネスの意義、位置づけ

VI. 展望

内容

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現地食品企業と協働での生産体制確立

味の素の食品エンジニアが現地企業のスタッフと生産技術について議論

KOKO Plus 専用の生産設備の建設

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現地食品企業と協働での生産体制確立

現地パートナー”Yedent Agro Group of Companies Ltd. に完成した専用生産設備

食品製造のゾーンを他のエリアから隔離するなど、食品製造における基本的な品質管理の考え方を導入。 Yedentは国連食糧計画(WFP)などとの取り組みの経験もあり、「ソーシャルビジネス」の考え方に理解。 新しい技術、考え方の導入に熱心で「協働での取り組み」 “Co-Creation”が実現

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試験生産の様子(2012年3月)

原料の混合機 包装工程(手作業)の準備

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テスト生産(2012年3月)

包装工程のテスト テスト生産が終了して。 (味の素、Yedent, ガーナ大の エンジニア)

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開所式 (2012年11月20日)

式典に参加したVIP (中央は在ガーナ日本大使)

工場内部の見学

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I. 今なぜ味の素グループがアフリカで栄養改善にとりくむの

か?

II. ガーナプロジェクト概要

ー 離乳期用栄養強化食品の開発

III. 現地食品企業と連携による生産体制確立

IV. 種々の社会セクターとの協働によるプロジェクト推進

V. 味の素におけるソーシャルビジネスの意義、位置づけ

VI. 展望

内容

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連携によるイノベーション創出

製品 – Acceptable

– Accessible

– Affordable

流通システム

栄養教育

Partnership Innovation

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各種試験の実施

生産設備

Efficacy trial (栄養学的効果確認試験) 1. 微量栄養素のみ強化 2. KOKO Plus 3. 栄養教育のみ。 - 1グループ 子供 301 人 6-18 月齢 (1年間)

流通モデル試験 1 CARE との取組 Village Savings and Loan Association/女性貥売員 流通モデル試験 2 USAID, Social Marketing Company (ESM)との取組 伝統的流通チャネル +Social Marketing

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種々の社会セクターとの協働によるプロジェクト推進

現地政府機関

Ghana Health Service (GHS)

– GHSの活動 •ガーナ保健省に属し、ガーナ全土で、地域の保健所のネットワークを

持ち、保健、栄養の改善に取り組んでいる。

•国連機関、国際NGO、各国援助機関との連携、協力を得て取り組みを進めている。

– JICA(Japan International Cooperation Agency)とは最も貣困度が高いといわれるUpper West RegionでのGHSの母子保健のプロジェクトを支援している。

– 本プロジェクト推進にあたり、共同取り組みを行うことを 確認した覚書(MOU)2011年4月締結。

•効果確認試験、栄養教育ツール開発等を共同で実施予定。

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マンケシムマーケットのクリニック

【左上】母子健康管理のために母親が子供の定期測定

に訪れる検診の様子

【下左】母子手帳

【下右】母親への教育

栄養失調の子供に 緊急栄養強化食品を

提供するナース

定期健康診断の案内

Ghana Health Service (GHS)の活動

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Ghana Health Service の協力を得て栄養教育を実施

Body Building Food (Protein)

Energy Food(Carbohydrate & Fat)

Protective Food (Vitamin and Minerals)

3 major Nutrient

Meats, eggs and beans

Maize , Cassava, and Koko

Vegetables

Micro nutrient powder

3種類の栄養成分とKOKO Plusの位置づけについて

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国際NGO

CARE International、PLANなど

– 国際的なネットワーク、強い資金調達能力、人脈で途上国問題に対し、広い分野で活動。

– 公益財団法人ケア・インターナショナル ジャパン【事務局・スイス】、 公益財団法人プラン・ジャパン 【本部・イギリス】とは、ガーナプロジェクトでの共同取り組みについて2010年9月に覚書締結。

– 貣困問題へのアプローチでは「女性の自立支援」が鍵。

•女性が社会的、経済的に自立できれば、子どもの就学、栄養、健康状態の改善が可能になる。

•貣困の悪循環からの脱出

栄養効果確認試験、流通試験などを協働で実施。

国際NGOとの連携によるプロジェクト推進

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BOP層にどうやって商品を届けるか? “Delivery System”の開発に於ける 国際NGOとの協働取組み

貣困層へどうやって商品を届けるか? “Last mile delivery” の問題

(参考例) CARE Bangladesh の“Network of Sales Ladies”

ハブ(Kioskのような商店)→Sales Ladiesがバスケットに種々の商品を入れて、農村コミュニティーで訪問貥売をおこなう.

CARE BangladeshでのSales Lady が運ぶ商品を入れたバスケット

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CAREと協働で実施する流通モデルのスタディ実施地域(北部)

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国際NGOの女性自立支援活動 をPlatformとした流通システムの検討

Village Savings and Loan Association (VSLA)

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調理デモによる栄養教育 地元でとれる食材についての栄養知識を説明する。

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国際NGOの女性自立支援活動 をPlatformとした流通システムの検討

貥売の起点(Hub)となる商店 女性貥売員

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VSLAを活用した貥売で想定される重要なポイント

• VSLAを指導するNGOとコミュニティーとの 信頼関係。

• コミュニティーメンバーの積極的な参画。

• 貥売による収入増がSales Ladyにとっての十分なインセンティブになること。

• VSLAが栄養教育(栄養の重要さをコミュニティーメンバーに理解してもらう)の場として機能する事。

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村の長老等への試験についての説明と協力のお願い

栄養学的試験の実施 国際NGO Planと協働取組

子供の身長測定

血液サンプル採取

NGOとコミュニティーの

信頼関係が成功の鍵!

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(国際援助機関

JICA (国際協力機構) JICAの官民連携推進策の一つとしての、「BOPビジネス連携支援」スキームの対象に、本プロジェクトが選定された。(2年間 5千万円の支援)

USAID (US Agency for International Development) 日米の連携、官民連携による開発援助推進に強い関心。GDA (Global Development Alliance)参画は日本企業としては初。

国際援助機関との連携によるプロジェクト推進

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JICA Japan International

Cooperation Agency

JICAの官民連携ス

キーム「BOPビジネ

ス支援」

USAID US Agency for

International Development

•GDA (Global Development Alliances)

日米連携、官民連携の取り組み

2012年5月30日 ガーナアクラにおいて、

USAID- JICA-味の素の協働取り組みを確認する覚書締結

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1. Social Marketing Company(ESM) をつかった消費者(母親)のBehavior Change、それによるDemand Creationの為の取り組みを行う。

2. 流通のチャネルは既存市場における小規模小売店などを活用する。

3. 有効なBehavior Change の為のStrategyを知るために対象となるCommunityの人たちと共に暮らしてみて何が求められているかを知る。 (Immersion)

USAIDとの取り組み

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Social Marketingによる需要創出

マーケットでのドラマ上演と試食、販売

コミュニティーの

リーダー(Chief,

Queen Mother)

に出席してもらうことが重要。

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テスト貥売は順調に推移

25000

0.00

0.50

1.00

1.50

2.00

2.50

3.00

3.50

4.00

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

南部地域 月別消費量:一人当たり袋/月

期首目標 3.2袋/月

(20%が、16回/月使用)

改訂目標 4.0袋/月

期首在庫

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国連機関との連携

国連開発計画 UNDP Business Call to Action に参加

(官民連携での国連ミレニアム開発目標実現を目指す取り組み)

2013年9月

NYにおけるUNDP

Annual Event で

ガーナプロジェクトについて説明

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国連世界食糧計画 (WFP)と味の素が協力して

ガーナでの母子栄養改善に取り組むことに合意

1. 2014年3月27日 Letter of Cooperation 締結 2. 日本政府がWFPガーナに出した拠出金 を基に、官民連携による栄養

改善に取り組む。

ローカルの食材についての栄養組成のデータベースをつくり、安価で

栄養のある食事のガイドラインを作ることが協働での取組みの一つ。

特に北部貧困地帯での栄養改善、学校給食での栄養改善を目指す。

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ソーシャルファンドとの連携検討

CIFF (Children’s Investment Fund Foundation)

– イギリスのヘッジファンドが設立(2003年)

– 2013年6月 英国政府が主催した Nutrition for Growth Meeting にて2020年までに途上国の栄養改善の為に7億ドルのコミットメントを発表。

5歳までの子どもの死亡削減、飢餓の削減と栄養改善、教育の普及、気象変動の問題に重点

栄養改善では2歳までの子供の低身長の問題、急性栄養丌良の治療食の開発普及に重点 → 味の素の目指している分野と一致しており、将来の連携を検討。

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ソーシャルファンドとの連携

Acumen Fund : 2001年にRockfeller 財団、Cisco Systems財団等の出資でスタート。 貣困の削減の目的で、従来のCharityではなく、”Patient Capital“(社会性の高い事業を長期的な投資で支援)のアプローチを推進。

ガーナでの事業本格立上げの際の連携について協議中。2015年Study Phase の結果が明確になった時点で具体的条件について相談する予定。 → ガーナ法人立上げの際のマイナーシェアホルダーになり、持続可能なビ

ジネスにするためのアドバイス等を提供するとのこと。

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プロジェクト スケジュール

第1期 (2009年ー2010年) – 製品開発 – 市場調査 – ガーナ政府、国際NGO等との連携確立

第2期 (2011年ー2014年) – プロトタイプ製品を用いた効果確認試験の実施 – テスト貥売 – 本格生産、貥売へ向けた準備

第3期 (2015年 以降) – ガーナにおける本格生産、貥売 – ナイジェリア等他の西アフリカ諸国での横展開検討

→ 本格事業化 “Scale Up”がソーシャルビジネス成立へ向けた最大のチャレンジ!

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School Nutrition

Pregnant Mothers

Lactating Mothers

Weaning 6-24 mo

Pre-School 2-5 years

School children 5‐12 years

First 1000 days

GIZ-DSM Maternal Nutrition

“KOKO Plus” for Infant & Young

children

WFP- Japanese Government‐GAIN‐Ajinomoto

母子の重要なライフステージにおける栄養改善の実現

最初の1000日 学童栄養

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I. 今なぜ味の素グループがアフリカで栄養改善にと

りくむのか?

II. ガーナプロジェクト概要

ー 離乳食用栄養強化食品の開発

III. 現地食品企業と連携による生産体制確立

IV. 種々の社会セクターとの協働によるプロジェクト推進

V. 味の素におけるソーシャルビジネスの意義、位置づけ

VI. 展望

内容

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早朝荷物をトラックに積んで出発 市場(いちば)に商品を搬入

小売店に直接貥売・現金回収 帰社後現金、伝票と合わせてレポート

BOP市場における調味料ビジネスとの比較

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BOP市場における調味料ビジネスと 栄養改善プロジェクト(ソーシャルビジネス)の比較

調味料ビジネス

栄養改善プロジェクト

(ソーシャルビジネス)

会社における位置づけ

コアビジネス Cash Cow

社内起業的

推進組織 ビジネス事業部 研究開発企画部、CSR部、研究部門他、組織横断的チーム

ビジネスモデル 開発から生産、貥売にいたるまで、自社でおこなう。

協働、Co-Creation オープンイノベーション

マネジメントの期待 短期、中期の利益創出 長期的視点での貢献 コーポレートバリューの向上

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先進企業はソーシャルビジネスを通じ、社会価値の実現だけでなく、新興国開拓を初めとする通常事業とのシナジー(=経済価値)を追求している

先進企業におけるソーシャル事業の位置づけ

"Social business is a financially sustainable organization

created to solve social problems"

- Professor Yunus

社会

価値

• 中長期的に持続可能で、スケールアップ

可能な方法で社会問題を解決

• 企業ブランド向上を通じた従業員の

働きがい向上

経済

価値

• 新興国の事業展開加速

• ソーシャルビジネスとしての経済性の成立

ソーシャルビジネスの定義

経済

価値

(利益)

社会価値

通常事業(P>C)

ソーシャルビジネス

(P≧C)

援助付ソーシャルビジネス

(P<C)

NPO(N/A)

(括弧内は収益に対する考え方)

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当社は他社以上に、栄養事業と通常事業のシナジーを実現可能な強み、

事業特性を備えている

競合にはない栄養事業の強みを有する

アミノ酸栄養知見

• 世界一のアミノ酸企業

としての強み

海外食品の事業特性上、シナジーを実現しやすい

おいしさ設計技術

• 食品企業としての強み

+

当社は現地の経済、健康、食文化の発展に地道に取り組むことによって規模で勝る競合に対し優位性を構築

• “ダブルスタンダードを平気で行う競合と異なり、当社は

現地政府からの信頼が厚い。 MSGの安全性に関する風評

がでても、現地の厚生労働省長官が正してくれる"

製品

当社は栄養製品の次に伸びる製品を持つ

事業モデル

現地社会への

貢献が当社優位性の源泉の一つ

風調

MSG

栄養製品

欧米企業 味の素 1人当たりGDP1)

~3,000

($)

約3,000

約5,000

事業規模

時間

風調 MSG

栄養

事業規模

時間

次に展開する 製品がない

地域

今後の進出国は

栄養課題が深刻 5%未満 5% - 10% 10% - 20% 20% - 35% 35%以上

不足栄養の人口比率

アフリカにおける参入検討国 アフリカにおける不足栄養の状況

既存展開国

新規検討国

不足栄養の人口比率

1. PPPベース (2011年の為替換算)

栄養

風調

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(参考)国際栄養事業を活用した参入モデルが有効な国が多数存在 アフリカ各国の一人当たりGDPと人口の分布

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2,000 14,000 12,000 6,000 4,000 0

Angola

Morocco Algeria

South Africa

Egypt

Mozambique Ghana

Uganda Sudan

Kenya Tanzania

Congo, Dem. Rep.

胃袋の大きさ=

人口(億人, 2012年)

Nigeria

Mali Malawi

Burkina Faso

Ethiopia

Cote d’Ivoire

Cameroon

Madagascar

1人当たりGDP($, PPPベース, 2012年)

Niger

:2020年の調味料市場規模

(参考)他国の調味料市場規模

• 日本:2兆円

• タイ:2,000億円

1,000億円

国際栄養事業を通じた参入が有効な国

• 人口5億人、約1,000億円の調味料

市場ポテンシャル(2020年)が存在

• 10%以上の人口が不足栄養を抱える

MSG市場が

立ち上がる

タイミング

ファーストエントリーが成功要因の一つである食品事業において、

低GDP時に参入する手段を持つことは重要

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(社会価値)途上国の栄養課題の解決: 世界の栄養課題の解決に必要な8,000億円市場を開拓

1,537

2,894

1,000

11,833

0

5,000

10,000

15,000

M USD

Tota

l

Monitoring

and

evaluation

200

Capacity

developme

nt

Behavior

Change

Micronutrient

s

Complementary

and therapeutic

feeing

6,203

Complementary

food

3,643

Severe acute

malnutrition

2,560

途上国における不足栄養の解決に必要な年間費用

国際栄養事業としての対象市場 7,740 M USD

うちKOKO Plus

は約100M USD1

1. 不足栄養にある乳幼児が月に16回使用、乳幼児のうち40%が穀物としてトウモロコシを摂取していると仮定 Source: SUN Roadmap documents; World Bank Report: "Scaling up nutrition – what will it cost?"

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(経済価値)海外食品事業における新興国展開の加速: 国際栄養事業は、事業基盤の構築を、より早く・安く構築可能

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

201

0

200

5

200

0

199

5

199

1

百万ナイラ

これまで新興国では10年かけて

事業基盤を構築

国際栄養事業を活用することで

より早く・安く構築可能

(ナイジェリアにおける法人設立以降の売上推移)

10年の

事業基盤構築

事業基盤の

構築が可能

• 同じ顧客が同じ店で買う製品のため、国際栄養事業を通じてブランドや販路等を構築し、それを基盤に海外食品製品を展開可能

より早く・ 安く可能

自社

• 現地や援助機関のサポートが得られるため、

より短期間で費用を押さえ、事業構築が可能

他社

• ネスレや中国・韓国企業等の競合はソーシャルな栄養事業への取り組みは限定的

• 先行する当社は競合よりも早く・安く可能

1. 1ペソ品換算 Source: 社内資料; Euromonitor

A

B

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ソーシャルビジネスの展望

1. 共存、Co-Creationという新しいパラダイムシフトへの大きな潮流?

2. 社会課題に正面から取組むことによって得られる新たなPartnership、ビジネスチャンス

1. Public - Private

2. NGO – Private Company

3. 従業員へのMotivation (特に若い人)

4. 会社の社会における価値向上

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ソーシャルビジネスの展望

Bill Clinton / Clinton Global Initiative

“ I’ve long believed that building networks of creative cooperation among governments, the private sector and nonprofits is the key to overcoming challenges, both great and small, of newly interdependent world.

And it works --.”

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1. 長期視点でじっくりと取組む必要。

→ トップマネジメントのコミットメントが必須。

2. BOP市場で取組む覚悟 あらゆるプロセスでの非効率、 許認可等にかかわる規制の未整備。

3. 歴史的背景、文化の異なる種々のパートナーとのWin Win の関係構築は簡単でない。

4. 調査研究の段階から、本格事業化(Scale Up)まで継続的な投資が必要。 → 援助資金の活用は必須

・・・でも簡単ではない。

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本格事業化(Scale Up) における課題

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• 持続可能なビジネスを実現する為にはビジネス規模の拡大が必要、 だが容易ではない。

• 貣困度の高い地域では、援助と市場メカニズムの組み合わせ (Hybrid Modelの構築が必要か?

• 長期視点が必要。 ソーシャルビジネスの評価には従来のビジネス指標だけでは丌十分

• ソーシャルビジネスに合ったKPIの検討?

• Scaling up を成功させるためには、多くの社会セクターとの

連携が重要 • ガーナプロジェクトではScale Up Phase での日米連携、

官民連携を検討中。→Scale Upの成功例を作りたい。

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NGOなど種々の社会セクターと、 栄養改善という目的を共有した Win-Winの関係を築く。

栄養丌足という社会課題解決を持続 可能なビジネスを通して実現できる ことを証明する。

ソーシャルビジネスの展開が直接、 間接にメインストリームのビジネス 展開に貢献できる事を示す。

ガーナでの成功例を築き、他の途上国へ 横展開を進める。

目指したい姿

現地生産

開発

貥売

利益の再投資

目的を共有する国際 機関、政府機関、NGO とのコラボレーション

貣困からの脱出 栄養・健康改善

(当社にとって)新しいマーケット創出

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連携による農業生産と栄養改善のリンク強化の試み - Soybean Value Chainの構築と栄養改善 -

コミュニティー開発への貢献

農業生産性の向上

農産物の加工

付加価値付不 農村コミュニティーの栄養改善

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