財務諸表から見る...

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財務諸表から見る 家電量販店業界の経営戦略分析 ~ヤマダ・エディオン・コジマ・ケーズ~ 福田哲也ゼミナール 人間環境学部 4 期生 上杉美希 中田麻理 三好裕太郎

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財務諸表から見る

家電量販店業界の経営戦略分析

~ヤマダ・エディオン・コジマ・ケーズ~

福田哲也ゼミナール

人間環境学部 4 期生

上杉美希

中田麻理

三好裕太郎

2

目次 はじめに p.4 1.業界概要 p.6 1-1.家電量販店とは p.6 1-2.家電量販店の歴史 p.6 1-3.家電量販店業界の現状 p.7 1-4.・ポイント制 p.14 1-5.メーカーに対して強い立場の家電量販店 p.17 1-6.家電量販店業界の動向 p.19

1-7.家電量販店業界の展望 p.21 2.企業概要 p.23 2-1.事業概要 p.23 2-2.企業のあゆみ p.25 (1)ヤマダ電機 p.25 (2)エディオン p.26 (3)コジマ p.27 (4)ケーズホールディングス p.28 3.財務分析 p.30

3-1.成長性 p.30 3-2.収益性分析 p.39 3-3.安全性 p.73 3-4.キャッシュフロー分析 p.83 4.経営戦略分析 p.93

4-1.企業分析 p.93 4-1-1.経営理念 p.93

(1)ヤマダ電機 p.93

(2)エディオン p.93

(3)コジマ p .93

(4)ケーズホールディングス p.93 4-1-2.リーダーシップ p.94 (1)ヤマダ電機 p.94 (2)エディオン p.94 (3)コジマ p.95 (4)ケーズホールディングス p.95

4-2.経営戦略と課題 p.96 (1)ヤマダ電機 p.96

3

(2)エディオン p.99 (3)コジマ p.101 (4)ケーズホールディングス p.102 終わりに p.106 参考資料 p.107 参考文献 p.122

4

はじめに

(三好裕太郎) 「家電製品の無い時代が想像できない」それほどまでに家電製品は世の中に広く普及した。

生活必需品といえる製品から、個人の趣味、趣向を捉えた製品まで幅広い製品が店頭に並

び消費者は嬉々とその商品群を眺める。家電製品は世界の凄まじい技術の進歩を多くの

人々に体験させ、世の中が日々変わっていくことを肌で感じさせる。 1950 年以前、家電製品といえば電気釜や掃除機であったが、一般に広く普及していると

はいえないものだった。1950 年代後半、高度経済成長の幕開けとともに、マスメディアは

新しい生活・消費習慣を打ち出そうと、白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫を三種の神器と呼び

宣伝した。1958 年東京タワー竣工と皇太子・明仁親王のご成婚を境に白黒テレビは爆発的

に普及した。1960 年代半ばには、カラーテレビ(Color television) ・クーラー(Cooler) ・自

動車(Car)が新・三種の神器として宣伝され、1964 年東京オリンピックを境に爆発的に普及

した。このころから家電製品にも様々なジャンルが生まれ、消費者も家電製品に対して高

い関心を持つようになっていった。 家電製品が一般に普及しておよそ 50 年。日本の家電製品は世界に輸出され、家電製品の

開発は日本の中核産業と呼ばれるほどに成長した。 1960 年代以前はメーカー直営店が家電製品販売の中心で、その他にはオーディオ専門店

やカメラ専門店などの専門店があるのみで、家電量販店の前身である電気店は僅かだった。

しかし、その後、電気店やオーディオ専門店やカメラ専門店が巨大化し、チェーン展開し

ていき家電量販店が生まれた。 1972 年には NEBA という業界団体が発足したが、共存共栄を掲げ過激な安売り競争に否

定的だったため、ヤマダ電機、コジマ、ヨドバシカメラ、ビックカメラら安売り競争の主

役たちは加盟しなかった。2008 年現在、家電量販店としての規模も、売り上げシェアも

NEBA に加盟しなかった企業が上位を独占し、家電製品の安値競争は一般消費者の誰もが

知るところである。 上記のように家電製品の動向は世の中の動きや、消費者一人ひとりの生活に密接に関わ

り、人と家電製品の関係は今後も広く深く発展していくと推察できる。家電量販店が誕生

し日本全国に進出したことは、人と家電製品の関わりを強めていくひとつの足がかりにな

ったことは間違いなく、家電量販店が今後どのような経営戦略をとっていくのかは、消費

者の生活に少なからず影響を与えるものと思われる。 本論文は家電量販店業界各社の経営戦略と課題を明らかにすることを目的としている。 まず業界概要として業界の成り立ちから、現在の状況、今後の展望を示し、企業概要と

して取り上げる 4 社の歴史や特徴を比較していく。そして 4 社の経営戦略と課題を掴む手

掛かりとすべく、財務分析を行う。 財務分析では各社が公表する財務諸表を基に 4 社の成長性分析・収益性分析・安全性分

5

析・キャッシュフロー分析を行い、各社の強み、弱みをグラフや数値を用い客観的な視点

から明らかにしていく。 後に経営戦略分析として、業界概要・企業概要・財務分析を基に各社の経営戦略課題

を示し、その課題に対する経営戦略の提案や企業、業界の展望を推測する。 本論文では業界売上高 1、2、5、6 位のヤマダ電機、エディオン、ケーズホールディング

ス、コジマの 4 社を取り上げる。業界 3 位のヨドバシカメラは非上場、同 4 位のビックカ

メラは株式上場後 3 年しか経過しておらず、本論文の中核となる財務分析が困難なため、

業界動向で扱うにとどめる。

6

1.業界概要

(上杉美希)

ここでは本論文で取り上げる家電量販店業界の歴史、現状などを述べ、今後注目されるキ

ーワードを挙げる。

1-1.家電量販店とは

家電量販店とは小売業の 1 種であり、家庭用電気製品を販売する大型店舗の専門店であ

る。 近年の家電量販店では、「白物家電や音響映像機器ばかりでなく、パソコンやその周辺機

器をはじめとした情報機器、携帯電話などの通信機器を取り込み、さらにエレクトロニク

スメーカーのみならず光学・精密機器メーカーが製造するデジタルカメラ、そして、従来

であれば書店が取り扱っていたジャンルの電子『辞書』や、玩具店扱いのテレビゲーム機

を陳列している。」(山名一郎,『よくわかる家電量販店業界』,日本実業出版社,2005 年,

12 頁)

1-2.家電量販店の歴史

家電流通の誕生 家電流通を築いたのはメーカー系列店である。メーカー系列店とは「店頭に特定のメー

カーの看板を大きく掲げた」(同上書,14 頁)いわゆる「街の電気屋さん」のことである。

メーカー系列店の原型は「1935 年の松下電器が運営していた販売システム『連盟店制度』

にある。松下の『連盟店制度』は全国を細かく区分けし、そこに松下製品を専門に販売す

る店舗を 1 店、商圏が重ならないように置く」(同上書,30 頁)というものである。この「連

盟店制度」は多くの総合家電メーカーで採用されていった。 このようにして生まれたメーカー系列店は「原則的には他メーカーとの取引が認められ

ていなかったが、実際には他メーカーとの契約を結び複数メーカーと取引している販売店

もあった。これを『混売店』という。」(同上書,16 頁)「混売店」が後の家電量販店である。 メーカー系列店から家電量販店へ

1955 年には電化ブームが広がり、家電量販店の誕生を促した。 モノが豊かな時代になり、消費者は一つのメーカーでは満足できなくなり、複数のメー

カーの商品の中から自分に合った商品を選ぶようになった。こうした変化により、「多くの

メーカーとの大量の商品の取引をする家電専門店の大型販売店」(同上書,32 頁)である混

7

売店が大きくなり、家電量販店として世に知れ渡っていった。 日本大型電気店連合会(NEBA)の存在 家電流通がメーカー系列店から家電量販店に変化する中で、家電量販店の成長を支えた

のが、NEBAと呼ばれる日本大型電気店連合会である。NEBAとは、「1972 年 2 月、全国の

家電量販店 79 社が参加し」(立石泰則,『ヤマダ電機の品格』,講談社,2008 年,78 頁)「量

販としての秩序作りや勉強会を開く場としての役割を担う」(『 ITmedia News』,http://www.itmedia.co.jp/news/,アイティメディア,2008 年 9 月 23 日)という目的のも

と、設立された。NEBA会員企業はメーカーとの良好な関係を望んでいたため、ある種の暗

黙のルールのもと、メーカー、メーカー系列店、家電量販店の三者間は牧歌的であった。

そのため、NEBA会員企業同士では地域ごとに均等に勢力を保っていたため、会員同士の競

争などは存在しなかった。 しかし、それを打ち破る企業が現れた。それが NEBA 非会員であり、北関東に勢力を強

めていたヤマダ電機とコジマ、そして、カメラの安売りからスタートしたヨドバシカメラ

やビックカメラなどである。ヨドバシカメラやビックカメラは家電を豊富に揃え、低価格

路線で売上を伸ばしていったのである。NEBA 非会員企業が全国展開や低価格販売をする

ことで、NEBA 会員企業の売上高は下がる一方となった。NEBA に所属することの優位が

薄れたため、企業はますます脱退していった。そして会員数も減少し、2005 年の 8 月末で

NEBA は解散した。

1-3.家電量販店業界の現状

流通業界の寡占化 家電量販店では現在、寡占化が進んでいる。寡占化が進んでいることは小売業全体にい

えることである。例を挙げると、セブン&アイ、三越伊勢丹ホールディングスは M&A を行

い、売上シェアを拡大し、寡占化を導いている。ここでは、小売業の寡占化が進んでいる

理由を述べる。

8

[図表 1-1]

出典:『日経 BP on yahoo!ニュース』,日経 BP 社,http://event.media.yahoo.co.jp/nikkeibp/,2008 年

10 月 19 日

百貨店を例にとり、述べる。 [図表 1-1]は 2003 年から 2007 年の百貨店売上高の推移を示したものである。この図から

もわかるように 2003 年から 2007 年にかけて、百貨店の売上高は大幅に減少している。こ

れは加速的に進行する少子高齢化が原因である。では少子高齢化が進行するとなぜ消費が

減るのか理由を述べる。 これは若年層と高齢層で、消費機会に著しい差があるためである。個人消費には出産・

育児・入学・進学・恋愛・就職・結婚・新築・転居などのように、個人のライフステージ

の変化に伴う消費がある。つまり、若年層はライフステージの変化に伴う消費が多いが、

それに比べ、高齢層はライフステージの変化が少ないため、消費のほとんどが毎日の生活

を維持させるためのものとなる。そのため、少子高齢化が進行すると消費は減少する。 次に今後どのように若年人口が減少し、中高年人口が増加するのか見ていく。

9

[図表 1-2]

出典:『日経 BP on yahoo!ニュース』,前掲 WEB サイト,2008 年 10 月 19 日

[図表 1-2]は若年人口と中高年人口の推移を示したものである。日本の 40 歳未満の人口は、

1995 年時点では 6320 万人であった。それが 2015 年には 5130 万人程度まで、約 20%も

減少すると予測されている。国内市場を基盤とする小売業に与える影響は深刻である。少

子高齢化がもたらす影響は小売業の一つである家電量販店でも同じことが言える。

家電量販店業界の寡占化の理由 家電量販店業界の寡占化が進んでいる理由は M&A と関係している。 現在、メーカーがつくる製品のベースとなる技術がデジタル技術になり、製品の同質化

が進んでいる。例えばテレビでは、ブラウン管テレビが主流だった頃は、ソニーのトリニ

トロンなど、各社が独自なアナログ技術をベースに独特の画質を創り出し、それが固有の

ファンを形成していた。しかし、デジタル技術になると、色の再現の仕方に若干の違いが

あるだけで、品質上に差はない。

10

[図表 1-3]消費者と家電量販店とメーカー3 者の関係 購入 メーカー ※ 家電量販店 A のテレビ、家電量販店 B のテレビは同じ商品である。 [図表 1-3]は消費者と家電量販店とメーカー3 者の関係を図で示したものである。この図

を利用して詳しく述べる。消費者がテレビを購入する場合、家電量販店 A で買おうが家電

量販店 B で買おうが、どこで買っても、テレビの情報やコンテンツは変わらない。つまり、

1 円でも安い方が客にとっては得であるため、この場合、家電量販店 A でテレビを購入す

ることになる。 従って、家電量販店間の競争は、どれだけ消費者に安く提供できるかという、価格競争

一本にならざるを得ない。価格競争に勝つために大量仕入を行い、少しでも原価を下げる。

そのための手段で使われているのが M&A である。 [図表 1-4] シェア拡大と大量仕入の仕組み

消費者

家電量販店 A テレビ 10 万円

家電量販店 B テレビ 11 万円

情報・ コンテンツ

11

[図表 1-4]はシェア拡大と大量仕入の仕組みを示した図である。このように、家電量販店

はシェアを拡大して、大量仕入を行い、価格競争をしているのである。 M&A で規模拡大 [図表 1-5] 家電量販店業界の再編マップ(2009年1月末現在)

出典:各社ホームページより作成

12

[図表1-6]

出典:各社ホームページより作成

[図表 1-5]は 2009 年 1 月末現在の家電量販店業界の再編マップ、[図表 1-6]は家電量販

店業界売上高上位 6 社の 2002 年から 2009 年 1 月末現在までの買収履歴を示したものであ

る。 このように、現在家電量販店業界では価格競争に勝つための大量仕入を行うため、M&A

や他企業との関わりを強める動きが盛んである。 以前までヤマダ電機がベスト電器の株を 20%近く購入すると発表していた。しかし、「ヤ

マダ電機はベストが地盤である九州で一定の販売シェアを築けたと判断」(『日経ネット』,

日本経済新聞デジタルメディア,http://www.nikkei.co.jp/,2008 年 10 月 29 日)したため、

ヤマダ電機はベスト電器の株式を「売却も視野に入れる」(同上WEBサイト,2008 年 10月 29 日)ことを発表した。一方でビックカメラはベストの株式を 9%から 15%まで買い増

しを進めた。このように現在注目されているのは業界第 7 位のベスト電器の取り合いであ

る。 今まで独立路線を貫いてきたヨドバシカメラはケーズホールディングスと商品開発を行

い、提携販売している。このように独立路線組も提携を始めている。今後は独立路線を貫

いているヨドバシカメラやコジマがどのように動いていくかも注目される。 2008 年現在、「家電量販店上位 10 社で日本の家電売上約 7.6 兆円の 64%を占めている。

上位 3 社で、約 30%である。」(『J-marketing.net』前掲 WEB サイト,2008 年 10 月 18日)有力企業が中小の家電量販店を買収し、有力企業の売上シェアが拡大している。それ

により、寡占化が進んでいる。

13

ヤマダ独走 [図表 1-7]家電量販店業界 1 位~8 位の売上高(2007 年度)

0

500

1,000

1,500

2,000

(単位:十億円)

系列1 1,768 851 712 605 568 500 414 341

①ヤマダ電機

②エディオ

③ヨドバシカ

④ビックカメラ

⑤ケーズ

⑥コジマ

⑦ベスト電器

⑧上新電機

家電量販店が M&A を行う目的にはヤマダ電機の存在が大きい。[図表 1-7]は家電量販店家

電量販店業界の家電量販店業界 1 位~8 位の 2007 年度の売上高を比較したものである。 第 1 位ヤマダ電機と第 2 位エディオンを比べてみる。ヤマダ電機が約 1 兆 8000 億円であ

るのに対し、エディオンは約 8500 億円と 2 倍以上の差をつけられている。そして業界第 3位から第 8 位までは 2 倍以上の差が見られない。

この図からもわかるように、家電量販店業界ではヤマダ電機が独走中である。それに対

抗するために他の企業も M&A を行い、規模拡大を目指している。しかし、ヤマダ電機の

M&A の目的はシェア拡大による大量仕入だけではない。これがヤマダ電機の強さの秘訣で

ある。 ヤマダ電機の M&A の大量仕入以外の目的を例に出して説明する。

ヤマダ電機の M&A の目的 (1)ぷれっそホールディングスの買収 2007 年 6 月にぷれっそホールディングス(マツヤデンキ、星電社、サトームセン)を子

会社化した。目的は地域密着型、つまり街の電気屋さんのサービスの強みを取り込むため

である。ぷれっそホールディングスの 3 社は、それぞれマツヤデンキは大阪府、星電社は

兵庫県、サトームセンは東京都に強い地域密着型を強みとする家電量販店である。

14

(2)キムラヤセレクトの買収 ヤマダ電機は 2007 年 9 月キムラヤセレクトの株式を約 94%取得し、子会社化した。目

的は家電量販店のナショナルチェーンとして店舗展開するヤマダ電機と、新橋エリアを中

心に東京圏駅前に店舗展開するキムラヤセレクトのそれぞれのメリットを活かし、それぞ

れが持っているサービスを共有することで強くなることを目指すためである。 ヤマダ電機はただ大量仕入を目的とする M&A ではなく、サービス強化のための M&A を

目的としている。

1-4.ポイント制

前述のように家電量販店業界では寡占化が進み、シェア争いが激しい。その中で生き残

るための一つの武器となっているのがポイント制である。ポイント制について詳しく述べ

ていく。

[図表 1-8] 主な企業のポイント・割引カード発行枚数と利益率(2007 年)

出典:『J-marketing.net』,前掲 WEB サイト,2008 年 10 月 19 日

[図表 1-8]は主な企業のポイント・割引カード発行枚数と利益率を示したものである。こ

の図でもわかるように家電量販店業界ではポイントプログラムが事業の収益に寄与し成功

している業界である。 家電量販店では顧客の囲い込み戦略としてポイントカードでの現金還元が行われている。 また、現金値引きだけではなく、ポイントの還元率を高くするという方法を取っている

15

企業もある。これは多種多様な高額の商品を販売する家電量販店ならではのサービスとし

て知られている。 現在の家電量販店では家電の他にも様々な商品を提供する中、「家電製品は粗利益が低い

ため発行したポイントがまるまる家電購入に使われると量販店の収益を圧迫しかねない。

そのためカタログ通販などをラインナップすることで、ポイントの使い道を多様化し、粗

利益の確保を図っている」(『週刊東洋経済』,2007 年 5 月 12 日号,45 頁)企業もある。 [図表 1-9] 家電量販店のポイントプログラムのビジネスモデル

出典:『J-marketing.net』,JMR 生活総合研究所,http://www.jmrlsi.co.jp/,2008 年 10 月 19 日

ポイント制度を導入することで固定客の確保に繋がっている。[図表 1-9]は家電量販店の

ポイントプログラムのビジネスモデルを示したものである。 ポイント還元することによって、ポイントの消化のために顧客の来店頻度を上げ、関連

購買を増やし、店舗の利用満足度を高めることによって、ストアロイヤリティを上げ固定

客化を図り、大型商品の買い替えや買い増し需要を獲得することができる。

16

[図表 1-10]家電量販店各社のポイント提携会社

家電量販店 相互提携 提携会社→家電量販店 家電量販店→提携会社

ヤマダ電機 Point On1 コナカ ベルメゾンネット

ANA APA HOTEL

北海道銀行

アパマンショップクラブ

川崎競馬

Edy

ヨドバシカメラ VISA

りそな銀行

千葉銀行

三菱 UFJ 銀行

池田銀行

近畿大阪銀行

三菱 UFJ ニコス

ビックカメラ Suica JCB

UC

VISA

UFJ

みずほマイレージ

NTTコミュニケーションズ

上新電機 JCB

三井住友カード

りそな銀行

りそなカード

埼玉りそな銀行

近畿大阪銀行

出典:各社ホームページより作成

[図表 1-10]は家電量販店各社のポイントカード提携会社を示したものである。 提携会社のポイントを家電量販店のポイントとしても利用できる提携会社を“提携会社

1Point On…ケータイで、ポイントがたまるおトクなサイト。株式会社インデックスの子会

社で、携帯を中心にポイントエクスチェンジ事業を展開するポイントオン株式会社が運営

している。

17

→家電量販店”とし、家電量販店のポイントを提携会社のポイントとしても利用できる提

携会社を“家電量販店→提携会社”とし、この両方として利用できる提携会社を“相互提

携”として示している。 “相互提携”と“家電量販店→提携会社”で示されている会社はほとんどないが、提携

会社のポイントを家電量販店のポイントとして使用できる“提携会社→家電量販店”の会

社は多い。 このように提携会社を作ることで[図表 1-9]のように固定客増加にも繋がっている。

1-5. メーカーに対して強い立場の家電量販店

メーカーからのリベートと協賛金 小売業の場合、価格を下げるにはメーカーとの交渉で、どれだけ安く原価を抑えられる

か、そして、どれだけの販管費を抑え、ローコスト経営ができるかの 2 点である。 しかし、家電量販店業界にはどれだけメーカーからリベート・協賛金が支払われるかと

いうのも重要である。企業が公表する財務諸表の勘定科目で、メーカーから支払われるも

のは協賛金の他に、現金で仕入を行えば、その分キャッシュバックされる「仕入割引」と

いう項目もある。 もちろん小売業はメーカーからリベートや協賛金が支払われることが多いが、家電量販

店では受け取る額が他の業界と比べ高額である。それは、家電量販店はメーカーに対して

強い立場であるためである。リベートと協賛金について説明すると、「リベートとは、『設

定した目標値の達成返金』の意味で、一般には『割戻金』と呼ばれる。協賛金とは、メー

カーと販売店が資金を出し合って開催するイベントやキャンペーンのメーカー負担分のこ

とである。」(山名一郎,前掲書,32 頁) [図表 1-11]上場家電量販店と有力流通企業の営業利益と経常利益(2007 年度)

-500

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

(単位:億万円)

営業利益 654 85 155 71 -77 2,810 1,560 875

経常利益 817 212 174 164 33 2,783 1,663 435

ヤマダエディオ

ンビックカ

メラケーズ コジマ

セブン&アイ

イオンファスト

18

[図表 1-11]は上場家電量販店と有力流通企業の 2007 年度の営業利益と経常利益を比較し

たものである。見てわかるように、上場家電量販店 5 社すべてが営業利益よりも経常利益

が高い。これは営業外収益であるリベートや協賛金、勘定科目で述べると仕入割引や販促

協賛金の額が多いからである。一方、有力流通企業 3 社はイオンを除いては経常利益より、

営業利益の方が高い。イオンは営業利益よりも経常利益の方が高いがこれは負ののれん 2償

却の増加で 2007 年度に限られる一時的なものであった。 家電量販店のリベートや協賛金が多い理由は、家電量販店はメーカーに対して強い立場

であるためである。 リベートや協賛金が存在する理由 家電流通がメーカー系列店から家電量販店へ変化していき、大量仕入が基本となり、メ

ーカーとしては家電量販店との取引が主となった。そして、メーカー側は家電量販店の細

かい要求が重なっていき、それが現在のメーカーに対して強い立場になっている。このメ

ーカーと家電量販店の関係を作り出したのも、ヤマダである。この関係を作り出した経緯

をここで説明する。 初の変化は 1994 年であった。NEBA 会員企業はメーカーから商品を 30%の粗利益を

得られる価格で仕入れていたのに対して、ヤマダはその割合が 20%であった。つまり、ヤ

マダは競合他社より高くメーカーから商品を仕入れていた。そのため、メーカーはヤマダ

に納入した方が、売上げが高いため、ヤマダに多く商品を納入した。そのため、ヤマダは

売れ筋商品を多く、メーカーから仕入れることができた。 そして 1997 年頃からヤマダは出店ラッシュとなった。新規出店があれば、ヤマダ向けの

売上も自動的に増えるため、メーカー側からしても出店は大歓迎であった。しかし、共存

共栄はメーカーの思い込みであった。ヤマダはメーカーの歓迎ムードを察知するように、

リベートや協賛金などの仕組みを除々に導入していった。 2002 年、ついにヤマダとメーカーとの力関係が逆転する日が訪れた。ヤマダは売上高

5000 億円を達成し、コジマを抜いて業界トップとなった。それと同時に 1994 年には 20%だった粗利益率が 30%まで引き上げられた。ここでメーカー側はヤマダが持つ交渉力に気

づいたのである。結果的にヤマダは粗利益率も上げることができ、リベートや協賛金の仕

組みも導入することもできたのである。つまりメーカーは、ぬるいと思っていたお湯の温

度が除々に上がり、気がつけば熱湯の中にいた「茹でガエル」というわけである。 このリベートや協賛金の仕組みがどんどん家電量販店に伝わり、今では家電量販店業界

ではメーカーからリベートや協賛金をもらう制度は習慣となっている。

2 のれん…「各企業が持つ『ブランド』『ノウハウ』『顧客との関係』『従業員の能力』等を

総称する無形固定資産のこと。」(『野村證券』,http://www.nomura.co.jp/,2009 年 1 月 30日)一般に、企業が他社を買収する際にかかる金額には、買収する企業の純資産に加えら

れるもので、一定期間で償却するように求めている。

19

メーカーに対して強い立場であることから、ヘルパーへの業務指示・命令問題も起きた。

ヤマダ電機が「『優位的な地位』を利用し、メーカーに対して人材派遣やリベートを強要し

た疑いで、公正取引委員会の検査を受けた。」(『週刊東洋経済』,2007 年 5 月 12 日号, 32頁)というものだ。 このように家電量販店にはメーカーとの特別な関係が存在する。リベート・協賛金につ

いては財務分析の収益性で詳しく述べていく。

1-6. 家電量販店業界の動向

ここでは今後業界はどのように動いていくのか予測をするため、家電量販店業界の過去

から現在の動きを見ていく。

[図表 1-12]

家電量販店, 35.60%

家電量販店, 42.50%

家電量販店, 45.40%

0.00% 20.00% 40.00% 60.00% 80.00% 100.00%

1993年

1998年

2002年

家電流通 チャネル別シェアの推移 家電量販店

メーカー系列店

チェーンストア

ホームセンター

カメラ量販店

百貨店

その他

出典:山名一郎,前掲書,23 頁

[図表 1-12] は家電流通の 1993年から 2002年のチャネル別シェアの推移を表したもので

ある。 この図からもわかるように、家電流通においての「家電量販店」のシェアが年々延

びてきている。 通信販売の拡大 家電量販店と同じく、シェアを拡大しているのが「その他」のシェアである。「その他」

のシェアは TV ショッピングやインターネットなどの通信販売である。近年これらのシェア

にも押されているのが家電量販店の現状である。TV ショッピングやインターネットの通信

販売には消費者にとって、自宅で買い物ができる、店頭に並ばない商品が簡単に手に入る、

価格の比較が簡単である、物を運ばなくて良いなどというメリットがある。

20

[図表 1-13]家電量販店各社の TV ショッピング及びネット販売の有無

家電量販店 TV ショッピング ネット販売

ヤマダ電機 ○ ○

エディオン × ○

ヨドバシカメラ × ○

コジマ ○ ○

ビックカメラ ○ ○

ケーズホールディングス × ○

ベスト電器 × ○

上新電機 ○(過去) ○

出典:各社ホームページより作成

[図表1-13]は家電量販店各社のTVショッピング及びネット販売の有無を示したものであ

る。このように、前述のニーズに対応するように近年ではネット販売や TV ショッピングを

行っている家電量販店も多い。 メーカー系列店のメリット

その分「いわゆる『街の電気屋さん』=メーカー系列店」(山名一郎,前掲書,14 頁)の

シェアが減少しているのも明らかである。メーカー系列店は家電量販店に押されているが、

もともと地域密着での販売を行っているため、長年にかけて信頼関係を築き上げた年配の

固定客を持っている。「きめ細かなアフターケアーを望む年配の客は家電量販店よりもメー

カー系列店を選ぶのである。」(『週刊東洋経済』,2007 年 5 月 12 日号,51 頁)このような

街の電気屋さんの地域密着型の強みを取り込みそして、メーカー系列店にも勝てるような

戦略をとると同時に、収入源を増やしている。 新たな戦略 (1)新たな事業展開 家電の販売だけでなく、下記のような新しい事業にも取り組んでいる。 〈商品拡大〉 ○ 時計やおもちゃ、スポーツ用品や家具などの商品販売(家電量販店全般) 現在家電量販店は家電だけではなく、生活用品全般が店頭に並べられている。 〈チャネル拡大〉 ○ エアコンや台所家電のクリーニング(家電量販店全般) 購入だけではなく、その後のアフターサービスを充実させている。

21

○ 高齢者向けに販売員を出張させてデジタル家電の操作方法の説明(家電量販店全般) 説明書を読むだけでは難しい高齢者などを対象に出張している。 ○ オリジナル商品の開発(家電量販店全般) メーカーとともにアイデアを出し合い、オリジナル商品を開発し、販売している。 ○ 中古車の販売(ヤマダ電機) 全国店舗ネットワークと売り場面積の広さを活かし、中古車の販売を行っている。 ○ デジタル家電レンタル業(ヤマダ電機) 法人向けから進められている。いずれは個人向けのレンタルも行う予定である。パソコン

は 3 年契約の場合で月 4000 円程度、42 型の薄型テレビは同 6000 円程度で貸し出す。レン

タル終了後は中古品販売を手掛ける子会社が商品を買い取り再販売する。 ○ 家電コンビ二の設置(エディオン) 電池・電球・プリンターインクなどの消耗品のみを取り扱う家電のコンビ二を直営店舗の

周りに設置している。 (2)海外展開

「人口減で日本国内では大きな需要の伸びが望みにくいため、海外市場開拓に乗り出し

ている」(『日経ネット』,前掲 WEB サイト,2008 年 5 月 11 日)企業がある。 例えを述べると、ベスト電器は中東に進出した例がある。クウェートの家電販売会社と

フランチャイズチェーン(FC)契約を結び、同国に 1 号店を出して薄型テレビや携帯電話

を販売する。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイへの出店も計画している。中東では家電

や携帯電話は世界各メーカーの代理店が個別に販売しているケースが多い。ベストは日本、

韓国の製品を一手に扱うことで集客する。2010 年 2 月期には 5 店程度まで増やす計画だ。 このように海外展開も他の企業との差別化を図るには 1 つの戦略である。

1-7. 家電量販店業界の展望

業界の現状・業界の過去から現在までの動向を見てきたところで、家電量販店業界の今

後注目されるキーワードをここで 2 つ挙げる。 今後注目されるキーワード (1)大量仕入 まだまだ注目されるキーワードとなる。 大量仕入の手段として行われている M&A では業界上位の企業同士が行い、一気に規模拡

大する可能性もある。その時は現在独走中のヤマダ電機を越える企業が現れるかもしれな

い。 前記の再編マップで示していた動きがさらに大きくなる可能性は十分ある。

22

(2)質の差別化 大量仕入だけでは固定客は集まらない。ヤマダに対抗するには質の向上を目指し、その

企業独自のサービスを強化すべきである。質の向上の点では動きを示している企業も現れ

ている。例えば、エディオンが行っているオリジナル商品の開発・販売である。 では続いて本論文で取り上げる、4 社(ヤマダ電機、エディオン、コジマ、ケーズホール

ディングス)の企業の概要を見ていく。

23

2.企業概要 (中田麻理)

2-1.事業概要

ここでは取り上げる 4 社の事業概要を比較していく。 取り上げる企業はヤマダ電機、エディオン、コジマ、ケーズホールディングスの 4 社で

ある。初めに従業員数を見ていくと、エディオンが1万名を超えて一番多い。これはエデ

ィオンが持株会社であり、保有している子会社の数が多いためである。 売上高ではヤマダが業界初の 1 兆円を達成しており、他の 3 社を大きく引き離している

ことが分かる。ヤマダは今まで郊外に店舗を広げてきたが、今後は都心にも大型店を出店

し始めるため、さらに売上高が伸びることが予想される。 また、ヤマダは 2008 年 6 月からヤマダオートジャパンという自動車買い取り事業を行う

子会社を設立し、FC 方式で、全国約 500 店のヤマダの直営店舗を拠点に、中古車の買い取

り事業を始める。7 月に茨城県に 1 号店を開き、その後 FC 企業を募り全国展開する。 店舗数で見ていくと、ヤマダ、エディオン、ケーズの3社が FC 展開を行っている一方、

コジマだけが完全直営主義を貫いている。これについては後述する。 また、売上構成比に注目すると、エディオンの非家電営業部門の割合が他の 3 社に比べ

て多いことが分かる。これはエディオンが持っているグループ会社が、玩具や DVD など非

家電の販売事業などを行っているからである。 では次に 4 社がそれぞれ現在までどのように成長してきたのか、簡単に歴史を振り返っ

てみる。

24

25

2-2.企業のあゆみ

ここでは各企業が現在に至るまでどのような歴史を歩んできたのかを見ていく。 そこで、各社の沿革を見ていく。 (1)ヤマダ電機 1983 年 「株式会社ヤマダ電機」設立 2000 年 東京証券取引所第一部に上場 2005 年 家電量販店として初めて売上高 1 兆円達成

家電量販店として初の全国出店 2007 年 「株式会社ぷれっそホールディングス」を完全子会社化

「株式会社キムラヤセレクト」の株式を 94%取得し、子会社化

初期 1973 年、山田昇社長によってヤマダ電化センターが創業された。創業から 10 年は群馬

県前橋市での地域販売に専念し、地域密着のサービスを徹底することで固定客を作ってい

った。その後 1983 年に株式会社ヤマダ電機を設立した。 中期

1980 年代後半以降は北関東でコジマ(栃木県)、ケーズ(茨城県)とともに「YKK」と

呼ばれ、互いの商圏への進出と価格競争で激しく競い合い規模を拡大した。 2002 年に家電量販店の売上高日本一に上り詰めた。さらに 2005 年 2 月には家電量販店

として初めて売上高 1 兆円を達成し、同年 7 月、家電量販店で初の全都道府県進出を果た

した。そして現在家電量販店業界の中で売上第 1 位であり、 も成長している企業である。

現在 ヤマダは様々なサービスを行うことで成長してきた。その中でも特徴的なものを 3 つ挙

げる。 一つ目は、法人向けビジネスの展開だ。ヤマダは約 30 万件の法人顧客リストを持ってい

る。この法人顧客リストに対し、パソコンなど IT 機器販売や設置サービスを行う窓口を約

300 店に設置してサービス内容を定型化している。現在年間約 1000 億円の売り上げを誇っ

ている。この利益率は一般消費者向けビジネスよりさほど厳しい安売り戦争がないことも

あり、粗利益率が高いため重要な収入源となっている。 二つ目は、ヤマダは「The 安心」という修理サービスを行っていることである。ヤマダ

電機に会員登録し、毎年 3,832 円支払うとテレビ、エアコン、冷蔵庫など指定した家電商

26

品が故障した場合、他社から購入した製品であっても無料で修理してもらえる。100 万人の

会員を集めれば、それだけで年間に 38 億円の売上に繋がることになるため、高収益の要因

の一つである。 三つ目はポイント制度の活用も徹底している。「家電製品は粗利益率が低いため発行した

ポイントがそのまま家電購入に利用されると収益を圧迫しかねない。そのため、カタログ

通販などをラインナップすることでポイントの使い道を多様化し、粗利益率の確保を図っ

ている。」(『週刊東洋経済』,2007 年 5 月 12 日号,45 頁) ヤマダはこれまで郊外に店舗を構えることが多かったが、郊外型店舗を 47 都道府県すべ

てに出店し終えると、「LABI」という都市型大型店舗のブランドを確立する。 そして今後、東京・大阪の主要ターミナル駅前に都市型大型店舗を順次出店を予定して

おり、さらに規模の拡大を図っていく。 (2)エディオン 2002 年 「株式会社デオデオ」と「株式会社エイデン」が共同で、「株式会社エディオン」

を設立 「株式会社デオデオ」と「株式会社エイデン」は完全子会社 2003 年 「株式会社暮らしのデザイン」の全株式を取得し、完全子会社化 2005 年 「株式会社ミドリ電化」を完全子会社化 2007 年 「石丸電気」を子会社化

全額出資会社「東京エディオン」を設立 2008 年 「デル株式会社」とパソコン販売における提携 完全子会社の「株式会社暮らしのデザイン」の株式の全数を「株式会社ニッセ

ンホールディングス」に譲渡 2008 年 2009 年 2 月 1 日を持って東京エディオン及び、既に子会社化されている石丸

電気とその子会社をエイデンに吸収合併すると発表 初期 2002 年 3 月、中国地方を基盤とする株式会社デオデオと、中部地方を基盤とする株式

会社エイデンが共同で設立した。2005 年 4 月には、近畿地方を地盤とする株式会社ミドリ

電化を子会社化した。これにより、新生エディオングループは、中国・四国・九州地方の

デオデオ、近畿地方のミドリ電化、中部地方のエイデンという体制が確立し、中部以西の

地域シェア No. 1 を誇る家電量販店グループとなった。店舗数では業界第 1 位、売上高は

8,000 億円を超え、ヤマダに次いで第 2 位である。

27

現在 エディオンはオリジナル商品の開発に積極的だ。 グループのオリジナルブランドとして、一人暮らし用にぴったりのサイズ・機能・デザ

インに、選べる 3 つのキーワードカラーで揃えたオリジナル家電シリーズの「キーワード

(keyword)」や、メーカー共同開発ブランドの「クオル(KUAL)」、省エネに対応した電

池・管球など、消耗品に特化した商品の「MY&OUR」などを展開している。 「こうしたオリジナル商品の開発は、2007 年度だけで約 700 アイテムに上り、2008 年

3 月現在、その展開数は約 2,500 アイテムに及んでいる。2008 年度は、オリジナル商品の

売上構成比 25%を目標としており」(『エディオンアニュアルレポート 2008』,

http://www.edion.co.jp/ir/pdf/annual/ar08_j.pdf,2008 年 10 月 3 日)、今後もオリジナル

商品の展開を積極的にしていく予定だ。 (3)コジマ 1963 年 株式会社小島電機を設立 1993 年 株式会社コジマに社名変更 1997 年 ベスト電器を抜いて、家電量販店売上高日本一を達成 1998 年 東京証券取引所第一部昇格 2001 年 家電量販店業界初の売上高 5,000 億円超を達成 2008 年 島根県松江市に NEW 松江店を開店し、全国出店を達成 初期 1963 年コジマは設立された。

北関東を中心とした会社を子会社化するなど、北関東を中心として店舗拡大を行ってい

った。「1990 年代中盤には『1 円パソコン』を販売するなど、過激ともいえる価格破壊を展

開した。同じ時期に全国へ拡大していた同じく北関東発祥のヤマダ、ケーズとともに『YKK』

と呼ばれ、同業他社から恐れられていた。」(『週刊東洋経済』2007 年 5 月 12 日号,62 頁) 中期 1997 年には業界首位まで上り詰め、2001 年には家電量販店としては初めて売上高 5,000億円超を達成した。しかしメインバンクの足利銀行の破綻やヤマダ電機が推し進める大型

店の大量出店の波に乗り遅れ、2002 年にヤマダ電機に売上高日本一の座を明け渡すことと

なった。 現在

2008 年 3 月に全都道府県への出店を果たすが、コジマの成長は進んでいない。

28

2000 年に「大規模小売店舗法」が廃止され、大型小売店の出店規制が緩和されたことか

らヤマダは 3000 平方メートル超の売り場面積を持つ店舗の出店準備を始め、巨大な売り場

で品揃えを充実し集客力を強化し、業績を拡大させた。この大型店舗を出店する際にネッ

クになるのが設備投資資金である。コジマは株価が低かったことから、市場で資金調達を

したくても出来なかった。現在の家電量販店業界の標準の売り場面積は 3000 平方メートル

以上の大型店である。売り場面積 500 平方メートルの小型店を 120 店以上抱えていたコジ

マは S&B に資金を回すだけで精一杯となり、思うように出店拡大が出来ずにいる。独立路

線を貫いているコジマだが、このままでは次の M&A の標的にされることが考えられる。 (4)ケーズホールディングス 1947 年 加藤電機商会を設立 1973 年 組織変更し、株式会社カトーデンキに商号変更 1991 年 東北地方基盤の株式会社よつば電機を子会社化 1997 年 株式会社ケーズデンキに商号変更 1999 年 PC デポコーポレーションと FC 契約を締結 2002 年 東京証券取引所第一部に昇格 2003 年 「株式会社暮らしのデザイン」を完全子会社化 2004 年 「株式会社ギガス」を完全子会社化

「株式会社ケーズデンキ」から「ギガスケーズデンキ株式会社」へ商号変更 「八千代ムセン電機株式会社」を完全子会社化

2005 年 「株式会社ビッグ・エス」を完全子会社化 2007 年 完全子会社「株式会社九州ケーズデンキ」を設立

「ギガスケーズデンキ株式会社」を「株式会社ケーズホールディングス」へ

商号変更 「株式会社デンコードー」、「株式会社北越ケーズ」、「株式会社北越ケーズ」

を子会社化

初期 1947 年に加藤電気商会として設立された。その後 1973 年 9 月に株式会社化。 1991 年、東北地方基盤の株式会社よつば電機(現 株式会社東北ケーズデンキ)を子会社

化する。

中期 ケーズは、1980 年代後半以降は北関東発祥のでヤマダ、コジマとともに「YKK」と呼

ばれ、互いの商圏への進出と価格競争で激しく競い合い、規模を拡大した。

29

現在 ケーズは M&A で高い成果を上げており、2004 年にギガス、八千代ムセンを相次いで傘

下に収め、2005 年には四国のビッグ・エスを買収して勢力を拡大した。買収後は各社の拠

点である東海、関西、四国でも着実にシェアを伸ばした。 M&A 成功の秘訣として、徹底した効率化がある。その例の一つが広告宣伝費である。

買収した子会社の名前は「ケーズデンキ」に統一し、販促チラシは全国で同じものを使

用することでコスト削減を図っている。その効果が表れているのが売上高販管費率であ

る。同業他社が 17~20%近辺であることに比べて、ケーズは 2002 年度から 2007 年度の平

均を示すと、13.50%であり、とても低く抑えられている。 2007 年 2 月に株式会社ケーズホールディングスに商号を変更し、同年 4 月、「ケーズは

東北基盤で業界 9 位のデンコードーを子会社化し、業界 4 位に躍り出た。」(『週刊東洋経済』,

2007 年 5 月 12 日号,61 頁)そしてこの先も M&A だけに頼るのではなく、今後数年間で平

均売り場面積 3000 平方メートル以上大型店舗をフランチャイズも含め、年 40 店以上出店

していく計画だ。

30

3.財務分析 ここからはヤマダ電機、エディオン、コジマ、ケーズホールディングスの財務分析を行

う。財務分析では各社が公表している財務諸表をもとに、成長性分析、収益性分析、安全

性分析、キャッシュフロー分析を行い、企業の財務状態を数値やグラフを用い明確にし、

企業の戦略や課題を掴む手掛りを探る。

3-1. 成長性

(三好裕太郎)

各企業の売上高・総資産・営業利益・経常利益の成長性を分析する。 成長性分析とは、経営分析の一手法で、売上や利益、増益率などの成長を時系列で把握

することにより、主にその企業の将来性、競争力を検証することができる。

[図表 3-1-1]

売上高推移

0

200,000

400,000

600,000

800,000

1,000,000

1,200,000

1,400,000

1,600,000

1,800,000

2,000,000

(単位:百万円)

ヤマダ 793,829 939,137 1,102,390 1,283,961 1,443,661 1,767,818

エディオン 442,857 434,166 437,992 714,697 740,293 851,205

コジマ 503,458 476,156 490,694 498,040 501,335 500,250

ケーズ 194,936 220,000 343,383 399,791 431,118 567,776

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-1-1]は 4 社の 2002 年度から 2007 年度までの売上高を示したものである。 ヤマダは他の 3 社に比べ、売上高の規模が大きいことがわかる。業界第 2 位のエディオ

ンとの差は 2 倍以上もある。この要因の一つが M&A である。現在様々な業界で規模拡大

による流通コスト圧縮や、仕入コスト圧縮を狙った M&A が盛んに行われている。しかし、

ヤマダ電機は家電量販店を買収し単純な規模拡大を目的とはせず、大型店の出店以外に事

業を広げている。具体的には地域密着型の“街の電気屋さん”と呼ばれる高付加価値型の

ビジネスモデルを展開すべく地域で強みを持つ小・中規模の家電量販店を買収し、“街の電

気屋さん”出店のための地盤としている。またメーカー直営店とも FC 契約を行っている。

31

メーカー直営店を“街の電気屋さん”とし広げることで、地域密着型サービスを徹底させ

ようとしている。そしてもう一つの要因として挙げられるのが、全国 47 都道府県すべてに

店舗を置いていることである。ただ、全国に店舗を置くのではなく、「市場に合ったタイプ

の店の全国展開を行っているのである。」(立石泰則,前掲書,12 頁) エディオン、ケーズも積極的に M&A を行っている。その一つとして、2006 年度のエデ

ィオンの売上高の急成長は、九州を地盤とするミドリ電化の完全子会社化によるものであ

る。ケーズは他社に比べると、売上高は低いものの上昇傾向にある。 コジマは他の 3 社が売上高を伸ばしている一方で、売上高はほぼ横ばいで推移し、企業

としての規模に大きな差がでてきている。 次に各社の成長を増収率で詳しく見ていく。増収率と企業活動を結び付けてみることで、

その企業活動が売り上げにつながっているのかを見ることができる。また、将来の成長性

や増収率を予測する手掛かりとなる。 [図表 3-1-2]

増収率

-20%

0%

20%

40%

60%

80%

ヤマダ 18.30% 17.38% 16.47% 12.44% 22.45%

エディオン -1.96% 0.88% 63.18% 3.58% 14.98%

コジマ -4.83% 2.41% 1.50% 0.66% -0.22%

ケーズ 12.86% 56.08% 16.43% 7.84% 31.70%

2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-1-2]は 4 社の 2002 年度から 2007 年度までの増収率を示したものである。 増収率とは、「売上高の前年度からの伸び率である。」(下野武司・島崎豊彦・島崎規子,

『実例で学ぶ経営分析入門』,中央経済社,2006 年,39 頁) ヤマダの増収率は 5 ヵ年平均で 17.41%を示している。2007 年度の 22.45%という高い数

字はぷれっそホールディングスを買収した影響である。ヤマダの増収率は年々下がってい

る。これは売上高が高いため、大きな成長が見られないためである。しかし、年々下がっ

てはいるが、直近 5 年すべての年で二桁成長を見せており、売上高1兆円を超える大企業

でありながら毎年二桁成長をしていることがヤマダの強さを物語っている。 エディオンは 2005 年度、九州を地盤とするミドリ電化買収により、88 店舗加わったた

め、高い増収率を示している。2007 年度の伸びは石丸電気と 100 万ボルトをもつサンキュ

ーを買収したためである。

32

このようにエディオンは M&A で成長していることがわかる。 ケーズは 2004 年度ギガス、八千代ムセンを買収したことで高い増収率を示している。

2007 年度にもデンコードーを買収したため増収率が上がっている。平均しても 4 社の中で

も高い増収率を示している。売上高が低いため、まだまだ成長する余地があるためとも

考えられる。 コジマの増収率は 5 ヵ年平均-0.48%と僅かに減少傾向を見せている。近年は売上高、店

舗数ともにほぼ横ばいで、大きな減少をしているわけではない。しかし、企業規模が確実

に拡大している他社と比べると、差は広がるばかりである。 次に店舗数の推移を見る。業界概要の箇所でも述べたように家電量販店業界は M&A が

活発で、各社とも企業規模の拡大を目指している。企業規模を比較する上では売上高や総

資産といった財務データだけではなく、店舗数や従業員数といった数値も大切な指標とな

る。従業員数推移については収益性で述べる。 [図表 3-1-3]

直営店舗数推移

0

200

400

600

(店舗)

ヤマダ 201 227 265 300 338 494

エディオン 279 253 248 334 363 434

コジマ 247 231 225 226 230

ケーズ 109 105 163 174 201 262

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-1-3]は 4 社の 2002 年度から 2007 年度までの直営店舗数の推移を示したものであ

る。この図からわかるようにヤマダ、エディオン、ケーズは成長傾向にある。近年のヤマ

ダは都市型の大規模店を出店させることで話題となっているが、それ以外の郊外型店も増

加していることがグラフからわかる。 エディオン、ケーズの増加は M&A による増加が中心であるが、前述したとおり売上高も

伸びていることから、企業規模拡大が成功していることがわかる。 コジマの店舗数は伸び悩んでいる。これはコジマが M&A を行わず独立路線を貫いている

ことが関係している。ヤマダ、エディオン、ケーズが他店の株式を買って子会社化し店舗

数を増やしているのに対して、コジマのとる独立路線とは、新店舗開店のために土地や建

物を購入する必要がある。売上高推移の箇所でも述べたようにコジマの売上高は成長傾向

33

を見せておらず、後述の営業利益推移や経常利益推移、収益性でも利益が上がっていない

ことがわかる。よって、新店舗開店に必要な資金が確保できず店舗数が成長していないの

である。 [図表 3-1-4]

2007年度FC店舗数

0

100

200

300

400

500

600

700

店舗数

2007年度 563 643 29 0

ヤマダ エディオン ケーズ コジマ

出典:各社の有価証券報告書より作成

※ ケーズは PC デポ FC、アウトレット店などを除く

[図表 3-1-4]は 4 社の 2007 年度の FC 店舗数である。エディオンはデオデオ、エイデン、

ミドリ電化、などのように各地域で強さを持つ量販店を持ちそれぞれが地域ごとに FC 展開

を行っていることが、FC 店舗数に表れている。店舗数の拡大ということに限っていえば、

エディオンは M&A を有効に使っているということがわかる。 売上高推移でも述べたようにヤマダは“街の電気屋さん”と FC 契約を結び店舗数を拡大

しているので、家電量販店の増加ではないが、他社が進出していない事業を専攻して行っ

ている。 ケーズは 2006 年度に土橋電気、2007 年度にヒダカ電器商会とフランチャイジー(加盟

企業)を吸収合併して店舗運営を引き継いだことで、FC 店舗数は増加していないが(2006年度から 2007 年度では3店舗減)直営店舗数が増加している。

コジマは直営店舗数推移の箇所でも述べたように独立路線を貫いているので、FC 店がな

い。

34

[図表 3-1-5]

総資産推移

0

200,000

400,000

600,000

800,000

(単位:百万円)

ヤマダ 306,877 328,406 376,544 461,275 550,439 750,700

エディオン 230,332 222,614 231,410 319,507 390,550 437,410

コジマ 208,897 207,904 215,160 208,615 211,237 199,892

ケーズ 68,745 75,744 144,085 155,663 181,878 251,405

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-1-5]は 4 社の 2002 年度から 2007 年度までの総資産の推移を示したものである。 ヤマダ、エディオン、ケーズの 3 社は増加傾向にあるのに対し、コジマはほぼ横ばいで

ある。 3大規模小売店舗法が廃止され、出店規制が緩和されてから、ヤマダは次々に店舗を増やし

ていった。しかし、問題となるのが設備投資資金である。店舗を大幅に増やすとなると高

額の投資資金が必要である。そこでヤマダは高い収益力を背景にした高株価を生かして出

店費用を集めた。 コジマにはこのような能力がないため、資金が集められず、店舗も増やせない。そこで

S&B を行うが、それだけで精一杯になってしまい、総資産も伸びないのである。 エディオン、ケーズの総資産増加は株式の購入や M&A による子会社化を積極的に行って

いることが原因である。それらにかかる費用は主に負債で賄われているが、M&A の結果が

しっかりと売上高の増加に結びついている。また、積極的な M&A が利益率に極端な悪影響

を与えるというということもなく、無理のない資産増加、企業規模拡大が行えている。 次に営業利益、経常利益の推移と増益率を見ていく。売上高推移を見るだけでは、どれ

だけ成長していても利益が増加しているとはいえない。売上が増加していても赤字という

可能性があるからである。営業利益や経常利益の成長をみることで企業活動が利益に繋が

3大規模小売店舗法…1973 年(昭和 48 年)に施行された、「消費者の利益の保護に配慮しつ

つ、大規模小売店舗の事業活動を調整することにより、その周辺の中小小売業者の事業活

動の機会を適正に保護し、小売業の正常な発展を図ることを目的」とした法律。 1998 年(平成 10 年)に、大型店を規制する考え方から、大型店と地域社会との融和の

促進を図ることを目的とし、店舗面積等の量的な調整は行わない「大規模小売店舗立地法」

(大店立地法)が成立し、2000 年 6 月に施行された。この新法により「大店法」は廃止さ

れた。

35

っているのかを判断することができる。また、将来の利益推移の予測を立てる手掛かりと

なる。 [図表 3-1-6]

営業利益推移

-10,000

10,000

30,000

50,000

70,000

(単位:百万円)

ヤマダ 2,715 13,366 29,157 49,375 55,551 65,424

エディオン 5,793 5,825 5,011 8,054 6,946 8,480

コジマ -5,927 -7,446 -3,840 -4,296 -5,547 -7,728

ケーズ 2,916 3,136 1,845 3,914 6,136 7,116

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-1-7]

営業増益率

-100.00%

0.00%

100.00%

200.00%

300.00%

400.00%

ヤマダ 392.30% 118.14% 69.34% 12.51% 17.77%

エディオン 0.55% -13.97% 60.73% -13.76% 22.08%

コジマ -25.63% 48.43% -11.88% -29.12% -39.32%

ケーズ 7.54% -41.17% 112.14% 56.77% 15.97%

2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

営業利益とは会社が本業から上げる利益のことで、売上から、原材料費や仕入れコスト、

販売管理費などの本業に関わるコストを差し引いて計算したものである。 [図表 3-1-6] [図表 3-1-7]はそれぞれ 4 社の 2002 年度から 2007 年度までの営業利益推移

と営業増益率推移を示したものである。 ヤマダは成長傾向にあることがわかる。売上高が 1 兆円を超えた 2004 年度以降も毎年二

桁成長をしている。売上高の増加と、仕入原価の減少が営業利益増加の大きな要因である。

36

エディオン、ケーズは M&A による企業規模の拡大を大々的に行っている。企業規模拡大、

売上高増加を目指す一方で利益が減少してしまえば新たな投資を行えなくなる。エディオ

ン、ケーズともに営業利益が成長傾向にあるので、企業規模拡大と利益増加が結びついて

いる。ただし、売上高と対応して営業利益も成長しているヤマダと比べるとその成長は不

安定なものである。 エディオンは 2005 年度ミドリ電化買収の影響で急成長している。2004 年度と 2006 年度

には減少している。2004 年度の減少はオリジナル家電の開発を進めたため、研究開発費が

かさんだためである。2006 年度の減少は家具やインテリア雑貨、の販促を積極的に行った

ためである。 ケーズも 2004 年度に減少している。これは 50 店舗増やしたことによる、地代家賃の増

加が原因である。 コジマは赤字を示している。直近 6 年は全て赤字であることから一時的なものではない

ことがわかる。この要因はコジマが売上原価率も高く、売上高販管費も高いからである。

詳しくは収益性で述べることとする。 次に経常利益を見ていく。経常利益とは、企業が本業を含めて普段行っている継続的な

活動から得られる利益のことで、営業利益に、財務金融活動など本業以外に普段行ってい

る活動からの損益を加減して計算したものが経常利益である。財務金融活動を含めた指標

であるので、その企業の総合的な実力を示すことができる。

[図表 3-1-8]

経常利益推移

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

(単位:百万円)

ヤマダ 18,390 30,652 48,186 62,614 71,747 81,652

エディオン 9,465 10,207 11,163 20,389 18,631 21,227

コジマ 2,165 3,141 5,670 6,317 4,354 3,277

ケーズ 5,283 6,109 8,070 11,153 13,910 16,409

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

37

[図表 3-1-9]

経常増益率

-50%

0%

50%

100%

ヤマダ 66.68% 57.20% 29.94% 14.59% 13.81%

エディオン 7.84% 9.37% 82.65% -8.62% 13.93%

コジマ 45.08% 80.52% 11.41% -31.07% -24.74%

ケーズ 15.64% 32.10% 38.20% 24.72% 17.97%

2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-1-8] [図表 3-1-9]はそれぞれ 4 社の 2002 年度から 2007 年度までの経常利益推移

と経常増益率推移を示している。 ヤマダ、エディオン、ケーズは成長傾向にある。中でもヤマダは高い成長性を示してい

る。 ヤマダは売上高、店舗数、営業利益と同様に経常利益でも二桁成長を続けている。つま

り企業規模の拡大に伴うようにして利益も増加しているということで、理想的な成長をし

ているといえる。 ケーズは直近 5 年の平均経常増益率で 25.73%と高い成長を見せている。営業利益は成長

傾向ではあるが不安定な推移であった。しかし企業の総合力を示す経常利益推移では確実

な成長をしていると言える。 エディオンはケーズと同様に営業利益推移では不安定だったものの、経常利益は 2006 年

度を除いては成長傾向を見せている。このことから営業外活動、主に財務金融活動で収益

が上げられているということがわかる。2006 年度は営業利益の箇所でも述べたように、販

促費がかさんだことに加えて、金利の上昇による、支払い利息が増加したためである。 コジマは 2005 年までは成長傾向にあるものの、2006 年度から下がっていることがわか

る。営業利益が赤字なのに対し、経常利益が黒字である要因は他の 3 社と比べ営業外収益

である仕入割引や販促協力金などの収益が多いためであると考えられる。詳しくは収益性

で述べる。 家電量販店業界は営業利益と経常利益を比較すると経常利益で収益を上げていることが

わかる。エディオンやケーズは営業利益では不安定な成長をしていたが、経常利益をみる

と確実な成長をしていた。コジマは毎年営業損失を計上しているのにもかかわらず、経常

利益では黒字を示していた。

38

[図表 3-1-10]

営業利益と営業外収益

-20,000

0

20,000

40,000

60,000

80,000

(百万円)2002年度

2003年度

2004年度

2005年度

2006年度

2007年度

2002年度 2,715 15,573 5,793 4,462 2,916 2,366 -5,927 8,094

2003年度 13,366 17,279 5,825 4,383 3,136 2,973 -7,446 10,587

2004年度 29,157 19,027 5,011 6,152 1,845 6,225 -3,840 9,509

2005年度 49,375 13,242 8,054 12,335 3,914 7,035 -4,296 10,613

2006年度 55,551 16,196 6,946 11,684 6,136 7,774 -5,547 9,901

2007年度 65,424 16,227 8,480 12,746 7,116 9,292 -7,728 11,005

営業利益 営業外収益 営業利益 営業外収益 営業利益 営業外収益 営業利益 営業外収益

ヤマダ エディオン ケーズ コジマ

[図表 3-1-10]は 4 社 2002 年度から 2007 年度の営業利益と営業外収益(営業外利益-営

業外費用)を示したグラフである。ヤマダを除く 3 社は営業利益よりも営業外利益の方が

大きいことがわかる。この要因は仕入割引や販促協力金といった営業外収入によるところ

が大きい。 仕入割引や販促協力金といった収益は家電量販店企業とメーカーとの関わりを象徴した

ものである。詳しくは収益性で述べる。 ここで成長性をまとめる。 ヤマダは総資産、営業利益、経常利益、店舗数、従業員数、全ての指標で増加傾向にあ

り、順調に企業規模が拡大している。また他の 3 社に対しても大きな差をつけていて、家

電量販店業界のリーディングカンパニーとしての地位を磐石なものとしている。 エディオン、ケーズも成長傾向にあるが、ヤマダと比較するとその成長は不安定なもの

である。また、店舗数や従業員数の増加と、営業利益、経常利益の成長が対応してないこ

とから、M&A の成果を 大限引き出しているとはいえない状況にある。 コジマは全ての指標で減少傾向もしくは横ばいで推移している。コジマの成長性が若干

の減少であっても、成長傾向にある他の 3 社と比較すると相対的に大きな減少であると判

断できる。

39

3-2.収益性分析

(上杉美希)

ここでは総資産経常利益率をもとに、各企業の収益性を分析していく。企業が存続発展

していくには利益を上げることが重要である。そのため企業の損益状態を分析し、企業の

存続状態を分析していく。 [図表 3-2-1]

収益性での分析の仕方を[図表 3-2-1]を用いて説明する。この図は収益性の指標ピラミッド

である。まず、総資産経常利益率を分解し、売上高経常利益率と総資産回転率とに分ける。

ここでは主に家電量販店業界が小売業の中でどの位置を示しているか述べる。次に、本論 文で取り上げている家電量販店業界 4 社のヤマダ電機、エディオン、コジマ、ケーズホー

ルディングスの比較を、売上高経常利益率と総資産回転率を分解していき、見ていく。売

上高営業外収益率では前述の業界概要で述べた営業利益よりも経常利益が高い理由である

メーカーからの仕入割引や販促協賛金について詳しく述べていく。

40

[図表 3-2-2]

総資産経常利益率

0.00%

5.00%

10.00%

15.00%

ヤマダ 5.96% 9.33% 12.80% 13.57% 13.03% 10.88%

エディオン 4.11% 4.59% 4.82% 6.38% 4.77% 4.85%

コジマ 1.04% 1.51% 2.64% 3.03% 2.06% 1.64%

ケーズ 7.68% 8.07% 5.60% 7.16% 7.65% 6.53%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-2]は、家電量販店業界各企業の 6 年間の総資産経常利益率をまとめたものであ

る。総資産経常利益率は、総資産の規模に対して、企業の総合的な活動による経常利益が

どの程度の割合で生み出されているかを表す指標である。この比率を表すことで、資産が

どれだけ利益に結びつき、収益性が良好かを分析する。 各企業の 2002 年度から 2007 年度の平均を示すと、ヤマダが 10.97%、ケーズが 7.12%、

エディオンが 7.12%、コジマが 1.99%である。まずこの図からわかることを各社述べてい

く。 ヤマダは他社を引き離し、総資産経常利益率が も高い。 ケーズは 2004 年度に急激に下がっている。これはギガス・八千代ムセンを完全子会社化

したことが要因である。 エディオンは 2005 年度に 3%を上回った。これは九州を地盤とするミドリ電化を買収し

たためである。 コジマは 4 社の中で も総資産経常利益率が低い。 次に家電量販店業界の企業が他の流通企業と比較し、どの程度優れているのか、劣って

いるのかを分析する。そのため有力流通企業と比較する。

41

[図表 3-2-3]

総資産経常利益率(有力流通企業)

0.00%

10.00%

20.00%

30.00%

ヤマダ 5.96% 9.33% 12.80% 13.57% 13.03% 10.88%

セブン&アイ 7.24% 5.83% 5.33%

イオン 6.33% 5.03% 5.67% 6.01% 5.33% 4.63%

ファストリ 18.91% 26.64% 21.48% 19.26% 17.96%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-3]は有力流通企業 4 社の 6 年間の総資産経常利益率をまとめたものである。有

力流通企業 4社として挙げるのは流通企業時価総額 2007ランキングの上位 4社の家電量販

店業界のヤマダ電機とセブン&アイホールディングス、イオン、ファーストリテイリングで

ある。 4 社の 2002 年度から 2007 年度の平均(ファストリは 2002 年度から 2006 年度、セブン

&アイは 2005年度から 2007年度の平均)を示すと、ファストリが 20.85%、ヤマダが 10.97%、

セブン&アイが 6.12%、イオンが 5.50%、である。 この図からもわかるように、セブン&アイとイオンは約 6%の総資産経常利益率であるの

に対して、ヤマダとファストリは 10%を超えている。ファストリは 10%を超えているだけ

でなく、約 20%を推移している。つまり有力流通企業の中での総資産経常利益率を比較す

ると、ヤマダはセブン&アイ、イオンに比べると優れた収益性と言えるが、ファストリほど

ではない。 ケーズは前述のように、平均は 7.12%であったため、セブン&アイとイオンに比べれば、

高いといえる。 エディオンの平均 4.95%とコジマの平均 1.99%、セブン&アイとイオンの平均に比べて優

れているとはいえない。 次にこの総資産経常利益率を分解し、さらに詳しく収益性を分析していく。まず、売上

高経常利益率と総資産回転率の 2 つに分解する。この 2 つに分解することで各企業が利益

重視の高付加価値型戦略なのか回転重視の高効率型戦略なのかを見ていく。

42

[図表 3-2-4]

売上高経常利益率

0.00%

2.00%

4.00%

6.00%

ヤマダ 2.30% 3.26% 4.37% 4.88% 4.97% 4.62%

エディオン 2.14% 2.35% 2.55% 2.85% 2.52% 2.49%

コジマ 0.43% 0.66% 1.16% 1.27% 0.87% 0.66%

ケーズ 2.71% 2.78% 2.35% 2.79% 3.23% 2.89%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表3-2-4]は家電量販店業界各企業の6年間の売上高経常利益率をまとめたものである。

売上高経常利益率とは売上高と経常利益の比率で示され、売上高に対してどのくらいの経

常利益が獲得されたかを表す。 各企業の 2002 年度から 2007 年度の平均を示すと、ヤマダが 4.07%、ケーズが 2.79%、

エディオンが 2.48%、コジマが 0.84%である。 ここでも、ヤマダが他の 3 社を引き離し、売上高経常利益率が高いことがわかる。つま

り 4 社で比較すると、ヤマダは利幅が も大きい。 ケーズとエディオンはほぼ同じ数値を示している。

ここでも、コジマは 4 社の中で も低い。 次に売上高経常利益率でも、有力流通企業と比較する。

43

[図表 3-2-5]

売上高経常利益率(有力流通企業)

0.00%

5.00%

10.00%

15.00%

20.00%

ヤマダ 2.30% 3.26% 4.37% 4.88% 4.97% 4.62%

セブン&アイ 7.24% 7.40% 7.16%

イオン 4.47% 4.03% 4.09% 4.36% 4.33% 3.58%

ファストリ 13.42% 18.88% 15.26% 16.30% 12.30%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-5]は有力流通企業 4 社の 6 年間の売上高経常利益率をまとめたものである。 4 社の 2002 年度から 2007 年度の平均(ファストリは 2002 年度から 2006 年度、セブン

&アイは 2005 年度から 2007 年度の平均)を示すと、ファストリが 15.23%、セブン&アイ

が 7.27%、イオンが 4.14%、ヤマダが 4.07%である。 [図表 3-2-4]ように、ヤマダの売上高経常利益率は家電量販店業界の 4 社の中では高い水

準で推移している。しかし、[図表 3-2-5]で比較するとその数値は決して高いものとはいえ

ない。有力流通企業 4 社の内、 も売上高経常利益率が高いのはファストリである。セブ

ン&アイとイオンの平均値と比較しても、ヤマダは有力流通企業 4 社の中で も低い。 つまり家電量販店業界で売上高経常利益率が も高いヤマダが、有力流通企業 4 社の中

で も低いということは、家電量販店業界は他の流通業界と比較して利益の低い業界であ

るといえる。 次に効率を示す総資産回転率の分析していく。

44

[図表 3-2-6]

総資産回転率

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

(単位:回)

ヤマダ 2.59 2.86 2.93 2.78 2.62 2.35

エディオン 1.92 1.95 1.89 2.24 1.90 1.95

コジマ 2.41 2.29 2.28 2.39 2.37 2.50

ケーズ 2.84 2.90 2.38 2.57 2.37 2.26

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-6]は家電量販店業界各企業の 6 年間の総資産回転率をまとめたものである。総

資産回転率は、総資産がどれだけ回転したかを表すものである。つまり企業が持つ資産を

どれだけ有効に使えているかを示すものである。 この図を見てわかるように[図表 3-2-4]の売上高経常利益率(家電量販店)のグラフに比べ、

4 社に差がないことがわかる。各企業の 2002 年度から 2007 年度の平均を示すと、ヤマダ

が 2.69 回、ケーズが 2.55 回、コジマが 2.37 回、エディオンが 1.98 回である。 ヤマダは 2006 年度まで総資産回転率でも、 も優れた数値を示していたが 2007 年度は

コジマがトップとなった。ヤマダの 2007 年度の 2.35 回という数値はここ 6 年間で も低

い数値である。この要因は総資産の増加に伴うものである。詳しくは後述の建物回転率で

述べるとする。家電量販店業界の 4 社を比較すると、総資産回転率は現在、約 2~2.5 回に

収まりつつある。 次に有力流通企業と総資産回転率を比較する。

45

[図表 3-2-7]

総資産回転率(有力流通企業)

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

ヤマダ 2.59 2.86 2.93 2.78 2.62 2.35

セブン&アイ 1.00 1.27 1.34

イオン 1.42 1.25 1.39 1.38 1.23 1.29

ファストリ 1.41 1.41 1.41 1.18 1.46

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-7]は有力流通企業 4 社の 6 年間の総資産回転率をまとめたものである。 4 社の 2002 年度から 2007 年度の平均(ファストリは 2002 年度から 2006 年度、セブン

&アイは 2005 年度から 2007 年度の平均)を示すと、ヤマダが 2.69 回、ファストリが 1.37回、イオンが 1.33 回、セブン&アイが 1.20 回である。

この図から分かる通り、ヤマダの総資産回転率は他の 3 社(セブン&アイ、イオン、フ

ァストリ)に比べ、高い数値である。[図表 3-2-6]では家電量販店業界 4 社(ヤマダ、エデ

ィオン、コジマ、ケーズ)は約 2~2.5 回であったことから、セブン&アイ、イオン、ファ

ストリの 3 社と比べ、高い数値であることがわかる。つまり、家電量販店業界は他の流通

業界と比較し、総資産回転率が高い業界といえる。 [図表 3-2-2]~[図表 3-2-7]まで 3 つの指標(総資産経常利益率、売上高経常利益率、総資

産回転率)を用いて他の小売業と比較した。 売上高経常利益率が家電量販店業界の 4 社の中で も高かったヤマダも、総資産回転率

では他の 3 社(エディオン、コジマ、ケーズ)と同レベルの数値である。これは近年家電

量販店業界が高効率型の戦略を目指しているからである。なぜなら、家電量販店に並ぶ商

品はメーカーから仕入れたものであり、仕入先は各企業ともほぼ同じである。他企業との

差別化を商品の品質では図れないため、価格競争にほぼ限定されているのである。大量仕

入をし、売り切る努力を各企業続けた結果、総資産回転率の数値が近づいているといえる。 総資産経常利益率を分解し分析したことで 2 つのことが分かった。1つ目は、家電量販

店業界は他の流通業と比べ総資産経常利益率が低い水準である。2つ目は、家電量販店業

界は他の流通業と比べ総資産回転率が高い水準である。 前述のことをより分かりやすく、視覚的に表すため SPM グラフを示す。

46

[図表 3-2-8]

家電量販店業界SPMグラフ

0.00%

1.00%

2.00%

3.00%

4.00%

5.00%

6.00%

0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50

総資産回転率(回)

売上

高経

常利

益率

ヤマダ

エディオン

コジマ

ケーズ

[図表 3-2-8]は家電量販店 4 社の SPM グラフである。SPM グラフとは、その企業が利益

率を重視した高付加価値型の戦略をとっているのか、それとも回転率を重視した高効率型

の戦略をとっているのかを、グラフにし視覚的に捕らえたものである。グラフの右に行く

ほど高効率型であり、上に行くほど高付加価値型である。右上にあるほど回転率も利益率

も高い、理想的な経営状態であることを示している。 これまでの分析の結果からも分かるとおり、ヤマダは家電量販店業界で比較すると、売

上高経常利益率で高い水準の数値を示している。そのため SPM グラフは他の 3 社より上に

位置している。これは、ヤマダは価格を下げることだけではなく、街の電気屋さんを取り

込み、アフターサービスに力をつけているためである。一方、2004 年度からヤマダは年々

総資産回転率が減少し、グラフ上では左に向かってきている。平成 19 年度には他の 3 社と

近い数値を示している。 エディオンとケーズはほぼ同じ位置を示している。 コジマは 4 社の中で も売上高経常利益率が低く、高付加価値戦略に遠い企業と言える。 次に有力流通企業と比較する。

47

[図表 3-2-9]

有力流通企業SPMグラフ

0.00%

2.00%

4.00%

6.00%

8.00%

10.00%

12.00%

14.00%

16.00%

18.00%

20.00%

0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50

総資産回転率(回)

売上

高経

常利

益率

ヤマダ

セブン&アイ

イオン

ファストリ

[図表 3-2-9]は有力流通企業 4 社(ヤマダ、セブン&アイ、イオン、ファストリ)の SPMグラフである。 この図を見てわかるように、ヤマダのグラフが一番右に位置している。つまり他の流通

企業に比べる、家電量販店は高効率型の経営であると見ることができる。[図表 3-2-6]でも

述べたように、ヤマダ以外の家電量販店 3 社(エディオン、コジマ、ケーズ)は、総資産

回転率はほぼ同じ数値を示していた。利益率を示す売上高経常利益率では家電量販店 4 社

の中でヤマダが、 も高い数値を示していたものの、この図で見ると、低い位置にいる。

そのため家電量販店業界は他の流通企業に比べ、利益率よりも回転率を優先する経営であ

ることがわかる。 次は3つの指標(総資産経常利益率、売上高経常利益率、総資産回転率)をさらに詳しく

分析し、家電量販店業界4社の比較を行っていく。まずは売上高経常利益率を分解していく。

48

[図表3-2-10]

売上原価率

70.00%

75.00%

80.00%

85.00%

90.00%

ヤマダ 81.54% 77.52% 78.98% 77.82% 76.91% 77.91%

エディオン 78.85% 78.90% 78.14% 77.93% 77.78% 77.09%

コジマ 84.04% 84.09% 83.56% 83.15% 82.98% 82.77%

ケーズ 88.10% 87.47% 86.21% 85.23% 83.75% 81.15%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表3-2-10]は各企業の売上原価率の過去6年間をまとめたものである。売上原価率とは、

売上に占める売上原価の割合を示したものである。低い数値であるほど、売上高に占める

売上原価の割合が低く、原価が安く抑えられているということになる。小売業は「大量仕

入による仕入価格の値引きや運賃などの節約によって売上原価を低下させること」(下野武

司・島崎豊彦・島崎規子,前掲書,112 頁)ができる。つまり、売上原価が低いほど、大量

仕入ができていることになる。 各企業の 2002 年度から 2007 年度の平均を示すと、エディオンが 78.12%、ヤマダが

78.45%、コジマが 83.43%、ケーズが 85.32%である。 4 社を比較すると、ヤマダ電機とエディオンが売上原価率は約 77%を示しており、原価

を安く抑えられていることがわかる。 前述の成長性のように、ヤマダは売上高も高く(2007年度の売上高は約1兆8,000億円)、

店舗数も多いため、バイイングパワーがあり、原価を抑えられている。ここからは成長性

の指標[図表 3-1-3]の直営店舗数推移のグラフとともに見ていく。 2003 年度ヤマダは売上原価率を約 4%下げている。これは店舗数増加が要因である。[図

3-1-3]からもわかるように 2003 年度はヤマダだけ店舗数が増加した。 エディオンは 2007 年度の売上高が約 9,000 億円の差があるヤマダと比較し、売上原価率

が互角である理由は、店舗数が多いことも要因だが、エディオンが開発、販売を行ってい

るオリジナル家電にある。その売上も全体の 2 割以上を示している。オリジナル商品は原

価がかからないため、抑えることができる。そのためヤマダと売上原価率は互角である。 ケーズは年々、売上原価率を下げている。ケーズも M&A で規模を大きくし、店舗数を増

加させているため、原価を抑えられている。 一方、コジマは FC 展開しないことや店舗数も伸びていないことから売上原価は変わらな

い。 ここでわかるのは、売上原価率の減少は店舗数に比例し、大量仕入が可能かどうかで大

49

きく変わっていく。 次に売上販管費率を比較していく。

[図表 3-2-11]

売上販管費率

0.00%

5.00%

10.00%

15.00%

20.00%

25.00%

ヤマダ 18.12% 21.05% 18.37% 18.33% 19.24% 18.39%

エディオン 19.84% 19.98% 20.72% 20.96% 21.28% 21.92%

コジマ 17.13% 17.47% 17.22% 17.72% 18.13% 18.78%

ケーズ 10.41% 11.10% 13.26% 13.79% 14.82% 17.60%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-11]は各企業の売上販管費率をまとめたものである。販管費は営業利益を示すた

めに、原価とともに除くものである。売上販管費率は売上高に占める販売費及び一般管理

費の割合を示したものであり、この数値が低いほど、販管費を抑えられていることを表す。 各企業の 2002 年度から 2007 年度の平均を示すと、ケーズが 13.50%、コジマが 17.74%、

ヤマダが 18.90%、エディオンが 20.78%である。 ケーズは 4 社の中で も売上販管費率が低い。これはエディオンと同じように M&A を

行って勢力を伸ばしていても、徹底した効率化ができているからである。詳しくは下記の[図表 3-2-16]の売上高広告及び販促費率で詳しく述べる。 そして、ケーズの販管比率は売上原価率とは逆に年々上がっていることがわかる。これ

は M&A などで店舗を増やすことで経費がかかっているためである。 ヤマダとコジマはエディオンとケーズの間を推移している。しかし、ヤマダと比べ、コ

ジマの売上高はかなり少ないので、コジマの売上高販管費率は良い数字とはいえない。 エディオンは 4 社の中で も売上高販管費率が高い。エディオンもケーズと同じく M&Aで成長しているが、エディオンはケーズとは経営体制が異なる。これも詳しくは下記の[図表 3-2-16]の売上高広告及び販促費率で述べる。 次に売上販管費の内訳である各社の販売費及び一般管理費の構成を見る。売上高販管費

率の内訳を見ることで各社どんな項目にお金をかけているのかを分析する。

50

[図表 3-2-12]

ヤマダ電機の売上販管費率内訳

0.00%

1.00%

2.00%

3.00%

4.00%

5.00%

6.00%

7.00%

8.00%

売上高広告及び販売促進費率 2.30% 1.90% 1.85% 1.78% 1.91% 1.67%

売上高給与手当率 4.00% 3.85% 4.09% 4.12% 3.97% 3.75%

売上高退職給付費用率 0.06% 0.06% 0.06% 0.08% 0.08% 0.07%

売上高賞与引当金繰入額率 0.17% 0.16% 0.15% 0.14% 0.13% 0.15%

売上高賃貸料率 2.75% 2.51% 2.39% 2.24% 2.20% 2.21%

売上高減価償却費率 0.81% 0.72% 0.66% 0.66% 0.74% 0.72%

売上高ポイント販促費率 2.90% 7.44% 5.54% 5.89% 6.23% 5.27%

売上高ポイント引当金繰入額率 0.70% 0.97%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-12]はヤマダ電機の 2002 年度から 2007 年度までの売上高販管費率の内訳を示

したものである。 ヤマダ電機の販管費率の内訳で も割合が高いものが売上高ポイント販促費率である。

ポイント販促費は商品を購入したら付いてくるポイントとしての販促費用である。2003 年

度に売上高ポイント販促費率が上がっているのはポイントを利用できる商品を大幅に増や

したためである。次に販管費の内訳で大きいのが給与手当率、賃貸料率である。この 2 つ

については、4 社で比較し、下記で詳しく述べていく。

51

[図表 3-2-13]

エディオンの売上販管費内訳

0.00%

1.00%

2.00%

3.00%

4.00%

5.00%

6.00%

7.00%

8.00%

売上高広告及び販売促進費率 2.34% 2.67% 2.69% 2.43% 2.58% 2.37%

売上高給与手当率 6.19% 6.99% 7.02% 6.95% 6.94% 7.36%

売上高退職給付費用率 0.33% 0.49% 0.47% 0.14% 0.19% 0.18%

売上高賞与引当金繰入額率 1.35% 0.75% 0.76% 0.51% 0.67% 0.62%

売上高賃貸料率 1.03% 2.24% 2.18% 2.57% 2.69% 2.59%

売上高ポイント引当金繰入額率 0.11% 0.05% 0.80% 0.75% 0.92%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-13]はエディオンの 2002 年度から 2007 年度までの売上高販管費率の内訳を示

したものである。 エディオンの販管費率の内訳で も高いのが給与手当率である。給与手当率に続いて内

訳として割合が高いものは広告及び販売促進費率、賃貸料率の順である。この内訳 3 点に

ついては下記で、4 社で比較し、詳しく述べていく。

[図表 3-2-14]

コジマの売上販管費率内訳

0.00%

1.00%

2.00%

3.00%

4.00%

5.00%

6.00%

7.00%

8.00%

売上高広告及び販売促進費率 2.44% 2.09% 2.03% 2.14% 2.10% 3.50%

売上高給与手当率 5.58% 5.42% 5.17% 5.20% 5.24% 5.42%

売上高賃貸料率 2.59% 2.84% 2.77% 2.67% 2.80% 2.94%

売上高減価償却費率 0.92% 1.01% 1.00% 0.93% 0.91% 0.77%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

52

[図表 3-2-14] はコジマの 2002 年度から 2007 年度までの売上高販管費率の内訳を示した

ものである。 コジマの販管費率の内訳で も高いのが給与手当率である。給与手当率に続いて内訳と

して割合が高いものは賃貸料率、広告及び販売促進費率の順である。この内訳 3 点につい

ては下記で、4 社で比較し、詳しく述べていく。 [図表 3-2-15]

ケーズの売上高販管費率の内訳

0.00%

1.00%

2.00%

3.00%

4.00%

5.00%

6.00%

7.00%

8.00%

売上高広告及び販売促進費率 1.25% 1.23% 1.76% 1.73% 1.96% 2.10%

売上高給与手当率 3.36% 3.55% 3.81% 3.89% 4.17% 4.98%

売上高賞与引当金繰入額率 0.36% 0.33% 0.27% 0.39% 0.42% 0.55%

売上高賃貸料率 1.41% 1.52% 1.93% 2.02% 2.08% 2.33%

売上高減価償却費率 0.61% 0.71% 0.69% 0.72% 0.77% 1.02%

売上高業務委託費率 0.46% 0.87% 1.00% 1.05%

売上高消耗品費 0.27% 0.32% 0.41% 0.34% 0.36% 0.45%

売上高商品補償引当金繰入額率 0.18% 0.25%

売上高租税公課率 0.24% 0.22% 0.28% 0.29% 0.32% 0.35%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-15] はケーズホールディングスの 2002 年度から 2007 年度までの売上高販管

費率の内訳を示したものである。 ケーズの販管費率の内訳で も高いのが給与手当率である。給与手当率に続いて内訳と

して割合が高いものは賃貸料率、広告及び販売促進費率の順である。この内訳 3 点につい

ては下記で、4 社で比較し、詳しく述べていく。

[図表 3-2-12]~[図表 3-2-15]では 4 社の販管費率の内訳見た。 ヤマダのみ販管費率の内訳で も高いのがポイント販促費率であった。これは上記の業

界概要でも述べたように他の 3 社に比べ、ポイントの還元率が高いためだと思われる。他

の 3 社はすべて内訳で も高い項目は給与手当率であった。

53

次に、4 社の主な項目である売上高広告及び販売促進費率、売上高給与手当率、売上高賃

貸料率を詳しく述べる。 [図表 3-2-16]

売上高広告及び販売促進費率

0.00%

1.00%

2.00%

3.00%

4.00%

ヤマダ 2.30% 1.90% 1.85% 1.78% 1.91% 1.67%

エディオン 2.34% 2.67% 2.69% 2.43% 2.58% 2.37%

コジマ 2.44% 2.09% 2.03% 2.14% 2.10% 3.50%

ケーズ 1.25% 1.23% 1.76% 1.73% 1.96% 2.10%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-16]は前述の各社の売上高販管費率の内訳で表した科目の一つである、売上高広

告及び販促費率をまとめたものである。 2002年度から 2007年度までの売上高広告及び販促費率の平均を示すと、ケーズは 1.67%、

ヤマダは 1.90%、コジマは 2.38%、エディオンは 2.51%である。 ケーズは前述のように広告宣伝費を節約しているため、4 社の中で も平均が低い。これ

は子会社や地方など全体で統一したチラシを使用するなど徹底した効率化ができているた

めである。平均では 4 社の中で も低いものの、年々増加していることがわかる。これは

効率化はできているが、年々宣伝費を多く使用することになったためである。 ヤマダは年々売上高広告及び販促費率が下がっている。これは他の企業と同じく、広告

及び販促費にお金をかけているが、それに相当する以上の売上高を年々増加させているか

らである。 コジマが 2007 年度に売上高広告及び販促費率が急激に上がったのは、前年度に比べ、売

上高が下がったのに対し、広告及び販促費も増加したためである。 エディオンはケーズとは異なり、チラシなどの販促を地域ごと、子会社ごとで作成し、

使用している。そして、人事や総務などの管理部門も子会社が個々で行っているため、費

用がかかり、売上販管費率も高いというわけである。ここに M&A で成長しているエディオ

ンとケーズの差がでてきている。

54

[図表 3-2-17]

売上高給与手当率

0.00%

2.00%

4.00%

6.00%

8.00%

ヤマダ 4.00% 3.85% 4.09% 4.12% 3.97% 3.75%

エディオン 6.19% 6.99% 7.02% 6.95% 6.94% 7.36%

コジマ 5.58% 5.42% 5.17% 5.20% 5.24% 5.42%

ケーズ 3.36% 3.55% 3.81% 3.89% 4.17% 4.98%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-17]は家電量販店各社の 6 年間の売上給与手当率をまとめたものである。 [図表 3-2-18]・[図表 3-2-19]と合わせてみていく。 [図表 3-2-18]

従業員数推移

0

5000

10000

15000

(人)

ヤマダ 4168 4,387 4,779 5,364 5,890

エディオン 5,086 5,291 5,364 8,413 9,302 10,534

コジマ 5,610 5,664 5,059 4,694 4,712 4,808

ケーズ 1,117 1,187 1,240 1,325 5,050

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

55

[図表 3-2-19]

従業員一人当たり売上高推移

0

100

200

300

400

(百万円)

ヤマダ 190 214 231 239 245

エディオン 87 82 82 85 80 81

コジマ 90 85 97 106 106 104

ケーズ 197 289 322 325 112

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-18]は家電量販店 4 社の 6 年間の従業員数を示したものであり、[図表 3-2-19]は従業員一人当たりの売上高を示したものである。

2002 年度から 2007 年度までの売上高給与手当率の平均を示すと、ケーズは 3.96%、ヤ

マダは 3.96%、コジマは 5.34%、エディオンは 6.91%である。 ヤマダ、コジマ、ケーズの売上給与手当率は約 4~5.5%である。 ケーズは 2006 年度までは従業員一人当たり売上高が も高かった。しかし、2007 年度

には半分以下を示している。これは[図表 3-2-18]でわかるように 2007 年に事業持株会社に

移行したことで従業員が増えたためである。 ヤマダは売上高が高いわりに他の 3 社(エディオン、コジマ、ケーズ)に比べ、従業員

が少ないことがわかる。従業員 1 人当たりの売上高もケーズの次に高い。 コジマは店舗数も増加しておらず([図表 3-1-3]の直営店舗数推移を参照)、従業員数も増

やす必要がない。売上高も横ばいであり、給与手当も変わらないため、給与手当率も変化

がみられない。 エディオンは[図表 3-2-18]でもわかるように従業員数は 1 万人を超える。これはエディ

オンが持ち株会社であり、上記でも述べたように、子会社が個々に人事や総務などを設け

管理しているため、従業員の和も多く、[図表 3-2-17]の売上高給与手当率も も高い。

56

[図表 3-2-20]

売上高賃貸料率

0.00%

1.00%

2.00%

3.00%

4.00%

ヤマダ 2.75% 2.51% 2.39% 2.24% 2.20% 2.21%

エディオン 1.03% 2.24% 2.18% 2.57% 2.69% 2.59%

コジマ 2.59% 2.84% 2.77% 2.67% 2.80% 2.94%

ケーズ 1.41% 1.52% 1.93% 2.02% 2.08% 2.33%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-20]は家電量販店各社の 6 年間売上高賃貸料率を示したものである。 2002 年度から 2007 年度までの売上高賃貸料率の平均を示すと、ケーズは 1.88%、エデ

ィオンは 2.22%、ヤマダは 2.38%、コジマは 2.77%である。 4 社の中でケーズは賃貸料に費用がかかっていないことがわかる。ケーズは首都圏ではな

く、地方に店舗を構えているため費用がかからない。しかし、近年売上高賃貸料が上がっ

ているのは、店舗数の増加が要因である。 エディオンは地方中心に店舗数を広げていたが、2006 年に首都圏に強い石丸電気を子会

社化し、首都圏にも進出したため、賃貸料が上がってきている。 ヤマダは少し、減少傾向にあるが、ほぼ横ばいである。店舗数を増やしているがその分、

売上高も上がっているため、ほぼ横ばいである。 コジマはほぼ横ばいである。直営店舗数推移([図表 3-1-3]を参照)も売上高推移([図表

3-1-1]を参照)も横ばいであるためである。 [図表 3-2-10]~[図表 3-2-20]は売上原価率と売上販管費率を分析した。 [図表 3-2-10]でわかるように、4 社とも売上原価率は年々抑えられているものの、ヤマダ

とコジマ、ケーズとでは 2006 年度には 6%以上の開きがある。また、売上原価率ではヤマ

ダと近い比率のエディオンは[図表 3-2-11]でわかるように、売上販管費率で 3%以上の差が

ある。これがヤマダと他の 3 社の違いであり、売上高経常利益率の差となっている。 ヤマダのように売上原価率と売上販管費率が共に低いということは、安く仕入れ売上ま

でにかかる費用も安く抑えられていることになる。これが他社よりも安く商品を店頭に並

べることを可能にし、結果として売上高の上昇につながっている。

57

[図表 3-2-21]

売上高営業利益率

-2.00%

0.00%

2.00%

4.00%

ヤマダ 0.35% 1.42% 2.64% 3.85% 3.85% 3.70%

エディオン 1.31% 1.34% 1.14% 1.13% 0.94% 1.00%

コジマ -1.18% -1.56% -0.78% -0.86% -1.11% -1.54%

ケーズ 1.50% 1.43% 0.54% 0.99% 1.42% 1.25%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-21]は家電量販店 4 社の 6 年間の売上高営業利益率を示したものである。前述の

[図表 3-2-10]から[図表 3-2-20]まで述べてきた売上原価率と売上販管費率を分析して述べて

きたことがそのまま表れているのが売上高営業利益率である。 2002 年度から 2007 年度までの売上高営業利益率の平均を示すと、ヤマダは 2.64%、ケ

ーズは 1.19%、エディオンは 1.14%、コジマは▲1.17%である。 ヤマダは原価も販売費及び一般管理費も抑えられているため、ダントツに売上高営業利

益率が高い。 ケーズは売上原価率の平均は も高かったものの、販管費率は 4 社の中で も抑えられ

ていたため、ヤマダの次に売上高営業利益率が良い数値である。 エディオンはケーズとは逆に原価率は 4 社の中で も低かったものの、従業員が多く、

販管費にお金がかかり、平均 1.14%という数値である。 一方コジマは原価も高く、販管費率も高いため、マイナスを示している。 次は営業外収益である売上高仕入割引及び販促協力金率を分析していく。

58

[図表 3-2-22]

[図表 3-2-22]は家電量販店 4 社の 2007 年度の営業利益と経常利益を示したものである。

このように 4 社すべて営業利益より経常利益の方が高いことがわかる。業界概要の[図表

1-11]で用いて、述べたように家電量販店業界に表れる特別なものである。メーカーから支

払われる勘定科目、仕入割引や販促協賛金の影響からである。 [図表 3-2-23]

[図表 3-2-23]は家電量販店 4 社(ヤマダ、エディオン、コジマ。ケーズ)と有力流通企業

3 社(セブン&アイ、イオン、ファストリ)の売上高営業外収益率を示したものである。 この 7 社で比較しても、家電量販店業界の 4 社は有力流通企業 3 社より、営業外収益率

が高いことがわかる。この図からも家電量販店業界の企業は営業外収益、つまりメーカー

家電量販店4社と有力流通企業3社の売上高営業外収益率

0.00%

0.50%

1.00%

1.50%

2.00%

2.50%

3.00%

ヤマダ 2.16% 1.89% 1.79% 1.11% 1.21% 1.06%

エディオン 1.25% 1.41% 1.66% 1.90% 1.77% 1.73%

コジマ 1.86% 2.51% 2.23% 2.42% 2.28% 2.53%

ケーズ 1.46% 1.56% 2.04% 2.00% 2.07% 1.97%

セブン&アイ 0.31% 0.27% 0.34%

イオン 0.31% 0.33% 0.56% 0.54% 0.45% 0.61%

ファストリ 0.27% 0.27% 0.71% 0.95% 0.81%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

家電量販店4社の営業利益と経常利益(2007年度)

-50,000

0

50,000

100,000

(単位:百万円)

営業利益 65,424 8,480 -7,728 7,116

経常利益 81,652 21,227 3,277 16,409

ヤマダ エディオン コジマ ケーズ

59

から支払われる仕入割引、販促協賛金が高いことがわかる。 [図表 3-2-24]

売上高仕入割引及び販促協力金率

0.00%

0.50%

1.00%

1.50%

2.00%

2.50%

3.00%

ヤマダ 1.18% 1.09% 1.13% 0.90% 0.91% 0.71%

エディオン 0.98% 0.98% 1.23% 1.56% 1.48% 1.31%

コジマ 1.74% 2.45% 2.16% 2.32% 2.21% 2.45%

ケーズ 1.25% 1.21% 1.35% 1.39% 1.44% 1.25%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-24]は家電量販店業界 4社の 6年間の売上高仕入割引及び販促協力金率を示した

ものである。仕入割引と販促協力金は共に営業外収益の項目にあたるものである。仕入の

際にメーカーから割り引かれるものが仕入割引である。詳しく説明すると、現金で仕入を

行えば、仕入額に対してメーカーからキャッシュバックされるものである。そのため買掛

金で支払った場合には、割り引かれない。この勘定科目は家電流通特有の商習慣に由来す

るものである。もう一つの販促協力金も業界概要でも述べたように、メーカーから支払わ

れるものである。今回メーカーから支払われるものということで仕入割引と販促協力金を

同じ扱いにして、売上高仕入割引及び販促協力金率として示した。それぞれの勘定科目を

述べると、ヤマダは仕入割引と販促協力金、エディオンは仕入割引、コジマは販促協力金、

ケーズは仕入割引として財務諸表に書かれている。 2002 年度から 2007 年度までの売上高仕入割引及び販促協力金率の平均を示すと、ヤマ

ダは 0.99%、エディオンは 1.26%、ケーズ 1.32%でコジマは 2%を超え、2.22%である。成

長性でも上記の売上高営業利益率でも述べたように、コジマは営業利益で赤字を示してい

た。しかし、経常利益で黒字を示すことができるのはこの販促協力金のメーカーからのお

金で賄われているためである。これが家電量販店業界の大きな特徴である。 「 近では仕入割引を原価のマイナスとして売上総利益に含める企業も多くなってきて

いる」ということをエディオンの IR・広報担当者の方に伺ったため、メーカーからの営業

外収益である仕入割引と販促協力金を原価から除き、仕入割引及び販促協力金を含めた売

上原価率を示す。

60

[図表 3-2-25]

仕入割引及び販促協力金を含めた売上原価率

70.00%

75.00%

80.00%

85.00%

90.00%

ヤマダ 80.36% 76.43% 77.85% 76.92% 76.00% 77.20%

エディオン 77.87% 77.69% 76.91% 76.37% 76.30% 75.78%

コジマ 82.31% 81.64% 81.40% 80.82% 80.77% 80.32%

ケーズ 86.85% 86.26% 84.85% 83.85% 82.32% 79.90%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-25]は仕入割引及び販促協力金を含めた売上原価率である。売上原価より仕入割

引・販促協力金を除いたものがどれだけ売上を占めているかを示したものである。 2002 年度から 2007 年度までの仕入割引及び販促協力金を含めた売上原価率の平均を

示すと、エディオンは 76.82%、ヤマダは 77.46%、コジマは 81.21%、ケーズは 84.01%で

ある。2002 年度から 2007 年度の売上原価率の平均を再度示すと、エディオンが 78.12%、

ヤマダが 78.45%、コジマが 83.43%、ケーズが 85.32%である。売上原価より仕入割引・販

促協力金を除くと、売上原価率より、約 2~1%を抑えられている。この図の仕入割引及び

販促協力金を含めた売上原価率と[図表 3-2-10]の売上原価率のグラフを比較しても、グラフ

はほぼ同じ推移である。

[図表 3-2-24] [図表 3-2-25]では、売上高経常利益率に影響を与えていた営業外収益の科目

である仕入割引と販促協力金について分析した。家電量販店業界ではメーカーからの仕入

割引と販促協力金が存在するため、営業利益率より、経常利益率が高いことがわかった。 次に総資産回転率を分解していく。

61

[図表 3-2-26]

流動資産回転率

0.00

2.00

4.00

6.00

8.00

(単位:回)

ヤマダ 5.07 5.60 5.68 6.00 5.49 5.16

エディオン 4.83 5.09 5.03 5.54 4.25 4.47

コジマ 4.45 4.36 4.38 4.30 4.14 4.40

ケーズ 5.64 5.83 4.87 5.31 4.75 4.57

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-26]は家電量販店 4 社の 6 年間の流動資産回転率を示したものである。流動資産

とは通常の営業活動の中で生じ、1 年以内に現金で回収できる資産をいう。流動資産回転率

は流動資産と売上高の比率であり、流動資産がどれだけ効率的に使われているかを表すも

ので、数値が高いほど有効に使われていることになる。 各企業の 2002 年度から 2007 年度の平均を示すと、ヤマダが 5.50 回、ケーズが 5.16 回、

エディオンが 4.87 回、コジマが 4.34 回である。 4 社とも 6 年間の平均が約 4~6 回の回転率である。さらに詳しく分析するために、当座

資産回転率を見ていく。 [図表 3-2-27]

当座資産回転率

0.00

10.00

20.00

30.00

40.00

(単位:回)

ヤマダ 13.19 28.92 19.01 27.93 22.28 17.51

エディオン 13.21 14.98 15.79 20.54 12.68 12.72

コジマ 15.98 17.41 13.92 14.88 16.47 18.28

ケーズ 20.32 19.25 17.15 19.55 21.10 22.44

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

62

[図表 3-2-27] は家電量販店 4 社の 6 年間の当座資産回転率を示したものである。当座資

産とは「具体的には、現金・預金、受取手形、売掛金、市場性のある有価証券及び未収金

などの合計」(下野武司・島崎豊彦・島崎規子,同上書,52 頁)をいう。つまり当座資産は

企業にとって自由に使いやすい資産である。「この回転率は、高率であるほど財務の流動性

が良好であることを意味する。」(下野武司・島崎豊彦・島崎規子,同上書,52 頁)当座資

産が有効に使えているほど、回転率は上がる。 各企業 2002 年度から 2007 年度の当座資産回転率の平均を示すと、ヤマダが 21.47 回、

ケーズが 19.97 回、コジマが 16.16 回、エディオンが 14.99 回である。 ヤマダは不安定である。この要因は現金・預金回転率で述べることとする。しかし 4 社

で比較した平均では も高い数値である。 ケーズとコジマは右肩上がりなのがわかる。 エディオンの当座資産回転率は 4 社の中で も低い。しかし 2005 年度に上昇している。

この要因は現金・預金回転率で述べることとする。 次に当座資産回転率を現金・預金回転率と売上債権回転率との 2 つに分解する。 [図表 3-2-28]

現金・預金回転率

0.00

50.00

100.00

150.00(単位:回)

ヤマダ 16.61 47.63 29.08 42.75 35.08 26.71

エディオン 26.55 29.74 32.46 51.38 25.53 24.59

コジマ 24.94 23.95 18.56 21.88 28.44 29.80

ケーズ 118.29 107.42 40.97 65.44 62.88 74.70

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-28]家電量販店 4 社の 6 年間の現金・預金回転率を示したものである。現金・預

金回転率が高いほど現金・預金の流動性が高いことを示す。 各企業 2002 年度から 2007 年度の現金・預金回転率の平均値を示すと、ケーズが 78.25

回、ヤマダが 32.98 回、エディオンが 31.71 回、コジマが 24.60 回である。 ケーズは 2004 年度に減少しているが、3 社(ヤマダ、エディオン、コジマ)に比べると、

高い現金・預金回転率であることがわかる。2004 年度に減少しているのはギガス、八千代

ムセンを完全子会社化したことによる。これによりケーズは、売上高は約 1.6 倍上がったの

に対し、現金・預金は約 4.1 倍増えている。つまり現金・預金が増加したことによる。

63

ヤマダが当座資産回転率で不安定だった要因が現金・預金回転率に表れている。ヤマダ

は現金・預金回転率も不安定で、当座資産回転率と似た推移をしている。これは売上高の

成長に対して現金・預金の成長が伴っていないためである。 エディオンが当座資産回転率で 2005 年度に増加した理由が現金・預金回転率で表れた。

これはミドリ電化を買収することで、現金・預金はほぼ変わらない数値だったのに対し

て、売上高が約 1.6 倍になったのが要因である。 コジマは現金・預金回転率でも変化が見られない。しかし。2002 年度と 2007 年度の数

値を比べると増加している。 次は売上債権回転率を見ていく。

[図表 3-2-29]

売上債権回転日数

0.00

5.00

10.00

15.00

20.00(単位:日)

ヤマダ 4.65 4.96 6.65 4.53 5.98 7.18

エディオン 13.59 12.05 11.82 10.66 14.44 13.58

コジマ 8.20 5.72 6.56 7.85 9.33 7.72

ケーズ 14.88 15.56 12.37 13.10 11.41 11.38

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-29]は家電量販店 4 社の 6 年間の売上債権回転日数を示したものである。「売上

債権とは売掛金と受取手形などの合計」(下野武司・島崎豊彦・島崎規子,同上書,52 頁)

のことである。売上債権回転日数が「短いほど回収速度が速いことを意味する。」(下野武

司・島崎豊彦・島崎規子,同上書,53 頁) 各企業 2002 年から 2007 年度の売上債権回転日数の平均値を示すと、ヤマダが 5.66 日、

コジマが 7.56 日、エディオンが 12.69 日、ケーズが 13.12 日である。 ヤマダは平均値だと も売上債権回転日数が早い。 コジマは[図表 3-2-28]で述べた現金・預金回転率では低かったものの売上債権回転日数で

は回転速度が早い。これが当座資産回転率で平均値がエディオンより良好な理由である。 エディオンは売上債権回転日数も現金・預金回転率と同様回転率が悪い。そのため、当

座資産回転率も も悪い回転率である。2006 年度に売上債権回転日数が上がっているのは、

エディオンの子会社であるエイデンが新たに連結した三石電化センターの売上債権の影響

である。

64

ケーズは現金・預金回転率が 4 社の中でダントツ高かったものの、売上債権回転日数で

は回転速度が遅い。そのため、当座資産回転率はヤマダほど高くない。 次に棚卸資産回転日数を見ていく。

[図表 3-2-30]

棚卸資産回転日数

0.00

20.00

40.00

60.00

80.00

(単位:日)

ヤマダ 36.40 45.26 38.82 41.60 40.00 39.95

エディオン 40.42 38.06 39.26 40.68 49.13 43.49

コジマ 53.63 56.50 50.58 53.00 57.40 55.43

ケーズ 44.70 41.06 49.70 47.37 56.28 57.87

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-30]は家電量販店 4 社の 6 年間の棚卸資産回転率を示したものである。棚卸資

産回転日数は「短いほど商品の売れ行きがよいことを意味する。」(下野武司・島崎豊彦・

島崎規子,同上書,53 頁) 各企業 2002 年から 2007 年度の棚卸資産回転率の平均値を示すと、ヤマダが 40.34 日、

エディオンが 41.84 日、ケーズが 49.50 日、コジマが 54.42 日である。 各社 40~55 日の回転率である。 ここでも棚卸資産回転日数の平均値でも も早く、コジマは も遅い。 [図表 3-2-27]~[図表 3-2-30]まで流動資産回転率を分解し、分析した。 ヤマダは流動資産回転率でも 2002 年度から 2007 年度の平均では 4 社の中で も回転率

が高かった。これは他の 3 社に比べ、売上債権回転日数と棚卸資産回転日数が早いからで

ある。 ケーズは流動資産回転率の平均ではヤマダよりは回転率が低いが、2007 年度の数値だけ

見ると、ケーズの方が回転率がよい。これはヤマダと現金・預金回転率の平均で比較する

と、約 45 回も回転率が高いためである。これは、ケーズは流動性が高いという意味を持つ。 コジマは 4 社で比較すると、現金・預金回転率が悪く、その上、棚卸資産回転日数も遅

い。 エディオンは売上債権回転日数が遅い。

65

次に固定資産回転率を見ていく。 [図表 3-2-31]

固定資産回転率

0.00

2.00

4.00

6.00

8.00

(単位:回)

ヤマダ 5.28 5.84 6.04 5.19 5.02 4.33

エディオン 3.20 3.17 3.04 3.76 3.42 3.45

コジマ 5.26 4.82 4.75 5.37 5.56 5.81

ケーズ 5.70 5.78 4.67 4.97 4.73 4.47

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-31]は家電量販店 4 社の 6 年間の固定資産回転率を示したものである。固定資産

とは即座に回収することができず、1 年以上かけて回収される資産をいう。固定資産回転率

は固定資産と売上高の比率であり、固定資産がどれだけ効率的に使われているかを表すも

のである。数値が高いほど「設備資産が十分に活用されていることになる。一般に固定資

産回転率が低いというのは、売上高が少ないか、固定資産が過大かのどちらかを意味する。」

(下野武司・島崎豊彦・島崎規子,同上書,54 頁) 2002 年度から 2007 年度までの固定資産回転率平均はそれぞれ、ヤマダが 5.28 回、コジ

マが 5.26 回、ケーズが 5.05 回、エディオンが 3.34 回である。 エディオンは他の 3 社(ヤマダ、コジマ、ケーズ)に比べ、固定資産が多いため、回転日

数が遅い。 さらに詳しく見ていくために有形固定資産回転率に分解する。

66

[図表 3-2-32]

有形固定資産回転日数

0.00

20.00

40.00

60.00

80.00

100.00

(単位:日)

ヤマダ 35.63 34.69 34.77 45.39 45.45 54.35

エディオン 80.41 81.73 78.56 69.97 71.36 70.02

コジマ 48.81 54.42 55.73 44.71 42.86 38.12

ケーズ 38.27 37.44 38.27 36.78 40.26 47.06

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-32]は家電量販店 4 社の 6 年間の有形固定資産回転日数を示したものである。有

形固定資産とは建物や構築物、土地、建物仮勘定などの勘定科目を指す。有形固定資産回

転日数は「一般に、この回転日数が短いほど有形固定資産が有効に利用され、経営が円滑

であることを示している。」(下野武司・島崎豊彦・島崎規子,同上書,55 頁) 各企業 2002 年から 2007 年度の有形固定資産回転日数の平均値を示すと、ケーズが 39.68

日、ヤマダが 41.71 日、コジマが 47.44 日、エディオンが 75.34 日である。 ヤマダとケーズは有形固定資産回転日数を増加させている。 コジマは回転日数を減少させ、回転日数を早めている。 エディオンは 3 社(ヤマダ、コジマ、ケーズ)に比べ、回転日数が遅い。 要因を探っていくため、有形固定資産回転日数を建物・構築物回転日数と土地回転日数

に分解して分析する。

67

[図表 3-2-33]

建物・構築物回転日数

0.00

10.00

20.00

30.00

40.00

50.00

(単位:日)

ヤマダ 27.09 24.41 25.35 27.47 28.23 28.23

エディオン 33.60 33.15 33.32 35.01 35.26 32.32

コジマ 33.66 38.25 38.35 31.85 29.94 27.55

ケーズ 19.34 21.13 24.54 23.61 27.14 31.18

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-33]は家電量販店 4 社の 6 年間の建物・構築物回転日数を示したものである。こ

の指標も有形固定資産回転日数と同様、短い方が有効とされる。 各企業 2002 年から 2007 年度の建物・構築物回転日数の平均を示すと、ケーズが 24.49

日、ヤマダが 26.80 日、コジマが 33.25 日、エディオンが 33.78 日である。 ケーズは建物・構築物回転日数でも、回転日数を遅くしている。店舗の建物の増加が要

因である。 ヤマダは建物を増やしているが、それに相当し、売上高も上がっているため、建物・構

築物回転日数は横ばいである。 コジマは回転日数を早めている。これは成長性でも述べたように、店舗推移が横ばいで

あるのが、要因である。 エディオンは 2002 年度から 2007 年度であまり変化が見られないが、4 社の平均値で

も回転日数が遅い。これもヤマダ・ケーズと同様、店舗を増やし続けていることが要因で

ある。エディオンは 2002 年設立以来、M&A を行って、確実に店舗を増やしている。 続いて、土地回転日数を分析していく。

68

[図表 3-2-34]

土地回転日数

0.00

10.00

20.00

30.00

40.00

50.00

(単位:日)

ヤマダ 6.79 8.02 7.46 15.73 14.46 20.52

エディオン 42.83 43.33 41.39 29.87 32.00 33.48

コジマ 12.52 13.87 15.29 10.24 10.98 8.91

ケーズ 15.01 13.61 11.10 9.94 9.71 12.60

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-2-34]は家電量販店 4 社の 6 年間の土地回転率を示したものである。この指標も有

形固定資産回転日数と建物・構築物回転日数同様、短い方が有効とされる。 各企業 2002 年から 2007 年度の土地回転日数の平均値を示すと、コジマが 11.97 日、ケ

ーズが 12.00 日、ヤマダが 12.16 日、エディオンが 37.15 日である。 コジマは建物・構築物回転日数と同様、店舗推移が横ばいのため、3 社(ヤマダ、コジマ、

エディオン)に比べて回転率が早い。 ケーズは新店舗の建設ではなく、旧店舗の改築などに資金を投入したため、資産に占め

る土地代は変化していない。 ヤマダは建物・構築物回転日数は横ばいだったものの、土地回転日数を遅くしている。

これは首都圏の一等地に大きな店舗を出店するため、土地代がかかったためである。2005年度に日数が遅くなっている要因は本社及び店舗の高崎駅前、大阪の千里駅前、大型店舗

渋谷店の渋谷駅前の用地を取得したためである。 エディオンはケーズと同じく、新店舗の建設ではなく、旧店舗の改築などに資金を投入

したため、資産に占める土地代は変化していない。しかし、ケーズと回転日数が大きく異

なる点は店舗の数の違いである。2005 年度はミドリ電化の買収を行ったため、売上高が上

昇し、土地回転日数が減少した。

[図表 3-2-32]~[図表 3-2-34]まで固定資産回転率を分解し、分析してきた。 ヤマダは建物・構築物回転日数、土地回転日数ともに 4 社の中で も速かったため、固

定資産回転率の平均も も良い回転率であった。 コジマは、建物構築物回転日数はヤマダとケーズと比較すると、回転日数の平均は遅か

ったが、土地回転日数の平均は 4 社の中で も速かった。

69

ケーズは建物構築物回転日数、土地回転日数ともに遅くはない。 エディオンは、建物構築物回転日数はコジマと変わらないものの、土地回転日数は他の 3

社に比べ遅いため、固定資産回転率が悪い。 総資産回転率を分解したすべての指標(流動資産回転率、固定資産回転率)を企業別に

まとめる。

[図表 3-2-35]

ヤマダ電機

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

7.00

(単位:回)

総資産回転率 2.59 2.86 2.93 2.78 2.62 2.35

流動資産回転率 5.07 5.60 5.68 6.00 5.49 5.16

固定資産回転率 5.28 5.84 6.04 5.19 5.02 4.33

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表3-2-35]はヤマダの6年間の総資産回転率と流動資産回転率と固定資産回転率をま

とめたものである。 総資産回転率を見ると、2004 年度までは上昇していたものの、2005 年度から下降してい

ることがわかる。これは 2005 年度から売上高に対しての総資産の割合が多いことを意味す

る。 流動資産回転率を見ると、2005 年度までは上昇していたが、2006 年度からは下降してい

る。固定資産は 2004 年度までは上昇していたが、2005 年度から下降している。 流動資産回転率が 2006 年度より下降している要因は現金・預金回転率が下降し、売上債

権回転日数が遅くなったためである。 固定資産回転率が2005年度より、下降している要因は土地回転日数の増加に表れている。

これは前述のように、2005 年度より、本社及び店舗の高崎駅前、大阪の千里駅前、大型店

舗渋谷店の渋谷駅前の用地を取得したため、固定資産が増加し、日数が遅くなった。

70

[図表 3-2-36]

エディオン

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

(単位:回)

総資産回転率 1.92 1.95 1.89 2.24 1.90 1.95

流動資産回転率 4.83 5.09 5.03 5.54 4.25 4.47

固定資産回転率 3.20 3.17 3.04 3.76 3.42 3.45

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表3-2-36]はエディオンの6年間の総資産回転率と流動資産回転率と固定資産回転率を

まとめたものである。 前述のように、エディオンは家電量販店 4 社の中で も総資産回転率が悪い。しかし、

回転率を上昇する動きは見られない。 総資産回転率と流動資産回転率と固定資産回転率のすべての指標において2005年度まで

は上昇していたものの、2006 年度からは下降していることがわかる。流動資産回転率は

2006 年度に特に下降した。これは売上高に対しての現金・預金が減少し、売上債権と棚卸

資産が増加したためである。2005 年度にミドリ電化を子会社化し、2006 年度も売上高が伸

びていたものの、それに対しての現金・預金が少なかったためである。これは前述のよう

に、売上債権と棚卸資産が増加はエディオンの子会社であるエイデンが新たに連結した三

石電化センターの売上債権と棚卸資産増加が影響したのである。

71

[図表 3-2-37]

[図表3-2-37]はコジマの6年間の総資産回転率と流動資産回転率と固定資産回転率をまと

めたものである。 コジマの総資産回転率と流動資産回転率はほぼ横ばいで推移している。 固定資産回転率が 2005 年度より上昇しているのは店舗数を増やしていないため、固定資

産に費用がかからないことが要因として挙げられる。 [図表 3-2-38]

ケーズホールディングス

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

7.00

(単位:回)

総資産回転率 2.84 2.90 2.38 2.57 2.37 2.26

流動資産回転率 5.64 5.83 4.87 5.31 4.75 4.57

固定資産回転率 5.70 5.78 4.67 4.97 4.73 4.47

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表3-2-38]はケーズの6年間の総資産回転率と流動資産回転率と固定資産回転率をまと

めたものである。 総資産回転率は年々下降している。流動資産回転率と固定資産回転率でも同じことが言

える。そして 3 つの指標すべてが同じ動きをしていることがわかる。 2004 年度に流動資産回転率と固定資産回転率が急激に下降した要因を述べる。

コジマ

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

7.00(単位:回)

総資産回転率 2.41 2.29 2.28 2.39 2.37 2.50

流動資産回転率 4.45 4.36 4.38 4.30 4.14 4.40

固定資産回転率 5.26 4.82 4.75 5.37 5.56 5.81

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

72

まず流動資産回転率が下降した要因は前述のように、ケーズは、ギガスと八千代ムセンを

完全子会社化したことで、売上高は約 1.6 倍上がったのに対し、現金・預金は約 4.1 倍増え

ていたためである。 固定資産回転率が下降した要因も、ギガスと八千代ムセンを完全子会社化したことで、

店舗が増加し、建物構築物回転日数が増えたためである。 ここで収益性をまとめる。 小売業の中で比較すると、家電量販店業界は回転率が高い業界であることがわかった。

これは、家電量販店業界は価格競争が厳しいため、大量仕入して、多くの商品を売ろうと

しているためである。家電量販店業界内 4 社で回転率を比較すると、ほぼ変わらない数値

である。 4 社の分析結果を述べていく。 総資産経常利益率が も高かったヤマダは、売上高経常利益率でも も高い数値を示し

ていた。これは原価率も低く、販管費率も低いためである。販管費の内訳では 3 社では見

られない、ポイント販促費というものが存在した。これはヤマダ電機のポイントの還元率

が高いためである。 エディオンとケーズは総資産経常利益率で同じ数値を示していた。分解した経常利益率

でも、回転率でもほぼ同じ数値を示していた。エディオンは原価率ではヤマダと同じく、

低い数値を示していたものの、販管費率では従業員の多さが響き、給与手当がかさみ、販

管費率が高かった。ケーズは原価率を年々下げているが、販管費率が年々上がってきてい

た。 総資産経常利益率は も低かったコジマは原価率が高く、販管費率も低いとは言えない。

そのため、営業利益率ではマイナスを示していた。しかし、家電量販店業界は仕入割引や

販促協賛金というメーカーから与えられるお金が存在するため、経常利益率ではプラスを

示していた。

73

3-3.安全性分析

(中田麻理)

企業が継続的に存続することが出来るかどうかを見るために安全性分析を行う。そのた

めに、企業の短期的支払い能力、資本調達の安全性、そして 後に設備投資の安全性の 3つの観点から分析していく。 まず、短期的な支払い能力があるかを見ていく。ここでは流動比率、当座比率、現金比

率の 3 つの指標を用いて分析する。 流動比率とは 1 年以内に支払期限の来る流動負債を、すぐ現金化できる流動資産でどれ

だけ賄われているかを示す指標であり、一般的に 100%以上なら安全とされている。 当座比率とは流動資産の中でも棚卸資産などのすぐに現金化できるとは限らないものを

除いた、当座資産が流動負債に対してどの程度あるかを示す指標である。一般的に 100%以

上であることが望ましいとされている。 現金比率とは流動負債の支払い準備にどの程度現金が準備されているかを検討するもの

である。一般に現金比率が高いほど弁済する能力が大きいとされ、一般的に 20%以上ある

ことが望ましいとされている。 ではまず企業ごとに見ていく。 [図表 3-3-1]

ヤマダ電機

0.00%

50.00%

100.00%

150.00%

200.00%

流動比率 169.49% 163.47% 163.27% 161.71% 159.19% 188.93%

当座比率 65.18% 31.67% 48.80% 34.75% 39.25% 55.62%

現金比率 51.75% 19.23% 31.89% 22.70% 24.93% 36.45%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-3-1]はヤマダ電機の過去 6 年間の流動比率、当座比率、現金比率をまとめたもの

である。 この図を見ると流動比率が一定して高い水準を保っており、2006 年度から 2007 年度に

掛けて上昇していることが分かる。一般的に 100%であることが望ましいとされている当座

比率は 2002 年度から 2003 年度に掛けて大幅に減少している。これは現金預金減少による

74

現金比率の低下に伴うものだと考えられる。しかしその後は順調に数値を伸ばしているこ

とが見て取れる。

[図表 3-3-2]

エディオン

0.00%20.00%40.00%60.00%80.00%

100.00%120.00%140.00%

流動比率 91.19% 92.26% 108.96% 107.24% 124.77% 115.42%

当座比率 33.38% 31.36% 34.70% 28.90% 41.84% 40.59%

現金比率 16.61% 15.79% 16.89% 11.56% 20.78% 20.99%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-3-2]はエディオンの過去 6 年間の流動比率、当座比率、現金比率をまとめたもので

ある。流動比率は 2002 年度、2003 年度は 100%を切っていたものの、2004 年度以降から

は上昇しつつある。 [図表 3-3-3]

コジマ

0.00%20.00%40.00%60.00%80.00%

100.00%120.00%140.00%160.00%

流動比率 136.90% 129.45% 129.61% 132.57% 139.75% 145.02%

当座比率 38.10% 32.44% 40.82% 38.28% 35.15% 34.90%

現金比率 24.42% 23.59% 30.61% 26.03% 20.36% 21.40%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-3-3]はコジマの過去 6 年間の流動比率、当座比率、現金比率をまとめたものであ

る。 この図を見ると当座比率は 2004 年度から減少傾向にあるが、流動比率は全体的に見て安

全な水準を保っていることが分かる。

75

ケーズホールディングス

0.00%20.00%40.00%60.00%80.00%

100.00%120.00%140.00%

流動比率 116.43% 112.05% 122.79% 118.96% 108.43% 97.38%

当座比率 32.34% 34.06% 34.86% 32.32% 24.29% 19.82%

現金比率 5.56% 6.19% 14.59% 9.66% 8.19% 5.95%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-3-4]

[図表 3-3-4]はケーズホールディングスの過去 6 年間の流動比率、当座比率、現金比率を

まとめたものである。 この図を見ると全ての指標において 2004 年度から減少傾向にあるのが分かる。

そして流動比率、当座比率共に安全とされる数値よりも低いことから短期的支払い能力は

良好であるとは言えない。 また、一般的に 20%以上であるのが望ましいとされている現金比率が、5~14%と他の

企業と比べても低いことが見て取れる。

流動比率=流動負債

流動資産

[図表 3-3-5]

流動比率

0.00%

50.00%

100.00%

150.00%

200.00%

ヤマダ 169.49% 163.47% 163.27% 161.71% 159.19% 188.93%

エディオン 91.19% 92.26% 108.96% 107.24% 124.77% 115.42%

コジマ 136.90% 129.45% 129.61% 132.57% 139.75% 145.02%

ケーズ 116.43% 112.05% 122.79% 118.96% 108.43% 97.38%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

76

当座比率

0.00%10.00%20.00%30.00%40.00%50.00%60.00%70.00%

ヤマダ 65.18% 31.67% 48.80% 34.75% 39.25% 55.62%

エディオン 33.38% 31.36% 34.70% 28.90% 41.84% 40.59%

コジマ 38.10% 32.44% 40.82% 38.28% 35.15% 34.90%

ケーズ 32.34% 34.06% 34.86% 32.32% 24.29% 19.82%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-3-5]は過去 6 年間の流動比率の推移を表したものである。流動比率とは 1 年以内

に支払期限の来る流動負債を、すぐ現金化できる流動資産でどれだけ賄われているかを示

す指標であり、一般的に 100%以上なら安全とされている。 2007 年度ではエディオン、ケーズが減少傾向にあることに比べ、ヤマダが大きな伸びを

見せており、4 社の中で も優秀な数字を示している。これは 2007 年にぷれっそホールデ

ィングスとキムラヤセレクトを子会社化したことによって現金や棚卸資産などの流動資産

が増加したためである。 またエディオンは 2006 年度に伸びを示しているが、これは 2007 年 3 月に石丸電気を子

会社化したことによる現金預金などの流動資産が増加したためである。

当座比率=流動負債

当座資産

[図表 3-3-6]

[図表 3-3-6]は過去 6 年間の当座比率の推移を表したものである。当座比率とは流動資産

の中でも棚卸資産などのすぐに現金化できるとは限らないものを除いた、当座資産が流動

負債に対してどの程度あるかを示す指標である。一般的に 100%以上であることが望ましい

とされている。 流動比率と当座比率を見ると、4 社とも流動比率は安全な水準にあるが、当座比率の水準

は危険とされる数字である。これは、家電量販店業界が大量の在庫を抱えており、流動資

産の中の棚卸資産が大きな割合を占めていることによる。 2006 年度、ヤマダはエディオンより低い数字だが実際には、棚卸資産を現金化できる可

能性が高いので安全性はヤマダの方が高いと言うことが出来る。これは収益性のところで

も述べたように、ヤマダは仕入れた商品を販売するまでの期間が、他の 3 社よりも早いか

らである。

77

現金比率

0.00%10.00%20.00%30.00%40.00%50.00%60.00%

ヤマダ 51.75% 19.23% 31.89% 22.70% 24.93% 36.45%

エディオン 16.61% 15.79% 16.89% 11.56% 20.78% 20.99%

コジマ 24.42% 23.59% 30.61% 26.03% 20.36% 21.40%

ケーズ 5.56% 6.19% 14.59% 9.66% 8.19% 5.95%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

ヤマダの 2002 年度から 2003 年度の当座比率の減少も棚卸資産の増加によるものである。

現金比率=流動負債

現金

[図表 3-3-7]

[図表 3-3-7]は過去 6 年間の現金比率の推移を表したものである。現金比率は流動負債の

支払い準備にどの程度現金が準備されているかを検討するものである。一般に現金比率が

高いほど弁済する能力が大きいとされ、通常 20%以上あることが望ましいとされている。 4 社の中ではケーズの現金比率が 5~14%と他の 3 社に比べて低いことが見て取れる。

ヤマダは 2002 年度から 2003 年度に掛けて現金比率が大きく減少しているが、これは新

店舗開設や地デジ対応テレビ、DVD レコーダーなどの品揃え拡大の棚卸資産増加分の支出

や、法人税等の支払い、有形固定資産の取得による支出である。 ここまで 3 つの指標を用いて短期的支払い能力を見てきた。3 つの指標全てに関して、流

動比率の高さを筆頭にヤマダが短期的支払い能力に関して良好だと判断できた。 一方ケーズに関しては、4 社の中で唯一流動比率が 100%以下であることと、その他の指

標でも安全と思われる基準以下であるため、短期的支払い能力は年々衰えていると見られ

る。 では次に資本調達の安全性について分析を行う。ここでは、自己資本比率、負債比率の 2

つの指標を用いて分析する。

78

自己資本比率

0.00%10.00%20.00%30.00%40.00%50.00%60.00%

ヤマダ 41.70% 44.68% 46.53% 54.22% 54.42% 43.62%

エディオン 40.05% 42.43% 45.63% 40.22% 41.53% 40.60%

コジマ 30.99% 31.17% 30.89% 29.68% 29.88% 30.03%

ケーズ 41.96% 41.79% 34.37% 40.64% 38.97% 35.76%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

自己資本比率=総資本

自己資本

[図表 3-3-8]

[図表 3-3-8]は過去 6 年間の自己資本比率の推移を表したものである。自己資本比率とは

総資本の内、どの程度自己資本で賄われているかを示す指標である。この数字が低いとい

うことは、負債を多く抱えていることになり、危険と判断される。一般的には 50%以上あ

ることが望ましいとされている。 ケーズは 2004 年度に比率が減少しているが、これは流動負債(短期借入金の増加と店舗

数増加による仕入取引額の増加から支払手形と買掛金が増加したため)と固定負債(長期

借入金)の増加によるものである。 ヤマダは 2005 年度、2006 年度は 50%を超えているが、翌 2007 年度には大きく減少し

ている。これは自己株式の調達資金として発行された社債の数が前年度に比べて大きく増

加しているためだと考えられる。また、その他 3 社も 50%を切っており、比率は全体的に

減少傾向と見られる。

79

負債比率

0.00%

50.00%

100.00%

150.00%

200.00%

250.00%

ヤマダ 137.84% 223.80% 113.59% 83.35% 83.76% 129.27%

エディオン 148.55% 134.57% 118.18% 147.84% 140.82% 146.32%

コジマ 222.68% 220.82% 223.76% 236.97% 234.63% 232.96%

ケーズ 138.26% 139.23% 190.83% 146.00% 156.58% 179.63%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

負債比率=自己資本

他人資本

[図表 3-3-9]

[図表 3-3-9]は過去 6 年間の負債比率の推移を表したものである。負債比率は借入金や

買掛金などの他人資本の調達が合理的に行われているかどうかを調べるものである。負債

を返済する保証として同程度の自己資本を保有すれば安全かという考えから、通常 100%以

下が理想とされている。 4 社を比較すると、いずれも 100%を超えており、借入金依存率が高いことが分かる。2003年度にヤマダが大きな伸びを示しているが、これはポイント引当金の割合が前年度に比べ

て増加したためである。またコジマが一定して 200%以上の比率を示しており、他の 3 社に

比べても特に高いことが分かる。これは自己資本比率が 30%台を推移しており、他の 3 社

に比べると比率が低いため、このことが負債比率の上昇に繋がったと言える。 ここまで 2 つの指標を用いて資本調達の安全性を分析してきた。 4 社とも自己資本比率は 50%を下回っており良好であるとは言えない。また、負債比率に

関しても 4 社とも 100%以上の水準であることから、資本調達の安全性は低いと判断出来る。

80

そして 後に設備投資の安全性について分析を行う。ここでは、固定比率、固定長期適

合率の 2 つの指標を用いて分析する。

固定比率=自己資本

固定資産

[図表 3-3-10]

固定比率

0.00%20.00%40.00%60.00%80.00%

100.00%120.00%140.00%160.00%180.00%

ヤマダ 117.47% 109.58% 104.15% 98.89% 96.04% 124.55%

エディオン 149.95% 145.08% 136.46% 148.08% 133.48% 139.13%

コジマ 147.86% 152.48% 155.30% 149.72% 142.94% 143.52%

ケーズ 118.59% 120.15% 148.52% 127.04% 128.51% 141.36%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-3-10]は過去 6 年間の固定比率の推移を表したものである。固定資産がどの程度自

己資本で賄われているかを見ることが出来る。 固定資産は、1 年以上にわたり使用される資産であることから、この調達源泉は返済期限

のない株主資本で賄うのが安全な財務措置といえる。 一般的に 100%以下であることが望ましいが、4 社とも 100%を上回っている。 家電量販店は全国に店舗を持つことが多いため、建物などの固定資産が資産の約半分を占

めている。このことから固定比率の上昇につながったと考えられる。 2007 年度のヤマダの比率の上昇は流動比率の箇所で前述したように、ぷれっそホールデ

ィングスとキムラヤセレクトを子会社化したことによって、土地や建物などの固定資産が

増加したことによると考えられる。 また、2004 年度にケーズが大きな伸びを見せているが、これは 2004 年にギガスと八千

代ムセンを完全子会社化したため、土地建物などの固定資産が増加したためである。

81

固定長期適合率=自己資本+固定負債

固定資産

[図表 3-3-11]

固定長期適合率

0.00%

20.00%40.00%

60.00%

80.00%100.00%

120.00%

ヤマダ 70.90% 71.96% 71.46% 75.80% 74.65% 71.65%

エディオン 107.36% 106.12% 95.77% 96.06% 86.23% 90.66%

コジマ 75.83% 79.93% 80.14% 76.50% 72.39% 70.94%

ケーズ 87.56% 90.41% 84.93% 87.02% 92.80% 102.70%

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-3-11]は過去 6 年間の固定長期適合率の推移を表したものである。固定資産が自己

資本と固定負債の合計額の範囲内であるかどうかを見る指標である。この指標も一般的に

100%以下に維持することが望ましいとされている。固定負債も借入金には変わりないが、

返済までに時間の猶予があることから、資金繰りにもあまり影響しないだろうとの判断で

用いられる。 2004 年度、2006 年度とエディオンは減少傾向に見られるが、これは石丸電気を子会社化

したことにより、固定資産が増加したためである。 また、2007 年度にケーズが伸びを見せているが、これは連結子会社の増加や新規出店に

伴い、土地建物などの固定資産が増加したためである。 4 社を比較すると特にヤマダとコジマの安全性が高いと判断できる。

ここまで 2 つの指標を用いて設備投資の安全性を分析してきた。 固定比率は 4 社とも 100%を上回っているが、これは建物などの固定資産が資産の約半分

を占めていることから、全国に店舗を持つことが多い家電量販店業界の特徴だと思われる。

固定長期適合率も合わせて見ていくと 4 社とも安全と思われる基準に近いことが分かる。

これは固定負債の割合が多いということで、このことが自己資本比率を押し下げていると

も言える。 以上、3 つの観点から安全性分析を行った。短期的な支払い能力では当座比率の低さが目

立つもののそれ以外では目立った問題点はないと思われる。しかし、ケーズはどの指標に

おいても数値的に安全とは言えないものが多かった。 また、資本調達の安全性に関しては 4 社とも危険と思われる結果が多かった。特にコジ

82

マの負債比率は、他の 3 社が 100%台であることに比べて、比率が 200%を超えているため

特に危険な水準だと判断される。 続いてキャッシュフロー分析を見ていく。

83

3-4.キャッシュフロー分析

(三好裕太郎) キャッシュフローとは、現金収支のことで企業活動全般に関わる収入や支出の現金部分

だけを示すものである。キャッシュフロー分析では、資金収支に特化した分析が可能であ

ることから、企業の現金創出能力や将来の発展可能性を見ることができる。 近年企業経営においてキャッシュフローを重視する考え方が広まってきている。なぜな

ら、信用取引と呼ばれる、手形や売掛金、買掛金といった現金以外で取引が多い企業は、

帳簿上では黒字を示していても、実際には現金が不足しているという場合があり、新たな

仕入れや投資といったものができなくなってしまい、黒字倒産するということがある。黒

字倒産などの危険を回避するために、現金のみの収入と支出を把握し、現金を生み出す力

を検証することが、キャッシュフロー分析である。 営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフロー、フリー・キャ

ッシュフローを企業ごとに分析する。 営業キャッシュフローは、売上や仕入などの営業活動によって生じた資金収支のことを

いう。本業で確実に現金を稼ぐことができるかは、企業を判断する上で非常に重要になる

のでプラスであることが望ましい。マイナスだと事業継続のために有利子負債を増加させ

たり、設備投資ができないなどの影響がある。 投資キャッシュフローは、営業活動を行っていくために、土地や建物といった長期的に

使うことを目的とした現金投資支出のことをいう。 財務キャッシュフローは、株式の発行や融資による資金調達や配当金の支払などの財務

金融活動によりもたらされる現金収支を表している。 フリー・キャッシュフローは、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを控除

して求められ、企業の資金創出能力を表している。プラスであれば、積極的な事業展開や

企業の安定性の向上が計れる。マイナスになると事業展開に影響し、財務キャッシュフロ

ーによる資金調達の必要が出てくるなどして、資金繰りが厳しくなることもある。

84

[図表 3-4-1]

ヤマダ

-150,000

-100,000

-50,000

0

50,000

100,000

150,000

(百万円)

営業キャッシュフロー 10,400 -13,682 40,115 32,091 48,358 26,934

投資キャッシュフロー -39,638 -14,116 -28,248 -73,853 -52,325 -123,305

財務キャッシュフロー 57,986 -1,179 5,377 34,114 13,827 120,569

フリーキャッシュフロー -29,238 -27,798 11,867 -41,762 -3,967 -96,371

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-4-1]はヤマダの各キャッシュフローの推移を示したものである。

2004 年度を除いて全ての年でフリー・キャッシュフローがマイナスの数値を示している。

つまり、営業キャッシュフロー内での投資ができていないということで、負債が増加して

いることになる。2007 年度の投資キャッシュフロー支出増加は有形固定資産の取得による

もので、土地、建物の購入によるものである。財務キャッシュフローの 2007 年度の増加は

社債発行による収入である。 [図表 3-4-2]

エディオン

-50,000

-40,000

-30,000

-20,000

-10,000

0

10,000

20,000

30,000

(百万円)

営業キャッシュフロー 10,007 13,283 6,125 11,465 3,408 16,156

投資キャッシュフロー -2,361 -6,171 -17,612 -16,452 -12,102 -41,039

財務キャッシュフロー -6,095 -10,003 11,396 -1,885 22,512 25,883

フリーキャッシュフロー 7,646 7,112 -11,487 -4,987 -8,694 -24,883

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

85

[図表 3-4-2]はエディオンの各キャッシュフローの推移を示したものである。ヤマダと同

じくフリー・キャッシュフローがマイナスで推移している。この原因は投資キャッシュフ

ローの支出増加である。2007 年の投資キャッシュフローの支出増加は、固定資産、有価証

券の取得による支出との増加に加え、100 満ボルトを展開するサンキューの完全子会社化に

かかった費用である。2006 年度の財務キャッシュフローの増加は短期借入金の収入による

もので、返済額よりも借入額が多かったことの影響である。 [図表 3-4-3]

ケーズ

-25,000

-20,000

-15,000

-10,000

-5,000

0

5,000

10,000

15,000

20,000

(百万円)

営業キャッシュフロー 3,043 6,651 -110 8,966 486 5,253

投資キャッシュフロー -6,687 -4,934 -4,430 -6,968 -11,063 -18,933

財務キャッシュフロー 2,667 -1,281 4,787 -5,164 10,955 14,734

フリーキャッシュフロー -3,644 1,717 -4,540 1,998 -10,577 -13,680

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-4-3]はケーズの各キャッシュフローの推移を示したものである。ヤマダ、エディ

オンと似たグラフを示しているように、フリー・キャッシュフローがマイナスで推移し、

投資キャッシュフローの支出が増加している。しかし営業キャッシュフローが安定してい

ない。本業に対して投資をおこなっているが、安定した現金収入を生み出せていない。投

資キャッシュフローの支出増加は貸付金による支出や関連会社株式取得による支出である。

2006 年度の財務キャッシュフローの増加は長期借入金、短期借入金がともに増加したこと

によるものである。

86

[図表 3-4-4]

コジマ

-15,000

-10,000

-5,000

0

5,000

10,000

15,000

20,000

(百万円)

営業キャッシュフロー -794 8,961 17,218 2,094 -5,154 -613

投資キャッシュフロー -9,243 -9,013 -9,748 -1,942 -1,343 -3,907

財務キャッシュフロー 11,172 -236 -887 -3,830 1,361 3,678

フリーキャッシュフロー -10,037 -52 7,470 152 -6,497 -4,520

2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-4-4]はコジマの各キャッシュフローの推移を示したものである。2004 年度営業キ

ャッシュフローで 172億 18百万の収入を得ているが、2005 年度以降は赤字となっている。

2005 年度以降は投資キャッシュフローの支出も減ってきている。これは、営業活動で現金

を得られていないので投資に回す現金が不足しているということである。現金不足を補う

ために 2006 年度は長期借入金の借入額を増やしたことで、財務キャッシュフローの収入が

増加した。2007 年度には短期借入金も増額している。 ここまで 4 社それぞれのキャッシュフローの推移を見てきた。4 社ともにフリー・キャッ

シュフローがマイナスで推移している。フリー・キャッシュフローがマイナスで推移する

原因は投資キャッシュフローの支出増加である。コジマを除く 3 社は営業キャッシュフロ

ーで黒字を出せているのに、その収入を上回る現金投資をしていることがわかる。しかし、

投資の方法は2つに分かれる。1つ目は新店舗出店のために、土地や建物を購入するとい

う投資方法である。地方に強い基盤を持つヤマダが都市圏でのシェアを拡大するために駅

前の一等地を購入するといったことがその方法に含まれる。2 つ目はエディオンやケーズの

ように M&A を目的とした現金投資という方法である。企業規模を効率的に拡大するため

に中小の家電量販店を子会社化したり、日本全国に販売網を作るために地方にある家電量

販店を子会社化したりという動きが近年活発である。 投資額が増加しフリー・キャッシュフローはマイナスで推移しているが、それは一時的

なものであると考えられる。ヤマダの都市型店出店攻勢が落ち着き、エディオン、ケーズ

の M&A が減ってくれば 3 社とも投資キャッシュフローの支出が減ってくる。そうなった

ときに、営業キャッシュフローがどの程度の収入で推移しているかが注目すべき点である。

現在の投資が利益となって結果に表れるか、現金収支が増加するかがその後の更なる発展

87

のための投資力となるからである。 次にキャッシュフローを使用した指標で各社の財務体質を分析する。 [図表 3-4-5]

キャッシュフローマージン

-2.00%

-1.00%

0.00%

1.00%

2.00%

3.00%

4.00%

ヤマダ -1.46% 3.64% 2.50% 3.35% 1.52%

エディオン 3.06% 1.40% 1.60% 0.46% 1.90%

ケーズ 3.02% -0.03% 2.24% 0.11% 0.93%

コジマ 1.88% 3.51% 0.42% -1.03% -0.12%

2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-4-5]は 4 社のキャッシュフローマージンを比較したものであるキャッシュフロー

マージンとは営業キャッシュフローを売上高で除したもので、売上がどれほど効率的に営

業キャッシュフローを稼いでいるかを示す指標である。 (*キャッシュフローマージンには営業キャッシュフローの代わりに、フリー・キャッシ

ュフローを使用する方法もある。売上高のうち企業が自由に使えるフリー・キャッシュフ

ローをどの程度稼げているのかを見る指標である。現在、家電量販店業界は投資の増加で

フリー・キャッシュフローがマイナスで推移し、また投資キャッシュフローの支出も安定

したものではないので、本論文では営業キャッシュフローを使用しキャッシュフローマー

ジンを分析する。) 4 社ともに安定していないことがわかる。[図表 3-4-5]を見ただけでは一概にどの企業が

優れたキャッシュフローマージンであるかを示しているかの判断ができない。そこで、キ

ャッシュフローマージンと売上高営業利益率を比較していく。売上高営業利益率は売上高

のうちどの程度の営業利益を稼げているかを図る指標であり、本業での儲けの強さを示す

ことができる。キャッシュフローマージンと比較することにより本業で稼いだ利益のうち

88

どの程度が、現金での収入かを分析する。現金での収入が多ければ、負債の支払い能力が

高いという判断ができる、また、新たな投資が行いやすいなどのメリットがある。 [図表 3-4-6]

[図表 3-4-6]でわかるとおり、エディオンのキャッシュフローマージンは多少の振れ幅は

あるものの 1%台で安定していて、2007 年度には上昇傾向を示している。ケーズは安定し

ていないが 2007 年度に上昇傾向を見せての 1%に近い数値を示している。エディオンとケ

ーズはこの図でわかるとおり、例年売上高営業利益が 1%台で推移しているので、その営業

利益が現金でとして手元にあるということがわかる。ヤマダは 2007 年度キャッシュフロー

マージンが約 1.5%まで減少した。しかし 2007 年度の売上高営業利益は 3.7%であった。

つまり売上高に対する営業利益は他社よりも優れた比率であるが、自由度の高い現金とし

ての収入はエディオン、ケーズと近い比率である。コジマは売上高営業利益率では-1%台で

あるが、2007 年度はキャッシュフローマージンが約 0%であることから、営業利益は赤字

である、現金収支に限って言えばその赤字幅は小さいことがわかる。

89

[図表 3-4-7]

営業キャッシュフロー対設備投資比率

-100.00%

-50.00%

0.00%

50.00%

100.00%

150.00%

200.00%

250.00%

ヤマダ -59.97% 123.25% 42.59% 91.43% 24.26%

エディオン 217.72% 63.65% 63.47% 15.53% 43.66%

ケーズ 116.34% -1.56% 110.08% 4.02% 24.62%

コジマ 106.84% 177.95% 21.70% -82.58% -7.09%

2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

[図表 3-4-7]は 4 社の営業キャッシュフロー対設備投資比率の 5 年間の推移をまとめたも

のである。営業キャッシュフロー対設備投資比率とは、安全性分析の一指標で、設備投資

額がどの程度、営業キャッシュフローで賄われているかを示す指標である。この指標が大

きいほど借入などの負債に頼らず設備投資を行っているかがわかる。 4 社ともここ 5 年の推移を見る限り安定していないことがわかる。キャッシュフローの推

移でも述べたように、ヤマダ、エディオン、ケーズは投資が増加している。その費用を借

入金や社債、株式に頼っている。今後もしばらくは投資額が減少することはないと思われ

るので、企業はそれを賄うための利益を生み出すことが必要である。特に、投資や負債の

返済などには自由度の高い資産が理想的であるので、現金収入を増やす必要がある。

90

[図表 3-4-8]

営業キャッシュフロー対流動負債比率

-20.00%

-10.00%

0.00%

10.00%

20.00%

30.00%

40.00%

ヤマダ -13.34% 33.75% 24.26% 29.29% 14.84%

エディオン 14.37% 7.66% 9.52% 2.44% 9.80%

ケーズ 19.76% -0.19% 14.17% 0.58% 4.11%

コジマ 8.21% 15.38% 1.73% -4.26% -0.54%

2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

営業キャッシュフロー対流動負債比率とは営業活動によるキャッシュフローで、どれだ

けの流動負債をまかなっているかを示す指標である。この比率が高いほど安全性が高いと

判断できる。特にキャッシュで賄える流動負債の割合を示すということから、短期的な支

払い能力意を見ることができる。 [図表3-4-8]は4社の営業キャッシュフロー対流動負債比率の推移をまとめたものである。

4 社の中ではヤマダが一番高い水準で推移しているが 2004 年度から減少傾向にあり、2007年度は 14.84%まで下降した。エディオンとケーズは 10%程度で推移していることがわか

る。ヤマダ、エディオン、ケーズの営業キャッシュフロー対流動負債比率が安全と判断で

きる水準にあるのか、それとも危険な水準にあるのかを、財務分析の安全性で示した流動

比率、当座比率と比較し分析する。 コジマは 2006 年度以降マイナスで推移している、これは営業キャッシュフローで赤字を

示しているからで、短期的な支払い能力が弱いといえる。

91

[図表 3-4-9]

[図表 3-4-9]は 4 社の流動比率、当座比率、営業キャッシュフロー対流動負債比率の直近

5 年の一覧である。ヤマダは流動比率で、高い比率を見せているので安全性に問題はないと

判断できる。しかし、流動資産から棚卸資産などのすぐに現金化できないものを除いた、

当座比率では一般的に 100%以上であれば安全と判断されるのに対し、50%程度と安全性

とはいえない水準にある。営業キャッシュフローでの収入は当座資産の現金に含まれるの

で、営業キャッシュフローの収入が増えれば当座比率も上昇する、ヤマダの 2007 年度の営

業キャッシュフローの収入は、当座資産のうちの 26.68%である。またキャッシュフローの

推移で述べたように、フリー・キャッシュフローがマイナスで推移しているので、本業で

の現金収支での短期的な負債の支払い能力は低いといえる。

92

エディオンとケーズもヤマダと同じく営業キャッシュフロー対流動負債比率の水準は低

いものである。特にケーズは流動比率でも 100%を下回り、当座比率も低いので危険と判断

できる。 ヤマダ、エディオン、ケーズは営業キャッシュフローで黒字を出せているが、それを超

える投資を行っているので、投資や負債の支払いの一部を新たな負債に頼っていることが

わかる。 コジマは営業キャッシュフローが赤字で、当座比率も 4 社の中で一番低い。他の 3 社と

同様に、負債を増加させることで負債の支払いと S&B を行っているが、営業利益で毎年赤

字を出しているように、利益に結びついていないため安全性は低下する一方である。 キャッシュフロー分析のまとめ ヤマダ、エディオン、ケーズの 3 社はキャッシュフローの動きが似ている。営業キャッ

シュフローで黒字は出せているが、それを大きく超える投資をしている。そのために財務

キャッシュフローで現金を用意している。資金調達能力が高いという評価もできるが、そ

の反面、安全性に問題があるという見方もできる。現在の家電量販店業界がスケールメリ

ットを狙った企業規模拡大の途中であることから、どの企業も負債を増やしてまで投資を

行っている状況である。今後、家電量販店が飽和状態になり各企業の出店ペース、または

M&A が落ち着いてくれば、投資額、投資キャッシュフローの支出額も減ってくると予想で

きる。その時に営業キャッシュフローをどの程度生み出せているか、フリー・キャッシュ

フローがどの程度生み出せているかが、その後に予想される S&B 等や、新たな事業を行う

にあたり大切な資金源となる。 安全性を低下させてまで投資を行っている効果が出るのかが今後注目される。

93

4.経営戦略分析

4-1.企業分析

4-1-1.経営理念

(上杉美希)

ここでは各社がどのような経営理念のもとで、経営しているのかを述べていく。 (1)ヤマダ電機 ヤマダは、「企業も『人』と同じように、自分だけでは存在しえず、周りの多くの人や地

域社会や環境に支えられ育まれて初めて存在しうる、意義があるのだから、互いに助け合

わなければならない。」 という考えで「高い品質の製品をお求め安い価格で」を経営理念に掲げている。 さらに「企業の社会的責任」を経営理念の中枢にすえ、企業の持つ社会的責任を十分に認

識するようにしている。 (2)エディオン

エ デ ィ オン の 経 営理 念 は 「買 っ て 安心 、 ず っと 満 足 」(『エ デ ィ オン 』,

http://www.edion.co.jp/index01.html,2008 年 10 月 21 日)である。「お客様も豊かな暮ら

しを永続的に支える企業」でありたいと考えている。客の声を形にしたオリジナル商品の

開発やお買い上げ後のアフターサービスなどにこの経営理念の言葉が表れている。 (3)コジマ コジマは、「『私たちは太陽のように明るさとあたたかさをご家庭にお届けします』の経

営理念に基づき、コジマで働く者としての誇りを持ち、企業活動のあらゆる場面で関係法

令の遵守を徹底し、社会倫理に沿った誠実な行動をとることで、コジマを通じて継続的に

社 会 に 貢 献 し て ま い り ま す 。」(『 コ ジ マ ホ ー ム ペ ー ジ 』,

http://www.kojima.net/corporation/corporation/privacy.htm,2008 年 10 月 29 日)という

考えのもと、経営活動を行っている。 (4)ケーズホールディングス

ケーズホールディングスの店舗運営は「『顧客のため』を考える」(『ケーズデンキ』,

http://www.ksdenki.com/index.htm,2008 年 10 月 21日)という理念のもと行われている。 グループ理念は「人を中心とした事業構築を図り、ケーズデンキグループに関わる人の

94

幸福を図る事業を通じて人の『わ』(和、輪)を広げ、大きな社会貢献につなげる」(『ケー

ズデンキ』,同上 WEB サイト,2009 年 1 月 21 日)である。

4-1-2.リーダーシップ

(中田麻理)

ここでは各企業のリーダーがどのような人物かを見ていく。 (1)ヤマダ電機 ここではヤマダ電機の創業者である山田昇(やまだ・のぼる)氏について述べたい。 山田氏は、1963 年日本ビクターに入社し、1973 年に前橋市でヤマダ電化センターを個人

創業した。29 歳のときに日本ビクターを退社し、初めはトラックで一日に何百世帯も一人

で回って訪問販売を行った。無償でカラーテレビの修理をした時に、前の会社でやってい

た品質管理やマーケティングを役立てて、各家庭がどのメーカーの製品を買っているのか

チェックを行っていた。そのような情報を顧客台帳に記入していき、これが後に大切な顧

客名簿となり、彼の財産になった。 また、山田氏は人材育成に力を入れており、「礎生塾」という研修施設を 2004 年に開設

した。毎週月曜から木曜の 3 泊 4 日のスケジュールで全国 342 店の店長、フロア長クラス

の研修を行っている。業界 大手となったヤマダ電機にとって客や株主、社員などに対し

て社会的責任を取る必要があり、社会貢献が も重要なことだと山田氏は語っている。社

会貢献とは利益の創出である。市場経済において利益を出すことや地域における雇用の創

出、地域社会への貢献などが利益の創出に繋がり、社会貢献の具体例だと社員に伝えてい

る。このような社長の思いを「礎生塾」で伝えることで人材のレベルを上げていき、持続

的な成長を図っている。 (2)エディオン 続いてエディオンののリーダーシップについて見ていく。ここではエディオンの代表取

締役社長は久保允誉(くぼ・まさたか)氏について述べたい。 久保氏は早稲田大学商学部卒業後、1978 年に第一産業(現デオデオ)に入社した。専務

取締役、副社長などを経て、1992 年デオデオ代表取締役社長に就任した。 2002 年にデオデオ、エイデンの共同でエディオンを設立し、エディオンの代表取締役会長

に就任した。積極的に家電量販店の買収を行い、自らエディオンオリジナル家電の開発に

も加わっている。 また、1998 年に経営危機に陥ったサンフレッチェ広島の社長に就任し、経営改革を行い

2000 年度決算で黒字に転化させた。現在ではサンフレッチェ広島会長に就任している。

95

(3)コジマ 続いてコジマのリーダーシップについて見ていく。ここでは 2002 年 4 月に代表取締役社

長に就任した小島 章利(こじま・あきとし)氏について述べたい。 小島氏は 1987 年東海大学卒業後、コジマに入社。システム室室長などを経て、1990 年

に取締役に就任。1991 年情報システム本部本部長、1993 年営業企画本部長、1995 年常務、

1998 年専務を歴任。2002 年 4 月代表取締役社長に就任した。 小島氏は「成功するまで続ける」という信念を掲げて仕事に取り組んでいる。小島氏が

トップに立つ前に社員として取り組んできた数々のプロジェクトにもその精神が表れてい

る。その中でもアップルコンピュータ「Macintosh」の販売は、その代表と言える。 営業企画本部長に就いた 1993 年当時、パソコンはマニュアルが難解で、家庭で気軽に

使えるものではなかったため、家電量販店が販売する商品として捉えられていなかった。 そこで小島社長は、マニュアルを薄くして初心者でも分かりやすい言葉にしたり、取り

扱い説明のビデオを添付するなどして使いやすくするアイデアを提案した。 そして「成功するまで続ける」の精神で、Macintosh の OS と Windows 95 の両方使用

可能な家庭向けパソコン「Performa コジマ専用モデル」の製造と販売に取り組んだ。そし

て、2 ヶ月で 3,000 台を売り上げるヒット商品としたのであった。 社長としてトップに立ってからも、果敢な戦略を打ち出している。社長就任時、5 年間で

店舗統廃合や 2,000m2以上の大型化に加え、構造改革をやると決めた。2004 年までの 2 年

間で店舗の統廃合や、物流センターを全国に 5 カ所設置するなど仕組みを大きく見直した。

その結果、各店の荷受け作業は大幅に減り、人件費も約 26 億円圧縮した。1 店当たりの商

圏を絞ったことで、広告費も約 25 億円削減し、この 2 年間で売り上げは 4%減ったものの、

販売管理費削減額は約 60 億円に達し、損益分岐点は 6 ポイントも下がった。そのため、結

果的に厳しい競争の中でも利益を出せる体質を作り上げることが出来た。 2002 年にトップの座をヤマダ電機に譲ったものの、持ち前の粘り強い精神で「安値世界

一への挑戦」を行っている。

(4)ケーズホールディングス 後にケーズのリーダーシップについて見ていく。ここではケーズホールディングスの

代表取締役社長、加藤修一(かとう・しゅういち)について述べたい。 加藤氏は 1969 年に加藤電機商会(現ケーズホールディングス)に入社した。入社後、代

表取締専務などを経て、1982 年に取締役社長となった。 その後は加藤氏が「自ら考案した独自の POS システムを導入するなど、IT を駆使した自

動化・効率化を推進」(山名一郎,前掲書,14 頁)した。 買収も積極的に行い、規模を大きくしている。2007 年には持株会社となり、社名をケー

ズホールディングスへ変更した。

96

4-2.経営戦略と課題

(三好裕太郎)

ここでは 4 社それぞれの経営戦略を明らかにし、各企業の現状を理解する。そしてその

経営戦略を行ううえで問題となるような財務面や経営状態の課題などを明らかにしていく。 (1)ヤマダ電機 ヤマダ電機の経営戦略 ヤマダは「高い品質の製品をお求め安い価格で」を経営理念とし、常に時流を捉えた先

駆的な事業を積極的に展開し、業界のリーディングカンパニーとして着実に成長を遂げて

きた。日本全国 47 都道府県に販売ネットワークを構築し、2005 年に売上高 1 兆円を達成

したヤマダの次なる目標は「売上高 2 兆円」と「市場シェア 20%獲得」である。 ヤマダの経営戦略を個別に見ていく。

①ローコスト経営

ヤマダの近年の急成長はキャッシュフローを重視したローコスト経営を進めてきたこと

が大きな要因である。一人当たり売上高を高い水準で維持するために、販売管理費を抑え、

郊外立地等によって更なるコスト圧縮を実現、競合店よりも低価格で販売しても利益が残

る構造になっている。(2007 年度、販売管理費率で業界上場大手 9 社の平均が 19.3%なの

に対してヤマダは 18.4%) 他にも、比較的初期にPOSシステムを導入、物流の効率化を推進、大型店舗出店によ

る一店舗あたり売上増加など、他の量販店がいわば「身を削りながら」低価格競争を戦う

中で、ヤマダは経営の効率化を図りながら低価格を実現していったのである。 ②大型店舗展開 ヤマダ電機はこれまで 10 万人以上の商圏に対しては、市場規模と商圏設定に合わせて 5通りの「テックランド」を、ロードサイド型店舗を中心に展開してきた。これらのロード

サイド店はいわばヤマダの郊外型店舗であり、ヤマダの経営基盤といえる。 2006 年以降 “ナショナルチェーン・ヤマダ電機”を象徴するものとして、スケールメリ

ットを追求した大型店舗を商圏人口 30万人以上のエリアで積極的に展開しようとしている。 その第一弾が、2006 年春、大阪・難波に誕生したビッグスケールの駅前大型店舗「LABI1 NAMBA(なんば)」である。その後、約 2 年 3 ヶ月の間に 11 店舗の「LABI」をオープン

し現在では 12 店舗となっている。(現在のオープンしている「LABI」。オープンの早い順、

なんば、仙台、池袋、品川大井町、新橋デジタル館、秋葉原パソコン館、千里、津田沼、

吉祥寺パソコン館、新橋生活館、高崎、渋谷)

97

これらの都市型店舗は今までカメラ専門店(ビックカメラ、ヨドバシカメラ)に先行さ

れていた。しかし、「売上高 2 兆円」と「市場シェア 20%獲得」を目標に掲げ、達成するた

めには人口の集中する激戦区での市場シェアが必要と判断し、業界 王手のスケールメリ

ットを 大限に活かし価格競争で打ち勝つことができるという算段があっての出店といえ

る。 ③スモールメリット

2005 年 9 月、地域密着による店舗展開を目的として「コスモスベリーズ株式会社」を設

立した。大型店舗では難しい顧客一人ひとりに対する決め細やかなサービスを可能にする、

小型店舗の FC 展開を事業の柱としている。現在全国 47 都道府県に加盟店展開をしており、

「あなたの電気係」になることを経営理念とし、小さいからこそできる“スモールメリッ

ト”の追求を目指している。 多少値段が高くても、決め細やかなサービスを求める高齢者や、量販店が近くにない顧

客をターゲットにしている。 郊外型のロードサイド店を地盤とし急成長を遂げてきたヤマダが、「売上高 2 兆円」と「市

場シェア 20%獲得」を達成するために、都市型大型店から地域密着型の小型店まで、家電

製品販売チャネルを積極的に拡大していることが理解できる。売上高や市場シェアを拡大

するために単純に店舗数を増やしているだけではなく、さらなるスケールメリットの増大

を図っている。仕入れ量の増加が、メーカーに対する交渉力(バイイングパワー)の増大

につながることは他の企業、他の業界でもいえることだが、これほどまでにそのスケール

メリットを活かした経営をできている企業は他にないかもしれない。 しかし、その交渉力も行き過ぎれば問題になることもある。この問題こそがヤマダの抱

える唯一の課題といえる。

98

ヤマダ電機の課題 「2008 年 6 月 30 日、公正取引委員会は家電量販店 大手のヤマダ電機に対して、独占

禁止法に違反していたとして排除措置命令を出した。家電量販店では、販売応援員として

メーカーが社員を派遣する商慣習があり、その社員は「ヘルパー」と呼ばれる。このヘル

パー派遣要請を、ヤマダがメーカー側に強要したことが、独占禁止法で定める「不公正な

取引方法」に抵触していたのだ。」(『ダイヤモンドオンライン』http://diamond.jp/,2008年 10 月 21 日) 背景には、ヤマダの圧倒的なバイイングパワーがある。連結売上高は 1 兆 7678 億円(2008年 3 月期)を誇り、2 位のエディオンに 2 倍以上の差をつけている。購買規模の大きさを利

用し、メーカー側との商談の際、「優越的地位の濫用」が行なわれていたと判断された。 大手メーカーであっても、ヤマダに対しては要求を出せる状況にはなくヤマダの提示す

る条件を鵜呑みにするしかないというのが現状である。 「公正取引委員会の出す処分には罰則規定がなく、処分が即業績のマイナス要因となる

ケースはまれ」(『ダイヤモンドオンライン』同上 WEB サイト,2008 年 10 月 21 日)であ

る。 財務分析からも分かるとおり、ヤマダの高い成長性や収益性は積極的な店舗展開による

バイイングパワーの増大、その結果もたらせる、安い仕入価格と「ヘルパー」を受け入れ

ることにより、低い販売管理費率である。今後も仕入面に関してはヤマダのバイイングパ

ワーは活かされる。しかし、店舗改装作業や新規オープン店舗の開店準備など、あらゆる

場面で力を借りてきたヘルパーを、今までと同じように使うことはできなくなるだろう。 ヘルパーに頼らず自社の社員で、現在の販売管理費や一人当たり売上高を維持できるか

が鍵となってくる。

99

(2)エディオン エディオンの経営戦略

エディオンは「買って安心、ずっと満足」を経営理念とし、おもてなしの心に根ざした

独自のビジネスモデルを強化している。現在では家電量販店業界第 2 位の売上高 8512 億円

(2008 年 3 月期)を達成し、今後の中期目標として成長性と効率性、生産性、この 3 つを

高め、売上高1兆円・経常利益率 5%の達成を目指すとしている。 エディオンの経営戦略を個別に見ていく。

①サービス 商品販売だけでなく、商品を長い間、 良の状態で使えるようにサービス体制の強化を

進めてきた。 具体的には、消費者が安心して商品を購入できるよう、商品売上時の取扱説明サービス

の徹底や、きめ細かい時間指定配送メニューの充実などに取り組んでいる。また、故障し

た商品の修理サービスについては「お客様にとってもっとも重要なのは、いかに早くその

商品の修理を行い、本来の機能を回復するか」として、即日修理・持ち込み修理体制の充

実などに取り組んでいる。また、出張修理もしている。エディオンではグループ内に、配

送・工事・修理といったサービスを担う子会社、あるいは部門を持ち、修理完了日数の短

縮や即日修理体制の充実に努めている。

②オリジナル商品 エディオンにしかないオリジナル商品の開発・販売を行っている。付加価値の高い独自

の機能を付加した“KuaL(クオル)”、一人暮らしを応援する“keyword(キー

ワード)”、デバイス商品“MY&OUR(マイアンドアワー)”などを展開し、商品売上に

占めるオリジナル商品の構成比は約 23%となっている。今後も、オリジナル商品の開発を

強化し、ニーズにあった商品を開発していくとしている。 ③小型 FC 店舗 ヤマダの地域密着型の小型 FC 店舗がいわば「街の電気屋さん」だったのに対し、エディ

オンの進める小型 FC 店舗は、5~20 坪程度の「家電のコンビニ」である。事業内容は電池、

電球、蛍光灯、プリンターインクなど消耗品の販売や、地域密着型の訪問活動である。さ

らに高齢者向けの電球取替えや、家電製品の配線などのサービスも行っている。 ④M&A とストアブランド エディオンは M&A によって成長してきた典型的な企業である。デオデオ・エイデン・ミ

ドリ電化をはじめ、石丸電気・サンキューを含めたグループ各社がいかに成長していくか

ということを念頭におき、それぞれの地域に密着した事業活動を強化している。さらに

100

M&A のメリットを仕入・組織・システムの統合などにより効果を 大限に引き出し、さら

なる効率性の追求を目指す。 また、グループ会社の特長を 大限に発揮するため、ストアブランドは各社の名称を継

続して使用している。今後は消費者に認識されるストアブランドと、エディオンというコ

ーポレートブランドの連携を強化し、グループ全体の価値向上に努めるとしている。 また、年間 30 店舗前後の出店、関東エリアへの出店強化に積極的に取り組み、安心価格・

安心サービス・安心接客による「買って安心、ずっと満足」を今後も継続して推し進める

としている。 エディオンの課題 エディオンは M&A で企業規模を拡大してきたが、その価値を 大限に活かしきれている

とはいえない。バイイングパワーの増大で粗利益率は業界 1 位のヤマダと互角の数値を示

しているが、販売管理費率が高い。結果、営業利益率や経常利益率でヤマダに差をつけら

れている。 後述のケーズは同じ M&A によって成長してきた企業である。ケーズの販売管理費率は

13.8%であるのに対して、エディオンは 21%と大きな差がある。その要因としては、デオ

デオ、エイデン、ミドリ電化 3 社の業務統合はまだまだ、重複している部分が非常に多い。

システムや物流も重複する部分がある。修理部門の効率性も図れていない。改善できれば、

より多くの人員を営業部門に回すことができ、従業員一人当たりの生産性や効率も高めて

いける。 前述のように販売コストを削減し、販売管理費率を低下させることが課題であるが、エ

ディオンにはそれを妨げる大きな課題がある。経営陣の統合である。「エディオンの経営陣

にはデオデオ創業家出身の久保社長をはじめ、エイデン創業家出身の岡島昇一副会長、さ

らに取締役にはミドリ電化創業者・安保詮氏の娘婿である梅原正幸元ミドリ電化社長がい

るなど、複雑な力関係」(『週間東洋経済』,2007 年 5 月 12 日,61 頁)である。 このように、経営陣が一枚岩になっていない状況が店舗の効率化や業務統合を遅らせて

いるのである。今後ものエディオンは積極的に M&A を行っていくものと考えられる。そ

の度に、経営陣が各々主張を繰り広げるようではせっかく手に入れたバイイングパワーを

無駄にすることになる。

101

(3)コジマ コジマの経営戦略 「私たちは太陽のように、明るさとあたたかさを、ご家庭にお届けします」を経営理念

としている。

平成 20 年 3 月 29 日に島根県に出店したことによって、日本全国 47 都道府県全てに店舗

を展開し、全国ネットの販売網を有する企業となった。

コジマの経営戦略を個別に見ていく。

①完全直営主義

コジマは M&Aを行わず、またフランチャイズチェーンも持たない、完全直営主義を貫い

ている。直営店のメリットは店舗運営を本部が一括して行うためサービスが全国一律で、

商品購入時だけでなく、アフターサービスまで細かい対応が可能である。また、FC 店に比

べると一般的に一店舗から得る収益が多い。

コジマは直営店だけの店舗展開で、商品管理やサービス体制の一本化を推し進めたため、

一時期までは家電量販店業界1位の企業になることができた。

②法人向けサービス

全国 47 都道府県に出店したことを 大限活かすために、コジマが始めた事業が法人向け

ビジネスサービスである。その事業は 4 つに分かれていて、生活・宿泊施設サポート、オ

フィス・店舗サポート、OA サポート、プロモーションサポート、がある。

生活・宿泊施設サポートとはホテル・福祉施設・賃貸アパート・賃貸マンション等の電

化製品を予算に応じてセット販売する。またホテル等では定期的にエアコンクリーニング

サービスなどを行う

オフィス・店舗サポートとは空調・水周りなどにかかるエネルギーコスト削減のための

商品提案である。導入時からメンテナンスでも省エネ・省コストに配慮した提案で、コス

ト低減のサポートを行う。

OA サポートとは OA 機器・LAN 環境の効率化・コスト削減の運用提案でビジネス用パソコ

ン、プリンタ、複写機器からビジネスソフト、トナーまで、包括的なコスト削減を目指す。

また有線・無線 LAN の設定やファイルサーバーの構築も行う。

プロモーションサポートとは、不動産の契約記念品やキャンペーン賞品、販促ノベルテ

ィ品として家電製品を扱う場合のサポートである。コジマの商品ラインナップの中から、

予算に応じて 適な賞品を選んでもらうという形である。

コジマは全店直営店であることから、法人などの大口の取引も対応しやすいと思われる。

102

コジマの課題 家電量販店業界で生き残っていけるのは 終的に 4~5 社だとされている。それ以外の企

業は有力企業に M&A で吸収されていく可能性が高い。その中でコジマが生き残っていく

にはまず売上高を上げていく必要がある。 法人向けビジネスサポートなど新しい事業を行っているにもかかわらず、その認知度は

非常に低い。かつての「コジマは安売り」というイメージも他社の業界の価格競争の中で

薄れてしまっている。まずは長所を明確にし、広告宣伝などを積極的に行う必要がある。 次にコジマの財務面の課題である。資金調達能力の低さ、これこそがコジマの抱える

大の課題である。毎年経常利益では辛うじて黒字を示しているが、新たな投資を行えるだ

けの収益性はない。またキャッシュフローの面から見ても直近 2 年は営業キャッシュフロ

ーで赤字を出すなど、資金繰りに苦しんでいる。企業としても成長傾向が見られないため

株式などでの資金調達も望めないのが現状である。 今後も完全直営主義を貫いていくと見られる。FC 店に比べ直営店は出店コストが高額な

ため、ある程度の財務力がなければハイペースでの店舗展開は行えない。このことは業界 1位のヤマダや、M&A で成長を続けるエディオン、ケーズに対して非常に不利に働く。メー

カーに対して強いバイイングパワーを保持するためにも仕入量の増加が必須である。同業

他社と業務提携はしないまでも、仕入面での協力などを検討しなければならない状況に置

かれている。 (4)ケーズホールディングス ケーズホールディングスの経営戦略 浮き沈みの激しい家電量販店業界にあって、61 年もの長きにわたって増収を続け、業界

4 位にまで上ってきたのがケーズホールディングである。ケーズ店舗運営の理念とは別に、

グループ理念というものがあり「人を中心とした事業構築を図りケーズグループに関わる

人の幸福を図る。事業を通じて人の「わ」(和、輪)を広げ、大きな社会貢献につなげる」

としている。 「現代の経営環境は絶え間なく変化し続けます。従って、私たちが直面する経営課題も複

雑にならざるを得ません。しかし、こうしためまぐるしい経営環境の中でも、私たちは、「正

しいことを行う」という基本に則った取り組みを実施しています。」(『ケーズデンキ』,前

掲 WEB サイト,2008 年 10 月 21 日) 経営課題に対して、「無理、無駄、ムラ」を排し、正しい施策を選択するという「頑張ら

ない経営」が、ケーズホールディングスの安定高成長を支えている。 ケーズホールディングスの経営戦略を個別に見ていく。

103

①ムリをしない、急がない経営 上位企業数社の寡占化が進み、競争が激化する家電量販店業界の中にあって、ケーズの

経営方針は変わらない。ムリせず、急がず、マイペースで顧客のことを第一に考えるとい

うものだ。社長も会社経営について「経営というのは、どのような状況にも対応できるよ

うな余力や選択肢を、常に持っていなければならないと考えている。人は常に 100%以上の

力を出し続けることはできないものだ。もちろん、瞬間風速ではできると思うが、それは

続かない。自分のペースを守ることが大切」(『ダイヤモンドオンライン』,前掲 WEB サイ

ト,2008 年 10 月 22 日)と語る。 会社が高い目標を設定すれば社員にムリをさせることになり、コンプライアンスの意識

低下に繋がるとも考えている。またこの経営方針は、社員の離職率低下に繋がっている。

景気回復で小売業界は人材難が叫ばれているが、ケーズは人材難に困っていることはない。

年間平均 30 店舗の出店をしていても、人材難を感じることはない、という。 競合他社との競争についても「競合他社との競争は、昔からあることだ。価格競争は今

に始まったことではない。価格と品揃え、サービスが店舗の差別化に繋がる。(中略)顧客

に合った商品が、たとえ粗利益が低い商品だとしても、それをお勧めしなさいといつも言

っている。“いかに儲けるか”ではない。それはお客様をだますことにも繋がる可能性だっ

てある。またお店に来ていただける“先のお客様”を作ろうと社員に言っている。 (『ダイヤモンドオンライン』,同上 WEB サイト,2008 年 10 月 22 日)と語り、目先の売

上高増加、市場シェア拡大ではなく、将来を見据えて顧客へのサービスや社員の働く環境

整備に努めている。この成果が 61 年もの長きにわたって増収を続ける問いう結果に繋がっ

ているものと思われる。 ②ローコスト経営 ヤマダの経営戦略でもローコスト経営を取り上げたが、ケーズのローコスト経営は全く

別のものである。販売管理費率は家電量販店業界平均が 19.3%であるのに対して、ケーズ

は 13.8%と異常といえるほど低い。特に人件費を抑えるために効率化を図るというのがケ

ーズのローコスト経営である。販売員の仕事は「接客対応」一点集中で、陳列、品出し、

レジ打ちなどは一切してはならない。平日の午前中など来店客の少ない時間帯でも他の作

業をすることはない、という徹底振りである。なぜかといえば接客以外の仕事をすると、

どこにどんな無駄があるのかが見えなくなってしまうからである。接客以外の仕事は分業

化してパートやアルバイトに任せ、その代わり接客だけに専念する販売員は顧客に尋ねら

れたら何でも即答できるように自主的に勉強会を開いて商品知識を吸収するなど、より良

いサービスを追求する。顧客の少ない時間帯には、売り場の欠点をこまめにチェックし、

気づいたことを上司に報告、社員全員で店舗の改善を行う。指示待ちをする社員が一人も

いないという環境を作ろうとしているのだ。 また、社員の自主性を引き出すために、現場への徹底した権限委譲を行っている。役職

に応じた値引きの制限などは一切なく、「二割引でも三割引でも無償返品でも自由に応じて

104

いい」「レジ打ちのパートでも返品を勝手に受け付けていい」とあらかじめ権限を委譲して

いる。どんなことでも顧客のためになるなら自分の判断でやっていいというルールなのだ。

自由に判断してよいと言われれば、社員は積極的に勉強し顧客の話に耳を傾ける。 販売管理費の削減のために他にも効率化を図っている。広告宣伝費では、買収した子会

社の店舗名を「ケーズデンキ」で統一し販促チラシは全国で同じものを使用する。また、

仕入や POS データの管理も店舗ではなく水戸にある本社で一括して行う。無駄なコストは

一切省いているのだ。 それ以外に具体的なコスト削減として、ポイントカードを作らないということが挙げら

れる。家電量販店業界でポイント制がブームとなった 1990 年後半に競合店対策で導入を求

める声に押されポイントカード導入を決断したものの、システムを稼働させるだけという

土壇場で白紙撤回し、すでに納品されたカードを破棄し、情報システムもキャンセルし数

千万円の損失が生じたという。それでも“見えざるコスト増”を理由に現在でもポイント

カードの導入を拒否し続けている。 ケーズのローコスト経営は企業理念に即した無駄の排除といえ、前述の「ムリをしない、

急がない経営」の延長線上にある。 ③業務提携 ケーズデンキの店舗展開は日本の約 3 分の 1 しかカバーしておらず、それでいて業界 4位の 5677 億円の売上だ。しかし、出店ペースに関しても「ムリをしない、急がない経営」

を行っている。これからも今のペースを守り淡々と店を出していけば、売上も規模も大き

くできる余地は十分ある。 また、ケーズは郊外型店舗に強みを持つ企業である。同じように郊外で強さを持つヤマ

ダ、エディオンが近年、都市型店舗を出店しているがケーズに都市型店舗の出店予定はな

い。しかし、都市型店舗に強みを持つヨドバシカメラとの業務提携関係にある。「ヨドバシ

とは、お客様のことを真剣に考えるという点で似ている。さらにわれわれは郊外型、ヨド

バシは都市型の店舗を得意とし、お互いにぶつかることはない。それに自分の領域に専念

する方針を持っている。」(『ダイヤモンドオンライン』,同上 WEB サイト,2008 年 10 月

22 日)と語るように、ムリして都市に出店して売上増加を目指すよりも、商圏の重ならな

い同業他社と手を組むことにしたのである。 都市型店舗に強いヨドバシカメラ、ビックカメラに戦いを挑んだ、ヤマダ、エディオン

に対し、ケーズは協力関係を結ぶことを選択した。この差は企業の方針をわかりやすく示

している。ムリせず、急がず、ローコスト経営を行うケーズにとっては当たり前の戦略な

のかもしれない。

105

ケーズホールディングスの課題 ケーズの経営方針どおり、企業の成長もゆったりと、しかし着実に成長している。この

ことから企業経営自体は安定していると判断できる。しかし、財務分析の箇所でも述べた

ように安全性に問題を抱えている。特に自己資産が少ないことが問題である。M&A にかか

る費用のほとんどを負債に依存している。M&A 後にローコスト経営で確実に利益を出せて

いることから、早急に改善が必要な問題ではないが、仕入や商品開発コストを自己資産で

賄えるようになれば、現在以上の収益性を示せる。そうなれば企業価値を高めていける。 もう一つ財務面での問題が営業キャッシュフローである。ローコスト経営が順調にでき

ているにもかかわらず、黒字で推移しているとはいえ、営業キャッシュフローが低いので

ある。2007 年度エディオンは売上高 8512 億円に対して営業キャッシュフロー162 億円の

黒字を示している。ケーズは売上高 5678 億円に対して営業キャッシュフロー53 億円と低

い比率である。(売上高営業 CF 比率、エディオン 1.90%、ケーズ 0.93%)前述したように

自己資産が少ない上に、現金収入も少なくては安全性に問題がないとされても、今後の投

資などに影響を与える。 順調な経営状態であっても現状の自己資産や現金比率の改善は必要だといえる。

106

終わりに

(中田麻理)

私たちは家電量販店業界が成長している業界であることや、企業ごとのサービスに特徴

があることなどに興味を抱き本論文に取り組んだ。実際に業界の特徴や動向を調べ、財務

面や企業の戦略を分析し、4 社を比較してきた結果、家電量販店業界は現在ヤマダ電機の独

走状態であることが分かった。ヤマダ電機は常に業界の動きを先読みし、新しい戦略をと

ることで業界初の売上高1兆円を達成した。そしてさらに 近では大型都市の駅前出店を

進めているため、この先さらに売り上げを伸ばすことが考えられる。また、ヤマダ電機は

今後の目標として売上高 3 兆円を掲げているため、さらに新しい動きを見せるだろう。 業界の市場規模が頭打ちである中、家電量販店業界は成長傾向にある企業とそうでない

企業に分かれている。この先、ヤマダ電機に大差を付けられた 2 位以下の企業が生き残っ

ていくには M&A を行い、規模拡大を図っていかなければならない。そうなると独立路線を

貫いている企業も生き残りが厳しくなり、今後はさらに業界の寡占化が進むことが予想さ

れる。そして、2位以下の有力企業同士がM&Aを行うことでヤマダ電機に対抗するだろう。

他社がヤマダ電機の傘下に入り、さらに規模が拡大することも考えられる。今後の業界再

編に注目したい。 また 2008 年 10 月サブプライム問題を発端に始まった、世界金融危機の影響で雇用や個

人消費が減少する中、多くの産業、多くの企業で経営状態が悪化している。この影響は家

電製品を生産する電機メーカーにも現れ、家電量販店業界にも波及してきている。世界金

融危機の影響が家電量販店業界の業界再編にも大きな影響を与えるものと思われる。今後

の世界経済と家電量販店業界の動向を照らし合わせて注目していきたい。

107

参考資料 貸借対照表 ヤマダ電機貸借対照表 単位:百万円

2002 年度 2003 年度 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度

(資産の部)

流動資産 156,544 167,614 194,057 213,934 262,775 342,894

現金及び預金 47,799 19,716 37,908 30,034 41,152 66,195

受取手形及び売掛金 10,106 12,755 20,091 15,934 23,637 34,755

有価証券 2,299 1

たな卸資産 79,176 116,441 117,237 146,326 158,211 193,506

繰延税金資産 4,055 7,368 7,076 7,289 7,020 5,349

その他 13,124 11,368 11,784 14,369 32,821 43,186

貸倒引当金 -17 -38 -40 -20 -67 -98

固定資産 150,333 160,792 182,487 247,341 287,663 407,806

有形固定資産 77,489 89,247 105,017 159,676 179,783 263,218

建物及び構築物 58,923 62,796 76,577 96,620 111,663 136,750

土地 14,777 20,624 22,543 55,351 57,199 99,364

その他 3,787 5,825 5,897 7,704 10,920 27,103

無形固定資産 844 1,192 1,806 2,665 2,722 3,860

投資その他の資産 71,999 70,352 75,663 84,999 105,157 140,727

投資有価証券 1,956 2,711 2,962 3,699 4,541 21,814

差入保証金 64,202 60,995 65,144 71,355 87,628 104,491

繰延税金資産 639 780 1,786 2,919 4,042 4,340

その他 5,308 5,972 5,898 7,149 8,951 10,350

貸倒引当金 -107 -107 -128 -123 -6 4,340

資産合計 306,877 328,406 376,544 461,275 550,439 750,700

2002 年度 2003 年度 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度

(負債の部)

流動負債 92,362 102,534 118,860 132,298 165,075 181,496

支払手形及び買掛金 53,545 51,458 57,228 76,184 85,299 90,668

1 年以内償還予定転換社債 921

未払法人税等 7,315 8,787 9,865 17,575 15,983 17,537

賞与引当金 1,662 1,521 1,680 1,791 1,914 2,674

108

役員賞与引当金 117 117

ポイント引当金 7,589 16,728 15,745 13,957 12,619 7,200

その他 22,249 24,039 34,341 36,947 48,221 63,298

固定負債 84,046 76,721 80,165 76,184 85,827 241,779

社債 54,845 50,000 49,357 9,641 3,343 151,277

長期借入金 10,935 11,944 20,177 51,840 65,803 66,619

退職給付引当金 1,759 2,142 2,597 3,377 4,222 5,721

役員退職慰労引当金 1,604 1,826 2,364 2,471

商品保証引当金 2,194 3,225 4,762

連結調整勘定 10,357 5,441

その他 6,149 7,193 6,429 7,304 6,868 10,928

負債合計 176,408 179,256 199,025 208,482 250,902 423,276

(純資産の部)

株主資本 128,033 146,789 175,060 249,854 296,140 322,930

資本金 46,053 46,053 46,375 66,240 68,930 70,595

資本剰余金 45,990 45,990 46,311 66,162 68,849 70,513

利益剰余金 35,997 54,753 82,383 117,539 158,459 204,864

自己株式 -7 -7 -9 -87 -98 -23,043

評価・換算差額等 -58 -51 157 267 191 1,094

その他有価証券評価差額金 -58 -51 157 267 191 1,094

少数株主持分 2,492 2,411 2,299 2,670 3,203 3,398

純資産合計 127,977 146,738 175,219 250,122 299,536 327,423

負債・少数株主持分及び純資産合計 306,877 328,406 376,544 461,275 550,439 750,700

エディオン貸借対照表 単位:百万円

2002 年度 2003 年度 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度

(資産の部)

流動資産 91,598 85,281 87,081 129,104 174,077 190,345

現金及び預金 16,681 14,599 13,495 13,911 28,992 34,621

受取手形及び売掛金 16,490 14,331 14189 20,879 29,280 31,662

有価証券 356 56 50 107 651

たな卸資産 49,045 45,272 47,111 79,658 99,646 101,421

繰延税金資産 2,753 3,713 3,402 4,639 5,222 8,033

109

その他 6,344 7,451 8,947 10,145 10,969 14,168

貸倒引当金 -73 -107 -114 -130 -141 -212

固定資産 138,345 137,051 144,095 190,290 216,465 247,058

有形固定資産 97,568 97,217 94,268 136,999 144,730 163,289

建物及び構築物 40,763 39,432 39,982 68,544 71,508 75,379

器具及び備品 4,568 4,084 3,859 4,343 5,497 6,674

土地 51,961 51,538 49,672 58,478 64,902 78,089

建設仮勘定 258 2,154 739 3,803 1,185 1,006

その他 16 7 15 1,829 1,637 2,138

無形固定資産 97,568 97,217 4,523 8,590 10,139 14,216

連結調整勘定(のれん) 1,241 1,122 1,087 3,896 4,288

その他 3,976 2,608 3,401 7,503 6,242 9,927

投資その他の資産 36,800 35,983 45,303 44,700 61,595 69,552

投資有価証券 5,690 6,052 16,770 4,571 11,648 17,607

繰延税金資産 5,494 5,244 3,459 3,897 7,475 9,116

差入保証金 21,468 20,580 20,526 31,592 35,577 36,461

その他 4,859 4,868 5,121 5,133 7,403 6,892

貸倒引当金 -713 -762 -574 -489 -508 -525

繰延資産 389 281 233 112 7 6

創立費 56 37 18

開業費 333 244 155 66

新株発行費 59 45 7

社債発行費 6

資産合計 230,332 222,614 231,410 319,507 390,550 437,410

2002 年度 2003 年度 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度

(負債の部)

流動負債 100,446 92,438 79,921 120,388 139,515 164,911

支払手形及び買掛金 37,835 34,085 27,829 51,711 55,825 52,492

短期借入金 32,620 32,770 27,000 14,500 29,854 55,760

1 年内返済予定の長期借入金 13,268 4,878 3,730 13,051 14,254 10,483

1 年内償還予定の社債 3,000 3,000 240 740 300

未払法人税等 1,922 1,224 3,025 4,290 7,078 4,255

未払消費税等 1,079 591 479 1,103 1,665 2,473

賞与引当金 2,994 3,320 3,263 4,708 5,120 5,948

110

コマーシャルペーパー 1,000

ポイント引当金 2,624 3,099 3,307 5,721 7,042 9,644

その他 7,102 9,467 8,286 25,061 17,934 23,553

固定負債 36,602 34,686 44,868 69,589 88,858 94,921

社債 6,500 3,500 500 1,040 331 531

長期借入金 14,734 16,256 27,226 48,625 60,956 65,973

繰延税金負債 46 55 48 1,630 1,622

再評価に係る繰延税金負債 2,830 2,702 2,680 2,663 2,669 2,651

退職給付引当金 7,470 7,351 7,721 7,311 9,243 9,100

役員退職慰労引当金 537 536 621 632 978 1,066

連結調整勘定(負ののれん) 342 3,919 3,150

その他 4,187 4,293 6,062 9,268 9,128 10,825

負債合計 137,049 127,124 124,790 189,978 228,374 259,833

(純資産の部)

株主資本 110,715 110,828 122,158 143,809 147,825 152,321

資本金 4,000 4,000 10,174 10,174 10,174 10,174

資本剰余金 60,736 60,736 66,909 83,419 83,420 82,364

利益剰余金 45,990 46,110 45,102 50,262 54,289 59,848

自己株式 -11 -18 -27 -46 -58 -65

評価・換算差額等 -132 -16,190 -16,563 -15,307 -14,900 -16,006

その他有価証券評価差額金 6 769 429 946 383 -760

土地再評価差額金 -138 -16,959 -16,992 -16,253 -15,284 -15,246

少数株主持分 1,024 1,024 1,024 1,024 29,251 41,261

純資産合計 92,259 94,465 105,595 12,504 162,176 177,576

負債・少数株主持分及び純資産合計 230,332 222,614 231,410 319,507 390,550 437,410

コジマ貸借対照表 単位:百万円

2002 年度 2003 年度 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度

(資産の部)

流動資産 113,174 109,089 111,957 115,925 121,006 113,729

現金及び預金 20,185 19,882 26,443 22,764 17,627 16,785

受取手形及び売掛金 11,311 7,460 8,819 10,717 12,815 10,582

有価証券 4

111

たな卸資産 73,973 73,707 68,002 72,320 78,842 75,972

繰延税金資産 866 1,062 1,394 1,363 1,242 1,192

その他 6,851 7,078 7,416 8,849 10,562 9,286

貸倒引当金 -19 -102 -118 -89 -83 -89

固定資産 95,723 98,814 103,203 92,689 90,230 86,163

有形固定資産 67,319 70,987 74,917 61,010 58,875 52,246

建物及び構築物 46,431 49,904 51,551 43,457 41,119 37,762

土地 17,270 18,099 20,549 13,969 15,084 12,214

建設仮勘定 277 8 8 942 258 59

その他 3,393 2,974 2,808 2,640 2,414 2,210

無形固定資産 641 783 834 1,029 957 949

投資その他の資産 27,763 27,043 27,451 30,649 30,396 32,967

投資有価証券 1,944 769 866 1,442 1,346 862

長期差入保証金 21,313 22,212 22,001 22,698 21,948 24,175

繰延税金資産 857 545 1,036 2,349 3,058 3,450

その他 3,694 3,562 3,592 4,206 4,043 4,479

貸倒引当金 -46 -46 -46 -46

資産合計 208,897 207,904 215,160 208,615 211,237 199,892

2002 年度 2003 年度 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度

(負債の部)

流動負債 82,669 84,272 86,380 87,447 86,590 78,425

支払手形及び買掛金 43,138 42,155 43,922 45,133 43,536 31,484

短期借入金 11,000 6,000

1 年以内返済予定の長期借入金 16,235 20,033 27223 27,520 28,077 27,031

1 年以内償還予定の社債 200 200 200 200 100

1 年以内償還予定の転換社債 10,000

未払法人税等 532 809 2,654 1,700 897 133

未払事業所税 221 245 270 244 243 242

未払消費税等 455 677 729 141 168 690

その他 10,885 10,150 11,380 12,507 13,566 12,843

固定負債 61,488 58,827 62,323 59,258 61,520 61,431

社債 700 500 300 100

転換社債 10,000

新株予約権付社債 6,000 6,000 6,000 5,400

112

長期借入金 48,332 56,137 52,897 49,649 51,294 51,358

ポイント引当金 833 1,515 2,378 3,037 2,995

退職給付引当金 37 34 35 33 37 39

役員退職慰労引当金 1,465 202 222 211 227 248

その他 952 1,119 1,352 885 923 1,389

負債合計 144,158 143,099 148,704 146,706 148,111 139,857

(純資産の部)

株主資本 64,860 64,710 66,295 61,784 63,060 60,006

資本金 18,914 18,914 18,916 18,916 18,916 18,916

資本剰余金 20,938 20,938 20,940 20,940 20,940 20,940

利益剰余金 25,008 24,858 26,439 21,928 23,204 20,150

評価・換算差額等 -120 93 161 124 66 28

その他有価証券評価差額金 -120 93 161 124 66 28

純資産合計 64,739 64,804 66,456 61,909 63,126 60,035

負債・少数株主持分及び純資産合計 208,897 207,904 215,160 208,615 211,237 199,892

ケーズホールディングス 単位:

貸借対照表 百万円

2002 年度 2003 年度 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度

(資産の部)

流動資産 34,534 37,713 70,519 75,265 90,764 124,309

現金及び預金 1,648 2,048 8,381 6,109 6,856 7,601

受取手形及び売掛金 7,947 9,380 11,642 14,344 13,479 17,703

たな卸資産 23,875 24,748 46,755 51,882 66,479 90,025

繰延税金資産 460 252 647 497 1,092 1,724

その他 613 1,257 3,103 2,445 2,921 7,270

貸倒引当金 -10 -9 -10 -13 -59 -16

固定資産 34,210 38,030 73,562 80,362 91,099 127,090

有形固定資産 20,437 22,564 36,007 40,285 47,558 73,199

建物及び構築物 10,328 12,733 23,082 25,858 32,053 48,496

土地 8,014 8,201 10,443 10,884 11,469 19,600

建設仮勘定 864 262 268 1,242 1,184 1,901

その他 1,229 1,366 2,211 2,300 2,851 3,200

113

無形固定資産 773 652 4,533 3,658 3,130 2,330

連結調整勘定(のれん) 177 98 3,846 2,986 2,542 1,800

その他 596 553 687 671 587 529

投資その他の資産 12,999 14,813 33,022 36,418 40,410 51,560

投資有価証券 1,778 2,644 3,194 5,007 5,568 5,883

長期貸付金 5,170 5,776 6,163 9,197 9,996 13,036

差入敷金保証金 4,855 5,041 17,756 15,921 17,482 21,015

繰延税金資産 174 162 3,999 4,037 4,509 7,485

その他 1,116 1,196 1,914 2,273 2,864 4,182

貸倒引当金 -95 -7 -7 -17 -11 -41

繰延資産 0 0 4 35 14 4

資産合計 68,745 75,744 144,085 155,663 181,878 251,405

2002 年度 2003 年度 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度

(負債の部)

流動負債 29,661 33,656 57,429 63,267 83,711 127,658

支払手形及び買掛金 18,705 21,713 29,267 32,987 33,109 39,459

短期借入金 7,505 7,015 18,518 18,143 35,447 68,110

未払法人税等 679 1,393 2,253 3,257 4,042 4,210

繰延税金負債 29 21 1 1 1

賞与引当金 694 719 1,043 1,221 1,497 2,439

ポイント引当金 388

1 年以内償還予定社債 170 425 320

その他 2,046 2,793 6,345 7,486 9,188 12,729

固定負債 10,223 10,412 37,085 29,091 27,280 33,840

社債 800 550 230

長期借入金 8,943 8,866 29,206 21,441 19,109 19,449

退職給付引当金 746 651 455 139 169 2,291

役員退職慰労引当金 126 124 282 417 506 981

商品保証引当金 1,951 2,610

連結調整勘定(負ののれん) 3,948 2,987 1,994 3,865

その他 406 770 3,192 3,305 2,999 4,413

負債合計 39,884 44,069 94,514 92,359 110,992 161,498

(純資産の部)

株主資本 28,920 31,289 49,304 62,454 70,479 89,650

114

資本金 8,270 8,270 8,759 12,255 12,539 12,807

資本剰余金 8,143 8,143 21,924 26,810 28,324 44,677

利益剰余金 12,509 15,242 19,016 24,217 30,712 38,090

自己株式 -2 -366 -395 -828 -1,096 -5,925

評価・換算差額等 -74 361 224 803 -115

その他有価証券評価差額金 -74 361 224 803 352 -115

新株予約権 218

少数株主持分 13 23 41 45 53 153

純資産合計 28,847 31,651 49,529 63,258 70,886 89,906

負債・少数株主持分及び純資産合計 68,745 75,744 144,085 155,663 181,878 251,405

損益計算書

ヤマダ電機損益計算書 単位:百万円

2002 年度 2003 年度 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度

売上高 793,829 939,137 1,102,390 1,283,961 1,443,661 1,767,818

売上原価 647,277 728,035 870,676 999,185 1,110,329 1,377,312

売上総利益 146,551 211,101 231,713 284,776 333,332 39,055

販売費及び一般管理費 143,836 197,734 202,555 235,403 277,781 325,080

広告宣伝費 18,279 17,876 20,379 22,825 27,526 29,468

役員退職慰労引当金繰入額 107 266 593 142

給与手当 31,766 36,159 45,107 52,938 57,348 66,375

賞与引当金繰入額 1,317 1,521 1,680 1,791 1,914 2,674

退職給付費用 507 590 695 1,072 1,166 1,273

賃借料 21,844 23,576 26,296 28,753 31,809 39,014

減価償却費 6,458 6,751 7,311 8,437 10,665 12,777

ポイント販促費 23,037 69,830 61,079 75,654 89,933 93,164

ポイント引当金繰入額 5,536 9,139

営業利益 2,751 13,366 29,157 49,372 55,551 65,424

営業外収益

115

受取利息 465 477 501 543 694 977

仕入割引 7,109 8,404 9,977 11,531 13,158 12,522

販促協力金 2,280 1,865 2,523

連結調整勘定償却額 5,173 5,219 5,116

その他 2,141 1,782 1,572 2,116 3,673 5,244

営業外費用

支払利息 411 395 583 691 1,121 1,934

社債発行費 1,115

デリバティブ評価損 105 63 113

その他 69 73 79 152 145 469

経常利益 18,290 30,652 48,186 62,614 71,747 81,652

特別利益

貸倒引当金戻入益 214 41 19 10

差入保証金譲受益 291

固定資産売却益 97 58 654 66

敷金返還益 120 2

補助金収入 117

生命保険解約金 144

その他 32 18 42 8 6 55

特別損失

固定資産処分損 1,922 127 106 281 534 203

貸倒引当金繰入 271

差入保障金解約損 1,920 20 30 212 25 42

固定資産圧縮損 107

和解金 98

減損損失 876 731 84

棚卸資産評価・廃棄損 267

投資有価証券評価損 223 115

過年度役員退職慰労引当金繰入額 1,503

役員退職金 143

デルバティブ評価損 353

その他 258 28 570 140 38 178

税金調整前当期純利益 14,436 30,728 44,885 62,196 70,600 80,880

法人税、住民税及び事業税 11,796 14,797 16,599 26,149 27,671 30,711

116

過年度法人税等 -126 89

法人税調整額 -2,185 -3,410 -823 -1,404 -836 703

少数株主損失又は少数株主利益 767 -173 -290 -424 -472 -201

当期純利益 5,593 19,168 28,819 37,027 43,420 49,174

エディオン損益計算書 単位:百万円

2002 年度 2003 年度 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度

売上高 442,857 434,166 437,992 714,697 740,293 851,205

売上原価 349,181 341,578 342,241 556,932 575,802 656,175

売上総利益 93,675 92,587 95,751 157,765 164,490 195,030

販売費及び一般管理費 87,880 86,762 90,740 149,771 157,544 186,550

広告及び販売促進費 10,383 11,582 11,802 17,362 19,093 20,151

給料手当及び賞与 27,423 30,364 30,741 49,701 51,401 62,615

賞与引当金繰入額 5,976 3,264 3,319 3,671 4,943 5,273

退職給付費用 1,477 2,116 2,060 1,008 1,442 1,549

営業用貸借料 4,552 9,707 9,564 18,401 19,922 22,088

貸倒引当金繰入額 84 39 18 45 110

ポイント引当金繰入額 475 211 5,721 5,543 7,823

役員退職慰労引当金繰入額 81 111 86 86 104

営業利益 5,793 5,825 5,011 8,054 6,954 8,480

営業外収益

受取利息及び配当金 177 229 287 329 415 601

仕入割引 4,320 4,259 5,382 11,115 10,940 11,155

連結調整勘定償却額 168 145

投資有価証券売却益 763 688 132 53 17

持分法による投資利益 16

その他 865 747 923 1,970 1,659 2,905

営業外費用

支払利息 672 540 691 910 1,428

持分法による投資損失 289 391 137 18 176

貸倒引当金繰入額 49 2 19

デリバティブ評価損 195

その他 779 648 449 483 297 325

経常利益 9,465 10,207 11,163 20,389 18,631 21,227

117

特別利益

貸倒引当金戻入益 85 37 1 6

固定資産売却益 164 6 776 42

投資有価証券売却益 258 237 11 84

退職給付引当金取崩益 272

店舗撤退違約金 115

未払賞与戻入益 200

退職給付規程改訂益 745

火災保険金収入 118

厚生年金基金代行返上益 639

その他 62 141 227 150 10 69

特別損失

固定資産売却損 53 360 189 36 97 325

固定資産除去損 867 1,778 1,407 1,564 1,244 2,212

減損損失 2,063 2,853 1,300

のれん減損損失 695

過年度未払給与等 3,363

投資有価証券評価損 960 115 201 305 19 224

投資有価証券売却損 89

賃貸仮契約解約損 688 286 126 151 189

総合型基金脱退損 848

火災損失 180

債権償却損 207

特別退職金 357 180

商品評価損 250

修理保障契約移行負担額 3,375

退職給付会計基準変更時差異償却 1,316

過年度ポイント引当金繰入額 2,657

その他 841 183 634 184 102 587

税金調整前当期純利益 2,720 4,145 8,896 16,075 14,268 13,813

法人税、住民税及び事業税 2,372 2,248 3,793 6,686 10,020 9,020

法人税調整額 -2,168 -1,219 84 1,062 -3,220 -2,224

少数株主損失又は少数株主利益 124 100 100 100 100 262

当期純利益 2,390 3,017 4,918 8,226 7,367 6,754

118

コジマ損益計算書 単位:百万円

2002 年度 2003 年度 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度

売上高 503,458 476,156 490,694 498,040 501,335 500,250

売上原価 423,123 400,405 410,046 414,107 415,995 414,056

売上総利益 80,335 75,751 80,647 83,932 85,340 86,194

販売費及び一般管理費 86,262 83,197 84,487 88,228 90,887 93,922

販売促進費 7,314

広告宣伝費 12,297 9,944 9,962 10,652 10,521 10,217

貸倒引当金繰入額 82 16 6

給与手当 28,080 25,799 25,357 25,896 26,277 27,094

役員退職慰労引当金繰入額 68 29 26 22 20 20

減価償却費 4,646 4,812 4,883 4,630 4,572 3,858

賃借料 13,051 13,515 13,569 13,321 14,044 14,692

営業損失 -5,916 -7,446 -3,839 -4,296 -5,547 -7,728

営業外収益

受取利息 88 101 107 112 121 169

受取配当金 26 6 39 14 8 7

販促協賛金 8,742 11,677 10,612 11,569 11,061 12,239

その他 515 167 193 379 240 258

営業外費用

支払利息 996 1,119 1,151 1,202 1,313 1,524

社債発行費 21 33

その他 260 245 258 259 216 144

経常利益 2,165 3,141 5,670 6,317 4,354 3,277

特別利益

貸倒引当金戻入額 14 27 52

固定資産売却益 886 698

投資有価証券売却益 142 455

投資有価証券清算益 11 13

預り保証金売却益 24 10

会員権売却益

収用保証金 160

特別損失

投資有価証券売却損

119

投資有価証券評価損 137 1,139 9 3 63

固定資産売却損 3 1 63 434 643

固定資産除去損 211 269 856 403 96 118

退店関連損失 110 9 380 141 6

賃貸仮契約予約解約金 30 530

リース契約解約金 105

過年度社会保険料 233

役員退職慰労引当金繰入額 225 16

過年度印紙税 139

減損損失 8,780 857 4,334

解約保険損益修正損 94

過年度不動産関連費用 43

建設協力金譲渡損 67

税金調整前当期純利益 1,182 1,772 4,328 -2,134 3,389 -1,713

法人税、住民税及び事業税 1,048 1,310 2,973 2,722 2,017 1,016

過年度法人税等 229

法人税調整額 -121 -29 -868 -1,257 -545 -318

少数株主損失又は少数株主利益

当期純利益 255 42 2,222 -3,829 1,917 -2,411

ケーズ損益計算書 単位:百万円

2002 年度 2003 年度 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度

売上高 194,936 220,000 343,383 399,791 431,118 567,776

売上原価 171,734 192,435 296,015 340,757 361,071 460,757

売上総利益 23,201 27,564 47,368 59,033 70,046 107,019

販売費及び一般管理費 20,284 324,428 45,522 55,119 63,910 99,902

広告宣伝費 2,437 2,700 6,035 6,928 8,434 11,925

業務委託費 1,573 3,478 4,309 5,953

貸倒引当金繰入額 1 2 38

商品補償引当金繰入額 760 1,402

給料手当 6,546 7,799 13,099 15,537 17,985 28,261

賞与引当金繰入額 694 719 931 1,565 1,798 3,131

退職給付費用 359 340 261 294 339 592

役員退職慰労引当金繰入額 10 12 24 25 35 82

120

消耗品費 531 713 1,420 1,371 1,554 2,542

減価償却費 1,185 1,558 2,380 2,860 3,327 5,766

地代家賃 2,747 3,350 6,622 8,095 8,956 13,225

租税公課 463 483 977 1,177 1,383 2,007

のれん償却額 884 968

連結調整勘定償却額 64 78 481 859

営業利益 2,916 3,136 1,845 3,941 6,136 7,116

営業外収益

受取利息 103 111 96 229 318

仕入割引 2,437 2,654 4,652 5,545 6,190 7,082

連結調整勘定償却額 987 989

負ののれん償却額 993 1,708

持分法による投資利益 8 109 109 88 171 188

その他 291 557 1,174 1,380 1,339 1,909

営業外費用

支払利息 224 224 408 470 506 965

閉鎖店舗関連費用 120 125 278 359 416 602

開店前店舗賃料 57 28 10 94 139 149

持分法による投資損失

その他 72 81 97 44 87 197

経常利益 5,283 6,109 8,070 11,153 13,910 16,409

特別利益

ポイント引当金戻入額 414

退職年金制度終了益 343 150

電源地域事業費補助金 51

固定資産売却益 18 38 47 8 12

賃貸契約解約益 33 10 10

契約解除和解金 85

収用補償収入 378

特別損失

固定資産除去損 13 89 362 363 48 498

事業統合費用 695 306 680

減損損失 285 60 25 457

賃貸契約解約変更損 269

有価証券評価損 260

121

退職年金制度終了損 220

固定資産解体費用 35

固定資産売却損 6 66 421 15 16

訴訟和解金 34 8

過年度商品保障引当金戻入額 1,541

出店中止損 16

退店関連損失 433 53 11

棚卸資産評価変更差額 1,972 170 113

厚生年金基金脱退特別掛金 679

有価証券強制評価損 228

ゴルフ会員権評価損 14

リース解約損 296 30

税金調整前当期純利益 3,445 5,311 5,829 10,308 12,251 14,590

法人税、住民税及び事業税 1,664 2,295 3,063 4,669 5,861 6,903

法人税調整額 -148 -72 -1,431 -115 -763 -1,056

少数株主損失又は少数株主利益 9 10 13 4 10 26

当期純利益 1,920 3,078 4,184 5,749 7,142 8,717

122

参考文献 下野武司・島崎豊彦・島崎規子,『実例で学ぶ経営分析入門』,中央経済社,2006 年 立石泰則,『ヤマダ電機の品格』,講談社,2008 年 山名一郎,『よくわかる家電量販店業界』,日本実業出版社,2005 年 『週刊東洋経済』,2007 年 5 月 12 日号,38~63 頁 『日経ビジネス』,2007 年 8 月 6 日・13 日号,48~61 頁 『日経ビジネス』,2007 年 10 月 1 日号,9 頁 『日経ビジネス』,2007 年 11 月 5 日号,14 頁 『ITmedia News』,アイティメディア,http://www.itmedia.co.jp/news/ 『Wikipedia』,フリー百科事典,http://ja.wikipedia.org/wiki/ 『エディオン』(ホームページ),エディオン,http://www.edion.co.jp/index01.html 『EDINET』,金融庁,http://info.edinet-fsa.go.jp/ 『ケーズデンキ』(ホームページ),ケーズホールディングス,http://www.ksdenki.com/ 『コジマ』(ホームページ),コジマ,http://www.kojima.net/ 『J-marketing.net』,JMR生活総合研究所,http://www.jmrlsi.co.jp/ 『ダイヤモンドオンライン』,ダイアモンド社,http://diamond.jp/ 『日経 BP on yahoo!ニュース』,日経 BP 社,http://event.media.yahoo.co.jp/nikkeibp/ 『日経ネット』,日本経済新聞デジタルメディア,http://www.nikkei.co.jp/ 『NET-IR』,野村インベスターリレーションズ,http://www.net-ir.ne.jp/ 『野村證券』,野村證券,http://www.nomura.co.jp/ 『point On』,ポイントオン,http://www.p-on.co.jp/ 『ヤマダ電機』(ホームページ),ヤマダ電機,http://www.yamada-denki.jp/ エディオンの IR・広報担当者の問い合わせ回答,2008 年 10 月 22 日