大規模治験ネットワークを利用した企 業治験調査( … › research › files...
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大規模治験ネットワークを利用した企業治験調査(企業治験紹介)の実績
日本医師会治験促進センター
○丸山由起子、若井修治、山本 学
【 目 的 】治験促進センターが構築、運営している大規模治験ネットワークの登録医療機関約1600に治験実施機会を提供し、一方で治験依頼者の医療機関選定を効率化するため、当センターでは企業治験調査を無償で実施している。
今回、過去5年間に実施した調査の集計及びアンケート調査を行い、今後の企業治験調査のあり方を検討することとした。
治験促進センターが目指すのは、治験依頼者と実施医療機関の橋渡しです。
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
調査依頼数
累積依頼数
(件)
企業治験調査の推移
第Ⅰ相 (2)
第Ⅱ相(23)
第Ⅱ/Ⅲ相(5)
第Ⅲ相(52)
製造販売後臨床試験
(2)
医療機器(2)
その他 (1)
2111111
34
57
8999
1114
0 2 4 6 8 10 12 14 16
医療機器その他
アルカロイド系麻薬アレルギー用薬
感覚器官用薬腫瘍用薬
末梢神経系用薬ホルモン剤
非アルカロイド系麻薬抗生物質製剤消化器官用薬呼吸器官用薬生物学的製剤
その他の代謝性医薬品循環器官用薬
血液・体液用薬中枢神経系用薬
【 フェーズ 】【 薬効分類 】
調査した治験の背景(全87件) 2007年1月~ 2012年3月末
(うち、ワクチン3)
()内は調査数
【 方 法 】① 平成19年2月から24年3月に実施した87件(28
社)の調査について医療機関からの回答数、選定医療機関数、選定外理由を集計した。
② 大規模治験ネットワーク登録医療機関と調査実績のある治験依頼者に対し、調査への印象、積極性、回答の重視点等をアンケート調査した。
【集計結果①】医療機関数
1調査あたり中央値
医療機関数の範囲調査回答数に対す
る割合
調査回答数 1439 19 2~76 -
調査依頼企業の二次調査実施
536 6 0~31 36%
治験契約成立数 229 3 0~18 15%
選定外理由①
選定外理由②
選定外理由②選定外理由①
少数意見(3%未満)・別途調査済み施設 ・方針の相違・IRB手続き ・回答後辞退・研究費支払方法 ・院内体制
少数意見(3%未満)・IRB手続き ・院内体制・救急体制 ・設備・検査方法・研究費支払方法
対象症例数, 23%
実施可能例数,
21%
依頼者判断, 19%
その他, 10%
過去の実績, 6%
不明, 5%
設備・検査方法,
4%
SMOの有無, 4%少数意見,
8%
実施可能例数,
23%
対象症例数,
24%依頼者
判断, 23%
病院都合辞退,
10%
方針
相違, 5%
不明, 4%
その他, 3%少数意見,
8%
【集計結果②ー1<治験依頼者アンケート>】(回答数 34件(企業の重複あり))
満足している
6%
ほぼ満足して
いる
73%
あまり満足し
ていない
15%
満足して
いない
6%
企業治験調査に満足していますか?
軽減した
71%
特にかわ
らない
26%
増加した
3%
企業治験調査の利用により業務は軽減しましたか?
プロトコル
によっては
利用したい
71%
積極的に利
用したい
29%
今後も企業治験調査を利用したいですか?※施設選定調査・予備調査ともに同じ回答数であった。
その他
電子化の状況(カルテ、文書保存)
統一書式導入の有無
モニタリング環境
(個室、インターネット環境など)
事前ヒアリングの有無
診療科による抽出
0 5 10 15 20 25 30今後、調査先を何により絞込みたいですか。※現在の調査方法は、医療機関名と所在情報のみ
【集計結果②ー2<実施医療機関アンケート>】回答数 114件
治験実施のた
めに、積極的
に活用してい
る
54%
対象疾患の診
療科医師の希
望があれば活
用している
39%
治験実施は特
に意識せず、
回答している
4%
その他
3%
区別している
25%
区別していな
い
73%
その他
2%
調査に回答するために最低限入手したい情報は何ですか?(複数回答可)
企業治験紹介調査はどのように活用していますか?
施設選定調査(プロトコル固定段階)と予備調査(プロトコル作成前、実施可能性調査)を区別して回答していますか?
【集計結果②-1(治験依頼者)・2(実施医療機関)】
医療機関を選定される際、何に重点が置いていますか。(何に重点が置かれていると思いますか?)(複数回答可)※グラフは、調査依頼企業と実施医療機関の回収数が違うため割合で示しています。※対象症例数・実施可能例数はほぼ100%であったため示していません。
治験を依頼さ
れるように、
意識して回答
している
38%
調査参考資料
となるよう情
報提供として
回答している
24%
特に意識せ
ず、現状を回
答している
35%
その他
3%
詳しく知り
たい
41%
できれば知
りたい
55%
予想できて
いるので、
知らされな
くてもよい
2%
知る必要は
ない
2%
回答する際に意識していることは何ですか? 選定(外)の理由を知りたいですか?
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%
その他
SMOの関与
インターネット回線(LAN環境)
IRBなどの手続
CRC等の院内体制
研究費(支払方法や金額)
設備や検査方法
過去の実績
1%
10%
11%
23%
27%
26%
28%
53%
3%
44%
18%
38%
62%
35%
35%
56%
依頼企業
医療機関
【考察1】企業治験調査(紹介)の仕組みの評価• 229件もの治験契約が締結でき、実施した企業の満足
度、業務軽減、再利用(活用)に対し高い評価が得られた。
• 実施医療機関も積極的に活用54%、依頼されるよう意識38%とあり、回答する機会を積極的に利用していることが伺えた。
【考察2】医療機関選定の重要素• 企業が医療機関選定時に重視する要素と医療機関が重視
されていると考える要素に開きがあった。
– 企業の方がIRB等の手続きのスピードを意識している。
– SMOの関与は院内体制の充実である一方、依頼者は与信管理等の点から企業間の関係を意識する面がある。
– 医療機関が考える以上にコメディカルを含む院内体制の充実を期待されている。
【考察3】企業治験調査(紹介)に求められていること
• 医療機関を絞って調査(調査情報=機密情報のため)
標榜診療科等により治験実施につながる可能性が高い医療機関のみに情報を提供する。
参加の可能性が低い治験の紹介メールを受信することがない。
院内の治験プロセスやネットワーク環境により事前に絞り込めば、調査は治験に特化した質問数のみになり回答・確認が容易になる。
• 選定外理由を医療機関にフィードバックする
医療機関は選定外となった理由を知ることで、今後の治験実施体制を改善する機会となる。
他の医療機関に対して自医療機関の現状を知ることができる。
橋渡しの強化へ!
治験促進センターのこれからの試み
• 企業治験調査(紹介)のシステム化実施医療機関データベースを充実させ調査対象医療機関
の絞込みを可能に• 連携する実施医療機関データベース
– 実施医療機関データベース(「治験等の効率化に関する報告書」(平成23年5月)に従い、実施医療機関の治験体制に関する情報をXML化しデータ収集しているデータベースのこと)
– 大規模治験ネットワーク登録医療機関情報
– 医療機関の標榜診療科情報等
調査の種類が識別しやすい調査票• 予備調査(プロトコル作成前の実施可能性調査)
• 医療機関選定調査(プロトコル固定後の施設を選定する調査)
調査後の進捗管理を調査依頼企業とシステム内で共有• システムへの直接アクセス(アカウント発行)による情報の共有
– 選定結果の入力
– 選定結果(選定外理由を含む)の自動メール配信
– 選択後の窓口情報の開示などが自動化される。 等
※治験促進センターの試みは次のスライドで図示しております
調査を希望する企業(治験依頼者)
治験促進センター実施医療機関(登録済み)
医療機関データベース
企業治験紹介システム
調査対象医療機関の絞込み
最新情報の更新
調査のための資料提供
治験の概要、スケジュール表、参考資料(評価スコア等)、調査したい内容(調査票案)
調査の受け付け内容の確認
秘密保持契約のもと資料受領
調査の作成 調査票イージーオーダー機能
確認・修正
調査票最終案確認
調査票公開 調査対象医療機関は調査内容を確認
参加希望治験に回答
回答データ検討結果データ
回答確認(窓口情報を除く)
施設選定検討選定結果を確認
(選定外は理由含む)
窓口情報の開示許可連絡先の確認
選定先への連絡(二次調査含む)
治験の詳細確認実施のための相談
治験依頼、治験契約へ
調査対象医療機関設定
実績の更新
【 結 語 】• 治験促進センターは、実施医療機関だけではな
く、治験依頼者の業務の効率化、円滑化に貢献をすべく検討をしております。
• 企業治験調査(紹介)は、今回の集計、アンケート調査により、実績の評価と今後への期待が明確になりました。これからも継続し、さらなる効果を検討していきます。
【 謝 辞 】今回の調査にご協力いただきました医療機関・治験依頼者の皆様に厚く御礼申し上げます。