講演記録集 婦人科がん 6p 29校 - asahi kasei...初診時 stage Ⅲ・Ⅳ期卵巣がん...
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この内容は第55 回日本癌治療学会学術集会学術セミナー7の講演内容に基づき作成しました。
がん治療への緩和ケア ー 早期から終末期におけるCART(腹水濾過濃縮再静注法)を考えるー
婦人科がんにおけるCARTの役割
悪性腹水の原因となるがんの原発部位と発生頻度 卵巣がんと腹水
・ 卵巣がんは、診断時の腹水貯留割合が高く、腹水貯留例では予後 が悪い可能性の高い疾患です。・ しかしながら、がん性腹水を伴った症例の中では、卵巣がんの初回治療 の奏効率は高く、他のがんよりも予後がよいことが報告されています。・ 婦人科がんの特徴は、初期から終末期まで腹水管理が必要な場合 が多いことです。
腹水の原因となるがんの原発部位は、消化器系(胃がん、結腸直腸がん)以外では婦人科系が多く、なかでも卵巣がんが最も多いことが示されています。
卵巣がん治療ガイドライン2015年版C Q 3 0に腹水貯留への対応として、CARTは利尿薬の投与、腹水ドレナージ、腹腔静脈シャントと並んで記載されています。
卵巣がん 治療ガイドライン 2015年版
初診時 Stage Ⅲ・Ⅳ期卵巣がん患者の腹水貯留の割合
全生存期間の違い:GOG-0218 試験より
0 10 20 30 40 50 60
腹水あり群*(n=886)
腹水あり73.1%
腹水なし23.0%
特定できない 3.9%
腹水なし群(n=221)
期間(月)
P<0.001†
41.3ヶ月
52.7ヶ月
東北大学医学部婦人科
新倉 仁 先生
演 者
腸閉塞オクトレオチドの投与は,嘔気・嘔吐に対して強く奨められる(グレードA)。姑息的手術により物理的な閉塞を解除することは,嘔気・嘔吐の改善のために奨められる(グレードB)。コルチコステロイドの投与は,嘔気・嘔吐の緩和のために考慮される(グレードC1)。腹水貯留生命予後が1~2ヵ月以内と予想される終末期がん患者において,腹水による苦痛がある場合には,輸液量を1,000mL/日以下にする(グレードC1)。腹水による苦痛の緩和目的に,病態を考慮した上で利尿藥の投与,腹水ドレナージ,腹腔静脈シャント,腹水濾過濃縮再静注法(cell-free and concentrated ascites reinfusion therapy;CART)が考慮される(グレードC1)。
CQ30 腸閉塞、腹水貯留にどのように対応するか?推奨
12
3
1
2
*:診断時に50mL超の腹水貯留が認められた患者†:他の4つの予後不良因子(CA-125、PS、組織型、 残存病変)に補正をかけて示された補正ハザード比 には、Cox比例ハザードモデルを用いた。
Omura GA ,et al. : J Clin Oncol 9 : 1138-1150,1991.より Ferriss JS, et al. : Gynecol Oncol 139: 17-22, 2015. より
背景:2003年1月~2004年12月にNottingham City Hospital(UK)で診療を行ったがん性腹水患者209例
Pattern and prognostic factors in patients with malignant ascites: a retrospective study. Annals of Oncology 18; 945-949. 2007より
本日は婦人科がんにおける腹水コントロールの大事さ、および日本発のCART(腹水濾過濃縮再静注法)という自己の腹水中アルブミン等の有用成分を戻し、QOL改善に寄与する非常に有益性の高いシステムをどう治療に取り込んでいくかについて、ご講演いただきます。
小林 裕明 先生(鹿児島大学医学部 産科婦人科)からメッセージ司 会
婦人科がんの特徴は、早期から終末期まで腹水の管理が必要な場合が多いことです。今回、悪性腹水に対する管理とCARTの役割について当院におけるCARTの実際と成績よりご報告します。
はじめに
7例子宮がん膀胱がん
原因不明がん軟部組織肉腫前立腺がん
原発性腹膜がん膵臓がん卵巣がん食道がん
悪性中皮腫悪性リンパ腫
肺がん腎がん胃がん
胆のうがん結腸直腸がん
乳がん
2例17例
2例1例
6例11例
52例11例
4例1例2例1例
4例28例
27例33例
0 10 20 30 40 50 60例数
がん原発部位
がんと診断された時からの緩和ケア
2012年10月から2014年8月までに支持緩和療法としてCARTを施行した帰人科がんによるがん性腹水患者20症例を対象としました。20症例に施行した腹水穿刺はのべ71回、うち穿刺排液単独36回、CART35回(両群いずれも平均1.8回)が行われました。穿刺排液単独群とCART群の2群に分けて後方視的に比較検討を行いました。
当科におけるCARTの件数です。2014年頃までは終末期を中心に行っていましたが、2015年頃からはNAC前または手術前の治療導入期にも行う機会が増えてきました。
当科における年次別CART件数
患者背景とCART施行状況
血清アルブミン濃度の変化
約5~10倍に濃縮し、回収した蛋白量は約80 g、アルブミン量は約50gでアルブミン製剤約4本分に相当する量でした。
各症例の穿刺内容
1回の穿刺前後の血清アルブミン濃度はCART群で施行前2.4g/dL、施行後2.6g/dLと、有意に上昇が認められました(P=0.0079)。施行前と次回施行前血清アルブミン濃度は、穿刺排液単独群で2.8g/dLから2.6g/dLで有意に低下していた(P=0.0197)のに対し、CART群は2.4g/dLから2.4g/dLと維持が認められました。両群間の血清アルブミン濃度の差の平均には有意差は認められませんでした(P=0.2243)。
年齢
主病名
組織分類
腹水除去回数
CART施行状況採取腹水量(g)蛋白濃度(g/dL)蛋白量(g)回収率(%)アルブミン濃度(g/dL)アルブミン量(g)回収率(%)
採取腹水3,440 (1,145-6,980)
3.6 (2.4-4.6)ーー
1.9 (1.2-2.8)ーー
濾過濃縮後腹水760 (210-1,450)11.2 (7.0-14.8)
82.4 (25.2-146.4)76.0 (47.8-93.0)
6.6 (4.0-8.2)49.0 (14.0-90.0)81.3 (35.6-99.6)
項目
卵巣がん子宮体がん・がん肉腫子宮頸がん腹膜がん漿液性がん類内膜がんその他腹水穿刺回数 ・穿刺排液単独回数 ・CART回数
58.5歳
3.6回1.8回1.8回
125211145
range,%(42-79)
(1-8)(1-5)(1-5)
number
71回36回35回
3.5(g/dL)
(前) (後) (前) (後)
3
2.5
2
穿刺排液単独群n=13
CART群n=14
P=0.3587 P=0.0079
1回の穿刺前後
3.5(g/dL)
(前) (後) (前) (後)
3
2.5
2
穿刺排液単独群n=17
CART群n=10
P=0.0197 P=0.9587
施行前と次回施行前
当科におけるCARTの実際
終末期におけるCART 穿刺排液単独群との比較(n=20)
NAC:Neoadjuvant chemotherapy術前化学療法のこと
0
5
10
15
20
25
30
35(回)
2013 2014 2015 2016 2017(年)
■ 終末期■ 治療導入期
17
1
21
4
24
11
20
7
12
7
2.5 2.62.8
2.62.4 2.42.4 2.4
土岐 麻美, 新倉 仁, et al. 婦人科癌性腹水における腹水濾過濃縮再静注法と腹水穿刺排液法の比較.日本婦人科腫瘍学会雑誌 2015 ; 33 (3)より
穿刺回が後半になるにつれ CART の割合が多く、穿刺排液単独群に比べ CART 群の全身状態が不良であった可能性が示唆されます。
アルブミン製剤約4本分
症例1234567891011121314151617181920
CART割合
1回目P(14)P(12)P(25)
C(不明)P(35)P(12)C(20)P(4)P(8)
C(28)C(19)P(14)C(19)P(77)P(10)C(17)P(4)
C(14)P(11)P(54)7/20
2回目P(28)P(32)P(1)
P(16)C(83)C(35)P(3)
C(28)P(44)P(16)
C(不明)C(51)P(15)C(14)
C(55)C(11)C(13)P(14)9/18
3回目C(21)P(12)P(1)
C(21)
C(26)C(11)P(13)
P(37)C(12)C(19)
C(30)
P(16)C(6)8/13
4回目
P(12)C(12)
C(13)
P(5)P(22)
P(2)C(9)
P(35)3/8
5回目
P(28)C(24)
C(5)
C(18)P(8)
P(5)C(14)
4/7
6回目
C(24)
C(26)
C(41)
3/3
7回目
P(18)
0/1
8回目
C(27)
1/1 C ; CART P ; 穿刺排液単独 注 ;( )内の数字は次回腹水穿刺もしくは死亡までの日数
mean
(60)(25)(10)(5)(55)(20)(25)
20例
グラフ中の数値は平均値を示す
PS変化と次回穿刺までの期間
患者背景とCART施行状況 血清アルブミン値の変化(1回の穿刺前後)
PS変化
年齢は平均63歳、卵巣がんが約80%で最も多く、穿刺排液単独20回(平均0.9回)、CART30回(平均1.3回)行われました。
PSについて両群ともに悪化した症例はなく、穿刺排液単独群で23回中5回(21.7%)、CART群で35回中12回(34.3%)の改善が認められました。
次回穿刺までの期間は、穿刺排液単独群が18.9日(1~77日)、CART群が21.3日(6~55日)でした。両群間に有意差は認められませんでした。
血清アルブミン濃度を穿刺排液単独群とCART群を比較した結果、穿刺排液単独群では2.7g/dLから2.3g/dLと低下し、CART群では2.1g/dLから2.4g/dLと上昇がみられました。両群間の血清アルブミン濃度の差の平均に有意差が認められました。(P<0.0001)
PSは穿刺排液単独群で12回中5回 (41.7%)、CART群で25回中19回(76.0%)の改善が認められました。
今回CARTを施行した卵巣がんⅢ・Ⅳ期の18例について、当院の成績(2001年-2010年)と比較してみました。CARTを施行した18例中7例が原病死、初回治療中死亡が1例、無病生存が6例、担がん合併生存が4例で、CARTは治療を妨げることなく安全に施行できる可能性があります。CARTは全身状態が悪い進行卵巣がん患者に対して症状緩和、状態の改善を行い手術前や化学療法を行うための導入、または初回化学療法前に施行されることを検討してもいいのではと考えます。
CART 施行後の予後
年齢
主病名
組織型
腹水除去回数
卵巣がん ⅠC3 ⅢB ⅢC ⅣB子宮体がん ⅣB腹膜がん ⅢC 漿液性がん粘液性がん混合型上皮性がん類内膜がん 漿液粘液性がん穿刺排液単独回数CART回数手術(試験開腹含む)合計
mean63歳
0.9回1.3回
2.2回
range(39-78)
(0-4)(1-4)
(1-6)
number
1111631172211
20回30回3回53回
23例
項目
1.5
2.0
2.5
3.5
2.7
2.32.1
2.4
3.0
(g/dL)
後前後前穿刺排液単独群
n=6CART群
n=12
P=0.0029 P=0.0004
治療導入期におけるCART 穿刺排液単独群との比較(n=23)
0
20
40
60
80
100(%)
前
CART群(n=35)後 前
穿刺排液単独群(n=23)後
■ 4■ 3■ 2■ 1
3
18
13
1
2
12
16
5
3
7
11
2
3
5
10
5
0
20
40
60
80
100(%)
後前後前
■ 4■ 3■ 2■ 1
CART群n=25
穿刺排液単独群n=12
10
15
0
10
14
1
4
8
0
1
9
2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
生存率
0 500 1,000 1,500
CART・卵巣がんⅢ期・Ⅳ期
当院のⅢ・Ⅳ期(2001年-2010年)
2,000生存期間(日)
2,500 3,000 3,500 4,000
グラフ中の数値は平均値を示す
パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)
0
1
2
3
4
まったく問題なく活動できる。発症前と同じ日常生活が制限なく行える。
歩行可能で、自分の身のまわりのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす。限られた自分の身のまわりのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
まったく動けない。自分の身のまわりのことはまったくできない。完全にベッドか椅子で過ごす。
肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。例:軽い家事、事務作業
出展:ECOG PS Eastern Cooperative Oncology Group Performance Status
がんと診断された時からの緩和ケア
CART施行により体重、腹囲、PS、食事摂取量、24時間尿量において有意な改善が認められました。また、再静注終了1日後の血清総蛋白濃度、アルブミン濃度に有意な上昇が認められました。
CART による副作用発現率(症例数ベース)は22.6%(33例/146例)で、主な副作用は発熱 20.5%(30例)、悪寒 5.5%(8例)でした。いずれも非重篤で転帰は全て軽快または回復でした。
CARTの安全性
目的と概要
CARTの有効性濾過濃縮後腹水(胸水)中のアルブミン量は婦人系で高く、再静注した(体に戻した)アルブミン量はアルブミン製剤に換算すると約4本分に相当しました。(アルブミン 25%50mL(アルブミン量 12.5g))
0
10
20
30
40
50
60
70
80
婦人科系消化器系肝臓系全体
アルブミン量(
g)
■ 採取時■ 濾過濃縮後
アルブミン製剤換算で約4本分回収
CART前後の臨床症状と血清総蛋白・アルブミン値の変化
臨床症状
体重(n=209) [ g ]
腹囲(n=171) [ cm ]
PS(n=317)
食事摂取量(n=296)[ % ]
24時間尿量(n=98)[ mL ]
血液検査
総蛋白濃度(n=227)[ g/dL ]
アルブミン濃度(n=249)[ g/dL ]
CART前
56.0±15.1
89.4±12.6
2.2±1.0
48.0±31.5
815±491
5.9±0.9
2.5±0.5
CART後
52.4±14.6
81.7±13.3
2.0±1.1
55.6±32.5
1,151±666
6.6±1.2
2.9±0.9
P値
<0.001<0.001<0.001<0.001<0.001
<0.001<0.001
本製品における副作用(濾過濃縮後腹水(胸水)の再静注に伴う事象)
腹水濾過濃縮再静注法(CART)の安全性と有効性製造販売業者自主的な市販後調査Hanafusa N, et al. Safety and efficacy of cell-free and concentrated ascites reinfusion therapy (CART) in refractory ascites : Post-marketing surveillance results. PLOS ONE May 16, 2017より
目的 : 実態下における腹水ろ過器AHF-MOおよび腹水濃縮器AHF-UPを使用したCARTの施行状況、安全性及び 有効性に関する情報、その他適正使用情報を把握する。
対象 : 難治性の腹水症(又は胸水症)のためCARTを施行した患者調査施設数/調査症例数/施行回数 : 22施設 / 147例 / 356回調査実施期間 : 2014年1月~2015年1月
濾過濃縮後腹水(胸水)中のアルブミン量
分類 副作用の種類 発現率%(症例数) 処置件数/発現件数 処置の内容
胃腸障害
血管障害
神経障害
一般・全身障害および
投与部位の状態
発熱
悪寒
悪寒を伴う戦りつ
嘔気
血圧上昇
頭痛
20.5 (30)
5.5 ( 8)
0.7 ( 1)0.7 ( 1)0.7 ( 1)0.7 ( 1)
21 / 44
4 / 8
1 / 11 / 11 / 11 / 1
14件 : NSAIDs投与4件 : ステロイド剤投与1件 : ステロイド剤+NSAIDs投与
1件 : ステロイド剤+NSAIDs投与1件 : ステロイド剤投与1件 : 点滴減速1件 : 再静注中止ステロイド剤投与
制吐薬投与
再静注中止
NSAIDs投与
1件 : 点滴減速1件 : 再静注中止
項目
診療報酬算定方法に伴う実施上の留意事項についてK635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法一連の治療過程中、 第1回目の実施日に、1回に限り算定する。なお、一連の治療期間は2週間を目安とし、 治療上の必要があって初回実施後 2週間を経過して実施した場合は改めて所定の点数を算定する。 (平成30年3月5日 保医発0305第1号)
包括評価制度(DPC)における診療報酬算定「K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注」は、手術の部で算定されます。手術の部で算定する特定保険医療材料及び手術料は出来高による算定が可能ですのでCARTにかかる材料価格、手術料は、出来高算定が可能です。
腹水濾過濃縮再静注法 CART(Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy)
CART 保険適用 ■ 手術料 平成30年3月5日 厚生労働省告示第43号
区分、名称
K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法
手術料
4,990点
■ 特定保険医療材料価格 平成30年3月5日 厚生労働省告示第47号
区分、名称
054 腹水濾過器、濃縮再静注用濃縮器(回路を含む)
材料価格
64,100円
CARTとは、まず、腹水を採取して腹水濾過器で腹水中の細菌・癌細胞・血球成分などを除去し、次に、腹水濃縮器で除水して、アルブミンや免疫グロブリンなどの有用な物質を濃縮した自己腹水を再静注する治療法です。
… 赤血球… 白血球
東京都千代田区神田神保町1-105 神保町三井ビルディング 〒101-8101TEL.03-3296-3723http://www.asahikasei-medical.co.jp No.2018.4-2184
卵巣がん患者の臨床経過とCARTの位置づけ① 術前CART: 術前に全身状態を改善させ、安全に周術期管理をするため施行します。 自己のアルブミンを戻すことによって術前投与予定のアルブミン製剤の節約が可能です。 血清アルブミン値維持により、循環不全予防の可能性があります。② NAC前CART : 化学療法前に全身状態を改善するため施行します。③ 再発後化学療法前CART 化学療法の開始、継続またはレジメンの変更が可能になります。④ 悪性腹水の管理:終末期に悪性腹水管理のため施行します。QOLを改善します。
まとめ婦人科がんにおけるCARTの役割卵巣がんは比較的早期から腹水が貯留するため、がん治療戦略のひとつにCARTを組み込むことが可能です。・初回手術、化学療法前の症状緩和や全身状態改善(PS改善等)のためにCARTを行います。・終末期の悪性腹水管理として、QOL改善のためにCARTを行います。
今後の課題腹水中のサイトカインと予後の関連は以下の報告があります。 ・ 卵巣がんの腹水中にはIL-6,IL-8,IL-10等のサイトカインが含まれています。IL-10やレプチンとの予後関連、 初回手術時腹水中TNF-α(腫瘍壊死因子)やIL-6の発現と予後の関連等の報告があります。 ・ 腹水中のVEGF(血管内皮細胞増殖因子)やHGF(肝細胞増殖因子)は、卵巣がん転移や予後に関連するという報告 もあります。腹水中のマイクロRNAを含むエクソソーム(細胞外小胞)が免疫と関連するという報告もあります。
終末期の悪性腹水管理のためのCARTは患者へのリスクとベネフィットを考えるとベネフィットの方が大きいと考えています。今後早期に行うCARTの影響について症例の蓄積や臨床研究で検討することが必要と考えます。
包括的がん医療モデル がんに対する治療と並行して緩和ケアを行い、状況に合わせて割合を変えていきます。
臨床経過と検討すべきCARTの役割
抗がん治療
死亡診断緩和ケア
tum
or vo
lume
time
分子標的薬?±Bev
TC±Bev
再発初診
③ 再発後、化学療法前CART 全身状態の改善 ・化学療法開始(2nd line) ・レジメン変更
① 術前CART 安全な周術期管理 ・アルブミン製剤の節約 ・血清アルブミン維持に よる循環不全予防② NAC前CART 全身状態の改善 ・化学療法開始
竹田 省、他.がんの臨床 第60巻 第1号 改変
CARTCART
④ 悪性腹水の管理のためのCART QOL改善
TC:パクリタキセル+カルボプラチン Bev:ベバシズマブ
初回治療初診~診断~手術+化学療法まで
維持療法 再発治療 終末期
ギアチェンジ 死亡退院