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Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

編集方針

Editorial Policy

 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

ビリティの観点からみた現状と課題を報告することを目的に制作しました。

具体的には、以下の点に重点をおいて制作しました。

1.特集では2004年度版に引き続き、三菱商事の中核的事業である天

然ガス事業、原料炭事業、食糧・食品事業を取り上げ、CSR(企業の社

会的責任)の観点から重要と思われる側面について、具体的な取り組み

を報告しました。また、気候変動対策や持続可能な社会実現のために

三菱商事が取り組んでいる新エネルギー事業などについても紹介してい

ます。

2.三菱商事のグループ企業における社会・環境パフォーマンスの把握と

開示に注力しました。世界各地に事業展開し、業態も多様である三菱

商事が及ぼしている社会的側面や地球環境への影響について、定量

的な把握を試みました。

3.サステナビリティへの取り組みには、グローバルな視点で事業活動を

とらえることが重要です。そのため、海外CSR担当部署による編集紙面

を拡充しました。また、欧州と米国で開催したマルチステークホルダー・ダ

イアログの内容を掲載しています。

会社名 : 三菱商事株式会社 設立年月日 : 1950年4月1日 資本金 : 126,705,087,734円 発行済株式数 : 1,567,399,508株 本社所在地 :  丸の内オフィス:   〒100-8086 東京都千代田区丸の内二丁目6番3号(三菱商事ビル本館)  品川オフィス :   〒108-8228 東京都港区港南二丁目16番3号(品川三菱ビル18F~31F) 拠点数(2005年3月31日現在)  国内拠点 国内支社、支店等 : 32  海外拠点 海外場所、分室等 : 113       現地法人の本店および支店等 : 77(本店38、支店等39) 連結対象会社数:509(2005年3月31日現在) 従業員数(2005年3月31日現在)  単独 : 6,001名  連結 : 51,381名 主な事業内容 エネルギー、金属、機械、化学品、生活物資等多種多様な商品の国内・輸出・輸入および外国取引を行うほか、情報、金融、物流その他各種サービスの提供、国内外における事業投資など

三菱商事株式会社、主要連結子会社および関連会社509社 報告対象期間 : 2004年4月~2005年3月        (一部2005年4月以降の活動内容を含む) 報告書発行日 : 2005年8月 前回発行日 : 2004年8月 次回発行予定日 : 2006年8月 報告書発行責任者 : 取締役社長 小島順彦 住所 : 〒100-8086      東京都千代田区丸の内二丁目6番3号     三菱商事株式会社 社会・環境室 電話 : 03-3210-9205 ファックス : 03-3210-9257 E-mail : [email protected] ホームページ : http://www.mitsubishicorp.com

会社概要

報告書対象範囲

報告書に関するお問い合わせ

Company Profile

To Protect the Future

To Create the Future

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01

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

目次

ごあいさつ

Special Feature

三菱商事が考えるサステナビリティ

CHAPTER 1

 サステナビリティの観点から主要事業を見る

  天然ガス事業

  原料炭事業

  食糧・食品事業

CHAPTER 2

 持続可能な社会実現のためのビジネス

Corporate Overview

三菱商事の概要

ステークホルダーとの関わり

CSR Policies & Management

CSRに関する基本理念

コーポレート・ガバナンスとコンプライアンス体制

CSRに関するマネジメントシステム

取引先および事業投資先への環境レビュー

CSR Performance

三菱商事グループのCSRパフォーマンス

社員との関わり

社会貢献活動

海外のCSR活動

財務パフォーマンスと収益構造

Special Feature

マルチステークホルダー・ダイアログ 日本

マルチステークホルダー・ダイアログ ヨーロッパ

マルチステークホルダー・ダイアログ アメリカ

GRIガイドライン2002年版と本報告書の対照表

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C o n t e n t s

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02

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

 グローバル化が急激に進む中、世界は絶え間なく変化を繰り返して

います。

 ここ数年はBRICS諸国(中国、インド、ブラジル、ロシアなどの新興

大国)の躍進がめざましく、世界経済に大きな影響を及ぼしています。

世界規模での需要の急増は同時に、環境への負荷にもつながってい

ます。本年2月には京都議定書が発効されましたが、地球規模での気

候変動問題に取り組むことは、企業の社会的責任であると考えます。

 グローバル化によってもたらされた社会、経済、環境への影響は、新

興大国の台頭の一方で、発展途上国での貧困、それに伴う児童労働

などの人権問題を生み出す背景となっています。こうしたグローバル化

の社会的側面に企業はどう対応するか、その取り組みがますます重要

になっています。折りしも2005年は、2000年の国連総会で採択された

ミレニアム開発目標(貧困の削減、保健・教育の改善、環境保護の各

分野に関する行動目標)の達成に向け、全世界が課題を明確にし、今

後につなげていくための年となります。企業は、自らの社会的責任を果

たす上でも、これらの目標の達成に向けてイニシアティブをとって行動

することが重要であると考えます。

 2004年7月、私たちは新中期経営計画「INNOVATION2007」を

発表しました。これは、激動の環境の中で三菱商事が持続的に成長し

ていくための指針です。成長とは、数字上の成長、利益の増大だけを

指しているわけではありません。企業市民としての責任を果たしながら、

時代をリードする総合商社として、すべてのステークホルダーとともに

成長していくことを意味しています。この中で、今後わが社が目指す企

業像として「新・産業イノベーター」というビジョンを掲げました。これは、

構造変革が本格化する中、あらゆる産業にグローバルなアクセスを持ち、

市場変革の潜在力を持つわが社の強みを活かして、市場のニーズから

産業をとらえ直して新しい仕組みの提案や創出をしたり、次世代を担う

新産業の創生を支援することで、産業界の発展に寄与し、お客様とと

もに成長のシナリオを構築する役割を果たしていこうというビジョンです。

 三菱商事は、「新・産業イノベーター」というビジョンの下、社会に対

してより良い商品やサービスを安全性にも配慮しながら創出・提供し、

物心ともに豊かで弛まない成長が可能な社会の実現に努めます。

グローバル化の進展の中で、 ますます重要になる企業の社会的責任

未来を創造し、社会とともに成長する 「新・産業イノベーター」を目指して

Message From

President and CEO

すべてのステークホルダーとともに、 持続可能な社会を目指して未来を創造します

ごあいさつ

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03

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

取締役社長

 三菱商事には創業以来の企業理念である「三綱領」(所期奉公、

処事光明、立業貿易)があります。三綱領は、常に公明正大でフェア

な態度を貫き、社会や環境と共生の視点を持ちながら、世界と人類の

未来に貢献するビジネスを展開していくことを謳っており、わが社が人・

社会・環境への配慮など社会的責任を果たす上での拠り所となってい

ます。三菱商事は世界約80ヵ国に200以上の拠点と500社を超える

連結対象会社を有し、多彩な事業をグローバルに展開しています。こ

れらの企業がそれぞれの本業を通じて、CSRを果たしていくことが重要

であると考えています。

 私は、CSRには3つのレベルがあると考えます。基本的なレベルは、

法令遵守(コンプライアンス)をしっかりと果たすことであり、それぞれの

国や地域で営んでいる事業を統制する法規制にしたがうということです。

次のレベルは、法令遵守にとどまらず、法規制の要求を超えた社会へ

の配慮をしっかり意識することです。さらなるレベルは、事業の領域外

であっても、企業が影響を及ぼすと考えられる場合には、自らが積極的

に行動を起こすことであると考えます。

 「INNOVATION2007」では、基本コンセプトの一つとして、「人を

活かし、人を育てる」というテーマを掲げています。グローバルにビジネ

スを展開するわが社にとって、ビジネス感度と同時に、CSR意識の徹底・

向上を図ることも人材育成には不可欠であると考えています。わが社

は今年度からボランティア休暇制度を新たに導入するなど、社員の積

極的な社会貢献活動への参加を支援、促進しています。社員一人一

人が企業と社会を結ぶ新たな役割を担うことは社会の信頼を高めるも

のと確信しています。

 わが社のみならず、わが国にとっても次世代に向けての人材育成は、

社会の持続的な成長のための重要課題であり、企業の大切な役割で

す。私はそうした認識をもって、事業経営者のみならず、CSRを理解し、

実行できる人材を育成し、社外に輩出できる企業にしていきたいと思

います。

2005年7月

三綱領はCSRの拠り所 CSR意識の高い人材を 輩出できる企業にしたい

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04 Special Feature

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

三菱商事が考えるサステ

私たちは、地球温暖化と生物多様性、資源と

エネルギー、そして人口増大と貧困に密接に

関わる食糧と水資源の問題を、人類が取り

組まなければならない地球的課題と位置づ

けています。

こうした地球的課題をはじめとして、人権と

労働などの社会性も含めたサステナビリティ

に貢献することで、企業価値を大きくしてい

きたいと考えます。

Special Feature

Page 7: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

05Special Feature

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

ナビリティ

サステナビリティの観点から主要事業を見る CHAPTER 1

 三菱商事の事業展開の中で、とくに主要なものとしてエネルギー、金属、生活産業の3つの分野があ

ります(詳細は15ページをご覧ください)。これら3つの分野は、いずれも業界の川上から川下までのト

ータル・バリューチェーンで取引・投資・金融などを融合して利益を上げており、三菱商事における収益

の柱となっています。

 本特集では、これら3つの事業分野の中でもとりわけ中核的な、天然ガス事業、原料炭事業、食糧・

食品事業について、サステナビリティの観点から報告します。

持続可能な社会実現のためのビジネス CHAPTER 2

 三菱商事は持続可能な社会の実現に向け、環境をテーマとした多くのビジネスに取り組んでいます。

本特集では、新エネルギーと地球温暖化防止に向けての三菱商事の取り組みを報告します。

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Handling Half of Japan's Imports of Cleaner Energy

06 Special Feature

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

クリーンエネルギーで 日本の輸入量の半分を担う

 液化天然ガス(LNG)は、燃焼の際に地球温暖化ガスであるCO2(二酸

化炭素)や大気汚染、酸性雨の原因物質であるNOx・SOxの排出が、石油

や石炭に比べ少ないところから需要が高まってきています。また、京都議定

書が発効され、地球温暖化ガスの排出量の削減が法的に義務付けられた

ことにより、LNGの需要は一層、高まってくると思われます。

 西オーストラリアLNGプロジェクト(North West Shelf プロジェクト)は、

約20年前に発足しました。海上設備は西オーストラリア州カラサ沖合130km、

陸上設備はバラップ半島にあります。本プロジェクトは資源開発プロジェクト

としては世界最大級の規模で、三菱商事は豪州現地法人のMIMI(三井物

産(株)との折半出資による合弁会社)を通じ、シェル、BP、BHPビリトン、シ

ェブロン、ウッドサイドとともにプロジェクトに参画しています。ウッドサイドはオ

ーストラリアのエネルギー企業で、本プロジェクトのオペレーターを務めてい

ます。本プロジェクトはガス田の探鉱から液化生産、輸送、販売までを一貫し

て担うところに特色があります。

 LNGの生産能力は、2004年に第4番液化トレインが完工し、年間1,170

万トンとなっています。生産されたLNGの大半は日本に向けて輸出されてい

ます。日本でのお客様は電力6社とガス4社で、わが国のLNG輸入量の約2

割を占めています。本プロジェクトは、オーストラリアが政治的に安定してい

ること、純商業的なプロジェクトのため政治的な思惑に左右されないこと、メ

ジャーが参画していることなどの理由により、安定供給の観点から高く評価

されています。こうした評価に応え、第5番液化トレインの建設が決定しました。

天然ガス事業 オーストラリア

天然ガス事業本部 オーストラリア事業ユニット

松島 尚子

担当者の声

左:陸上液化ガスプラント

右:陸上設備(全景)

西オーストラリアLNGプロジェクトの概要

 資源の乏しい日本へエネルギ

ーを供給すると同時に、地球環境

を守るためにも意義あるプロジェ

クトであると実感しています。部屋

の灯りをともす時や料理をする時、

この電気・ガスの一部にわれわれ

のプロジェクトのLNGが使用され

ているかもしれないと思うと心が

躍ります。地球温暖化が深刻な

環境問題になっている今日、

LNGが問題解決の一つの選択

肢になればと期待しています。

サステナビリティの観点から主要事業を見る CHAPTER 1

LNG BUSINE

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07Special Feature

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

 1969年11月4日、アラスカから一隻のLNG船が神奈川県根岸のLNG受

入基地に入港しました。日本初、世界で2番目に天然ガスが海を渡ったこの

プロジェクトこそ、三菱商事のLNG事業の出発点となったアラスカプロジェ

クトです。当社では、このプロジェクトに続き、1970年からブルネイプロジェク

トに参画し、天然ガスの液化(LNGの生産)やファイナンスも手がけました。

その後、マレーシア、インドネシア、オーストラリア、オマーンと世界各地の新

規LNGプロジェクトに参画してきています。

 世界のLNG貿易量は年間約1億3,000万トン、日本のLNG輸入量は約

5,900万トンで、三菱商事は世界のLNG貿易の約20%、日本向けLNGの

約50%の輸入シェアを誇っています。

 さらに現在、サハリンⅡプロジェクト、インドネシア・タングープロジェクトに

参画し、上流における権益の確保を進展させる一方、米国でのLNG受入基

地事業など、アップストリーム(探鉱・開発から前処理工程まで)からダウンス

トリームまでの新規事業開発へ積極的に取り組み、グローバル化するLNG

取引に対応しています。

 西オーストラリアLNGプロジェクトは、現地の雇用を拡大しました。建設に

際して延べ9万人の雇用があり、日常的なオペレーションにおいても500人

の雇用が生まれています。また、本プロジェクトは、陸上設備のあるカラサに

直接的な貢献活動を展開しています。病院、学校などの拡張に29百万豪ド

ル、スポーツ施設、図書館、映画館、コミュニティーセンターの建設に10百

万豪ドル、道路、空港、電力・水道の供給、配管設備など開発のためのイン

フラ整備に33百万豪ドルを供出しています(数字は2002年現在)。

 三菱商事は投融資に当たってCSRの観点から審査し、また、環境影響評

価と環境レビューを行っていますが、本プロジェクトもこれらの手順に従って、

実施しています。

 日常のオペレーションについてはオーストラリア政府との生産ライセンス

に基づき十分に環境に配慮しています。海上プラットフォーム(2基)と陸上

液化プラントはISO14001の認証取得をしています。オペレーターにより環

境方針が提示され、NOx、SOx、CO2、廃棄物、水使用量など環境側面の

各項目については具体的な数値が設定されています。なお、こうした取り組

みによってCO2を削減したことが評価され、オペレーターはオーストラリア政

府から表彰を受けました。今後も一層の環境負荷削減に努めていきたいと

思います。

 天然ガスの生産、原油生産、天然ガス液化基地の操業には、何よりも安

全が求められます。本プロジェクトにおいてもこの点に特に留意し、操業に

努めています。安全衛生についてはリスク管理能力を高め、適切なシステム

を構築しており、すべての分野で目標を設定し、継続的な改善に努めていま

す。さらに、こうした取り組みをいっそう効率的に展開するために、安全衛生

のパフォーマンスを従業員の査定の要素の一つとしています。

三菱商事のLNG事業

地域社会に経済、インフラ整備で貢献

環境への配慮

安全面にはとくに留意

ブルネイ

マレーシア

オーストラリア

ロシア

インドネシア

アメリカ

オマーン

など

上流 液化 輸送 受渡 資源保有国

ガス田探鉱・開発

天然ガス生産 LNG生産

資機材調達 受入基地

米国

LNG船

傭船

日本

輸入

韓国 台湾など

LNG船 保有/運航

金融 ファイナンス

投資

投資 投資

投資 取引

取引

取引

LNGのバリューチェーン

SS

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Special Feature08

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

サステナブルな 金属資源開発を目指して 原料炭事業 オーストラリア

Sustainable Development of Mineral Resources

サステナビリティの観点から主要事業を見る CHAPTER 1

コークス原料になる原料炭

事業の概要 環境の再生

水資源の再利用

 1968年に、オーストラリアに資源投資会社MDP社(Mi t s ub i s h i

Development Pty.,Ltd.)を設立し、同社を通して日本の製鉄会社などの

需要に対応し、主に原料炭を安定供給してきました。2001年からは、世界

最大手の資源会社BHPビリトン社と共同で組織した石炭共同事業体BMA

(BM Alliance)に50%出資し、オーストラリア・クイーンズランド州の7つの

鉱山で採掘を行っています。生産量は年間5千万トン強(三菱商事の権益

保有量はそのうち50%)。その大部分は、日本をはじめ、韓国、ブラジル、イン

ド、ヨーロッパなど世界24ヵ国に及ぶ需要家に供給されています。現在、

BMAから世界に向けて輸送される量は、世界の石炭海上貿易の約3割を占

めています。

 BMAが採掘し、日本に輸送する石炭は原料炭が主体です。石炭は使用

目的により原料炭・一般炭に分けられます。原料炭とは、製鉄の際に使われ

るコークスの原料となる石炭のことです。製鉄においてコークスは高炉内で

の還元剤、熱や空気を高炉内部で均等に回すための空間作り、熱源などの

役割を果たします。この際に求められるのが、強く良質なコークスで、その主

要な原料となるのが高品質の石炭である強粘炭です。BMAがクイーンズラ

ンド州で産出している石炭は、原料炭となる強粘炭が中心で、全産出量の

80%強を占めています。

 クイーンズランド州の採掘現場では主に露天掘り方式で採掘し、採掘跡

地は順次、リハビリテーションと呼ばれる環境の再生作業が行われています。

採掘では最初に1~2mほど表土をはがし、その表土を別の場所に保管した

上で、石炭層を覆う厚い土砂をどけてから石炭を掘り出します。採掘した場

所は隣接する区域を採掘する際に除去した土砂で埋め戻します。石炭の採

掘作業はこの繰り返しで、採掘と埋め戻しを同時進行で行っています。採掘

後に埋め戻された区域は重機等をつかってならし、最初にはがし、別途保管

していた栄養分の多い表土で覆い、ここに植栽をして土地のリハビリテーシ

ョンを行っています。植栽で使うのは、採掘前にとっておいた植物や周辺で

採集した草や木の種。これは現場を採掘前と同じ様な、自然な状態に戻す

ことを狙ったものです。専門の担当者が降雨量を見ながら水まきをするなど

緑を大切に育て、生態系の再生に努めています。

 石炭の生産過程では大量の水を必要とします。たとえば、採掘した石炭

に付着している土や泥などを洗浄する際に使う水。洗浄に利用した水はテ

ーリング・ポンドと呼ばれる池に流し入れ、数年の単位でそのままにして、自

然に不純物が沈殿し、上澄み水が上がってくるまで厳しい環境規制のもと

で管理しています。きれいになった水は品質チェック・pHチェックをして再利

用したり、川に戻したりします。また、テーリング・ポンドに沈殿した石炭くずは、

COKING CO

Page 11: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

09

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

MDPユニット 担当マネージャー

種子田 辰市

担当者の声

 私たちが開発し、日本へ持ってきた石炭

が鉄・電力になる。働きながら自分の仕事

が会社の利益のみならず、社会にも貢献で

きる点が嬉しいです。私は、入社してから一

貫して石炭担当で、オーストラリアには約6

年駐在しました。原料炭事業に携わり、社

会のためになると思える舞台を与えてくれ

ていることについて会社に感謝しています。 石炭採掘現場における生態系の

回復(リハビリテーション)

2・3次 加工・流通

部材メーカー

原料炭

鉄鉱石・

 その他原料

資源

探鉱・開発・生産

(J/V) MDP等

資源メジャー

戦略パートナー

高炉メーカー

電炉メーカー

メタルワン

金融

スクラップ

ゼネコン

自動車メーカー

機械メーカー

家電メーカー

製缶メーカー

造船メーカー

石油・ガス

製鉄 加工・流通販売 最終需要家

投資

投資

ファイナンス

投資

投資

取引

取引

取引

取引

鉄鋼分野のバリューチェーン

Special Feature

安全教育の徹底

地域社会への配慮 発電燃料として利用されるケースもあります。

 雨水や地下水も極力無駄にしないように、炭鉱内の複数の箇所で貯水

しています。この水は、粉塵飛散防止や道路の整備のためにまく水として、

また、埋め戻した植栽地用の水として再利用されています。貴重な水を無駄

にせず、最大限に活用できるよう徹底して管理し、再利用を推進しています。

 安全は企業にとっても従業員にとっても最重要課題です。このため安全教

育には力を入れ、基本動作の徹底をはかっています。たとえば、大型機材に電

力を供給している配線のパイプをまたがない、工具を使うときは周りの安全を

確かめるといった基本動作の徹底や、坑内掘において携帯を義務づけている

救急キットや酸素ボンベの使い方、事故が発生した時の対処方法、避難方

法の周知徹底や避難場所の確保などを確実に行っています。炭鉱内の道路

への水まきなども車の視界を妨げる粉じんをなくすなどの安全対策の一つとし

て行われます。このほか坑内掘を見学にくるビジターに対しても、坑内に入る

前に徹底した安全講習を行って、部外者に対しても安全教育に努めています。

 事故を起こさない、それが安全の基本ですが、万が一の事故に備えた従

業員による専門のレスキューチームも組織されています。チームでは常時、

けが人の救急法、人工呼吸のやり方、けが人の搬送などのトレーニングを行

っています。レスキューチームは各炭鉱にあり、地域単位や州単位でのレス

キューコンペティションで腕を競いあっています。

 MDPおよびBMAが操業している地域は炭鉱で成り立っている町がほと

んどです。1968年に設立したMDPは炭鉱操業を開始する為にクイーンズラ

ンド州の原野に道路や電気・水道といった生活インフラ基盤を整備し、従業

員が居住する町を拓くところから活動を開始しました。その後、こうした役割

は自治体に移管しましたが、その後も地域への貢献活動には極めて積極的

に取り組んでいます。10年以上続いている病院や地域の大学への寄付、

町のさまざまな活動への援助、公園の整備などから、炭鉱従業員の子弟を

招待した炭鉱見学会までその内容は多彩で、地域住民と一体になった活動

を展開しています。

 こうした地域貢献活動や石炭輸出を通じてクイーンズランド州の発展に

貢献したことを評価され、BMAは、2004年9月に、輸出に関するクイーンズラ

ンド州知事賞(Premier of Queensland’s 2004 Export Awards)を受

賞しました。また、BMAの鉱山の一つであるブラックウォーター鉱山では、ク

レーン車操作時の事故や運転者のリスクを激減させる革新的な方法を開

発し、2004年オーストラリア全国安全・健康改革賞(National Safety and

Health Innovation Award)を受賞しました。

AL BUSINESS

Page 12: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

10 Special Feature

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

食のグローバル・ サプライチェーンを支える 食糧・食品事業

穀物の安定供給

三菱商事の食糧・食品事業

 日本の食料自給率は約40%と言われています。米や野菜、卵などは国内

の生産だけでほぼ賄えていますが、その他の多くの食料についてはかなりの

割合を輸入に依存しています。三菱商事では、日本に向けて食料を安定供

給するため、穀物、畜産品や水産物など幅広い品目について、海外の生産

拠点から輸入、加工、流通販売、小売に至るサプライチェーンの各段階にお

いて積極的に投資を行い、バリューチェーンの構築に取り組んでいます。

 需要家・消費者のニーズは多様化しており、安定供給のみならず食の安

心についても、供給者による対応が求められています。三菱商事では、こう

したニーズに応えるため、サプライチェーンの各段階で、より安心で、安定的

かつ効率的な食の供給を追求するSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)

に取り組んでいます。

 穀物生産量は天候要因などにより激しく変動します。また、穀物輸出国が

ある時から輸入国に転じるといった不安定要因もあります。小麦、大豆、トウ

モロコシなど、米以外の穀物のほとんどを輸入に頼っている日本にとって、こ

うした変動要因から起こりうる供給リスクの回避は重要な課題です。三菱商

事では、米国、オーストラリア、ブラジル、アルゼンチンなど穀物生産地に築

いている拠点や世界中の情報ネットワークを通じて、いち早く生産状況をキ

ャッチします。世界から集まる情報を分析し、的確な買付けを行い、安定供

給に結びつけています。

 日本人の食を支える上で重要な食料の一つにトウモロコシがあり、その用

途は大別すると二つあります。一つは甘味料などに使われる異性化糖の原

料や、スナック菓子の原料など、食品原料としての用途です。 もう一つは国

内畜産用の飼料原料としての用途です。日本は米国を中心に海外よりトウ

モロコシを年間約1,600万トン輸入しており、その内400万トンが異性化糖

や菓子などの食品原料として、残りの1,200万トンが飼料原料として用いら

れています。

 三菱商事はトウモロコシの輸入に深く関わっており、一部の食品原料用ト

ウモロコシについては、消費市場からのニーズに基づき、生産者に対して一

定のガイドラインを守るように義務づけた契約栽培を行っています。生産者

にはガイドラインを示すだけでなく、三菱商事の投資先である米国の穀物貯

蔵販売会社アグレックス社(AGREX,Inc.)の担当者、あるいは専属のエー

ジェントが、定期的に生産者を訪問し、きめ細かな管理をします。とくに作付

け前には、関係者が一堂に会し、栽培・収穫・分別保管の手順、低農薬の

徹底など、安全で品質の高い、環境にもやさしい契約栽培のための話し合

いが行われます。さらに収穫後の検査や流通段階での第三者機関の立ち

Support of the Global Food Supply Chain

食の安全への対応―トウモロコシの例

サステナビリティの観点から主要事業を見る CHAPTER 1

グローバル

FOOD BUSIN

Page 13: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

食糧・食品分野のバリューチェーン

生産地 輸入 製造 流通販売 小売

金融 ファイナンス

米・麦 飼料 砂糖・糖類 油脂 畜産 水産 飲料・乳製品

見越

先物ヘッジ

輸入

為替予約

在庫

金融

物流

スーパーマーケット

コンビニエンスストア

外食産業

製粉メーカー 精糖メーカー 澱粉・糖化品メーカー 油脂メーカー 食肉加工メーカー 飼料メーカー など

マーケティング 販売促進 在庫 金融 情報共有 IT 物流

全国問屋

地方問屋

菱食

投資

取引 取引

投資 取引

投資 投資 加工食品 食品メーカー

11Special Feature

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

食糧本部 穀物ユニット 担当マネージャー

小林 秀司

担当者の声

 食品原料、飼料原料としてのト

ウモロコシ輸入は一般消費者か

らは疎遠ですが、実はさまざまな

食品の生産を影で支える大きな

役割を果たしています。たとえば

清涼飲料水に含まれるブドウ糖

や果糖はトウモロコシから抽出さ

れた澱粉から製造されています。

自分が扱ったトウモロコシが原料

の一部となった食品を手にした時、

川上から川下まで連綿と繋がって

いる食のバリューチェーンを実感

します。

左:米国イリノイ州のトウモロコシ畑の様子

右:トウモロコシ生産者による会議の様子

会い・検査などを通して品質をチェックし、遺伝子組み換え作物の意図せざ

る混入への対策を行うなど、食の安心を高めています。 

 一方、トウモロコシの用途の大きな割合を占めている飼料についても、狂

牛病問題の発生により、その安全性が問われるようになってきています。狂

牛病は、肉骨粉などの動物性タンパクを摂取することで発症すると言われて

います。このため、日本政府は飼料への動物性タンパクの混入防止策を徹

底するようガイドラインを発表しました。三菱商事ではこのガイドラインに基

づいて、飼料サプライチェーンの各段階に対して指導を行い、混入防止策を

徹底しています。

 三菱商事は、大型船が荷揚げできる港に穀物などの食糧の保管基地と

なる大型のサイロを事業投資先として複数保有し、国内需要家への安定供

給体制を構築しています。 保管された食糧は、需要に合わせて必要なとき

に必要なだけ出荷されています。サイロは日本の食糧需要を反映するバロメ

ーターとも言うべきものです。サイロの在庫状況や需要に合わせて船舶を手

配し、調達した食糧を日本に輸送します。大量輸送・大量保管が可能な大

型サイロを持つことで、輸送回数を減らしてエネルギーの無駄を抑えるととも

に、省コストを実現する安定供給体制を確立しています。

需要家への供給体制

ESS

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Toward the Pr12 Special Feature

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

エネルギー事業グループ エネルギー事業開発ユニット 事業開発マネージャー

田中 克佳 担当者の声

 京都議定書が発効、高度経済成長期の

経済の牽引役、石油が主役の座を降りる

時代となりました。エネルギーのプロフェッ

ショナルとして、日本のエネルギーのセキュ

リティを真剣に考え、日本の消費者がより

安いコストで、安心してエネルギーを利用で

きるようにしたい、そしてなによりも自分の子

どもたちの時代にクリーンな環境を残せる

ようにしたいと考えます。

明日のエネルギーと 温暖化防止に向けて

将来の戦略分野への対応

2005年2月、京都議定書が発効し、

地球温暖化防止対策が人類的な課題として

国際的に認識されるに至りました。

三菱商事は、水素、バイオマス、排出権取引など

新エネルギーと地球温暖化防止に寄与する

エネルギー事業にも積極的に取り組んでいます。

こうした取り組みは、サステナビリティの実現に向けた

企業の社会的責任であると同時に、

将来の市場ニーズを先取りした、

ビジネスチャンスへの対応として位置づけられ、

経営資源が戦略的に投入されています。

温室効果ガス排出権取引・関連事業

 2005年2月、京都議定書が遂に発効しました。わが社は京都議

定書に定められている排出削減目標を達成するための柔軟措置で

ある「排出権創出」「排出権取引」に着目し、早くからその取り組み

を開始しています。2000年、排出権獲得を目的に設立された世界

銀行炭素基金に参加、2001年には排出権取引仲介世界最大手

の米国NATSOURCE社に出資、さらには同社、日本の大手短資

会社である東京短資を含む13社とともにアジア・日本で排出権ビ

ジネスを展開する目的でナットソース・ジャパン(株)を設立しました。

また、昨年末には排出権獲得を目的とする日本温暖化ガス削減基

金にもその主たる企業の1社として参加しています。

 一方、わが社独自でもCDMプロジェクトや排出権取引を積極的

に展開しています。売買契約を締結した韓国ウルサンの代替フロ

ン回収・破壊事業はCDMプロジェクトとして国連CDM理事会に登

録されました。近い将来、認証された排出権(CER)を入手できる

予定です。今後もわが社は顧客の将来の温暖化リスクに対応でき

るよう、排出権ビジネスに積極的に取り組んで参ります。

水素エネルギー社会の実現にそなえて

 水素を使用し電気化学反応で電気をおこす燃料電池は、究極のクリ

ーンエネルギーですが、技術課題が多く実用化のめどは立っていません。

三菱商事は(株)神鋼環境ソリューションと共同でパテントを持つ水分

解水素発生装置(HHOG)を工業ガス用途で販売、次世代の高圧水

素発生装置(HHEG)の開発も行っています。

 国内ではディーゼル・ハイブリッドやガス・トゥー・リキッドなど環境負荷

の低い液体エネルギーへの燃料転換が計画されていますが、将来水素

社会が到来した際の気体のインフラは整備されていません。三菱商事は、

化石燃料で広くビジネスを行い社会貢献を行っていますが、同時に

CO2排出に対しての責任も負っており、将来の水素社会に備えたイン

フラ整備に取り組むことは弊社の社会的責任であると考えます。また将

来のビジネス・チャンスに備えることは、事業のポートフォリオの観点から

も、また株主に対する利益責任からも当然の責務と考えます。このため

すでに実用化しているHHOGを使って水素の新たなる用途開発、それ

をベースにした水素インフラ事業の開発を進めています。

次世代の高圧水素発生装置

(HHEG)を開発中

持続可能な社会実現のためのビジネス CHAPTER 2

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evention of Global Warming13Special Feature

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

重電機本部 重電機ユニット 総合エネルギー事業担当

岩崎 芳博 担当者の声

 環境に配慮しながらエネルギーコストが

下がったとお客様に喜んでいただくのが一

番嬉しいですね。今までにない新しいビジ

ネスモデルのチャレンジとして、省エネルギー、

省コスト、環境保全に貢献できるのは素晴

らしいことだと思っています。

食品廃棄物によるバイオマス発電

 バイオマス※1は環境負荷が少ないエネルギー資源として注目さ

れています。三菱商事が子会社のサンアールを通じて参画してい

る食品廃棄物リサイクル事業では、東京都大田区に2006年2月頃

の開業を目指してバイオマス発電施設の建設を進めています。本

施設の処理方式は、メタン菌により食品廃棄物を分解し、メタンガ

スを主成分とするバイオガスを回収した後、コジェネレーションシス

テムで電気と熱エネルギーを取り出します。バイオガスの燃焼で放

出されるCO2は、食品廃棄物中の有機物残渣が吸収および固定

したCO2を排出するものであり、ライフサイクルからすると大気中の

CO2を増加させたことにはなりません。このように、CO2の増減に影

響を与えない特性を「カーボンニュートラル」と言い、石油などの化

石燃料に由来するエネルギーとは大きく異なります。施設が稼働す

れば、1日約110トンの食品廃棄物を処理し、2万4,000kWh/日の

発電を行う予定で、化石燃料を使う発電に比べ、1日当たり約14ト

ンのCO2削減が可能になります。

GTL燃料実用化実地試験

オンサイト発電事業

 オンサイト発電事業は、大規模工場のエネルギー供給業務のアウト

ソーシング委託を受け、燃料供給、設備選定からオペレーション、余剰

電力販売といった包括的エネルギーサービスを提供する新しいビジネス

です。多くのメーカーの工場では現在、CO2排出量抑制のため、燃料を

従来の重油からLNG(都市ガス)などへ転換することが求められていま

すが、エネルギー部門への投資は遅れがちです。三菱商事のオンサイト

発電事業ではこうした問題に対応し、包括的エネルギーサービスを提供

することで環境にやさしいエネルギー体質への転換に貢献します。使用

燃料はLNG(都市ガス)、あるいは、その工場で発生するバイオマス、バ

イオガスなどです。バイオガスでは、該当工場の製品生産の際に発生す

る消化ガスなどを回収し、LNG(都市ガス)と一緒に燃料とします。バイ

オマスの場合、たとえば木材・建材工場などから発生する廃材や木くず

を発電燃料とします。この事業はすでに複数の顧客向けにSPC(特別

目的会社)を設立し、順次全国十数工場で事業を開始することにより

工場のCO2削減、エネルギーコスト削減を実現していきます。

オンサイト発電事業スキーム

※1 バイオマス  動植物から生まれた再生可能な有機性資源のことで食品廃棄物も含まれる。

 近年、新興大国の石油需要が急増しており、これからの需要の

伸びに対応できない可能性があると言われています。石油は限られ

た資源であるため、石油の高価格化が今後もつづくとの予測もあ

ります。三菱商事では、将来おこりうる石油需給の逼迫も見据えな

がら、GTL燃料実用化実験に取り組んでいます。GTL(ガス・トゥー・

リキッド)は、天然ガスを改質して製造される燃料です。性状は軽油

に似ていますが、原料が天然ガスであるため、SOxはなく、黒煙も大

幅に低減されるなど環境面で優れた特性があります。常温・常圧で

保管・輸送できるため、LNGのように専用の船舶・設備の必要がな

く、輸送・保管の安全性・汎用性も高まります。また、ガソリンスタン

ド・車両のエンジンなど、既存のインフラをそのまま利用でき、インフ

ラへの新たな投資も不要です。GTLは、環境、安全、インフラの面

で優れたメリットがあり、脱石油を考える上で、将来有望な代替エネ

ルギーとして期待されています。

ひっぱく

Page 16: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

金融機能

物流機能

情報技術

マーケティング機能

開発 調達 生産 販売 サービス

顧客への

価値提供

三菱商事のバリューチェーン※1

14 Corporate Overview

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

三菱商事の概要

三菱商事は、コーポレートスタッフ部門と6つの営業グループにより、

グローバルなビジネスを展開しています。

持続可能な社会創造に向けて三菱商事ができることの大きな柱の一つに、

ビジネスを通じて新たな価値を創造し、社会に貢献することがあると考えています。

  2 0 0 4 年 7月に発 表した新しい中期経営計画

「INNOVATION2007」では、「新・産業イノベーター」

というビジョンを掲げ、市場のニーズから産業をとらえ直し

て、新しい仕組みを提案、創出したり、次世代を担う新産

業の創生を支援することで産業界の発展に寄与し、お客

様とともに成長のシナリオを構築することを目指しています。

構造変革が本格化する中で、自ら新たな仕組み作りやル

ール作りに参画し、主体的に変化を起こす存在でありた

いと考えています。

 また、お客様・パートナー、株主・債権者、従業員の3者

をステークホルダーの重要な構成要素として再認識し、こ

の3者の間でバランス良く経営の舵取りを進め、企業とし

ての社会的責任を全うしていくことを、経営の基本方針と

しています。

三菱商事のビジネスモデル

INNOVATION 2007

※1 バリューチェーン

商品が開発・調達・生産・販売・

サービスという流れの中で付加

価値を高めて行く仕組み。三菱

商事はさまざまな事業領域にお

いて、この「バリューチェーン」全

体に関わり、チェーン全体を俯瞰

したビジネスの仕組みを構築す

ることによって付加価値の高い

事業展開を行っています。

 三菱商事は、国内外のネットワークを通じて、エネルギー、

金属、機械、化学品、生活物資等の多種多様な商品の

売買や製造を行うほか、金融、情報、物流、マーケティング

といった総合商社機能を活かしたお客様に対する総合的

なサービスの提供や、資源開発、プロジェクト開発など幅

広い多角的な事業を展開しています。

 歴史的に主要な業務の一つである

貿易取引では、ビジネスの最前線で

得る豊富な情報を活かして、金融・情

報技術・物流・マーケティングなどの

機能を融合させながら付加価値の高

いサービスを提供しています。

 また、今や三菱商事の収益の7割

以上を担う事業投資の分野において

は、自らリスクを取り、事業の主体的

な推進者として新たな事業の開発・

運営を行っています。パートナーとして事業に参画する際

にも、三菱商事の持てる事業のノウハウやグローバルな

ネットワークを活かして、必要な経営資源を調達し、事業

経営全般について最善の解決策を提案しながら、実行を

サポートします。

Page 17: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

■ ICT関連事業(ITソリューション・マネージメント、アウトソース事業、ネットワークサービス・モバイル関連事業など)

■ バイアウト、ベンチャー事業育成、M&A支援、証券化、オペレーティングリース、資産運用など ■ 物流事業・保険事業 ■ 外食、コンテンツ、病院向け総合ソリューション、介護サービスや地域総合ケア、人材ビジネス、出版など

■ LNG、LPG、原油、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油、潤滑油、アスファルト、その他石油製品、オリマルジョン®、無煙炭、石炭コークス、石油コークス、カーボンブラック、人造黒鉛電極、石油・ガス探鉱開発、新エネルギー開発、省エネ対応エネルギーシステム開発、電熱供給事業など

■ 製鉄用原料炭、一般炭、鉄鉱石、副原料、ニッケル・クロムなどのステンレス原料、合金鉄、銅・アルミなどの非鉄金属原料、非鉄金属製品、貴金属、自動車部品、銑鉄、屑鉄、普通鋼材、鋼管、ステンレス鋼、その他鉄鋼製品など

■ 発電プラント、送変電設備、昇降機、鉄道車両、交通システム、ガス・石油プラント、化学プラント、製鉄機械、非鉄製造設備、セメント機械、鉱山機械、船舶、船舶機械、廃棄処理設備、環境設備、自動車、建設機械、工作機械、印刷機械、航空機エンジン、航空機搭載機器材、防衛関連電子機器など

■ 建築工事の設計・施工、住宅の分譲・賃貸、オフィスビル・商業施設等の開発、不動産仲介・証券化、PFI事業、海外建設・土木プロジェクトなど

■ プロジェクト開発事業、電力卸売・小売事業、上下水道運営などインフラストラクチャーの整備・運営、自動車製造販売および自動車販売金融事業、FPSO/FSO定期用船事業、食品リサイクル事業、衛星通信事業、衛星地図情報事業、情報セキュリティ事業、航空機リース事業、宇宙開発事業など

■ 石油化学品、肥料、無機化学品、合成樹脂・製品、電子材料、食品添加物、医療・農薬中間体、バイオ事業、先端素材

■ 穀物類、穀粉類、砂糖類、油脂、畜産物、飼料、水産物、青果物、澱粉、ビール、コーヒー、飲料水、乳製品、冷凍・冷蔵食品、加工食品など

■ 繊維原料・糸・織編物、産業繊維、光ファイバー、衣料、ブランド事業、家具、靴、日用雑貨、タイヤ、住宅建材、包装資材、木材チップ、パルプ、紙、セメント、硅砂など

新機能事業 グループ

営業グループ概要 2005年3月期の業績 主な商品・サービス

エネルギー事業 グループ

金属 グループ

機械 グループ

化学品 グループ

生活産業 グループ

売上高: 266,286百万円 当期純利益: 12,260百万円 総資産: 901,773百万円

売上高: 4,332,271百万円 当期純利益: 45,835百万円 総資産: 1,140,938百万円

売上高: 3,441,069百万円 当期純利益: 48,239百万円 総資産: 2,057,150百万円

売上高: 2,768,577百万円 当期純利益: 55,398百万円 総資産: 2,297,571百万円

売上高: 1,904,165百万円 当期純利益: 18,110百万円 総資産: 648,330百万円

売上高: 4,449,625百万円 当期純利益: 44,864百万円 総資産: 1,739,340百万円

株主総会

取締役会

取締役社長

社長室会

ガバナンス委員会

国際諮問委員会

監査役 監査役室

監査役会

新機能事業グループ

エネルギー事業グループ

金属グループ

機械グループ

化学品グループ

生活産業グループ

コーポレートスタッフ部門

イノベーションセンター

監査部 CIOオフィス 経営企画部 国際戦略研究所 広報部 オフィスビル企画部 秘書部 人事総務部 法務部 業務部

中国事業戦略オフィス コントローラーオフィス トレジャラーオフィス IR部 事業開発部 ITS事業企画部 ビジネスクリエーション部

15Corporate Overview

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

三菱商事組織図

営業グループ概要

Page 18: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

従業員

 三菱商事は、本店・国内拠点・

海外場所・海外現地法人など

6,001名、国内外の連結子会社を

合わせると51,381名によって支え

られています(2005年3月末現在)。

従業員が、常に能力を十分発揮で

きるよう、人事制度の改革・整備

や人材育成に取り組んでいます。

16 Corporate Overview

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

ステークホルダーとの関わり

多様なグローバル・ビジネスを展開する中で、

三菱商事は、さまざまなステークホルダーとの関わりを持っています。

世界各地のステークホルダーとより良いパートナーシップを築き、社会的ニーズに応え、

サステナブルな社会を追求していきます。

株主・投資家

 2005年4月現在の株主は、国内外の機関投資家、金融機関、個人投資

家など65,298名です。三菱商事は、収益力強化を図り、企業価値を向上さ

せることによって株主価値の増大を目指します。投資家説明会やさまざまな

媒体を利用し、幅広い情報を適時・継続的・公平に開示しています。

政府・行政

 国や地方自治体への納税義務を果たすだけではな

く、国家プロジェクトの参画や経済団体などを通じて、

経済、社会、環境といった幅広い分野で提言を行うな

ど、政府・行政と関わっています。

 国内・海外を問わず公務員またはこれに準じる者へ

の不正な接待・贈答・便益の供与その他経済的な利

益の供与を禁じています。

NGO・NPO

 環境・人権といった広範な分野のNGO・NPOの皆

さまと対話を行っています。

 また、寄付や社員ボランティア活動などを通じて共

働しています。

資本 利益

支援と対話

給与

ナレッジ

配当 サービス

納税

サービス 社会的 コスト負担

OurCompany

Shareholders/Investors

Government

NGO・NPO Employees

Customers

株主構成

金融機関

証券会社

48.3%

0.7%

その他法人

11.9%

個人その他

9.1%

外国法人・ 個人

30.0%

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17Corporate Overview

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

取引先

 三菱商事(単体)の取引先は世界のあらゆる地域・産業に及び、その数は、

2005年3月末現在で日本の約6,000社を含め、世界で約8,000社にわたりま

す。社内外の多様な機能を駆使して取引先の多種多様なニーズに応えてい

きます。また、グローバルなレベルでサプライチェーンを管理し、取引先とともに

CSRを推進します。

地域社会

欧州 24

個人情報のセキュリティについて

北中米 21

アジア 74

アフリカ 15

 ビジネスを行う上で、地域とのコミュニケーションを重視し、常に地域社会へ配慮

しています。また、グッド・コーポレート・シチズンでありたいとの願いのもと、企業活動

を通じて生じる有形無形の社会的コストをまず社会に還元し、より良い社会づくりに

貢献すべく、地球環境、福祉、国際交流、文化・芸術、教育といった多様な分野での

活動を展開しています。

Community

 海外場所、分室等  海外現地法人

海外ネットワーク(2005年3月31日現在)

CIS 7

中東 27

南米 15

大洋州 7

 コンプライアンスやCSRの観点からも情報セ

キュリティ確保の重要性が高まっています。三

菱商事では情報セキュリティ統括責任者(CISO)

の下、個人情報や機密情報などの管理を強化

するための施策に取り組んでいます。個人情報

に関しては、Webサイトに個人情報保護基本方

針を掲載、全役職員を対象とした研修などを通

して、お客様をはじめとするさまざまなステークホ

ルダーの個人情報保護の徹底を図っています。

Page 20: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

18 CSR Policies & Management

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

CSRに関する基本理念

三菱商事は、「三綱領」を創業以来の経営根本理念とし、

企業行動の指針を示すものとして「企業行動指針」、

地球環境への配慮に努めるための方針として「三菱商事環境憲章」を制定しています。

また、人権ならびに労働環境への配慮を、CSRの社会性の重要な側面として考えています。

三綱領

持続可能な発展に向けた取り組みを含め、三菱商事のあらゆる企業活動の基礎になっています。

「三綱領」は、三菱四代社長岩崎小彌太の訓諭をもとに、1934年に旧三菱商事の行動指針として制定されました。

旧三菱商事は1947年に解散しましたが、三菱商事においてもこの三綱領は企業理念となり、その精神は役職員の心の中に

息づいています。

所期奉公 処事光明 立業貿易

事業を通じ、物心共に豊か

な社会の実現に努力すると

同時に、かけがえのない地

球環境の維持にも貢献する。

公明正大で品格のある行動

を旨とし、活動の公開性、透

明性を堅持する。

全世界的、宇宙的視野に

立脚した事業展開を図る。

Page 21: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

企業行動指針※1

三菱商事環境憲章

1. 企業活動の目的

我が社は、事業を通じ、企業価値の向上を図るとともに、

有用なサービス・商品を安全性にも配慮して創出・提

供し、物心共に豊かな社会の実現に努める。

2. 公明正大な企業活動

我が社は、企業活動の展開に当たり、諸法規、国際的

な取決め及び社内規程を遵守するとともに、社会規範

に沿った責任ある行動をとる。

3. 人権・社員の尊重

我が社は、人権を尊重し、差別を行わない。また、人材

育成を通じて企業活力の維持・向上を図るとともに、

社員の人格・個性を尊重する。

4. 情報の管理・公開

我が社は、企業情報を適切に管理するとともに、ステー

クホルダーを含め社会一般からの正しい理解を得、透

明性の保持を図るため、情報を適時・適切に公開する。

5. 地球環境への配慮

我が社は、地球環境に配慮しない企業は存続しえな

いとの認識に立ち、企業活動のあらゆる面において地

球環境の保全に努め、持続可能な発展を目指す。

6. 社会貢献活動

我が社は、社会の一員として、より良い社会の実現に

向けて積極的に社会貢献活動を行う。また、社員によ

る自発的な社会貢献活動を支援する。

三菱商事は、健全なグローバル・エンタプライズとして、地

球環境に配慮しない企業は存続しえないとの認識に立ち、

あらゆる面での企業活動を通じて地球環境の保全と改善

に努力し、持続可能な発展を目指す。

1. 環境関連諸法規の遵守

当該国や地方自治体の環境法令・規則を遵守し、環

境汚染の防止に努める。また、適用されるべき国際条

約も遵守し、国際基準等を考慮する。

2. 自然環境

資源の開発やその他事業投資・取引などの展開にあ

たっては地域社会および生態系への影響に配慮する。

3. 資源・エネルギー

資源およびエネルギーの効率的な利用、再利用、なら

びに環境負荷の低減に資するエネルギーの利用を積

極的に推進する。

4. 循環型経済社会

技術の導入や情報の活用を通じ、持続可能な循環型

経済社会の形成に寄与する。

5. 環境管理体制

この環境憲章に沿い、社内の環境管理体制の一層

の充実と継続的な改善に努める。

6. 環境憲章の通知と公開

この環境憲章を全ての役員および職員に対して通知し、

全員が理解し、行動できるよう教育・啓蒙活動を推進

する。なお、この環境憲章は社外にも公開する。

19CSR Policies & Management

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

基本理念

企業行動方針

※1 企業行動指針

 CSRの定義や対象範囲等の

変化およびINNOVATION2007

の方向性を踏まえて、「行動基準」

を「企業行動指針」として改定し

ました。また、今回の改定を機に、

「人権・社員の尊重」を独立した

項目として追加しました。

Page 22: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

 三菱商事は、世界中でさまざまなビジネスを展開する上で、

人権への配慮はCSRの重要な要素であると考えています。

三菱商事役職員行動規範で「人権の尊重、人種・民族・

信条・宗教・その他の事由による差別の禁止、セクシャル

ハラスメントの禁止、人権問題に対する正しい理解・認識、

各国・地域の文化・習慣・言語の尊重、国際社会や地域

社会との調和」を謳っているほか、世界人権宣言(Universal

Declaration of Human Rights※1)、ILO国際労働基準※2、

Voluntary Principles on Security and Human Rights※3

などの人権に関する国際的規範を支持しています。

20 CSR Policies & Management

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

※1 Universal Declaration   of Human Rights

http://www.un.org/Overview/

rights.html

※3 Voluntary Principles   on Security and   Human Rights

http://www.state.gov/g/drl/

rls/2931.htm

※2 ILO国際労働基準

http://www.ilo.org/public/

english/standards/norm/

whatare/fundam/index.htm

ILO国際労働基準を構成する8つの条約

世界人権宣言の概要

人権に関する基本的な考え方

 ILO(国際労働機関)は、「世界の永続する平和は、社

会正義を基礎としてのみ確立することができる」という原

則の上に立って1919年に設立されました。設立以来の

最も重要な機能の一つは、国際基準として設定した条約

および勧告を採択し、加盟国が批准することでその実施

を義務づけることです。また、勧告は政策、立法、慣行の

指針となります。ILOは設立以来、労働の世界のほとんど

すべての事項を網羅する条約と勧告を採択してきました。

その中で基本となるものはILO国際労働基準とされ、8つ

の条約で構成されています。三菱商事は8つの条約のす

べてを支持し、役職員行動規範細則で遵守事項の関連

法令として明記しています。

ILO国際労働基準の遵守

 世界人権宣言は、1948年12月10日に第3回国連総会

にて採択されました。人権および自由を尊重し確保するた

めに、すべての人々とすべての国とが達成すべき共通の基

準を定めたものです。三菱商事では、この宣言を支持して

います。

 国連では、世界人権宣言の内容を基礎として、宣言を条

約化した拘束力のある国際人権規約を定めています。この

規約は、市民的・政治的権利に関する規約と経済的・社会

的・文化的権利に関する規約とに分けられ、二つの国際人

権規約は1966年の第21回国連総会において採択され、

1976年に発効しています。三菱商事は、この国際人権規

約を支持し、役職員行動規範の細目において、遵守すべき

関連法令として明記しています。

世界人権宣言の支持

 世界人権宣言は、人権および自由を尊重し確保するた

めに、「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通

の基準」を宣言したものであり、人権の歴史において重

要な地位を占めています。1948年12月10日に第3回国

連総会において採択されました。

 この宣言は、前文と30の条文からなっており、第1条は、

「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、

尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心

とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しな

ければならない」と宣言しています。第2条では、人種、皮

膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的・

社会的出身等の事由による差別の禁止、第3条から第21

条までは、市民的、政治的基本権について、第22条から

は経済的、社会的、文化的権利等について謳っています。

なお、第5回国連総会において、毎年12月10日を「人権

デー」とすることが決議されました。

第29号 強制労働条約

第87号 結社の自由および団結権保護条約

第98号 団結権および団体交渉権条約

第100号 同一報酬条約

第105号 強制労働廃止条約

第111号 差別待遇(雇用および職業)条約

第138号 最低年齢条約

第182号 最悪の形態の児童労働条約

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Voluntary Principles on Security and Human Rightsの支持宣言

 Voluntary Principles on Security and Human

Rightsはアメリカ政府、イギリス政府、資源・エネルギー

分野の民間企業、人権や企業の社会的責任に関心のあ

るNGOなどが安全と人権について対話を重ねる中で、基

本的人権、業務の安全確保について自主的に提起した

原則です。その原則は、「セキュリティは個人、コミュニティ、

企業、政府が共有する基本的な要素で、セキュリティと人

権尊重は両立する」、「企業の安全要員は企業の資産を

盗難や暴力から守る一方で、武器の乱用による人権侵

害の潜在的リスクを含んでいることを留意すべきである」、

「企業は、会社が立地する国の法と企業活動を両立させ、

もっとも適切な世界基準に心をくばり、特に、力の行使に

関しては国際法の遵守を推進するべきである」、「企業は

コミュニティの一員であるから、地域社会に積極的に関わ

り、地域の福祉に寄与していくべきである」などです。そ

のほかにも企業が活動を展開する際に心掛けるべき原

則や政府の役割などが言及されています。三菱商事はこ

の自主原則を支持しています。

企業行動指針と人権

 三菱商事では、企業行動指針の改定に当たり、「人権・

社員の尊重」を独立した項目として追加し、「我が社は、

人権を尊重し、差別を行わない」と謳っています。企業と

して人権を尊重するのは当然のことですが、今後三菱商

事が取り扱う商品やサービスのサプライチェーンにおける

社会性配慮の検証などを通じて、さらに人権に関する議

論を深めていきたいと考えています。

社員のCSR意識の徹底を目指して

21CSR Policies & Management

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

 三菱商事では、企業理念の徹底・コンプライアンスの

向上などを図るため、役職員を対象として、手のひらサイ

ズの冊子「社員携帯情報」を配布しています。内容は、「企

業理念・コンプライアンス」をはじめ、「経営計画」、

「ISO14001」、「情報セキュリティ対策」、「災害発生時

の対応」の5項目。「企業理念・コンプライアンス」は、最

初に取り上げられ、まず、三菱商事の企業理念である三

綱領を明示しています。さらに、企業行動指針、役職員行

動規範などを明記し、CSR・コンプライアンスの徹底・遵

守をはかっています。いつ

でも携帯して読み直しで

きる「社員携帯情報」は、

社員にとって、意識の向

上をはかる大切な情報源

となっています。

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22 CSR Policies & Management

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

コーポレート・ガバナンスと コンプライアンス体制

三菱商事は、中長期的な成長の持続を目指し、経営基盤の継続的強化に取り組んでおり、

中期経営計画『INNOVATION 2007』においても、

コーポレート・ガバナンスの継続強化および

内部統制の体制整備を経営の重要課題として掲げています。

 コーポレート・ガバナンス体制については、2002年の

商法改正で「委員会等設置会社」という選択肢が加わり

ましたが、三菱商事では、制度・形式にかかわらず、より実

効性のある体制を構築することが重要であるという考え

に基づき、監査役制度を継続した上で、法定の機関・ガ

バナンス体制に加え、社外取締役の選任、執行役員制

度および諮問委員会の導入等を通じてコーポレート・ガ

バナンス体制を改善・強化しております。

 取締役会は、社外取締役4名を含む17名で構成され、

経営上の重要事項の決定と業務執行の監督を行ってい

ます。監査については、社外監査役3名を含む5名の監査

役が取締役の職務執行等の監査を、また、会計監査人

が計算書類等の会計監査を行っています。

 2001年に執行役員制度を導入し、取締役と執行役員

の機能・責任の明確化を行ったほか、取締役会の諮問機

関としてガバナンス委員会※1および国際諮問委員会※2

を置くなど、取締役会における経営監督機能の充実を図

っています。また、2004年には機動的な取締役会体制構

築を目的に取締役の任期を2年から1年に短縮しました。

 なお、会社の最高責任者として社長を、最高経営意思

決定機関として社長室会を置き、会社業務を執行してい

ますが、経営上の重要事項については、社長室会で決定

後、取締役会の審議を経て決定する体制としています。

三菱商事のコーポレート・ガバナンス体制

※1 ガバナンス委員会

取締役会の諮問機関として設置。

三菱商事のガバナンス構造や

体制について、社外の視点も加

えて審議し、取締役会に対して

意見を具申する。社外委員、社

外取締役・監査役、社内取締役・

監査役で構成。

※2 国際諮問委員会

取締役会の諮問機関として設置。

グローバルな視点から、経営や

企業戦略に関して提言を行う。

海外の有識者、社外取締役、社

内取締役で構成。

三菱商事のコーポレート・ガバナンス体制

株主総会

会計監査人 監査役(会)

選任

提言

諮問 選任・ 監督 付議・

報告

監査・ 報告

選任

監査

監査

報告

報告

選任

取締役会

〈執行役員〉

コーポレートスタッフ部門/営業各グループ/内外各拠点

ガバナンス委員会

国際諮問委員会

社長室会

社長

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23CSR Policies & Management

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

三菱商事のコンプライアンス体制

 三菱商事は、「三綱領」や「企業行動指針」を基盤と

して、これまで社内コンプライアンスの充実・強化を進め

てきました。全役職員から、その守るべき事項をまとめた「三

菱商事役職員行動規範」への誓約書を取り付け、社員

レベルでのコンプライアンスの徹底を図る一方、組織レ

ベルでは、2004年1月に制定された「コンプライアンス組

織・運営規程」に基づいた、社内コンプライアンス体制の

運営を行っています。さらに、昨年度には、コンプライアン

ス違反者に対する明確な懲罰規定を整備しました。

 下の図は、現在の三菱商事のコンプライアンス体制の

概略図です。コンプライアンスに関連した問題が発生し

た場合には、チーフ・コンプライアンス・オフィサーの指揮・

監督の下、各営業グループ、国内外地域ごとに任命され

たコンプライアンス・オフィサーが中心となって、調査・対応・

改善を行います。また、年二回開催されるコンプライアン

ス委員会では、全社コンプライアンス施策についての協

議が行われています。以上の体制整備により、単体での

コンプライアンス体制の形は整いました。今後は「魂」の

入った運用を心がけていきたいと考えています。

 他方で、INNOVATION 2007において掲げている連

結経営基盤の強化を図り、三菱商事グループ全体の価

値向上に資するために、国内外のグループ各社において

も三菱商事と同等水準のコンプライアンス体制の構築・

運用ができるよう、施策の強化を図っています。たとえば、

2005年2月に設置した国内子会社役職員用の三菱商

事グループ弁護士目安箱は、三菱商事が2001年11月よ

り実施しているコンプライアンス社内目安箱や弁護士目

安箱などの内部通報制度を、連結ベースにまで拡充する

ものです。

三菱商事のコンプライアンス体制

グループCEO、 国内ブロック統括、 地域統括

社外弁護士 (目安箱・電話相談窓口)

監査部 (目安箱・電話相談窓口)

コンプライアンス委員会

事務局:法務部コンプライアンス統括室 (目安箱・電話相談窓口)

グループ・コンプライアンス・オフィサー、 国内ブロック・コンプライアンス・オフィサー、 海外地域コンプライアンス・オフィサー

社長

チーフ・コンプライアンス・オフィサー

職場の上司

指揮・監督

二次報告

二次 報告

二次 報告

報告・相談 報告・相談 報告・相談 報告・相談 報告・相談

社 員

三菱商事役職員行動規範 -2000年制定-

基本理念

遵守事項

1.

2.

3.

4.

5.

三菱商事の役職員は、業務遂行に当たり諸法規、国際的な取

決め及び社内諸規定を遵守するとともに、ビジネスマナーを守

り、社会規範に沿った責任ある行動をとる。

人権を尊重し、差別・ハラスメントを行わない。

環境に関する条約・法令等を遵守し、地球環境に配慮した

活動を行う。

取引遂行に当たっては、法令等を遵守し、公正を旨とする。

貿易に関する国際的な取決めを遵守する。

会社の情報を適切に管理することはもちろん、社外から得

た情報や第三者の知的財産権等の権利についても適切

に取り扱う。

株式等の不公正取引(インサイダー取引)は行わない。

会社の利益に反する行為は行わない。また、公私のけじめ

をつける。

贈答・接待等は法令に違反することなく、かつ社会通念上

妥当な範囲内で行う。

反社会的勢力には毅然として対応し、利益供与は一切行

わない。

この規範に反する行為については、これを発見した場合又

は不注意により自ら行った場合を問わず、速やかに上長、グ

ループ・コンプライアンス・オフィサー、国内ブロック・コンプ

ライアンス・オフィサー、海外地域コンプライアンス・オフィ

サー、社内関係部局、コンプライアンス委員会事務局又は

コンプライアンス担当弁護士のいずれかに報告・相談する。

6.

7.

8.

9.

10.

Page 26: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

24 CSR Policies & Management

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

CSRに関するマネジメントシステム

三菱商事は、商品取引から資源開発に至るさまざまな事業を通して、

環境や社会への配慮をCSR(企業の社会的責任)の一環として取り組んでいます。

持続可能な社会を実現するため、企業活動が環境や社会に与える影響を把握し、

低減や改善を行うことを自らの課題と考えており、この課題に取り組むための体制と取り組みを報告します。

CSR推進体制

 三菱商事のCSRの取り組み体制としては、「社会・環

境委員会」と「CSRタスクフォース」という組織があります。

各営業グループの社会・環境責任者とコーポレートスタッ

フ部門の各部長で構成される「社会・環境委員会(委員長:

コーポレート担当役員)」では、CSR・地球環境問題・社

会貢献活動の3つのテーマで活動方針や施策などを議

論しています。

 「CSRタスクフォース(事務局:社会・環境室)」は各

営業グループとコーポレートスタッフ部門各部の中堅社

員から構成され、社内各部の情報共有や関連施策の検

討を行っています。

 社員に対して、専門家によるCSR講演会の開催や、e

ラーニングを利用した研修などを実施し、CSRに関する知

識・意識を社内に周知徹底しています。

 事業投資先に対し、CSRの取り組み状況に関するア

ンケート調査を実施、CSR対応の実態把握を進めていま

す。また、商品のサプライチェーンの実態把握調査にも

着手しました。

 三菱商事は、CSRへの取り組みについて、サステナビ

リティ・リポート、ウェブサイトによる情報開示を行っていま

す。これまでの取り組みと情報開示における透明性が評

価され、社会的責任投資の代表的なインデックスである

FTSE4Good、Dow Jones Sustainabil ity Indexes、

MS-SRI(モーニングスター社会的責任投資株価指数)

などに組み込まれています。

CSR重点施策

 三菱商事では、CSRの重点施策として、社員啓発、実態把握、情報開示を中心に進めています。

社員啓発

実態把握

情報開示

CSR推進体制

営業グループ (新機能事業、エネルギー事業、金属、機械、 化学品、生活産業)

経営企画部

オフィスビル企画部

秘書部

人事総務部

法務部

業務部

トレジャラーオフィス

コントローラーオフィス

IR部

社会・環境委員会(委員長=コーポレート担当役員)

CSRタスクフォース(事務局=社会・環境室)

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25CSR Policies & Management

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

CSR面での実態把握

 三菱商事は、資源開発から製造、流通・販売・サービス

に至るまで、多種多様な業種の事業投資先とともに、ビジ

ネスを展開しています。昨年度からは、これらの事業投資

先に対してもCSR面でのガバナンスを効かせることを目

的として、従来の環境面に加え、労働環境、人権、地域

社会、製品およびサービスの4分野に関する実態把握調

査を実施しました。さらに今年度は、購買先・調達先の調

査項目を新設、事業投資先のサプライチェーン配慮の実

態把握に向けて行動を開始しました。

 昨今、「顔の見える食品」に代表されるように、商品の

トレーサビリティに対する消費者の関心が非常に高まっ

ています。また、農産物を中心とした一次産品の認証制

度が世界的に拡大するなど、農産物の原産地や衣料品

の生産工場における人権配慮や労働環境(児童労働・

強制労働)についても配慮を求める動きが強まっています。

 こうした流れを受けて、三菱商事では、取扱商品のうち、

農産物と衣料品のサプライチェーンにおける実態把握調

査に着手しました。今回調査を行う商品は三菱商事が取

り扱う数多くの商品のうち、一部でしかありませんが、サス

テナブルなサプライチェーンの実現に向けて努力を継続

していきたいと考えています。

 三菱商事はこれまで「処事光明」の精神に基づき、企

業活動の公開性・透明性を堅持した活動を行ってきました。

三菱商事では、2002年他商社に先駆けて環境報告書

の形式を改め、サステナビリティ・リポートを発行、今年で

4年目を迎えました。また、昨年の3月には、各界の一線で

ご活躍の方々をお招きし、第一回目のマルチステークホ

ルダーダイアログを開催しました。本年度は、海外(ロンド

ン・ニューヨーク)でも開催、グローバルな観点から三菱

商事の事業、社会・環境活動に対する貴重なご意見を頂

きました。社会的責任投資(SRI)をはじめとするさまざま

なステークホルダーからのお問い合わせ(アンケート・イン

タビュー等)にも積極的に対応しています。企業は社会

のさまざまなステークホルダーとのコミュニケーションによ

って鍛えられるという側面がありますので、今後も、こうし

た双方向の対話を大切にし、より多くのステークホルダー

の声に耳を傾け、その声を経営に生かしていきたいと考え

ています。

CSRコミュニケーション

事業投資先のCSR調査 商品のサプライチェーン実態把握

情報開示

サステナビリティ・リポートの発行

投融資案件のCSRの観点からの審査

 投融資案件の意思決定を行うに際しては、社会・環境

問題を考慮するために、次のシステムを導入しています。

1.投融資案件の申立書において環境・社会への影響

を記載

2.社会・環境室が社会や環境に及ぼす影響について

審査

 社会・環境室の審査にあたっては、「環境社会配慮確

認のための国際協力銀行ガイドライン」や、国際金融公

社(IFC)のガイドライン等を参照しています。また、CSR

チェックリストを策定し、環境面での審査に加え、グローバ

ルな観点からみた人権・労働条件への配慮など、社会性

項目についても審査を行っています。

投融資案件の審査フロー図

取締役会

社長室会

ポートフォリオ・マネジメント 委員会

社会・環境室

CSR対応チェックリスト

コーポレートスタッフ部門 営業各グループ

地球環境

地域・社会

人権・労働

(生物多様性等)

(先住民・文化遺産等)

(児童労働等)

意見提出

意見提出 案件申立

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26 CSR Policies & Management

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

 三菱商事は国内外に多くの拠点を持ち、さまざまな商

品やサービスを取り扱い、グローバルにビジネスを展開し

ています。なかでも広範な商品取引活動と、国内外にお

けるさまざまなビジネスへの事業投資活動を通じて、環境

と密接な関係を有しています。

 このような事業活動のあり方から、取引先、事業投資

先における環境への影響を重視し、間接的な形で環境へ

の影響を管理していくことが必要だと、三菱商事は考えて

います。そこで商品と事業投資先の環境影響評価を行い、

環境改善につながる提言や要望を取引先や事業投資先

に伝達し、環境影響の低減を図っています。さらに、事業

投資先に対して、環境管理の取り組み、環境パフォーマ

ンスについての調査を行い、実態を把握し、リスク管理に

活用しています。一方、直接環境管理ができるオフィスで

の活動については、数値目標を設定して環境負荷の低

減を図っています。三菱商事では、ISO14001の仕組み

を活用して、これらの環境マネジメントを推進することで、

社員一人ひとりの環境意識の徹底を促しています。

環境マネジメントの特徴

事業活動

環境マネジメントの特徴

三菱商事環境方針ポスター

 三菱商事では、社長を最高責任者とする推進体制を

構築し、全員参加による環境マネジメントを推進しています。

1.環境管理責任者:

環境マネジメントシステム全体を運用管理する上での

責任者です。

2.グループ・ブロック社会・環境責任者:

グループ・ブロック内の環境マネジメントシステム運用

管理の責任者であり、CSR関連事項の対応も行います。

 各部の責任者は「部署の環境責任者」として、部署内

の環境マネジメントが円滑で確実に運用されるよう部署

内を統括します。各部ごとに設置された「環境担当(約

400名)」は、各部署の環境責任者を補佐し、部署内の

環境マネジメントを推進しています。具体的な役割として、

環境影響評価の取りまとめやオフィス関連施策実施状

況の把握・記録などを行います。(各部署の環境責任者・

環境担当はそれぞれの組織にあわせて、部・ユニット・チ

ームごとに設置されています。)

環境マネジメント推進体制

各部署 環境責任者

各部署 環境担当

2.各グループ・ 国内ブロック

社会・環境責任者

社長

取締役 (社会・環境担当)

社会・環境委員会

1.環境管理責任者 社会・環境室

(EMSタスクフォース)

環境監査責任者

各グループ・ 国内ブロック 環境推進担当者

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27CSR Policies & Management

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

 三菱商事の事業投資先は幅広い業種にわたっており、

中には社会・環境問題への影響が大きい事業を行って

いる投資先も含まれています。また、取引している商品も

多種多様で、それらの中にも、環境に与える影響が大き

なものもあります。三菱商事では事業投資先や取扱商品

の環境への影響を把握するため、毎年1回、主管部局が「環

境影響評価カード」に基づいて、環境側面の抽出と環境

影響評価を行っています。

 事業投資先については、資源開発・製造・加工・販売

等の、各投資先の事業活動の範囲において起こる環境

への影響を、取扱商品については原料調達から使用後

の処理までのライフサイクルの各ステージで発生する環

境影響を、それぞれ通常時・緊急時に分けて評価します。

評価では、商品特性、三菱商事が影響力を行使できる度

合い、利害関係者のクレームや環境関連法規制の適用

の有無等も考慮して行います。

 2004年度は、463社(うち海外236社)の事業投資先

と、964の全商品群について、環境側面を抽出し、環境

影響評価を行いました。

 毎年1回実施しているこの環境影響評価は、社員が担

当業務と環境との関わりを考える機会となるものであり、

社員一人ひとりの環境問題に対するセンスと対応能力の

向上のための教育の手法としても重要であると考えてい

ます。

 環境影響評価の結果や、それに基づいて行う環境改

善の有効性と効果を総合的に判断し、毎年、事業投資

先や取引先への環境レビューを実施しています。

 環境レビューは、事業投資先や商品の取引先に対し、

質問状や、ヒアリングに回答いただいたり、現地訪問をし

て調査することで、労働環境・人権・地域社会等の社会

的問題や環境管理状況の把握・確認・評価を行います。

そのねらいとするものは、相手先に対して環境改善につ

ながる提言や要望を伝え、間接的な環境リスクを低減す

ることにあります。

 環境影響評価や環境レビューは、三菱商事グループ

全体のリスク・マネジメントの一環として、また、取引先を

含んだサプライチェーン・マネジメントの観点からも重要な

施策と位置づけています。

商品取引活動・事業投資活動における環境影響評価と環境レビュー

環境影響の把握 環境レビュー

環境影響評価手法

環境影響評価と環境調査フロー図

環境レビュー(提言・要望)

取扱商品・事業投資先

環境影響抽出・環境影響評価 (環境影響評価カード)

環境目的・目標、 環境マネジメントプログラム策定

著しい環境側面を持つ商品、事業投資先の特定

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28 CSR Policies & Management

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

取引先および事業投資先への 環境レビュー

三菱商事では、取扱商品ならびに事業投資先の環境影響を把握するため、環境側面の抽出と環境影響評価を

行っています。この環境影響評価の結果や環境改善の有効性と効果を総合的に判断して、商品の取引先や事

業投資先に対して、環境レビューを実施しています。

2004年度の商品に対する環境影響評価の分析結果と、環境レビューの実施事例を報告します。

 三菱商事では毎年すべての取扱商品の環境影響評

価を実施しています。商品の原料調達、製造・加工、物流、

販売、廃棄等のライフサイクルのそれぞれのステージにお

ける環境影響の度合いを通常時と緊急時に分けて定量

的に自己評価するものです。2004年度は964の商品群

の環境影響評価を実施しました。上記の表は「環境影響

の度合い」の定量評価部分の内、本店内営業グループ

の商品群を抜粋し各営業グループごとに分析した結果で

す。評価点の高い(環境影響の高い)環境問題項目を、

上位から順にA、B、Cで表わしました。

 すべてのグループの商品が「地球温暖化」と「天然資

源の枯渇」への影響の度合いが高いと評価しています。

 エネルギー事業グループは「石油・天然ガス・LPG等」、

金属グループは「石炭、地金等」を取り扱うことから、「天

然資源の枯渇」への環境影響を高く評価しています。機

械グループでは「プラント、航空機、自動車等」の機械関

連製品の製造・加工に関連し「騒音・振動・悪臭」等の

公害項目を高く評価しています。 化学品グループでは「化

学品」全般を取り扱っており、「水質汚染」への環境影

響を高く評価しています。生活産業グループは「食品・食

料・繊維製品等」生活全般にかかわる商品を取り扱って

おり、「自然生態系の劣化」に環境影響があると評価し

ています。

商品環境影響評価

商品群 熱帯林の 減少 自然生態 系の劣化

地球 温暖化

天然資源 の枯渇

オゾン層 破壊 大気汚染 水質汚染 土壌汚染 健康障害 騒音/振動 /悪臭

新機能事業グループ

エネルギー事業グループ

金属グループ

機械グループ

化学品グループ

生活産業グループ

   平 均

21

42

39

91

163

127

483

B

C

C

C

C

C

C

B

B

B

B

C

C

B

A

A

A

A

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A

A

A

A

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B

B

B

B

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C

C

C

C

C

C

C

C

C

C

C

B

B

B

B

B

※本店内営業グループの商品群

商品の環境影響度合いの定量評価部分の内、本店内営業グループの商品群を抜粋し、環境影響の高い項目を上位から順にA,B,Cで表しました。

2004年度EMS商品環境影響評価結果分析

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29CSR Policies & Management

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

商品取引活動における環境レビュー

 東北支社機械チームでは、小岩井乳業(株)小岩井工

場に対して、「排水の管理状況の把握とリン含有量の低

減化」を環境目標に環境レビューを実施しました。事前調

査として、環境管理状況を確認する「環境チェックリスト」

を送付し、回答を入手。その回答内容から、排水管理に

関する追加質問を準備して同工場の現地視察を行いま

した。環境レビューの結果、同社は水の削減に取り組ん

でおり、排水に含まれるリン含有量等は法規制をかなり下

回る自社基準を設定し管理していることを確認しました。

また、同工場はISO14001審査登録しており、有害物質

管理、廃棄物管理などの環境管理が整備されていました。

さらに、食品の安全性の観点から衛生面での管理を重要

視しており、従業員の環境や安全への意識が非常に高

いことも確認しました。環境報告書やweb siteなどで環

境情報を開示しており、工場の見学コースを一般に公開

するなど積極的に消費者とのコミュニケーションを図って

いました。同社の環境責任者からは、今回の環境レビュ

ーは環境管理を実践していく上で良い刺激になったとコ

メントをいただきました。

排水処理設備

 北海道支社化学品グループでは、取引先の岩倉化学

工業(株)の「緊急時におけるメタノールの保管管理体

制と火災・爆発防止管理体制の確認」を目標に、環境チ

ェックリストによる事前調査と現地調査を実施しました。

環境レビューの結果、同社では危険物の保管管理が徹

底していることや、緊急事態の防災規程・地域防災組織

等が整備されていること、また、緊急事態の対応について

社内に徹底しており、緊急時の認識が高いことを確認し

ました。三菱商事からは、国内では地震などの天災地変

が頻発していることから、『引き続き危険物の保管の強化

とあわせ、運搬・取り扱いについての従業員への啓発活

動を推進すること』等の要望を伝達しました。

メタノール

排水処理設備

メタノール保管管理体制の現地調査

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30 CSR Policies & Management

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

 三菱商事では事業投資先の環境影響評価の結果から、

毎年管理テーマを特定し、特定した事業投資先の環境レ

ビューを実施しています。2004年度は463社の環境影響

評価を実施し、19件の環境レビューを実施しました。

事業投資活動における環境レビュー

 長崎支店機械チームでは、工業ガス製造メーカージャ

パン・エア・ガシズ(株)の「工業ガスによる大気汚染の

管理状況の確認」を目的に環境レビューを実施しました。

環境レビューの結果、同社は点検等の法規制を順守し、

ガスの漏えい対策に万全を尽くしていることを確認しました。

同社の環境担当者からは、同社が製造するガスの化学

的な特性や取り扱い上の管理について説明を受けました。

環境チェックリストの結果から、追加の調査項目としてい

た有害廃棄物PCBの保管状況については、厳重に保管

されており、表示等の法規則を順守していることを確認し

ました。液体ガス製造工場や特殊材料ガスを取り扱う充

填工場では安全監査に加えて、環境監査を実施している

ことも確認しました。環境レビューをきっかけに、三菱商事

と同社の双方が改めて環境の重要性を認識し、今後も

環境管理を推進していくことになりました。

工業ガス

工業ガス管理状況の現地調査

 生活産業グループ資材本部では、植林事業会社にお

ける環境管理対策の確認を目的に、チリのFORESTAL

TIERRA CHILENA LIMITADA(FTC社)の環境レビ

ューを実施しました。同社では、持続可能な森林管理認

証制度であるFSC(Forest Stewardship Council)認

証を取得しています。植林現場の視察を通じ、同社が水

源保護に留意した伐採方針の設定や、土砂流出防止対

策を行うなど、周辺環境にも配慮した操業を実施している

ことを確認しました。また、希少樹種であるケウレの生育

地を周辺の緩衝帯も含めて保護地域に設定するとともに、

地元の大学の林学部と合同で、同保護地域の生態系調

査を実施しており、積極的な環境保全に努めていることを

確認しました。同社には、地域の住民やわが国のチップ

需要家をはじめとするさまざまなステークホルダーの環境

への意識が、今後もますます高まることが予想されること

から、『引き続き希少樹種の保護や周辺環境の保全のた

めに万全の対策を講じる』ように要望しました。

FORESTAL TIERRA CHILENA LIMITADA(FTC社)

保有林内にあるケウレ保護地域の視察

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31CSR Policies & Management

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

 関西支社アパレル部では、衣服、その他繊維製品の

生産(縫製)工程における事故防止対策および天災事

故が発生した場合の廃棄物管理状況の把握を目的に

SNFC社の環境レビューを実施しました。緊急時におい

ては工場内に避難通路がわかりやすく掲示されており、

避難訓練など必要な従業員教育が実施されていました。

廃棄物についてはコンピューターによる自動裁断システ

ムを導入し排出量削減に努めていることや有害な廃棄物

が発生していないことを確認しました。同社には、『環境

責任者の設置など環境管理体制の整備や廃棄物の管理、

環境基準の強化を踏まえての自社基準を設定することを

検討する』等の要望を伝達しました。

 中国の経済発展は目覚しいものがあります。その一方

で環境への影響が懸念されています。SNFC社を環境調

査の目的で訪問するのははじめてでしたが、想像していた

以上に従業員の環境への意識が高く、環境レビューの作

業にも非常に好意的な協力を得られました。また、製造工

場内も整理整頓がなされ、労働安全の面でも問題の無

いことを確認しました。環境レビューを通じて、SNFCの担

当者の環境に対する認識も高まっていくのが感じられ、

今後の同社の環境改善に役立つことができたのではな

いかと思います。同地域はますます経済成長していくこと

が期待されますが、一方で環境や労働安全衛生の面から

の規制が厳しくなることも予想されるので、今後も現地と

のコミュニケーションを図り、環境管理やCSRに協力して

いきたいと思います。

SHANGHAI NIKKI FASHION CO., LTD.(SNFC社)

担当者の声

工場内の警報装置を確認

関西支社アパレル部

池田真人(右側)

上海に建設したMegaThin生産工場

環境方針管理テーマ

 三菱商事では、環境リスクの管理をするだけでなく、

環境改善を目的とする環境配慮型の商品開発や調

査など、環境にプラスの影響を与える可能性がある

ものを「環境方針管理テーマ」として管理し、推進し

ています。2004年度は10件の環境方針管理テー

マに取り組みました。

 関西支社化学品部では、JATI(日本吸収体技術

研究所)と共同事業開発に取り組み、全環境適応

型のシート状吸収体"MegaThin®"の開発に成功し、

2004年商業生産工場を上海に建設しました。現在

試験稼動中で2005年度の商業生産を目標に推進

中です。

 全環境適応性とは、焼却エネルギー負荷も少なく、

コンポスト化も容易で構成素材の選択によっては水

洗トイレに流すこともでき、現在採用されているあら

ゆる廃棄プロセスに適応性を持たせることを意味し

ています。

 従来の吸収体の3分の1以下の重量であることと

も相まって、まさに「地球に優しい」素材を指向した

ものと言えるでしょう。

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32 CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

三菱商事グループの CSRパフォーマンス

三菱商事は、国内外の幅広い業種の事業投資先における

労働、人権、地域社会などの社会的側面と環境側面について、

各社の取り組み状況、ならびに主要なパフォーマンス指標を調査し、把握を行っています。

事業投資先に対して改善を促し、成果を上げていくことが、今後の課題です。

 三菱商事では昨年度から事業投資先におけるCSRの

取り組み状況を把握するため、労働環境、人権、地域社会、

製品およびサービスに関する調査を実施しました。今年度

からは新たに、社内体制、購買先・調達先に関する設問も

追加いたしました。合計535社(国内289社、海外246社)

から得たCSRに関する回答結果を以下の通りまとめました。

 企業理念や役職員行動規範などについては制定して

いる企業がほとんどでした。

 従業員の採用・昇進等における差別撤廃と女性管理

職比率や障害者雇用比率の把握については、取り組み

ができています。約7割の企業が従業員の研修制度を持

っていますが、従業員のキャリア選択支援については、半

数以上の企業で制度がなく、更なる努力が必要です。

事業投資先における社会性の取り組み状況

社内体制と労働環境について

Q1

Q2

Q3

Q4

Q5

Q6

Q7

Q8

Q9

79%

100%

43%

61%

48%

67%

87%

82%

37%

21%

0%

57%

39%

52%

33%

13%

18%

63%

はい いいえ

企業理念や役職員行動規範の類を制定していますか?

従業員の採用・昇進等において、性別・年齢・学歴等による差別を撤廃していますか?

社内公募制度など、従業員の主体的なキャリア選択を支援する制度がありますか?

労働上の安全・衛生・健康・メンタルヘルスなどに関し、法令の規定を上回る独自の制度がありますか?

従業員の育児・介護を支援するため、法令の規定を上回る独自の制度がありますか?

従業員の能力向上・人材育成を目的とした研修制度がありますか?

女性管理職の比率を把握していますか?

障害者の雇用率を把握していますか?

労働組合(もしくは従業員の代表組織)がありますか?

 差別の禁止やセクシャルハラスメントの防止など従業

員の人権に対する配慮、海外での児童労働・強制労働の

禁止、地域住民や先住民の人権に対する配慮など、とく

に海外で重視されることの多い人権項目への取り組みを

進めています。

人権について

Q10

Q11

Q12

100%

100%

100%

0%

0%

0%

はい いいえ

従業員の人権に配慮する取組をしていますか?

海外の事業活動において、児童労働や強制労働の禁止を尊重し、配慮していますか?

海外の事業活動において、先住民の人権を尊重し、配慮していますか?

50%

100%Q1

社内体制と労働環境

Q10

Q11Q12

人権

Q2Q9

Q3Q8

Q4Q7

Q5Q6

50%

100%

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33CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

 社会貢献活動の実施や地域社会とのコミュニケーショ

ン施策を実施している企業は少なく、今後の課題となって

います。一方、ほとんどの企業が地域住民から重大なクレ

ーム・苦情を受けていません。

 事業投資先だけでなく、三菱商事の人権、労働面での

CSRの取り組みも重要です。

 2004年度については、海外現法役員の現地社員比

率は前年度と変わりませんでしたが、女性管理職比率は

増加しました。また、障害者雇用率は法定雇用率(1.8%)

を達成しました。今後も、これらの社会性に関するパフォ

ーマンスを改善させていきます。

三菱商事の社会性パフォーマンス

地域社会について

障害者雇用率

1.86%

1.82%

1.78%

1.74%

1.70%2002 2003 2004

1.72% 1.73%

1.82%

女性管理職比率

0.65%

0.60%

0.55%

0.50%

0.45%

0.40%2002 2003 2004

0.43%

0.49%

海外現法役員の現地社員比率

8.00%

7.50%

7.00%

6.50%

6.00%2002 2003 2004

6.45%6.45%

7.81%

Q13

Q14

Q15

30%

7%

97%

70%

93%

3%

はい いいえ

地域社会の一員として、社会貢献活動の実施や、地域社会とのコミュニケーションを図る施策がありますか?

自社の事業活動に対し、地域社会より表彰を受けましたか?

昨年度、地域の周辺住民から重大なクレーム・苦情を受けたことがないですか?

 顧客に対する情報提供など、製品・安全性確保はほと

んどの企業が行っています。また、顧客からのクレームが

発生した場合も迅速で的確な対応を実施しうる社内体

制を整えています。

 購買先・調達先については、ほとんどの企業が原材料・

製品等の調達先に対し環境・人権等の取り組みを要請・

確認していません。サプライチェーンの問題については今

後の取り組みが必要です。

製品およびサービス、購買先・調達先について

Q16

Q17

Q18

Q19

92%

62%

75%

28%

8%

38%

25%

72%

はい いいえ

ユーザーに対する情報提供など、製品・サービスの安全性確保に努めていますか?

昨年度、顧客から重大なクレーム・苦情を受けたことがないですか?

顧客からの重大なクレームや災害・事故等が発生した場合、迅速な対応と的確な情報開示を実施しうる体制が

整っていますか?

原材料・製品等の調達先に対し、環境・人権への配慮等のCSRへの取り組みを要請・確認していますか?

0.63%

Q17Q19

Q18

50%

100%Q13

Q15 Q14

地域社会

50%

100%Q16

製品およびサービス、購買先・調達先

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34 CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

事業投資先に対する環境管理の状況調査結果

事業投資先の内、環境パフォーマンスを把握している企業の割合

環境管理の状況調査 回答企業の業種内訳

国内243社、海外230社の計473

社より回答を受けました。 ● 天然資源開発・不動産開発24社 ● 製造・加工147社 ● 流通(輸送・倉庫・ターミナル)64社 ● 販売170社 ● サービス提供95社 ● リース・金融38社

(複数業種選択あり)

※1 要請している場合、 どの程度ですか?

取引の条件にしている 25%

要請のみ 75%

※3 MSDS

Material Safety Data Sheet。

事業者が化学物質や製品を他

の事業者に出荷する際に、その

相手方に対して、その化学物質

の成分や性質、取り扱い方法な

どに関する情報を提供するため

のもの。

※4 North West Shelf プロジェクト

三菱商事の事業投資先が参画す

る豪州でのLNG開発プロジェクト。

環境関連で表彰された企業

● North West Shelf プロジェクト ● デジタルリユース株式会社 ● Auto Technic (Thailand) Co., Ltd. ● Tri Petch Isuzu Sales Co., Ltd. ● Tri Petch Isuzu Service Co., Ltd. ● コカ・コーラセントラルジャパン株式会社 ● 株式会社ジャパンファーム ● 国際埠頭株式会社

※2 報告の範囲は どの程度ですか?

連結対象会社等全体 48%

自社と連結対象会社の一部 4%

自社のみ 48%

ISO14001に審査登録している事業投資先 (国内28社、海外32社、計60社)

株式会社エム・シー・アルミ 株式会社エム・シー・コミュニケーションズ エム・シー非鉄株式会社 株式会社エム・シー・ファシリティーズ カンロ株式会社 コカ・コーラセントラルジャパン株式会社 株式会社興人 国際埠頭株式会社 株式会社サンエス 株式会社サラダクラブ 株式会社ジャパンファーム 株式会社ダイヤモンドシティ 日清オイリオグループ株式会社(4工場で取得) 日本食品化工株式会社 日本農産工業株式会社 ヒューマンリンク株式会社 株式会社マルイチ産商 三菱商事軽金属販売株式会社 三菱商事太陽株式会社 三菱商事パッケージング株式会社 三菱商事フィナンシャルサービス株式会社 三菱商事プラスチック株式会社 明和産業株式会社 株式会社メタルワン 菱光ロジスティクス株式会社 株式会社菱食 株式会社レンタルのニッケン 株式会社ローソン

カナダ イギリス モザンビーク 中国 台湾 タイ ブルネイ インドネシア パキスタン マレーシア メキシコ ベネズエラ オーストラリア ベトナム ポーランド シンガポール ギリシア

日本

所在国・地域 企業名

所在国 企業名 ACLO Compounders Inc. Alpac Forest Products Inc. The Colt Car Company Ltd. F2 Chemicals Ltd. Princes Limited MOZAL S.A.R.L. iVision Shanghai Co., Ltd. M.C.Aluminum (Kunshan) Co., Ltd. Shanghai Bao-Ling Electric Control Equipment Co., Ltd. 捷盟行鎖股 有限公司 Isuzu Engine Manufacturing Co., (Thailand) Ltd. Isuzu Motors Company (Thailand) Limited M.C.Aluminum (Thailand) Co., Ltd. MIKUNI (Thailand) Co., Ltd. Thai Chemical Corporation Thai International Die Making Company Limited Tri Petch Isuzu Service Co., Ltd Brunei LNG Sendirian Berhad Brunei Shell Tankers Sendirian Berhad P.T.Mitsubishi Kramayudha Motors & MFG Engro Asahi Polymer & Chemicals Ltd. Tri-Pack Films Ltd. Aromatics Malaysia Sdn. Bhd Exportadora de Sal, S.A. de C.V. Metanol de Oriente, METOR,S.A. North West Shelf プロジェクト※4 GS Battery Vietnam Co.,Ltd. MMC Car Poland Sp. z o.o. SUN ACE KAKOH (PTE) LTD. TOSOH HELLAS A.I.C.

エネルギー使用量の把握 (2004年度)

0% 50% 100%

ガソリン

ガス

購入電気

47%

44%

削減対策の設定

削減目標の設定

37%

41%

57%

廃棄物排出量の把握 (2004年度)

0% 50% 100%

一般廃棄物総量

産業廃棄物総量

リサイクル総量

33%

55%

削減対策の設定

削減目標の設定

35%

34%

32%

資源消費量の把握 (2004年度)

OA紙

44%

46%

0% 50% 100%

削減対策の設定

削減目標の設定

58%

16%

体制

調達

環境

コミュニケーション

環境リスク管理

その他

いいえ 不明

全社の環境方針等を制定していますか?

はいの場合、環境中長期計画(目的・目標)の制定はされていますか?

環境保全活動の責任者を決めていますか?(社長、役員、工場長等)

環境保全を全社的に推進するための環境委員会などの専門の運営体制がありますか?

グリーン購入を実施していますか?

取引業者に対して環境配慮を要請していますか?

要請している場合、どの程度ですか?(※1)

環境報告書等を発行していますか?

報告の範囲はどの程度ですか?(※2)

環境報告書等の内容について第三者の検証を受けていますか?

2004年度に環境関連事故あるいは苦情等がありましたか?

化学物質を取り扱っていますか?

はいの場合、管理規定はありますか?

取り扱い化学物質のMSDS(※3)は適切に管理していますか?

PCB(ポリ塩化ビフェニール)を保有していますか?

油類・化学物質等を保管する地下タンクを保有していますか?

現在、顕在化している土壌汚染・地下水汚染がありますか?

従業員に対して、環境関連教育を行っていますか?

環境に関連する社会貢献活動をしていますか?

新製品・サービスの企画・開発において環境への影響の面からアセスメントを実施していますか?

36%

48%

44%

21%

18%

38%

6%

62%

5%

30%

82%

84%

8%

9%

4%

39%

13%

28%

64%

52%

56%

79%

82%

62%

94%

38%

94%

70%

18%

16%

92%

90%

94%

61%

87%

72%

1%

1%

2%

はい

Q1

Q2

Q3

Q4

Q5

Q6

Q7

Q8

Q9

Q10

Q11

Q12

Q13

Page 37: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

35CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

三菱商事の環境パフォーマンス

三菱商事は地球温暖化防止の

ための国民運動「チーム・マイナ

ス6%」キャンペーンに参加して

います。

7,008万枚 9,307千kWh 923トン 84.3% 5,956点

前年度比5.6%削減 前年度比6.4%削減 前年度比20.6%削減 前年度比6.6%UP 前年度比846点増

前年度比2.3%削減 前年度比5.4%削減 前年度比12.6%削減 前年度比8.6%UP 前年5,110点に対し10点以上増

本店

2004年度実績 2004年度改善実績 2004年度改善目標

紙の使用量 電力使用量 廃棄物の排出量 廃棄物のリサイクル率 グリーン購入対象アイテム数

t-CO2 千kWh CO2/kWh

単位

温室効果ガス排出量 電気使用量 CO2排出係数※1

※1 出所:環境省 ※2 2003年度から丸の内と品川の本店2オフィス体制に移行した。 ※3 2006年度から新丸の内オフィス、品川オフィスの2オフィス体制となる予定。 ※4 2007年度の排出係数は、一般電気事業者の数値を用いた。

※4

※2

3,517 6,225 0.565

丸の内

1,403 3,721 0.377

品川

4,920 9,946 -

3,479 8,590 0.405

2003年度

3,057 5,410 0.565

丸の内

1,469 3,897 0.377

品川

4,526 9,307 -

計 2004年度 2007年度

(目標)

環境保全コスト

事業エリア内コスト

上・下流コスト※5

管理活動コスト

研究開発コスト

社会活動コスト

環境損傷対応コスト

合計

費用

209,555

0

262,127

11,531

66,342

0

549,555

単位:千円 2005年3月期

単位:千円 2005年3月期

紙の削減

電気使用量の削減

廃棄物の削減

8,446

27,474

8,012

効果 経済効果

電気使用量から換算した、本店の温室効果ガス排出量

※3

国内支社・支店

北海道支社 東北支社 中部支社 新潟支店 北陸支店 関西支社 神戸支店 岡山支店 四国支店 中国支社 九州支社 長崎支店 那覇支店

前年度比2%削減 前年度比6%削減 前年度比1%削減/人 前年度比7%削減 前年度比8%削減 前年度比2%削減 55,250枚/年使用 前年度比45%削減 前年度比1.1%削減 前年度比17%削減 前年度比4%削減 前年度比40%削減 前年度比21%削減

前年度比±0% 前年度比5%削減 前年度比1%削減/人 前年度比4%削減 前年度比2%削減 前年度比±0% 使用量の実態把握 前年度比3%削減 前年度比1%削減 前年度比24%削減 前年度比5%削減 前年度比15%削減 前年度比20%削減

2004年度削減実績 2004年度削減目標 紙の使用量

北海道支社 東北支社 中部支社 静岡支店 関西支社 中国支社 九州支社 長崎支店

前年度比9%削減 前年度比4%増加 前年度比±0% 前年度比10.4%削減 前年度比7%削減 前年度比5%削減 前年度比4%削減 前年度比6%削減

前年度比5%削減 前年度比5%削減 前年度比1%削減 前年度比1%削減 前年度比3%削減 前年度比10%削減 前年度比7%削減 前年度比5%削減

2004年度削減実績 2004年度削減目標 電気使用量

 環境保全コストは、「環境会計ガイドライン2005年版」

に沿った6つの項目ごとに算出しました。

三菱商事の環境会計

※5 上・下流コスト

2004年度容器包装リサイクル

法に基づく再商品化委託料は

前年度迄の繰越金と相殺された

ため、支払いは発生していません。

社内の事務用品は100%古紙(白

色度70%)のコピー用紙をはじめ、

環境負荷が小さく、また、価格競

争力のある商品を優先的に購入

しており、環境負荷を低減するた

めの追加的コスト(環境保全コ

スト)は発生しません。

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36 CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

社員との関わり

三菱商事にとって人材は最大の資産です。それだけに、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、

自らの価値を高められる環境の整備を人事の基本方針としています。

また、社員の基本的人権と労働者としての権利を踏まえた上で、人事制度の整備、

人材育成プログラムの充実、健康増進・安全確保などさまざまな施策を行っています。

 三菱商事では2000年4月に現行の人事制度を導入し、

従来の年次年齢重視の配置処遇から、「成果主義」と「機

能と貢献度に応じた処遇」という考え方に転換しました。

性別、国籍、年齢を問わず、能力、適性に基づいて人材を

活用し、担当職務や実績に応じて処遇を決定する仕組み

になっています。

 異動に関しては、社内公募制度である「チャレンジポス

ト」や「ジョブリクエスト」制度を、採用に関しては、新卒採

用に加え、即戦力となる人材を採用する「キャリア採用」

を導入しています。また、人事評価制度では、三菱商事社

員の基本姿勢である「社会に対する貢献」についても評

価項目としています。

 海外拠点でも多様性、社会性を重視した人事制度を

取り入れています。グローバル・リーダーシップ・プログラ

ムなどによる人材育成の結果、現地法人社長、支店長な

どへの、現地採用社員の就任が増加しています。また、

海外拠点における現地スタッフの果たす役割の増加に

伴い、東南アジア、アメリカ、ヨーロッパといった地域ごと

の研修や、全世界の人事に携わる社員を集めての研修

など、現地スタッフのビジネススキルの向上・能力開発を

行い、三菱商事グループ全体として人材育成をする制度

の導入にも力を入れています。

 三菱商事では、採用の際、性別、国籍、年齢、障害の

有無に関係なく選考を行います。入社後もそれらに関係

なく、成果主義での処遇を行っています。また、社員全員

に対し、人権啓発委員会による人権啓発研修を行い、社

員一人ひとりの人権問題への正しい理解、問題意識の

啓発を促しています。

 社員が心身ともに健康で働けるよう、社員の健康維持

に努めています。本店、関西支社内に診療所を設け、社

員全員に年1回の健康診断、40歳以上の社員にはそれに

加えて、成人病検診を実施しています。診断結果によって

は健康状態に応じた個別の検診プログラムを提案してい

ます。海外赴任者とその家族には、渡航前・帰国後などに

検診を実施します。そのほか、診療所とは別にカウンセリ

ングルームを置き、メンタルヘルスにも留意しています。

 社員、とくに海外に赴任した社員とその家族に危害が

及ぶことがないよう、現地情勢の情報収集に努め、状況

に即した危機管理・安全対策を行っています。海外赴任

時には危機管理、住居や通勤の安全対策のためのオリエ

ンテーションを実施しています。また、昨今の海外情勢に

鑑み、業務部、人事総務部、各地拠点と相互に連絡を取

り合い、テロや国際紛争といった緊急事態が発生した際に、

人命を最優先した対応を取れるよう、体制を整えています。

人事の考え方

健康と安全を守る

人事施策

人権への取り組み

海外拠点での人事

健康管理と安全衛生マネジメント 危機管理

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37CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

教育研修体制

 三菱商事では、社員が自律的な、市場価値の高いプロ

フェッショナルを目指すためのさまざまな研修制度を設け

ています。

 主要なプログラムとしては、年齢や資格にかかわらず、

各自が業務のニーズに応じて、能力開発に必要なプログ

ラムを選んで受講できる「MCオープンカレッジ」、入社2年

目までの社員を対象に、業務に必要な基礎知識・スキルを

習得するための「若手早期育成プログラム」、社内・出向

先での「経営者人材」の育成を目的とした「経営者育成

プログラム」、各自のキャリアの棚卸し、キャリアデザイン

のための「キャリア開発プログラム」が設けられています。

 また、海外へ赴任する社員や事業投資先に出向する

社員、役員に就任する社員などには、それぞれの目的別に

オリエンテーション・セミナーが行われます。

 そのほかにも、海外語学研修制度や海外ビジネススク

ール奨学生制度、会社が受講料を一部負担する自己啓

発講座など、多彩な研修制度を整備しています。

 CSR(企業の社会的責任)に対する意識の向上を図

るため、2005年1月に企業行動指針を改定したほか、新

入社員研修、海外赴任前研修、出向者研修において、

CSRに関する講座を設け、CSRの観点から配慮すべき

項目について、海外の事例を含めて具体的に解説してい

ます。また、CSR講演会なども開催し、社員の啓発に努

めています。

 次代を担う人材育成のため、世界中の三菱商事グル

ープ社員から選抜した人を対象に「グローバル・リーダー

シップ・プログラム」を実施しています。参加者は実際と

同様のビジネスプラン作成などを通じて、プロジェクト管理、

リーダーシップスキルなどを習得します。また、関連会社と

の合同研修で、三菱商事グループ全体での人材育成を

行っています。

 三菱商事では2005年4月に、子育て・介護支援制度を

改定し、育児・介護休業法など関連法以上の配慮を行い

ました。子育て支援では、妊娠・育児中の勤務時間短縮、

満2歳まで育児休職が取得可能となったほか、育児時間

の対象を男女従業員に拡大しています。また介護支援で

は、介護休職期間の延長、介護休暇制度の新設など勤

務条件の緩和などを実施、働きやすい環境の整備を図っ

ています。

 社員の社会貢献活動への参加を推進するため、2005

年4月よりボランティア休暇制度を導入しました。勤続1

年以上の社員を対象とし、休暇取得可能日数は年5日間。

対象活動は三菱商事の社会貢献活動に関する基本理

念に沿った、社会・環境室が推奨する活動となっています。

多彩な研修体制 三菱商事グループとしての人材育成

子育て支援・介護支援制度

ボランティア休暇 CSRについての教育

従業員組合からの声

 経済のグローバル化や成熟化といった構造的な

環境変化に対し、三菱商事はさまざまな施策を通じ

た自己変革によって対応してきましたが、その過程

で社内に歪みが生じてきている可能性も否定できま

せん。とくに最大の資産たる従業員への影響につ

いては組合として注視しているところです。

 とはいえ、引き続き各企業が自己変革を迫られる

であろう状況の下、組合活動にも「三菱商事が厳し

い社会・経済環境変化を乗り越え成長していく為に」

という視点が不可欠だと思います。会社の成長が止

まり社会的責任を果たせなくなってしまっては、組合

の所期の目的の一つである従業員の経済的社会

的地位の向上は望むべくも無いからです。

 これからも、従業員の声にしっかりと耳を傾け、そ

の声を代表しつつ、従業員と会社がともに成長を目

指せるよう会社に対し積極的に提言していきたいと

思います。

三菱商事従業員組合 執行委員長

山中 哉

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38 CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

社会貢献活動

三菱商事の企業文化には、地域社会・国際社会とともに発展し、

真の豊かさを実現していくという思いが根づいています。

社会貢献の基本理念に基づいた施策を定め、地球環境や福祉、教育から文化・芸術に至るまで、

幅広い分野で継続的な活動を展開し、社員の活動参加を積極的に支援します。

また、各地域のニーズに即した社会貢献活動を実施し、地域社会の発展にグローバルに寄与していきます。

社会貢献に関する基本理念

グッド・コーポレート・シチズンとしての自覚を持ち、

地球的視野から社会に対し幅広い貢献活動を行う。

文化 ・ 芸術

地球 環境

福祉

国際 交流

教育

※1 熱帯林再生実験 プロジェクト

詳細はウェブサイトに掲載してい

ます。

http://www.mitsubishicorp.com/

jp/csr/so_report/s_cont03.html

熱帯林再生実験プロジェクト

 三菱商事では熱帯林の早期再生を目

指し、1990年からマレーシアにおいて熱帯

林再生実験プロジェクトに取り組んでいます。

2002年度からは、環境保全を実践し地球

環境を考えるきっかけをつくるエコツアー「ボ

ルネオ熱帯林植樹の旅」を実施し、2004

年度は第3回目の開催となりました。22名

が参加したこのツアーでは、実験地や原生

林の視察、フタバガキ科の苗の植林を行

いました。植林にはツアー参加者に加え、

現地社員、マレーシア大学関係者など約

40名が参加し、1,500本の苗木を植えました。

地球環境

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福祉

災害緊急支援

福祉

39CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

※1 太陽の家

故・中村裕医学博士による「世

に身心障害者はあっても仕事に

障害はあり得ない」、「保護より

機会を」という理念に基づき、身

体障害者のプログラマー、システ

ム・エンジニアとしての社会的自

立を支援している社会福祉法人。

母と子の自然教室

緊急災害支援チャリティウォークを実施

太陽の家への支援

大分国際車いすマラソン

 「母と子の自然教室」は1974年以来、毎年夏に開催し

ているキャンプで、2004年も新潟県南魚沼郡の吉里で行

われました。参加したのは、招待した都内在住のひとり親

家庭60組約160名、および社員ボランティアを中心とした

スタッフ約40名。自然教室では、大人も子どもも一緒にな

って川遊びやハイキング、キャンプファイアなどさまざまな

プログラムを楽しみました。自然の中で交流し、友情を育

んだ4日間は、全員の大切な夏の思い出となっています。

 三菱商事は、1979年より、太陽の家の授産科目である

情報処理科を継続して支援しています。また、太陽の家

との共同出資により1983年にソフトウェア会社の三菱

商事太陽を設立し、情報処理システムの受託開発、ホー

ムページなどのコンテンツの制作、名刺や挨拶状などの

印刷業務を行っています。

 

 2004年12月にインド洋で起きた大地震、および大津波

の被災者を支援するため、「インド洋大津波被害支援チャ

リティウォーク」を企画し、2005年1月15日に皇居一周チャ

リティウォークを実施しました。当日は雨にもかかわらず社員

とその家族70名が参加しました。参加費と参加できなかっ

た社員の寄付の総額と、同額の寄付を合わせた100万円

を日本赤十字社に寄付しました。

 大分国際車いすマラソン大会は、1981年の国際障害

者年を記念して、世界初の国際大会として開かれた大会

で、毎年、世界のトップレベルの車いすランナーが参加し

ています。2004年大会は、10月31日に開催され、世界

27の国と地域から380名の選手が参加しました。三菱商

事は、1991年から本大会に協賛し、運営ボランティアとし

て、社員も参加しています。本大会は国際交流の場とし

ても大変意義深いものとなっています。

福祉

国際交流

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40 CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

海外地域貢献施策

 三菱商事では、「ふるさとの田んぼと水」子どもの絵画

展(全国土地改良事業団体連合会など主催、農林水産

省など協賛)に2002年度より協賛しています。この企画は、

身近にある水田や畑、そこにすむ生き物、農村風景を描く

ことで、未来を担う子どもたちに、ふるさとの素晴らしさを

発見し大切さを知ってもらうことを目的に開催しているも

のです。2004年度は香川県の宮脇史佳さん(小5)の「芋

堀しようよ!」が「三菱商事賞」を受賞しました。

 三菱商事では、地域社会の発展に寄与するため、

1991年より「海外地域貢献施策」を実施しています。毎

年、地域のニーズに合った案件を各海外拠点から募り、

実施しています。2004年度は、ベネズエラ、メキシコ、イン

ド、マレーシア、ミャンマーなど15の国と地域で「医療機器

の寄贈」「教育施設の建設」「環境修復プロジェクトへ

の支援」などの案件を実施しました。スタート以来、実施

案件の総数は200件を超えました。(写真:アンマン支店

によるメディカルセンターへの医療機器寄贈)

海洋生物研究プロジェクト 社員ボランティア活動支援制度

 三菱商事では2005年より日本・米州・欧州アフリカの

3地域で、サンゴ礁の健全性保持と回復技術の確立・普

及を目指した「海洋生物研究プロジェクト」を開始します。

サンゴ礁は生物の宝庫ですが、環境変化、海水温の上昇

などでサンゴが白化し、多大なサンゴが失われています。

本プロジェクトでは、サンゴの白化現象を科学的見地から

研究し、白化防止および回復技術を確立することを目指し、

グローバルな海洋環境の保全に貢献したいと考えています。

 三菱商事では、2005年4月から「ボランティア休暇制度」

を実施するとともに、「社員全員ボランティア活動・MC

Volunteer Activity!」を開始しました。ボランティアデー

タベースも整え、社員が好きなものを選んで参加できる環

境となりました。さらに、社員が行った活動をデータベース

に登録すると、1活動につき仮想通貨1トークンが与えられ、

年度末には積み立てられた総トークンが1トークン=500

円に換算されて、会社が環境や福祉団体などへ寄付する

仕組みとなっています。

こどもの絵画展 地球環境

2005年度からの新たな取り組み

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41CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

財団法人  東京キリスト教 青年会(東京YMCA) 社会福祉法人  太陽の家 社会福祉法人  東京コロニー ジュニア・ アチーブメント ジャパン 特定非営利活動法人 人道目的の地雷除去 支援の会(JAHDS) 社団法人  日本ユネスコ協会 連盟 世界自然保護基金 日本委員会 (WWF Japan) 特定非営利活動法人 アースウォッチ・ ジャパン 財団法人  日本野鳥の会 World Business Council for Sustainable Development(WBCSD)

1844年、青少年の健全育成事業と地域ボランティア活動支援を目的に英国で発足。三菱商事は活動趣旨に賛同し、1972年から賛助会員として支援しています。「母と子の自然教室」においてプログラムの運営やボランティア指導を依頼しています。 1965年、障害者の働く場づくりと社会的自立の支援を目的に設立。三菱商事は、1979年から身体障害者のプログラマーまたはシステムエンジニアとしての社会的自立を支援しています。また1983年には、太陽の家とわが社で、コンピューターソフト開発等を行う三菱商事太陽株式会社を設立しました。 1951年、障害者の社会への完全参加と平等を目的に設立。三菱商事は、1979年からプログラマー養成事業の援助としてコンピューターの寄贈などを行っています。また、1994年からは在宅講習および在宅就労の支援も継続して行っています。 1919年、米国で発足した世界最大の経済教育団体。青少年に対して、詰め込み型ではなく、一人ひとりが「考え、議論する」自立的判断力、社会的適応力等を身につけさせることが目的。三菱商事では、1995年から趣旨に賛同して会員となっています。 1998年、人道目的の地雷除去に関連する技術開発を目的に設立。環境NGOや現地地雷除去機関に対して技術の供与や支援、除去活動の後方支援、そして国内外の情報収集や情報提供を行っています。三菱商事は、2003年から趣旨に賛同して賛助会員となっています。 1948年、民間のユネスコ活動を推進するため、日本全国のユネスコ協会の連盟体として設立。教育分野では「世界寺子屋運動」、文化分野では「世界遺産活動」という2つの事業を柱に活動しています。三菱商事では、1995年から理事会社として活動を支援しています。 世界最大の自然保護NGOの日本組織。三菱商事は、1989年より会員となり活動を支援しています。WWFが推進している森林認証制度(FSC)の一つでもあるCOC認証を紙製品部門・チップ部門で取得しました。海外の森林製品関係の事業投資先においても、順次、認証取得を予定しています。 1972年、米国で発足した国際的な環境NGOの日本組織。人類の持続的未来に資する知識基盤の構築と、自然資源や文化遺産の保全・促進を目的に設立。欧州支社は1993年から、米国三菱商事は1996年から支援を行い、三菱商事は2002年に会員となりました。 日本最大の環境NGO。自然と人間の共存できる社会を目指して、野鳥を中心とする自然環境の保護、野鳥保護の思想普及教育、野鳥の調査研究を行っています。三菱商事では、1994年から会員となり支援しています。「丸の内さえずり館」の開設時には、広報宣伝活動に協力しました。 1995年、「経済成長」「環境保全」「社会の進歩」の調和した持続可能な発展を目指して設立。約160社の企業のトップによる国際的連合組織で、提言活動などを展開しています。三菱商事は、1991年から同組織の前身であるBCSDに参画しています。

NPO・NGO支援先一覧

外国人留学生 奨学金制度 MC International Scholarship 上智大学寄付講座 アースウォッチ はばたけ21 未来の子どもたちへ 中部支社 自然教室 ふるさとの緑植樹祭

三菱商事では、海外留学生(学部生または大学院生)に対し、奨学金を授与しています。この制度は1991年から開始され、2004年度は一般公募で選抜をした16の大学の、計16名の外国人留学生へ奨学金を支給しています。 三菱商事は発展途上国における青少年の育成と地域社会の文化、経済発展に貢献するために、アジア・アフリカなど12の国と地域で毎年約200名の学生に奨学金を授与しています。 三菱商事は、上智大学に、学生および社会人向けに「地球環境と科学技術」「地球環境学」の2つの寄付講座を設置しています。学外から講師を招き、毎年のべ約800名近い方々に受講していただいています。 1993年から米国三菱商事で、1996年から欧州支社でアースウォッチの活動支援を開始し、日本でも2002年より支援を行っています。実際の野外調査プログラムに各場所から社員も参加し、生態系や自然環境の諸問題に対する認識を深めています。 新潟市の姉妹都市であるロシアのハバロフスク市、ウラジオストク市、中国ハルピン市から約30名の小学生を招待し、新潟の子どもたちと交流するプログラムです。地元企業・行政と連携し、1992年から実施しています。 毎年夏に、愛知県下の児童養護施設の小学6年生・約40名を招待して行うキャンプ。1991年から毎年開催し、2005年で15年目を迎えます。中部支社の社員ボランティアと名古屋YMCAのスタッフでプログラムを作り上げています。 2004年6月に横浜市で行われた「ふるさとの緑植樹祭」(横浜市・毎日新聞社など主催)に協賛し、社員とその家族約60名も参加しました。三菱商事「熱帯林再生実験プロジェクト」の指導者である宮脇 昭 横浜国立大学名誉教授の指導のもと、約850名の参加者全員で苗木の植樹を行いました。

その他の社会貢献活動

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42 CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

世界中のあらゆる分野で多様なビジネスを展開する三菱商

事では、ステークホルダーとの良好な関係をグローバルに

構築していきたいと考えています。

生物多様性保護への取り組みなど地球環境への配慮や社

会貢献活動による地域社会への配慮などCSRへの積極

的な取り組みを行っています。

わが社の主要拠点のうち、中国・欧州・米州における取り組

みをご紹介します。

海外のCSR活動 CSR Activities Overseas

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43CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

CHINACSR Activities in

 「希望工程」は中国青少年発展基金会が1989年にはじめた社会公益事業

です。国内外から募った資金をもとに基金を設立、中国の貧困地区の就学機会

を失っている児童が学業を継続できるよう、貧困地区の学校教育状態の改善に

貢献しています。三菱商事は、2002年から希望工程に対する支援を行っており、

これまで、広東省陽春市、広東省海豊県に希望小学校を建設しました。2004年

には広東省希望工程弁公室および、広東省政府経由で広東省清遠市連山鎮

の希望小学校建設のための寄付を行いました。同小学校は2005年9月に完成

の予定です。

 「大連市児童病院」は1952年に設立された児童総合病院です。大連市およ

び遼南地区の約170万名の児童に、病気の予防治療、リハビリ、保健機能を果

たしています。同施設の中にある「リハビリセンター」は2004年4月に正式運営

がはじまり、治療患者は遼寧省および山東省、吉林省、黒龍江省まで広がって

います。同センターでは、患者の早期リハビリ治療および、患者生活の向上の為

の医療を行っていますが、依然として大連市の約1割の児童患者は、生活水準

が低いこともあり、治療が途中で中断したり、受診ができなくなったりしています。

 三菱商事は2004年10月、同センターに「身体不自由児童健康基金」を設立

し、医療費を負担できない児童患者の治療費に役立てています。また、リハビリ

用の機器も寄贈しました。

 三菱商事は2005年4月、中華環境保護基金の協力の下、北京郊外房山周

口店鎮で「三菱商事生態・教育援助林」の式典と植樹を行いました。植樹には

三菱商事(中国)有限公司北京支店の職員とその家族ら約80名が参加しました。

 今回は昨年に続き第二回目で、0.1平方キロメートルにクルミなどの苗木を植

林しました。本プロジェクトでは、果樹を植えて地域の緑化に努めるとともに、そ

の管理を貧困地区の農家に委託することで農家の職業を確保、収穫された果

実の売上金の一部は貧困地区の学童支援に使います。単なる緑化事業では

なく、貧困地区の農家支援、学童就学支援という面を持つ複合的なプロジェク

トへの取り組みは、より科学的、かつ、より効果的な発展を模索する活動として中

国国内でも高く評価されています。

大連市児童病院のリハビリセンターへの寄付

広東省清遠市における希望小学校設立の支援

三菱商事 生態・教育援助林

[中国におけるCSR活動]

中国は目覚しい経済成長に伴い、「持続可能な発展」や「調和の取れた社会」を目指すことを

提唱しており、CSRやステークホルダーを意識した経営を進める企業がますます増えています。

三菱商事の中国での社会貢献活動は1991年から始まりましたが、

グローバルエンタープライズとしての自覚を持ち、経営戦略の重点地域である中国で

さらに事業を進めて行く中で、いっそうの社会的責任を果たしていく必要が高まっています。

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44 CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

CSR活動

CSR Activities [ヨーロッパにおけるCSR活動]

三菱商事は、事業を行っているすべての国や地域に

おいて良き企業市民であるべきだと考えています。欧

州・アフリカ地域では社会・環境活動を促進するために、

公益信託である三菱商事欧阿基金を設立しました。

また、欧州にある三菱商事のオフィスや子会社も企業

の社会・環境に対する責任を最優先に置き、常に企

業理念である「三綱領」を意識しています。

排出権取引制度と環境ビジネスへ

 英国三菱商事は、グローバルベースで行われている三菱商事のCSRへ

の取り組みの一環として、「地域社会への投資」「人権・雇用問題の改善」

「環境への配慮」「倫理的行動」を四つの柱に、さまざまな施策を実施して

います。

 1992年、欧州・アフリカ地域の社会・環境

開発プロジェクトを支援するための慈善団体と

して、「三菱商事欧阿基金(MCFEA)」を設

立しました。1993年からは、科学者の実地研

究や野外調査に協力するボランティアを世界

各国から派遣する国際的NGO「アースウォッチ」

を支援しており、欧州ではこれまでに計60名の

社員がボランティアとして参加しています。

 社内では、三菱商事のグローバル・スタンダードに則った人権・雇用問題

への取り組みの一環として、より良い労働環境づくりに努めています。組織

全体の活発なコミュニケーションを経営の最優先課題とし、会社側と社員が、

共通の関心事や課題について定期的かつ効果的に話し合えるような体制

づくりを進めています。

 環境面では、日々の業務において環境法規制を厳格に遵守しています。

たとえば、包装廃棄物規制では、包装資材を取り扱う企業に、年間売上高

や取扱量に応じて包装廃棄物の回収・リサイクル率目標が課せられますが、

英国三菱商事はこの義務をしっかりと果たしています。それだけではなく、自

主的に行われるさまざまな取り組みにも積極的に参加しています。2002年

に英国の温室効果ガス排出権取引に参画し、政府主導の下、2007年まで

CO2の排出量削減のほか、紙のリサイクル、環境に配慮したオフィス用品の

購入、節電などを奨励する「グリーン・オフィス・ポリシー(Green Office Policy)」

も実施中です。

 英国三菱商事では、「企業行動指針」「三菱商事役職員行動規範」と「三

菱商事環境憲章」に則ってすべての活動を行っており、企業としての倫理的

責任を遂行しています。

 2005年1月にはじまった欧州排出権取引制度に対

応して、三菱商事は、新しい産業でのイノベーターとして、

また、排出権市場の発展にも備えるため、欧州域内の

排出権取引と排出権プロジェクトに関するノウハウの

蓄積を目指しています。または、排出量をできる限り削

減するために最新の科学技術を駆使した工場・発電所・

化学工場など環境負荷の低い高性能な「環境プラン

トプロジェクト」ビジネスを積極的に拡大することを目指

しています。とくに中央・東ヨーロッパにおいて、こうし

たビジネスを発展させたいと望んでおり、現地パートナ

ーと協力しながら排出量を削減するため積極的に国々

を支援したいと考えています。

地域社会への投資

人権・雇用問題の改善

環境への配慮

倫理的行動

豪州のEarthwatchプロジェクト

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Image by WaterAid/Jon Spaull Image by GRD

45CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

EUROPEin

三菱商事欧阿基金

野生生物の保護活動を支援

WaterAidの活動を支援

クロアチア共和国のイルカ保護プロジェクトへの支援を開始

植物園自然保護国際機構を支援

アースウォッチを支援

 オックスフォード大学動物学部の一部でもあるWildlife Conservation

Research Unit(WildCRU)は、科学的な研究を通じ野生生物の保全に

関する現実的な解決策を見出すことを目標としています。三菱商事欧阿基

金は1998年~2003年にWildCRUが行ったジンバブエのワンゲ国立公園

のライオン個体群の研究をサポートしました。この研究は国立公園周辺の

狩猟枠がライオンの個体群に大きな影響を持つことを解明しました。これら

の調査結果が地元の関係者の脚光を浴び、地域のライオン個体群が回復

するまでライオン狩猟は一時中断されました。こうした保全努力は、地域に

生息するライオンの健全な個体群を確実なものにしました。

 またWildCRUは野生生物保護教育イニシアチブを開始しました。地元の

劇団が脚本を書き、野生生物保護を強く訴える劇を演じました。劇団は学校

や村で歌や踊りを用いて公演をしました。これは他の手段の利用が限られた

地域の人々にとり、アクセスしやすいものでした。三菱商事欧阿基金の新た

な寄付により、長期にわたる本プロジェクトの成功は確かなものとなっています。

 世界銀行によればモザンビークの平均寿命は45年以下であり、ユニセフ

によれば5才以下の子どもの76%が下痢性疾患や寄生虫感染症を患って

います。また、モザンビーク政府は国民のうち26%しか十分な水資源にアク

セスできないと推定しています。三菱商事欧阿基金は2003年から、世界の

貧しい地域に対し安全な水の供給と公衆衛生や衛生教育に取り組む組織

であるWaterAidへの支援を開始しました。三菱商事欧阿基金は2005年度

も、モザンビークの首都マプトにおける水供給問題と公衆衛生を改善するた

めに必要なインフラを提供するプロジェクトによってWaterAidへの支援を継

続します。

 2003年三菱商事欧阿基金はドイツのNGOであるGRD(イルカ保護協会)

が行う「クロアチア共和国のイルカ保護プロジェクト」への支援を開始しま

した。

 GRDはザグレブ大学獣医学部とともに、アドリア海のイルカ保護に関する

活動を行うNGOを設立しました。三菱商事欧阿基金はこれまで研究機材を

調査現場まで輸送するための車両の寄付を行いました。2005年度、三菱商

事欧阿基金はアドリア海沿岸の研究施設整備のためにGRDを支援します。

 三菱商事欧阿基金はロンドンに拠点がある植物園の国際組織BGCI(植

物園自然保護国際機構)を支援しています。BGCIは植物種の保護を目指し、

会員間の情報普及、国際会議の開催、莫大な数の種子バンクを維持して

います。

 Earthwatch Instituteは持続可能な発展に関する科学と教育を推進す

る国際的NGOです。三菱商事欧阿基金は世界中のアースウォッチプロジェ

クトに携わる科学者をアシストする社員ボランティアを支援しています。また、

アフリカの自然保護活動家に研究訓練の機会を提供する研究奨学金プロ

グラムを支援しています。

三菱商事欧阿基金については、

http://www.mitsubishicorp-uk.com/ukmcfea.htm

をご覧ください。

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46 CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

CSR Activities

米国三菱商事では、米国における厳しい法規制や環境・人権NGO

の影響を受け、早くからCSRに取り組んできました。1990年代半

ばには、環境保全を訴える市民運動があり、企業責任を意識して、

先を見越した行動をとる方針を打ち出しました。以来、さまざまな

NGOと積極的に対話を行い、CSRや環境問題に関する会議にも

積極的に参加しています。このような活動を通じて、米国三菱商事

と三菱商事は、北米、中南米の事業活動における、コーポレート・ガ

バナンス、コンプライアンス、環境・社会への配慮などを重視する

ようになりました。

 北米、中南米の事業投資先においてCSRの取り組みを行っています。ここで

は、カナダのパルプ製造企業であるアルパック社と、米国サウンド・エナジー・ソリ

ューションズ社の事例をご紹介します。

 アルパック社は優れた社会・環境貢献の長い伝統を持っていますが、ステー

クホルダーを巻き込んだ森林管理もその一つです。同社では、先住民、余暇に

森林を利用する人々、環境保護団体、他の業界や政府を含む多様なステークホ

ルダーの代表からなる森林管理タスクフォースをつくり、その意見を持続可能な

森林管理計画づくりに役立てています。

 地域社会との関わりの面では、地元先住民に雇用機会を提供するパートナー

シップ制度のような、地域社会に長期的な利益をもたらす活動に、取り組んでい

ます。また、アルパック社が社会・環境に責任のある行動をとっていることを実証

するため、森林管理協議会(FSC)認証を申請しています。

 米国サウンド・エナジー・ソリューションズ社は、三菱商事とConoco Phillips

社との共同出資会社です。同社では、カルフォルニア州ロングビーチ港での

LNG受入基地の建設認可取得にあたって、地元の意見を十分に配慮し、安全

と環境に細心の注意を払っています。カリフォルニア州ではすでにエネルギー利

用の効率化、再生可能エネルギーの増加が進んでいます。これにLNGが加わり、

クリーンな発電用燃料や自動車用LNG燃料の供給によるエネルギーコストの削

減と大気環境改善に貢献します。

 米国三菱商事は、環境や社会との関係を、どのような状況にあっても改善し

ていくことができると考えます。ステークホルダーは、その中で重要な役割を果た

していると認識しています。同社では現在、事業活動の環境影響を低減すること

を目的としたグリーンオフィス方針を策定中です。これをまず、北米にあるすべて

の米国三菱商事のオフィスに適用する予定です。さらに重要な取り組みとして、

より持続的なサプライチェーンマネジメントのあり方を模索すること、温暖化ガス

排出に象徴される環境影響を定量化し低減すること、に最大の努力を払ってい

ます。

事業を通じたCSRの取り組み CSR活動

[アメリカにおけるCSR活動]

Reddish Egret by U.S. Fish and Wildlife Service

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47CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

The AMERICASin

 米国三菱商事は、本業における企業責任を果たすだけでなく、事業展開して

いる地域の社会にも積極的に貢献しています。一つには、さまざまな博物館や

美術館、カーネギーホールのような国際的施設を通して芸術や文化の支援を重

点的に行っています。2004年夏にニューヨークのリンカーンセンターで開催され

た歌舞伎公演へ寄付をするなど、日米の文化交流を支援し、日本とアメリカの関

係強化に貢献しています。2005年夏にはリンカーンセンターで開催予定の能公

演への支援も行います。

 こうした寄付だけではなく、従業員が行うボランティア活動への支援も重要だ

と考えています。たとえば、「アースウォッチ」が毎年開催する環境研究プロジェ

クトにボランティアとして参加する社員を支援しています。そのような研究を通じ

て社員が世界の多様な生態系の学習を深めるだけではなく、日常業務に役立

つような環境意識の創出にも寄与しています。また、三菱商事が取り組もうとし

ている北東ハワイ諸島における海洋生物(サンゴ礁)研究プロジェクトへの支援

も行っています。

地域社会への支援

 1992年、米国三菱商事は、三菱商事とともに、米国三菱商事財団をニューヨ

ークに設立しました。現在の基本財産は500万ドル近くに及びますが、これまで

南北アメリカにおいて250万ドルを環境や市民社会を支援する組織に提供して

きました。

 2004年、米国三菱商事財団は、自然保護団体のプロナトゥーラ・メキシコと米

国鳥類保護協会が渡り鳥の危機に瀕した生息地であるメキシコのシナロア州

にある海岸を購入するための支援を行いました。この支援の結果、北アメリカの

湿地帯保護法から24万ドルの支援が確保されました。このプロジェクトは、企業・

NGO・政府が協働して効果的に環境を保護する重要な事例となりました。

 湿地帯や鳥類の保護は、2004年に米国三菱商事財団が寄付を行った、ニュ

ーヨーク植物園における「Mitsubishi Wild Wetlands Walk」、ブロンクス動物

園におけるWildlife Conservation Societyの「Mitsubishi Riverwalk」整備プ

ロジェクトにおいても、重要なテーマでした。

 米国三菱商事財団の活動は寄付活動だけにとどまらず、1996年には、環境

NGOと環境問題について協力しあうための機会を学ぶ、「エンバイロメンタル・

ブレックファースト」を開始しました。年3回開催されるこの集まりでは、気候変動

や水資源へのアクセスなどの差し迫った問題についても学んでおり、新しく重要

な協力関係が形成されてきました。

 米国三菱商事財団が支援するプロジェクトは、三菱商事環境憲章と企業の

社会的責任へのコミットメントの延長線上にあります。米国三菱商事財団に加え、

米国三菱商事が行う活動は、三菱商事の行動規範が求める高い水準を満たす

と同時に、北米、南米において責任ある企業市民でありたいという意思を反映し

ています。

米国三菱商事財団 米国三菱商事財団は、エンバイロメンタル・

ブレックファーストを通じて、環境教育を促進

しています。

米国三菱商事財団については、

http://www.micusa.com/corporatecitizenship_micfoundation.shtml

をご覧ください。

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48 CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

財務パフォーマンスと収益構造

持続可能な社会の実現に向けて企業が貢献するためには、ステークホルダーにとっての

企業価値を高めることが必要です。そのためには、財務的基盤の確立が欠かせません。

三菱商事全体および各営業グループが、収益をどのように上げているか、また、昨年7月に発表された

新しい中期経営計画であるINNOVATION2007の定量目標について、報告します。

財務ハイライト

※2 ROE

Return on Equityの略で資本

利益率のこと。利益(Retu rn)

と資本(Equ i t y)の比率を示す

指標で、株主から預かった資本

を使って、その年にどれくらいの

利益を生み出したかを示すもの。

※1 基礎収益

営業利益(貸倒引当金繰入額

控除前)+利息収支+受取配当

金+持分法による投資損益

売上総利益 当期純利益と1株当たり当期純利益 総資産と資本合計

当期業績 会計年度末 一株当たり (円および米ドル)

経営指標

¥15,177,010

769,381

150,119

75,266

116,020

211,898

8,392,833

1,224,885

¥74.11

12.00

1.4

10.7

¥17,132,704

877,763

209,799

116,048

182,369

330,528

9,149,938

1,504,454

¥116.49

18.0

2.1

13.4

$160,119

8,203

1,961

1,085

1,704

3,089

85,513

14,060

$1.09

0.17

2004年

単位:百万円 単位:百万米ドル

2005年 2005年

売上高

売上総利益

税引前利益

税引後利益

当期純利益

基礎収益※1

総資産

資本合計

当期純利益

配当金

ROA(%)

ROE※2(%)

01 02 03 04

613.5 643.9 718.6

05 01 02 03 04 05

(単位:十億円) (単位:十億円) (単位:十億円)

1株当たり当期純利益(円) 資本合計 ネット有利子負債倍率(倍)

注記:米ドル金額は、1米ドル=107円で換算しています。

三菱商事株式会社および連結子会社 3月31日に終了した事業年度

769.4

05

877.8 182.4

116.5

01 02 03 04

92.6 60.7 62.0 116.0

59.1

38.7 39.6

74.1

9,149.9

2.3

2.9

3.83.73.9

8,069.4 8,148.9 8,099.5 8,392.8

1,224.9971.6 1,032.5 938.6 1,504.5

Page 51: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

49CSR Performance

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

三菱商事の営業グループ別ビジネス状況

INNOVATION2007

 三菱商事は昨年7月に、2004年度から2007年度の4

年間を対象とした新たな中期経営計画「INNOVATION

2007」を策定しました。2004年度の純利益は、事業領

域の選択と集中により、経営資源の重点配分を進めてき

た成果に加えて、昨今の資源相場の活況もあり、1,824

億円となりましたが、2005年度もそれを更新する2,800億

円の連結純利益を見込んでいます。

 このような資源相場の影響を除いたベースでも、連結

純利益2,000億円を安定的に実現できるよう成長戦略を

実行していきます。また、「ホップ」期間が終了する2005

年度末には、資源価格など各種経済環境の中長期的展

望も踏まえて、計画期間の数値目標を見直す予定にして

います。

 2004年度は、原油・金属資源といった資源価格の高

騰を背景に、「エネルギー事業」「金属」で大幅な増益と

なりました。

 また、資源価格の影響を直接に受けていない「新機能

事業」「機械」「化学品」「生活産業」の各グループでも

増益となり、すべての営業グループで前年度比10%以上

の増益を達成しました。

営業グループ別連結純利益の推移

INNOVATION2007の定量目標

連結純利益目標

1st Stage

ホップ 2nd Stage

ステップ ジャンプ

2,000億円企業へ

営業グループ別連結純利益の推移

0▲500 500 1000 1500 2000 2500

消去または全社 生活産業 化学品 機械 金属 エネルギー事業 新機能事業

(億円)

1,154億円

2004年 3月期実績

2006年 3月期

2007年 3月期

2005年 3月期

1,300億円

2008年 3月期

1,800億円

▲430

▲423 449 181 554 482 458 123 2004年度

387 141 422 310 306 2003年度

24

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50 Special Feature

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

三菱商事では、環境、社会、それぞれの第一線でご活躍中の方々をお招きし、3月11日、「第

2回マルチステークホルダー・ダイアログ」を開催しました。これは昨年、多様なステークホ

ルダーの方々からご意見をいただいた第1回に続くダイアログです。第2回では、「サステナ

ビリティ・リポート2004」を題材として、サステナビリティの観点から、三菱商事の事業、社会・

環境活動はどうあるべきかについて、忌憚のないご意見・ご提言をいただきました。

――具体的に地球温暖化といった部分で、こう

いうことに取り組んでほしいということがあります

でしょうか。

岡崎 2004年のリポートの中で疑問に思うことが

あります。それは、三菱商事が日本のエネルギーの

構成、将来ビジョンをどう考え、そのビジョンに向か

ってどう関わっていくのか、その方向が見えてこな

いのです。三菱商事に日本のエネルギービジョン

を描けと求めるわけではありませんが、エネルギー

需給に深く関わっている立場を考えれば、将来、こ

ういうことが考えられるんじゃないかといったビジョン、

あるいはシナリオがあってもいいと思っています。

――CSR、その中でも人権配慮への取り組みと

いう点ではいかがでしょうか。

寺中 社会性報告の最初に、人権に関する基本

的な考え方をきちんと書いていらっしゃる。これはす

ごい、と期待して各論を読んだのですが、実際に人

権問題で何をやっているか、あまり記述がありませ

んでした。たとえば、海外の投資先の人権状況を

どういうふうに考慮しているか、人権問題がある国

に投資する場合、現地国でのコンプライアンスを

守るのは当然として、さらに踏み込んで、そこで何を

やるのか、人権状況に対してどういう改善を見いだ

すか、CSRの観点から何を実現しようとしているの

かを明確にしていただきたいですね。

秋山 三菱商事では、投融資案件を決める場合、

CSRが重要な視点になっていて、たとえ利益が上

がると思っても、CSR的観点で良くないと判断され

る場合は投融資しない、とお聞きしたことがあります。

私は、それは素晴らしいことだと思います。

デイビス 相手国に問題があるからやめというの

ではなくて、プロジェクトの相手と手を組んで底上

げを図ることも大事だと思うんです。切るよりは育

てる、一緒に責任を持ち寄ることも必要だと思いま

すね。

寺中 たとえば、アフリカの諸国で資源を開発しよ

うとすると必ず軍事政権と衝突する、ということが

あります。そういうリスクをあえてとるなら、それだけ

Japanマルチステークホルダー・ ダイアログ

March 11, 2005, 15:00 [東京]

三菱商事なりのエネルギービジョンが

必要だと思います

人権リスクをあえてとる場合、

説明責任を果たすことが重要です

Page 53: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

51Special Feature

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

CSRに一番重要なのは、 働く人々のインテグリティです

の戦略をもち、こう対応しています、という説明責

任も引き受けた上でやらなければならないと思います。

石曽根 ノーリスクで利益のとれるビジネスなどほ

とんどない。リスクとのかねあいを企業側がどのよ

うに把握して、説明責任を果たすか、ということが

重要です。

――CSR教育、意識啓発という面ではどう感じま

したでしょうか。

難波 新入社員の教育とか、海外に赴任する人

たちへのCSR教育をきちんとおやりになっている。

それが、グループ全体にまで及んでいる。これだけ

広い範囲の関係者を全部総合して、サステナブル

なことをやろうというのは、壮大な実験だと思います。

デイビス 企業が行うサステナビリティ、CSRの最

大の課題は教育なんです。人権を当然意識できる

マネージャーを育てて、そういう人を海外に送り出す、

そうすれば、問題を作らないようにベストを尽くすと

思います。三菱商事さんとしては、どのような教育

をしているのか、マネジメントプロセスの質を高める

ための研修体制を知りたいですね。

秋山 社員教育の一環として社会貢献活動があ

ると思います。社会貢献活動に社員が参加するこ

とで、社員の意識が変わってくるという部分が大き

いと思います。

難波 ボランティアといった社会貢献活動に積極

的に出ていくことが、実は会社のためなのだ、とい

う意識を会社側のほうで持てればいい。そうすれば、

世の中が少し変わると思います。

秋山 私はCSRには3つの側面があると考えてい

ます。経営トップのインテグリティ(誠実さ、あるい

は高潔な精神)、組織のインテグリティ、働く人のイ

ンテグリティです。中でも重要なのは、働く人々の

インテグリティです。会社の方針がしっかりしてい

ても、それを実践していくためには、やはり一人ひと

りがそういう意識をもつことが必要です。そういう意

味で社員教育や社会に貢献する気持ちを大切に

していただきたいと思います。

――これからの三菱商事に求められるものは何

だとお考えでしょうか。

石曽根 私の意見ですが、商社は“ご用聞き”な

んですね。リーダーシップをとって世の中を変えて

いく発言力があるにもかかわらず、していないと感じ

ます。たとえば原料炭やLNG。もちろん取引先企

業のためにやっているわけですが、自分たちでユー

ザーに働きかけていけば、たとえばエネルギー問題

などで、日本を変えていくような力があると思うんです。

ぜひそうしたアクティビティをしてほしいと思ってい

ます。

株式会社インテグレックス 代表取締役

秋山 をね氏 株式会社大和総研 企業調査第三部 シニアアナリスト

石曽根 毅氏 読売新聞東京本社 編集局文化部

岡崎 裕哉氏

麗澤大学国際経済学部経営学科 教授

スコット・デイビス氏 アムネスティ・インターナショナル日本 事務局長

寺中 誠氏 アースウォッチ・ジャパン 理事長

難波 菊次郎氏

ご参加いただいた皆さま

マルチステークホルダー・ダイアログを受けて

 CSRは、「社会と企業の相乗的発展」を目指す取り組みであり、企業を取り巻くさまざま

なステークホルダーと行う双方向の対話により、企業が鍛えられるという側面があると思っ

ています。三菱商事は社会に与える影響力を十分に自覚し、本業の面でよりいっそうCSR

への配慮を行う考えでおります。今回のダイアログを通して、今後ともステークホルダーと

の対話を重視するとともに、適切な情報開示を行い、透明性の高い企業活動をさらに進め

て行く必要性を感じました。 亀崎 英敏 副社長執行役員

日本を変えていくような

アクティビティをしてほしい

社員教育、CSR教育の具体的な内容を

開示することも大切です

Page 54: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

Europeマルチステークホルダー・ ダイアログ

May 4, 2005, 12:30 [ロンドン]

52 Special Feature

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

2005年5月4日、「マルチステークホルダー・ダイアログ」をロンドンで開催しました。

ステークホルダーの代表として学界、環境NGO、社会的責任投資等、各分野の代表者に

ご参加いただき、英国三菱商事のスタッフとともにサステナビリティ・リポート2004の

強みと弱み、それが今後どのように改善されるのかなどについて議論を交わし、

率直にお互いの意見を共有することができました。

――最初に、2004年版サステナビリティ・リポー

トの感想からお聞かせください。

Arif Zaman まず、このリポートがステークホルダ

ー・ダイアログに基づいて制作されていることに印

象を受けました。ダイアログをもとにしてリポートを

作成しないと、視野の狭いものになってしまいます

からね。

Bill Sneyd リポートには、具体的な定量的データ

の掲載が比較的少なかったので、報告内容が三

菱商事全体の事業に関するものかどうか、十分に

理解できなかった。

 MICF(米国三菱商事財団)やMCFEA(三菱

商事欧阿基金)などの事例紹介があったが、三菱

商事の利益の何%がこの種の活動に割り当てら

れているのか。こうした数値を、数値改善に向けた

意志とともに示す必要がある。数値は、具体的な

データを提供するだけでなく、三菱商事がどういう

方向に向かっているのかを示すものでもあります。

David Harris 非常に良くできたリポートであり、

方針へのコミットメントも評価できる。異なる6つの

営業グループ、80ヵ国を超える国々や500社を超え

る連結事業会社に関するリポートは、非常に大き

な挑戦であったと思う。6つのコアビジネスについて、

より詳細なデータがあれば良かったのではないかと

思うが。

Mark Rose 三菱商事のビジネスの多様性に驚

いたと同時に、たとえば有機農業と農薬事業のよ

うに、多様性の中で相反するビジネスの周りに現

れるリスクを、どの様に管理しているのかという疑

問を抱いた。一方、三菱商事が事業に関与してい

るサハリンやタングーのような場所における、生物

多様性への影響に関する記載がなかった。

Jim Walker このレポートは、CSR目標を示し、そ

の目標を達成していたかどうかを記載することで改

善されると思う。

 三菱商事は世界中のほとんどすべての分野で

活動する複雑な企業グループであり、"MC"という

名前によって結びつけられている。従って、BPや

Shell程ではないにしても、世界各地にある事業活

動の現場で起こっていることについては、ある程度

の管理能力を持っているのではないか。そのため、

グループ会社すべての風評を背負う傾向があるが、

それらグループ企業の事業を常に管理できるとは

限らないのが現状ではないか。

――これからの三菱商事に求められるものは何

だとお考えでしょうか。

Arif Zaman 三菱商事には、CSRに関する議論

を進める役割を担ってほしい。たとえば、日本の研

究者などに欧州でのCSRの取り組みを紹介したり、

アジアでのCSRの在り方についての議論を活性

化したりというようなものが考えられる。

Mark Rose CSR教育のもっとも有益な手法は、

ローカルなステークホルダーの見解や意見が何で

あるかを見出すために行うステークホルダーとの協

議であると考えられる。

 しばしば、こうした手法は新たなビジネス関係を

創出する価値あるプロセスにもなる。

David Harris BPは温室効果ガス排出量の削

減目標を設定し、異なる子会社間で排出量取引を

行わせている。こうした取り組みの結果、BPはイノ

ベーションによる巨額のコスト削減を可能にしたこ

とに加え、明らかにCSR面での利点を得た。三菱

商事も何か同様の取り組みを行えるのではないか

と思います。

リポートの印象について

三菱商事は、「複雑さ」という課題に向けて 努力しなければならない

CSR意識を高めることが必要です

Page 55: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

53Special Feature

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

野間 治 欧州ブロック コーポレートスタッフ部門担当

――三菱商事が取り組むべき課題について、お

考えをお聞かせください。

David Harris 6つの営業グループは、それぞれ

特定の団体と組んで社会問題などに取り組むと良

いのではないでしょうか。

Bill Sneyd 一旦、重点的に取り組む課題が選

択されたら、そうした課題について確実に関与して

いると見られるため、数年間はじっくりと取り組むべ

きである。

Jim Walker 三菱商事の気候変動に対する姿

勢を知りたい。三菱商事は商社業界の指導者を

志向しているのか。たとえば、リポートには排出権

取引、水素エネルギー、GTLへの取り組みなど、非

常に良い事例が紹介されているが、三菱商事全

体の事業活動の観点から気候変動に対してどの

程度のインパクトがあるのか。また、他商社が行っ

ている活動に対してどのように評価を行うのかを知

りたい。

Arif Zaman リポートでは三菱商事の社会貢献

活動の成果にスポットを当てることができるのでは

ないだろうか。三菱商事は、市場リスクの影響を大

きく受け、貧困の観点から見ると大変に課題が多

い国で活動しているので、こういう国において幾つ

かの事例を取り上げたらどうでしょうか。

Research Fellow, John Madejski Centre for Reputation and Centre for Board Effectiveness, Henley Management College Adviser, Commonwealth Business Council(学界)

Arif Zaman氏

Senior Executive, FTSE4Good (社会的責任投資)

David Harris氏

Chief Operating Officer, Climate Group (環境NGO)

Jim Walker氏

Operations Director, Future Forests (環境NGO)

Bill Sneyd氏

Executive Director, Fauna & Flora International(環境NGO)

Mark Rose氏

Environmental Adviser (環境コンサルタント=司会)

Don Potts氏

ご参加いただいた皆さま

マルチステーク・ホルダー ダイアログを受けて

 今回はロンドンで開催した初のステークホルダー・

ダイアログでした。NGO、学界、社会的責任投資分

野のさまざまな経験を持った参加者に出席頂き非常

に嬉しい限りです。今回のようなダイアログなどを通

じて、三菱商事のCSR活動を見直し、改善すること

は勿論、三菱商事が直面するさまざまなCSRの課題

の継続的改善にいっそう焦点を当てることができる

と考えています。

三菱商事が焦点を当てるべき

CSR問題とは何か

Page 56: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

54 Special Feature

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

2005年5月3日、三菱商事は「マルチステークホルダー・ダイアログ」を

ニューヨークで開催しました。出席した社会的責任投資、環境NGO、

人権NGOの代表者からは、サステナビリティ・リポート2004に対する印象と、

三菱商事の社会・環境活動に対するご意見に加え、三菱商事が社会や環境に与える

インパクトを改善するためにはどうすべきかについてアドバイスを頂きました。

――最初に、2004年版サステナビリティ・リポ

ートの感想からお聞かせください。

Tensie Whelan サステナビリティ・リポートの

発行と、事業投資先に対する環境影響評価に

とどまらず、エネルギー使用量や廃棄物削減な

どの極めて重要な環境パフォーマンス指標を改

善させたことを賞賛します。将来的には、三菱商

事は自らの活動とサプライチェーン全体におい

て明確な目標を設定し報告することを望みます。

環境パフォーマンスについては第三者による認

証を進めることを望みます。

Celine M. Suarez 素晴らしいサステナビリ

ティ・リポートだ。とくに、事業のフロー、内部報

告のプロセス、コンプライアンス体制などの表現

は賞賛に値する。環境報告の分野では良いデ

ータが目立つが、三菱商事が抱える課題と教訓

をもっと報告してほしいですね。

Michael Posner 人権に対する責任の範囲

をどのように考えているのかをもっと知りたかった。

とくに開発途上国において、三菱商事やサプラ

イヤーの生産工場と農場における従業員の権

利に注意が払われているかを確認するため、何

をしているのかを報告すべきだと思います。

Sandi D. Franklin このようなサステナビリテ

ィ・リポートを制作したこと、また広範なステーク

ホルダーとのダイアログは興味深い。リポートの

副題である「未来をまもる、未来をつくる」は、三

菱商事の持続可能性(サステナビリティ)に関

するビジョンであり、このビジョンや使命につい

リポートの印象について

The Americasマルチステークホルダー・ ダイアログ

May 3, 2005, 12:00 [ニューヨーク]

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55Special Feature

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

サステナビリティへの配慮は ビジネスパフォーマンスを 改善するための機会

マルチステークホルダー・ダイアログを受けて

 ステークホルダーとのオープンで建設的なダイアログを継続していきます。ダイアログの

参加者の皆さまの意見に心から感謝します。こうしたダイアログや従来からのNGO・学界・

SRI分野との関係を通じ、われわれがビジネスを行う分野に関連するステークホルダーに対

し、積極的に貢献できると思います。企業の未来はまさしく環境、社会、およびステークホ

ルダーに与える敬意に左右されます。私たちは、より持続可能な明日に向かう動きを喜んで

歓迎します。 EVP & General Counsel Mitsubishi International

Corporation

James E. Brumm

ご参加いただいた皆さま

Executive Director, Brooklyn Center for the Urban Environment (環境教育関連団体)

Sandi D. Franklin氏

Executive Director, Rainforest Alliance (環境NGO)

Tensie Whelan氏

Program Officer, Rockefeller Brother's Fund(慈善財団)

Michael Northrop氏

Executive Director, Human Rights First (人権NGO)

Michael Posner氏

Analyst, Citigroup Asset Management (金融機関)

Celine M. Suarez氏

CSR Consultant, Cameron Cole (CSRコンサルタント=司会)

Riva Krut 氏

て「未来」である子どもたちと語ってほしい。そう

することで、このリポートはもっと結果を重視し、

子どもたちにとっても、より関係の深いものにな

ると思います。

Michael Northrop このリポートでは、サステ

ナビリティに向けて着実に進んでいる会社の姿

が見えます。将来は、気候変動の領域において

も、さらに深い関与を望みます。

――三菱商事が取り組むべき課題について、

お考えをお聞かせください。

Michael Posner 三菱商事の事業領域を考

えると、とくに発展途上国におけるサプライチェ

ーンに対する責任を果たさなければならない。こ

れを実現するには、サプライチェーンのさまざま

なところで、やれることから着実に人権や環境を

守る体制を作っていくことだと思います。

Tensie Whelan サプライチェーンに関する、

より具体的な目標を設定するために、本業の調

査を行う必要があるかもしれない。そうすること

により、三菱商事は自社の事業の複雑さをより

深く理解し、改善につながるヒントも発見できる

と思います。

 いったん調査が行われたら、三菱商事は幾つ

かの重要な指標と、自社の活動による生態学

的影響を減らし持続可能性を改善するための目

標を持つべきだと思います。

Celine M. Suarez 三菱商事は、環境的、社

会的な影響の改善に向けての課題をステーク

ホルダーとシェアすることを恐れてはなりません。

三菱商事がこれらの課題に直面したときに、ど

んな教訓を得てきたのか、どんな対応をしてきた

のか、これからどんな対応をするのか、について

報告すべきだと思います。

Michael Northrop 一般的に三菱商事のよ

うに、企業社会において指導的な立場にある会

社は、特定の目標を設定している。たとえば、三

菱商事はエネルギーコストを削減することにより

金銭的な支出を抑制したり、また、人権を尊重

することにより社員の意識を高めるなど、こうし

た目標と持続可能な施策をビジネスチャンスに

変えて行くことができる。

Sandi D. Franklin ステークホルダーの定義

には、われわれの子どもたちを含めるだけでなく、

さまざまなステークホルダーとより広範囲に関わ

るべきである。三菱商事にとって、途上国の政

府や他の総合商社とも共同で持続可能性の問

題を考えていくことは有益かもしれません。こうし

たステークホルダーとの関わりは、新しい市場や

三菱商事の未来を切り開く新しい考え方を発展

させると思います。

三菱商事が焦点を当てるべき

CSR問題とは何か

Page 58: Editorial Policy - Mitsubishi Corporation...Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005 編集方針 Editorial Policy 本報告書は、三菱商事のグローバルな事業活動について、サステナ

56

Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

1 ビジョンと戦略

1.1

1.2

2 報告組織の概要

組織概要

2.1

2.2

2.3

2.4

2.5

2.6

2.7

2.8

2.9

報告書の範囲

2.10

2.11

2.12

2.13

報告書の概要

2.18

2.20

2.22

3 統治構造とマネジメントシステム

構造と統治

3.1

3.2

3.4

3.6

3.7

3.8

ステークホルダーの参画

3.9

3.10

3.11

3.12

統括的方針およびマネジメントシステム

3.13

3.14

3.15

3.16

3.17

3.19

3.20

4 GRIガイドライン対照表

4.1

2-3、4

2-3

0

15

15

15

17

0

17

0、48

16-17

0

0

0

0

35(環境コスト)

56-57

0

22-23

22-23

22

22-23

18-21

22

16-17

0、16-17、50-55

0、50-55

0、51、53、55

25

20-21

41

25、27

27

24-27

26、34

56-57

持続可能な発展への寄与に関する組織のビジョンと戦略に関する声明

報告書の主要要素を表す最高経営責任者(または同等の上級管理職)の声明

報告組織の名称

主な製品やサービス 適切な場合には、ブランド名も含む

報告組織の事業構造

主要部門、製造部門子会社、系列企業および合弁企業の記述

事業所の所在国名

企業形態(法的形態)

対象市場の特質

組織規模

ステークホルダーのリスト、その特質、および報告組織との関係

報告書に関する問い合わせ先、電子メールやホームページのアドレスなど

記載情報の報告期間(年度/暦年など)

前回の報告書の発行日(該当する場合)

「報告組織の範囲」(国/地域、製品/サービス、部門/施設/合弁事業/子会社)

経済・環境・社会的コストと効果の算出に使用された規準/定義

持続可能性報告書に必要な、正確性、網羅性、信頼性を増進し保証するための方針と組織の取り組み

報告書利用者が、個別施設の情報も含め、組織の活動の経済・環境・社会的側面に関する追加情報報告書を入手できる方法

組織の統治構造。取締役会の下にある、戦略設定と組織の監督に責任を持つ主要委員会を含む

取締役会構成員のうち、独立している取締役、執行権を持たない取締役の割合(百分率)

組織の経済・環境・社会的なリスクや機会を特定し管理するための、取締役会レベルにおける監督プロセス

経済・環境・社会と他の関連事項に関する各方針の、監督、実施、監査に責任を持つ組織構造と主務者

組織の使命と価値の声明、組織内で開発された行動規範または原則、経済・環境・社会各パフォーマンスにかかわる方針とその実行についての方針

取締役会への株主による勧告ないし指導のメカニズム

主要ステークホルダーの定義および選出の根拠

ステークホルダーとの協議の手法。協議の種類別ごとに、またステークホルダーのグループごとに協議頻度に換算して報告

ステークホルダーとの協議から生じた情報の種類

ステークホルダーの参画からもたらされる情報の活用状況

組織が予防的アプローチまたは予防原則を採用しているのか、また、採用している場合はその方法の説明

組織が任意に参加、または支持している、外部で作成された経済・環境・社会的憲章、原則類や、各種の提唱(イニシアチブ)

産業および業界団体、あるいは国内/国際的な提言団体の会員になっているもののうちの主なもの

上流および下流部門での影響を管理するための方針とシステム

自己の活動の結果、間接的に生じる経済・環境・社会的影響を管理するための報告組織としての取り組み

経済・環境・社会的パフォーマンスに関わるプログラムと手順:具体的項目

経済・環境・社会的マネジメントシステムに関わる認証状況

GRI報告書内容の各要素の所在をセクションおよび指標ごとに示した表

指 標 本報告書での掲載ページ 項 目

G R Iガイドライン2 0 0 2年版と本報告書の対照表

本報告書の制作にあたっては、GRIガイドライン2002年版を参照しました。

下表は、ガイドラインの各指標と本報告書の掲載ページを照合したものです。

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Mitsubishi Corporation Sustainability Report 2005

5 パフォーマンス指標

経済的パフォーマンス指標

EC1

EC6

環境パフォーマンス指標

EN3

EN8

EN11

EN14

EN17

EN27

EN35

社会的パフォーマンス指標

労働慣行と公正な労働条件

LA1

LA5

LA10

LA12

LA16

人権

HR1

HR2

HR3

HR4

HR5

HR6

HR7

HR8

HR9

HR10

HR12

社会

SO1

SO2

SO3

SO4

SO7

製品責任

PR1

PR2

PR3

PR6

48

48

35

35

35

28

13

8

35

33

36

36

37

37

20-21

25

25、33

20、23、32

20、32

20、32

20、32

36

23

23

32

25、27、33

23

16

34

23

33

33

17

30、34

総売上、市場の地域別内訳

利子・配当金

直接的エネルギー使用量

温室効果ガス排出量

種類別と処理方法別の廃棄物総量

主要製品およびサービスの主な環境影響

再生可能なエネルギー源の使用、およびエネルギー効率の向上に関する取り組み

生態系が劣化した地域における、原生の生態系とそこに生息する種の保護と回復のための方針、プログラムおよび目標

種類別の環境に対する総支出

労働力の内訳

安全衛生(疾病率、業務上死亡者数)

機会均等に関する方針やプログラムと、その施行状況を保障する監視システムおよびその結果の記述

従業員に対する法定以上の福利厚生

雇用適正を持ち続けるための従業員支援および職務終了への対処プログラムの記述

業務上の人権問題の全側面に関する方針、ガイドライン、組織構成、手順に関する記述

投資および調達に関する意思決定(供給業者・請負業者の選定を含む)の中に人権に与える影響への配慮が含まれているか否かの立証

サプライ・チェーンや請負業者における人権パフォーマンスの評価と取り組みに関する方針と手順の記述

業務上のあらゆる差別の撤廃に関するグローバルな方針、手順、プログラムの記述

組合結成の自由に関する方針と、この方針が地域法から独立して国際的に適用される範囲の記述。またこれらの問題に取り組むための手順・プログラムの記述

ILO条約第138号で規定されている児童労働の撤廃に関する方針と、この方針が明白に述べられ適用されている範囲の記述。またこの問題に取り組むための手順・プログラムの記述

強制・義務労働撤廃に関する方針と、この方針が明白に述べられ適用されている範囲の記述。またこの問題に取り組むための手順・プログラムの記述

業務上の人権問題の全側面に関する方針と手順についての従業員研修

不服申し立てについての業務慣行(人権問題を含むが、それに限定されない)の記述

報復防止措置と、実効的な秘密保持・苦情処理システムの記述(人権への影響を含むが、それに限定されない)

先住民のニーズに取り組む方針、ガイドライン、手順についての記述

組織の活動により影響を受ける地域社会への影響管理方針、またそれらの問題に取り組むための手順と計画の記述

贈収賄と汚職に関する方針、手順/マネジメントシステムと、組織と従業員の遵守システムの記述

政治的なロビー活動や献金に関する方針、手順/マネジメントシステムと遵守システムの記述

社会的、倫理、環境パフォーマンスに関する表彰

不正競争行為を防ぐための組織の方針、手順/マネジメントシステム、遵守システムの記述

製品・サービスの使用における顧客の安全衛生の保護に関する方針、この方針が明白に述べられ適用されている範囲、またこの問題を扱うための手順/プログラムの記述

商品情報と品質表示に関する組織の方針、手順/マネジメントシステム、遵守システム記述

消費者のプライバシー保護に関する、方針、手順/マネジメントシステム、遵守システムの記述

報告組織が使用することを許されたかもしくは受け入れた、社会的、環境的責任に関する自主規範の遵守、製品ラベル、あるいは受賞

指 標 本報告書での掲載ページ 項 目

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このリポートは、FSC認証紙を使用しています。 発行 2005年8月

Cert no. SA-COC-1210