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若い世代の食生活と、その課題 千葉県立保健医療大学 芙美 (医学博士, 米国登録栄養士)

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  • 若い世代の食生活と、その課題

    千葉県立保健医療大学

    林 芙美(医学博士, 米国登録栄養士)

  • 概 要

    • 若い男女の食生活の実態、課題

    • 行動変容をねらった食生活支援のポイント

    栄養カウンセリングによる個人へのアプローチ

    食環境整備の重要性

  • 29.5 29.029.3

    31.631.2 29.6

    31.7 31.2 31.7

    29.629.0

    23.9

    22.5 21.923.1 23.1

    23.324.6 24.4 24.2

    22.521.5

    20

    22

    24

    26

    28

    30

    32

    34

    2003年 04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年

    20~60歳代男性 20歳代女性

    男性肥満者と若年女性の「やせ」の分布の年次推移

    平成25年国民健康・栄養調査(厚生労働省)

    健康日本21(第二次)目標値: 20~60歳代男性の肥満者の割合 28%

    20歳代女性のやせの者の割合 20%

    (%)

  • 7.0

    10.3

    12.9

    10.7

    8.5

    5.2

    2.7

    0.3

    0.7

    0.4

    0.9

    0.6

    0.1

    5.4

    18.5

    12.5

    8.0

    3.9

    2.6

    1.2

    0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0

    総数

    20‐29歳

    30‐39歳

    40‐49歳

    50‐59歳

    60‐69歳

    70歳以上

    菓子・果物などのみ 錠剤などのみ 何も食べない

    19.6%

    7.9%

    平成24年国民健康・栄養調査(厚生労働省)

    朝食の欠食状況 (20歳以上男性)

    (%)

    12.8%

    29.5%

    25.8%

    13.1%

    3.9%

  • 5.9

    10.5

    9.6

    7.8

    7.0

    4.6

    2.8

    0.2

    0.5

    0.7

    0.3

    0.3

    2.9

    11.2

    4.5

    4.1

    2.0

    1.7

    0.6

    0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0

    総数

    20‐29歳

    30‐39歳

    40‐49歳

    50‐59歳

    60‐69歳

    70歳以上

    菓子・果物などのみ 錠剤などのみ 何も食べない

    12.1%

    6.5%

    平成24年国民健康・栄養調査(厚生労働省)

    朝食の欠食状況 (20歳以上女性)

    (%)

    9.0%

    22.1%

    14.8%

    9.2%

    3.6%

  • 「健康日本21」(第二次)野菜と果物の摂取量の増加

    目標項目 野菜と果物の摂取量の増加

    現状*1 目標*2

    野菜摂取量の平均値 282g

    果物摂取量100g未満の者の割合 61.4%

    350g

    30%

    *1平成22年国民健康・栄養調査 *2平成34年国民健康・栄養調査

    厚生労働省:国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針(平成24年7月10日)

    野菜・果物の摂取増加により、カリウムの摂取増加が見込まれ、降圧作用が期待されている。

  • 日本人の野菜摂取状況(成人)

    9.4

    7.4

    7.4

    4.8

    4.1

    5.4

    17.7

    16.4

    16.4

    11.7

    10.9

    10.9

    18.3

    20.7

    20.7

    18.3

    16.1

    16.4

    18.9

    18.3

    18.3

    20.1

    17.3

    16.6

    15.2

    14.7

    14.7

    15.2

    14.7

    16.6

    20.5

    22.5

    22.5

    29.8

    36.8

    34.2

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    20‐29歳

    30‐39歳

    40‐49歳

    50‐59歳

    60‐69歳

    70歳以上

    70g未満 70‐140g未満 140‐210g未満210‐280g未満 280‐350g未満 350g以上

    平成24年国民健康・栄養調査(厚生労働省)※全国補正値

    20歳以上男女計(26,726名)

  • 52.4 

    54.6 

    49.8 

    38.1 

    26.8 

    21.4 

    11.7 

    9.6 

    9.3 

    8.5 

    6.2 

    5.0 

    11.3 

    13.0 

    14.7 

    14.0 

    13.4 

    14.8 

    8.5 

    8.4 

    9.8 

    12.9 

    14.1 

    13.9 

    5.9 

    5.1 

    6.0 

    8.9 

    11.9 

    12.6 

    10.2 

    9.3 

    10.4 

    17.5 

    27.6 

    32.2 

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    20‐29歳

    30‐39歳

    40‐49歳

    50‐59歳

    60‐69歳

    70歳以上

    0g 50g未満 50‐100g未満

    100‐150g未満 150‐200g未満 200g以上

    果実類(ジャムを除く)摂取量の分布

    厚生労働省:平成24年国民健康・栄養調査

    20~30歳代のおよそ8割が、果物摂取量が1日あたり100g未満で、半数以上は摂取量が0g/日。

    20歳以上男女計(26,726名)

    66.6g

    59.9g

    67.3g

    98.2g

    141.9g

    158.0g

    平均値

    日本人の果物摂取状況(成人)

    ※全国補正値(ジャム類を除く)

  • 所得と野菜・果物類摂取量の関係

    厚生労働省:平成23年国民健康・栄養調査

    野菜、果物、肉類の摂取量は、200万円未満の世帯で少ない。

    単位:g/日*

  • 食行動変容をねらった

    個人へのアプローチ

    • Step 1: 準備性や問題行動を明確にする

    • Step 2:行動ときっかけ(刺激)との関係を分析

    する

    • Step 3:行動目標を設定し、実行する

    • Step 4:結果とプロセスを確認しながら、

    続ける

  • 健康的な食物人 間

    医療機関保健所・保健センター

    大学・研究機関食料品店・スーパーコンビニ・自動販売機

    家族・家庭

    友人・近隣

    学校・職場

    マスメディアインターネット

    外国からの食情報と食物 農・水・畜産場

    食品企業

    つくる

    食べる

    食・健康情報へのアクセス

    食物へのアクセス

    (フードシステム)

    地域社会

    自然文化社会の条件

    飲食店ファーストフード

    児童館・公民館塾・スポーツクラブ

    食生活を営む力を形成し伝承する 歴史

    給食

    地域社会の食環境

    本人の行動・家族や職場の支援に加え,地域社会としての「健康的な食物へのアクセス」も重要

  • 51.2

    39.9

    41.1

    40.6

    48.6

    62.6

    75.3

    7.6

    10.1

    9.2

    7.3

    7.9

    9.6

    9.5

    21.2

    33.0

    34.6

    35.5

    29.7

    19.9

    10.4

    16.9

    10.7

    11.4

    12.8

    11.1

    4.7

    3.1

    6.4

    3.7

    3.8

    2.7

    3.3

    4

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    総数

    20‐29歳

    30‐39歳

    40‐49歳

    50‐59歳

    60‐69歳

    70歳以上

    家庭食 調理済み食 外食 給食 欠食

    平成24年国民健康・栄養調査(厚生労働省)

    昼食はどこで食べているのか(20歳以上男性)

  • 89.3

    95.5

    109.2

    85.4

    91.8

    105.7

    171.2

    188.7

    214.5

    143.1

    169.9

    190.0

    0 50 100 150 200 250 300 350

    ほとんど毎日1回以上

    週2~5日

    ほとんど利用しない

    ほとんど毎日1回以上

    週2~5日

    ほとんど利用しない

    緑黄色野菜 その他の野菜

    平成12年国民健康・栄養調査(厚生労働省)

    外食の利用頻度別にみた野菜摂取量(20歳以上男女)

    (g/日)

  • 0% 20% 40% 60% 80% 100%

    食物繊維5.3 3.0 1.31.1

    1.0 0.7

    1.3

    野菜類

    穀物

    果実類

    いも類

    豆類

    きのこ類

    藻類

    40

    食物繊維の食品群別供給源(全国補正値、総数、1歳以上)

    平成24年国民健康・栄養調査結果より

    総量14.2 g

    目標量(2010年版⇒2015年版)18~69歳男性19g⇒20g/日以上、女性17g⇒18g/日以上※2015年版では、6~17歳の子どもについても目標値を新設

    37%

  • 生活習慣病対策のために世界がとるべき5つのアクション(国際連合:生活習慣病に関する国際連合学識者会議, 2011年9月)

    1. Tabacco useたばこ

    Accelerated implementation of the WHO Framework Convention on Tabacco Controlたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の履行の推進

    2. Dietary salt食塩

    Mass‐media campaigns and voluntary action by food industry to reduce consumption食品の消費を抑えるためのマスメディア・キャンペーンと食品企業による自発的な活動

    3. Obesity, unhealthy diet, and physical inactivity

    肥満、不健康な食事、運動不足

    Mass‐media campaigns, food taxes, subsidies, labelling, and marketing restrictionsマスメディア・キャンペーン、食品への課税、助成金、表示、販売制限

    4. Harmful alcohol intake有害飲酒

    Tax increases, advertising bans, and restricted access増税、広告の禁止、入手の制限

    5. Cardiovascular risk reduction心疾患系疾患のリスクの低下

    Combination of drugs for individuals at  high risk of NCDs生活習慣病高リスク者への複数種類の薬剤の利用

    日本人の食事摂取基準(2015年版)のオリジナル資料, p46

  • • 情報を提供する例)教育、普及啓発

    • 選択を可能とするよう環境を整える例)家庭や職場に果物を置く

    • デフォルトを変えることによる選択を誘導する例)果物は丸ごと出す、セットのサイドメニューに加える

    例)生活保護費の一部を果物や野菜購入費に限定する

    • インセンティブにより選択を誘導する例)望ましい行動をほめる、ヘルシーレストランを表彰する

    例)学校やボランティア団体は果物を安く購入できる

    • 逆インセンティブにより選択を誘導する例)果物を販売しない小売・外食の法人税をあげる

    行動変容を促すための食環境の整備

    大島明. 保健の科学 2013:55;322の表1「介入のはしご」より一部引用、改変

  • 若い世代の食生活の課題・対策(まとめ)

    • 朝食欠食、野菜・果物不足、など• 女性のやせ、男性の肥満

    ⇒次世代の健康リスクへの危惧

    • 食行動には多様な要因が関わっているため、対象者を知ることが行動変容に向けた支援の第一歩

    • 個人に向けたアプローチと、望ましい食環境整備の両面での食育が重要