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1 新規近赤外蛍光化合物を用いた 腎排泄系の生体可視化イメージング技術 三重大学大学院生物資源学研究科 生物圏生命科学専攻 教授 寺西 克倫

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Page 1: 新規近赤外蛍光化合物を用いた 腎排泄系の生体可視化 ... - JST...3 新技術の特徴・従来技術との比較 ・尿管の可視化イメージングにおける従来技術の蛍光

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新規近赤外蛍光化合物を用いた 腎排泄系の生体可視化イメージング技術

三重大学大学院生物資源学研究科 生物圏生命科学専攻

教授 寺西 克倫

Page 2: 新規近赤外蛍光化合物を用いた 腎排泄系の生体可視化 ... - JST...3 新技術の特徴・従来技術との比較 ・尿管の可視化イメージングにおける従来技術の蛍光

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従来技術とその問題点 背景 腹腔鏡下での腹部手術において、尿管(直径:3mm以下、長さ:約30cm)の同定が困難であり、尿管を切断したり押しつぶすなどの損傷するリスクがある。

・子宮摘出手術:10%の損傷頻度(米国) ・結腸直腸手術:0.2-4.5%の損傷頻度(米国)

現在の尿管損傷の回避方法 ・[尿道⇒膀胱⇒尿管]ルートの照明付きカテーテルあるいはステントを挿入する侵襲的方法

・合併症の発生:肉眼的血尿、逆流性無尿、尿路感染 ・手術中の尿管の損傷を、即時には認識できない ・麻酔時間の延長

・蛍光化合物の静脈投与による尿管の可視化イメージングが米国で研究されているが、尿管を選択的に光らせる蛍光剤は報告されてない。

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新技術の特徴・従来技術との比較 ・尿管の可視化イメージングにおける従来技術の蛍光法の問題点である尿管選択性を改良することに成功した。

・開発化合物の静脈投与により、速やかに尿管を鮮明に光らせ、尿管を可視化イメージングすることを可能にした。

・ラットを用いた単回静脈投与による安全性試験では、尿管の可視化イメージング用の投与量の100倍の投与においても問題は見出されなかった。

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開発した近赤外蛍光化合物 によるラット尿管の近赤外蛍光可視化イメージング

蛍光化合物投与後、3分

肝臓

明視野像

腎臓 膀胱

近赤外蛍光画像

投与量: 2.5x10-8 mol/kg (0.075 mg/kg) ウイスターラット尾静脈ヘの投与

尿管

新技術の特徴-1

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近赤外蛍光観察用軟性鏡を用いた尿管の可視化イメージング

1mm

軟性鏡 (φ 2.8mm) ラット腹腔内への軟性鏡の挿入

軟性鏡による明視野画像 近赤外蛍光画像

尿管 (φ< 0.5mm)

新技術の特徴-2

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尿管切断 正常尿管

新技術の特徴-3 正常な尿管と損傷を施した尿管の近赤外蛍光画像

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7 投与0.75 mg/kg 投与7.5 mg/kg 0 mg/kg

ラットへの 単回静脈内投与における毒性試験 dose

(mg/kg) Sex General condition Weight Dissection

analysis Histopathology of

kidney

0.075 for ureter imaging

Male ± ± ± ± Female ± ± ± ±

0.75 Male ± ± ± ±

Female ± ± ± ±

7.5 Male ± ± ± ±

Female ± ± ± ±

投与14日後のラット腎臓の組織検査 ±:normal

新技術の特徴-4

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実用化に向けた課題

• 現在、ラット、サルを用いた尿管可視化イメージング試験を終了している。今後、ブタ、イヌ等の大型実験動物での試験が必要である。

• 実用化に向けて、前臨床試験を実施する必要がある。

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企業への期待

• 尿管の可視化イメージングに関する診断薬の技術に興味を持つ企業との共同研究を希望

• 腎臓障害の可視化イメージングあるいは診断に興味を持つ企業と共同研究を希望

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本技術に関する知的財産権 ・発明の名称:新規インドシアニン化合物、その合

成法およびその精製法、そのインドシアニン化合物を用いた診断用組成物、その診断用組生物を使用する生体内動態測定装置、並びに循環可視化装置

・出願番号 : PCT/JP2011/000489 ・出願人 :三重大学・名古屋大学 ・発明者 :寺西克倫・平田仁・新井哲也

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産学連携の経歴

・2010年 JST特許出願支援制度に採択 ・2011年 JST知財活用促進ハイウェイ事業に採択 ・2012年 腫瘍組織の可視化イメージングに関し企業と

共同研究実施 ・2012年 JST A-STEP事業に採択

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お問い合わせ先

国立大学法人三重大学

社会連携研究センター 知的財産統括室

TEL: 059-231-5495

FAX: 059-231-9743

E-mail: [email protected]