株式調査部 bnp...

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2016 10 6 株式調査部 BNP パリバ株式調査部 クーリング オブ シングス 「冷やす」銘柄をアツく推奨:CoT8 銘柄 〜エアコンからアイスまで〜 BNP パリバ証券株式調査部は、ホシザキ、ダイキン、新晃工業、ダイフク、パナソニ ック、日本電産、森永製菓、セブン&アイ・ホールディングスの 8 銘柄に強気であ る。これらの銘柄には「冷やすのが得意」という隠れた共通点がある。ダイキンの空 調が効いたセブンイレブンで、パナソニックのショーケースで冷やされた、森永製菓 の「チョコモナカジャンボ」を買う。これが、日本だけでなくアジアでの一般的な日 常になる日が着々と近づいている。我々は、同 8 銘柄を、IoTInternet of Things)なら CoTCooling of Things8 銘柄”と呼び、アツく推奨したい。 地殻変動の要因は、“代替フロン規制”、“低温物流”、そして“アジア” 現在の東南アジアのエアコン需要は強い。更に、“代替フロン規制”によりダイキンや パナソニックにとってのチャンスは広がっている。熱帯雨林気候の東南アジアでは、 所得水準の上昇により“低温食品”の需要が高まり、“低温物流”の事業機会は拡大し よう。 CoT8 銘柄”は、これらの地殻変動、メガトレンドに乗り、末永く利益拡大が 続こう。 BNP パリバの“CoT8 銘柄”のパフォーマンスは良好 CoT8 銘柄”で構成したポートフォリオの過去のパフォーマンスは良好であった。リ ーマンショック後の 2009 年以降、毎年の年初から 2016 8 31 日までと、直近 1 間のパフォーマンスを見ると、全てのケースで TOPIX と日経 225 をアウトパフォーム していた。銘柄別には、ホシザキと森永製菓のパフォーマンスが特に良かった。一方 で、パナソニックのパフォーマンスは良好とは言えず、今後の経営陣の奮起に期待し たい。 バスケットポートフォリオ的な銘柄抽出は? 我々は、検索エンジン Google を使って、「代替フロン」、「低温物流」の 2 つのキーワー ドで検索された会社に関する記事を読み込んだ上で、そこに登場した銘柄を使って テーマポートフォリオ”を作成しパフォーマンス分析を行った。結果は、殆どのケ ースで Topix MSCI の指数をアウトパフォームしていた。更に、記事検索で登場回数 3 回以上の(より関連度が高いであろう)銘柄で構成したバスケットポートフォリ オのパフォーマンスは、全てのケースで指数に対してアウトパフォームするという好 結果であった(但し、我々は、同分析に基づくポートフォリオの銘柄を推奨する訳で はなく、あくまでも銘柄を抽出する方法の一つとしてキーワード検索を紹介している ことに留意されたい)。 弊社の英語版調査レポートは、Thomson OneBloombergTheMarkets.comFactSethttp://eqresearch.bnpparibas.com/index でご覧いただけます。閲覧権限の取得 をご希望の方は、弊社の御社担当者までご連絡ください。重要な公示事項につきましては巻末の APPENDIX をご参照ください。 米国以外のブローカーディーラーが作成:BNP パリバ証券株式会社 本資料は米国での配布を認められています。アナリストの証明、重要な公示事項につきましては巻末の APPENDIX をご参照ください。 鮫島 豊喜 若杉 政寛 柳沢 和江 [email protected] [email protected] [email protected] +81 3 6377 2250 +813 6377 2240 +813 6377 2245 大和 樹彦 熊谷 侑大 重見 直宏 [email protected] [email protected] [email protected] +813 6377 2234 +813 6377 2258 +813 6377 2242

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Page 1: 株式調査部 BNP パリバ株式調査部...7.メディア報道を利用したバスケットポートフォリオ分析 ..... 29 鮫島 豊喜 若杉 政寛 柳沢 和江 大和

BNPパリバ株式調査部 BNPパリバ証券株式会社 若杉 政寛

2016 年 10 月 6 日 株式調査部

BNP パリバ株式調査部

クーリング オブ シングス

「冷やす」銘柄をアツく推奨:CoT8 銘柄 〜エアコンからアイスまで〜

BNP パリバ証券株式調査部は、ホシザキ、ダイキン、新晃工業、ダイフク、パナソニ

ック、日本電産、森永製菓、セブン&アイ・ホールディングスの 8 銘柄に強気であ

る。これらの銘柄には「冷やすのが得意」という隠れた共通点がある。ダイキンの空

調が効いたセブンイレブンで、パナソニックのショーケースで冷やされた、森永製菓

の「チョコモナカジャンボ」を買う。これが、日本だけでなくアジアでの一般的な日

常になる日が着々と近づいている。我々は、同 8 銘柄を、IoT(Internet of Things)なら

ぬ“CoT(Cooling of Things)8 銘柄”と呼び、アツく推奨したい。

地殻変動の要因は、“代替フロン規制”、“低温物流”、そして“アジア”

現在の東南アジアのエアコン需要は強い。更に、“代替フロン規制”によりダイキンや

パナソニックにとってのチャンスは広がっている。熱帯雨林気候の東南アジアでは、

所得水準の上昇により“低温食品”の需要が高まり、“低温物流”の事業機会は拡大し

よう。“CoT8 銘柄”は、これらの地殻変動、メガトレンドに乗り、末永く利益拡大が

続こう。

BNP パリバの“CoT8 銘柄”のパフォーマンスは良好

“CoT8 銘柄”で構成したポートフォリオの過去のパフォーマンスは良好であった。リ

ーマンショック後の 2009 年以降、毎年の年初から 2016 年 8 月 31 日までと、直近 1 年

間のパフォーマンスを見ると、全てのケースで TOPIX と日経 225 をアウトパフォーム

していた。銘柄別には、ホシザキと森永製菓のパフォーマンスが特に良かった。一方

で、パナソニックのパフォーマンスは良好とは言えず、今後の経営陣の奮起に期待し

たい。

バスケットポートフォリオ的な銘柄抽出は?

我々は、検索エンジン Google を使って、「代替フロン」、「低温物流」の 2 つのキーワー

ドで検索された会社に関する記事を読み込んだ上で、そこに登場した銘柄を使って

“テーマポートフォリオ”を作成しパフォーマンス分析を行った。結果は、殆どのケ

ースで Topix や MSCI の指数をアウトパフォームしていた。更に、記事検索で登場回数

が 3 回以上の(より関連度が高いであろう)銘柄で構成したバスケットポートフォリ

オのパフォーマンスは、全てのケースで指数に対してアウトパフォームするという好

結果であった(但し、我々は、同分析に基づくポートフォリオの銘柄を推奨する訳で

はなく、あくまでも銘柄を抽出する方法の一つとしてキーワード検索を紹介している

ことに留意されたい)。

弊社の英語版調査レポートは、Thomson One、Bloomberg、TheMarkets.com、FactSet、http://eqresearch.bnpparibas.com/index でご覧いただけます。閲覧権限の取得

をご希望の方は、弊社の御社担当者までご連絡ください。重要な公示事項につきましては巻末の APPENDIX をご参照ください。

米国以外のブローカーディーラーが作成:BNP パリバ証券株式会社

本資料は米国での配布を認められています。アナリストの証明、重要な公示事項につきましては巻末の APPENDIX をご参照ください。

鮫島 豊喜 若杉 政寛 柳沢 和江 [email protected] [email protected] [email protected]

+81 3 6377 2250 +813 6377 2240 +813 6377 2245

大和 樹彦 熊谷 侑大 重見 直宏 [email protected] [email protected] [email protected]

+813 6377 2234 +813 6377 2258 +813 6377 2242

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BNP パリバ株式調査部 鮫島 豊喜

2 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

目次 エグゼクティブサマリー ............................................................................................. 3

1.「冷やす」銘柄をアツく推奨:CoT8 銘柄 .......................................................... 3

2.代替フロン、低温物流、そしてアジア .............................................................. 3

3.“CoT8 銘柄”のパフォーマンスは良い ............................................................. 4

4.バスケットポートフォリオ的な銘柄抽出は? ................................................... 4

クーリングオブシングス ............................................................................................. 6

1.「冷やす」銘柄に注目 ......................................................................................... 6

2.アジアのエアコン成長を狙うダイキンとパナソニック ..................................... 7

3.ダイキンとパナソニックの提携と代替フロンについて ................................... 10

4.冷たくてもアツい“低温物流ビジネス” ........................................................ 14

5.ホシザキとパナソニックのディープダイブ比較 .............................................. 23

6. 当社カバレッジの CoT8 銘柄のバスケットポートフォリオ分析 ...................... 27

7.メディア報道を利用したバスケットポートフォリオ分析 ............................... 29

鮫島 豊喜 若杉 政寛 柳沢 和江 大和 樹彦 熊谷 侑大

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BNP パリバ株式調査部 鮫島 豊喜

3 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

エグゼクティブサマリー

1.「冷やす」銘柄をアツく推奨:CoT8 銘柄

BNP パリバ証券株式調査部は、ホシザキ、ダイキン、新晃工業、ダイフク、パナソニッ

ク、日本電産、森永製菓、セブン&アイ・ホールディングスの 8 銘柄に強気である。一

見これらの銘柄には共通点は無いように見えるかもしれない。しかし、これらの銘柄に

は「冷やすのが得意」という共通点が存在する。

例えば、ホシザキは製氷機や冷蔵冷凍庫、ダイキンはエアコン、新晃工業は空調機器、

ダイフクは低温物流施設、パナソニックはコールドチェーン、日本電産は空調インバー

タ用モータ、森永製菓は冷菓(特にアイスクリーム)、セブン&アイ・ホールディングス

は冷蔵・冷凍食品流通、といった具合である。

BNP パリバのカバレッジにおいて、環境規制やアジアの経済成長に伴う「冷やす」ニーズ

に対するソリューションを提供し、利益成長が期待できる“クーリングオブシングス 8銘柄”(Cooling of Things 8 銘柄(以下、CoT8 銘柄))を図表 1に示している。「冷やす」に関

連する売上の構成比が比較的高いのは、ダイキン(売上エクスポージャ:89%)、新晃工

業(同 88%)、セブン&アイ・ホールディングス(同 49%)、ホシザキ(同 43%)である。

これらの銘柄は、環境規制やアジアの経済成長というメガトレンドから“末永く”恩恵

を受ける“八”銘柄と我々は考える。

2.代替フロン、低温物流、そしてアジア

エアコンと代替フロン:“CoT8 銘柄”の売上・利益を牽引するであろう“地殻変動”は、

環境規制やアジアでの経済成長という“メガトレンド”に深く関係している。経済成長

に伴い、多くの地域が高温多湿な気候であるアジアでのエアコン需要は着実に拡大して

いる。一方で、温室効果ガスの排出を禁止する“代替フロン規制”が導入されつつあり、

ダイキンやパナソニックなどのエアコンメーカには大きなビジネスチャンスが広がって

いる。

低温物流:経済成長と所得水準の上昇に伴い、アジア諸国などの新興国の食のスタイル

が、欧米などの先進国に近づくことが予想され、中でもチルド品やアイスクリームなど

の低温食品の需要拡大が期待される。一方で、アジア諸国での“低温物流”インフラは

未だ十分ではなく、需要の拡大が見込まれるものの、インフラの未整備が市場拡大の阻

害要因となっている。

しかし、裏を返せば、コンビニエンスストアや小口配送技術を含めた“低温物流”イン

フラさえ整えば、中長期的に低温物流関連市場は着実に拡大していく可能性が高く、関

連企業にとっては大きなビジネスチャンスとなるであろう。ホシザキ、ダイフク、パナ

ソニック、森永製菓、セブン&アイ・ホールディングスなどにとっては、非常に有望な

市場となろう。

図表 1: 「冷やすのが得意」な“CoT8 銘柄”の一覧表

銘柄名 売上エクス

ポージャ

業務

用空

調

家庭用

空調

業務用冷

凍・冷蔵

機器

家庭用

冷凍・

冷蔵機

低温

食品 低温

物流 省電力 ポイント

6367 ダイキン 89% ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ 空調機器の売上高は世界 1 位

6458 新晃工業 88% ✔ セントラル空調機器の分野で国内トップメーカ

3382 セブン&アイ HD 49% ✔ ✔ 冷凍食品の製造、冷蔵/冷凍物流網の拡充に注力

6465 ホシザキ 43% ✔ ✔ ✔ 業務用厨房機器大手メーカ

2201 森永製菓 18% ✔ 冷菓事業は、チョコモナカジャンボ」等のアイスが主力

6752 パナソニック 16% ✔ ✔ ✔ ✔ ✔ 15 年、米産業用冷蔵庫メーカのハスマンを完全子会社化

6383 ダイフク 11% ✔ ✔ マテハン業界世界シェア第 1 位

6594 日本電産 5% ✔ ✔ ✔ 子会社の日本電産テクノモータが主に空調用モータを製造

出所: 会社資料、BNP パリバ予想 注: 「売上エクスポージャ」について、ダイキン(FY3/16)、新晃工業(FY3/16)、森永製菓(FY3/16)は会社資料。セブン&アイ・ホールディングス(FY2/16)、ホシザキ

(FY12/16)、パナソニック(FY3/17 Q1)、日本電産(FY3/16)は BNP パリバ予想

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BNP パリバ株式調査部 鮫島 豊喜

4 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

3.“CoT8 銘柄”のパフォーマンスは良い

当社カバレッジの“CoT8 銘柄”で構成したポートフォリオの過去のパフォーマンスは良

好であった。リーマンショック後の 2009 年以降、毎年の年初から 2016 年 8 月 31 日まで

と、直近 1 年間(2015 年 9 月 1 日から 2016 年 8 月 31 日まで)のパフォーマンスを見る

と、全てのケースで Topix と日経 225 をアウトパフォームしていた。銘柄別には、ホシザ

キと森永製菓のパフォーマンスが特に良かった。一方で、パナソニックのパフォーマン

スは良好とは言えず、今後の経営陣の奮起に期待したい。(詳細は、「6. 当社カバレッジ

の“CoT8 銘柄”のバスケットポートフォリオ分析」を参照されたい。)

4.バスケットポートフォリオ的な銘柄抽出は?

我々は、検索エンジン Google を使って、「代替フロン」、「低温物流」の 2 つのキーワー

ドで記事検索を行い、そこに登場した銘柄を使って“テーマポートフォリオ”を作成し

パフォーマンス分析を行った。図表 2 は、「代替フロン」と「低温物流」の記事検索で登

場した 42 社の一覧表である(詳細は、「7.メディア報道を利用したバスケットポートフ

ォリオ分析」を参照されたい)。

我々は、便宜的にこのポートフォリオを(「代替フロン」、「低温物流」という 2 つのキー

ワードの)“統合ポートフォリオ”と呼んでいるが、当ポートフォリオのパフォーマンス

は、殆どのケースで Topix や MSCIの指数をアウトパフォームしていた。更に、キーワー

ドへの関連がより高い銘柄群のパフォーマンスを見るため、記事検索で登場回数“3 回以

上”の銘柄で構成したポートフォリオを作成した。そのパフォーマンスは、全てのケー

スで指数に対してアウトパフォームするという好結果であった。

本レポートで扱った環境規制や低温物流などは、中長期的にトレンドが継続するメガト

レンドといえ、メガトレンドから恩恵を受ける銘柄は、そうでない銘柄と比較すると、

売上や利益へのメリットが大きくなろう。従って、環境問題のようなメガトレンドに関

連した銘柄群の株価パフォーマンスは、相対的に良好な結果が期待できよう。

当社推奨の“CoT8 銘柄”をバスケット的にポートフォリオに組み入れることは、一つの

有効な投資戦略となるのではないかと考えている。また、メガトレンド関連銘柄を一定

の基準でスクリーニング抽出すると同時に、ボトムアップのファンダメンタルズ分析を

加えることによって、ポートフォリオのパフォーマンス改善につなげることも重要であ

る、と我々は主張したい。

但し、我々はテーマポートフォリオの保有を推奨している訳ではなく、特定テーマへの

銘柄抽出の一つの手法としてキーワード検索を紹介していることに留意されたい。

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BNP パリバ株式調査部 鮫島 豊喜

5 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

図表 2: “統合ポートフォリオ”:「代替フロン」と「低温物流」関連銘柄の一覧表

出所: ブルームバーグ、四季報、各社 HP、BNP パリバ 注: MSCI All Country World 指数は、ローカル通貨ベースを採用。終値は 10 月 5 日(USD/EUR は 10 月 4 日)

株価 時価総額 P/E (x) PB/V (x)

10/5/2016 (m) 1M 6M 1Y FY1 FY1 1M 6M 1Y

横浜冷凍 2874 JP JPY 1,084 57,227 4.2 5.7 13.6 16.7 NA 5.2 -1.2 8.0 食品販売の規模大きいが、ニチレイに次ぐ冷蔵倉庫が利益柱。

ニチレイ 2871 JP JPY 2,304 332,685 12.6 26.0 46.7 21.3 2.1 13.5 19.2 41.1 冷蔵倉庫と冷凍食品(ブランド別)で首位。低温物流は海外も積極的。

丸和運輸機関 9090 JP JPY 2,407 38,530 6.5 -2.5 1.6 13.5 2.1 7.4 -9.3 -4.0 小売業に特化した3PL(物流一括請負)。低温物流に注力。

センコー 9069 JP JPY 703 104,860 7.0 10.0 -19.6 9.7 1.1 7.9 3.2 -25.2企業物流大手。積水化学、旭化成など同根で住宅や石油化学分野に強い。中国で低温物流網を構築中。

C&Fロジ HD 9099 JP JPY 967 24,997 11.0 20.1 NA 11.7 0.8 12.0 13.3 NAフローズン輸送のヒューテックノオリンとチルド輸送の名糖運輸が統合。総合物流企業を志向。ベトナムで低温物流事業を展開。

SBS HD 2384 JP JPY 916 36,342 -6.3 40.5 -4.8 8.1 1.2 -5.4 33.7 -10.53PL(物流一括受託)の大手。食品輸送は国内屈指。子会社のSBSロジコムが、横浜に国際物流対応の多機能拠点竣工。

伊藤忠商事 8001 JP JPY 1,275 2,137,644 1.0 -3.3 -4.3 5.7 0.9 1.9 -10.1 -9.9 総合商社大手。繊維や中国ビジネス強い。子会社の伊藤忠ロジが低温物流事業を行う。

双日 2768 JP JPY 262 331,647 2.3 23.0 12.0 8.6 0.7 3.3 16.2 6.3総合商社。03年に日商岩井とニチメンが統合。自動車、航空、肥料に強み。双日ロジが低温物流事業に進出。

7&i HD 3382 JP JPY 4,808 4,290,379 7.1 4.1 -13.0 31.7 1.7 8.1 -2.8 -18.6国内2位の流通コングロマリット。セブン‐イレブンを核に複数事業を展開。独自の低温物流網を導入。

三菱重工 7011 JP JPY 422.7 1,452,355 -6.1 13.8 -24.5 12.1 0.8 -5.2 7.0 -30.1総合重機首位。火力発電所用ガスタービンはじめ、航空、防衛、造船、産業機械など事業は幅広い。陸上輸送用冷凍ユニットの販売。

キユーピー 2809 JP JPY 3,090 457,164 7.4 10.7 24.2 27.0 2.1 8.4 3.9 18.6マヨネーズ・ドレッシングで国内首位。カット野菜や医療・介護食などの周辺事業も拡大中。子会社のキユーソー流通システムが低温物流事業を展開。

セイノー HD 9076 JP JPY 1,073 224,086 -3.1 -4.8 -15.5 11.6 0.6 -2.1 -11.6 -21.1 路線トラック草分けで業界最大手。愛称「カンガルー便」。2015年から低温物流事業に参入。

ヤマト HD 9064 JP JPY 2,357 956,571 -4.5 12.8 0.5 22.6 1.7 -3.6 5.9 -5.1宅配便首位、国内シェア4割。規制緩和進まずメール便廃止。企業物流が成長する中、アジア市場本格進出。クール宅急便を展開。

ユニー・ファミリーマート HD 8028 JP JPY 6,670 868,738 -7.1 18.9 25.4 28.3 2.1 -6.2 12.1 19.7伊藤忠系のコンビニ大手。アジアはじめ海外も積極展開。16年9月、ユニーグループHDと統合。独自の低温物流網を導入。

日本水産 1332 JP JPY 444 138,094 1.6 -24.0 26.1 10.0 1.2 2.5 -30.8 20.5水産品冷食の大手。魚油成分使用した化成品が利益柱。全国27か所の冷蔵倉庫ネットワークで低温一貫物流に取り組む。

三菱商事 8058 JP JPY 2,294 3,632,531 3.4 29.1 11.7 11.6 0.8 4.3 22.3 6.1 総合商社大手。三菱グループ中核。インドで低温物流に取り組む。

イオン 8267 JP JPY 1,505.5 1,306,143 2.2 -1.4 -23.7 101.9 1.1 3.1 -8.2 -29.3国内流通首位。GMS、SM、専門店、不動産、金融等展開。郊外SC、M&Aで成長。日本各地に低温物流センタを配置。CO2冷媒を使用した冷凍冷蔵機器を導入。

日立物流 9086 JP JPY 2,036 224,671 -1.1 16.5 1.2 12.3 1.1 -0.2 9.7 -4.43PL(物流の一括請負)首位。日立系だが国内はグループ外大半。温度管理を必要とする医薬品の配送を行う。

近鉄エクスプレス 9375 JP JPY 1,320 94,536 0.9 -2.9 -35.1 14.4 0.8 1.8 -9.8 -40.7 国際航空貨物混載大手の一角。国際網充実、中国で先行。食品輸送も拡大中。

日本ロジテム 9060 JP JPY 291 4,025 3.6 -3.0 -1.7 NA NA 4.5 -9.8 -7.3 食品、インテリア、電子、衣料等が主要荷主の陸運業。ベトナムで冷凍冷蔵倉庫事業を開始。

日本郵政 6178 JP JPY 1,254 5,724,000 -9.4 -13.3 NA 14.4 0.4 -8.5 -20.2 NA日本郵政グループの持株会社。日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命主体。16年5月豪物流大手トールHDを買収。

パナソニック 6752 JP JPY 1,022 2,549,949 -4.0 13.6 -18.2 15.8 1.4 -3.1 6.8 -23.9総合家電大手。AV機器、白モノ家電が主力。電池などのデバイス事業、照明、住宅設備も展開。ハスマンを買収し、コールドチェーン事業を拡大。ダイキン工業と空調分野で協業を行う。

郵船ロジスティクス 9370 JP JPY 990 41,967 -4.6 -21.7 -19.9 12.1 0.5 -3.7 -28.5 -25.5日本郵船傘下の再編で航空混載(フォワーダー)から総合化。海外比率約8割。ヤマトHDと提携。カンボジアで低温小口混載配送。

川崎汽船 9107 JP JPY 267 247,997 0.0 26.5 -4.3 -4.5 0.9 0.9 19.7 -9.9運大手3社の一角。コンテナ船比率高い。バラ積み船や自動車船強化。ベトナムで冷凍冷蔵倉庫事業を開始。

ダイキン 6367 JP JPY 9,580 2,834,705 0.6 19.4 32.2 19.7 2.6 1.5 12.5 26.6世界五大陸38ヶ国に拠点を持つ空調機、化学製品の世界的メーカー。新冷媒HFC‐32を開発。家庭用エアコンで使用。

ローソン 2651 JP JPY 8,060 803,403 9.2 -11.9 -10.9 22.0 2.9 10.1 -18.7 -16.6コンビニエンスストアチェーンとしては国内店舗数2位。CO2冷媒冷蔵・冷媒機器(パナソニック製)を導入。

デンソー 6902 JP JPY 4,015 3,275,533 -7.0 1.4 -23.1 14.5 1.0 -6.0 -5.4 -28.7 世界最大手の自動車部品メーカ、メガサプライヤ。CO2冷媒空調システムの開発。

旭硝子 5201 JP JPY 666 787,973 5.4 20.9 -6.1 21.7 0.8 6.3 14.0 -11.7 ディスプレー、建築、自動車でガラス世界級。低GWP冷媒「AMOLEA」を開発。

三菱電機 6503 JP JPY 1,309 2,866,514 -2.1 20.5 12.3 13.4 1.4 -1.2 13.6 6.7総合電機大手。FAが収益柱。空調「霧ヶ峰」や太陽光発電を含む家電、電力用半導体に特長。新冷媒を採用した家庭用エアコンを開発・販売。

日本ゼオン 4205 JP JPY 15.9 2,836 16.8 123.3 110.6 17.3 12.2 17.7 116.5 105.0 合成ゴムは、特殊品で大手。フッ素系溶剤「ゼオローラ」シリーズを展開。

日本軽金属 HD 5703 JP JPY 32 50,247 -0.4 8.2 0.9 5.5 1.1 0.6 1.4 -4.7圧延、加工、化成品までのアルミ総合メーカ。アジア展開急ぐ。ノンフロン断熱不燃パネル「ジェネスタ不燃」の生産・販売。

三井倉庫 HD 9302 JP JPY 322 39,688 2.5 15.0 -10.3 40.0 NA 3.5 8.2 -15.9倉庫大手。不動産賃貸が利益柱。総合物流強化へ海外で積極投資。保冷品航空輸送を行う。

デュポン DD US USD 67.84 58,475 -3.2 7.4 32.3 21.2 6.1 -2.3 0.6 26.7米国の大手化学品メーカー。農業、食品、建築、電子、輸送など幅広い分野に製品を提供。ハネウェルと新冷媒「HFO‐1234yf」を共同開発。

ハネウェル HON US USD 116.05 87,409 0.3 4.4 18.6 17.4 4.4 1.2 -2.4 13.0アメリカの多国籍企業で、電子制御システムや自動化機器を製造販売。デュポンと新冷媒「HFO‐1234yf」を共同開発。

Yum! Brands Yum US USD 90.92 35,199 -0.4 11.5 9.5 24.6 -8.1 0.6 4.6 3.8アメリカ合衆国ケンタッキー州に本社を置き、世界中に5つのチェーン店を展開するファストフード企業。自社製品の低温物流を行う。

ケマーズ CC US USD 15.92 2,836 16.8 123.3 110.6 17.3 12.2 17.7 116.5 105.0米国の機能化学品メーカー。酸化チタン(白色顔料)、フロロ製品、特殊化学品などを世界各地で製造・販売。低GWP冷媒の「オプテオンyf」を製造。

ゼネラル・モーターズ

GM US USD 32.04 50,247 -0.4 8.2 0.9 5.5 1.1 0.6 1.4 -4.7 米国大手自動車メーカ。カーエアコン用に低GWP冷媒「HFO‐1234yf」の採用を発表。

ユナイテッド・テクノロジーズ

UTX US USD 102.43 84,890 -4.2 2.6 11.0 15.6 3.0 -3.3 -4.3 5.4航空宇宙産業向けにハイテク製品を提供。エレベーター、エスカレーター、家庭・業務用冷暖房空調機器、冷凍・冷蔵車を製造。CO2を冷媒として使用した空調機器を製造。

ダノン BN FP EUR 67.16 44,194 -4.1 9.7 15.1 21.9 3.1 -3.2 2.9 9.5 フランスに本社をおく国際的な食品関連企業。低温食品向けの物流拠点網を持つ。

ダイムラー DAI GY EUR 62.71 68,865 -0.1 -0.6 -5.6 7.8 1.2 0.8 -7.4 -11.2乗用車及び商用車の世界的メーカ。トラックの販売で、世界最大手。三菱ふそうトラック・バスを傘下に持つ。カーエアコン用の新冷媒「HFO‐1234yf」を17年1月から導入。

鴻海精密工業 2317 TT TWD 79.50 1,379,368 1.7 5.4 1.7 10.6 1.2 2.6 -1.5 -3.9スマートフォンや薄型テレビなどの電子機器を受託生産するEMS企業の世界最大手。インドでの電子機器の輸送に低温物流を使用。

CJ大韓通運 000120 KS KRW 213,000 4,847,623 5.2 14.5 5.2 38.3 1.7 6.1 7.7 -0.4韓国総合物流最大手。中国最大の低温物流会社の栄慶物流有限公司を買収。中国最大の低温物流会社の栄慶物流有限公司を買収。

銘柄名BBGコード

通貨株価 (%)

vs. MSCI All CountryWorld Index (%)

会社概要

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BNP パリバ株式調査部 鮫島 豊喜

6 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

クーリングオブシングス

1.「冷やす」銘柄に注目

“CoT8 銘柄”を当社は推奨〜エアコンからアイスまで〜

BNP パリバ証券株式調査部は、ホシザキ、ダイキン、新晃工業、ダイフク、パナソニッ

ク、日本電産、森永製菓、セブン&アイ・ホールディングスの 8 銘柄に強気である。一

見これらの銘柄には共通点は無いように見えるかもしれない。しかし、これらの銘柄に

は「冷やすのが得意」という共通点が存在する。我々は、これらの銘柄を、クーリング

オブシングス 8 銘柄(Cooling of Things 8 銘柄(CoT8 銘柄))と呼んでいる。

例えば、ホシザキは製氷機や冷凍・冷蔵庫、ダイキンはエアコン、新晃工業は空調機器、

ダイフクは低温物流施設、パナソニックはコールドチェーン、日本電産は空調インバー

タ用モータ、森永製菓は冷菓(特にアイスクリーム)、セブン&アイ・ホールディングス

は冷蔵・冷凍食品流通、といった具合である。

これらの CoT8 銘柄は、環境規制やアジアの経済成長というメガトレンドから“末永く”

恩恵を受ける“八”銘柄と言えよう。

“CoT8 銘柄”を取り巻くメガトレンド

我々がこれらの CoT8 銘柄を調査する中で、必ずと言っていいほど目にする幾つかのキー

ワードがある。「環境規制」、「代替フロン」、「低温物流」、「省電力」、などである。先進

国、新興国を問わず様々な国や地域で環境規制が導入されていることから分かるように、

環境問題への対策は人類にとって喫緊の課題であろう。一方で、環境問題に対するソリ

ューションを提供できる企業にとっては大きなビジネスチャンスとも言える。

本レポートでは、「環境規制」、「代替フロン」、「低温物流」、「省電力」といった“メガト

レンド”に関連する事業機会と、これらの“メガトレンド”から恩恵を受ける可能性が

ある企業に関する考察を行っている。まずは次章にて、経済の拡大と生活水準の上昇に

伴い需要が拡大しているエアコン市場、特に多くの地域が高温多湿な気候であり、需要

の拡大が顕著な東南アジア市場と、我々が注目しているダイキンとパナソニックに関す

る分析からスタートしたい。

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7 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

2.アジアのエアコン成長を狙うダイキンとパナソニック

ダイキンとパナソニックはアジアを狙う

当社アナリスト熊谷侑大は、ダイキンのレポート「「アツい」東南アジア」で、過去に欧

州や中国で着実に事業拡大に成功したダイキンにとって、次は東南アジア地域における

空調機器の拡販が成長ドライバーとなる、としている。東南アジアにおける空調関連市

場は成長率が高く、ダイキンにとっては最も重要なマーケットの一つである。

また、当社アナリスト若杉政寛はパナソニックのレポート「IR DAY:車の進化を確かに

感じた」および「IR DAY:各カンパニーの Q&A 集」で示したように、パナソニックは

東南アジアでのルームエアコン事業が順調に拡大しており、今後は東南アジアにおける

ルームエアコンの更なる成長に加えて、大型空調事業(業務用)を上乗せしていく戦略

である。

東南アジア市場は空調の黎明期を迎えており、一人あたりの所得が拡大し、都市人口比

率が上昇する中、空調の需要も同時に拡大していく公算が大きい。日本でもそうであっ

たように、一人当たり GDP の拡大は空調機器の普及との相関性が高く、東南アジア地域

は日本と比較するとちょうど 1960-1970 年台の一人当たり GDP 水準となっており、上昇

余地は大きい。

東南アジア市場での空調普及率はマレーシアを除いて 7-15%水準(2012 年時点)にとど

まっており、日本の 90%、中国の 53%と比較しても相当低い水準となっている。経済成

長に伴う空調の普及が期待できよう。実際、ダイキン工業の東南アジア地区での売上高

は急拡大を見せており、向こう 5 年程度を見据えた成長地域となろう。

アジア市場の成長ポテンシャルは大きい 日本冷凍空調工業会が発表している 2012 年の需要台数実績値を基に、2020 年の人口と普

及率(当社推定ベース)を用いて、アジア地域(日本・中国を除く)の主要 6 か国(イ

ンド、インドネシア、タイ、マレーシア、ベトナム、フィリピン)の 2020 年のエアコン

総需要台数を推計した。2020 年の普及率は 1 人当たり GDP の水準と普及率の関係から、

2020 年の 1 人当たり GDP(IMF)を用いて推定した。詳細は、「「アツい」東南アジア」

を参照されたい。

2012 年-2020 年の需要台数の伸びは、インドは年平均 3.3%、インドネシアは 11.8%、タ

イは 6.2%、マレーシアは 4.3%、ベトナムは 4.7%、フィリピンは 4.1%の成長が期待でき

よう。1 人当たり GDP や都市人口比率の増加に伴い、エアコン普及率は上昇基調を維持

すると予想する。それに伴い、コンドミニアム向けの住宅用空調、ビルや商業施設向け

の大規模な業務用空調の需要が拡大していくと考える。

図表 3: アジア地域(日本・中国を除く)主要 6 国 2020 年需要台数推計 ----------------人口---------------- -------普及率------- ------総需要台数推計値------

2012 2020 CAGR 2012E 2020E 2020E CAGR (%)

(百万人) (百万人) (%) (%) (%) (千台) (2012-2020)

インド 1263.6 1388.9 1.2% 9.6% 11.3% 4,528 3.3%

インドネシア 248 271.9 1.2% 7.6% 16.9% 4,948 11.8%

タイ 67.2 68.6 0.3% 14.6% 23.2% 1,805 6.2%

マレーシア 29 32.4 1.4% 34.2% 42.9% 1,220 4.3%

ベトナム 88.8 94.9 0.8% 9.5% 12.8% 1,321 4.7%

フィリピン 96 108.4 1.5% 14.2% 17.3% 840 4.1%

出所: 日本冷凍空調工業会、世界銀行、Euromonitor Consumer Asia Pacific Australasia、BNP パリバ予想(推計値

は当社予想)

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8 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

アジアの省エネ規制強化が更なる需要の押し上げへ アジアではタイやフィリピンが 1990 年代に省エネ規制を本格的に導入し、2000 年代には

中国やインドをはじめとするアジア各国が制度の導入を行ってきた。各国の市場で販売

が認められる最低エネルギー消費効率の基準値は徐々に引き上げられており、日本の

2000 年代前半の規制値と変わらなくなりつつある。

各国における省エネ規制動向が、消費者の省エネ商品の購買に与える影響は大きいと考

えており、各国における省エネ製品の普及政策は、既に省エネ性能の高いエアコンを販

売しているダイキンやパナソニックにとって、アジア地域での拡販の追い風になると考

える。尚、インドネシア、ベトナム、インド、タイ、マレーシア、フィリピンの省エネ

規制の動向については、「「アツい」東南アジア」を参照されたい。

省エネエアコンの裏に日本電産あり 省エネエアコンに必須となる機能が“インバータ”である。エアコンにおけるインバー

タ機能の詳細は、「「アツい」東南アジア」を参照されたいが、インバータには高効率な

DC ブラシレスモータが必須となる。例えば日本で普及しており、今後アジア各地で拡大

が見込めるインバータ機能付きルームエアコンでは、1)コンプレッサ用、2)室外機

Fan モータ用、3)室内機 Fan モータ用、の 3 用途において DC ブラシレスモータのビジ

ネスチャンスがある。

図表 4: アジア地域主要 6 各国の 2012 年と 2020 年のエアコン総需要台数

出所: 日本冷凍空調工業会、世界銀行、Euromonitor Consumer Asia Pacific Australasia 、BNP パリバ予想(推

計値は当社予想)

図表 5: 国別の省エネ制度の現状 国名 インド インドネシア タイ ベトナム マレーシア フィリピン

エアコンへの 基準・ラベリング義務化 義務化 一部義務化 任意※ 義務化 任意

(義務化検討中) 義務化

省エネ基準評価方式 MEPS MEPS MEPS MEPS MEPS MEPS

省エネ基準評価指標 EER EER ノンインバータ:

EER インバータ:CSPF

ノンインバータ:COP

インバータ:CSPF

ノンインバータ:EER

インバータ:荷重EER

EER

ダイキンのアジア地域売上高構成比当社推

定値(2014), (%) 16 7 11 15 22 5

1 人当たりの GDP (2014), (USD) 1,582 3,492 5,977 2,052 11,307 2,873

エアコン普及率(2012), (%) 9.6 7.6 14.6 9.5 34.2 14.2

出所: 各政府 HP、BNP パリバ予想 注: ※タイに関してはエアコンに対する MEPS(最低エネルギー消費効率基準:Minimum Energy Performance Standard)は義務化されている。

3,500

2,030

1,112 871 917 611

4,528 4,948

1,805 1,220 1,321

840

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

インド インドネシア タイ マレーシア ベトナム フィリピン

(千台)

2012(実績) 2020推計

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9 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

日本電産は、インバータエアコン用の DC ブラシレスモータで高い競争力を有しており、

過去の説明会においてダイキンの成長が日本電産の成長に繋がるという主旨の発言があ

った。ダイキンやパナソニックのアジアにおける高効率なインバータエアコンの拡大は、

日本電産にとってもポジティブであることを我々は強調したい。(日本電産の高効率モー

タに関しては、2013 年 10 月 9 日のレポート「高効率モータは年率二割成長」を参照され

たい)

「Nidec 入ってる?」

更に、日本電産はダイキンなどの日系メーカだけでなく、中国ローカルのエアコンメー

カなど様々な顧客に高効率モータを供給している。ダイキンやパナソニックの競争の優

劣に係らず、アジアにおける省エネタイプのエアコン市場の拡大は、日本電産の高効率

モータ事業の拡大にダイレクトに繋がる可能性があるという点も重要であろう。インバ

ータエアコンがアジアで拡大すれば、PCにおける「インテル入ってる?」のように、イ

ンバータエアコンに「Nidec 入ってる?」という状況になる日が来るかもしれない。

ダイキンとパナソニック

本章で見たように、東南アジアの空調機器関連市場は成長率が高く、有望な市場である

ことに異論は無かろう。当市場において、ダイキンは既に事業拡大のフェーズに突入し

ており、今後の成長の確度は高いと我々は考えている。また、パナソニックの東南アジ

ア市場におけるエアコン事業は好調が持続しており、今後も市場の拡大に伴って順調に

利益拡大に繋がると思われる。

パナソニックとダイキンが、東南アジア市場の空調ビジネスでは一部競合関係にあるの

は事実であるが、実は両社は協力関係にもある。次章では、両社の提携内容とその背景

にある代替フロン規制に関して考察している。

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10 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

3.ダイキンとパナソニックの提携と代替フロンについて

2016 年 5 月 16 日の日本経済新聞に、「ダイキンとパナソニック、エアコンで包括提携」

という記事が掲載された。提携の内容としては、1)環境技術の開発、2)主要部品の調

達、3)製品の相互供給、4)新興国市場の開拓など多岐にわたるとのことだった。同記

事によると、まず冷媒分野で協業するとのことで、代替フロンの規制が国際的に導入さ

れる方向にあり、より環境負荷が小さい新たな冷媒を両社で採用し、新興国向けのエア

コンに搭載するという。また、モータやコンプレッサなどのキーコンポーネントの共同

購入や相互供給の可能性もあるという。

パナソニックは、日経新聞記事の掲載直後、5 月 18 日の IR Day で次のような主旨の発言

を行い、ダイキンとの提携の可能性を認めた形となった。同社のコメントは、「政府が掲

げている省エネ目標を達成するため、空調分野における大幅な省エネ要請があることや、

環境負荷低減にパナソニックがどう貢献するかといった観点から見て大きな転換点に来

ている。すぐに事業への影響があるというわけではないが、ダイキンとは長年にわたっ

て交流をしており、その中で時代のニーズにあった提携内容を継続していくという話を

している。」といった内容である。

パナソニックは、ダイキンが開発し普及を進めている HFC-32(ダイキンは“R32”とし

てエアコンに使用)という地球温暖化係数(Global Warming Potential, GWP)が低い冷媒

を使った家庭用ルームエアコン(RAC)を世界各地の市場向けに順次導入している。但

し、HFC-32 も地球温暖化係数という点では完璧ではなく、次世代冷媒の共同開発も視野

に入れた提携の可能性もあろう。

3-1)環境規制と代替フロンの動向 ここで、ダイキンとパナソニックの提携の背景の一つである「代替フロン」に関する規

制の動向と、それに対する企業の対応の方向性を考察したい。「代替フロン」とは、オゾ

ン層を破壊する「特定フロン」を代替するために開発された物質である。モントリオー

ル議定書(1987)の結果を受けて、日本では「オゾン層保護法」(1988)が施行され、特

定フロンの製造・輸入の規制が行われた。それによって、「特定フロン」の CFC(Chloro Fluoro Carbon)、HCFC(Hydro Chloro Fluoro Carbon)から、「代替フロン」の HFC(Hydro Fluoro Carbon)へと冷媒の転換が進んだ。

現在も冷蔵空調機器の多くで HFC が使用されているが、HFC は二酸化炭素に比べて強い

温室効果を示す(GWP 値は数百~約 4,000 と高い)ため、近年では低 GWP 冷媒や自然冷

媒などの次世代冷媒の開発が進んでいる(次世代冷媒の開発に取り組む企業は図表 6 を

参照)。

日本では、2015 年 4 月「フロン排出抑制法」が施行され、指定製品に対する GWP の上

限目標値とその目標年度が定められた。例えば、家庭用エアコンは 2018 年までに

GWP750 以下を達成、定置式冷凍冷蔵ユニットは 2025 年までに GWP1500 以下を達成、

などである。従って、製造メーカは、この目標値を達成するために次世代冷媒の開発を

する必要があると言えよう。

図表 6:次世代冷媒に取り組む主な企業 図表 7: フロン排出抑制法による GWP の目標

企業 次世代冷媒 主な用途

ダイキン工業 HFC-32 (R32) RAC、業務用空調等

パナソニック CO2 ノンフロン冷凍機

ホシザキ R290 (プロパン) ノンフロン製氷機

旭硝子 (5201)

AMOLEA HFO-1123

RAC、業務用空調、

ショーケース等

AMOLEA®yd ターボ冷凍機、バイ

ナリ発電等

デュポン&ハネウェル (DD US, HON US) HFO-1234yf カーエアコン

指定製品の区分 主な現行の冷媒(GWP) GWP の

目標 目標 年度

冷媒 GWP 値

家庭用エアコン(RAC) R410A 2090

750 2018 HFC-32 675

店舗・オフィス用 エアコン R410A 2090 750 2020

自動車用エアコン (カーエアコン) HFC-134a 1430 150 2023

コンデンシングユニット及び 定置式冷凍冷蔵ユニット

R404A 3920

1500 2025 R410A 2090

R407C 1774

CO2 1

中央方式冷凍冷蔵機器 R404A 3920

100 2019 NH3 <1

出所: 会社資料、BNP パリバ 出所: 環境省、経産省、BNP パリバ

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11 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

冷蔵空調分野における「代替フロン」に関する規制の動向に関して、我々は、1)業務用

冷凍・冷蔵機器、2)家庭用冷蔵庫、3)業務用空調機器、4)家庭用エアコン、5)カー

エアコンの 5 つに分類し、以下に考察を行った。図表 8 は、各空調機器分類に関する冷

機器別の代替フロンの主な種類及び次世代冷媒の候補をまとめた表である。

図表 8: 冷蔵冷凍機器/空調機器別の冷媒の使用状況と次世代冷媒の可能性(候補)

主な代替フロン 主な次世代冷媒(候補) 備考

1)業務用冷凍・冷蔵機器 R404A、R407C、

R410A、HFC-134a 二酸化炭素(CO2、R744)、アンモニア

(NH3、R717)等

CO2冷媒の課題として、1)初期コストが高い(約 1.5~2倍)、2)機器の小型化が比較的難しいなどの課題あり。 NH3は毒性が強く保安対策が必要。

2)家庭用冷蔵庫 イソブタン(C4H10、R600a) (一部、HFC-134a も使用)

大部分はイソブタンへ転換済(一部の機種では代替フロン

の HFC-134a が使用)。

3)業務用空調機器 R407C、R410A、HFC-32

R744(CO2)、HFO-1234yf、R717、プロパ

ン(C3H8、R290)、「AMOLEA」(R1123+R32)等

HFC-32 は、R410A 等の従来品に比べれば、コスト・効率と

も大幅に改善可能。しかし、微燃性の問題がある。

AMOLEA は、旭硝子が開発した R1123 と HFC-32 の混合冷

媒。

4)家庭用エアコン R410A、HFC-32 R744(CO2)、HFO-1234yf、 R290(プロパン)等

ダイキンが開発した R32 は WGP が 675 で、GWP が 2090の R410A に比べ約 1/3 であるため、環境負荷が少ない。

5)カーエアコン HFC-134a HFO-1234yf (独ダイムラーは CO2冷媒も計画)

従来 HFC-134a が使用されてきたが、EU 指令により欧州で

は 2017 年 1 月から、EU 市場で販売されるすべての新車で

GWP150 以下の冷媒の使用が義務付けられる予定。

出所: 経済産業省、日本冷凍空調工業会、東京都冷凍空調設備協会、日本自動車工業会、ダイキン、旭硝子、BNP パリバ

1)業務用冷凍・冷蔵機器

業務用冷凍・冷蔵機器には、現在、R404A、R410A等の代替フロンが主に使用されてい

る。業務用冷凍・冷蔵機器は、1 台当たりの冷媒量が多いため、機器の使用時のフロン排

出量も多くなる。各冷媒の GWP 値は R404Aで 3920、R410A で 2090 と非常に高い。

同機器における主な次世代冷媒には、二酸化炭素(CO2、R744)、アンモニア(NH3、

R717)等が候補として挙げられる。パナソニックは、国内で初めて CO2冷媒を使用した

「ノンフロン冷凍機システム」を販売。5 月 17 日の日本経済新聞によれば、パナソニッ

クはローソン等に、CO2 冷媒の業務用冷凍機を納入しているとのことである。図表 9 は、

同社による現行冷媒 R404A と CO2の比較表である。同社は、CO2冷媒の使用で CO2削減

効果は、約 67%あると述べている(冷媒使用による間接的な影響も含む)。

CO2冷媒のメリットとデメリットは?

CO2冷媒は、代替フロンである HFC に比べて、1)不燃性である、2)毒性がない、3)GWP 値は 1 と極めて低いなどのメリットがある。一方で、デメリットとして、代替フロ

ンから CO2に冷媒を切り替えるとき高圧で作動させる必要があることから構成部品を取

り換える必要があるため、1)コストが高くなる、2)機器の小型化が比較的難しいなど

の課題を乗り越える必要があろう。

図表 10 は、CO2など次世代冷媒と現行冷媒のオゾン破壊係数(ODP)及び地球温暖化係

数(GWP)の比較である。次世代冷媒も現在の代替フロンも、ODP はゼロで共にオゾン

層を破壊する物質は含んでいないが、代替フロンは GWP 値が極めて高いことが分かる。

但し、アンモニア(NH3)は毒性が強い、イソブタン(C4H10)は可燃性が強いなど、次

世代冷媒にも課題はある。

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BNP パリバ株式調査部 鮫島 豊喜

12 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

図表 9: 現行冷媒 R404A と次世代冷媒 CO2の比較 図表 10: 次世代冷媒と現行冷媒との比較

次世代冷媒 現在の冷媒

CO2 NH3 C4H10 R410A R404A

オゾン 破壊係数

ODP 0 0 0 0 0

地球温暖化 係数 GWP 1 <1 3 2,090 3,920

可燃性 不燃 微燃性 強燃性 不燃 不燃

毒性 なし 劇物 なし なし なし

出所: パナソニックの HP を基に BNP パリバ作成 注: 「直接影響」とは、配管等からの冷媒ガス漏れによる影響を示している。CO2を使

用するとこの直接影響がほぼゼロになる。

出所: パナソニックの HP を基に BNP パリバ作成

2)家庭用冷蔵庫

家庭用冷蔵庫には、主に次世代冷媒のイソブタン(C4H10、R600a)が使用される。冷媒

は、1988 年に施行された「オゾン層保護法」によって、1995 年末までにオゾン層を破壊

しない HFC-134aに置き換えられた。しかし、1997 年末に京都で開催された COP3 で

HFC-134a が温室効果ガスに指定され、2002 年から順次イソブタンを使用したノンフロン

冷蔵庫の発売が始まった。現在では、ほとんどの家庭用冷蔵庫が冷媒にイソブタンを使

用している。(一部機種で、HFC-134a を使用する場合もある)。

3)業務用空調機器

業務用空調機器には、主に R407C、R410A等の代替フロンが使用される。しかし、業務

用冷凍・冷蔵機器と同様に、一台当たりの冷媒量が多く、温室効果ガス排出量も多いた

め、次世代冷媒の開発が進んでいる。近年では、ダイキンが開発した低 GWP 冷媒である

HFC-32 が採用されるケースが増えてきている。

旭硝子も、業務用空調機器向けの次世代冷媒の開発に取り組んでいる。2014 年に HFO-1123 と HFC-32 の混合冷媒である「AMOLEA」を発表した。同製品は、従来の冷媒

R410Aと同等の性能を持ちながら、GWP 値を R410Aの約 6 分の 1 まで低減することが

出来る。さらに同社は、2016 年 2 月に冷媒新グレード「AMOLEA®yd」の開発に成功し

たと発表。同製品は、主な用途としてターボ式冷凍機、バイナリ発電機、排熱回収ヒー

トポンプなどで使用が期待される。

4)家庭用エアコン

家庭用エアコン(以下、RAC)には、代替フロン R410A が主に使用されてきた。業務用

空調機器と同様に、最近では低 GWP 冷媒の HFC-32 が普及しつつある。

ダイキンは、世界で初めて、HFC-32 を使用した家庭用エアコンを 2012 年から発売し、

同冷媒の世界中への普及を目指している。同冷媒のメリットは従来の R410A と比較して、

1)温暖化係数が約 1/3 であり省エネ性にも優れている、2)エアコン 1 台あたりの冷媒量

を削減できる、3)使用済みの冷媒を再生・再利用しやすいなど、である。但し、HFC-32 は微燃性があり安全性の面で課題が残るため、更なる改善を目指して次世代冷媒の開

発が行われている。

ダイキンは、HFC-32 を使用した家庭用エアコンを 2012 年度に日本とインドで発売。

2013 年以降、日本を中心に、ダイキン以外の空調メーカからも、相次いで HFC-32(R32)エアコンが発売され、次世代冷媒として HFC-32 が広く認知されるようになった。現在、

東南アジア諸国でラベル規制(インドネシアのエアコンの等級基準)や EER規制

(EER:Energy Efficiency Ratio、エネルギー消費効率)、APF 規制(APF:Annual Performance Factor、通年のエネルギー消費効率値)などの規制強化が行われており、今

後は、ASEAN 諸国で高効率空調機器のニーズは高まる可能性があると、我々は考えてい

る。詳細は、「「アツい」東南アジア」を参照されたい。

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

冷凍 冷蔵 合計

CO2排出量

(

t)

間接影響 直接影響

CO2

R404A

R404A

R404A

CO2

CO2

CO2冷媒の使用で

CO2削減効果は

約67%

Page 13: 株式調査部 BNP パリバ株式調査部...7.メディア報道を利用したバスケットポートフォリオ分析 ..... 29 鮫島 豊喜 若杉 政寛 柳沢 和江 大和

BNP パリバ株式調査部 鮫島 豊喜

13 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

5)カーエアコン

現在のカーエアコンには、主に HFC-134a(GWP は 1430 と高い)等の代替フロンが使用

されている。欧州では EU 指令により、2017 年 1 月から、EU 市場で販売されるすべての

新車で GWP150 以下の冷媒の使用が義務付けられる予定である。これにより、欧州では

低 GWP 冷媒の HFO-1234yf(GWP は 1 未満と極めて低い)へのシフトが起こりつつある。

また、日本ではフロン排出抑制法により、2023 年にはカーエアコン用冷媒は GWP が

150 以下になるように規制される予定となっている。このような日本や欧州の規制導入を

背景に、日本でもカーエアコンに低 GWP 冷媒 HFO-1234yf を使用する動きが高まってこ

よう。

HFO-1234yf はデュポンとハネウェルが共同開発した冷媒で、両社がその特許を持つ冷媒

である。また、旭硝子はハネウェルと協業し、2015 年 4 月から HFO-1234yf を生産して、

その全量を同社に供給している。ドイツ自動車大手のダイムラーは、カーエアコンに使

用する冷媒として 2017 年 1 月から HFO-1234yf を導入すると発表している。

但し、HFO-1234yf も万能ではなく、以下のような課題が残っている。1)安定的に供給

できる冷媒量が限定的、2)可燃性であるため製造プラントでの災害や事故が起こる可能

性がある、3)HFC-134aと比較して導入コストが高い、等である。例えば、ダイムラー

は、HFO-1234yf と並行して、2017 年から「S クラス」と「E クラス」で、CO2を冷媒と

して使用するカーエアコンを先行導入する計画もある。

3-2)パナソニックとダイキンの協業 「パナソニック・ダイキン空調開発センター」に注目 ダイキンとパナソニックの協業の目的の 1 つは、エアコン用の次世代冷媒の開発とその

迅速な普及であろう。本章で見てきたように、冷媒に関する規制は国や地域によって必

ずしも同じではなく、2 社が別々に各国の規制に合った新冷媒を開発することは、費用や

時間の面で非効率的になる可能性がある。両社は 1999 年に包括提携し、「パナソニッ

ク・ダイキン空調開発センター」を設立しており、今後も同開発センターにおいて様々

な取り組みが行われると思われる。

ダイキンは「Fusion 20」で更なる成長へ ダイキンは、エアコンで最も拡大が期待される冷媒の一つである“R32(HFC-32)”を開

発し、各国で規制が強化される中、R32 搭載エアコンの急速な拡大が見込まれる。中国

においては、住宅用マルチエアコンが好調で、最近でも拡大基調を強めている。また、

東南アジアでは住宅用のルームエアコンや、業務用エアコン“VRV(Variable Refrigerant Volume)”が拡大基調である。

同社は、新中計「FUSION 20」において、二つの定量目標を提示した。3 年後の FY3/19には売上高 2 兆 5,000 億円(FY3/16 は 2 兆 437 億円)、営業利益 2,700億円(同 2,179億円)

と力強い成長を目指す。

パナソニックはハスマンの買収を活用 パナソニックの家庭用エアコン事業は、中国ではやや苦戦が続いているが、日本と東南

アジアにおいては強力なブランド力を背景に好調が続いている。業務用冷凍・冷蔵庫や

ショーケースに関しては、パナソニックは既に二酸化炭素を使用した「ノンフロン冷凍

機システム」を販売している。同社は日本だけでなく、買収した米国ハスマンを中心と

して北米・オセアニアでも、コールドチェーン事業を拡大する戦略である。

ダイキンとパナソニックの協業から目が離せない 最先端の冷媒開発面で高い競争力を持つダイキンと、エアコンだけでなく住宅関連製品

で高いブランド力を持つパナソニックの協業は、次世代冷媒の開発とそれを利用したエ

アコンの普及において、非常に強力な組み合わせと思われる。両社の協業がどのような

成果をもたらすのか、今後の動向から目が離せない状況となろう。

アジアのもう一つの重要テーマは? アジアの成長という点では、「低温物流」がもう一つの重要テーマである。次章では、低

温物流市場の事業機会を日本と海外の二つの観点から詳細に分析し、低温物流市場の拡

大により恩恵を受ける可能性がある銘柄として森永製菓、パナソニック、ダイフクに関

して考察する。

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BNP パリバ株式調査部 鮫島 豊喜

14 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

4.冷たくてもアツい“低温物流ビジネス”

4-1)低温物流市場:国内外で市場の拡大が見込まれる低温物流 我々は、日本のみならずアジア各国で市場が拡大傾向にある“低温物流”市場に注目し

ている。“低温物流”とは、低温・定温での温度管理が必要となる商品(主には食品)を、

生産者から消費者までのサプライチェーン全体において厳格な温度管理をしながら、保

管および輸配送する物流形態のことで、“コールドチェーン”と呼ばれることもある。

低温物流は、チルド食品、冷凍食品、生鮮食品などの厳格な温度管理が必要な食品の運

搬や保管を対象としており、配送や貯蔵・保管などの物流システム、コンテナや倉庫等

の設備、および低温食品の在庫管理などにおいて高度な技術・経験・ノウハウが必要と

なる。

図表 11: 低温物流(コールドチェーン)全体の流れ

出所: ニチレイロジグループの HP を基に BNP パリバ作成

日本冷蔵庫協会(JARW:Japan Association of Refrigerated Warehouses)によれば、配送・

保管時の温度指定に関して、一般的に、低温物流は、1)+5℃~+18℃の定温度帯、2)+10℃~-18℃の冷蔵温度帯、3)-18℃以下の冷凍温度帯の 3 温度帯に区分される。更に同

協会は、-40℃以下の低温物流を 4)超低温度帯と定義し、主な超低温度帯における製品

にマグロを挙げている。

図表 12: 低温物流の温度帯別の区分

出所: 日本冷蔵倉庫協会の HP を基に BNP パリバ作成

低温物流市場:年率平均 6%で拡大 矢野経済研究所によれば、低温食品物流市場規模(日系低温物流事業者における販売高

ベース)は 2015 年で 1 兆 4,100 億円(+3.7%y/y)となった。今後も国内外で低温食品に

対する需要が伸びることから市場規模は拡大傾向にある。同市場は、16 年度は 1 兆 4,600 億円(+3.5%y/y)、17 年度は 1 兆 5,500 億円(+6.2%y/y)になると同社は予想する(11 年

から 17 年の CAGR は+6%)。以下、A)日本市場、B)海外市場のそれぞれで、低温物流

市場が拡大する要因を考察していく。

海外産地メーカー

国内産地メーカー

センター前センター

メーカー在庫(冷蔵倉庫)

食品卸在庫(冷蔵倉庫)

小売・外食の

物流センター

コンビニ

スーパー

外食

消費者

超低温(-40℃以下) 冷凍

(-18℃以下) 冷蔵(-18℃~+10℃)

定温(+5℃~+18℃)

マグロ魚介・畜肉、冷凍食品、アイスクリーム、など 乳製品、練り製品、

野菜・畜肉、鮮魚介など

マヨネーズ、チョコレート菓子、

米穀類など

-40℃ -30℃ -20℃-50℃ -10℃ -2℃ 10℃

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15 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

図表 13: 低温食品物流市場規模

出所: 矢野経済研究所(2015/11/25 付プレスリリース「低温食品物流に関する調査結

果 2015」より)

A)日本市場:低温食品需要の拡大と宅配食の広がり

日本市場では、主に、1)低温食品の需要拡大(例えば、コンビニアイスコーヒーやチル

ド食品など)、2)高齢者施設向け給食や宅配食の拡大、などの要因により、低温物流市

場が拡大傾向にあると我々は考えている。

A-1)低温食品需要の拡大

日本においては、コンビニエンスストアや総合スーパーマーケットなどにおいて、コン

ビニアイスコーヒー、チルド食品、アイスクリームなどの低温食品の需要が拡大してい

る。例えば、日本アイスクリーム協会によると、国内のアイスクリーム市場は、2007 年

には約 3706 億円だったが、2015 年には約 4647 億円にまで増加した。国内の経済低成長、

デフレ、少子高齢化などが叫ばれる中、年率約+3%で成長し続けている(図表 14 を参

照)。

また、国内アイスクリームの平均単価をみると、2007 年の 451 円/リットルから、2015 年

には 556 円/リットルまで上昇している。高単価なプレミアムアイスクリームや、従来と

は異なる様々な付加価値が加わったアイスクリームなどの需要の高まりも、平均単価の

上昇に繋がり、市場規模の緩やかな拡大を牽引していると考えられる。

また、近年ではイトーヨーカ堂やイオンなどの大規模小売チェーン店は、“ネットスーパ

ー”ビジネスに注力しており、気候や天気に左右されずに冷凍・冷蔵食品や生鮮品を、

鮮度・品質を保ちながら消費者にタイムリーに配送する“低温物流”の需要が拡大して

いる。

図表 14: 国内アイスクリーム市場 図表 15: 国内アイスクリーム平均単価

出所: 日本アイスクリーム協会 出所: 日本アイスクリーム協会

1,110

1,210

1,3101,360

1,4101,460

1,550

900

1,000

1,100

1,200

1,300

1,400

1,500

1,600

CY

11

CY

12

CY

13

CY

14

CY

15見

CY

16予

CY

17予

(JPY b)

370.6

464.7

300

320

340

360

380

400

420

440

460

480

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(JPY b)国内アイスクリーム市場

451

556

350

400

450

500

550

600

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

(JPY/L)国内アイスクリーム単価

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BNP パリバ株式調査部 鮫島 豊喜

16 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

A-2)高齢者施設給食・宅配食の拡大

高齢者人口が急速に拡大する中で、低温物流技術・ノウハウの高度化に伴い、高齢者施

設給食・宅配食など付加価値の高い低温食品に対する需要増も、低温物流市場の拡大に

繋がっていると考えられる。日本は既に高齢化社会に突入しているが、高齢者人口は今

後も増加基調を辿ると思われる。今後は、高齢者施設や在宅高齢者の増加により、高齢

者施設での給食や在宅配食サービスはますます拡大していくと思われる。

矢野経済研究所によれば、2014 年度の高齢者施設給食の市場規模は 8316 億円(+3%y/y)で、在宅配食サービスの市場規模は 1050 億円(+8%y/y)だった。高齢化社会の中で、両

市場は堅調に拡大し、施設給食・宅配食のための低温物流網に対する需要も同様に増大

していくと考えられる。(矢野経済研究所 2015/8/18 付プレスリリース「メディカル給

食・在宅配食サービス市場に関する調査結果 2015」より)

B)海外市場:アジア圏における低温食品需要の高まり アジア圏では経済成長に伴い、日本国内と同様に低温食品に対する需要拡大が見込まれ

る。アジア圏での低温物流の拡大は主に、1)日系小売企業のアジア市場進出の活発化、

2)新興国の冷凍・冷蔵食品市場の拡大、3)日系物流事業者の業務拡大、などが要因と

して挙げられる。

B-1)日系小売企業のアジア市場進出の活発化:コンビニは店舗網を拡充

中国や東南アジア諸国の経済成長に伴い中間所得層が増大する中で、コンビニや総合ス

ーパーなどの小売業者や外食産業のアジアへの進出が活発になっている。特に近年、コ

ンビニがアジアでの店舗展開を積極化している。中国では、中国コンビニチェーンが台

頭し、また、日本コンビニ大手 3 社の店舗数が増加している。例えば、2016 年 7 月 19 日

の日経新聞によるとローソンは、中国でのコンビニの店舗数を 2020 年までに現在の 4 倍

の 3000 店舖に増やす計画であるという。

図表 16: 中国コンビニ店舗数の推移 図表 17: 各社のアジア地域のコンビニ展開

店舗名 店舗数 コンビニのアジア展開の特長

セブンイレブン 中国 2,237 中国:香港、広州など拡大

東南ア:17 年春ベトナム開

店予定 東南アジア 13,617 アジア合計 29,136

ファミリーマート

中国 1,646 中国:上海、成都、広州な

ど拡大 東南ア:5 年間で東南アジア

に 300 店を設ける予定

東南アジア 1,369

アジア合計 6,029

ローソン

中国 655 海外:2020 年までに海外店

舗数を最大 5,000 店に 中国:2020 年までに店舗数

4 倍に

東南アジア 101

アジア合計 756

美宜佳 8,300 店を運営

(+500~+1,000 店/年で増

加) 中国最大手、広東省が基盤

紅旗連鎖、 快客など約 10 社 各 1,000 店~2,000 店を運営 地盤で集中出店

出所: 中国連鎖経営協会 出所: 各社 HP、BNP パリバ 注: アジア合計は、日本の店舗数は除く。セブンイレブンは 16 年 6 月末、ファミリーマ

ートは 16 年 7 月末、ローソンは 16 年 2 月末時点の店舗数。

中国だけでなく、東南アジアでもコンビニ 3 社の店舗展開は広がっている。ファミリー

マートは、16 年 4 月にマレーシアに進出すると発表。同社は、5 年間で東南アジアに

300 店を設ける予定である。さらに、同社は日本郵政と提携し、国内外店舗基点に海外配

送事業を展開すると発表した。セブンイレブンは、17 年春に 18 ヶ国目となるベトナムで

も開店する予定である。ローソンは、2 社に比べて出遅れた海外展開を積極化し、2020年までに海外店舗数を現在の約 6 倍にあたる最大 5000 店に引き上げる目標を明らかにし

ている。

コンビニを中心とした日系小売業者が中国や東南アジアに進出することを背景として、

低温物流に対する需要は今後順調に伸びていくと、我々は考えている。

66,416

83,004

55,000

60,000

65,000

70,000

75,000

80,000

85,000

2012 2013 2014 2015

(# of stores)

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BNP パリバ株式調査部 鮫島 豊喜

17 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

図表 18: アジア地域(日本除く)の店舗数:セブンイレブン(左)、ファミリーマート(中)、ローソン(右)

出所: 会社 HP。セブンイレブンは 16 年 6 月末、ファミリーマートは 16 年 7 月末、ローソンは 16 年 2 月末時点の店舗数。

B-2)新興国の冷蔵冷凍食品市場の拡大:潜在的な成長性が大きい

新興国の冷蔵冷凍食品市場の潜在的な成長性は非常に高い。アジアにおいては、経済成

長に伴い、所得水準が向上しており先進国と同様に低温食品に対する需要の拡大が見込

まれる。一方で、東南アジアの気候は大部分の地域において熱帯雨林気候であり、しっ

かりとした温度・湿度管理が無ければ、食品衛生面でのリスクが問題となろう。低温食

品に対する需要の拡大は見込まれるが、現状では供給側のインフラ整備が課題と思われ

る。しかし、裏返せば“低温物流インフラ”さえ整えば将来的なビジネスチャンスは大

きいと思われ、アジア拡大戦略は非常に重要であると我々は考えている。

図表 19 は、冷蔵冷凍食品の 1 人あたりの年間市場規模である。英調査会社ユーロモニタ

ーによると、日本やアメリカなどの先進国においては、冷蔵冷凍食品の消費金額は多く、

特に日本においては年間 USD267/人と非常に高い数字となっている。欧州諸国やカナダ

の正確なデータは無いが、欧州やカナダなどの先進国においても、日本やアメリカと同

様に冷蔵冷凍食品の消費金額は高いと思われる。

一方で、中国、タイ、インドネシアにおいては、冷蔵冷凍食品の年間消費額が USD3~6/人となっている。現状においては、日欧米の先進国とアジアの新興国との間で、冷蔵冷

凍食品の消費量に大きな差が見られる。(なお、ユーロモニターのデータの対象製品は、

Processed Frozen Fruit and Vegetables、Chilled Processed Meat、Frozen Processed Meat、Chilled Processed Seafood、Frozen Processed Seafood のみとなっているため、金額自体はや

や小さめとなっていることに留意されたい)

しかし、冷蔵冷凍食品の年間市場規模の“成長率”を見ると、様相は異なる。ユーロモ

ニターによると、図表 20 に示す通り、2015 年から 2020 年までの 1 人あたり冷蔵冷凍食

品市場の年間平均成長率を見ると、高い順に、インドネシアで+12.6%、タイで+9.7%、

中国で+7.4%となっており、中国や東南アジアにおける成長率は高い。“グロース”を取

り込むという観点では、中国や東南アジアにおける冷蔵冷凍食品ビジネス戦略が重要で

あると思われる。

図表 19: 冷凍冷蔵食品の 1 人あたりの市場規模(2015 年) 図表 20: 冷凍冷蔵食品の 1 人あたり市場の年間成長率

出所: ユーロモニター、BNP パリバ 出所: ユーロモニター予想(2015 年~2020 年)、BNP パリバ

01,0002,0003,0004,0005,0006,0007,0008,0009,000

10,000

Thai

land

Kore

a

Taiw

an

Chi

na

Mal

aysi

a

Philip

pine

s

Sing

apor

e

Indo

nesi

a

(# of stores)

7-Eleven: # of stores in Asia (ex-Japan)

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

Taiw

an

Chi

na

Thai

land

Viet

nam

Indo

nesi

a

Philip

pine

s

(# of stores)

FamilyMart: # of stores in Asia (ex-Japan)

0

100

200

300

400

500

600

700

China Thailand Indonesia Philippines

(# of stores)

Lawson: # of stores in Asia (ex-Japan)

267

120

32 30 20 8 7 6 4 30

50

100

150

200

250

300

Japa

n

US

Sout

hKo

rea

HK

Sing

apor

e

Taiw

an

Mal

aysi

a

Chi

na

Thai

land

Indo

nesi

a

(USD perCapita)

冷蔵冷凍食品の一人当たり市場規模

今は小さい市場だが、将

来は先進国に近づこう

12.6%

9.7%

7.4%

4.9%3.2% 3.1% 2.7% 2.7% 2.4%

1.2%

0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

14%

Indo

nesi

a

Thai

land

Chi

na

Taiw

an HK

Sout

hKo

rea

US

Japa

n

Mal

aysi

a

Sing

apor

e

冷蔵冷凍食品の一人当たり市場額伸び率

(2015-2020)

年間成長率が高く、

有望な市場

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BNP パリバ株式調査部 鮫島 豊喜

18 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

需要が拡大する冷凍冷蔵食品の具体例として、東南アジアのアイスクリーム市場を挙げ

る。東南アジアのアイスクリーム市場規模は拡大傾向にある。ユーロモニターによると、

東南アジア 4 ヶ国のアイスクリーム市場は、2015 年に約 1139 億円だったが、21 年には

15 年比 1.9 倍の約 2119 億円に拡大する見通しである(年率+11% CAGR)。

旺盛なアイスクリーム需要を受けて、アイスクリームを各地に配送するための低温物流

網の整備も同様に進んでいる。今後は、中間所得層の拡大に加えて、コンビニエンスス

トアや高度な低温物流網の発達により、東南アジアにおけるアイスクリーム市場は高い

成長を遂げると我々は考えている。

図表 21: 東南アジア 4 カ国のアイスクリームの市場規模

出所: ユーロモニター。タイ、インドネシア、マレーシア、シンガポールの合計を使用。

B-3)日系物流事業の拡大:アジアの低温物流に進出

日系低温物流事業者のアジア進出が進んでいる。日系物流業者のアジア進出が進む理由

は、様々な取扱いノウハウ、ドライバーの納品態度、輸配送の仕組みづくりなどの質が

高いためである。物流においては、“誤配”、“遅配”、“破損”の 3 点においてミスが無い

ことが大前提となり、その上に低温物流に関する高い技術が必要となる。日系の物流企

業は、この点において技術レベルが非常に高く、アジアへ進出した場合でもスムーズに

事業拡大へとつなげることができる。

図表 22 及び 23 は、日系企業の冷蔵倉庫設備能力と売上高のランキングである。冷蔵倉

庫の設備能力及び低温物流事業の売上高トップは、ニチレイロジグループである。同社

は複数メーカの低温食品を冷蔵冷凍物流センターに集約し、小売業者や外食産業向けに

共同配送を行っている。同社は、2004 年に中国、2013 年にタイに進出しており、アジア

における物流事業の拡大に注力している。

図表 22: 主要冷蔵倉庫の設備能力 図表 23: 主要低温物流企業の売上高

出所: ニチレイロジグループ、日本冷蔵庫協会(2016 年 4 月時点) 出所: 各社 HP、ニチレイロジグループ

同社は、図表 24 に示すように、新中期経営計画(2016-2018)において、新事業領域に

0

50

100

150

200

250

2011

2012

2013

2014

2015

2016

E

2017

E

2018

E

2019

E

2020

E

2021

E

(JPY b)Indonesia Thailand Malaysia Singapore

113.9

211.9

0 500 1,000 1,500 2,000

二葉

キューソー流通システム

鴻池運輸

松岡

日水物流

東洋水産

C&FロジHD

マルハニチロ物流

横浜冷凍

ニチレイロジグループ

(千トン)

冷蔵倉庫の設備能力

0 50 100 150 200

横浜冷凍

SBSフレック

C&Fロジ

ハマキョウレックス

キューソー流通システム

ニチレイロジグループ

(JPY b)

主要低温物流企業の売上高

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BNP パリバ株式調査部 鮫島 豊喜

19 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

「有力コンビニエンスストアへのソリューション提供」(市場規模:1500 億円)や「宅

配・通販業者との協業」(同 770 億円)などを掲げている。さらに、未開拓エリアに

ASEAN 地域を上げ、ASEAN の物流システムの開拓に乗り出し始めている。同社だけで

なく、同業の鴻池運輸、横浜冷凍なども東南アジアに進出しており日系物流企業進出に

よる更なる低温物流インフラの拡充が期待できよう。

さらに、図表 25 に示すように、様々な日系物流企業が中国や東南アジア市場に進出して

いる。中国では主に沿岸部を中心に、冷凍冷蔵倉庫の整備が急速に進められている。中

国政府は、2014 年に「物流業中期発展計画(2014-2020 年)」を発表し、2020 年に向けて

低温物流インフラの整備・拡充・近代化計画を打ち出している。

同計画に基づき、現在は中国全地域において大規模な冷凍冷蔵倉庫整備計画が進行して

いる。今後は、中間所得層の拡大に伴い、冷凍冷蔵食品の需要増が見込まれる内陸部の

都市においても低温物流網の整備が拡大する見込みである。中国における低温物流イン

フラの整備は、依然として様々な課題があるが、中長期的には先進国と同様な低温物流

インフラが整備され、低温食品市場が一層の拡大を果たすであろう。

図表 24: ニチレイロジ:新事業領域と未開拓の市場規模 図表 25: 主な日系物流事業者のアジアへ進出の事例

低温物流の新事業領域と未開拓エリア 市場規模 (JPY b)

新事業領域

宅配・通販業者との協業 77

有力 CVS へのソリューション提供 150

農業分野 195

未開拓エリア

国内 30

ASEAN

ベトナム 150

インドネシア 110

フィリピン 80

マレーシア 75

国名 都市名 進出する日系物流企業の事例

中国

北京 日本通運

大連 ホウスイ ナカムラロジスティクス

青島 伊藤忠ロジスティクス 鴻池運輸 ナカムラロジスティクス

広州・深セン 日本通運

タイ バンコク

横浜冷凍 五十嵐冷蔵 鴻池運輸 川崎汽船

ベトナム ホーチミン 鴻池運輸

出所: ニチレイロジグループ 出所: 国土交通省

4-2)低温物流銘柄:森永製菓、ダイフク、パナソニック 森永製菓:拡大する国内外のアイスクリーム市場が利益成長を牽引 森永製菓の冷菓事業の FY3/16 の売上高は 324 億円(+8%y/y)で、全社の売上高に占める

割合は 17.8%だった(図表 26 を参照)。図表 27 は、冷菓事業の売上高の推移(当社予想

含む)である。FY3/12 に 255 億円だった同事業の売上は、FY3/16 には 324 億円まで伸び

た。FY3/19 に向けて年率+5%CAGR(FY3/12-19)で伸びると、我々は考えている。

日本アイスクリーム協会の調査によれば、FY3/16 の国内のアイスクリーム市場は前年比

+6.4%増の 4647 億円と、4 年連続で拡大した(図表 14 参照)。FY3/16 の同社の冷菓事業

売上高は+8%y/y で伸びたことから、市場をアウトパフォームする伸びを示したことが分

かる。同社決算資料(FY3/16 通期)によれば、アイスクリームは価格改定後も売上が好

調に推移している。特に 15 年連続売上が伸びた主力商品の「チョコモナカジャンボ」の

売上は、FY3/16 で前年比+12%と高い伸びを示した(尚、同社のアイスクリームの国内シ

ェアは 8%)。

今後、同社は、1)主力アイスクリームのブランド力強化に加え、2)プレミアム商品

(高価格帯ブランド)のブランド創出に注力する計画である。さらに、冷凍物流網の拡

大に後押しされ冷菓事業を海外展開する可能性もあろう。現在、同社の海外事業の主力

商品はハイチュウであり、タイやインドネシアでの評価が高い。

今後は、セブンイレブン等の日系コンビニのアジアでの展開と共に、彼らの強力な販売

網を活用して、アジアにおいてアイスクリームを市場投入することも視野に入ってこよ

う。仮に、「チョコモナカジャンボ」を主力とするアイスクリームの拡販に成功すれば、

同社の利益成長に大きく貢献することは想像に難くないであろう。

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BNP パリバ株式調査部 鮫島 豊喜

20 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

図表 26: 森永製菓:事業別の売上高比率 図表 27: 森永製菓:冷菓事業の売上高推移

出所: 会社資料 出所: 会社資料、BNP パリバ予想

ダイフク:日本初の冷凍自動倉庫システム・サプライヤー 同社は物流システムの保管、搬送、仕分けピッキングの 3 つのマテハン要素すべてに自

社製品で対応できる総合・専業メーカである。1937 年の創立以来、自動車生産ラインか

ら始まり、製造業・流通業、さらに農業・水産、サービス業等あらゆる業種また世界各

国にビジネスを拡大し、現在マテハン事業では世界トップクラス。

同社の冷蔵・冷凍倉庫ビジネスの歴史は古く、1973 年に日本初の冷凍自動倉庫システム

を販売以来、拡大する低温物流需要に対応してきた。同社は冷蔵・冷凍倉庫の売上高を

開示していない。しかし、ダイフクがターゲットとしている国内物流市場のうち低温食

品物流の売上シェアが約 35%(FY14 矢野経済研究所調べによる)である事を踏まえると、

当社ではダイフクの冷蔵・冷凍倉庫向け売上は、約 300-400 億円程度、売上構成比は約

11%になると推定する。ダイフクの食品・倉庫向け売上高は過去 3 年(FY3/14-16)の

CAGR が 32%増収となっており、高い成長を示している。ダイフクでは冷蔵・冷凍倉庫

は同業界のグロースドライバーであると認識している。

ダイフクは毎年アニュアルレポートにおいて、特に象徴的、先進的なビジネス事例を公

表している。ダイフクによると、冷蔵・冷凍庫事業では、昨今、倉庫会社や大手食品会

社が運用する冷凍倉庫だけでなく、JA やコープ、e コマースなど、いろいろな業界で冷

凍・冷蔵倉庫の需要が増加している。さらに日本だけでなく、アジア圏におけるローカ

ルメーカーによるダイフクのマテハンシステム採用も増えている模様。

E コマースの代表例としては、アジアの流通業最大手の 2014 年の事例が挙げられる。オ

ンラインショッピングの商品を扱う物流センター(敷地面積 1 万 538 平米、延べ床面積

1 万 4605 平米、地上 4 階、地下一階の規模)に、2 万 SKU(stock keeping unit, 最小管理

単位)、3 温度帯(常温、冷凍、冷蔵)の商品を効率的にピッキングできる、デジタルピ

ッキングシステムなど最新のマテハンシステムをダイフクが提供した。これにより、同

物流センターの生産性は 4 倍に向上し、欠品率が従来の 2%から 0.2%へ改善、更に 15:30までの注文の当日配送が可能になったという。

過去には、2011 年 9 月にインドネシア最大級の水産加工会社、Indomaguro Tunas Unggul向けビジネスがインドネシア初の冷凍自動倉庫事例となった。Indomaguro 社はインドネ

シア最大の漁港ムアラバル内に施設があり、水揚げされたマグロを-50 度の冷凍庫に、加

工されたマグロ、甘海老、サーモンなどを-30 度の冷凍庫にそれぞれ保存していたが、作

業の効率性、出庫ミス、倉庫の保管能力のなどに大きな問題点を抱えていた。ダイフク

の高層保管の可能なパレット自動倉庫を導入し、保管能力が従来と比べ約 10 倍アップし、

導入後水産物(100 アイテム)のほかフライドポテト、アイスクリーム、牛肉などが取り

扱えるようになった。更に、全自動操作により、出庫ミスがなくなるとともに、従来 20名体制であった入出庫管理作業が半分以下の 8 人で行えるようになり、作業がスピード

アップ、加えて温度管理精度が上がった。

菓子食品63.3%

冷菓17.8%

健康13.7%

その他5.2%

セグメント別売上(FY3/16)

25,45026,457

28,82729,936

32,38134,300 35,200

36,300

20,00022,00024,00026,00028,00030,00032,00034,00036,00038,000

FY3/

12

FY3/

13

FY3/

14

FY3/

15

FY3/

16

FY3/

17E

FY3/

18E

FY3/

19E

(JPY m)冷菓

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21 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

その他、2011 年の北欧最大手の食品スーパー向けの 3 温度帯商品の一括管理システムや

14 年 2 月のヤクルト向けの生産ラインと連動した完全自動の冷蔵庫システムなどのコス

トコントロールだけでなく、生産、売上高の改善に寄与する案件が多いのが特徴。

当社では、前述の通り、コールドチェーンは全世界的に大きな需要があると考えており、

ダイフクのマテハン事業規模はまだ小さいものの、今後の成長性は高いと期待している。

図表 28: ダイフクによる仕分けの自動化ソリューション

出所: ダイフク

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22 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

パナソニック: ハスマン社買収で本格拡大期へ パナソニックが B2B事業に戦略の軸をシフトさせていることは、株式市場においては広

く知られている。同社の B2B事業では、航空機のインフライトエンタテイメントシステ

ム関連ビジネス(アビオニクス事業)が、優良事業として有名である。同社は、アビオ

ニクス事業に続くものとして、“食品流通”事業を大きな柱に育てようと考えている。

食品流通事業には、1)旧三洋電機の事業(冷凍冷蔵ショーケースや業務用冷蔵庫など)

に加えて、2)2016 年に買収により加わったハスマン社の事業(冷凍冷蔵ショーケースな

ど)、の二つが主要事業となっている。同社の、食品流通事業は、低温物流サプライチェ

ーンにおいて、食品を「冷やす」という重要な役割を果たすショーケースが中心となっ

ている。

パナソニックによると、食品流通市場の 2015-18 年の成長率は約 4.5%弱、業界平均営業

利益率は 10%弱となっており(図表 29 を参照)、同社からみた事業の魅力度は高い。食

品流通事業は、同社における「高成長事業」に位置付けられており、今後の事業の方針

としては、1)積極的な非連続投資を行い、グローバルでの高成長を果たす、2)リソー

スを大胆に拡充し、商品・営業力を強化、を打ち出している。

図表 29: パナの食品流通(低温物流)位置づけ 図表 30: 食品流通がパナの売上成長を牽引

出所: パナソニックのプレゼンを基に、BNP パリバ作成 出所: パナソニックのプレゼンを基に、BNP パリバ作成

パナソニックは、ルームエアコンや家庭用冷蔵庫で、従来から「冷やす」ことに関して

は高いノウハウを有している。また、三洋電気の買収により業務用冷凍・冷蔵庫やショ

ーケースを事業ポートフォリオに加えることになった。

そして、2016 年 4 月にアメリカのハスマン社を完全子会社化し、アメリカやオセアニア

において冷凍・冷蔵ショーケース、およびサービス・メンテナンスビジネスが新たに加

わった。これらの製品は、将来的にパナソニックが低温物流市場の成長を取り込むため

に非常に有益であると思われる。

パナソニックはハスマンを買収し、北南米、豪州の冷凍・冷蔵ショーケースを製品ライ

ンアップとして加えることになった。我々のカバレッジでは、ホシザキが業務用冷凍・

冷蔵庫やショーケースのビジネスを行っており、一部の製品でパナソニックと重なるビ

ジネスがある。しかし、ホシザキとパナソニックでは、主力製品やターゲット顧客、

M&A 戦略などにおいて違いがはっきりしている部分もあり、次章でホシザキとパナソニ

ックのビジネスモデルについて深く掘り下げた比較分析を行っている。

市場成長率

業界平均営業利益率

0.0 2.0 4.0

5

10

食品流通エアコン

“食品流通”は、市場成長率、

営業利益率が高く有望な市場

5.03.01.00

(%)

(%)

FY3/

16 A

エアコン

食品

流通

スモール

・ビル

トイン

メジャー

デバ

イス AV

FY3/

19E

会社

目標

FY3/162.5兆円

FY3/19E2.8兆円

“食品流通”が売上成長を牽引

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23 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

5.ホシザキとパナソニックのディープダイブ比較

5-1)製品・サービスの比較 ホシザキとパナソニックを主力製品・サービス面で比較すると、やや大雑把な言い方で

はあるが、ホシザキは“ワンストップ・ソリューション型”で、パナソニックは“小売

店用ショーケース重点型”になっていると思われる。

ホシザキ:ワンストップ・ソリューション型

ホシザキの 2015 年 12 月期売上構成比をみると、製氷機 17.8%、冷凍冷蔵庫 25.5%、食器

洗浄機 6.8%、ディスペンサ 12.4%、他社仕入品 11.8%、保守・修理 16.5%、その他 9.3%となっている。ホシザキは特定の製品ありきではなく、顧客が必要とするもの(製氷機、

冷凍冷蔵庫、食器洗浄機、ディスペンサだけでなく他社仕入品など)を製品ラインアッ

プとして幅広く取り揃えている。

ホシザキによると、製氷機で 66%(2016 年度 2Q)、冷凍冷蔵庫で 43%(2016 年度 2Q)、

生ビールディスペンサで 69%(2016 年度 2Q)、食器洗浄機で 45%(2013 年)と、様々な

製品において国内の売上台数ベースでトップシェアを有している。

“ワンストップ・ソリューション”を提供するホシザキのビジネスモデルは顧客側から

すれば、「ホシザキに相談すれば最適な製品やサービスを提供してくれる」という有難い

存在であるといえよう。最近では、同社は冷凍冷蔵関連製品だけでなく、冷蔵関連のノ

ウハウを応用して“業務用空調”の販売やメンテナンス事業も強化している。ホシザキ

は、“顧客ソリューション型”のビジネスモデルを追及していると、我々は理解している。

図表 31: ホシザキの製品別売上(2015 年 12 月期) 図表 32: ハスマンの製品別売上内訳(2014 年)

出所: ホシザキ、BNP パリバ 出所: パナソニック、BNP パリバ

パナソニック:ショーケース注力型

パナソニックは、業務用冷凍冷蔵庫や製氷機も製品ラインアップとして取り揃えている

が、業務用ショーケースが主力製品であると我々は理解している。ショーケースとは、

小売店で“冷蔵・冷凍が必要な食品を陳列する棚”であり、実際にイトーヨーカ堂やイ

オンなどのスーパーマーケットに行くと、“パナソニック”の名前がついた冷蔵・冷凍シ

ョーケースを見つけることができる。また、アメリカの業務用ショーケース大手のハス

マンを買収したことからも、パナソニックはショーケースが主力製品であると思われる。

ハスマン買収発表時の資料を見ると、2014 年の売上高は約 USD1.1b であった。製品別の

内訳は、ショーケースが 39%。施工およびサービスが 30%、食品流通業界向けその他商

材 18%、冷凍機が 10%、後付部品が 3%となっており、ショーケースの比率が最も高い。

但し、パナソニックの今後の戦略は、ショーケースだけを拡大するわけではなく、例え

ばハスマンの既存の顧客に、パナソニックが高い競争優位性を有する業務用空調機器な

ど様々な製品を拡販していくことであると思われる。

製氷機17.8%

冷凍冷蔵庫25.5%

食器洗浄機6.8%

ディスペンサ12.4%

他社仕入品11.8%

保守・修理16.5%

その他9.3%

ショーケース39.0%

施工・サービス30.0%

その他31.0%

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24 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

5-2)顧客・営業戦略の比較 ホシザキとパナソニックを顧客・営業戦略面で比較すると、ホシザキは“小・中規模顧

客に対して密着サービス”を提供し、パナソニックは“大規模小売店用に対して効率的”

にビジネスを展開していると思われる。

ホシザキ:小・中顧客に密着営業 ホシザキの強みは強力な営業体制を構築し、競合企業のサービスが疎かになりがちな

小・中規模な顧客を取り込めている点であろう。小・中規模な飲食店や小売店は、営業

や保守・サービス面で手数がかかるという面があるが、一方でボリュームディスカウン

トのような価格面のプレッシャーは大きくなかろう。また、顧客と一旦良好な関係を構

築すると、買い替え時やそれ以外の関連製品購入時でもホシザキを指名することになる。

また、同社は飲食店だけでなく、病院・老健、商店、学校・保育園、オフィス・工場、

宿泊施設など、バランスの良い顧客ポートフォリオを目指しており、収益の成長と安定

化の両方を見据えているのが分かる。「困った時はホシザキに相談」というホシザキのビ

ジネスモデルに対する需要は、様々な業界で増加していくと我々は考えている。

パナソニック:大型チェーン顧客に効率営業

パナソニックは、ホシザキとはやや対照的で、大規模小売りチェーン店などの大きな顧

客をターゲットにし、営業担当者をそれ程多く抱えなくても大量に製品を販売できる効

率的な顧客・チャネル戦略であると思われる。営業・販売にコストを多くかけない一方

で、ボリュームディスカウントを含めて大規模な顧客からは価格プレッシャーは相対的

に大きいと思われる。

パナソニックは、同事業の詳細な収益構造を公表していないため、ホシザキとの収益構

造を比較できない。しかし、ビジネスモデルから推定するに、パナソニックの粗利率は

(大規模顧客への大量販売に伴うボリュームディスカウントなどにより)ホシザキの粗

利率(2016 年度 2Q で 40%)より低く、その代わりに(販売にコストがかからないため)

販売管理費率は低い収益構造になっている可能性が高かろう。

5-3)M&A 戦略の比較 M&A の観点から両社を比較してみると、パナソニックに比べてホシザキの方が、事業拡

大のために M&A を積極的に推し進めてきた印象である。

ホシザキは、戦略的な M&A を約 10 年前から積極的に進めてきた。ホシザキの過去 10 年

の M&A の歴史を見ると、2006 年に米国の飲料ディスペンサ大手の LANCER 社を買収し、

米国およびオセアニアでの事業拡大を本格化させた。その後は、2008 年にデンマークの

業務用冷蔵庫メーカ GRAM 社、2013 年にはインドの業務用冷蔵庫メーカ Western Refrigeration Private 社を買収し、米国の Jackson MSCから食器洗浄機事業を取得した。

更に、同年にはブラジルのフードサービス機器メーカ Macom 社を買収し、南米市場へ本

格進出を果たした。そして、2015 年には中国の業務用冷蔵庫機器メーカの愛雪社の持分

を取得し、中国市場において本格的に事業拡大を推し進めている。

パナソニックは、2009 年の三洋電気買収により食品流通・コールドチェーンビジネスに

本格参入した。パナソニックは、同事業を日本やアジアで展開してきた。そして、2016年 4 月にアメリカの業務用ショーケース大手ハスマン社を買収し、アメリカ、オセアニ

ア、南米での事業拡大を加速させる戦略である。

5-4)海外展開の比較 海外における事業拡大という点では、両社の M&A に対する取り組みの差が海外展開の

差に繋がっていると思われる。ホシザキは、アメリカ、南米、東南アジア、インド、欧

州、豪州など世界のほぼ全地域において既にビジネスを展開している。

一方、パナソニックはアメリカ、豪州、南米市場での事業展開を 2016 年になり漸く始め

たばかりとも言え、また、欧州地域での展開が今後の課題として残っていると思われる。

但し、ホシザキの売上のうち日本が占める割合が依然として約 2/3 を占めており、ホシザ

キも海外事業の拡大は機会であると同時に今後の課題でもあろう。

また、ホシザキに関して我々が非常にユニークだと感じている点は、2016 年度第 2 四半

期の決算業績説明資料に、米ドル、ポンド、ユーロ、シンガポールドルからデンマーク

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BNP パリバ株式調査部 鮫島 豊喜

25 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

クローネ、インドネシアルピア、タイバーツ、マレーシアリンギットまで、実に 14 の国

と地域の為替前提を掲載している点である。同社は、グローバルに事業を展開しながら、

各国と地域において厳格な収益管理を行っている印象である。

図表 33: ホシザキとパナの主要製品と海外展開まとめ:ホシザキはグローバルに展開を進める

出所: ホシザキ、パナソニック、BNP パリバ予想 注:○○○は注力度もしくは事業規模が大きい、○は注力度もしくは事業規模が小さい、○○はその中間を表す

5-5)収益性に対する考え方の比較 ホシザキの収益性に対する要求水準は、かなり高いと我々は考えている。同社は企業買

収時の基準の一つとして、買収後の営業利益率(OPM)が買収前と比較して低くならな

いことを重要視し、事業規模の拡大と収益性の向上の両立を目指していると思われる。

ホシザキの最近の OPM 実績を見ると、2015 年 2Q が 13.7%、2016 年 2Q が 15.2%となっ

ており、同社の高収益体質が見て取れる。OPM に関しては、もはや 2 ケタ OPM は目標

ではなく、OPM15%を安定的に達成しながらターゲットを 20%へ引き上げる段階に来て

いると言えよう。

パナソニックの収益性に対する考え方は、(目標 2 ケタ OPM という点において)ホシザ

キに似ている点があるが、実際の収益性はパナソニックの方が改善の余地が大きいかも

しれない。同社は食品流通事業だけの収益性ターゲットは公表していないが、食品流通

を含む B2B事業において、2020 年以降のありたい姿として“OPM10%”という目標を発

表した(2016 年 3 月 31 日発表)。これまでは、全社で OPM5%というターゲットしか示

していなかったが、B2B に関しては OPM2 ケタを明確な目標としたのはポジティブと言

えよう。

パナソニックよ、君ならもっとできるはずだ 但し、2018 年度(FY3/19)の B2B 事業の OPM ターゲットは、依然 6.9%と決して高くな

い。パナソニックの B2B事業は、必ずしも食品流通の OPM を表さないので、ホシザキ

とパナソニックの B2B事業の OPM を直接比較することは適当ではないかもしれない。

しかし、既に OPM15%を達成したホシザキと比べると、FY3/19 におけるパナソニックの

B2B 事業ターゲット OPM6.9%が見劣りするのは否めない。

パナソニックをカバーする当社アナリスト若杉は、村田製作所(FY3/16A: OPM22.7%)

や日本電産(同 10.6%)などの高収益体質のエレクトロニクス企業も担当しているが、

パナソニックの B2B事業であれば、OPM10%と言わず 15%をターゲットとしても良いの

ではないかと考えている。

業務用冷凍・冷蔵庫 ショーケース 製氷機、ディスペンサ 業務用空調

ホシザキ パナ+ハスマン ホシザキ パナ+ハスマン ホシザキ パナ ホシザキ パナ日本 ○○○ ○○ ○ ○○○ ○○○ ○ ○ ○○○

(パナ) (パナ) (エアコン)

中国 ○○○ ○○ ○ ○○○ ○ ○ - ○○○(愛雪) (パナ) (パナ)

東南アジア ○ ○○ ○○○ ○○○ ○○ ○ - ○○○(パナ) (Western) (パナ)

北米 ○○○ ○ ○ ○○○ ○○○ - - -(ハスマン) (ハスマン) (LANCER)

中南米 ○○○ ○ - ○○ ○○○ - -(Macom) (ハスマン) (ハスマン) (Macom)

欧州 ○○ - ○ ○○○ - - -(GRAM) ワインクーラ (GRAM)

豪州 ○ ○ ○ ○○○ ○○ - - -(ハスマン) (ハスマン) (LANCER)

やや手薄か

あまり注力してない?

ハスマンを活用して拡大か?

やや手薄か

日本での成功を横展開したい?

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BNP パリバ株式調査部 鮫島 豊喜

26 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

5-6)株価パフォーマンスの比較:ホシザキがアウトパフォーム 最後に、ホシザキとパナソニックの過去の株価パフォーマンスの差を見てみる。期間は

リーマンショック後の 2009 年以降、毎年の年初から 2016 年 8 月 31 日までのパフォーマ

ンス(ケース 1~7)と、直近 1 年間のパフォーマンス(ケース 8)を対象とした。イベン

トの異常性を考慮し、リーマンショック期間のパフォーマンスは分析対象から外してい

る。

見事なまでのホシザキのパフォーマンス 次の表から分かるように、ホシザキは全ケースにおいてパナソニックに対して大きくア

ウトパフォームした。ケース 1(期間:2009/01/01-2016/08/31)では、Topixの+55%に対

して、ホシザキは+955%、パナソニックは-5%であった。また直近 1 年のケース 8(期

間:2015/09/01-2016/08/31)では、TOPIX の-10%に対して、ホシザキは+11%、パナソニ

ックは-18%となっている。ホシザキの経営努力は、高い株価パフォーマンスとしても明

確に結果が出ていると思われる。

図表 34: ホシザキとパナソニックの株価パフォーマンス比較:ホシザキがアウトパフォーム

ケース 1 ケース 2 ケース 3 ケース 4 ケース 5 ケース 6 ケース 7 ケース 8

09/01/01-16/08/31 10/01/01-16/08/31 11/01/01-16/08/31 12/01/01-16/08/31 13/01/01-16/08/31 14/01/01-16/08/31 15/01/01-16/08/31 15/09/01-16/08/31

ホシザキ 955% ホシザキ 523% ホシザキ 450% ホシザキ 357% ホシザキ 261% ホシザキ 121% ホシザキ 42% ホシザキ 11%

Topix 55% Topix 46% Topix 358% Topix 82% パナソニック 103% Topix 2% Topix -6% Topix -10%

パナソニック -5% パナソニック -20% パナソニック 337% パナソニック 62% Topix 55% パナソニック -13% パナソニック -26% パナソニック -18%

出所: Bloomberg、BNP パリバ

パナソニック経営陣の本気の取り組みに期待

リーマンショック後のパナソニックの状況は、液晶 TV、プラズマ TV、液晶パネル、半

導体、などの様々な B2C 事業関連製品の収益悪化との戦いであった。FY3/17 に関しては、

「意志を込めた減益」とマネジメントが発言しているように、将来の利益成長のための

先行投資により営業利益は前年比で減益となるガイダンスとなっており、株価が急に反

発する状況とはなっていない。

しかし、パナソニックはこの状況に決して甘んじているわけではなく、FY3/19 には OPで 4500 億円(IFRS ベース、FY3/17OP ガイダンスは 3100 億円)を達成する計画を打ち出

している。同社は、高い競争力を持つ車載用二次電池やインフォテイメントシステムお

よび ADAS 関連製品で着実に受注を積み重ねている。そして、本レポートで考察した空

調関連ビジネスや、ハスマン買収を契機に拡大基調を強める食品流通関連ビジネスが将

来の利益成長を牽引しよう。FY3/17 の「意志を込めた減益」を脱する FY3/18 と FY3/19に、営業利益は大きく拡大すると我々は考えている。

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BNP パリバ株式調査部 鮫島 豊喜

27 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

6. 当社カバレッジの CoT8 銘柄のバスケットポートフォリオ分析

我々は、BNP パリバ株式調査部が推奨する“CoT8 銘柄”(ダイキン、パナソニック、ホ

シザキ、新晃工業、ダイフク、7&i HD、日本電産、森永製菓)を等ウエイトで組成した

ポートフォリオ(以下、「CoT8 ポート」)のパフォーマンス分析を行った。図表 35 は、

「CoT8 ポート」のパフォーマンス及び指数との比較をまとめた表である。

期間はリーマンショック後の 2009 年以降、毎年の年初から 2016 年 8 月 31 日までのパフ

ォーマンス(ケース 1~7)と、直近 1 年間(2015 年 9 月 1 日から 2016 年 8 月 31 日まで)

のパフォーマンス(ケース 8)を分析した。例えばケース 3 の場合、2011 年 1 月 1 日か

ら 2016 年 8 月 31 日の期間(4 年 8 か月間)において、「CoT8 ポート」のリターンは

+227%で、Topix(+48%)に対して 179%、日経 225(+65%)に対して 161%と大きくア

ウトパフォームしたことを意味している。

結論:「CoT8 ポート」は全てのケースでアウトパフォーム

「CoT8 ポート」は、全てのケースで Topix、日経 225 の両方にアウトパフォームした。

ケース 1(期間:2009/01/01-2016/08/31)では、Topix の+55%に対して、「CoT8 ポート」

のリターンは+347%で、+292%と最もアウトパフォームした(図表 36 を参照)。「CoT8 ポ

ート」を構成する銘柄はテーマ銘柄であることに加えて、個々のファンダメンタルズが

強いことも、パフォーマンスが良い一つの要因であると考えている。

図表 35: 「CoT8 ポート」のパフォーマンス比較:全てのケースでアウトパフォーム

期間 パフォーマンス vs. Topix vs. 日経 225

ケース 年月 From To ポート Topix 日経 225 勝敗 差 勝敗 差

1 7Y+8M 1/1/2009 8/31/2016 +347% +55% +91% Win +292% Win +256%

2 6Y+8M 1/1/2010 8/31/2016 +225% +46% +60% Win +178% Win +164%

3 5Y+8M 1/1/2011 8/31/2016 +227% +48% +65% Win +179% Win +161%

4 4Y+8M 1/1/2012 8/31/2016 +272% +82% +100% Win +189% Win +172%

5 3Y+8M 1/1/2013 8/31/2016 +207% +55% +62% Win +152% Win +144%

6 2Y+8M 1/1/2014 8/31/2016 +77% +2% +4% Win +75% Win +73%

7 1Y+8M 1/1/2015 8/31/2016 +34% -6% -3% Win +39% Win +37%

8 1Y 9/1/2015 8/31/2016 +9% -10% -7% Win +19% Win +16%

出所: Bloomberg、BNP パリバ 注: 該当期間の途中で上場した銘柄は、上場日当日から組み入れた。

図表 36: 「CoT8 ポート」:ケース 1(期間:2009/01/01-2016/08/31)の累積リターン

出所: Bloomberg、BNP パリバ 注:該当期間の途中で上場した銘柄は、上場日当日から組み入れた。

各構成銘柄のパフォーマンスは?

図表 37 は、「CoT8 ポート」を構成する 8 銘柄のパフォーマンスである(比較対象として、

8 銘柄のパフォーマンス平均と Topix を加えた)。全ケース(期間)において、ホシザキ

はパフォーマンスが良く、8 銘柄のパフォーマンス平均より高く、Topix をアウトパフォ

347%

55%

-50%0%

50%100%150%200%250%300%350%400%

Jan-

09

Apr-0

9

Jul-0

9

Oct

-09

Jan-

10

Apr-1

0

Jul-1

0

Oct

-10

Jan-

11

Apr-1

1

Jul-1

1

Oct

-11

Jan-

12

Apr-1

2

Jul-1

2

Oct

-12

Jan-

13

Apr-1

3

Jul-1

3

Oct

-13

Jan-

14

Apr-1

4

Jul-1

4

Oct

-14

Jan-

15

Apr-1

5

Jul-1

5

Oct

-15

Jan-

16

Apr-1

6

Jul-1

6

CoT8 porfolio TPX Index

+292%

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BNP パリバ株式調査部 鮫島 豊喜

28 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

ームした。同様に、森永製菓はケース 1 を除き、平均より高く、Topix をアウトパフォー

ムした。

一方で、パナソニックはケース 5 以外で Topix をアンダーパフォームするという残念なパ

フォーマンスであった。様々なアンラッキーな要素もあろうが、パナソニックは、株主

に対しては十分な責任を果たせていないように思われる。パナソニックは FY3/19 に

OP4500 億円の達成を中期経営計画の目標として掲げており、経営陣はこの目標を達成し

株式市場からの信認を獲得する必要があろう。パナソニックの“意地”を見せてほしい

と我々は考えている。

図表 37: 各ケースにおけるカバレッジ 8 銘柄のリターン

ケース 1 ケース 2 ケース 3 ケース 4 ケース 5 ケース 6 ケース 7 ケース 8

09/01/01-16/08/31 10/01/01-16/08/31 11/01/01-16/08/31 12/01/01-16/08/31 13/01/01-16/08/31 14/01/01-16/08/31 15/01/01-16/08/31 15/09/01-16/08/31

ホシザキ 955% ホシザキ 523% ホシザキ 450% 新晃工業 405% 森永製菓 351% 森永製菓 286% 森永製菓 164% ダイキン 37%

新晃工業 459% 新晃工業 352% 新晃工業 358% 森永製菓 361% 日本電産 271% ホシザキ 121% ホシザキ 42% 森永製菓 34%

日本電産 442% 森永製菓 328% 森永製菓 337% ホシザキ 357% ホシザキ 261% 日本電産 81% 平均 34% 新晃工業 11%

平均 347% 平均 225% ダイキン 233% ダイキン 355% ダイキン 226% 平均 77% ダイフク 32% ホシザキ 11%

森永製菓 321% ダイフク 203% 平均 227% ダイフク 353% ダイフク 224% 新晃工業 58% ダイキン 23% 平均 9%

ダイキン 314% ダイキン 162% ダイフク 215% 平均 272% 平均 207% ダイキン 46% 日本電産 19% ダイフク 6%

ダイフク 247% 7&i 130% 日本電産 127% 日本電産 179% 新晃工業 140% ダイフク 33% 新晃工業 17% 日本電産 1%

Topix 55% 日本電産 118% 7&i 101% 7&i 103% パナソニック 103% 7&i 4% 7&i 0% Topix -10%

7&i 43% Topix 46% Topix 48% Topix 82% 7&i 79% Topix 2% Topix -6% 7&i -13%

パナソニック -5% パナソニック -20% パナソニック -8% パナソニック 62% Topix 55% パナソニック -13% パナソニック -26% パナソニック -18%

出所: Bloomberg、BNP パリバ

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29 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

7.メディア報道を利用したバスケットポートフォリオ分析

カバレッジ銘柄のパフォーマンス分析を 6 章で行ったが、カバレッジ銘柄に限定せずに、

メディア報道を利用し環境規制や低温物流などに関連する銘柄全般を対象に過去の株価

パフォーマンスを分析することにも意味があろう。

最近、メディア報道を通じて、「代替フロン」、「低温物流」など、所謂“ホット”なワー

ドに触れる機会は多い。7 章では、インターネットのニュース検索機能を活用して、検索

ワードに関連する銘柄とその登場回数に関する分析を行った。さらに、言及された銘柄

群でバスケットポートフォリオを組成し、そのパフォーマンス分析も行った。

「代替フロン」や「低温物流」などの“メガトレンド”に関連する銘柄の株価パフォー

マンスは、メガトレンドからの恩恵が少ない銘柄に比べ、相対的に良好な結果が期待で

きよう。

但し、我々は本章に出てくる関連銘柄の保有を推奨しているわけではなく、特定テーマ

への銘柄抽出の一つの手法として、記事検索という方法を紹介していることに留意され

たい。また、関連銘柄抽出方法には、売上や営業利益の構成比による抽出など他の手法

もあろうが、“代替フロン”、“低温物流”という会社が数値として開示していないような

テーマに関する銘柄抽出方法として、我々は記事検索による手法を選択した。

関連銘柄が複数セクターに渡っているので、なるべく網羅性を追求するという点や、投

資家がデータベース保有の有無に依らず低コストで分析ができるという点でも、本手法

が投資家の分析の一助になればと考えている。

7-1)“代替フロン”で検索 我々は、代表的な検索エンジンの 1 つである Google(http://www.google.co.jp)のニュー

ス検索機能で、“代替フロン”に関する記事を検索した。検索の設定は以下の通りである。

検索の設定: 検索ワード:代替フロン 調査日:2016 年 8 月 31 日 対象期間:2015 年 9 月 1 日~2016 年 8 月 31 日 表示順序:関連度順 記事の言語:日本語記事のみ

上記の設定の下で絞り込んだ結果、ニュース総数は約 130 件だった(検索結果には約

130 件と表示されたが、実際に入手出来た記事は 92 件だった)。我々は該当する 92 件の

記事全てに目を通し、関連銘柄とその登場回数を図表 38 にまとめた。

登場回数が最も多かった銘柄はダイキンで 11 回だった。次に登場回数が多かった銘柄は

パナソニックの 9 回で、ローソンの 6 回、デュポンの 4 回、ハネウェルの 4 回などがそ

れに続いた。ダイキンやデュポンは次世代冷媒を開発製造しており、代替フロンに関連

度が高かったと言える。

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30 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

図表 38: 記事で言及された代替フロンに関連する銘柄リスト(計 15 銘柄)

出所: Google 検索、Bloomberg、BNP パリバ、各社 HP、四季報。注:非上場銘柄は除く。終値は 10 月 5 日(USD/EUR は 10 月 4 日)

代替フロン関連銘柄:バスケットポートフォリオ分析

図表 38 で言及した代替フロン関連 15 銘柄を等ウエイトで組み入れた“代替フロンポー

トフォリオ”(以下、「代替フロンポート」)を作成しそのパフォーマンスを検証した。

「代替フロンポート」には、米国株 5 銘柄、ドイツ株 1 銘柄が組み入れられているため、

MSCI World 指数(MSCI World 指数:先進国 23 カ国に上場する大・中型株を対象にした

指数)を比較対象とした。

結論:「代替フロンポート」は相対的にアウトパフォーム 図表 39 は、特定期間における「代替フロンポート」のパフォーマンスと指数との比較を

まとめた表である(期間の区分方法は、6 章の「CoT8 ポート」の区分と同じ)。

「代替フロンポート」は、ケース 6(期間:2014/01/01-2016/08/31)及びケース 7(同:

2015/01/01-2016/08/31)の場合、MSCIに対してアンダーパフォームしているが、各ケー

スの勝敗を数えると、6 勝 2 敗(勝率:75%)と勝ち越した。ケース 1(期間:

2009/01/01-2016/08/31)では、MSCI World 指数の+93%に対して、「代替フロンポート」の

リターンは+119%で、+26%と最もアウトパフォームした。

図表 39: 「代替フロンポート」のパフォーマンス比較:MSCI World に対し 6 勝 2 敗でパフォーマンスは良好 期間 パフォーマンス vs. MSCIW vs. Topix

ケース 年月 From To ポート MSCIW Topix 勝敗 差 勝敗 差

1 7Y+8M 1/1/2009 8/31/2016 +119% +93% +55% Win +26% Win +64%

2 6Y+8M 1/1/2010 8/31/2016 +75% +57% +46% Win +18% Win +28%

3 5Y+8M 1/1/2011 8/31/2016 +54% +46% +48% Win +8% Win +6%

4 4Y+8M 1/1/2012 8/31/2016 +82% +57% +82% Win +24% Lose -1%

5 3Y+8M 1/1/2013 8/31/2016 +58% +39% +55% Win +19% Win +3%

6 2Y+8M 1/1/2014 8/31/2016 +2% +10% +2% Lose -9% Lose -0%

7 1Y+8M 1/1/2015 8/31/2016 -3% +2% -6% Lose -5% Win +3%

8 1Y 9/1/2015 8/31/2016 +8% +7% -10% Win +0% Win +18%

出所: Bloomberg、BNP パリバ。 注: MSCI World は現地通貨ベース。該当期間の途中で上場した銘柄は、上場日当日から組み入れた。指数とのパフォーマン

スの差は、小数点第一位は四捨五入しているため、差し引きでずれが発生する可能性はある。

株価 時価総額 P/E (x) PB/V (x)

10/5/2016 (m) 1M 6M 1Y FY1 FY1 1M 6M 1Y

ダイキン 6367 JP JPY 11 9,580 2,834,705 0.6 19.4 32.2 19.7 2.6 1.5 12.5 26.6世界五大陸38ヶ国に拠点を持つ空調機、化学製品の世界的メーカー。新冷媒HFC‐32を開発。家庭用エアコンで使用。

パナソニック 6752 JP JPY 9 1,022 2,549,949 -4.0 13.6 -18.2 15.8 1.4 -3.1 6.8 -23.9総合家電大手。AV機器、白モノ家電が主力。電池などのデバイス事業、照明、住宅設備も展開。ダイキン工業と空調分野で協業を行う。

ローソン 2651 JP JPY 6 8,060 803,403 9.2 -11.9 -10.9 22.0 2.9 10.1 -18.7 -16.6コンビニエンスストアチェーンとしては国内店舗数2位。CO2冷媒冷蔵・冷媒機器(パナソニック製)を導入。

デュポン DD US USD 4 67.84 58,475 -3.2 7.4 32.3 21.2 6.1 -2.3 0.6 26.7米国の大手化学品メーカー。農業、食品、建築、電子、輸送など幅広い分野に製品を提供。ハネウェルと新冷媒「HFO‐1234yf」を共同開発。

ハネウェル HON US USD 4 116.05 87,409 0.3 4.4 18.6 17.4 4.4 1.2 -2.4 13.0アメリカの多国籍企業で、電子制御システムや自動化機器を製造販売。デュポンと新冷媒「HFO‐1234yf」を共同開発。

イオン 8267 JP JPY 4 1,505.5 1,306,143 2.2 -1.4 -23.7 101.9 1.1 3.1 -8.2 -29.3国内流通首位。GMS、SM、専門店、不動産、金融等展開。郊外SC、M&Aで成長。CO2冷媒を使用した冷凍冷蔵機器を導入。

デンソー 6902 JP JPY 3 4,015 3,275,533 -7.0 1.4 -23.1 14.5 1.0 -6.0 -5.4 -28.7 世界最大手の自動車部品メーカ、メガサプライヤ。CO2冷媒空調システムの開発。

旭硝子 5201 JP JPY 2 666 787,973 5.4 20.9 -6.1 21.7 0.8 6.3 14.0 -11.7 ディスプレー、建築、自動車でガラス世界級。低GWP冷媒「AMOLEA」を開発。

三菱電機 6503 JP JPY 2 1,309 2,866,514 -2.1 20.5 12.3 13.4 1.4 -1.2 13.6 6.7総合電機大手。FAが収益柱。空調「霧ヶ峰」や太陽光発電を含む家電、電力用半導体に特長。新冷媒を採用した家庭用エアコンを開発・販売。

ダイムラー DAI GY EUR 2 62.71 68,865 -0.1 -0.6 -5.6 7.8 1.2 0.8 -7.4 -11.2乗用車及び商用車の世界的メーカ。トラックの販売で、世界最大手。三菱ふそうトラック・バスを傘下に持つ。カーエアコン用の新冷媒「HFO‐1234yf」を17年1月から導入。

日本ゼオン 4205 JP USD 1 923 220,954 4.9 37.1 -5.3 10.5 0.9 5.8 30.3 -11.0 合成ゴムは、特殊品で大手。フッ素系溶剤「ゼオローラ」シリーズを展開。

日本軽金属HD 5703 JP USD 1 221 119,383 -0.5 27.0 16.3 9.1 0.9 0.5 20.2 10.7圧延、加工、化成品までのアルミ総合メーカ。アジア展開急ぐ。ノンフロン断熱不燃パネル「ジェネスタ不燃」の生産・販売。

ケマーズ CC US JPY 1 15.92 2,836 16.8 123.3 110.6 17.3 12.2 17.7 116.5 105.0米国の機能化学品メーカー。酸化チタン(白色顔料)、フロロ製品、特殊化学品などを世界各地で製造・販売。低GWP冷媒の「オプテオンyf」を製造。

ゼネラル・モーターズ

GM US JPY 1 32.04 50,247 -0.4 8.2 0.9 5.5 1.1 0.6 1.4 -4.7 米国大手自動車メーカ。カーエアコン用に低GWP冷媒「HFO‐1234yf」の採用を発表。

ユナイテッド・テクノロジーズ

UTX US USD 1 102.43 84,890 -4.2 2.6 11.0 15.6 3.0 -3.3 -4.3 5.4航空宇宙産業向けにハイテク製品を提供。エレベーター、エスカレーター、家庭・業務用冷暖房空調機器、冷凍・冷蔵車を製造。CO2を冷媒として使用した空調機器を製造。

銘柄名BBGコード

通貨登場回数

vs. MSCI World Index (%)会社概要

株価(%)

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31 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

パフォーマンスの改善方法(1):ボトムアップによるアプローチ ケース 1~5 及びケース 8 では、「代替フロンポート」は、MSCI World 指数をアウトパフ

ォームした。しかし、ケース 6 及びケース 7 では MSCI World 指数にアンダーパフォーム

した。今回は、そのケース 6 を例に要因分析を行った。

ケース 6 では、MSCI World 指数の+10%に対し、「代替フロンポート」のリターンは+2%と、9%アンダーパフォームした(図表 40 を参照。尚、パーセントは少数点第一位を四

捨五入しているため、数値には 1%程度の誤差が発生する)。

図表 40: 「代替フロンポート」:ケース 6(期間:2014/1/1~2016/8/31)の累積リターン

出所: Bloomberg、BNP パリバ 注:非上場銘柄は除く。MSCI World は現地通貨ベース。2014 年 1 月 1 日以降に上場した銘柄は、上場日当日から組み入れている。

図表 41 にケース 6 の「代替フロンポート」に含まれる各銘柄のリターンを示した。株価

のリターン Top3 は、日本軽金属の+55%、ダイキンの+46%、ハネウェルの+28%。一方、

Worst3 は、ケマーズの-37%、デンソーの-23%、ゼネラル・モーターズの-22%だった。

図表 41: 各銘柄のリターン:ケース 6(期間:2014/1/1~2016/8/31)

出所: Bloomberg、BNP パリバ。 注:2014 年 1 月 1 日以降に上場した銘柄は、上場日当日からの株価パフォーマンスである。

ポートフォリオの収益性を高めるためには、マイナス幅の大きい銘柄を極力組み入れな

い工夫が必要であろう。よって、次に Worst3 のケマーズ、デンソー、ゼネラル・モータ

ーズを除いた「代替フロンポート」のパフォーマンスを考察する。

3 社を除く「代替フロンポート」を構成する銘柄群のリターンは図表 42 のようになる。

3 社を除く「代替フロンポート」のパフォーマンスは、MSCI ACW 指数+10%に対して、

+9%となる。MSCI ACW 指数にはアンダーパフォームしたが、少なくとも「代替フロン

ポート」自体の絶対パフォーマンスは、+2%から+9%へと改善したことが分かる(尚、3社を除く「代替フロンポート」は、Topix(+2%)にはアウトパフォームへ改善した)。

2%

10%

2%

-20%-15%-10%-5%0%5%

10%15%20%25%30%

Jan-

14

Feb-

14

Mar

-14

Apr-1

4

May

-14

Jun-

14

Jul-1

4

Aug-

14

Sep-

14

Oct

-14

Nov

-14

Dec

-14

Jan-

15

Feb-

15

Mar

-15

Apr-1

5

May

-15

Jun-

15

Jul-1

5

Aug-

15

Sep-

15

Oct

-15

Nov

-15

Dec

-15

Jan-

16

Feb-

16

Mar

-16

Apr-1

6

May

-16

Jun-

16

Jul-1

6

Aug-

16

Portfolio MSCI World Index TPX index

-37%-23%

-22%-13%

-10%-8%

-6%-1%

0%1%2%2%2%

10%13%

28%46%

55%

-40% -30% -20% -10% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%

CHEMOURSDENSO

GENERAL MOTORSPANASONIC

ZEONLAWSON

UNITED TECHDAIMLER

AEONASAHI GLASS

AverageTopix

MITSUB ELECMSCI World

DU PONT (EI)HONEYWELL

DAIKINNIPPON LIGHT MET

各銘柄のリターン:ケース6(期間:2014/1/1~2016/8/31)

ファンダメンタルズ分析で、ケマーズ、デンソー、ゼネラル・モーターズを予め除外出来れば・・・

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BNP パリバ株式調査部 若杉 政寛

32 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

図表 42: ケマーズ/デンソー/GM を除く場合:ケース 6(期間:2014/1/1~2016/8/31)

出所: Bloomberg、BNP パリバ 2014 年 1 月 1 日以降に上場した銘柄は、上場日当日からの株価パフォーマンスである。

ボトムアップの分析も重要 ここで言えるのは、トップダウンの視点だけではなく、ボトムアップ、所謂ファンダメ

ンタルズを分析する視点を持つことの重要性である。ポートフォリオを作るために構成

銘柄を広くスクリーニングした後に、各セクターの強弱や個別銘柄のファンダメンタル

ズに関する分析をした上で銘柄選定を行うことで、ポートフォリオのパフォーマンスの

更なる改善が出来るかもしれない。

もちろん、記事検索機能を使用した分析には一定の評価ができようが、運用段階でポー

トフォリオのリターンを上げるために、個々の銘柄のファンダメンタルズアプローチを

行えば、ポートフォリオのパフォーマンスを更に向上させる可能性は高まろう。

7-2)“低温物流”で検索 我々は、同様に、Google のニュース検索機能を使って、“低温物流”に関する記事を検索

した。検索の設定は以下の通りである。

検索の設定: 検索ワード:低温物流 調査日:2016 年 8 月 31 日 対象期間:2015 年 9 月 1 日~2016 年 8 月 31 日 表示順序:関連度順 記事の言語:日本語記事のみ

上記の設定で絞り込んだ結果、ヒットした記事総数は約 2040 件だった。代替フロンに関

する記事総数の約 130 件(実際、取得可能な記事は 92 件)に対して、低温物流に関する

記事総数は約 2040 件と多く、同ワードの注目度の高さが伺えた。

低温物流に関しても、代替フロンの場合と同様に、分析における公平性を期すために、

関連度順で上位 92 件の記事を検証対象とした。図表 43 には、低温物流に関連する企業

と、その登場回数をまとめている。

記事の上位 92 件において、登場回数が最も多かったのは横浜冷凍の 14 回で、続いて、

ニチレイの 9 回、丸和運輸機関の 8 回、センコーの 5 回、C&F ロジ HD の 5 回だった。

該当する上位 5 社が注力する冷凍倉庫事業や低温食品物流事業は、主に、中国や東南ア

ジアなどで市場の拡大が見込まれており、この結果からも同銘柄群に対する注目度の高

さが伺える。

-13%-10%

-8%-6%

-1%0%

1%2%2%

9%10%

13%28%

46%55%

-40% -30% -20% -10% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%

PANASONICZEON

LAWSON INCUNITED TECH

DAIMLERAEON

ASAHI GLASSTopix

MITSUB ELECAverage

MSCI WorldDU PONT (EI)HONEYWELL

DAIKINNIPPON LIGHT MET

各銘柄のリターン:ケース 6(期間:2014/1/1~2016/8/31)

ケマーズ、デンソー、ゼネラル・モーターズを「代替フロンポート」から取り除いた場合、ポートフォリオの収益率は、従来の2%から9%まで改善

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BNP パリバ株式調査部 若杉 政寛

33 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

図表 43: 記事で言及された低温物流に関連する銘柄リスト(計 29 銘柄)

出所: Google 検索、Bloomberg、BNP パリバ、各社 HP、四季報。 注:非上場銘柄は除く。終値は 10 月 5 日(USD/EUR は 10 月 4 日)

低温物流関連銘柄:バスケットポートフォリオ分析 図表 43 にリストアップした低温物流に関連する 29 銘柄を等ウエイトで組み入れた“低

温物流ポートフォリオ”(以下、「低温物流ポート」)を作成し、そのパフォーマンスを検

証した。「低温物流ポート」は、先進国/新興国どちらの銘柄も含んでいるため、対象指

標として、MSCI ACW 指数(MSCI All Country World 指数:世界の先進国(23 カ国)と

新興国(23 カ国)で構成される指数)を採用した(尚、参考に Topix も比較対象に加え

た)。

結論:「低温物流ポート」も相対的にアウトパフォーム 図表 44 は、「代替フロン」と同様の方法により、特定期間における「低温物流ポート」

のパフォーマンスと指数との比較をまとめた表である。

株価 時価総額 P/E (x) PB/V (x)

10/5/2016 (m) 1M 6M 1Y FY1 FY1 1M 6M 1Y

横浜冷凍 2874 JP JPY 14 1,084 57,227 4.2 5.7 13.6 16.7 NA 5.2 -1.2 8.0 食品販売の規模大きいが、ニチレイに次ぐ冷蔵倉庫が利益柱。

ニチレイ 2871 JP JPY 9 2,304 332,685 12.6 26.0 46.7 21.3 2.1 13.5 19.2 41.1 冷蔵倉庫と冷凍食品(ブランド別)で首位。低温物流は海外も積極的。

丸和運輸機関 9090 JP JPY 8 2,407 38,530 6.5 -2.5 1.6 13.5 2.1 7.4 -9.3 -4.0 小売業に特化した3PL(物流一括請負)。低温物流に注力。

センコー 9069 JP JPY 5 703 104,860 7.0 10.0 -19.6 9.7 1.1 7.9 3.2 -25.2企業物流大手。積水化学、旭化成など同根で住宅や石油化学分野に強い。中国で低温物流網を構築中。

C&Fロジ HD 9099 JP JPY 5 967 24,997 11.0 20.1 NA 11.7 0.8 12.0 13.3 NAフローズン輸送のヒューテックノオリンとチルド輸送の名糖運輸が統合。総合物流企業を志向。ベトナムで低温物流事業を展開。

SBS HD 2384 JP JPY 3 916 36,342 -6.3 40.5 -4.8 8.1 1.2 -5.4 33.7 -10.53PL(物流一括受託)の大手。食品輸送は国内屈指。子会社のSBSロジコムが、横浜に国際物流対応の多機能拠点竣工。

伊藤忠商事 8001 JP JPY 2 1,275 2,137,644 1.0 -3.3 -4.3 5.7 0.9 1.9 -10.1 -9.9 総合商社大手。繊維や中国ビジネス強い。子会社の伊藤忠ロジが低温物流事業を行う。

双日 2768 JP JPY 2 262 331,647 2.3 23.0 12.0 8.6 0.7 3.3 16.2 6.3総合商社。03年に日商岩井とニチメンが統合。自動車、航空、肥料に強み。双日ロジが低温物流事業に進出。

セブン&アイ HD 3382 JP JPY 2 4,808 4,290,379 7.1 4.1 -13.0 31.7 1.7 8.1 -2.8 -18.6国内2位の流通コングロマリット。セブン‐イレブンを核に複数事業を展開。独自の低温物流網を導入。

三菱重工業 7011 JP JPY 2 422.7 1,452,355 -6.1 13.8 -24.5 12.1 0.8 -5.2 7.0 -30.1総合重機首位。火力発電所用ガスタービンはじめ、航空、防衛、造船、産業機械など事業は幅広い。陸上輸送用冷凍ユニットの販売。

キユーピー 2809 JP JPY 1 3,090 457,164 7.4 10.7 24.2 27.0 2.1 8.4 3.9 18.6マヨネーズ・ドレッシングで国内首位。カット野菜や医療・介護食などの周辺事業も拡大中。子会社のキユーソー流通システムが低温物流事業を展開。

セイノー HD 9076 JP JPY 1 1,073 224,086 -3.1 -4.8 -15.5 11.6 0.6 -2.1 -11.6 -21.1路線トラック草分けで業界最大手。愛称「カンガルー便」。2015年から低温物流事業に参入。

ヤマト HD 6516 JP JPY 1 2,357 956,571 -4.5 12.8 0.5 22.6 1.7 -3.6 5.9 -5.1宅配便首位、国内シェア4割。規制緩和進まずメール便廃止。企業物流が成長する中、アジア市場本格進出。クール宅急便を展開。

ユニー・ファミリーマート HD 8028 JP JPY 1 6,670 868,738 -7.1 18.9 25.4 28.3 2.1 -6.2 12.1 19.7伊藤忠系のコンビニ大手。アジアはじめ海外も積極展開。16年9月、ユニーグループHDと統合。独自の低温物流網を導入。

日本水産 1332 JP JPY 1 444 138,094 1.6 -24.0 26.1 10.0 1.2 2.5 -30.8 20.5水産品冷食の大手。魚油成分使用した化成品が利益柱。全国27か所の冷蔵倉庫ネットワークで低温一貫物流に取り組む。

三菱商事 8058 JP JPY 1 2,294 3,632,531 3.4 29.1 11.7 11.6 0.8 4.3 22.3 6.1 総合商社大手。三菱グループ中核。インドで低温物流に取り組む。

イオン 8267 JP JPY 1 1,505.5 1,306,143 2.2 -1.4 -23.7 101.9 1.1 3.1 -8.2 -29.3国内流通首位。GMS、SM、専門店、不動産、金融等展開。郊外SC、M&Aで成長。日本各地に低温物流センタを配置。

日立物流 9086 JP JPY 1 2,036 224,671 -1.1 16.5 1.2 12.3 1.1 -0.2 9.7 -4.43PL(物流の一括請負)首位。日立系だが国内はグループ外大半。温度管理を必要とする医薬品の配送を行う。

近鉄エクスプレス 9375 JP JPY 1 1,320 94,536 0.9 -2.9 -35.1 14.4 0.8 1.8 -9.8 -40.7 国際航空貨物混載大手の一角。国際網充実、中国で先行。食品輸送も拡大中。

日本ロジテム 9060 JP JPY 1 291 4,025 3.6 -3.0 -1.7 NA NA 4.5 -9.8 -7.3食品、インテリア、電子、衣料等が主要荷主の陸運業。ベトナムで冷凍冷蔵倉庫事業を開始。

日本郵政 6178 JP JPY 1 1,254 5,724,000 -9.4 -13.3 NA 14.4 0.4 -8.5 -20.2 NA日本郵政グループの持株会社。日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命主体。16年5月豪物流大手トールHDを買収。

パナソニック 6752 JP JPY 1 1,022 2,549,949 -4.0 13.6 -18.2 15.8 1.4 -3.1 6.8 -23.9総合家電大手。AV機器、白モノ家電が主力。電池などのデバイス事業、照明、住宅設備も展開。ハスマンを買収し、コールドチェーン事業を拡大。

郵船ロジスティクス 9370 JP JPY 1 990 41,967 -4.6 -21.7 -19.9 12.1 0.5 -3.7 -28.5 -25.5日本郵船傘下の再編で航空混載(フォワーダー)から総合化。海外比率約8割。ヤマトHDと提携。カンボジアで低温小口混載配送。

川崎汽船 9107 JP JPY 1 267 247,997 0.0 26.5 -4.3 -4.5 0.9 0.9 19.7 -9.9運大手3社の一角。コンテナ船比率高い。バラ積み船や自動車船強化。ベトナムで冷凍冷蔵倉庫事業を開始。

三井倉庫 HD 9302 JP JPY 1 322 39,688 2.5 15.0 -10.3 40.0 NA 3.5 8.2 -15.9倉庫大手。不動産賃貸が利益柱。総合物流強化へ海外で積極投資。保冷品航空輸送を行う。

ダノン BN FP EUR 1 67.16 44,194 -4.1 9.7 15.1 21.9 3.1 -3.2 2.9 9.5 フランスに本社をおく国際的な食品関連企業。低温食品向けの物流拠点網を持つ。

ヤム・ブランズ Yum US USD 1 90.92 35,199 -0.4 11.5 9.5 24.6 -8.1 0.6 4.6 3.8アメリカ合衆国ケンタッキー州に本社を置き、世界中に5つのチェーン店を展開するファストフード企業。自社製品の低温物流を行う。

鴻海精密工業 2317 TT TWD 1 79.50 1,379,368 1.7 5.4 1.7 10.6 1.2 2.6 -1.5 -3.9スマートフォンや薄型テレビなどの電子機器を受託生産するEMS企業の世界最大手。インドでの電子機器の輸送に低温物流を使用。

CJ大韓通運 000120 KS KRW 1 213,000 4,847,623 5.2 14.5 5.2 38.3 1.7 6.1 7.7 -0.4韓国総合物流最大手。中国最大の低温物流会社の栄慶物流有限公司を買収。中国最大の低温物流会社の栄慶物流有限公司を買収。

会社概要株価(%)

vs. MSCI All CountryWorld Index (%)

銘柄名BBGコード

通貨登場回数

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34 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

「低温物流ポート」は、MSCI ACW に対し、ケース 1(期間:2009/01/01-2016/08/31)及

びケース 8(同:2015/09/01-2016/08/31)の場合アンダーパフォームしているが、各ケー

スの勝敗を数えると、6 勝 2 敗と勝ち越している。ケース 2(同:2010/01/01-2016/08/31)では、「低温物流ポート」の+87%に対し、MSCI ACW 指数は+51%であり、+36%と最も

大きくアウトパフォームしていた。

図表 44: 「低温物流ポート」のパフォーマンス比較:MSCI ACW 指数に対し 6 勝 2 敗でパフォーマンス良好

期間 パフォーマンス vs. MSCI ACWI vs. Topix

ケース 年月 From To ポート MSCI ACWI Topix 勝敗 差 勝敗 差

1 7Y+8M 1/1/2009 8/31/2016 +87% +90% +55% Lose -4% Win +32%

2 6Y+8M 1/1/2010 8/31/2016 +87% +51% +46% Win +36% Win +40%

3 5Y+8M 1/1/2011 8/31/2016 +67% +39% +48% Win +27% Win +19%

4 4Y+8M 1/1/2012 8/31/2016 +82% +52% +82% Win +29% Lose -1%

5 3Y+8M 1/1/2013 8/31/2016 +68% +35% +55% Win +34% Win +14%

6 2Y+8M 1/1/2014 8/31/2016 +26% +10% +2% Win +16% Win +24%

7 1Y+8M 1/1/2015 8/31/2016 +11% +2% -6% Win +9% Win +17%

8 1Y 9/1/2015 8/31/2016 -0% +8% -10% Lose -8% Win +10%

出所: Bloomberg、BNP パリバ。 注: MSCI AC World Index は現地通貨ベース。該当期間の途中で上場した銘柄は、上場日当日から組み入れた。

「低温物流ポート」もボトムアップでパフォーマンス改善

図表 44 の通り、「低温物流ポート」は、ケース 1 とケース 8 の場合に MSCI ACW 指数に

対してアンダーパフォームした。今回は、ケース 8 の要因の分析を行った。

「ケース 8」の期間におけるパフォーマンスの Top3 は、ニチレイの+45%、ファミリーマ

ートの+36%、C&F ロジの+34%である。一方、Worst3 は、近鉄エクスプレスの-42%、セ

ンコーの-24%、丸和運輸機関の-24%である。

次に Worst3 の近鉄エクスプレス、センコー、丸和運輸機関を除いた「低温物流ポート」

のパフォーマンスを考察する。

3 社を除く「低温物流ポート」の直近 1 年間のリターンは+3%へと改善した。MSCI ACW指数の+8%をアウトパフォームしてはいないが、「代替フロンポート」と同様、ファンダ

メンタルズアプローチによって、ポートフォリオのパフォーマンスを改善することが出

来よう。

7-3)「代替フロンポート」と「低温物流ポート」を合せたポートフォリオ分析 最後に、代替フロンと低温物流を合わせたポートフォリオのパフォーマンス分析を行っ

た。「代替フロンポート」(15 銘柄)と「低温物流ポート」(29 銘柄)のうち、重複する

2 社(パナソニック、イオン)を除く、合計 42 社で“統合ポートフォリオ”(以下、「統

合ポート」)を等ウエイトで作成した。「統合ポート」は、先進国/新興国両方の銘柄を含

んでいるため、比較対象として MSCI ACW 指数を採用した。

結論:「統合ポート」も相対的にアウトパフォーム 図表 45 は、「代替フロンポート」/「低温物流ポート」と同様に、特定期間における「統

合ポート」のパフォーマンス及び指数との比較をまとめた表である。

「統合ポート」は、MSCI ACW 指数に対し、ケース 8(同:2015/09/01-2016/08/31)の場

合アンダーパフォームしたが、ケース 1~8 の勝敗を数えると、7 勝 1 敗で勝率は 88%にな

った。ケース 2(同:2010/01/01-2016/08/31)のパフォーマンスでは、MSCI ACW 指数の

+51%に対し、「統合ポート」は+85%であり、+34%と最もアウトパフォームした。

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35 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

図表 45: 「統合ポート」のパフォーマンス比較:MSCI ACW 指数に対し 7 勝 1 敗でパフォーマンスは良好 期間 パフォーマンス vs. MSCI ACWI vs. Topix

ケース 年月 From To ポート MSCI ACWI Topix 勝敗 差 勝敗 差

1 7Y+8M 1/1/2009 8/31/2016 +99% +90% +55% Win +8% Win +44%

2 6Y+8M 1/1/2010 8/31/2016 +85% +51% +46% Win +34% Win +38%

3 5Y+8M 1/1/2011 8/31/2016 +64% +39% +48% Win +25% Win +16%

4 4Y+8M 1/1/2012 8/31/2016 +82% +52% +82% Win +30% Lose -0%

5 3Y+8M 1/1/2013 8/31/2016 +63% +35% +55% Win +29% Win +9%

6 2Y+8M 1/1/2014 8/31/2016 +19% +10% +2% Win +9% Win +16%

7 1Y+8M 1/1/2015 8/31/2016 +7% +2% -6% Win +5% Win +13%

8 1Y 9/1/2015 8/31/2016 +3% +8% -10% Lose -5% Win +13%

出所: Bloomberg、BNP パリバ。 注: MSCI AC World 指数は現地通貨ベース。該当期間の途中で上場した銘柄は、上場日当日から組み入れた。

パフォーマンスの改善方法(2):登場回数で絞り込むアプローチ ケース 1~7 では、「統合ポート」は、MSCI ACW 指数をアウトパフォームした。しかし、

ケース 8 の場合、「統合ポート」のリターン+3%に対して、MSCI ACW 指数は+8%で、

5%アンダーパフォームした(尚、Topix のリターンは-10%だった)。

同期間における、「統合ポート」を構成する各 42 銘柄の株価のパフォーマンスを見てみ

ると、Top3 は、ニチレイの+45%、ケマーズの+41%、デュポンの+39%だった。一方、株

価パフォーマンスの Worst3 は、近鉄エクスプレスの-42%、センコーの-24%、丸和運輸機

関の-24%だった。

図表 46:「統合ポート」:ケース 8(期間:2015/9/1~2016/8/31)の累積リターン

出所: Bloomberg、BNP パリバ 注:非上場銘柄は除く。MSCI ACW 指数は現地通貨ベース。2015 年 9 月 1 日以降に上場した銘柄は上場日当日から組み入れている。

ここで、「各記事で取り上げられる回数が多い銘柄は株価パフォーマンスが良いかもしれ

ない」と仮定し、「代替フロン」及び「低温物流」の各記事検索において 3 回以上登場し

た銘柄のみに絞って、「統合ポート」を作成した(以下、この新しい「統合ポート」を

「新統合ポート」とする)。その結果、「新統合ポート」の構成銘柄は以下の通りになっ

た。

「新統合ポート」の構成銘柄(3 回以上記事に登場した銘柄)

A)「代替フロンポート」(6 銘柄)

ダイキン、パナソニック、ローソン、イオン、デュポン、ハネウェル

B)「低温物流ポート」(6 銘柄)

横浜冷凍、ニチレイ、丸和運輸機関、センコー、C&F ロジ HD、SBS HD

99%

90%

55%

-20%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

120%

140%

Jan-

09M

ar-0

9M

ay-0

9Ju

l-09

Sep-

09N

ov-0

9Ja

n-10

Mar

-10

May

-10

Jul-1

0Se

p-10

Nov

-10

Jan-

11M

ar-1

1M

ay-1

1Ju

l-11

Sep-

11N

ov-1

1Ja

n-12

Mar

-12

May

-12

Jul-1

2Se

p-12

Nov

-12

Jan-

13M

ar-1

3M

ay-1

3Ju

l-13

Sep-

13N

ov-1

3Ja

n-14

Mar

-14

May

-14

Jul-1

4Se

p-14

Nov

-14

Jan-

15M

ar-1

5M

ay-1

5Ju

l-15

Sep-

15N

ov-1

5Ja

n-16

Mar

-16

May

-16

Jul-1

6

Integrated Portfolio MSCI All Country World Index Topix Index

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36 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

結論:「新統合ポート」のパフォーマンスは高くなった 3 回以上登場した銘柄で作る「新統合ポート」は、MSCI ACW 指数に対し、全てのケー

スでアウトパフォームした。

図表 47:「新統合ポート」のパフォーマンス比較:MSCI ACW 指数に全てのケースでアウトパフォーム 期間 パフォーマンス vs. MSCI ACWI vs. Topix

ケース 年月 From To ポート MSCI ACWI Topix 勝敗 差 勝敗 差

1 7Y+8M 1/1/2009 8/31/2016 +150% +90% +55% Win +60% Win +96%

2 6Y+8M 1/1/2010 8/31/2016 +137% +51% +46% Win +86% Win +91%

3 5Y+8M 1/1/2011 8/31/2016 +107% +39% +48% Win +67% Win +59%

4 4Y+8M 1/1/2012 8/31/2016 +130% +52% +82% Win +78% Win +48%

5 3Y+8M 1/1/2013 8/31/2016 +98% +35% +55% Win +64% Win +44%

6 2Y+8M 1/1/2014 8/31/2016 +40% +10% +2% Win +30% Win +38%

7 1Y+8M 1/1/2015 8/31/2016 +24% +2% -6% Win +22% Win +30%

8 1Y 9/1/2015 8/31/2016 +8% +8% -10% Win +0.1% Win +18%

出所: Bloomberg、BNP パリバ。 注: MSCI ACW 指数は現地通貨ベース。該当期間の途中で上場した銘柄は、上場日当日から組み入れた。

ケース 8(同:2015/09/01-2016/08/31)では、「統合ポート」は+3%のリターンだったのに

対し、「新統合ポート」のリターンは+8%となった(図表 47 を参照)。さらに、MSCI ACW 指数の+8%(より正確には+7.6%)に対し、「新統合ポート」のリターンは+8%(同

+7.7%)になり、+0.1%アウトパフォームする結果となった。

図表 48:「統合ポート」と「新統合ポート」の比較

出所: Bloomberg、BNP パリバ

頻繁に関連記事に取り上げられる銘柄=注目度が高い

上記の結果を受けて、関連記事に多く登場する銘柄は、検索ワードとの関連性が高いと

言えるかもしれない。もちろん、「メガトレンドにより創出される企業収益の多寡」と

「記事に企業名が登場する頻度」は必ずしも比例するとは限らない。しかし、今回は、

登場回数が多い銘柄でポートフォリオを構成した場合、パフォーマンスが改善するとい

う結果を得ることが出来た。

逆に、1 回しか言及されていない銘柄は、少なくともそのトピックの中心ではない可能性

が高く、検索ワードとの相関性は相対的に低い傾向にあろう。例えば、「低温物流ポート」

に含まれる鴻海精密工業は、インドでの半導体や電子部品などの輸送に低温物流を使用

するという記事(2016/3/29 付の日本経済新聞:「インド低温物流、医療や電子分野の高

度化後押し」)で言及された。しかし、電子部品の製造・開発等が事業の中心である同社

は、“物流”をメインに行う訳ではなく、本来であれば、「低温物流ポート」に積極的に

採用される銘柄とは言えないかもしれない。

3%

8%

0%

1%

2%

3%

4%

5%

6%

7%

8%

9%

統合ポート 新統合ポート

直近1年間のパフォーマンス比較

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BNP パリバ株式調査部 若杉 政寛

37 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

一方、 所謂、頻繁に関連記事に取り上げられる“トレンドど真ん中”銘柄は、直近の株

価パフォーマンスが好調な傾向にあった。例えば、(「代替フロン」銘柄の)ダイキン

(同 11 回)は次世代冷媒の開発に関して頻繁に関連記事で取り上げられたが、ケース 8における同社株価パフォーマンスは+37%と高かった。同様に、低温物流倉庫大手のニチ

レイ(同 9 回)も記事に多く取り上げられたが、株価パフォーマンスは+45%と高かった。

但し、低温物流銘柄におけるローソン(同 6 回)の-13%など、頻繁に関連記事に取り上

げられたにもかかわらず、株価パフォーマンスは良くなかった銘柄もあったことには留

意されたい。

7-4)当社の CoT カバレッジ銘柄も「統合ポート」に組み入れ可能

当社が推奨する“CoT8 銘柄”も「統合ポート」に追加することは可能だと考える。

“CoT8 銘柄”は、「低温物流」、「代替フロン」等の「冷やす」銘柄であることに加え、

個々のファンダメンタルズが強いため、前述のようにポートフォリオのパフォーマンス

向上に貢献しよう。

参考:“CoT8 銘柄”の直近レポート ダイキン

「資本財セクター - 自律成長可能な企業に期待」(2016/6/21 発行)

ダイフク/新晃工業/ホシザキ

「中小型株セクター - リスクオフの嵐の後に…」(2016/7/27 発行)

日本電産

「「はるかに高く」が起きた」(2016/8/2 発行)

パナソニック

「IR DAY : 車の進化を確かに感じた」(2016/5/19 発行)

セブン&アイ・ホールディングス

「FY2/17 計画を確定」(2016/8/2 発行)

森永製菓

「業績好調、長期では海外にも期待」(2016/8/25 発行)

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38 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

APPENDIX

免責事項とディスクロージャーは米国以外のブローカーディーラーに適用されます

アナリストによる証明

鮫島 豊喜, BNPパリバ証券株式会社, +81 3 6377 2250, [email protected] 若杉 政寛, BNPパリバ証券株式会社, +813 6377 2240, [email protected] 柳沢 和江, BNPパリバ証券株式会社, +813 6377 2245, [email protected] 大和 樹彦, BNPパリバ証券株式会社, +813 6377 2234, [email protected] 熊谷 侑大, BNPパリバ証券株式会社, +813 6377 2258, [email protected]

上に示した個人はそれぞれ、(i)本調査レポートに示されているすべての見解が、本調査レポートで言及している対象証券、企業、発行体等に関するアナリストの

個人的見解を正確に反映していること、(ii)アナリストの報酬のいかなる部分も本調査レポートで示している特定の推奨または見解に直接的にも間接的にも関連し

たことは過去、現在そして今後もないこと、を証明いたします。

この免責事項に掲載されているアナリストは BNP Paribas Securities Corp の米国以外の関連会社に雇用されており、ニューヨーク証券取引所(NYSE)や金融取引業規制機構(FINRA)の規則に則って登録されておらず、資格も得ておりません。

米国の金融取引業規制機構(FINRA)の規則やその他の法域の規則で義務付けられている重要なディスクロージャー

「BNP パリバ」は、BNP パリバグループのグローバル・バンキング&マーケッツ事業のマーケティングネームです。本調査レポートのいかなる部分についても BNP Paribas Securities Corp(US)の社員は作成しておらず、全米証券業協会(NASD)規則 2711 の下では第三者である関連会社が作成した調査レポートと見なされま

す。以下のディスクロージャーは、本調査レポートの対象企業と、本調査レポートの表紙に記されている BNP 企業、BNP Securities Corp、BNP パリバグループ内の

その他の企業(「BNP パリバ」と総称)との関係に関連しています。

下表の「ディスクロージャー」の列には、本調査レポートで投資評価を行った企業や推奨した企業に該当する重要なディスクロージャーを記載しています。

BNP パリバ証券株式会社は、下記に該当する場合、表明を行います:

1. 過去 1 年以内に、当該企業のために株式公開の幹事または共同幹事を務め、その手数料を受領している。

2. 過去 12ヵ月間に、当該企業と投資銀行関連の取引があった。

3. 過去 12ヵ月間に、当該企業から投資銀行サービスで報酬を受けた。

4. 向こう 3ヵ月間に、投資銀行サービスの報酬を当該企業から受領することが予想されるか、当該企業に請求する予定である。

5. 当該企業の普通株式を実質的に 1%以上保有している。

6. 当該企業が発行した証券のマーケットメイクを行っている。

7. アナリストまたは本調査レポートの作成補助を行った者(または、その家族)が、当該企業が発行した有価証券に経済的利害を有している。特に断りのない限

り、経済的利害とは当該企業の普通株である。

8. アナリスト(または、その家族)が、当該企業の役員、取締役、従業員、またはアドバイザリー・ボードのメンバーを務めているか、当該企業から報酬を受領

している。

韓国で義務付けられている重要なディスクロージャー

下表の「ディスクロージャー」の列には、本調査レポートで投資評価を行った韓国上場企業や推奨した韓国上場企業に該当する重要なディスクロージャーを記載し

ています。

1. 本企業の債務履行は、BNP Paribas Securities KoreaCo.Ltd(BNPPSK)によって、支払保証、裏書き、担保提供、または債務引き継ぎの形で、直接的または間接的

に保証されています。

2. BNPPSKは本企業が発行した発行済み株式全体の 100分の 1 以上を保有しています。

3. 本企業は BNPPSKの系列会社で、系列会社の定義は「独占規制及び公正取引に関する法律(Monopoly Regulation and Fair Trade Act)」、第 2条、第 3項で規定さ

れています。

4. BNPPSK は、買収・合併取引について本企業または買収対象企業に経済的助言を行う代理人ですが、それは取引規模が本企業の総資産または発行済み株式全

体の 100分の 5 を上回らない場合に限られています。

5. BNPPSKは、本企業の上場について経済的助言サービスを過去 1 年以内に行っています。

6. 本企業が「金融投資サービス及び資本市場法(The Financial Investment Services and Capital Markets Act)」、第 133 条、第 2 項に基づいて開始する公開買い付け

については、BNPPSK は同条項が公開買い付けの終了していない部分にのみ適用されるという条件で、本企業または買収対象企業によって公開買い付けのた

めに指定された代理人として役割を果たします。

企業 ティッカー ディスクロージャー (該当する場合)

N/A N/A N/A

企業 ティッカー 終値 (16年10月04日現在) 利害関係

N/A N/A N/A N/A

Page 39: 株式調査部 BNP パリバ株式調査部...7.メディア報道を利用したバスケットポートフォリオ分析 ..... 29 鮫島 豊喜 若杉 政寛 柳沢 和江 大和

BNP パリバ株式調査部 若杉 政寛

39 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

7. 本企業が株式公開あるいは株式引受関連の契約を締結し、新株を上場した場合、BNPPSK は当該上場日から 40 日間この情報を本調査レポートの中で開示しま

す。

8. 本企業は BNPPSKと指定アドバイザー契約を締結しており、指定アドバイザーは KONEX(コネックス)の上場規定、第 8 条、第 2 項で規定されています。

9. 本企業は、1~8 に関連して BNPPSKと多大な利害関係があることが認識されています。

10. アナリストまたはその配偶者は、取引で誰の氏名が使用されているかにかかわらず、以下の証券または権利(以下、本稿ではこれを「証券等」とします)を

保有しています(法的規制や取引等契約に基づく市場性証券の受渡要求を含みます)。

1)本企業が発行した株式、株券付き債券、新株引受権証書で、その取引が募られているもの。

2)本企業のストックオプションで、その取引が募られているもの。

3)個別株の先物、ストックオプション、ワラントで、1)で明記した株式を対象証券として使用するもの。

Page 40: 株式調査部 BNP パリバ株式調査部...7.メディア報道を利用したバスケットポートフォリオ分析 ..... 29 鮫島 豊喜 若杉 政寛 柳沢 和江 大和

BNP パリバ株式調査部 若杉 政寛

40 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

免責事項

本調査レポートは、BNP パリバグループのメンバー企業である BNP パリバ証券株式会社(以下、弊社)が作成したものです。

本調査レポートは、弊社が配布対象とする方のみの利用に供するためのものであり、弊社の書面による事前同意なしには、第三者への(全部または一部の)複製、

引渡、送信は行えないことにご同意ください。本調査レポートを受け取られた方は、その受領により、本調査レポートに明記されている条件および制限に拘束され

ることに同意されたことになります。

本調査レポートは私的な推奨を含んでおらず、また、個々のお客様の特定の投資目的、財務状況、またはニーズを考慮しておりません。本調査レポートに含まれて

いる情報は、数多くの情報の一つとして、また、取引を行う前の留意事項として、利用されるようお勧めいたします。本調査レポートは、証券や他の投資物件の売

買に関する目論見書、その他のオファー文書、または勧誘文書ではありません。本調査レポートは、言及している対象証券や企業の評価を行う際の唯一の基準を提

供することを目的としたものではありません。本調査レポートに含まれている情報および見解は、本調査レポートを読まれる方々のご参考のために公開するもので

あり、権威あるものとして、あるいは、ご自身で独自に確認することなくして、信頼するべきではなく、また、取引実行のご判断に代わるものとして取り扱われる

べきでもありません。また、本調査レポートで言及している金融商品は、特定の法域では販売できない可能性があります。

BNP パリバは広範囲にわたる活動を展開している投資銀行として、利益相反に直面する可能性があり、その場合には準拠する法規定や社内のガイドラインに従って

解決しております。しかし、お客様におかれましては、BNP パリバが、自身のためやお客様のために、本文書で示した見解と矛盾する方法で取引に携わる可能性が

あることをご理解ください。

日本:日本においては、本調査レポートの配布は、BNP パリバ証券株式会社(BNP Paribas Securities(Japan)Limited)によって、または、BNP パリバの子会社や関

連会社で日本の金融商品取引業者として登録していない企業によって、日本を本拠とする企業に対して行われており、金融商品取引法施行令第 17 条第 3 項第 1 号で

規定されている特定の金融機関に対して配布されております。BNP パリバ証券株式会社は、日本の金融商品取引法に準じて金融商品取引業者として登録しており、

日本証券業協会、金融先物取引業協会、第二種金融商品取引業協会に加盟しています。BNP パリバ証券株式会社は、日本以外の関連会社が作成したレポートの内容

については、日本を本拠とする企業に自ら配布した場合に限り、責任を認めております。本調査レポートに記載されている外国証券の一部は、日本の金融商品取引

法に準じた開示はなされておりません。

オーストラリア:オーストラリアにおいては、本調査レポートの配布は BNP パリバ、シドニー支店が担当しております(オーストラリアでの登録番号は、所在地

60 Castlereagh Street Sydney NSW 2000 において、ABN 23 000 000 117)。BNP パリバ、シドニー支店は、1959 年銀行法に準じて認可を受けており、オーストラリア

金融サービスライセンス(AFSL)番号 238043 を有しており、金融サービスの提供に関してはオーストラリア証券投資委員会(ASIC)の規制下にあります。本文書

を受け取られた方は、その受領により、上記の制限に拘束されることに同意されたことになり、本文書における金融商品や金融サービスに関連している情報や見解

がホールセールのお客様(2001 年会社法、セクション 761G および 761GA;2001 年会社規制法、第 2 部、規制 7.1.18 および 7.1.19)やプロ投資家(2001 年会社法、

セクション 9で定義)のみにご提供されていることを認めることになります。

カナダ:カナダ、またはその州や準州においては、本文書に含まれる情報は、ここに記載した有価証券の目論見書、広告、公募、売却の申し出、購入の勧誘ではな

いこと、また、いかなる場合でもそう解釈してはならないことをご理解ください。ここに記載された有価証券のカナダでの売り出しや売却は、関連するカナダの証

券規制機関に対する目論見書提出の義務付けを免除される場合にのみ行われ、かつ、適用される証券取引法の下で適切に登録を行ったディーラーか、あるいは、当

該の売り出しや売却が行われるカナダの州や準州において登録義務を免除されているディーラーによってのみ行われます。ここに含まれている情報は、いかなる場

合でも、カナダの州や準州において、投資助言として解釈してはならず、受け取られた方のご要望に合わせたものでもありません。ここに含まれている情報がカナ

ダまたはカナダの州や準州の法律に基づいて設立、組織化、または創立された発行体の有価証券に言及している限り、当該有価証券のいかなる取引もカナダで登録

を行ったディーラーを通じて行われなければなりません。カナダの証券委員会等の規制当局は、こうした資料、ここに含まれている情報、または、ここに記載され

ている有価証券のメリットについて精査しておらず、いかなる形でも評価しておらず、逆に表明は違反行為です。

香港:香港においては、本調査レポートはプロ投資家向けに作成しており、その配布は有価証券の購入、売却、または保有に関連する事業を主体(プリンシパル)

または仲介者(エージェント)として行っている方々を対象に、BNP Paribas Securities(Asia)Limited が担当しております。BNP Paribas Securities(Asia)Limited(BNP パリバの子会社)は、有価証券の売買、有価証券に関する助言、先物の売買、コーポレートファイナンスに関する助言に関して、証券先物委員会の規制下に

あります。香港のプロ投資家の皆様は、本調査レポートに関する事項や質問はすべて BNP Paribas Securities (Asia) Limited (address: 63/F Two International Finance Centre, 8 Finance Street, Central, Hong Kong; tel:2909 8888; fax: 2845 2232) にご連絡くださいますようお願いいたします。

インド:インドにおいては、本文書の配布は BNP Paribas Securities India Pvt.Ltd(BNPPSIPL)が担当しております(登記上の所在地:5th floor、BNP Paribas House、1 North Avenue、Maker Maxity、BandraKurla Complex、Bandra(East)、Mumbai 400 051,INDIA。電話:+91 22 3370 4000 / 6196 4000, Fax: +91 22 6196 4363)。

BNPPSIPLは、インド証券取引委員会(SEBI)のリサーチアナリスト(登録番号は INH000000792)として、また、株式および先物・オプション部門の株式ブローカ

ーとして、インドのナショナル証券取引所(NSE)とボンベイ証券取引所、及び NSE の通貨デリバティブ部門に登録されています(SEBI の登録番号は

INB/INF/NSF/NSE231474835、INB/INF011474831; CIN: U74920MH2008FTC182807; Website: www.bnpparibas.co.in)。規制当局や政府当局が BNPPSIPL に対して著し

い懲戒処分を下したことはありません。BNPPSIPL 及びその関係会社は当レポートでレーティングまたは推奨されている企業及び第三者のいずれかまたは両方から、

ブローカー業務又は他の商品やサービスの報酬や他の利益を得ている可能性があります。

インドネシア: インドネシアにおいては、本調査レポートの配布は PT BNP Paribas Securities Indonesia が担当し、マーケティング/セールス担当者を含む免許を保有

する社員がお客様への配信を行っております。PT BNP Paribas Securities Indonesia(登記上の所在地は Menara BCA, 35th Floor, Grand Indonesia, Jl. M.H.Thamrin No.1, Jakarta, 10310, Indonesia)は BNP パリバ SA の子会社で、Capital Market Law No. 8 of 1995 に則って認可を受けており、Capital Market and Financial Institutions Supervisory Agency (現 Otoritas Jasa Keuangan/OJK) が発行するブローカーディーラーとアンダーライター のライセンスを取得しています。PT BNP Paribas Securities Indonesia は、インドネシア証券取引所の会員でもあり、Otoritas Jasa Keuangan (OJK)の監督下にあります。本調査レポートもそのコピーも、インドネシア資本市場の

関係法令を遵守している場合を除き、インドネシア国内で配布することもインドネシア国民に配布することも許されておりません。本調査レポートはインドネシア

における有価証券のオファー文書 ではなく、インドネシア資本市場関係法令上のオファリングに該当する状況下において、インドネシア共和国内で配布することも

インドネシア国民に対して配布することも許されておりません。

マレーシア:マレーシアにおいては、本調査レポートの発行・配布は BNP Paribas Capital(Malaysia)SdnBhd が担当しております。本調査レポートで示した見解や

意見は、発行・配布日時点の弊社の見解や意見であり、変更される場合があります。BNP Paribas Capital(Malaysia)SdnBhd には本調査レポートにおける意見や情報

の更新を行う義務はありません。本調査レポートは極秘で、BNP Paribas Capital(Malaysia)SdnBhd のお客様のみにご提供するものです。本調査レポートはお客様に

ご内密にとどめていただくことを前提としてご提供しています。BNP Paribas Capital(Malaysia)SdnBhd の書面による事前同意なしには、理由にかかわりなく、本資

料のいかなる部分についても、全部または一部を、お客様が(i)いかなる手段によっても、複写、写真複写、複製、保存、再生できないこと、または、(ii)直接

的にも間接的にも、第三者への再配布や伝達を行えないことにご同意ください。

フィリピン:フィリピンにおいては、本調査レポートの配布は BNP パリバ(本店所在地はフランス、パリ)のオフショア・バンキング・ユニット(OBU)である

BNP パリバ、マニラ支店が担当しております。BNP パリバ、マニラ OBU は大統領布告 No.1034(PD1034)の下でオフショア・バンキング・ユニットとして登録さ

れており、フィリピン中央銀行の規制を受けています。本調査レポートはフィリピンでは PD1034 が認定している OBU のお客様に配布を行っており、その内容は

PD1034 の下で許されている商品・サービスに完全に制限されています。

シンガポール:シンガポールにおいては、本調査レポートの配布は BNP Paribas Securities(Singapore)Pte Ltd(BNPPSSL)が担当しており、適格投資家(Accredited Investor)や機関投資家(Institutional Investor)のみに配布が許されており、それぞれシンガポールの金融アドバイザー規則(Financial Advisers Regulations:FAR)と

証券先物法(Securities and Futures Act。第 289 章)で定義されています(随時改定)。こうしたカテゴリーの投資家に対する配布に関連して、BNPPSSL とそのセー

ルス担当者は、本調査レポートで言及されている有価証券における特定の利害の開示について、あるいは、その購入や売却における特定の利害の開示について、

FAR のレギュレーション 35に基づき、シンガポールの金融アドバイザー法(Financial Advisers Act)セクション 36の義務付けから免除されています。シンガポール

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BNP パリバ株式調査部 若杉 政寛

41 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

の機関投資家や適格投資家の皆様は、本調査レポートに関する事項や質問はすべて BNPPSSL (company registration number: 199801966C; address: 10 Collyer Quay, 34/F Ocean Financial Centre, Singapore 049315; tel: (65) 6210 1288; fax: (65) 6210 1980)にご連絡くださいますようお願いいたします。

南アフリカ:南アフリカにおいては、BNP Paribas Securities South Africa(Pty)Ltd はヨハネスブルク証券取引所の認定メンバーで、金融サービス提供者(Financial Services Provider)の認定を受けており、金融サービス委員会(Financial Services Board)の規制に準じています。BNP Paribas Securities South Africa(Pty)Ltd は本調

査レポートで言及されている金融商品が、本調査レポートを受け取られた方の特定の投資目的、財務状況、または特定のニーズにとって適切であることを明示的に

も暗示的にも表明、推奨、提案するものではありません。本調査レポートは、2002 年金融に関する助言および仲介サービス法(Financial Advisory and Intermediary Services Act, 2002)で意図されている助言に相当するものではありません。

韓国: BNP Paribas Securities Korea は Financial Investment Services and Capital Markets Act に則って Financial Investment Business Entityとして登録されており、Financial Supervisory Service(金融監督院)や Financial Services Commission(金融サービス委員会)の規制を受けています。本文書は、韓国でオファー や勧誘を行うことが違

法とされている金融商品の売却の申し出や購入の勧誘ではありません。

スイス:スイスにおいては、本調査レポートは、2006 年 6 月 23 日の集団投資スキームに関するスイス連邦法(Swiss Federal Act on Collective Investment Schemes:CISA)の第 10 条第 3 項および第 4 項と 2006 年 11 月 22 日の集団投資スキームに関するスイス連邦条例(Swiss Federal Ordinance on Collective Investment Schemes:CISO)の関連条項で「適格投資家(Qualified Investor)」と定義されているお客様のみを対象としています。「適格投資家」の中には、規制を受けている金融仲介機

関(銀行、証券会社、運用会社、集団投資スキームを手掛けるアセットマネジャー等)、規制を受けている保険会社、年金基金、財務運用をプロ的に行っている企

業などが含まれています。本調査レポートは適格投資家ではないお客様には適していない恐れがあり、適格投資家のみに配布を行ってその利用に供するべきもので

す。「スイスの法人顧客(Swiss Corporate Customer)」とはスイスの法律に則って設立・存続している企業体の顧客で、上記で示した「適格投資家」としての資格

を有しています。BNP Paribas(Suisse)SAは、スイス連邦金融市場監督機構(Swiss Federal Market Supervisory Authority:FINMA)によって銀行および証券ディーラ

ーとして認可されており、ジュネーブの商業登記で No.CH-270-3000542-1 として登録されています。BNP Paribas(Suisse)SA はスイスで設立された有限会社で、登

記上の所在地は 2 place de Hollande、CH-1204 Geneva です。

台湾:本調査レポートの配信は、BNP Paribas Securities(Taiwan)Co. Ltd によって、または、BNP パリバの子会社や関連会社によって台湾を本拠とするお客様に対

して行われております。こうした情報はご参考のためのみにご提供しています。お読みになる方は投資リスクを独自に評価され、ご自身の投資判断に全責任をお持

ちくださるようお願いいたします。台湾で取引されていない有価証券に関する情報は、情報提供のみを目的としており、当該有価証券の取引の推奨や取引の勧誘と

して解釈してはならないことをご理解ください。BNP Paribas Securities(Taiwan)Co. Ltd は、こうした有価証券の取引をお客様のために実行しない可能性がありま

す。本文書を公共メディアに配布することや、公共メディアが引用・使用することは、BNPパリバの書面による明確な同意がない限り許されておりません。

タイ:タイおよびタイに本拠を置く発行体に関する調査レポートは、BNP Paribas(BNPP)と FinansiaSyrus Securities Public Company Limited(FSS)間の取り決めに

従って作成されています。FSS International Investment Advisory Securities Co Ltd(FSSIA)がブランド名「BNP PARIBAS/FSS」の下で調査レポートの作成・配布を行

っています。BNPP は FSSIA や FSS の関連会社ではありません。FSS はブランド名「FINANSIA SYRUS」の下で別の調査レポートも発行しており、その調査レポー

トの作成は FSSIA に属していないアナリストが行っており、本調査レポートの対象証券、発行体、または業界をカバーしている可能性があります。本調査レポート

で示されている投資評価、推奨、見解は、FSS に雇用されている他のアナリストや調査チームの投資評価、推奨、見解と異なる可能性があります。本調査レポート

のタイ国外での配布は、BNP パリバグループのメンバー企業が行っております。

トルコ:トルコにおいては本調査レポートの配布は TEB Investment (TEB Yatirim Menkul Degerler A.S., Teb Kampus D Blok Saray Mah. Kucuksu Cad. Sokullu Sok., No:7 34768 Umraniye, Istanbul, Turkey, Trade register number:358354, www.tebyatirim.com.tr) が担当しており、トルコ国外については TEB Investment と BNP パリバが共同で行

っております。本資料に含まれている投資関連の情報、見解、推奨は、投資コンサルティングサービスには当たりません。投資コンサルティングサービスは、機能

を備えた然るべき機関が顧客のリスク・リターン選好を個別に考慮して個々に適した形で提供するものを言います。一方、本資料に含まれている見解や推奨は一般

原則に基づいて提供されているものです。これらの意見は、お客様の財務状況やリスク・リターン選好に合致していない可能性があります。したがって、本資料で

ご提供している情報のみに基づく投資判断は、お客様のご期待通りの結果をもたらさない可能性があります。TEB Yatirim Menkul Degerler A.S.が配布している本資料

は情報提供のみを目的としており、事前通知なしに変更される可能性があります。無断複写・複製・転載は禁じられています。TEB Yatirim Menkul Degerler A.S.の書

面による同意なしには、本資料のいかなる部分も、いかなる手段によっても、複写・複製を行えないことにご同意ください。TEB Yatirim Menkul Degerler A.S.は可能

な限り最新の情報を収集して本資料をご提供しておりますが、情報がすべて正確・完全であるとは保証しておらず、そのように信頼すべきでもありません。TEB Yatirim Menkul Degerler A.S.は第三者に対し、本資料の内容に関連・起因する責任を一切負いません。本資料の内容を参考に利用される場合には、ご自身の投資リス

クを十分に理解され、全責任をお持ちくださるようお願いいたします。

米国:米国においては、本調査レポートの配布は、米国人(U.S. person)である「主要機関投資家(major U.S. institutional investors:1934 年証券取引法(改正を含

む)、規則 15a-6 で定義)」のみに許されており、米国人「主要機関投資家」以外の個人や企業による本文書の使用は意図しておりません。米国人で、ここで論じ

ている有価証券の取引をご希望の場合には、BNP Paribas Securities Corp を通じて行っていただく必要があります。BNP Paribas Securities Corp は米国で登録しているブ

ローカーディーラーで、米国の金融取引業規制機構(FINRA)、証券投資家保護公社(SIPC)、先物取引協会(NFA)、ニューヨーク証券取引所(NYSE)等の主

要証券取引所のメンバーです。

欧州経済地域内の特定の国々:本文書は英国においては適格カウンターパーティ(eligible counterparty)およびプロ顧客(professional client)のみに配布が許されて

おり、リテール顧客(retail client)に対する配布は意図されておらず、また、配布すべきでもありません(これらの用語は金融商品市場指令(MiFID)2004/39/EC で

定義されています)。本文書の英国における発行・配布の承認は、BNP パリバ SA(本店所在地はフランス、パリ)の支店である BNP パリバ、ロンドン支店が行い

ます。BNP パリバ SAはフランスで設立された有限会社で、登記上の所在地は 16 boulevard des Italiens、75009 Paris です。BNP パリバ、ロンドン支店(登記上の所在

地:10 Harewood Avenue、London、NW1 6AA、電話:[44 20] 7595 2000、ファックス:[44 20]7595 2555)は、欧州中央銀行(ECB)とプルーデンス監督・破綻処

理庁(ACPR:Autorité de Contrôle Prudentiel et de Résolution)によって主に監督されており、プルーデンス監督・破綻処理庁とプルーデンス規制機構(PRA:

Prudential Regulation Authority)の認可を得ており、金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)とプルーデンス規制機構の限定的規制に準じています。弊社がプ

ルーデンス規制機構から受けている許可・規制や金融行動監視機構から受けている規制の範囲に関する詳細はご要望に応じてご提供しています。本調査レポートの

フランスにおける発行の承認は、BNP パリバ(プルーデンス監督・破綻処理庁によって運用サービスプロバイダー(investment services provider)として認可されて

いる金融機関で、本店所在地は 16、Boulevard des Italiens 75009 Paris、France)が行っています。本調査レポートのドイツにおける配布は、BNP パリバ、ロンドン支

店か、ドイツ連邦金融監督庁(BaFin:Bundesanstalt für Finanzdienstleistungsaufsicht)の規制下にある BNP Paribas Niederlassung Frankfurt am Main が担当しておりま

す。

その他の法域:本調査レポートを上記以外の法域、またはその居住者へ配布することは、法律によって制限されており、本調査レポートを入手された方はご理解の

上、当該制限を順守くださいますようお願いいたします。本調査レポートを受け取られた方は、その受領により、上記の制限に拘束されることに同意されたことに

なります。本調査レポートは、その配布、公開、提供あるいは使用が法や規制に反している、いかなる地域、州、国またはその他法域の国民や居住者である個人や

組織への配布、またはそれら個人や組織による使用を意図したものではありません。

英語版調査レポートはすべて、弊社のお客様向けウェブサイトを通じて、お客様全員に同時に発信・提供しております。特定の銘柄に関する全調査レポートをご覧

になりたい場合には、担当の BNP パリバ調査チームにご連絡ください。

追加ディスクロージャー

本調査レポートで評価を行った各企業の目標株価の推移、株価チャート、バリュエーションやリスクの詳細、投資評価の推移の入手をご希望の場合には、弊社ウェ

ブサイト(http://eqresearch.bnpparibas.com)上で直近発行の英語版レポートをご覧いただくか、本調査レポートの冒頭に記載されているアナリストか弊社の御社担

当者までご連絡ください。

株価は、特に明記しない限り、すべて 2016 年 10月 04 日の終値とします。

Page 42: 株式調査部 BNP パリバ株式調査部...7.メディア報道を利用したバスケットポートフォリオ分析 ..... 29 鮫島 豊喜 若杉 政寛 柳沢 和江 大和

BNP パリバ株式調査部 若杉 政寛

42 BNP パリバ証券株式会社 2016 年 10 月 6 日

推奨のフレームワーク

投資評価

弊社は株式の投資評価を上値余地や下値余地の絶対比率に基づいて行っており、「(目標株価*-現行株価)÷現行株価」と定義しています。

BUY(B):上値余地が 10%以上ある銘柄

HOLD(H):上値余地または下値余地が 10%未満の銘柄

REDUCE(R):下値余地が 10%以上ある銘柄

特に明記しない限り、投資評価の推奨期間は 12 ヵ月に設定しています。将来の株価変動によっては、市場価格に基づく株価の上値(下値)余地と公式

な推奨の間に一時的にミスマッチが生じる可能性があります。

*目標株価は、ほとんどの場合、アナリストが算定した現在の適正株価と同等です。しかし、アナリストが特定の期間内に(イベントや材料の不足のため)株価修正は起きないと判断した場合には、目標株価は適正株価と乖離することがあり得ます。したがって、ほとんどの場合、弊社の推奨は、現在の市場価格と自社で算定した現在の適正株価のミスマッチを考慮しています。

業界の推奨

強気 / Improving(↑):今後 12 ヵ月間にファンダメンタルな状況が改善すると予想される業界。

中立 / Stable (従来 Neutralとして表記)(←→):今後 12 ヵ月間のファンダメンタルな状況が横ばいにとどまると予想される業界。

弱気 / Deteriorating(↓):今後 12ヵ月間にファンダメンタルな状況が悪化すると予想される業界。

国(ストラテジー)の推奨

Overweight(O):アナリストが市場推奨を決定する際に使用する基準のうち、今後 12 ヵ月間に好スコアを 2 つ以上得られると予想される国(戦略)。

その基準とは、地域のベンチマークに対するインデックスのリターン、地域のベンチマークに対するインデックスのシャープレシオ、株式の市場コスト

に対するインデックスのリターン。

Neutral(N):アナリストが市場推奨を決定する際に使用する基準のうち、今後 12ヵ月間に好スコアを 1つ得られると予想される国(戦略)。その基準

とは、地域のベンチマークに対するインデックスのリターン、地域のベンチマークに対するインデックスのシャープレシオ、株式の市場コストに対する

インデックスのリターン。

Underweight(U):アナリストが市場推奨を決定する際に使用する基準のうち、今後 12 ヵ月間に好スコアを 1 つも得られないと予想される国(戦

略)。その基準とは、地域のベンチマークに対するインデックスのリターン、地域のベンチマークに対するインデックスのシャープレシオ、株式の市場

コストに対するインデックスのリターン。

投資評価の分布(2016 年 10 月 05 日現在)

本調査レポートに関する追加情報をご希望の場合には、担当の BNP パリバ調査チームにご連絡ください。

BNP パリバ証券株式会社:金融商品取引業者関東財務局長(金商)第 2521号

東京都千代田区丸の内 1 丁目 9番 1号 グラントウキョウ ノースタワー

(加入協会)日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

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BNPパリバのカバレッジ・ユニバース 457 投資銀行関連 (%)

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Hold 133 (29.1%) Hold 36.09

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