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武蔵野市 公民連携(PPP)に関する 基本的な考え方及び運用ガイドライン 平成 30 年 3 月 武蔵野市

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Page 1: 武蔵野市 公民連携(PPP)に関する 基本的な考え …...武蔵野市 公民連携(PPP)に関する 基本的な考え方及び運用ガイドライン 平成30年3月

武蔵野市

公民連携(PPP)に関する

基本的な考え方及び運用ガイドライン

平成 30年 3月

武蔵野市

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はじめに

武蔵野市は、これまで健全な財政を維持し、様々な市民サービスを行ってきた。一方で、

中長期の財政見通しは、生産年齢人口の減少による市税収入の減少、少子高齢化の進展や

高齢者の単身世帯の増加に伴う社会保障関係経費の増加、老朽化する公共施設や都市イン

フラの更新等により多額な費用が必要となり、財政状況が次第に悪化していくことが懸念

されるため、より効率的・効果的な行財政運営を推進するとともに市民サービスの向上に

つなげていく必要がある。

武蔵野市第五期長期計画・調整計画では、利活用が難しい市有地の売却や臨時的な貸付

等市有地の有効活用により、管理コストの節減や歳入増加を図ることや、民間等による施

設サービス提供が期待できる分野において、公民連携(Public Private Partnership。

以下、「PPP」という。)も視野に入れて市有地活用の手法を検討し、市民サービスの拡充を

図ることが明記されている。

また、武蔵野市公共施設等総合管理計画において、基本方針の一つに「行政と民間等の

役割分担の整理と PPPの活用」を掲げ、施設サービスの提供主体を公から民間等に移行す

ることや、市有地を民間に提供し、民間を誘致する等の PPP手法の活用のほか、広域連携

の可能性についても言及されており、今後検討が必要なものと位置づけられている。

なお、PPPの概念は広く、様々な手法が考えられるが、その適切な活用により、市の財政

に効果を及ぼすだけでなく、従来手法では実現できない市民サービスの向上が図れる可能

性がある。ただし、PPPはあくまで手法の一つであるので、事業手法を検討する際は PPPが

ふさわしいかふさわしくないかを十分検討し、その事業にとって最適な手法を検討する必

要がある。

このような考えのもと、武蔵野市は武蔵境駅北口市有地の有効活用に向けて、単に市政

センターを移転して市民の利便性向上を図るだけでなく、その立地を活かして駅前にふさ

わしい「にぎわい創出」、子育て世代が増えている武蔵境地域のニーズへの対応等、まちの

魅力向上や付加価値を得られる手法として、市有地を民間事業者へ貸し出す PPP手法を選

択した。

一方で、この事業に対して長年まちづくりにご協力いただいてきた地域の方々や議会か

らもご意見をいただいたこともあり、PPP事業における市民参加の在り方、議会の関与の在

り方を含めたガイドラインの策定が求められている。

本ガイドラインは、PPPに関する市の基本的な考え方を定めるほか、事業手法を検討する

際のプロセス並びに事業過程における市民及び議会との関わり方等を示したものである。

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目 次

Ⅰ PPPに関する基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

1 市政を取り巻く状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

2 PPP手法の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

3 PPPに関する国及び本市の取組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

4 PPPに関する基本的な考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

Ⅱ 事業計画検討プロセス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

1 検討の前提・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

2 最適な事業手法の選択・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

3 PPP運用ガイドライン(市有資産貸付方式※)・・・・・・・・・・・・・・・ 9

※今回は、市有資産貸付方式の運用ガイドラインとし、他の PPP手法に関するものは順次

追加していく

Ⅲ 本ガイドラインの適用等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16

資料編

用語集・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

ワーキンググループにおける検討経過・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

PPPに関するガイドライン策定庁内ワーキンググループメンバー一覧・・・・・・・・ 20

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Ⅰ PPPに関する基本的な考え方

少子高齢化の進行や都市インフラ等の老朽化を見据え、将来も持続可能な社会を目指し

て、現在、国や地方自治体で PPPの検討が進められている。

1 市政を取り巻く状況

(1)人口動態

平成 26 年度に実施した人口推計によると、基準日(平成 26 年1月1日)で 140,527

人の本市の総人口は、近年の大規模開発による人口流入の波及効果によって、当面は横

ばいから微増すると予測されている。

しかし、年齢3区分別人口で見ると、老年人口は増加傾向が続き、基準日で 21.5%の

老年人口比率が平成 57 年には 33.1%に達する。一方、年少人口は、基準日で 11.3%の

年少人口比率が当面微増した後、平成 49年に 8.9%まで低下、その後平成 57年には 9.5%

と若干回復する。また、生産年齢人口は、微減微増を繰り返しながら、基準日で 67.2%

の生産年齢人口比率が平成 57年には 57.4%まで低下する。

(出典:武蔵野市公共施設等総合管理計画)

(2)公共施設等の更新等

昭和 30~40年代の急激な人口増加や市民ニーズに対応し、早期から計画的に整備して

きた本市の公共施設や都市基盤施設は、老朽化が進行して更新時期を迎えようとしてい

る。

また、社会状況や人口構成の変化による市民ニーズの変化、多様化も予測され、これ

らに対応した施設更新やまちづくりが求められる。

【年齢3区分別人口の推移と予測】

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(出典:武蔵野市公共施設等総合管理計画)

(3)財政予測

これまで健全な財政を維持してきているが、今後は生産年齢人口の減少による歳入減及

び老年人口の増加による社会保障関連費用や公共施設等の更新費用等の歳出増が予測さ

れている。下記の財政シミュレーションでは、平成 38 年度までは基金残高は増えるが、

それ以降は減少に転じ、平成 52 年度には基金がなくなり、平成 57 年度には累積で 369

億円の財源不足となる。

(出典:武蔵野市第五期長期計画・調整計画)

※公共施設等や都市インフラの更新費用は、現状と同様の規模・仕様で更新した場合を想定している。 ※特別会計及び水道事業会計を除く一般会計を対象とし、事務事業の見直しによる削減も見込んでいる。

【公共施設の総量】

【財政シミュレーション】

築年度

床面積(㎡)

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(4)拡大・多様化する公共課題への対応

本市はこれまで様々な市民サービスを提供してきたが、今後ますます拡大、多様化して

いく公共課題に対し、行政だけではなく、民間等の様々な主体との役割を整理しつつ、

適切に対応していく必要がある。

(出典:「第五次武蔵野市行財政改革を推進するための基本方針及び武蔵野市行財政改革アクションプラン」

の公共サービスの提供主体イメージ図を基に作成)

2 PPP手法の概要

(1)PPPの目的と効果

一般的に、PPPの目的及びその効果としては、以下のように評価されている。

①市民サービスの質の維持向上

民間事業者等のノウハウ、専門知識、技術等を活用することにより、行政だけでは

生み出すことのできない多様な価値を創出し、市民サービスの質の維持向上を図る。

②行政経費の削減と行政資源の効率的・効果的配分

行政と民間事業者等との役割分担を「事業の最適化」の観点から見直し、そこに PPP

を活用することで歳入の確保を含めて行政経費の削減を図るとともに、新たに生み出

される人的・財政的経営資源を他の解決すべき公共課題に効率的・効果的に配分する。

③地域経済の活性化

これまで行政が直接行ってきた業務を民間事業者等に開放することにより、民間事

業者等の事業機会の拡大を促すとともに、雇用の創出、地元企業の参入機会増大等、

地域経済を活性化する。

拡大・多様化する公共課題に的確に対応していくために、その事業主体について、行政等

と民間等の役割を整理し、最適な事業主体が担うようにしていく

民間等

主体

公共課題

公共課題の拡大・多様化

行政等主体

行政等主体

民間等主体

【公共サービスの提供主体イメージ図】

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一方で事業の継続性、住民要望と一定の採算性を踏まえた事業提案とのバランスや市

の事業者に対するガバナンス等の課題も指摘されている。

(2)PPP手法の種類及び特徴

主な PPP手法と概要を一覧にすると下表のようになる。なお、PPP手法は多種多様であ

り、日々進化していくものである。そのため、PPP手法について常に最新の動向を注視し、

その手法に対応できるよう努める。

【主な PPP手法の類型】

(公共的な事業の一部又は全部を民間事業者へアウトソーシングする方式)

官民連携手法の類型 概要

PFI

(Private Finance

Initiative)

PFI法に基づく手法。公共サービスの提供に際し、民間資金を活用して民間事業

者に施設整備や公共サービスの提供を委ねる手法。

通常 PFI

(下記を除くも

の)

民間事業者が PFI事業の契約に基づいて、公共施設等の設計・建設・維持管理・

運営等を一括発注・性能発注・長期契約等により行う手法。

公共施設等運営権

制度

(コンセッション

方式)

民間事業者が PFI事業の契約に基づいて、公共施設等の運営権を取得し、公共施

設等の運営等の事業を長期的・包括的に行う手法。

PFIに類似する手法 PFI法に基づかない手法。PFI法には基づかないものの、民間事業者に施設整備

や公共サービスの提供を委ねる点で、PFIに類似する手法。

DB・DBO等

(Design Build)

(Design Build &

Operate)

民間事業者に設計・建設等を一括発注・性能発注する手法(DB)や、民間事業者

に設計・建設・維持管理・運営等を長期契約等により一括発注・性能発注する手

法(DBO)等。

包括的管理委託 民間事業者に維持管理等を複数年契約・性能発注等により一括発注・性能発注す

る委託手法。

指定管理者制度

地方自治法に基づく手法。公の施設の維持管理・運営等を管理者に指定した民間

事業者に実施させる手法。指定管理者は公の施設の利用料金を自らの収入とする

ことが可能。

民設公営

民間事業者が施設の設計・建設等を行い、公共主体が維持管理・運営等を行う手

法。(施設については、民間事業者から公共主体に譲渡する方式や賃貸する方式

等がある。)

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民設民営(PFIを除くも

の)

民間事業者が施設の建設・維持管理・運営を実施する手法。(財政援助出資団体

等への資産譲渡方式を含む。)

(他の事業・施設を併設・活用する方式)

収益施設の併設・活用 収益施設の併設、既存の収益施設の活用等、事業収入により費用を回収するもの

や、副産物の活用等付加価値を創出し施設のバリューアップを図るもの。

公的不動産の有効活用

PRE

(Public Real Estate)

※貸付方式を含む

公有地や公有施設を有償又は無償で民間事業者に貸付等し、民間事業者が公有地

や公有施設を活用して事業運営やサービスの提供を行うもの。

◎本市の武蔵境駅北口市有地有効活用事業はこの手法を選択した。

(公共主体による民間事業者への事業参入促進)

支援・助成

民間事業者が実施する公共的な事業に対して、一定の要件・期間等を設定し、活

動に必要な情報提供・財政的支援・場所や資機材の提供・共催や後援等の支援

を実施する手法。

民間提案制度 委託可能な公共的事業について、民間事業者側からの提案を受け付けることで、

民間事業者の参入を促進する手法。

手法の選択については、「事業運営」や「事業資金」に関する公の関与度等の視点も考慮

する必要がある。

3 PPPに関する国及び本市の取組み

(1)国の取組み

平成 11年に施行された「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する

法律(PFI 法)」は、主に新設の公共事業を念頭においたものであったが、その後、平成

15年に指定管理者制度の導入、平成 23年の PFI法改正でコンセッションや民間提案制度

が導入される等、対象の拡大や制度の充実が図られてきた。

平成 26 年4月には、全地方自治体に対し、平成 28 年度中の「公共施設等総合管理計

画」の策定や平成 29年度中の固定資産台帳の整備が要請された。

平成 27 年 12 月には、人口 20 万人以上の地方自治体に対し、「多様な PPP/PFI 手法導

入を優先的に検討するための指針」に基づく「優先的検討規程」の策定や「PPP/PFI地域

プラットフォーム」の設置等が要請され、今後、全ての自治体に対象が拡大されること

が予測され、PPPに関する取組みの推進が加速されている。

PPPを幅広く、かつ、実務手法として捉え、地域の実情に応じた実施手順等を検討する

ための参考となるよう、平成 28年 10月に内閣府・総務省・国土交通省より「PPP事業に

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おける官民対話・事業者選定プロセスに関する運用ガイド」が示され、事業構想段階か

らの官民対話の必要性を説明している。

(2)本市の取組み

平成 15年9月の指定管理者制度創設を受けて、本市は、民間事業者等が有するノウハ

ウを活用することにより、住民サービスの質の向上を図っていくことで施設の設置目的

を効果的に達成するため、平成 16 年 12 月に吉祥寺シアターで同制度を導入し、平成 17

年4月コミュニティセンター、文化施設、体育施設に一斉に導入し、現在 29施設(平成

29年4月1日現在)となっている。

平成 20 年8月に、「武蔵野市公有財産有効活用検討委員会」を設置し、使用目的が明

確でない未利用地や、低利用・暫定利用等により有効に活用されていない物件に関して

検討を行い、「未利用・低利用地の有効活用に関する基本方針」を定めた。同方針では一

部の土地を除き、原則として、Ⅰ活性化を図る土地、Ⅱ保有する土地、Ⅲ売却する土地、

Ⅳその他の分類に整理している。この方針に沿い、Ⅰ活性化を図る土地については、平

成 25年度から時間貸駐車場として貸出しを開始し、現在市内3か所で当該事業を展開し

ている。

平成 23 年7月には、「新武蔵野クリーンセンター(仮称)施設基本計画」において本

市初となる DBO 方式による事業手法を活用することを示し、事業者選定、建設工事を経

て、平成 29年4月から施設の運営が開始されている。

また、平成 28 年に改定した「第五期長期計画・調整計画」において、「Ⅳ行財政」の

「基本施策4 公共施設の再配置・市有財産の有効活用」として、「未利用地・低利用地

の有効活用に関する基本方針」を基に、PPPも視野に入れた市有財産の有効活用が記載さ

れている。

これを受け、「第五次行財政計画を推進するための基本方針及びアクションプラン」に

おいても同様の取組みの推進を位置付けている。

また、平成 29 年2月に策定した「公共施設等総合管理計画」においても、「Ⅳ基本方

針」の「5行政と民間の役割分担の整理と PPP の活用」として、その活用を図っていく

こととした。

これらの計画のもと、平成 28年に武蔵境駅北口市有地について、武蔵境市政センター

の駅前移転による市民の利便性向上とともに、駅前にふさわしいにぎわい創出や、武蔵

境のまちの魅力向上、近年増加している子育て世代への支援等も視野に入れ、これまで

の直営ではなく、市有資産の貸付方式手法による PPP手法活用を決定した。

なお、「武蔵野市公共施設等総合管理計画に関するアンケート調査報告書」(平成 29年

10月)によると、「施設の更新(建替え)や管理運営に民間のノウハウや資金を活用する。」、

「利用していない市の土地を売却・賃貸して収入を得る。」について、「賛成」「どちらか

といえば賛成」を併せた回答割合は 75%超と大きく、民間ノウハウの活用や未利用地・

低利用地の活用について、市民からの賛成意見が多い結果となった。

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【武蔵野市公共施設等総合管理計画に関するアンケート調査報告書<抜粋>】

●施設の更新(建替え)や管理運営に ●利用していない市の土地を売却・

民間のノウハウや資金を活用する。 賃貸して収入を得る。

4 PPPに関する基本的な考え方

前述のように、PPP手法の効果としては、民間事業者等のノウハウ等を活用することに

より、行政だけでは生み出すことができなかった多様な価値を創出し、市民サービスの

質の向上を図ることができる。さらに、行政と民間事業者等との役割分担を見直すこと

により行政経費の削減とその見直しによって新たに生み出された人的・財政的資源を他

の解決すべき公共課題に効率的・効果的に配分することができる。加えて、民間事業者

等の事業機会の拡大による雇用の創出等の地域経済の活性化につながるといったメリッ

トが挙げられる。

本市は「武蔵野市第五期長期計画・調整計画」や「武蔵野市公共施設等総合管理計画」

において、PPPも視野に入れた市有財産の有効活用について今後検討が必要なものである

と位置付けている。

したがって、今後公共課題の解決にあたっては、従来の枠組みにとらわれることなく、

PPP手法も含めた様々な手法の中から、常に最適な手法を選択することを基本とする。

しかしながら、PPPについては、事業の継続性、住民要望と一定の採算性を踏まえた事

業提案とのバランスや市の事業者に対するガバナンス等の課題もあるため、導入の検討

にあたっては、市民や議会の意見を聴きながら慎重に判断していく必要がある。

そのうえで、PPP手法を選択した際は、本ガイドラインに則り、引き続き市民や議会と

の対話を踏まえながら、具体的な事業を進めていく。

賛成

33.3%

どちらか

といえば

賛成41.9%

どちらとも

いえない

19.8%

どちらか

といえば

反対4.0%

反対

1.0%

N=817

賛成

44.2%

どちらか

といえば

賛成34.2%

どちらとも

いえない

15.2%

どちらか

といえば

反対…

反対

2.7% N=816

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Ⅱ 事業計画検討プロセス

ここまで PPP に関する武蔵野市の考え方を述べてきたが、様々な事業計画を検討・実

行していくにあたり、それにふさわしい事業手法を選択する必要がある。PPPはその手法

の一つであり、採用に際しては十分な検討を行う必要がある。

1 検討の前提

市民等との対話を行いながら、様々な事業計画の検討や PPP を含めた適切な事業手法

の選定及び事業の具体化を行っていくには、幅広い知識や経験が必要になることから、

これが実施可能な組織体制の整備、意思決定の明確化及び市民・議会・事業者との情報

共有が前提となる。

(1)庁内組織体制の整備

○市は、公民連携や公共施設マネジメントを含む資産活用を総括的に所管するマネジ

メント組織(以下、「マネジメント組織」という。)を設置する。マネジメント組織

は、庁内において公有資産の有効活用等について主導し、庁内関係各課と連携しな

がら、事務を進める。

○市は、資産活用に関する意思決定機関(以下、「意思決定機関」という。)を設置す

る。意思決定機関は、事業手法の方針や、PPP活用の意思決定等を行う。

(2)公共課題等に関する情報共有

○市は、長期計画や個別計画等に基づき、公共課題等について日頃から庁内、市民、

議会等との情報共有に努める。

○マネジメント組織は、市民、議員、職員等に対し、その目的、効果及び課題などを

含めた PPPの理解促進に努める。

2 最適な事業手法の選択

市は、様々な公共課題やその解決の方向性について、市民や議会との議論を重ねなが

ら長期計画や個別計画に位置づける計画行政を進めてきており、この過程は今後も継承

していくが、その事業手法についても市民、議会及び事業者との対話を行いながら最適

な事業手法を検討していく。

検討に際しては、市が直営で実施すべき事業かどうかを十分に検討するとともに、

ⅰ)民間事業者のノウハウを生かした創意工夫が期待できるか

ⅱ)使用料・利用料等による収益が見込めるか

ⅲ)民間と公共で明確にリスク分担ができるか

ⅳ)市民サービスの向上が図れるか

等の「全体最適化」の検討を行ったうえで、PPP 手法(P.4~5 参照)の適性も十分に検

討する。

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- 9 -

上記を踏まえたうえで、意思決定機関は最適な事業手法について、その方針を意思決

定する。

3 PPP運用ガイドライン(市有資産貸付方式)

以下は、検討の結果、当該公共課題を解決する手法として PPP(市有地貸付方式)が選

択された場合のガイドラインを示す。なお、貸付方式以外の他の PPP手法運用プロセス

は今後順次加えていく。

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- 10 -

11公募予告

12募集要項公表

13質疑回答(随時実施)

14資格審査

14資格審査

15プレゼン・ヒアリング・審査

16優先交渉権者決定

17審査結果・提案内容等公表

17審査結果通知

18基本協定締結【マネジメント組織主体】

19借地契約締結【マネジメント組織主体】※課題

議決を要するか(10で議決経ていればいらないか)

運 営 開 始

20(借家契約締結)【マネジメント組織主体】

竣工

21モ ニ タ リ ン グ

【 マ ネ ジ メ ン ト 組 織 主 体 】

21モ ニ タ リ ン グ 状 況 等

適 宜 報 告

【 マ ネ ジ メ ン ト 組 織 主 体 】

事 業 者 選 定 段 階 事 業 開 始 後 段 階

事 業 開 始

5 ~ 9 か 月

マネジメント組織

事業所管課

意思決定機関

時間軸

PPP(市有資産貸付方式)検討フロー図(案)

審査委員会

事業者

市民

議会

3特定の市有地の

貸付方式活用方針の提案

5対話結果の共有

6PPP活用を意思決定

事 業 手 法

検 討 段 階

7審査委員会の設置

9募集要項等作成・決

10市民・議

会に募集要項説明

※課題:議決を要するか

事 業 具 体 化 段 階

2事業手法の検討・方

針決定

➣直営・P

FI・民

間委託・指

定管理・市

有地活用等

1ーA事業手法に関する対話

二重枠:行政の意思決定

青塗:市民意見等を聞きながら行

政の執行権で実施(議決以外)

1ーB事業手法に関する対話

1ーC事業手法に関する対話

4-A提案に関する対話

4-B提案に関する対話

4-C提案に関する対話

(サウンディング調査)

8-A募集要項等案に関する対話

8-B募集要項等案に関する対話

8-C募集要項等案に関する事業

者対話(サウンディング調査)

8-D募集要項等案に関する対話

貸付の手法を検討する場合は、以下のフローを活用する。

(貸付以外の手法の場合は、このフローは活用しない)

【事業全体のプロセス】

マネジメント組織

事業所管課

意思決定機関

時間軸

PPP(市有資産貸付方式)検討フロー図

審査委員会

事業者

市民

議会

1特定の市有地の

貸付方式活用方針の決定・提案

3対話結果の説明・意見交換

4PPP活用を意思決定

5審査委員会の設置

7募集要項等作成・決定

8市民・議会に募集要項の説明・意見交換

事 業 具 体 化 段 階

2-C提案に関する対話

(サウンディング調査)

6-A募集要項等案に

関する対話

6-B募集要項等案に関する対話

6-C募集要項等案に関する事業

者対話(サウンディング調査)

6-D募集要項等案に関する対話

2-A提案に関する対話

2-B提案に関する対話

事 業 計 画 検 討 プ ロ セ ス事業手法の検討・方針決定

➣直営・PFI・民間委託・指

定管理・市有地活用等

公共課題及び解決方法に関する対話

公共課題及び解決方法に関する対話

公共課題及び解決方法

に関する対話

(サウンディング調査)

貸付の手法を検討する場合は、以下のフローを活用する。

(貸付以外の手法の場合は、このフローは活用しない)

公共課題及び解決方法

の検討

(長期計画・個別計画策定

過程含む)

全ての事業に共通する過程(※本ガイドラインの対象外)

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- 11 -

凡例

:対話

:行政の意思決定

:議会の関与

※当該土地が、2,000

㎡以上の場合は、議決事項とする。

2,000

㎡未満の場合は、報告事項とする。

9公募予告

10募集要項公表

11質疑回答(随時実施)

12資格審査

13プレゼン・ヒアリング・審査

14優先交渉権者決定

15審査結果等公表

15審査結果通知

運 営 開 始

竣工

16モ ニ タ リ ン グ

【 マ ネ ジ メ ン ト 組 織 主 体 】

16モ ニ タ リ ン グ 状 況 等 適 宜 報 告

【 マ ネ ジ メ ン ト 組 織 主 体 】

事 業 者 選 定 段 階 事 業 開 始 後

事 業 開 始

5 ~ 9 か 月

20(借家契約締結)【マネジメント組織主体】

19借地契約締結【マネジメント組織主体】

17基本協定締結【マネジメント組織主体】

18定期借地権の設定

※議決又は報告事項

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- 12 -

(1)PPP事業(市有地貸付方式)具体化段階

この段階においても、市民、議会及び事業者との丁寧な対話を行いながら事業の具体

化を図る必要がある。

①所管課及びマネジメント組織は、当該事業を実施するために、特定の市有地について、

民間事業者への貸付手法を採用する方針について、意思決定機関による意思決定を踏

まえ、これを提案する。【フロー1】

②所管課及びマネジメント組織は、当該事業及び手法について市民と対話を行う。【フロー

2-A】

なお、対話手法は、当該事業に関連する市民、団体等(当該市有地周辺地域住民を含

む。)との意見交換及びパブリックコメントを基本とする。

③所管課及びマネジメント組織は、当該事業及び手法について議会と対話を行う。【フロー

2-B】

なお、対話手法は、当該事業を所管する常任委員会への行政報告を基本とする。

④所管課及びマネジメント組織は、市民・議会の対話結果を参考に事業概要書を作成し、

当該事業及び手法に関心を示した事業者と対話(サウンディング調査)を行う。【フロー

2-C】

⑤市民・議会の対話結果及びサウンディング調査結果を市民・議会に説明し、意見交換

する。【フロー3】

⑥所管課、マネジメント組織及び意思決定機関は、当該事業を実施するために、当該市

有地を民間事業者へ貸し付ける PPP手法を採用することを意思決定する。【フロー4】

⑦所管課及びマネジメント組織は、募集要項等の作成に先立ち、後のプロポーザルにお

いて提案の審査を行う委員会(以下、「審査委員会」という。)を設置する。なお、審

査委員は当該事業の規模、内容及び専門性等に応じて適切に選定する。【フロー5】

⑧所管課及びマネジメント組織は、市民・議会との対話結果及びサウンディング調査結

果を参考に募集要項案等を作成し、これに関して市民と対話を行う。【フロー6-A】

なお、対話手法は、当該事業に関連する市民・団体等並びに当該市有地周辺地域住民

との意見交換及びパブリックコメントを基本とする。

⑨所管課及びマネジメント組織は、議会と対話を行う。【フロー6-B】

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なお、対話手法は、当該事業を所管する常任委員会への行政報告を基本とする。

⑩所管課及びマネジメント組織は、募集要項等の案に関心を示した事業者と対話(サウ

ンディング調査)を行う。【フロー6-C】

⑪所管課及びマネジメント組織は、審査委員会と対話を行う。【フロー6-D】

⑫所管課及びマネジメント組織は、市民、議会、事業者及び審査委員会の意見をどのよ

うに反映できるか(意見内容に配慮した提案には一定の加点をすること、提案内容に

一定水準を担保するため最低点を設定すること、最優秀提案者と双方合意を前提に、

提案内容に関する協議の余地を担保すること等を募集要項に記載する等)検討しなが

ら、募集要項等を確定し、意思決定機関はこれを意思決定する。【フロー7】

⑬所管課及びマネジメント組織は、募集要項等について、市民及び議会に説明し、意見

交換を行う。【フロー8】

(2)事業者選定段階

事業者の選定は、公平・公正な審査・評価が損なわれることがないよう心掛ける。

また、審査結果等については、速やかに市民、議会等に公表する。

①マネジメント組織は、事業者に対して公募予告を行う。【フロー9】

②マネジメント組織は、募集要項を公表する。【フロー10】

③マネジメント組織及び所管課は、募集要項等に関心を示した事業者に対し募集要項等

に関する質疑回答を行う(随時)。【フロー11】

④マネジメント組織は、公募型プロポーザルに参加の意向を示した事業者から提出され

た書類に関し、募集要項等に基づいて資格審査を行い、その結果を事業者に通知する。

【フロー12】

⑤マネジメント組織及び所管課が事務局となり、審査委員会が公募型プロポーザルに参

加した事業者の提案書類及びプレゼンテーションに対して審査を行い、優先交渉権者

予定者等を選定する。【フロー13】

⑥マネジメント組織及び所管課が事務局となり、審査委員会の選定結果をもとに、意思

決定機関は優先交渉権者を決定する。【フロー14】

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⑦マネジメント組織は、公募型プロポーザルに参加した事業者に審査結果を通知すると

ともに、審査結果等を公表する。

なお、審査結果の透明性の確保の観点から、公募型プロポーザルに参加した各事業者

の提案及び審査等の概要を積極的に公表する。ただし、公表の時期は基本協定締結後

とする。【フロー15】

(3)事業開始後

決定事業者と基本協定、定期借地権設定契約等を締結する際には、十分な法務上の検

討を行う。また、PPP事業は中長期に渡ることとなるが、時代の変化に対応しつつ、事業

効果を保持していくために適切なモニタリングを行う。

①マネジメント組織及び所管課は、決定事業者による事業開始後、モニタリング(次ペ

ージ参照)を行うとともに、市民及び議会に対して適宜報告する。【フロー16】

②マネジメント組織及び所管課は、決定事業者と協議のうえ基本協定書案を作成し、意

思決定機関で決定したうえで、決定事業者と協定を締結する(以下、「契約事業者」と

いう。)。【フロー17】

③マネジメント組織及び所管課は、契約事業者と協議を進め、議会と定期借地権の設定

について、以下のとおり進める。【フロー18】

○当該土地の面積が、

ⅰ)2,000㎡以上の場合は、議会の議決事項とする。

ⅱ)2,000㎡未満の場合は、議会への報告事項とする。

④マネジメント組織及び所管課は、契約事業者と協議のうえ定期借地契約書案を作成し、

意思決定機関で決定したうえで、契約事業者と契約を締結する。【フロー19】

⑤マネジメント組織及び所管課は、契約事業者と協議のうえ建物賃貸借契約書案を作成

し、意思決定機関で決定したうえで、契約事業者と契約を締結する。【フロー20】(市が

建物床を賃借する場合に限る。)

※なお、当該契約を締結する前に、地方自治法第 211 条に基づき、債務負担行為につ

いて議決を経る必要がある。

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【モニタリングに関する PDCAサイクルのイメージ】

Check(評価)

Action(改善) Do(実施)

事業継続の検証

・手法の検証

・事業の見直し

PPP 事業の実施

・効果の達成度評価

・PPP 手法が適切か

評価

モニタリング等

・成果の分析

・モニタリング評価

PPP 活用の範囲と

PPP 手法の選択

・PPP 手法導入検討

・想定される効果設定

事後評価

事前評価

継続

結果に基づ

く検討

見直し・改善 Plan(計画)

(実施)

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Ⅲ 本ガイドラインの適用等

(1)本市が PPPにより実施する事業は、原則として本ガイドラインに則って行う。

(2)社会状況の変化等により、本ガイドラインの見直し等が必要となった場合は、速やかに

これを改定する。

(3)PFI等、市有地貸付方式以外の PPP手法に関するガイドラインについては、今後検討し、

本ガイドラインに追記していく。

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資料編

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用語集

用 語 説 明

官民対話

市有資産の活用等について、事業の検討段階で民間事業者のア

イデアや市場性の有無をヒアリング等で把握すること。民間提

案(構想提案型、または段階提案型)、セミナー・フォーラム

活用型、サウンディング型、競争的対話型、段階選定型などの

手法がある(PPP/PFI事業を促進するための官民間の対話・提

案 事例集(平成 27年6月国土交通省総合政策局)参照)。

公共施設等総合管理計

全国的に公共施設等の老朽化対策が大きな課題となっており、

厳しい財政状況の中、今後人口減少等による公共施設等の利用

需要の変化が予想されることを踏まえ、公共施設等の全体状況

を把握し、計画的な整備更新を行うために作成する計画。総務

省が地方公共団体に作成を要請している。なお、本市は本計画

を平成 29年2月に策定した。

公民連携(PPP) 公(国、地方自治体等)と民(民間事業者、NPO法人等)が連

携して公共サービスの提供を行うスキームを PPP(パブリッ

ク・プライベート・パートナーシップ)と呼ぶ。PPPの中には、

PFI、指定管理者制度、包括的管理委託、PRE等が含まれる。

固定資産台帳 自治体が所有する固定資産を、その取得から除売却処分に至る

までの経緯を個々の資産ごとに管理するための帳簿であり、全

ての固定資産(道路、公園、学校等)について、取得価額、耐

用年数、減価償却累計額等のデータを網羅的に記載したもの。

総務省からは、原則として平成 29年度までに全ての地方公共

団体において作成することが要請されている。

地方公会計における財務書類の補助簿として価額管理に用い

られるほか、地方公共団体が保有する財産の適切な管理及び有

効活用に役立つものであり、「公共施設等の老朽化対策」とい

う課題を有形固定資産減価償却率などの数値データで「見える

化」するもの。

なお、多くの自治体で人口が減少し、税収が減少すると見込ま

れるなか、「公共施設等の老朽化対策」は自治体運営を根本的

に見直す鍵になると言われている。

サウンディング調査 官民対話の一つの手法。事業発案段階や事業化段階において、

新たな事業内容の提案を受け、事業内容に関する質疑応答や意

見把握等を行うことで、主として事業化検討を進展させること

を目的とした手法。

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定期借地権設定契約 一般の借地権と異なり、当初定められた契約期間で借地関係が

終了し、その後の更新がない。そのため、従来の借地では、貸

主がいったん土地を貸すと、契約期間が満了しても土地返還を

求めることがほぼ不可能であったが、定期借地権の場合は期間

満了とともに土地が返還されるため、貸主に有利な制度であ

る。なお、定期借地権は存続期間、利用目的、契約方法等の違

いにより一般定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付

借地権の3種類ある。

PPP/PFI地域プラットフ

ォーム

地域の企業、金融機関、地方公共団体等が集まり、PPP/PFI事

業のノウハウ習得と案件形成能力の向上を図り、具体の案件形

成を目指した組織体。平成 27年 12月の民間資金等活用事業推

進会議において、「多様な PPP/PFI手法導入を優先的に検討す

るための指針」が決定され、公共施設等管理者は、地域プラッ

トフォームを設置するよう努めるものとすると記載されてい

る。

武蔵境駅北口市有地有

効活用

低利用地であった武蔵境駅北口市有地を有効活用し、武蔵境市

政センターの駅前移転による市民の利便性向上のほか、立地を

活かし「にぎわい創出」、子育て世代が増えている地域のニー

ズ等など、まちの魅力向上や付加価値を得られる手法として、

PPP手法(貸付方式)を選択した。当該市有地を民間事業者に

30年間貸付け、当該市有地に民間事業者が建物を建設・維持

管理を行い、市はその建物の一部を武蔵境市政センターとして

賃借する。1階には親子カフェ、クリニック、薬局。2階は市

政センターと体操教室、屋上はバーベキューもできる広場が設

置される。平成 30年1月末竣工。

モニタリング モニタリングとは、委託や指定管理者制度などについて、安全

管理を含む業務の履行確認及びサービスの質、財務状況等に関

する評価を行い、各業務を継続的に管理・監督すること。

優先的検討規程 公共施設等の更新・改修・運営等などを行う際に、これまで採

用されてきた従来型の手法よりも、PPP/PFI手法の導入を優先

的に検討することをルール化したもの。平成 27年 12月の民間

資金等活用事業推進会議において、「多様な PPP/PFI手法導入

を優先的に検討するための指針」が決定され、人口 20万人以

上の地方自治体は優先的検討規程を定めるよう要請された。

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ワーキンググループにおける検討経過

回 日程 内容

第1回 9月 28 日 職員研修会_公共施設等を取り巻く環境と生きる手段とし

ての PPP/PFI

PPP/PFIの可能性と留意点

武蔵境駅前の市有地活用

公有地活用と市民・議会との関係

優先的検討規程

第2回 10月 19 日 貸付フロー(案)の共通理解

民間事業者から見た貸付フロー(案)

市民から見た貸付フロー(案)

議会から見た貸付フロー(案)

庁内から見た貸付フロー(案)

第3回 11月 14 日 ガイドライン(案)の検討

第4回 11月 15 日 ガイドライン(案)の検討

第5回 11月 22 日 ガイドライン(案)の検討

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PPPに関するガイドライン策定庁内ワーキンググループメンバー一覧

部署 職 氏名

総合政策部企画調整課

参事 堀内 誠

主査 丸山 貴文

主事 尾身 裕太郎

総務部自治法務課 主任 石田 尚史

財務部財政課 主任 大原 正樹

財務部管財課 主任 阿部 理惠子

主任 伊藤 直

健康福祉部高齢者支援課 係長 小久保 渉

都市整備部まちづくり推進課 主査 吉田 秀生

都市整備部吉祥寺まちづくり事務所 主査 澤田 和弥

(公募職員)財務部施設課 主任 監物 梢

(公募職員)防災安全部防災課 主任 大澤 皓太

(公募職員)環境部クリーンセンター 主任 関 彩奈

(公募職員)子ども家庭部子ども家庭支援

センター 課長補佐 目澤 弘康

(公募職員)都市整備部建築指導課 課長補佐 伊藤 賢二

(公募職員)会計課 主任 福井 崇

オブザーバー

会社名 役職 氏名

特定非営利活動法人

日本 PFI・PPP協会 業務部長 寺沢 弘樹

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武蔵野市公民連携(PPP)に関する

基本的な考え方及び運用ガイドライン

平成 30年 3月

発行 武蔵野市総合政策部企画調整課

〒180-8777 東京都武蔵野市緑町二丁目2番 28号

電話 0422-60-1801