諸言 植物プランクトンの運動応用 -...

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題目:植物プランクトンによる微小歯車の回転駆動 分野:微生物駆動メカニズム 種別:平成27年度修士論文 概要:フォトリソグラフィーで作ったヒトデ形歯車を植物 プランクトンの一種Volvoxで回転させてみました 東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 初澤研究室 植物プランクトンの運動応用 植物プランクトン 1 無害 光合成のみで培養 微生物のランダムな遊泳を歯車の非対称性を用いる事で 一方向の回転運動として取り出す手法の提案 微生物の運動がランダム 微生物駆動の問題点 目的 先行研究 大腸菌,セラチア菌,枯草菌 http://www.kagaku-club.com/ http://www.keisoukun.com/blog2/kawaraban/3010/ 病原性を持つものも存在 培養にエネルギー供給が必要 ミドリムシ,クラミドモナス,ボルボックス 1. 諸言 フォトリソグラフィー 微小歯車の作製手順 2 歯車材料 犠牲層 Si基板 条件の違いが多い 基板からの剥離・歯車の回収 歯車形状の作製 露光,ポストベーク,現像,リンス 歯車材料の塗布 SU-8を膜厚50 μmでスピンコート 犠牲層の作製 PMMAトルエン溶液(1 % w/v)をスピンコート 2. 実験手法 犠牲層溶解後 犠牲層 Si基板 Si基板 アセトン中で犠牲層を溶解・カッターで回収 歯車の設計 3 ラチェット型歯車 ヒトデ型歯車 と同直径で25%軽量化 ■ 歯を長くし,歯への衝突頻度の増加 ■ 歯間距離を大きくし,ボルボックスを挟み込む形状に ■ 歯を非対称の円弧状にする事で歯元へ転がるように ■ 隅にトラップされた微生物がトルクに 2. 実験手法

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Page 1: 諸言 植物プランクトンの運動応用 - 東京工業大学題目:植物プランクトンによる微小歯車の回転駆動 分野:微生物駆動メカニズム 種別:平成27年度修士論文

題目:植物プランクトンによる微小歯車の回転駆動

分野:微生物駆動メカニズム

種別:平成27年度修士論文

概要:フォトリソグラフィーで作ったヒトデ形歯車を植物

プランクトンの一種Volvoxで回転させてみました

東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 初澤研究室

植物プランクトンの運動応用植物プランクトン

1

無害 光合成のみで培養

微生物のランダムな遊泳を歯車の非対称性を用いる事で一方向の回転運動として取り出す手法の提案

微生物の運動がランダム微生物駆動の問題点

目的

先行研究

大腸菌,セラチア菌,枯草菌

http://www.kagaku-club.com/http://www.keisoukun.com/blog2/kawaraban/3010/

病原性を持つものも存在 培養にエネルギー供給が必要

ミドリムシ,クラミドモナス,ボルボックス

1. 諸言

フォトリソグラフィー

微小歯車の作製手順2

歯車材料犠牲層Si基板

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

条件の違いが多い

Ⅳ 基板からの剥離・歯車の回収アセトン中で犠牲層を溶解・カッターで回収

Ⅲ 歯車形状の作製露光,ポストベーク,現像,リンス

Ⅱ 歯車材料の塗布SU-8を膜厚50 μmでスピンコート

Ⅰ 犠牲層の作製PMMAトルエン溶液(1 % w/v)をスピンコート

2. 実験手法

犠牲層溶解後

犠牲層 Si基板

Si基板

アセトン中で犠牲層を溶解・カッターで回収

歯車の設計3

Ⅰ ラチェット型歯車 Ⅱ ヒトデ型歯車

■Ⅰと同直径で25%軽量化■ 歯を長くし,歯への衝突頻度の増加■ 歯間距離を大きくし,ボルボックスを挟み込む形状に■ 歯を非対称の円弧状にする事で歯元へ転がるように■ 隅にトラップされた微生物がトルクに

2. 実験手法

Page 2: 諸言 植物プランクトンの運動応用 - 東京工業大学題目:植物プランクトンによる微小歯車の回転駆動 分野:微生物駆動メカニズム 種別:平成27年度修士論文

実験装置4

撮影用カメラ

光源

対物レンズ

シャーレ

装置概要

シャーレ(φ 35 ×10 mm)

歯車

ピンホール(φ 3 mm )

ボルボックス分散液2ml(約1000 ~ 3000 個体/ml)

ピンホール

2. 実験手法

駆動実験・ラチェット型歯車5

16倍速

断続的な回転駆動(0.68 rpm)とランダムな並進駆動を確認

ラチェット型歯車(SEM画像)

3. 駆動実験

200 μm

駆動実験・ヒトデ型歯車6

16倍速

ヒトデ型歯車(SEM画像)

ラチェット型歯車 ヒトデ型歯車

0.68 rpm 1.97 rpm

付着による連続的な回転駆動 ランダムな並進運動がなく,回転速度も速い

3. 駆動実験

150 μm

初期状態ピンホールを用いて

ボルボックスを歯車周辺に集める

赤色のカラーフィルターにより付着していない

ボルボックスを誘導駆動の確認(1.97 rpm)

ボルボックスの剥離およびカラーフィルター用いた誘導と

回転駆動停止の確認(0.01 rpm)

0

720

1440

2160

2880

3600

4320

5040

0 120 240 360 480 600

Rota

tion

angl

e [d

eg]

Time [s]

回転駆動のON/OFF制御73. 駆動実験

1.97 rpm

0.01 rpm

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画像粒子追跡(PTV)8

光源対物レンズ

ボルボックス分散液2ml(約1000 ~ 3000 個体/ml)

シャーレ(φ 35 ×10 mm)

ステージ

歯車

フレームレート: 30 fps撮影時間: 10 s (300 frame)画像処理,解析:Fiji→Trackmate→Matlab歯車直径: 573 μmトレーサ粒子: Polybead(φ 6 μm)粒子の体積分率: 10-4 %

画像処理後

回転速度: 5.44 rpmTop view Top view

4. 流体解析

実験条件

粒子速度9

ボルボックス半径

歯車半径

▲ 3 s■ 6 s● 9 s

Distance from the Volvox center [μm]

Distance from the gear center [μm]

▲ 3 s■ 6 s● 9 s

Parti

cle

velo

city

[μm

/s]

Parti

cle

velo

city

[μm

/s]

4. 流体解析

歯車まわりの粒子の速度ベクトル10

Squirmer model自由遊泳するボルボックスの

周囲に生じる流れ

← 3 s← 6 s← 9 s

粒子の速度ベクトルの重ね合わせ

■全体では歯車と同様方向で流れが生じ,ボルボックス付着部分で流速の増加を確認

■歯車まわりのボルボックス付着部分でSquirmer modelの流れを確認

4. 流体解析

結論と今後の課題11

■ 植物プランクトンで駆動可能な歯車形状を提案した

▼ ラチェット歯車において,並進駆動を伴う断続的な回転駆動(0.68 rpm)

▼ ヒトデ歯車において,ボルボックスの付着による連続的な回転駆動(2.01 rpm)

■ 光刺激による駆動手法の検討を行った

▼ カラーフィルターと軽い衝撃による分離を利用した回転駆動のOFF制御

▼ ヒトデ歯車における回転駆動のON/OFF制御

■ 画像粒子追跡によりボルボックス駆動歯車周辺の流れを明らかにした

■ 回転方向の制御の手法の検討

■ 歯車への付着原因の解明

■ ボルボックス駆動歯車を用いたデバイスの検討(マイクロポンプ,マイクロミキサー)

結論

今後の展望

5.結言