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議会運営委員会 視察調査結果報告書 平成28年度 京都市、広島市 12月19日~21日

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Page 1: 議会運営委員会 視察調査結果報告書 - Sapporo...員会では、6日間の局別質疑の後に、市長・副市長 に対する総括質疑(市長総括質疑)を2日間行う。

議 会 運 営 委 員 会

視察調査結果報告書

平成28年度

京都市、広島市

12月19日~21日

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日 程

(平成28年)

12月19日~12月21日(3日間)

調査都市

広 島 市

京 都 市

委 員 長

副委員長

委 員

細 川 正 人

三 宅 由 美

よこやま峰 子

佐々木 みつこ

峯 廻 紀 昌

國 安 政 典

福 田 浩太郎

村 上 ひとし

随 行 書 記

深 井 貴 広

下 間 孝 洋

調 査 項 目

1 議員定数・議会構成等について

2 本会議及び予・決算審査の委員会運営について

3 京都市会大規模災害対応指針について

4 広島市議会における災害発生時の対応要領について

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京都京都京都京都市市市市会会会会の主な特徴の主な特徴の主な特徴の主な特徴

●通年議会を採用し、年4回の集中審議期間(5月市会、

9月市会、11月市会、2月市会)を設けている。

●本会議での質疑・質問は、以下のとおり会派代表制で

行われている。なお、非交渉会派は9月市会及び2月

市会のみ質疑・質問が許可される。

2月市会:当初予算、関連議案に対する質疑

その他の市会:市政に関する一般質問

●予・決算特別委員会の審査方法は以下のとおり

①議長を含む全議員を委員とする予・決算特別委員会

を設置する。

②予算については、補正予算及びその関連議案につい

ても対象としている。

③予・決算特別委員会とも、さらに第1・2・3分科

会を設置し、関係局ごとに審査(局別質疑)を行う。

④2月市会の予算特別委員会、9月市会の決算特別委

員会では、6日間の局別質疑の後に、市長・副市長

に対する総括質疑(市長総括質疑)を2日間行う。

●本会議及び予・決算特別委員会における質問・質疑は

いずれも持ち時間制で行われている。

【本会議の例】

<5月市会・11月市会(交渉会派のみ実施可能)>

基本時間4分+2.5分×議員数

●委員会の傍聴については、定員60人の市会モニター視

聴室でモニター視聴を実施している。モニターは3つ

設置してあり、各席に設けられたイヤホンを介して、

自由に視聴することができる。

●平成23年3月の東日本大震災、平成25年9月の台風18

号の被害を踏まえ、「京都市会大規模災害対応指針」を

策定。

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広島市議会広島市議会広島市議会広島市議会の主な特徴の主な特徴の主な特徴の主な特徴

●定例会の回数は年4回で、2・6・9・12月に実施

●本会議での質疑・質問は、以下のとおり行われている

①議案に対する質疑と一般質問は別々に行っているが、

2月定例会では、当初予算等の新年度関係議案に対

する質疑と一般質問を合わせた総括質問を実施。

②各定例会における発言者数は、会派の人数に応じて

1~4人とされ、会派代表制は採用していない。

3人未満の会派は、議長の許可を得て発言すること

が可能。

●予・決算特別委員会の審査方法は以下のとおり

①2月の定例会においては議長を除く全議員を委員と

する予算特別委員会、9月の定例会では議長及び

議会選出の監査委員を除く全議員を委員とする決算

特別委員会を設置する。

②予算については常任委員会の所管ごとに、決算につ

いては全委員が出席する全体会議と2つの常任委員

で構成する3つの分科会を設置し、常任委員会の所

管ごとに審査を行う。

③予算特別委員会は常任委員会関係質疑を計11日行っ

た後、総括質疑1日を行い、決算特別委員会は全体

会議として、監査審査意見の聴取、委員会の運営の

協議、総括質疑を2日間に渡り行った後、各分科会

ごとに2日ずつ質疑を行う。

●本会議及び予決算特別委員会のみ持ち時間制により

質問・質疑が行われている。

【本会議の例】

最初の質問は30分以内、再質問は10分以内で2回ま

で行うことが可能(答弁時間は含まない。)

●平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害を受けて、

広島市議会における災害発生時の対応要領を策定。

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札幌市議会運営委員会札幌市議会運営委員会札幌市議会運営委員会札幌市議会運営委員会 視察視察視察視察調査調査調査調査票票票票

( 京 都 市 )

1111 議員定数・議員定数・議員定数・議員定数・議会構成等について議会構成等について議会構成等について議会構成等について

⑴ 法定数(平成23年自治法

改正までのもの)及び条例

定数(これまでの推移を含

む)

・条例定数 67人

・現 員 数 67人

選 挙 年 法 定 数 条 例 定 数

昭和22年 64人 -

昭和26年 68人 57人

昭和30年 68人 57人

昭和34年 68人 68人

昭和38年 68人 68人

昭和42年 72人 72人

昭和46年 72人 72人

昭和50年 72人 72人

昭和54年 72人 72人

昭和58年 72人 72人

昭和62年 72人 72人

平成3年 72人 72人

平成7年 72人 72人

平成11年 72人 72人

平成15年 72人 69人

平成19年 72人 69人

平成23年 72人 69人

平成27年 - 67人

※ 法定数については,平成18年以降は法定上限である。

※ 条例定数については,平成15年以前は「京都市会議員

定数減少条例」及び「京都市会議員各選挙区選出議員数

条例」によるものである。

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⑵ 選挙区毎の人口と議員条

例定数及びその格差

(単位 人)

選挙区名

平成27年国勢

調 査 人 口

現行議員

定 数

議員一人当た

り の 人 口

人口比例

議員定数

北区 119,474 6 19,912 5

上京区 85,113 4 21,278 4

左京区 168,266 8 21,033 8

中京区 109,341 5 21,868 5

東山区 39,044 2 19,522 2

山科区 135,471 6 22,579 6

下京区 82,668 4 20,667 4

南区 99,927 5 19,985 5

右京区 204,262 9 22,696 9

西京区 150,962 6 25,160 7

伏見区 280,655 12 23,388 13

合 計 1,475,183 67 22,018 68

※ 平成27年国勢調査人口については確定値である。

※ 人口比例議員定数については,次の計算式により算定した。小数点以

下を四捨五入したため,合計が68となっている。

【計算式】総定数×選挙区の人口÷総人口

選挙区名 議員一人当たりの人口 格 差

最大区 西京区 25,160

1.29

最小区 東山区 19,522

⑶ 定数算定の基準、考え方 (現在の議員定数の考え方)

京都市会では,前任期の市会改革推進委員会において,議員

定数の検討を行った。

同委員会では,1票の格差(1.53倍)については是正する必

要があること,また,市民の多様な意見の反映のため1人区は避

けることについては合意したが,議員定数の増減の方向性につ

いては合意に至らなかった。

その後,各派代表者会議において協議が重ねられたうえ,2

減案及び3増案の条例改正案が提出されたが,2減案が賛成多数

で可決された。

これにより,議員定数は69名から67名となり,1票の格差は

1.29倍へと是正された。

別添資料「議員定数及び議員報酬についての報告書」

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⑷ 議員定数の見直しについ

予定なし

⑸ 会派構成

会 派 名 称 人 数

自由民主党京都市会議員団 20人

日本共産党京都市会議員団 18人

公明党京都市会議員団 11人

民進党京都市会議員団 7人

日本維新の会・無所属京都市会議員団 4人

地域政党京都党市会議員団 4人

⑹ 交渉団体となる会派の条

件設定

5人以上の会派

⑺ 議会運営委員の選出方法 交渉団体である各会派の所属議員数に按分して割り当てる。

※現在の委員構成

自民党 5人

共産党 5人

公明党 3人

民進党 2人

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2222 本会議及び予・決算審査の委員会運営について本会議及び予・決算審査の委員会運営について本会議及び予・決算審査の委員会運営について本会議及び予・決算審査の委員会運営について

(1) 本会議について

ア 質疑・質問の範囲・形態 会派の代表制により,2月市会では当初予算及び関連議案に

対する質疑,5月・9月・11月市会では市政一般に関する質問

を行う。

なお,質疑・質問者の順番は大会派順によるものとする。

イ 人数・時間制限の有無 各審議期間において,会派の持ち時間が設定され,その中で

質疑・質問の人数・時間が決められている。また,非交渉会派

は,9月市会及び2月市会の際のみ代表質問(質疑)を許可さ

れている。

<5月市会・11月市会>

交渉会派 基本時間4分+2.5分×議員数

<9月市会・2月市会>

交渉会派 基本時間19分+4分×議員数

非交渉会派 7.5分×議員数

ウ 説明員出席者の範囲及

び主な答弁者について

市長,副市長,公営企業管理者,教育長,各局長が出席し,

答弁を行う。

ただし,特別市会などの本会議については,審議案件に関連

する市会説明員に限定して出席を求めることができる。

エ 一問一答制採用の有無 一問一答制は採用しておらず,一括質問一括答弁または分割

方式の選択制によるものとする。

オ 質疑・質問が行われる本

会議日数

2月市会の代表質疑は,おおむね2日間(延べ約10時間)。

代表質問は,5月市会,11月市会は1日間(延べ約5時間),

9月市会(決算市会)は,おおむね2日間(延べ約10時間)。

カ 1日あたりの総質疑・質

問時間

上記参照。

キ 平成27年度の質疑質問

者数の実績

定例的に設ける

審議期間

5月 9月 11月 2月

代 表 質 問 10人 17人 10人 16人

ク 傍聴者への対応・市民へ

の情報提供

本会議の傍聴の際には,傍聴券を交付するが,傍聴券交付の

際の住所・氏名等の記名は求めていない。

傍聴者へは,傍聴者から見た議席図,議事日程,議事日程事

項に係る席上配付資料等を配布している。また,代表質問(質

疑)の際は,代表質問(質疑)項目一覧を配布している。

なお,平成20年5月市会からは本会議の全日程の生中継及び

録画放映を開始している。

また,平成27年9月市会から,PCのみでなく,スマートフ

ォンやタブレットでも閲覧できるように対応している。

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(2) 予・決算審査の委員会について

ア 設置形態 当初予算,補正予算及びその関連議案並びに決算について

は,議長を含む全議員を委員とする特別委員会(予算特別委員

会,決算特別委員会)を設置し,付託された議案を審査する。

なお,同特別委員会は,第1から第3までの分科会を設置し

関係局ごとに審査を行う(局別質疑)が,2月市会における予

算特別委員会及び9月市会における決算特別委員会では,局別

質疑の後に,市長・副市長に対する総括質疑(市長総括質疑)

をそれぞれ2日間行う。

イ 事前通告制の有無 各局等の審査の冒頭で,質疑を希望する委員に挙手を求め,

正副主査で協議し順序を決める。

ウ 質疑について 質疑は,各会派の持ち時間内で各会派の判断で行うが,委員

1回の質疑時間は,局別質疑はおおむね30分以内,市長総括質

疑ではおおむね20分以内(ただし,会派の最終質疑者は30分以

内)としている。

エ 説明員出席者の範囲及

び主な答弁者について

審査対象局の課長級以上の職員が出席し,主に部長級以上が

答弁を行う。

オ 質疑を行う審査日数 当初予算(2月市会)及び決算(9月市会)審査は局別質疑

を6日間行い,さらに総括質疑を2日間行う。

補正予算議案が提出された場合は,補正予算の審査を1日間

行う。

カ 平成27年度の質疑者数

の実績

決算

(平成27年9月市会)

第1分科会 第2分科会 第3分科会

質 問 者 数 111 89 81

予算

(平成28年2月市会)

第1分科会 第2分科会 第3分科会

質 疑 者 数 114 90 78

キ 傍聴者への対応・市民へ

の情報提供

委員会の直接傍聴については,委員会の許可制を採っている

が,市政記者等のみ許可しているのが実情である。

市会モニター視聴室(定員60人)にモニターテレビを3台

設置し,委員会のモニター視聴を実施している。各席に設けら

れている携帯型受信機にイヤホンがセットされており,視聴し

たい委員会を自由に設定することができる。

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また,モニター視聴者には,当日の案件名を記載した資料を

配布するとともに,モニター視聴室及び市会図書室で委員と同

じ資料を閲覧できるようにしている。

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3333 京都市会大規模災害対応指針について京都市会大規模災害対応指針について京都市会大規模災害対応指針について京都市会大規模災害対応指針について

<経緯>

平成23年3月に起こった東日本大震災や平成25年9月の台風18号の被害を踏まえ,本市におい

ても発災時の議会の対応について,平成26年度の市会改革推進委員会で議論を行い,「京都市

会大規模災害対応指針」を定めた。

<配慮した点>

近年,本市において,大雨による被害が多発していることを踏まえ,災害種別に「地震」だ

けでなく「風水害」の対応も記載している。

発災後の「初動期」「初動期経過後」だけではなく,会議開会予定日に気象特別警報が発表さ

れる可能性があるときを「準備期」として,対応を記載している。

発災時の「初動期」において,「会議開会中」と「会議開会中以外」に分け,それぞれの対応

方針を記載している。

<指針の内容>

別添資料「京都市会大規模災害対応指針」のとおり。

http://www2.city.kyoto.lg.jp/shikai/joho/syokitei/01-301.html

<対応事例>

発災時における指針に基づく対応事例はないが,本指針に基づき,平成28年1月に初動対応訓

練と情報伝達訓練を実施し,市会改革推進委員会開会中に大規模災害(地震)の発生を想定し

て訓練を行った。

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1

議員定数及び議員報酬についての報告書議員定数及び議員報酬についての報告書議員定数及び議員報酬についての報告書議員定数及び議員報酬についての報告書

(案)(案)(案)(案)

市会改革推進委員会

平成26年1月

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目目目目 次次次次

ⅠⅠⅠⅠ 検討経過検討経過検討経過検討経過・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・PPPP 2222

ⅡⅡⅡⅡ 地方自治法地方自治法地方自治法地方自治法等等等等の規定の規定の規定の規定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・PPPP 4444

ⅢⅢⅢⅢ 学識者からの意見要旨学識者からの意見要旨学識者からの意見要旨学識者からの意見要旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・PPPP 6666

ⅣⅣⅣⅣ 論点論点論点論点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・PPPP11111111

ⅤⅤⅤⅤ 検討結果検討結果検討結果検討結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P14141414

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3

ⅠⅠⅠⅠ 検討経過検討経過検討経過検討経過

1 前任期における検討経過

前任期の市会改革推進委員会(平成21年3月19日~平成23年3月14日)

において,議員定数及び議員報酬について検討され,以下のとおり最終報告がなさ

れた。

<議員定数>

政令指定都市における定数の状況,平成22年国勢調査の結果に基づく選挙区

ごとの議員一人当たりの人口の状況等を踏まえ,来任期において改めて検討す

る。

<議員報酬>

京都市の厳しい社会経済状況,財政状況等を勘案し,平成23年度から特例措

置として10%削減する(※)。

※ 平成25年度においても10%削減を継続して実施している。

この報告を受け,平成23年5月に設置した現在の市会改革推進委員会において,

議員定数についての検討を引き継ぐこととなり,議員報酬についても,議員定数の

見直しと併せて検討することとしたものである。

2 市会改革推進委員会における検討経過

⑴ 検討に至るまでの過程

・ 現在の市会改革推進委員会においては,議員定数・議員報酬に加えて,前任

期からの申送りとして,議会基本条例が重要な検討事項であった。

・ 議会基本条例の検討に当たっては,まずは,議会改革に関する取組のうち,

京都市会が未実施のものについて,網羅的に検討することから始めた。次に,

個々の取組の検討が一通り終了するめどが立った段階で,議会改革の指針とな

る京都市会の基本理念の策定を目指した。

・ そして,議員定数・議員報酬については,京都市会の在り方や京都市会が果

たすべき役割について,十分に議論が進んだ段階で議論を始めることとした。

・ 平成24年8月に,京都市会の基本理念がまとまった。これによって,京都

市会の改革の方向性や京都市会の役割,京都市会議員の使命などについて,議

員間で共通の認識が図れた。

・ 以降,京都市会の基本理念と個々に検討してきた事項を基に,議会基本条例

の制定に向けた検討に着手した。条例の制定に向けた検討を進める一方で,議

員定数・議員報酬についても,平成24年9月から委員会における議論を本格

的に開始した。

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⑵ 検討状況

・ 市会改革推進委員会においては,議員定数・議員報酬について,個別の具体

的な議論(議員定数であれば,特定の選挙区の増減など)ではなく,それぞれ

の在り方を議論することが確認された。

・ 平成25年1月に,全国市議会議長会法制参事の廣瀬和彦氏を委員会に招致

し,議員定数・議員報酬を検討するうえで考慮すべきことや基準となり得る考

え方について,学ぶ機会を設けた。

・ また,議員定数・議員報酬という,正に議員の処遇に関することについて,

議員だけで議論するのではなく,専門的な知見を活用することが検討された。

学識者等で構成する第三者機関を設置することが検討されたが,合意には至ら

ず,3名の学識者に対して,京都市会の議員定数・議員報酬の在り方について,

意見書の提出を求めた。意見書の提出を受けて,平成25年8月及び9月に,

学識者を個別に委員会に招致して質疑を行った。

・ 議員定数・議員報酬に関する法律上の定め,学識者からの意見の要旨及び委

員会における議論の論点について,項を改めて示す。

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ⅡⅡⅡⅡ 地方自治法地方自治法地方自治法地方自治法等等等等のののの規定規定規定規定

議員定数及び議員報酬に関して,地方自治法等の定めるところは,次のとおりであ

る。

1 議員定数

⑴ 現行の地方自治法では,市町村の議会の議員の定数について,以下のとおり定

めている。

第91条 市町村の議会の議員の定数は,条例で定める。

【第2項以下は,略】

これは,平成23年4月に成立した改正地方自治法により,地方公共団体の議

員の定数について,上限数を人口に応じて定めていた規定が撤廃されたもので

ある。

<参考>地方自治法の規定の変遷

〇 昭和22年(地方自治法制定)

・ 戦前の制度を引き継ぎ,地方公共団体の種類別に,人口規模に応じて法律

で定められた。

・ いわゆる「減数条例」により議員定数を法定数から減少させることができ

た。

○ 平成11年改正

・ 議員定数の法定制が廃止された。

・ 人口段階を大ぐくりにし,人口区分に応じた上限数が法律で定められた。

市の議会議員の上限数については,5万人未満を26人とし,人口区分が上

がるごとに原則4人ずつ増加させ,96人をもって上限とされた。

・ 地方公共団体は,上限数の範囲内で議員定数を条例で定めることとされた。

※ 京都市会における対応

平成14年3月に「京都市会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき市会議員の数

に関する条例」を制定し,議員定数を上限数の72名から69名とした。

○ 平成23年改正

・ 議員定数の法定上限が撤廃された。

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⑵ 議員の定数及び地方公共団体の議会の議員の選挙区に関しては,公職選挙法に

おいて,次のような定めがある。

○ 公職選挙法 第15条

・ 指定都市については,区の区域をもって,市の議会の議員の選挙区とする

(第6項)。

・ 各選挙区において選挙すべき議員の数は,人口(※)に比例して,条例で

定めなければならない。ただし,特別の事情があるときは,おおむね人口を

基準とし,地域間の均衡を考慮して定めることができる(第8項)。

※ 国勢調査又はこれに準じた全国的な人口調査の結果による人口を指す。

2 議員報酬

現行の地方自治法では,議員報酬について,以下のとおり定めている。

第203条 普通地方公共団体は,その議会の議員に対し,議員報酬を支給しな

ければならない。

② 普通地方公共団体の議会の議員は,職務を行うため要する費用の弁償を受け

ることができる。

③ 普通地方公共団体は,条例で,その議会の議員に対し,期末手当を支給する

ことができる。

④ 議員報酬,費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は,条例でこれを

定めなければならない。

上記の規定は,平成20年の改正により新たに設けられた条文であり,改正前は,

議員の報酬は,普通地方公共団体の非常勤の職と同じ条文で規定されていた。

しかし,議員の報酬の支給方法等が,他の行政委員会の委員等の報酬の支給方法

等とは異なっていることを明確にすることを目的として,議員の報酬に係る規定が

分離され,名称を「議員報酬」と改められたものである。

<参考>改正前の条文

(旧)第203条 普通地方公共団体は,その議会の議員,委員会の委員,非常勤の

監査委員その他の委員,自治紛争処理委員,審査会,審議会及び調査会等の

委員その他の構成員,専門委員,投票管理者,開票管理者,選挙長,投票立

会人,開票立会人及び選挙立会人その他普通地方公共団体の非常勤の職員(短

時間勤務職員を除く。)に対し,報酬を支給しなければならない。

② 前項の職員の中議会の議員以外の者に対する報酬は,その勤務日数に応じて

これを支給する。但し,条例で特別の定をした場合は,この限りでない。

【第3項以下は,略】

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ⅢⅢⅢⅢ 学識者学識者学識者学識者からの意見からの意見からの意見からの意見要旨要旨要旨要旨

1 全国市議会議長会法制参事 廣瀬和彦氏による講演

議会改革の手法は,二つしかない。一つは,議会の権限の充実・強化である。も

う一つは,議員定数・議員報酬の見直しであり,数値で示すことができるという点

で,住民にとって分かりやすい部分がある。しかし,まず議会がやるべきことは,

議会としての役割をきっちり果たすためにはどうするべきか,そのための議会の機

能の充実・強化に着手することである。

⑴ 議員定数

・ 議員の役割は,住民の意見を把握・集約し,市政等へ反映することである。

人口が多くなるほど,住民の意見は多種多様になることから,意見の反映のた

めに,人口に比例して議員の数を決めるという制度が生まれた。

・ 平成23年の地方自治法の改正により,人口段階に応じた議員定数の上限が

撤廃された。議会機能の充実・強化が必要とされる地方分権の時代において,

議員の定数の決定は,各地方公共団体の自主的な判断に完全に委ねられること

となった。

・ 法定の上限数という基準がなくなった中で,それぞれの議会が住民に説明責

任を果たせる考え方を持つ必要がある。

<議員定数を考えるに当たっての要件>

① 会議体としての議会の能率的な運営

② 多数の住民が推す優れた人材の選出

③ 地方公共団体の組織全体との均衡

<定数を考えるに当たっての留意点>

① 歳出に占める議会費の割合

② 定数減少に係る監視機能への影響

③ 面積及び人口に係る多様な住民意見の議会への反映の可否

<議員定数の基準>

① 常任委員会数方式

委員会で適正な審査ができる人数を基に定数を決定する。

② 人口1万人に1人方式(1万人に根拠はない。)

③ 住民自治協議会方式(又は小学校区方式)

地域のコミュニティから最低1人の代表を選出する。

④ 議会費固定方式

歳出に占める議会費の割合を固定し,議会運営費等を除いた額で,定数

と報酬を決める。

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⑵ 議員報酬

・ 報酬とは,役務の給付の対価であり,働いた分に対してお金が支払われると

いうのが基本となる。

・ 議員報酬は,一般の報酬の概念のほかに,職務と責任に応じて与えられる給

与的な性質も併せ有する広い概念で用いられている面もある。

・ 平成20年に地方自治法が改正されるまでは,議員の報酬は,ほかの非常勤

の職員と同じ条文で位置付けられていた。そもそも議員の身分は,地方公務員

法上は特別職であるだけで,非常勤という規定はない。改正によって,あらた

に議員の報酬に関する条文が設けられた際に,報酬ではなく歳費等にすべきと

いう要望を行った。しかし,政令市の議員が常勤に近い形で働いているのに対

して,小規模な地方議会の議員に関しては,歳費等の名称に合うだけの活動実

態がないため,認められなかった。この件については,今後も議論の対象とな

っている。

<議員報酬の決定要因>

① 各団体の議会活動状況

② 財政事情

③ 住民所得水準

④ 類似団体との比較均衡

⑤ 世論の動向

<議員報酬算定の基準>

① 市政への貢献度を把握し,それをもとに議員報酬を定める。

※ 貢献度を指数化することが極めて困難であり,現実的ではない。

② 執行部職員の給与を基準とする。

③ 国会議員の歳費を基準とする。

④ 日当制を根拠に算出する。

⑤ 当該団体の長の給与額を基準とする。

⑥ 財政規模,人口規模が類似する団体との比較を基に算出する。

⑦ 議会費固定方式

歳出に占める議会費の割合を固定し,議会運営費等を除いた額で,定数

と報酬を決める。

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2 3名の学識者による京都市会の議員定数・議員報酬についての意見

⑴ 立命館大学法学部教授 駒林良則氏

地方議会の改革の取組として,議会基本条例の制定が進んでいる。条

例を制定する意義は議会の在り方を示すことにあり,議会の在り方が決

まってから,議員定数及び議員報酬額の議論がなされるべきである。

・ 議会機能の充実・維持,政令市の特殊性を考慮すると,京都市会に

おいて最低必要な議員数は61名(常任委員会数5×委員数10+1

1(行政区の代表性を加味))程度と考えられる。

・ 現在の定数69名は,ほかの政令市と比較して決して多すぎること

はない。

・ 現行法上,地方議員の法的性格が不明確であり,議員報酬を含めた

議員の処遇面での議論は複雑なものとなっている。

・ 京都市会議員の報酬月額(減額措置後)は,京都市長との比較にお

いて妥当な水準といえる(※)。

・ 京都市会の議員報酬額は,ほかの政令市と比較して高いということ

はない。政治的な判断で減額する場合は,本来常勤職に認められる期

末手当を減額することが考慮されるべきである。

議員定数及び議員報酬を決めるに当たっては,市民の理解が必要であ

り,そのためには議会活動の活性化と一層の透明化が求められる。

※ 議員報酬額の妥当性を判断するため,議員及び市長に対して公務時間数についてのアンケ

ート調査が行われた。

<アンケート概要>

○ 対象

議員(市会改革推進委員会委員20名)及び京都市長

○ 期間

平成25年3月及び4月

○ 調査方法

議員は,時間帯(3時間単位)ごとに活動内容を議員活動分類表から一つ選択

し,該当数字を記入する。市長は,日々の公務遂行時間の合計を記入する。

<アンケート結果>

議員と市長との公務時間数の比較では,市長を1としたとき,議員の平均は0.

77となった。市長の給料月額と議員の報酬月額との比較では0.78であり,近

似した数字であった。

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⑵ 京都府立大学公共政策学部准教授 窪田好男氏

現状において,京都市会が,地域社会の維持・発展を妨げていること

が明らかでない限り,議員定数や議員報酬に大幅な変更を加える必要性

は感じられない。

現状を維持する。

・ 京都市の財政状況は厳しい状況にあるが,議員定数の削減によって

それに対応すべきではない。

・ 議員定数の削減は,多様な民意を集約し,合意形成の役割を果たす

という議会の機能への影響が大きい。

・ 1票の格差については,なるべくなくすことが求められる。

執行部職員の給与減額に合わせるべきである。

・ 財政状況を考慮した場合,議員報酬を削減することは一考の余地が

ある。

・ 議員報酬は,執行部職員の給与と同一の財源であることから,執行

部職員の給与が減額されている場合に,議員報酬を減額しないのであ

れば,合理的な説明をすることが求められる。

・ 京都市会議員が果たすべき活動からしてどの程度の議員報酬等が適

正か,どの程度が最低限かという検討を市会が自主的に行うことが求

められる。

め 議員定数や議員報酬には正解はなく,各議会が自己決定すべき課題で

あり,決定に関して住民が納得する説明が求められる。

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11

⑶ 龍谷大学政策学部准教授 土山希美枝氏

・ 全国的に議員定数・議員報酬の削減が進んでいるが,地方自治にお

ける自治体議会の役割は大きく,更に拡大している。

・ 自治体の経費削減の方途として,議員定数や議員報酬を考える立場

には立たない。

・ 議員定数は,代表性の機能(多様な意見を拾い上げる市民の代表と

しての観点から,議員定数を増やす方向に働く。)と合議体の機能(議

論による意見の集約や合意形成の観点から,議員定数に制約を加え

る。)の均衡を基本に,その他留意すべき要因を加え決定されるべき

である。

・ 委員会中心主義にたつ京都市会において,委員会で活発な審議・討

議が可能な規模から考察した結果,50名(常任委員会数5×委員数

7~10)程度が目安となる。ここに,政令市の特性,市域や行政活

動の広さ等を加味し,60名程度の定数を提示する。

・ 京都市会議員として期待される職責は,非常勤では果たせないと考

える。

・ 多様な人材が議員職を担うためにも,議員報酬は単に役務の対価で

はなく,任期の間,生活を保障する生活給としての歳費又は給与とし

て支払われるべきである。

・ 生活給としての議員報酬を考える場合,行政機関の上位69名の平

均給料月額が参考値となり得る。しかし,行政職員とは異なり,議員

には議員活動に伴う経費が発生し,中には政務活動費では補填されな

い経費があることを考慮しなければならない。

議員定数と議員報酬に対する市民からの理解は,それらが合理的な基

準に基づいて決定されていることと,議会が市民にとって価値あるもの

であることへの信頼との二つによって得ることができる。

議員定数と議員報酬の適正な水準を検証し,議会の価値を市民と共有

するためには,議員活動及び議会活動の一層の可視化が求められる。

※ 議員報酬についての考察に当たり,京都市会議員の議員活動,報酬及びその使途について,

市会改革推進委員会の委員のうち3名からヒアリングが行われた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

※ 学識者からの意見については,本報告書の取りまとめに当たり,市会改革推進委員会の責任におい

て要約したものである。

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ⅣⅣⅣⅣ 論点論点論点論点

市会改革推進委員会での議論の論点及びそれに関して提出された資料について,

以下にまとめる。

1 議員定数

⑴ 議員一人当たりの人口及び1票の格差

議員一人当たりの人口及び1票の格差の状況について,他の政令市との比較を

行った。 資料1

また,平成20年度以降,議員定数の見直しを行った政令市8市に対して,定

数を決定する基準となった考え方を調査した。 資料2

なお,1票の格差については,京都市は最大で1.53倍であり,政令市の中

で,大阪市(1.79倍),浜松市(1.67倍)についで,3番目に大きい。

この状況を受けて,現状の議員定数を基に,定数を増減することで,格差がど

の程度是正されるのか,シミュレーションを行った。 資料3

⑵ 予算との関係

予算の規模について,仕事の量を測る指標の一つと考える意見に基づき,議員

一人当たりの予算額について,政令市及び京都府下の主な市について,比較を

行った。 資料4

⑶ 過去の議員定数の変遷

京都市会における昭和22年以降の議員定数の変遷のうち,削減が行われた例

について,改めて確認した。

ア 昭和26年 「京都市議員定数減少条例」

○ 経過

当時は,戦後の地方行政の困窮期に当たり,多額の赤字を出すなど,本市

財政が非常に厳しい状況にあった。このため,経費削減を図り,市政の簡素

かつ能率的な運営について,市会が自ら範を示すべきであるとして,各会派

とも議員定数削減の意向を示し,その具体的な数については,議員定数に関

する小委員会を設置して検討された。

○ 削減の内容

議員定数64人を57人とする(7減)。

(内訳)減員する区 上京区,下京区 各2人

中京区,東山区,右京区 各1人 計7人

※ 昭和25年の国勢調査の結果,法定定数が68人となるべきところ,この条例の制定

により,法定定数よりも11人少ない57人をもって定数とされた。

※ 昭和34年4月23日の一般選挙以降,議員定数は,法定定数の68人に増員された。

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イ 平成14年 「京都市会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき市会議

員の数に関する条例」

○ 背景

・ 平成11年に地方分権推進一括法の制定を受けて地方自治法が改正され

たことに伴い,議員の定数は条例により定めることとされた。

・ 京都市会においては,当時,法定定数(昭和42年4月15日の一般選

挙以降72人)を議員定数としており,新たに条例を制定する必要が生じ

たものである。

・ 議員の定数や各選挙区の1票の格差などを検討するに当たって,その審

議過程を市民に明らかにし,議会活動の透明性を高める観点から特別委員

会(委員18名)を設置して検討されたが,意見をまとめることはできな

かった。

・ その後,自民,民主・都みらい,公明,京都21から「京都市会議員の

定数及び各選挙区において選挙すべき市会議員の数に関する条例」案が提

案され,可決された。

○ 条例の内容

議員定数72人を69人とする(1増4減)。

(内訳)増員する区 西京区 1人

減員する区 北区,中京区,東山区,下京区 各1人 計4人

2 議員報酬

⑴ 政令市の支給状況

議員報酬の支給状況等について,他の政令市との比較を行った。

また,過去10年以内に,議員報酬の本則を減額した8市について,改定時の

考え方を調査した。 資料5

⑵ 京都市職員の給料額等

過去の「京都市特別職報酬等審議会」の議論においても,京都市職員の一般職

の給料額等が参考とされたことを踏まえ,京都市職員の局長級,部長級,課長

級の給料額等について調査した。 資料6

※ 京都市特別職報酬等審議会とは,市長の意見の求めに応じ,市長及び副市長の給料の額並

びに議員の報酬の額について審議するために設置されるもの。

⑶ 市内労働者の年間収入額の推移

議員報酬は,市民生活の実態を踏まえた額とすべきであるとの意見に基づき,

京都市内の労働者の年間収入額について,過去15年間の推移を調査した。

資料7

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3 議員定数及び議員報酬の両者に関連する論点

議会費を増額させないよう,議員定数と議員報酬とを調整する(例えば,議員定

数が増えたことによる経費の増加分を,議員報酬の削減分で充当する)という意見

に基づき,議員一人当たりに必要な経費を算出した。 資料8

4 無所属の議員の意見

議員定数・議員報酬は,議員の身分に深く関わるところであることから,市会改

革推進委員会に所属しない無所属の議員に対して意見を求めた。 資料9

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ⅤⅤⅤⅤ 検討結果検討結果検討結果検討結果

以上のような検討の中で,議員定数・議員報酬について,各会派の意見が表明され

た。共通する意見もあったが,それぞれの具体的な増減に関わる部分では,委員会

として一つの結論に取りまとめることは困難であった。そのため,委員会において

表明された主な意見を併記し,本委員会における検討結果のまとめとする。

1 議員定数

現状の1票の格差(1.53倍)については,是正する必要があることと,市民

の多様な意見の反映のため,1人区は避けるべきとの認識で一致した。

議員定数の増減の方向性については,合意に至らなかったため,以下に意見を併

記する。

【意見】

・ 経済情勢等を考慮し,議員定数は削減すべきである。原則として,議員一人当

たりの人口が少ない行政区から順に,定数を減らすべきである。

・ 社会情勢を勘案し,一定程度の議員定数の削減は行うべきである。

・ 多くの市民から議員定数を削減すべきとの意見を頂いたことを踏まえ,議員定

数は削減の方向で考える。

・ 将来的には,法改正により,現在の選挙区を広域選挙区に組み替えたうえで,

議員定数を2割程度削減することを目指していきたい。

・ 1票の格差の是正は,最小限の議員定数の削減にとどめて行うべきである。

・ 行財政改革の一環として,議会費を削減する目的で議員定数を削減すべきでは

ない。

・ 全ての行政区において,議員定数は減らすべきではない。

・ 現状の議員一人当たりの人口(約2万人)は,多すぎると考える。多様な民意

を反映させるため,議員定数は増やす必要があり,それに伴う経費負担につい

ては,議員報酬を削減し,それを充当すべきである。

・ 委員会の定数について,議会として十分に監視機能を果たせるだけの数を確保

する必要がある。

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2 議員報酬

議員報酬の額については,維持すべきという意見と削減すべきという意見に分か

れ,合意には至らなかった。以下に意見を併記する。

【意見】

・ 議員に求められる役割が拡大している状況を踏まえ,報酬額は,現状を維持す

る。

・ 現在の経済情勢を考慮し,報酬額は2割削減すべきである。

・ 報酬額は3割削減が妥当であると考える。

・ 報酬額を条例の本則によって削減することは議員の活動を制限することにつな

がりかねない。現状の一時的な1割削減のように,運用面で柔軟に対応するこ

とが望ましい。

なお,常勤化している議員の活動状況を踏まえて,議員報酬を歳費として取り扱

うよう国に対して要望すべきとの認識で一致した。

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1

京都市会大規模災害対応指針

1 目的

この指針は,京都市内で大規模な災害が発生した場合に,被害の拡大防止と災

害の復旧に寄与するため,京都市会及び市会議員がどのように対応をすべきか,

共通の認識を持ち,迅速かつ適切な行動が取れるよう定めるものである。

2 基本方針

大規模な災害が発生した場合,その災害の種類,規模,事態の推移等に応じ,

迅速かつ的確に行動することが求められる。本市会は,下記の基本方針に基づき

対応を図るものとする。

(1) 市会は,状況に応じた必要な体制を整備するとともに,執行機関が災害対応

に全力で専念し,応急活動を円滑に実施できるよう必要な協力を行う。

(2) 議長は,議員へ適切な情報の提供を行うとともに,議員から報告される地域

の情報を,一括して市災害対策本部に伝達する。

(3) 議員は,市民の安全確保と応急対応等に最大限努力する。

3 災害時の対応

(1) 地震の場合

[初動期]

・市域で震度5弱(※)以上の地震が発生してから概ね24時間が経過するまで。

※ 震度5弱の揺れの概要

○大半の人が,恐怖を覚え,物につかまりたいと感じる。

○棚にある食器類や本が落ちることがある。

○固定していない家具が移動することがあり,不安定なものは倒れることが

ある。

ア 会議開会中の対応

(ア) 議長又は委員長は,直ちに本会議又は委員会を休憩又は散会し,市会事

務局職員に対し,避難誘導等,安全確保のための対応を行わせる。

(イ) 議員は,速やかに自身の安全を確保する。また,被災者がある場合には,

その救出・支援を行う。

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2

(ウ) 議員は,状況に応じて,適宜退庁する。

イ 会議開会中以外及び議員退庁後の対応

(ア) 議員は,速やかに自身の安全確保を行ったうえで,市会事務局に自ら安

否の連絡を行う。

(イ) 議員は,地域において,市民の安全確保や避難所への誘導,被災者の救

出・支援等を率先して行う。

(ウ) 市会事務局は,議長及び副議長に,市災害対策本部が把握している被害

状況や対応状況等を速やかに報告する。

(エ) 議長は,市会事務局に指示し,市災害対策本部が把握している被害状況

等の情報を議員に提供する。

(オ) 議長は,必要と認める場合は,当面の市会の対応について検討するため,

各派代表者会議を開会するなどの対応を行う。

【安否の連絡先】

電話(市会事務局調査課) 075-222-3697

FAX(市会事務局) 075-222-3713

パソコンメール(市会事務局調査課) [email protected]

携帯電話(市会事務局防災用携帯電話) 080-6183-8312

携帯電話ショートメール(同上) 080-6183-8312

携帯電話メール(同上) [email protected]

[初動期経過後]

・市域で震度5弱以上の地震が発生してから概ね24時間経過以降。

ア 議員の対応

(ア) 議員は,区に災害対策本部が設置された場合は,区災害対策本部との連

携のもと,市民の安全確保,避難所支援や応急対応など,地域における活

動に積極的に従事する。

(イ) 議員は,市(区)災害対策本部に報告する必要がある情報を得た場合は,

緊急の場合を除き,議長に報告する。

イ 市会の対応

(ア) 議長は,市会事務局に指示し,市災害対策本部からの新しい情報を議員

に提供する。

(イ) 議長は,議員から報告を受けた地域の情報を,市災害対策本部及び必要

に応じて区災害対策本部へ伝達する。

(ウ) 議長は,必要と認める場合は,今後の市会の対応について検討するため,

各派代表者会議又は全員協議会を開会するなどの対応を行う。

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3

(エ) 議長は,必要と認める場合は,市会運営委員長に市会運営委員会の開会

を要請する。

(オ) 議長は,状況の確認と所要の対応を行うため,必要に応じ,市災害対策

本部長等との連絡調整にあたる。

(カ) 議長は,被災の状況を踏まえ,国,京都府,関係機関等に対し,適時適

切な要望活動を行う。この場合においては,広域的な視点に立って,関係

自治体の議会とも十分な連携を図る。

市域で震度4以下の地震が発生した場合であっても,局地的に相当規模の

被害が発生するなど,市職員の2分の1以上に活動体制が発令された場合は,

同様の対応を行うものとする。

(2) 風水害の場合

[準備期]

・会議開会予定日に,市域に気象特別警報(大雨特別警報,暴風特別警報,暴風

雪特別警報及び大雪特別警報)が発表される可能性があるとき。

ア 議員の対応

議員は,連絡が取れる体制を確立する。

イ 市会の対応

(ア) 市会事務局は,市会運営委員長又は開会予定の委員会の委員長に,市防

災危機管理室が把握している情報や対応状況等を速やかに報告する。

(イ) 委員長は,(ア)の報告を踏まえ,必要に応じ,議会運営等について検討す

る。

[初動期]

・市域に気象特別警報(大雨特別警報,暴風特別警報,暴風雪特別警報及び大雪

特別警報)が発表されたとき。

・市域に気象特別警報は発表されていないが,局地的に相当規模の被害が発生し

たとき。

ア 会議開会中の対応

(ア) 議長又は委員長は,直ちに本会議又は委員会を休憩又は散会する。

(イ) 市会事務局は,本会議においては議長,副議長及び市会運営委員長に,

委員会においては当該委員会の委員長に,市災害対策本部が把握している

被害状況や対応状況等を速やかに報告する。

(ウ) 委員長は,(イ)の報告を踏まえ,当面の議会運営等について検討する。

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(エ) 議員は,状況に応じて,適宜退庁する。

イ 会議開会中以外及び議員退庁後の対応

(ア) 議員は,速やかに自身の安全を確保する。

(イ) 議長は,必要と認める場合は,市会事務局を通じて議員の安否を確認す

る。

(ウ) 議員は,地域において,市民の安全確保や避難所への誘導,被災者の救

出・支援等を率先して行う。

(エ) 市会事務局は,議長及び副議長に,市災害対策本部が把握している被害

状況や対応状況等を速やかに報告する。

(オ) 議長は,市会事務局に指示し,市災害対策本部が把握している被害状況

等の情報を議員に提供する。

(カ) 議長は,必要と認める場合は,当面の市会の対応について検討するため,

各派代表者会議を開会するなどの対応を行う。

[初動期経過後]

・市域に気象特別警報(大雨特別警報,暴風特別警報,暴風雪特別警報及び大雪

特別警報)が発表されてから概ね24時間経過以降。

・市域に気象特別警報は発表されていないが,局地的に相当規模の被害が発生し

てから概ね24時間経過以降。

ア 議員の対応

(ア) 議員は,区に災害対策本部が設置された場合は,区災害対策本部との連

携のもと,市民の安全確保,避難所支援や応急対応など,地域における活

動に積極的に従事する。

(イ) 議員は,市(区)災害対策本部に報告する必要がある情報を得た場合は,

緊急の場合を除き,議長に報告する。

イ 市会の対応

(ア) 議長は,市会事務局に指示し,市災害対策本部からの新しい情報を議員

に提供する。

(イ) 議長は,議員から報告を受けた地域の情報を,市災害対策本部及び必要

に応じて区災害対策本部へ伝達する。

(ウ) 議長は,必要と認める場合は,今後の市会の対応について検討するため,

各派代表者会議又は全員協議会を開会するなどの対応を行う。

(エ) 議長は,必要と認める場合は,市会運営委員長に市会運営委員会の開会

を要請する。

(オ) 議長は,状況の確認と所要の対応を行うため,必要に応じ,市災害対策

本部長等との連絡調整にあたる。

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5

(カ) 議長は,被災の状況を踏まえ,国,京都府,関係機関等に対し,適時適

切な要望活動を行う。この場合においては,広域的な視点に立って,関係

自治体の議会とも十分な連携を図る。

(3) その他の大規模災害の場合

地震及び風水害以外の大規模災害(大規模火災,多数の者の被災を伴う航空

事故等の大規模な事故,原子力災害等)について,突発的に発生する災害は,

「(1) 地震の場合」に準じ,そうでない災害は,「(2) 風水害の場合」に準じ,

同様の対応を行うものとする。

4 その他

議長が事故等により不在となった場合は,(1) 副議長,(2) 市会運営委員長の

順に対応する。

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(取材案内)

平成28年1月8日

市 会 事 務 局

(担当 総務課 222-3700)

大規模災害大規模災害大規模災害大規模災害を想定しを想定しを想定しを想定したたたた初動対応訓練の実施に初動対応訓練の実施に初動対応訓練の実施に初動対応訓練の実施についてついてついてついて

京都市会では,平成26年度に,大規模な災害が発生した場合に,京都市会及び議

員が,迅速かつ適切な行動が取れるように「京都市会大規模災害対応指針」を策定し

ました。

同指針において,会議開会中に震度5弱以上の地震が発生した場合の対応として,

「議長又は委員長は,直ちに本会議又は委員会を休憩又は散会し,職員に対し,避難

誘導等,安全確保のための対応を行わせる。また,議員は,速やかに自身の安全を確

保する。」こととしています。

つきましては,京都市会として初めて,同指針に基づいた初動対応訓練を下記のと

おり実施しますので,お知らせします。

1 実施日時

平成28年1月15日(金)午前9時40分~午前9時50分

※ 市会改革推進委員会の開会前に実施します。

2 被害想定

午前9時40分頃に花折断層を震源とした大規模な地震が発生し,京都市のほぼ

全域で震度5弱以上の強い揺れがあった。

3 参加議員

市会改革推進委員(15名)

4 場所

会議場所:市会第5会議室

避難場所:市役所前広場

5 訓練内容

時間 項目 内容

9時40分 訓練開始 委員長が,訓練の概要を説明します。

9時41分頃 摸擬委員会開会 委員長の進行により摸擬委員会を開会します。

9時42分頃

地震発生

身を守る行動

委員長の発言中に,地震が発生したと想定し,身

を守る行動を行います。(おおよそ1分間)

9時43分頃

地震停止

避難行動

地震が停止した後,避難行動を行います。

9時48分頃

避難完了

訓練終了

委員長が総括を行い,訓練終了となります。

(裏面あり)

京都市会として

初めて実施します!

京都市会マスコットキャラクター またきち

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6 その他

市会改革推進委員以外の議員については,大規模災害発生時に,議員と市会事務

局との連絡調整が円滑に行えるよう,メールによる情報伝達訓練を同日に実施しま

す。

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京都市会での質疑応答

1 議員定数・議会構成等について

質問:市会改革推進委員会の概要について教えてほしい。

回答:平成16年頃から、議運の理事を中心に市会改革に関する議論を進めてき

たものを、平成23年度に地方自治法100条に基づく協議・調整の場と会議規

則に規定し設置したもの。非交渉会派を含めた会派の所属人数に応じた委

員数を配分し、15人の委員により組織されている。

質問:市会改革推進委員会は公開で行われているとのことだが、特に議員定数

や議員報酬をテーマとした場合は市民の関心も高いと考えるが、傍聴者数

の実績を教えて欲しい。また、アンケート調査や学識経験者からの意見聴

取等を行っているとのことだが、これは改革推進委員会の活動として行わ

れたものなのか。

回答:傍聴者数は平成27年で13人、平成26年度15人、平成25年度28人となって

おり、テーマによる差はあると考えるが、現在のところ、多数の市民が傍

聴に来る状況ではない。アンケート調査や学識経験者からの意見聴取等は、

委員会の活動として行ったものである。

質問:議員定数が2減に至った経緯として、一票の格差の是正のみを理由とし

たのか、各区の面積的なものも考慮されたのか、議論の経過を教えてほしい。

回答:一票の格差の是正が一番大きな理由であり、面積的なことは全くなかっ

たわけではないが、大きな争点にはならなかった。格差の是正の方法につ

いては、様々な意見が出されたが、合意したのは、1人区を作らないこと、

格差是正を図るということだけで、その後、各会派が出した条例改正案の

うち、可決されたものが2減案だった。

質問:市政改革推進委員会で議員報酬を検討した際に、3つの大学の教授から

意見聴取をしているが、

①当該教授を選ぶ段階において各会派から推薦などはあったのか。

②議論の結果としては「合意にいたらなかった」とのことだが、このこと

は現状維持ということで理解してよいのか。

回答:①については、会派の推薦ではなく京都の研究者の中から選んだもので

ある。②については、そのとおりである。ただし、現在の議員報酬は、市

長の給与カットや東日本大震災の発生等を理由に10%カットされている。

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2 本会議及び予・決算審査の委員会運営について

質問:市会モニター視聴室が設置された経過と利用実態を教えてほしい。

回答:委員会室が狭く直接傍聴が難しいことから、その代替措置として委員会

室にカメラを設置し、モニターを介して傍聴できるようにしたもので、平

成8年度に設置された。利用者数については、平成25年度は延べ551人で1

日あたり8人、平成26年度は延べ341人で1日あたり5人、平成27年度は延

べ364人で1日あたり6人となっている。

質問:決算特別委員会における書類調査は具体的にどのように行っているのか。

回答:地方自治法第98条を根拠として実施しているもので、平成23年までは支

出命令書等の書類を実際に閲覧していたが、平成23年以降は、支出情報閲

覧システムを構築しパソコンで検索をして閲覧できるようになっている。

情報は局別にまとめられてあるため、この調査を基にした質疑も行われて

いる。

質問:決算における書類審査では、支出に関わる起案文書等は見ることができ

るのか。

回答:支出情報閲覧システムに表示されるのは、議員が更に詳しい調査が必要

な案件を見つけるために必要な情報(所属名、支払日、会計名、事業名な

支払金額、支払先など)であり、文書等を見ることはできない。

質問:予・決算特別委員会での質疑について持ち時間を経過した場合は打ち切

られるのか。また討論については時間の制限はあるのか。

回答:委員会での委員1回の質疑時間は答弁を含めて一人あたり30分であり、

質議の最中に持ち時間が経過した場合でも、当該質疑に対する簡潔な答弁

を求めることができる申し合わせがある。また、答弁の最中に質問を終え

た場合は、次の質問には入れないという申し合わせもある。討論について

は時間制限を設けていない。

質問:予・決算特別委員会での質疑の順序は大会派順とのことだが、初日は第

1会派から、2日目は第2会派からというように、最初に質問できる会派

は交代していくと理解してよいか。また、非交渉会派から始まることはな

いのか。

回答:交渉会派の質問順序については、質問にあったとおりである。また、非

交渉会派と無所属は、交渉会派が終わった後に質問ができる。

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質問:質疑の持ち時間を経過した場合にタイマーがなるのか。

回答:あらかじめ持ち時間に応じてタイマーをセットしているので、持ち時間

が経過した場合はタイマーが鳴るようになっている。

質問:局別質疑の審査内容・報告資料配布において、全ての質問項目を配布す

るとのことだが、全議員に配付しているものなのか。

回答:事業ごとにほぼ全ての質問項目をまとめて、全議員に配付している。

質問:代表質疑をテレビで生中継しているとのことだが、その効果と費用につ

いて教えてほしい。

回答:2・9月市会は2日間、5・11月市会は1日間、計年間6日間の代表質

疑を10時から12時まで、13時から17時前まで生中継しているが、どのくら

いの人が見ているのかという数字は掴んでいないものの、毎回かかさず見

ている人はいるという印象である。年間コストは手話通訳等も込みで2,700

万円程度である。生中継の時間内に代表質議を終わらせる必要があるため、

議員の質疑時間、理事者の答弁時間などは厳守にされており、動議なども

中継終了後に行うといった申し合わせがある。費用対効果については、色々

と意見があると思うが、中継については、今後も続けて行く予定である。

3 京都市会大規模災害対応指針について

質問:災害対応指針では、議会側の情報は一元化して行政側に伝達するとなっ

ているが、行政側からの情報はどのように議員に対して伝達されるのか。

回答:議会側の情報を一元化して行政側に伝達する意図は、行政側に混乱を招

かないようにするためであるが、逆に行政側からは、区を通じて、区選出

の議員に直接情報が伝達されているような実態があるため、今後は行政側

とも調整を図りたい。

質問:災害対応指針について、局地的に相当規模の災害が発生した場合の「局

地的」とはどの程度の範囲をさすのか。また、連絡先として携帯電話の番

号が記載されているが、当該電話は事務局長が管理しているのか。

回答:「局地的」の定義はなくケースバイケースで判断するしかないと考えてい

る。携帯電話については、事務局で保管している。

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質問:災害発生時に議会に求められる役割等について、災害対応指針に定めて

いる項目以外に想定しているものがあれば教えてほしい。

回答:議論の中では、指針をBCP(業務継続計画)として位置付けてはどう

かという意見もあったが、いったんは現在の指針のとおりまとまった。今

後、実際に運用していく中で足りない部分があればブラッシュアップも必

要と考えている。

質問:災害対応指針において、市会として災害対策本部を設置しないことの理

由を教えて欲しい。

回答:市会として災害対策本部を設置すると、指揮命令系統が2つできること

になり混乱を招く恐れがあるため、市会としての災害対策本部は設置しな

いこととしたが、それを補完するものとして、議長に市災害本部との連絡

調整権など付与している。

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札幌市議会運営委員会札幌市議会運営委員会札幌市議会運営委員会札幌市議会運営委員会 視察視察視察視察調査調査調査調査票票票票

( 広 島 市 )

1111 議員定数・議員定数・議員定数・議員定数・議会構成等について議会構成等について議会構成等について議会構成等について

⑴ 法定数(平成23年自治法

改正までのもの)及び条例

定数(これまでの推移を含

む)

・条例定数 54人

・現 員 数 54人

選 挙 年 法 定 数 条 例 定 数

昭和62年 64人 ―人

平成 3年 64人 ―人

平成 7年 64人 61人

平成11年 68人 60人

平成15年 64人 60人

平成17年

(増員選挙)

64人 61人※

平成19年 64人 55人

平成23年 64人 55人

※ 合併特例定数(平成19年5月1日まで)

⑵ 選挙区毎の人口と議員条

例定数及びその格差

(単位 人)

選挙区名

平成27年国勢

調 査 人 口

現行議員

定 数

議員一人当た

り の 人 口

人口比例

議員定数

中区 136,640 6 22,773 6.179

東区 120,155 6 20,026 5.433

南区 142,728 6 23,788 6.454

西区 190,929 9 21,214 8.634

安佐南区 242,512 10 24,251 10.967

安佐北区 145,018 7 20,717 6.558

安芸区 79,353 4 19,838 3.588

佐伯区 136,699 6 22,783 6.182

合 計 1,194,034 54 22,112 54

選挙区名 議員一人当たりの人口 格 差

最大区 安佐南区 24,251

1.222

最小区 安芸区 19,838

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⑶ 定数算定の基準、考え方 前任期では、議会改革推進会議において、平成23年8月か

ら平成26年6月までの間、議員定数の検討を行った。その際、

政令指定都市の議員定数等の状況に関する資料等を配布し議論

が行われた。しかし、具体的な削減数について、全会派の合意

を見出すことは難しい状況であったため、最終的には、各会派

の判断に委ねることとなった。

なお、その結果、平成26年6月定例会において、議員

定数を4減、3減、1減する3議案が提出され、1減する

議案が可決された。

⑷ 議員定数の見直しについ

来期の議員定数については、議会改革推進会議において、平

成29年度に検討を行うスケジュールとなっている。

⑸ 会派構成

会 派 名 称 人 数

自由民主党・保守クラブ 10人

自由民主党 9人

公明党 8人

市政改革・無党派クラブ 8人

日本共産党 5人

広島市民クラブ 5人

市民連合 4人

自由民主党立風会 3人

広島維新の会 1人

広島創生クラブ 1人

⑹ 交渉団体となる会派の条

件設定

3人以上の会派

⑺ 議会運営委員の選出方法 委員は、委員定数(14人)を交渉会派の所属議員数によっ

て比例按分し、各交渉団体に割り当てている。

算出に当たって、小数点以下の端数が生じたときは、大きい

端数の会派から、順次定数に達するまで切り上げる。

ただし、前記算出により、委員が割り当てられないこととなる

交渉団体を生じる場合には、当該交渉団体に委員1人を割り当

てることとする。

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2222 本会議及び予・決算審査の委員会運営について本会議及び予・決算審査の委員会運営について本会議及び予・決算審査の委員会運営について本会議及び予・決算審査の委員会運営について

(1) 本会議について

ア 質疑・質問の範囲・形態 議案に対する質疑と一般質問を別々に行っており、いずれも

会派代表制は採用していない。なお、2月定例会においては、

当初予算を初めとする新年度関係議案に対する質疑と一般質

問をあわせて行い、総括質問と称している。

発言順は、大会派順とし、会派で複数の議員が発言する場合

は、一人目の議員が一巡した後に二人目の議員が行う。

イ 人数・時間制限の有無 発言時間は、原則として最初の質問は30分、再質問は2回

まで、時間にして10分を限度とする。(答弁時間は含まない)

各会派の発言者数は、3人から6人会派の場合は1人、7人

から12人会派の場合は2人以内、13人から18人会派の場

合は3人以内、19人以上の会派の場合は4人以内とする。た

だし、所属議員が3人未満の会派についても、議長の許可を得

て、発言することができる。

ウ 説明員出席者の範囲及

び主な答弁者について

市長、副市長、各局長(教育長及び行政委員会事務局長を含

む。以下同じ)及び財政課長が出席し、答弁は市長、各局長が

行っている。

エ 一問一答制採用の有無 一問一答制は採用していない。

オ 質疑・質問が行われる本

会議日数

1定例会で3日間で行われる。

カ 1日あたりの総質疑・質

問時間

1日当たり、答弁時間を含め概ね4時間

(1人1時間程度、1日4人程度行っている)

キ 平成27年度の質疑質問

者数の実績

6定 9定 12定 2定

質問 11人 13人 12人 11人

質疑 4人 5人 3人 4人

ク 傍聴者への対応・市民へ

の情報提供

傍聴規則等の規定に基づき、傍聴希望者は、住所・氏名を記

載した傍聴券交付申請書を提出し、傍聴券の交付を受け、傍聴

することができる。

傍聴者には、当日の議事日程等(質問がある場合には内容・

項目を記載したもの)を配布している。

本会議で議席に配布する資料を事前に報道機関へも提供し

ている。

本会議の模様は平成13年10月から録画中継をホームページ

で公開しており、平成25年4月からYouTubeにおいても録画の配

信を行っている。生中継は、平成17年9月定例会から市内CATV、

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平成19年2月定例会からインターネットによる配信を開始して

いる。なお、平成28年11月からスマートフォンでの視聴にも対

応している。配信は、配信サーバー等の機器を借上げており、

年間経費は約200万円。

本会議の開催の広報として、平成25年12月定例会からデジタ

ルサイネージ、平成26年2月定例会からポスター掲示、平成28

年2月定例会からフェイスブックを運用し、市民への情報提供

を行っている。年間経費はポスター印刷代に約20万円。

本会議最終日には、市政記者を対象として、定例会の総括に

ついて議長記者会見を実施し、インターネット中継で配信して

いる。

また、定例会・臨時会の概要及び一般・総括質問の模様を30

分に編集し、市内CATVにおいて放映するとともに、YouTubeで

も配信している。

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(2) 予・決算審査の委員会について

ア 設置形態 予算については、議長を除く全議員で構成する予算特別委員

会を設置し、常任委員会の所管ごとに審査を行っている。

決算については、議長及び議会選出の監査委員を除く全議員

で構成する決算特別委員会を設置し、審査を行っている。なお、

決算特別委員会では、全委員が出席する全体会議のほか、2つ

の常任委員で構成する三つの分科会を設置し、常任委員会の所

管ごとに審査を行っている。

イ 事前通告制の有無 各所管関係審査日の2日前(土曜、日曜は期間に算入しな

い。)の午後5時を〆切とし、発言予定時間及び具体的な発言

要旨を通告するように求めている。

ウ 質疑について 予算特別委員会…質問回数の制限なし。会派人数割による会

派持ち時間制としている。

決算特別委員会…質問回数・時間の制限なし

エ 説明員出席者の範囲及

び主な答弁者について

予算特別委員会及び決算特別委員会の全体会議は、市長、副

市長及び関係局部課長が出席。

決算特別委員会の分科会は、関係局部課長が出席。

答弁はいずれも主に課長が行っている。

オ 質疑を行う審査日数 予算特別委員会は、消防上下水道関係は1日、他の五つの常

任委員会関係は2日ずつ、最後に総括質疑を1日行い、合わせ

て12日間質疑を行っている。

決算特別委員会は、総括質疑1日と三つの分科会が2日ずつ

で合わせて7日間質疑を行っている。なお、2つの分科会を同

日に開催するため、質疑を行う会議日数は4日間となってい

る。

カ 平成27年度の質疑者数

の実績

決算

(平成27年10月)

予算

(平成28年2,3月)

質疑者数 6 7 9 5 5 6 2 14 14 18 19 8 15 13

計 40 101

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キ 傍聴者への対応・市民へ

の情報提供

予・決算特別委員会を初め特別委員会及び常任委員会は公開

としており、委員長の許可は不要だが、傍聴者には傍聴申込書

の記入(住所、氏名)を求めている。また、傍聴者には委員会

資料(発言通告者一覧、説明員配席表)を配布している。

なお、傍聴席が15席程度であることから、傍聴希望者が委

員会室に入りきらない場合は、隣室の委員会室で音声のみ聞け

るようにしている。

平成23年2月から予算特別委員会、平成23年10月から決算特

別委員会(全体会議のみ)のインターネット生中継を開始して

いる。録画中継は予算特別委員会、決算特別委員会ともに平成

23年11月から開始している。なお、決算特別委員会の分科会は

録音データを平成24年10月から公開している。

また、予算・決算特別委員会の開催の広報として、平成28

年2月からフェイスブックを運用し、市民への情報提供を行っ

ている。

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3333 広島市議会における災害発生時の対応要領について広島市議会における災害発生時の対応要領について広島市議会における災害発生時の対応要領について広島市議会における災害発生時の対応要領について

・策定に至った経緯

平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害発生を受けて、同年に開催した議会改革推進会

議(地方自治法第100条第12項に規定する協議等の場)において市議会独自の対応要領

を検討し、平成27年4月に策定に至った。

・対応要領(指針)の内容

別紙のとおり

・対応要領(指針)に沿って対応した事例

平成28年12月5日現在まで無し。

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広島市議会における災害発生時の対応要領

(目的)

第1条 この要領は、広島市において大規模な災害が発生したときの広島市議会及び広島市議

会議員(以下「議員」という。)の対応等を定めることにより、広島市災害対策本部(以下

「市対策本部」という。)と連携し、被害の拡大防止、被災者の支援及び災害の復旧に寄与

することを目的とする。

(連絡会議の設置)

第2条 広島市議会議長(以下「議長」という。)は、災害の発生等により市対策本部が設置

された場合において、これと連携し災害対応に協力・支援等を行うために必要と認めるとき

は、広島市議会災害対応連絡会議(以下「連絡会議」という。)を設置することができる。

ただし、議長に事故があるとき、又は議長が欠けたときは、広島市議会副議長(以下「副議

長」という。)がこれを設置することができる。

(連絡会議の構成)

第3条 連絡会議は、議長、副議長、各会派の幹事長をもって構成する。

2 議長は、連絡会議を代表し、その事務を統括する。

3 副議長は、議長を補佐し、議長に事故があるとき、又は議長が欠けたときは、その職務を

代理する。

4 幹事長に事故があるとき、又は幹事長が欠けたときは、その所属する会派から代理者が参

加する。

5 議長は、必要と認めるときは、その他の議員の参加を求めることができる。

(連絡会議の任務)

第4条 連絡会議は、次に掲げる事務を行うものとする。

⑴ 議員の安否確認を行うこと。

⑵ 市対策本部から災害情報を収集し、議員に情報提供を行うこと。

⑶ 議員から災害情報を収集、整理し、市対策本部に情報提供を行うこと。

⑷ その他議長が必要と認める事項に関すること。

(議員の対応)

第5条 議員の対応は、次に掲げるとおりとする。

⑴ 自らの安否及び居所又は連絡場所を連絡会議に報告し、連絡体制を確立すること。

⑵ 連絡会議から情報提供を受け、地域の災害対応に資すること。

⑶ 被災地、避難所等の状況について、必要に応じて連絡会議へ報告すること。

⑷ 被災地における救援活動に協力すること。

⑸ 被災者に対する相談又は助言を行うこと。

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⑹ その他議員が必要と認める事項を行うこと。

(議会事務局の対応)

第6条 議会事務局の対応は、次に掲げるとおりとする。

⑴ 事務局長は、市対策本部の会議等に出席し、情報収集に努めるとともに、連絡会議に情

報提供すること。

⑵ 事務局職員は、連絡会議の事務に従事すること。

(その他)

第7条 この要領に定めるもののほか、必要な事項は、議長が別に定めるものとする。

附 則

この要領は、平成27年4月1日から施行する。

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議員

【安否確認フロー図】

広島市議会災害対応連絡会議

議員の

○安否

○居所又は

連絡場所

を確認する

安否連絡先

広島市議会事務局 総務課

TEL 082-504-2434(080-2916-3309)

FAX 082-504-2449

Eメール [email protected]

携帯メール [email protected]

自らの

○安否

○居所又は

連絡場所

を報告する

〇 議長 〇 副議長 〇 各会派の幹事長

連絡会議の構成

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【情報収集、情報提供フロー図】

被災地・避難所の状況等

情報提供

広島市災害対策本部

広島市議会災害対応連絡会議

議員の被災地における活動

○救援活動への協力

○被災者に対する相談又は助言

○その他

議員

各議員へ

情報提供する

市対策本部からの

災害情報を提供する

情報収集

災害情報報告先

広島市議会事務局 総務課

TEL 082-504-2434

FAX 082-504-2449

Eメール [email protected]

事務局長が

本部員会議

へ出席

会派

災害情報を報告する

緊急に対処しなければ

ならない事項を除く。

…議員からの情報

…市災害対策本部からの情報

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広島市議会での質疑応答

1 議員定数・議会構成等について

質問:10会派中、「自由民主党」という名称を使用している会派が3会派あるが、

経緯を教えて欲しい。

回答:政策的な理由から、「自由民主党・保守クラブ」と「自由民主党」は数年

前までは一つの会派であったが、二つの会派に分かれ、その後「自由民主

党・保守クラブ」から離脱した議員により「自由民主党・立風会」が結成

された。

質問:議会改革推進会議の構成メンバーと、検討項目を教えてほしい。

回答:各会派からの推薦された議員14名により構成され、代表・副代表は議長

が指名している。検討項目は、各会派から提案のあったものを順次検討し

ていているが、議員定数については重いテーマであるため、平成29年度に

検討することを事前に決定している。

質問:議会改革推進会議は公開で行われているのか。公開されているのであれ

ば、市民や報道関係者の傍聴状況を教えてほしい。

回答:公開の場でおこなわれており、市民の傍聴はほとんどないが、報道関係

者はテーマによって何社か傍聴することがある。

質問:議会改革推進会議でこれまで実際に検討された項目、また、成果として

表れているものがあれば合わせて示して欲しい。

回答:議会改革推進会議の直接の成果ではないが、政務活動費の領収書の市議

会ホームページでの公開については、推進会議では公開しない方向でいっ

たんの結論を得たものの、議長主催の各派幹事長会議において、昨今の世

論などにも鑑み、平成29年度から公開することが決まった。その他、通年

議会、土・日開催、タブレット端末によるIT化、海外視察の中止などを

検討してきたが、なかなか全会一致には至らず、成果というのは見出せて

いない。

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2 本会議及び予・決算審査の委員会運営について

質問:いつから、どのような経緯で、決算特別委員会において議会選出の監査

委員を除いているのか。

回答:経緯についての詳細は不明だが、議会選出の監査委員についても、あく

まで監査委員という立場で委員会には出席する。

質問:予・決算特別委員会の発言については、審査日の2日前の午後5時まで

事務局(議事課)に通告することとなっているが、事前に各部局とは接触

しているのか。

回答:正式には発言通告書が提出された後、事務局(議事課)から理事者(財

政課)へ発言通告書が送付され、その後、各所管課の課長が各議員と質問

内容を調整する。ただし、議員も、質問にあたっては事前に勉強・調査を

行う中で、理事者に問い合わせ等をしていることが多く、その点からも質

問項目はある程度掴んでいると思われる。

質問:予算特別委員会の質疑は、各派持ち時間制ということで、720分の割り返

しとなっているが、決算特別委員会の質疑は時間制限がないとのことで、

実際の質疑者数も少ないが、この違いはなんなのか。

回答:予算特別委員会と決算特別委員会の質疑の違いについては、特段の理由

はなく、慣例としてこのように取り扱っている。決算特別委員会での質疑

については、1時間・1時間30分・2時間と通告されるが、最近は18時く

らいを目途に委員会が終了するよう、時間を調整して質疑を行っているよ

うに感じる。

質問:予・決算特別委員会の審査日程の中に「要望事項提出期限」というもの

があるが、どういったものなのか。

回答:予・決算の審査通じた各会派の要望項目を事務局(議事課)に提出し、

その要望項目を基に委員長報告を作成することになる。委員長報告に採用

する項目は議論の経過を見ながら事務局で決定するとになるが、採用され

ない項目もある。なお、採用されなかった項目についても、一覧表を作成

し理事者に送付することで、市政へ反映するよう要望している。

質問:予算についての要望というのはわかるが、決算についての要望とはどう

いうことか。

回答:決算の審査を踏まえて、翌年度予算要求にあたるということになるため、

決算特別委員会においても要望という形をとっている。

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質問:札幌市議会では、各会派において次年度予算における要望等をおこなっ

ているが、当該要望はこれに代わるものと判断してよいか。

回答:そのとおり。また、翌年度の決算特別委員会においては、前年度の要望

に対する措置状況を書面で報告している。

質問:質疑にあたり図表・ディスプレイの使用が認められていること、会議室

にペットボトルの持ち込みが認められていることの経緯について教えてほ

しい。

回答:図表・ディスプレイの使用については、議会改革の中で、できるだけ市

民の方にわかりやすい開かれた議会にするという観点から、委員会の分科

会の中では、議員が作成した資料等を書画カメラを使ってディスプレイに

表示し、その映像を見ながら質疑を行っている。ペットボトルの持ち込み

については、会議中の熱中症などを考慮し、各派幹事長会議での検討の結

果、許可されることとなったが、実際に理事者が持ち込んでいるところを

見たことはない。

質問:3人未満の会派の本会議での質問は、議長の許可を得て可能とのことで、

実際には年に1回程度行われているとのことだが、何か規定等はあるのか。

また、不満等はないのか。

回答:特に規定等はないが、現在は各会派の所属議員とも年に1回程度しか質

問できないため、議長もそれに合わせて年1回程度の許可としており、概

ね理解は得ている。

質問:ケーブルテレビを活用した中継や広報番組の放映、YouTubeでの録画中継

について、手ごたえや費用について教えて欲しい。また、フェイスブック

を活用した情報提供について、運営方法・フォロワー数について教えて欲

しい。

回答:ケーブルテレビでの中継について、当初は録画中継からスタートし、現

在は生中継も放映しているが、録画中継スタート時にケーブテレビ側から

「費用をかけずに」という申し合わせがあったため、現在も費用はかかっ

ていない。また視聴率等は不明だが、市内の6割程度がケーブルテレビに

加入していることや、実際に市民から議員に対して「ケーブルテレビを見

た」という反響はあるため、ある程度の広報はできていると考えている。

この他に、1定例会につき、土・日に2回ずつの計4回、事務局が作成し

た広報番組をケーブルテレビの放送枠を年間22万円で購入し放映している。

YouTubeでの録画中継は、平成25年4月から開始し、可能な限り、ホームペ

ージに録画中継が公開された、同日中にYouTubeでも閲覧できるようにして

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いる。フェイスブックに関しては、議員で構成される広報委員会からの提

言により、平成28年2月から開始した。運用については、運用基準に基づ

き事務局が行っており、会議日程や一般質問の発言者や通告内容等を即日

掲載したり、議会の生中継・録画中継、広報誌、広報番組などの情報を発

信している。平成28年12月20日(視察当日)のフォロワー数は182となって

おり、1定例会あたり10~20人増えていっている感触であるが、フェイス

ブックを積極的に活用している議員が一般質問等をする場合には特に増え

ていると感じており、今後の可能性もあると考えている。

質問:広報番組で放映する一般質問部分について、各議員から様々な要望があ

ると思うが、それについては、どのように対応しているのか。

回答:平成28年12月定例会を例にすると、11人の議員が質問したため、1人あ

たり2分程度の持ち時間で編集することになる。実際に放映する質問につ

いては、広報誌に掲載する2問のうちから1問を議員に選んでもらい放映

しているが、当該質問を取り上げると大体2分程度に収まっている現状で

ある。その他個別の要望については柔軟に対応している。

質問:現議長から、本会議終了後に議長記者会見を行っているとのことだが、

始めた経緯と、その内容をマスコミはどのように取り扱っているのか。

回答:現議長が所信表明において「議長記者会見の実施」を掲げたため、各派

幹事長会議等に諮り導入された。会見は市政記者を対象に行われ、これま

で1・2度、翌日の新聞に会見の内容が掲載されたことがある。なお、議

長が変わった場合は、議長記者会見が無くなる可能性もある。

3 広島市議会における災害発生時の対応要領について

質問:対応要領は、平成26年8月の土砂災害の経験を踏まえ策定されたものと

のことだが、策定の際に、議員から出された経験に即した意見等について

教えてほしい。

回答:災害が発生以外の区の議員に情報がなかなか入ってこなかったというこ

と、災害が発生した区の議員が実際に行って効果のあった支援活動につい

て制限しないようにすべきといった意見があった。

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質問:事務局職員が、市の対策本部と連絡会議を調整することは大変だと思う

が、この点についてはどう考えているのか。

回答:実際には、議会事務局の職員も市の対策本部に参集することとなってお

り、そこから得た情報を必要に応じて議長等へ提供し、最終的には議長の

判断で連絡会議が設置されることになると考えるが、これまで設置された

ことはない。

質問:対応要領に基づき連絡会議が設置される基準(地震であれば震度5以上

など)はあるのか

回答:明確な基準はなく、あくまで議長の判断によるものだが、死者・行方不

明者が出た場合には設置される可能性が高い。なお、策定後、避難勧告が

出されたこともあったが、その際も設置はされていない。平成26年の大規

模土砂災害と同程度であれば間違いなく設置されると考える。

質問:災害が市内の一部の区のみで行った場合、議会側にも災害対策本部等を

設置し窓口を1本化したうえで、市の対策本部との連携・議員への情報提

供・議員との情報共有等を行った方が良いと考えているのか、それとも、

区選出の議員と区の災害対策本部等が個別に連絡を図った方が良いと考え

ているのか。

回答:本対応要領には、どちらの側面もあると考えている。連絡会議を設置す

ることは、市対策本部から得た情報や議員個人が得た情報を連絡会議で集

約し、各議員の情報量等に差がでないよう提供するためであり、議員の対

応についても臨機に行動できるよう規定している。