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電気学会論文誌 D(産業応用部門誌) IEEJ Transactions on Industry Applications Vol.133 No.7 pp.707–713 DOI: 10.1541/ieejias.133.707 一方向非接触給電から拡張容易な双方向非接触給電システム 望月 大樹 学生員 仲達崇一郎 非会員 渡辺 境野 金子 裕良 阿部 保田 富夫 ∗∗ Bidirectional Contactless Power Transfer System expandable from Unidirectional Systems Shigeru Mochizuki , Member, Soichiro Nakadachi , Student Member, Hiroshi Watanabe , Non-member, Sho Sakaino , Member, Yasuyoshi Kaneko , Member, Shigeru Abe , Member, Tomio Yasuda ∗∗ , Member 2012 9 26 日受付,2013 3 19 日再受付) Contactless power transfer systems with primary series and secondary parallel resonant capacitors (SP topology) are useful for electric vehicle charging. However, SP topology is not suitable for the bidirectional power transfer. In this paper, we propose a new bidirectional contactless power transfer system with a secondary series reactor added to the SP topology’s circuit (SPL topology). The experimental results of 3kW bidirectional power transfer are shown to verify the eectiveness of the proposed system. The transformer eciencies of the SPL topology are 94.4% (G2V) and 94.8% (V2G) against 95.4% of the SP topology at a 70 mm gap. Both eciencies of the SPL topology are consistently high, regardless of the change in the gap length and misalignment. キーワード:非接触給電,電気自動車,双方向,V2G,効率,インバータ Keywords: contactless power transfer, electric vehicle, bidirectional, V2G, eciency, inverter 1. はじめに 地球環境問題や石油への依存度を軽減するために,家庭 や充電スタンドでバッテリーに充電するプラグインハイブ リッド自動車(PHV)や電気自動車(EV)が注目されている。 現在,PHV EV への給電は電気ケーブルを用いるコンダ クティブ方式が主流だが,利便性・保守容易性などから非 接触方式が有望であり,各国で研究開発が進められている。 これらの研究のほとんどは電力系統から車へ(G2V)の一 方向給電を想定している (1) (2) EV のバッテリーを電力系統 の負荷平準化,移動電源・緊急時電源にも利用する研究開発 が進められているが,これには車から電力系統へ(V2G)の 給電も可能な双方向給電システムが必要となる。双方向非 接触給電として Auckland 大の U.K. Madawala らの研究 (3) や電力中央研究所の名雪らの研究 (4) がある。 埼玉大学 338-8570 さいたま市桜区下大久保 255 Saitama University 255, Shimo-okubo, Sakura-ku, Saitama 338-8570, Japan ∗∗ (株)テクノバ 100-0011 東京都千代田区内幸町 1-1-1 Technova Inc. 1-1-1, Uchisaiwai-cho, Chiyoda-ku, Tokyo 100-0011, Japan U.K. Madawala らは一次並列二次並列コンデンサ(PP 式)の両外側に直列にリアクトルを加えた回路構成を採用 している。系統側と車側の両方にブリッジ型インバータを 用い,各インバータのスイッチングの位相差により給電方 向と電力の制御を行っており,900 W の給電実験を行って いる。しかし給電効率は示されていない。 名雪らは双方向ともに一次直列二次並列コンデンサ Series-Parallel Capacitor 方式,以下 SP 方式と略す)と なるように,機械式リレーを用いて給電方向によりコンデ ンサを切り替えている。系統側と車側の両方にブリッジ型 インバータを用い,受電側インバータはスイッチング素子 をオフにしダイオード整流器として使用している。2 kW 給電実験では 90%の給電効率を達成している。 我々は一次直列二次直列コンデンサ(SS 方式)の一次側 にイミタンス変換器を追加した双方向ともに高効率な回路 を発表した (5) が,より簡単な構成で,現在の EV 用一方向 非接触給電システムから拡張容易で,かつ双方向ともに給 電効率が高いシステムをめざし,研究を進めてきた。 本論文では,非接触給電で一般的な SP 方式を基に二次 側に直列リアクトル Ls を追加し,一次側の直列コンデンサ の値を変更する方式(SPL 方式)を提案する。SPL 方式は SP 方式と同じ理想変圧器特性を保持し,給電方向による回 c 2013 The Institute of Electrical Engineers of Japan. 707

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電気学会論文誌 D(産業応用部門誌)IEEJ Transactions on Industry ApplicationsVol.133 No.7 pp.707–713 DOI: 10.1541/ieejias.133.707

論 文

一方向非接触給電から拡張容易な双方向非接触給電システム

正 員 望月 大樹∗ 学生員 仲達崇一郎∗ 非会員 渡辺 宏∗

正 員 境野 翔∗ 正 員 金子 裕良∗ 正 員 阿部 茂∗

正 員 保田 富夫∗∗

Bidirectional Contactless Power Transfer System expandable from Unidirectional Systems

Shigeru Mochizuki∗, Member, Soichiro Nakadachi∗, Student Member, Hiroshi Watanabe∗, Non-member,

Sho Sakaino∗, Member, Yasuyoshi Kaneko∗, Member, Shigeru Abe∗, Member, Tomio Yasuda∗∗, Member

(2012年9月26日受付,2013年3月19日再受付)

Contactless power transfer systems with primary series and secondary parallel resonant capacitors (SP topology)

are useful for electric vehicle charging. However, SP topology is not suitable for the bidirectional power transfer. In

this paper, we propose a new bidirectional contactless power transfer system with a secondary series reactor added to

the SP topology’s circuit (SPL topology). The experimental results of 3 kW bidirectional power transfer are shown to

verify the effectiveness of the proposed system. The transformer efficiencies of the SPL topology are 94.4% (G2V) and

94.8% (V2G) against 95.4% of the SP topology at a 70 mm gap. Both efficiencies of the SPL topology are consistently

high, regardless of the change in the gap length and misalignment.

キーワード:非接触給電,電気自動車,双方向,V2G,効率,インバータ

Keywords: contactless power transfer, electric vehicle, bidirectional, V2G, efficiency, inverter

1. はじめに

地球環境問題や石油への依存度を軽減するために,家庭や充電スタンドでバッテリーに充電するプラグインハイブ

リッド自動車(PHV)や電気自動車(EV)が注目されている。現在,PHVや EVへの給電は電気ケーブルを用いるコンダクティブ方式が主流だが,利便性・保守容易性などから非

接触方式が有望であり,各国で研究開発が進められている。これらの研究のほとんどは電力系統から車へ(G2V)の一方向給電を想定している (1) (2)。EVのバッテリーを電力系統の負荷平準化,移動電源・緊急時電源にも利用する研究開発

が進められているが,これには車から電力系統へ(V2G)の給電も可能な双方向給電システムが必要となる。双方向非接触給電として Auckland大の U.K. Madawalaらの研究 (3)

や電力中央研究所の名雪らの研究 (4)がある。

∗ 埼玉大学〒338-8570 さいたま市桜区下大久保 255Saitama University255, Shimo-okubo, Sakura-ku, Saitama 338-8570, Japan

∗∗(株)テクノバ〒100-0011 東京都千代田区内幸町 1-1-1Technova Inc.1-1-1, Uchisaiwai-cho, Chiyoda-ku, Tokyo 100-0011, Japan

U.K. Madawalaらは一次並列二次並列コンデンサ(PP方式)の両外側に直列にリアクトルを加えた回路構成を採用している。系統側と車側の両方にブリッジ型インバータを

用い,各インバータのスイッチングの位相差により給電方向と電力の制御を行っており,900 Wの給電実験を行っている。しかし給電効率は示されていない。

名雪らは双方向ともに一次直列二次並列コンデンサ(Series-Parallel Capacitor 方式,以下 SP 方式と略す)となるように,機械式リレーを用いて給電方向によりコンデンサを切り替えている。系統側と車側の両方にブリッジ型

インバータを用い,受電側インバータはスイッチング素子をオフにしダイオード整流器として使用している。2 kWの給電実験では 90%の給電効率を達成している。我々は一次直列二次直列コンデンサ(SS方式)の一次側

にイミタンス変換器を追加した双方向ともに高効率な回路を発表した (5)が,より簡単な構成で,現在の EV用一方向非接触給電システムから拡張容易で,かつ双方向ともに給電効率が高いシステムをめざし,研究を進めてきた。

本論文では,非接触給電で一般的な SP方式を基に二次側に直列リアクトル Lsを追加し,一次側の直列コンデンサの値を変更する方式(SPL方式)を提案する。SPL方式はSP方式と同じ理想変圧器特性を保持し,給電方向による回

c© 2013 The Institute of Electrical Engineers of Japan. 707

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双方向非接触給電システム(望月大樹,他)

路変更が不要で,双方向ともに定格電力を最大効率で給電できる。実用上は一方向用の非接触給電トランスをそのまま利用できる拡張容易性に大きな特長がある。この SPL方式は従来の双方向非接触給電方式に比べ,制御が容易,共

振用の LC素子が少ない,スイッチが不要などの特長があり,給電効率に加え,信頼性や低コスト化の面でも優れている。本論文では提案方式の LC定数の決定法,基本特性,入

出力電圧の調整法,双方向ともに最大効率で運転するための条件などについて述べる。さらに給電実験により,提案方式を検証し,自動車用非接触給電で問題となる駐車時の

位置ずれやギャップ長変動による特性変化に対しても問題ないことを示す。本論文の新規性は,双方向非接触給電に適した SPL方式

を提案し,SPL方式が一方向非接触給電で一般的な SP方

式からの拡張が容易であり,SP方式と等しい理想変圧器特性を有することを示し,双方向での最大効率運転条件を導出したこと,また,実際に給電実験を行い以上の事項の妥当性を検証したことにある。

2. 双方向非接触給電システム

〈2・1〉 双方向非接触給電回路 提案する双方向非接触給電システムの構成を Fig. 1(a)に示す。商用電源を双方

向から給電可能な高力率 PWM整流器で直流に変換し,ブリッジ型インバータを系統側と車側の両方に配置し,送電側はインバータとして動作させ,受電側は IGBTを常にオフとし,ダイオードのみを用いた全波整流器として使用する。

インバータは Fig. 1(b)のハーフブリッジ回路を用いても良い。この場合送電側はハーフブリッジインバータとして駆動し,受電側は IGBTを常にオフとし倍電圧整流器として使用する。コンデンサ方式は従来のSP方式を採用し,二

次側並列コンデンサと二次側インバータ間に直列リアクトル Lsを追加する。

〈2・2〉 SP 方 式 従来の SP方式の等価回路を Fig. 2

に示す。ここで,x0 は相互リアクタンス,x1,x2 は一次二

(a) Full-bridge

(b) Half-bridge

Fig. 1. Bidirectional contactless power transfer system.

次の漏れリアクタンスを表す。二次側の蓄電池は抵抗負荷RLで近似し,受電電力の変化は RLの値の変化で表現する。給電トランスの巻数比を a = N1/N2 とし,一次側諸量は二次側に換算し ′(ダッシュ)をつけて表す。実際の給電トランスでは,フェライトコアとリッツ線を用いると鉄損を表す r′0と巻線抵抗 r′1,r2は,電源周波数 f0(>数十 kHz)においてトランスのリアクタンス x′0,x′1,x2 に比べ十分小さい。従って r′0 と r′1,r2 を省略した回路で解析を進める。F

行列より入出力特性を求めると (1)式のような理想変圧器特性が得られる (1)。⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ V ′IN1

I′IN1

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦ =⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

x′0x′0+x2

0

0x′0+x2

x′0

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ VIN2

IIN2

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦ · · · · · · · · · · · (1)

しかし SP方式での双方向化を考えた場合,V2G運転時に二次側方形波出力インバータの出力端子に並列コンデンサ

が直接接続される回路は,電流過大となり採用困難である。〈2・3〉 SPL方式 今回提案する SPL方式は,一方向の SP方式を基に,二次側並列コンデンサCPと二次側インバータとの間に直列リアクトル LS を追加する。CP,LS の値を,電源周波数 f0(= ω0/2π)において二次側の自己リ

アクタンス(ω0L2 = x′0 + x′1)と共振するように,(2),(3)

式を満たす値に決める。一次直列コンデンサ CS は従来の一方向給電の SP方式とは異なり一次側の自己リアクタンス(ω0L1 = x′0 + x2)と共振するように,(4)式を満たす値

に決める。

1ω0CP

= ω0L2 = ω0LS = xP = x′0 + x2 · · · · · · · · · · · (2)

LS = L2 · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (3)1ω0C′S

= ω0L′1 = x′S = x′0 + x′1 · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (4)

SPL方式の詳細等価回路を Fig. 3(a),(b)に示す。F行列から G2V運転時の入出力特性を求めると,従来の SP方式

と同じ (5)式の理想変圧器特性が得られる。⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ V ′IN1

I′IN1

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦ =⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

x′0x′0+x2

0

0x′0+x2

x′0

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ VIN2

IIN2

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦ · · · · · · · · · · · (5)

ここで,巻数比 aと b = x′0/(x′0 + x2)を用いると (6)式を得る。⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ VIN1

IIN1

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦ =⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ ab 0

0 1/ab

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ VIN2

IIN2

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦ · · · · · · · · · · · · · · (6)

bは結合係数 kの値にほぼ等しくなり,結合係数 kに応じて

Fig. 2. Equivalent circuit of SP topology.

708 IEEJ Trans. IA, Vol.133, No.7, 2013

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双方向非接触給電システム(望月大樹,他)

(a) G2V

(b) V2G

Fig. 3. Equivalent circuit of SPL topology.

巻数比 aを調節することで一次二次間の電圧比(VIN2/VIN1)を任意の値に設定することができる。特に a = 1/kに選定すると電圧比は 1となる。(5)式は従来の SP方式の持つ理想変圧器特性 (1)式と等しいため,一方向用の給電トランス

をそのまま用いて高効率な双方向給電が可能となる。V2G

運転時の入出力特性も (7),(8)式のように理想変圧器特性となる。⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ VIN2

IIN2

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦ =⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

x′0+x2

x′00

0x′0

x′0+x2

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ V ′IN1

I′IN1

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦ · · · · · · · · · · · (7)

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ VIN2

IIN2

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦ =⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ 1/ab 0

0 ab

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ VIN1

IIN1

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦ =⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ VIN1/ab

abIIN1

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (8)

このように双方向ともに理想変圧器特性を有するので,送電側から受電側の電圧電流制御を容易に行える。

なお,SPL方式はイミタンス変換器特性を持つ SS方式の二次側に LCL型のイミタンス変換器を追加し,SS方式の二次側のCとイミタンス変換器のLの値が相殺する場合と見ることもできるが (6),上記の説明のように理想変圧器

特性を持つ SP方式の拡張と見るほうが簡単と思われる。〈2・4〉 最大効率運転条件 SPL方式では最大効率で給電するために RL を適切な値に設定する必要がある。Fig. 3

の等価回路において,鉄損 r′0は十分小さいので巻線抵抗 r′1,r2 のみを考慮すると,Fig. 1の G2V 運転時における PIN1

から PIN2 までのトランス効率 ηは (9)式のようになる。なお直列リアクトル Lsの抵抗値は無視している。

ηG2V =RLI2

IN2

r′1I′2IN1 + r2I22 + RLI2

IN2

· · · · · · · · · · · · · · · · · · (9)

ここで V2I2と VIN2IIN2の入出力関係は (10)式で表される。⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ V2

I2

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦ =⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ 1 j

(x′0 + x2

)j 1

x′0+x20

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ VIN2

IIN2

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦ · · · · · · (10)

これより,

I2 = jVIN2

x′0 + x2= j

IIN2RL

x′0 + x2,

∣∣∣∣∣ I2

IIN2

∣∣∣∣∣2 =(

RL

x′0 + x2

)2

· · · · · · · · · · · · · · · · · · ·(11)

(6)式より導出した I′IN1 = IIN2/bと (11)式を (9)式に代入

すると,

ηG2V =RL

RL + r2R2

L

(x′0+x2)2 +r′1b2

· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (12)

(12)式でRLを変数とすると,給電効率が最大となる ηmax G2V

とその時の抵抗負荷 RLmax G2Vの値は (13),(14)式となる。

ηmax G2V =1

1 + 2x′0

√r′1r2· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · ·(13)

RL max G2V =

(x′0 + x2

)2

x′0

√r′1r2· · · · · · · · · · · · · · · · · · ·(14)

一方,R′L(= RL/a2)を一次側に置いたV2G運転時では,PIN2

から PIN1 までのトランス効率 ηは (15)式で表される。

ηV2G =R′LI′2IN1

r′1I′2IN1 + r2I22 + R′LI′2IN1

· · · · · · · · · · · · · · · · (15)

ここで V2,I2 と V ′IN1,I′IN1 の入出力関係は (16)式となる。

⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ V2

I2

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦ =⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎢⎣

x′0+x2

x′0− jx′0

− j 1x′0

0

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎥⎦⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ V ′IN1

I′IN1

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦ · · · · · · · · · · · · (16)

これより,

I2 = jV ′IN1

x′0= j

I′IN1R′Lx′0,

∣∣∣∣∣∣ I2

I′IN1

∣∣∣∣∣∣2

=

(R′Lx′0

)2

· · · · · · · (17)

(17)式を (15)式に代入すると,

ηV2G =R′L

R′L + r′1 + r2

(R′Lx′0

)2· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (18)

よって,V2G運転時の ηmax,R′Lmaxは (19),(20)式となる。

ηmax V2G =1

1 + 2x′0

√r′1r2· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · ·(19)

R′L max V2G =1a2

RL max V2G = x′0

√r′1r2· · · · · · · · · · · ·(20)

このようにG2Vでは RLmax G2V,V2Gでは RLmax V2G で給電できれば双方向共に最大効率で給電が可能となる。なお受電電圧が決まっている場合,RLmax の値により最大効率となる給電電力が決まることになる。〈2・5〉 双方向最大効率運転条件時の電力特性 (21)

式で定義する結合係数 kとコイルの Q(7)を用いて,前節の(13),(14)式を表わすと (22),(23)式となる。

k =M√L1L2

, Q1 =ω0L1

r1, Q2 =

ω0L2

r2· · · · · · ·(21)

709 IEEJ Trans. IA, Vol.133, No.7, 2013

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双方向非接触給電システム(望月大樹,他)

Table 1. RLmax and ηmax of each topology.

ηmax G2V =1

1 + 2k

√1

Q1Q2

· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · ·(22)

RL max G2V =r2Q2

k

√Q2

Q1· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · ·(23)

同様に V2G運転時では (19),(20)式は (24),(25)式とな

る (7)。ただし,r′1 = r1/a2 である。

ηmax V2G =1

1 + 2k

√1

Q1Q2

· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · ·(24)

R′L max V2G = kr′1√

Q1Q2 · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · ·(25)

(14),(20)式よりG2VとV2Gの RLmaxは (26)式の関係を

持ち,

RL max G2V =1b2

x′0

√r′1r2=

R′L max V2G

b2=

RL max V2G

a2b2

· · · · · · · · · · · · · · · · · · ·(26)

最大効率となる場合の電力は,(27)式で表される。

PG2V =V2

IN2RL max G2V

, PV2G =V2

IN1RL max V2G

· · · · · · · · · · · (27)

ここで,(6)式および (27)式から,

V2IN1

RL max V2G=

(abVIN2)2

a2b2RL max G2V=

V2IN2

RL max G2V· · · · · · · (28)

となる。これは,SPL方式では G2Vと V2Gで最大効率となる電力は等しくなることを表す。G2Vで定格電力給電時が最大効率であれば,V2Gに変えても定格電力給電時に最

大効率になることが保証されるのである。SP方式,SPL方式の RLmax,ηmax を kと Qで表した理

論最大効率 ηmaxQを Table 1に示す。表より ηmaxQはどの方式を用いても変わらないことがわかる。なお,SP方式では

(29)式による近似を行なっている (7)。

1k2

Q2

Q1� 1 · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · (29)

Fig. 4. Regulation of voltage ratio adding reactance.

〈2・6〉 位置ずれやギャップ長変動の影響 自動車では駐車時に位置ずれやギャップ長変動が起こるが,今回提案する SPL方式では CS,CP,LS は (2)–(4)式に示すようにそれぞれ接続する側の自己インダクタンスの値で決まる。

位置ずれやギャップ長変動により,結合係数 kが変化し,相互インダクタンスと漏れインダクタンスの比が変化しても,自己インダクタンスの値はほとんど変わらないため,位置ずれやギャップ長変動によりCS,CP,LS の値を変更する

必要はなく,実用性は高いと考えられる。〈2・7〉 C,Lの挿入による二次電圧の調節 CP の前段にCまたは Lを挿入すれば,二次側の自己インダクタンス L2を増減することと等価なため,簡単に二次電圧を調節

(一次二次の電圧比を調節)できる。Fig. 4のように,追加する C,Lのリアクタンスを xα とし,CP,LS を (30)式のように設定した場合,電圧比と理

論効率,その時の抵抗負荷の値は以下のようになる。

1ω0CP

= ω0LS = xP = xL = x′0 + x2 ± xα · · · · · · ·(30)⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ VIN1

IIN1

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦ =⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ ab

c 0

0 cab

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦⎡⎢⎢⎢⎢⎢⎣ VIN2

IIN2

⎤⎥⎥⎥⎥⎥⎦ · · · · · · · · · · · · · · ·(31)

ηmax G2V = ηmax V2G =1

1 + 2x′0

√r′1r2· · · · · · · · · · · · ·(32)

RL max G2V =c2

(x′0 + x2

)2

x′0

√r′1r2, R′L max V2G = x′0

√r′1r2

· · · · · · · · · · · · · · · · · · ·(33)

c =x′0 + x2 ± xα

x′0 + x2· · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · · ·(34)

ここで,cは (34)式で定義される昇降圧比であり,xα の符号が+の場合は Lの挿入による L2 の増加,−の場合は C

の挿入による L2の減少を表す。(32),(33)式より,従来 a,

bでしか調節出来なかった電圧比を,昇降圧比 cによっても調節でき,その際の理論最大効率は変化せず,高効率での給電が行えることが分かる。

3. 給電実験

〈3・1〉 実験トランスと実験回路 Fig. 5に示したH型コア両側巻給電トランス (8)を用いて Fig. 1(a)に類似の回路

で給電実験を行った。トランス定数を Table 2 に示す。二次側リアクトルには TDK製 PQ107X87X70のコアを使用した。実験では受電側に全波整流器を用い,高周波電源と

整流器・抵抗負荷を入れ替えることで双方向給電の実験を

710 IEEJ Trans. IA, Vol.133, No.7, 2013

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双方向非接触給電システム(望月大樹,他)

Fig. 5. Dimension of transformer.

Table 2. Parameters of transformer.

Table 3. Experimental results (normal).

行った。電力測定には確度±0.06%の電力計(YOKOGAWA

WT3000)を用いた。また,抵抗負荷 RL は (14)式および(20)式より求めた理論値G2V:10Ω,V2G:17.5Ωを用いた。比較のため同じ給電トランスを用いて二次側直列リア

クトルを持たない SP方式の単方向給電実験も行った。SP

方式ではCsを文献 (1)の共振条件式より算出した 0.081 μF

に変更し,最大効率時の理論式より求めた抵抗負荷 RL の値は G2Vと同じく約 10Ωとなった。

また,等価回路での RLmax は整流器を含めた等価抵抗値であり,基本波実効値で計算を行なっている事と,整流器前後での電圧比を考慮し,(27)式より換算を行う必要がある。SPL方式では,VIN1,VIN2 共に方形波となり,方形波

の基本波実効値は波高値の 0.9倍であることから,全波整流器を使用した場合,電圧が 10/9倍,RLmaxは 10/9の二乗倍に換算する。実験では整流器での電圧降下を考慮し 15Ω

を用いた。

〈3・2〉 3 kW双方向給電実験 機械ギャップ70 mmで位置ずれのない標準状態で,50 kHzで 3 kWを双方向から給電した実験結果を Table 3,入出力電圧電流波形を Fig. 6に

示す。また SP方式の入出力電圧電流波形を Fig. 7に示す。

(a) G2V (b) V2G

Fig. 6. Experimental waveform of SPL topology.

Fig. 7. Experimental waveform of SP topology.

Fig. 8. Transformer efficiency with load change.

Fig. 6より入出力電圧の位相が一致しており,理想変圧器特性が確認できる。また Table 3より,G2Vで 94.4%,V2G

で 94.8%の給電効率が得られ,従来の SP方式(95.4%)と

比べてほとんど変わらず高効率であることが確認できる。G2Vと SP方式で効率に若干差が出るのは直列リアクトル LS による損失の有無と考えられる。Fig. 6 と Fig. 7 のIIN2の波形を比べれば,直列リアクトル Lsの挿入でチョー

ク入力整流となることが確認できる。

〈3・3〉 抵抗負荷変動試験 Fig. 8に抵抗負荷 RL の値

による給電効率変化の理論値((13)および (19)式による)と実験値の比較を示す。SP方式の実験結果は整流器入力部分においた値(RL∗ = V2

IN2/PIN2)で換算した値を示す。理

論値は鉄損を無視しているため,実験値より効率が高くな

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双方向非接触給電システム(望月大樹,他)

Table 4. Experimental results.

(a) Change in gap length (b) Change in forward direction (c) Change in lateral direction

Fig. 9. Efficiency with change in position and air gap.

る。受電電圧がほぼ一定の蓄電池の場合,Fig. 8は給電電力による給電効率の変化を示している。図より求めた最適抵抗負荷の時に効率が最大となっていることが確認できる。

〈3・4〉 位置ずれ・ギャップ長変動試験 自動車用非接触給電では前後左右の駐車位置の変動(トランスの位置ずれ)や,積載重量による車高(トランスのギャップ長)の変動が避けられない。位置ずれが生じたりギャップ長が大

きくなると結合係数が低下し効率も低下する。機械ギャップ 70 mmで位置ずれの無い状態を標準状態とし,前後方向(x方向)位置ずれ ±60 mm,左右方向(y方向)位置ずれ

±200 mm,ギャップ長変動 ±30 mmの範囲で特性変化を調べた。

Table 4に標準状態と x,y各方向の位置ずれ時,ギャップ長 40 mm,100 mm時の給電結果を示す。また位置ずれ,

ギャップ長変動時の効率の変化を Fig. 9に示す。実験で使用した高周波インバータには入力電圧に上限があり,出力電圧 PIN2 を 3 kWまで上げられないため,電圧比の低くなるG2Vのギャップ長 40,50 mmでは 1.5 kWの給電結果を

掲載した。同様に G2Vの左右位置ずれ 200 mm時も一次側電圧 V1が高くなるため,1.5 kWの給電結果を掲載した。

Fig. 9より,SPL方式の効率は位置ずれ・ギャップ長変動ともに SP方式とほぼ同じ特性であり,車の左右方向(y

方向)の位置ずれに強いことがわかる。

4. ハーフブリッジ回路

Fig. 1(b)の電源/整流器にハーフブリッジ回路を用いた場

合の双方向給電を PSIMによるシミュレーションで確認した。双方向ともにトランス部の電圧がFig.1(a)のフルブリッジ回路に比べて 1/2になる以外は動作に問題はなかった。一次二次の電圧比を調整する方法には,トランスの巻数

比による調整,フルブリッジ回路とハーフブリッジ回路の選択,さらに〈2・7〉で述べたコンデンサ分圧や Lの挿入がある。ハーフブリッジ回路を用いると電流が流れる素子数

が減るため,効率向上や低コスト化が期待できる。

5. ま と め

電気自動車やプラグインハイブリッド自動車用の双方向

非接触給電について,一方向の SP方式から受電側整流器をインバータに変更し,直列リアクトル 1個を追加し,直列コンデンサの値を変更するだけで,双方向給電が実現できる SPL方式を提案した。

SPL方式は SP方式の理想変圧器特性を維持し,SP方式のトランスをそのまま利用可能で,双方向ともに定格電力を最大効率で給電できることを示した。

3 kW の双方向給電実験で基本性能を確認し,SP 方式

の 95.4%の給電効率とほぼ等しいG2Vで 94.4%,V2Gで94.8%の給電効率が得られることを示した。提案方式は電気自動車以外の非接触給電にも適用可能である。双方向非接触給電の応用が広がることを期待したい。

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双方向非接触給電システム(望月大樹,他)

文 献

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( 2) M. Budhia, G. Covic, and J. Boys: “A New IPT Magnetic Coupler for Elec-tric Vehicle Charging Systems”, IEEE IECON 2010, pp.2481–2486 (2010)

( 3) U.K. Madawala and D.J. Thrimawithana: “A Bidirectional Inductive PowerInterface for Electric Vehicles in V2G Systems”, IEEE Trans. on IndustrialElectronics, Vol.58, No.10, pp.4789–4796 (2011)

( 4) T. Nayuki, K. Fukushima, N. Gibo, K. Nemoto, and T. Ikeya: “Prelimi-nary Demonstrations of a Bi-directional Inductive Power Transfer System”,CRIEPI Research Report, H10007 (2001) (in Japanese)名雪琢弥・福島健太郎・宜保直樹・根本孝七・池谷知彦:「双方向非接触給電システムの提案と基本性能の実証」,電中研報告, H10007(2001)

( 5) S. Mochizuki, H. Watanabe, Y. Kaneko, and S. Abe: “Study of BidirectionalContactless Power Transfer Systems”, Proc. of IEE-SPC-11-180 (2011)望月大樹・渡辺 宏・金子裕良・阿部 茂:「双方向非接触給電システムの基礎検討」,半導体電力変換研究会, SPC-11-180 (2011)

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( 7) T. Tohi, Y. Kaneko, and S. Abe: “Maximum Efficiency of Contactless PowerTransfer Systems using k and Q”, IEEJ Trans. IA, Vol.132, No.1, pp.123–124 (2012) (in Japanese)遠井敬大・金子裕良・阿部 茂:「非接触給電の最大効率の結合係数 k とコイルの Q による表現」,電学論 D, Vol.132, No.1, pp.123–124(2012)

( 8) M. Chigira, Y. Nagatsuka, Y. Kaneko, S. Abe, T. Yasuda, and A. Suzuki:“Novel Core Structure and Iron-loss Modeling for Contactless Power Trans-fer System of Electric Vehicle”, IEEJ Trans. IA, Vol.132, No.1, pp.123–124(2012) (in Japanese)千明将人・長塚裕一・金子裕良・阿部 茂・保田富夫・鈴木 明:「電気自動車用非接触給電トランスの新コア構造と鉄損のモデル化」,電学論 D, Vol.132, No.1, pp.1–16 (2012)

望 月 大 樹 (正員) 1987 年 10 月 5 日生。2011 年 3 月茨城

大学工学部電気電子工学科卒業。同年 4月埼玉大

学大学院理工学研究科博士前期課程数理電子情報

系専攻に入学,2013 年 3 月修了見込み。同年 4

月より,日立オートモーティブシステムズステア

リング(株)に勤務予定。主に非接触給電システ

ムの研究に従事。

仲 達 崇一郎 (学生員) 1989年 1月 5日生。2012年 3月埼玉

大学工学部電気電子システム工学科卒業。同年 4

月同大学大学院理工学研究科博士前期課程数理電

子情報系専攻に入学。主に非接触給電システムの

研究に従事。

渡 辺 宏 (非会員) 1990年 3月 3日生。2012年 3月埼玉

大学工学部電気電子システム工学科卒業。現在ニ

チコン草津(株)勤務。在学中は非接触給電シス

テムの研究に従事。

境 野 翔 (正員) 1983年 2月 6日生。2011年 3月慶應義

塾大学理工学研究科総合デザイン工学専攻博士課

程修了。現在埼玉大学工学部電気電子システム工

学科助教。工学博士。2011 年電気学会産業応用

部門論文賞受賞。主としてロボティクス,メカト

ロニクス,ハプティクスの研究に従事。

金 子 裕 良 (正員) 1965 年 6 月 22 日生。1987 年 3 月埼玉

大学工学部電気科卒業。1989年 3月同大学大学院

修士課程卒業。同年新日本製鐵(株)入社。1990

年 4 月埼玉大学工学部助手。1995 年 2 月同大学

総合情報処理センター講師。2000 年 4 月工学部

講師。2008 年 4 月同大学大学院理工学研究科准

教授。現在電気機器の制御および産業用ロボット

の知的情報処理・制御の研究に従事。工学博士。

IEEE,計測自動制御学会,溶接学会各会員。

阿 部 茂 (正員) 1949 年 3 月 29 日生。1971 年 6 月東京

大学工学部電子工学科卒業。1976年同大大学院博

士課程修了。工学博士。同年三菱電機(株)入社。

中央研究所,産業システム研究所で研究開発に従

事。1997 年同社稲沢製作所エレベータ開発部長。

2001 年ビルシステム事業本部技師長。2004 年 4

月埼玉大学大学院理工学研究科教授。現在パワー

エレクトロニクス応用とシステム技術の研究に従

事。1985 年電気学会論文賞受賞。IEEE,電子情報通信学会,情報処

理学会各会員。

保 田 富 夫 (正員) 1952年 2月 1日生。1974年 3月東京電

機大学卒業。アイシン精機(株)入社後,カーエ

レクトロニクス技術及び ITSシステム技術の開発

に従事。1999年(株)テクノバに出向。現在,自

動車用パワーエレクトロニクス技術及びシステム

技術の調査研究に従事。2007~2009 年の間「自

動車用パワーエレクトロニクスの現状調査専門委

員会」委員。自動車技術会会員。

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