テーマ:”水の恵み”...
TRANSCRIPT
建築設計情報特論 第 2課題「BIMを用いた設計」 01” 水の恵み”ME11002 Satoshi Aono
Aug . 03, 2011
テーマ:” 水の恵み”
~水を用いて空間・建築を設計する~
建築設計情報特論 第 2課題「BIMを用いた設計」 02” 水の恵み”ME11002 Satoshi Aono
Aug . 03, 2011
□目的・意義
東日本大震災及び原発等の影響から、今夏は、電力不足になる可能性が考えられる。
そこで、建物に積極的に水を取り入れることによって、物理的に建築を冷却化し、冷房等の消費電力を抑えた建築を設計する。
また、日光との関係性を考えることで、1 年中快適な空間を生み出す。
□利用可能な水
・海 ・川 ・雨 ・地下水
□水の性質
水たまり→蒸発しにくい
影
水たまり→蒸発しやすい
生体摂取 - 生物(細胞)の活動に必須。植物は根などから吸収。動物は直接飲用、または食物より摂取
熱交換 - エンジン・エアコンの水冷式、ラジエーター、冷却水、打ち水
温度の利用 - 入浴・温泉、サウナ、床暖房装置、かき氷、かち割り
浮力の利用 - 船舶、水泳
溶媒としての利用 - 水割り、点滴、洗濯 - 超純水
特異な相転移の利用 - スキー、スケート
位置エネルギーの利用 - 水力発電、水車、波力発電、ししおどし
水蒸気(スチーム)の圧力の利用 - 蒸気機関、火力発電、原子力発電
消火剤 - 消火栓、消防用水
□水の用途 □日本の降水量と利用水量
日本の全降水量
約 6,500 億 t/ 年
洪水流出
約 2,000 億 t 自然流出
約 1,700 億 t 都市用水
約 90 億 t
工業用水
約 250 億 t
農業用水
約 460 億 t
自然蒸発
約 2000 億 t
1 . 水は蒸発しにくく、凍結しにくく、温まると冷めにくく、また良く熱を伝える 2. 気化熱が大きい
気化熱とは、液体が気体になるときに周囲から吸収する熱のこと。
液体が蒸発するためには熱が必要で、その熱は液体が接している
ものから奪って蒸発する。故に、体が濡れていると、表面の水滴が
体温を奪って蒸発するから寒くなる。
→打ち水の有効性
建築設計情報特論 第 2課題「BIMを用いた設計」 03” 水の恵み”ME11002 Satoshi Aono
Aug . 03, 2011
Bentley Architecture V8i
( プラットホーム)
Ecotect Analys is 2011
( 水 - 流体解析)Generat ive Components
( 形態生成)
□用いるツール
Design Bui lder
( 水 - 流体解析)
□BIM における解析手法
※Ecotect や Design Bui lder で水の流れを解析するには? → 流体力学として風解析を応用する
ex) 雨を解析する
→
ex) モデルを 90°回転することで、風の流体力学として解析をかける。
建築設計情報特論 第 2課題「BIMを用いた設計」 04” 水の恵み”ME11002 Satoshi Aono
Aug . 03, 2011
□参考事例
優秀賞(小玉賞)Water ×大阪御堂筋における、次世代ワークプレイスの提案。この案は水の可能性を多角的に追求し、アイデアを新材料の開発に統合している。高強度繊維材が主要構造体となると共に、壁体の中を水が循環し、化学的にも壁表面の汚れを除去します。日射や外気を透過させ、室内環境を制御する装置ともなる。また水は、エレベータの駆動力ともなり、建物を浮かして免震装置ともなる。
竹中環境建築コンペ
優秀賞(川瀬賞)PENETRATION CUBE 自然の多様性を浸透させる知的創造オフィス建物の外皮からは、光や空気、雨、湿分などが浸透。外皮にあるグリーンウォールは食物ユニットというもので構成されていて、温度などの室内環境は、ワーカー個人や各所に合せた多様な環境がむしろ好まれ、グリーンウォールや将来のさまざまな設備システムによって省CO2が図られる。2050年にはCO2排出量を9割削減するという提案。
フランスの「ポンディ・イッシー周辺の再編成プロジェクト」コンペ
最優秀賞/長谷川逸子・建築計画工房
韓国・チャンジュの国連記念センターのコンペ案
ロンドンの建築事務所ACME
環境建築デザインコンペ-2007
MOISTURE SKIN:都市のための EDEN PROJECT/日建設計
第36回 日新工業建築設計競技 - 浜辺の棲処 ビーチ・ライフ・スタイル
BuildLiveTokyo2010
コーヒータイム
建築設計情報特論 第 2課題「BIMを用いた設計」 05” 水の恵み”ME11002 Satoshi Aono
Aug . 03, 2011
□検証
オフィスビルと住宅においてスタディを行うこととする。実際に、Autodesk ecotect,Design Builderを用いて解析を行う。
STEP1 雨水を積極的に取り込むような形態をイメージする。
STEP2 そのイメージでボリュームを生成する(スタディ)
STEP3 解析をかけて、検証し、形態にフィードバックさせていく
建築設計情報特論 第 2課題「BIMを用いた設計」 06” 水の恵み”ME11002 Satoshi Aono
Aug . 03, 2011
STEP1 雨水を積極的に取り込むような形態をイメージする。
STEP2 そのイメージでボリュームを生成する(スタディ)
STEP3 解析をかけて、検証し、形態にフィードバックさせていく
建築設計情報特論 第 2課題「BIMを用いた設計」 07” 水の恵み”ME11002 Satoshi Aono
Aug . 03, 2011
→
office
office
office
office
shop
office
office
office
office
office
shop
office
rain
□オフィスビルでの水の循環イメージ
都市において、雨水を利用することで、従来よりも快適な居住環境をつくることができるのではないか。
夏は涼しく、冬は、日光によって溜めた水を温めることで暖を取る。
groundwater
建築設計情報特論 第 2課題「BIMを用いた設計」 08” 水の恵み”ME11002 Satoshi Aono
Aug . 03, 2011
→
□住宅での水の循環イメージ
比較的降水量の多い四国や近畿地方での積極的な雨水利用を行う住宅を考える。 そうすることで、かつては自然蒸発していた雨水が利用されることとなる。
積極的に雨を引き込み、受け流す
採光の確保(ガラス)
石・砂・土によって濾過を行うさらに細かいフィルターを通す
浄水器を経て蛇口へ
水滴が蒸発をするのに
気化熱を生じ、室内温度が下がる
house
意匠面においては、視覚的にも雨を楽しむものにする。
建築設計情報特論 第 2課題「BIMを用いた設計」 09” 水の恵み”ME11002 Satoshi Aono
Aug . 03, 2011
STEP1 雨水を積極的に取り込むような形態をイメージする。
STEP2 そのイメージでボリュームを生成する(スタディ)
STEP3 解析をかけて、検証し、形態にフィードバックさせていく
建築設計情報特論 第 2課題「BIMを用いた設計」 10” 水の恵み”ME11002 Satoshi Aono
Aug . 03, 2011
□モデルケース2:住宅□モデルケース1:オフィスビル
建築設計情報特論 第 2課題「BIMを用いた設計」 11” 水の恵み”ME11002 Satoshi Aono
Aug . 03, 2011
STEP1 雨水を積極的に取り込むような形態をイメージする。
STEP2 そのイメージでボリュームを生成する(スタディ)
STEP3 解析をかけて、検証し、形態にフィードバックさせていく
建築設計情報特論 第 2課題「BIMを用いた設計」 12” 水の恵み”ME11002 Satoshi Aono
Aug . 03, 2011
水滴には、鉛直下向きに重力、上向きに空気の粘性による抵抗力がはたらく。
速度に比例する抵抗力がはたらく場合 水滴が小さいとき、抵抗力の大きさは水滴の速度に比例する。鉛直下向きにx軸をとり、落下している間の質量変化を無視するとNewtonの運動方程式は、
v=dx/dtを用いて式を整理すると、
これを初期条件t=0でv=0のもとで解くと、
充分時間が経つと、重力と抵抗力がつり合って、
となる。これを水滴の終端速度と呼ぶ。
空気の分子粘性係数をμ、水滴の半径をrとするとStokesの抵抗法則より、
k=6πμr
また、 ρ=103 kg/m-3,g=9.8 m/s2,μ=1.8×10-5 N・sec/m2(15 ℃)より、
よって、終端速度は水滴の半径の2乗に比例する。この議論が適用できる範囲は、Re<1、すなわちr<0.1mmの範囲である。
速度の2乗に比例する抵抗力がはたらく場合 次に、水滴が大きいときを考える。このとき、抵抗力の大きさは水滴の速度の2乗に比例するから、 Newtonの運動方程式は、
v=dx/dtを用いて式を整理すると、
これを初期条件t=0でv=0のもとで解くと、
終端速度は、
空気の分子粘性係数をμ、動粘性係数をν、水滴の半径をrとすると、
k=0.235μπr2/ν
ν=0.15×10-4 m2/sec(15℃)より、
よって、終端速度は水滴の半径の平方根に比例する。この議論が適用できる範囲は、5×102<Re<2×105、すなわち0.7mm<r<30mmの範囲である。
--------------------------------------------------------------------------------
以上の考察より、いくつかの値を計算してみると、次のような結果が得られる。
半径(mm) 落下速度(cm/sec) 雲粒 0.001 0.012 霧雨粒 0.01 1.2 霧と雨の境 0.1 120 雨粒 0.8 608 〃 1.0 680 〃 2.0 962
□解析するあたって、風速を雨滴の落下速度として捉える。
建築設計情報特論 第 2課題「BIMを用いた設計」 13” 水の恵み”ME11002 Satoshi Aono
Aug . 03, 2011
□モデルケース1:オフィスビル
DesignBui lderを用いて、ボリューム生成を試みた。
風を雨とみなし解析するため、ボリュームを90 °回転させてボリュームを生成していく。 → →ボリュームが生成された。
開口部を調整。上下の壁にも開口を設けたかったが、床・天井とみなしているためか上手くできなかった。
→内部空間の解析は出来たが、雨が降ってくる部分の外部の解析が出来なかった。そのため、今回は、雨が落ちる外部空間をecotectを用いて解析することとした。Design bui lderの方は、追って、解析の仕方を見直すようにしたい。
建築設計情報特論 第 2課題「BIMを用いた設計」 14” 水の恵み”ME11002 Satoshi Aono
Aug . 03, 2011
□モデルケース1:オフィスビル
外部空間の解析を行うため、AutodeskEcotectによる解析を行った。都市における平均的な雨粒を想定し、先ほどの計算結果より雨粒の半径を1.0mmと仮定すると、落下速度は、0.68m/sとなる。
右の解析結果より、上空部分のボリュームの周辺が風量(雨量)が強まることが分かった。
建築設計情報特論 第 2課題「BIMを用いた設計」 15” 水の恵み”ME11002 Satoshi Aono
Aug . 03, 2011
□モデルケース2:住宅
曲面形状のためDesignBui lderではなく、Autodesk Ecotectによる解析を行った。降水量が一番多い高知県を想定し、先ほどの計算結果より雨粒の半径を2.0mmと仮定すると、落下速度は、0.96m/sとなる。
右の解析結果より、下に雨が落ちるにつれ、雨量が強まっていくことが分った。これにより、雨水を効率良く収集することが可能だと考えられる。
建築設計情報特論 第 2課題「BIMを用いた設計」 16” 水の恵み”ME11002 Satoshi Aono
Aug . 03, 2011
□今後に向けて
最適解が、曖昧なまま進めてしまったので、その定義を的確にした上で、形態へのフィードバックが出来ていないので、その検討をしていく。
また、DesignBui lderの基本操作は理解出来たが、解析の設定について分からないことが多いので、さらに理解を深める。
GCやGrasshopperを用いた形態操作も行えるように、それらのツールへの習得もしていきたい。