金属製品(部品)の破損解析事例金属製品(部品)の破損解析事例...

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金属製品(部品)の破損解析事例 製品安全センター 破断部以外の表面に網状のき裂が見られるこ とがある。 破断部近傍に変形が認められない。 破損部の特徴 破面が粒界割れを呈しており、成分分析で粒 界腐食の原因となるPbSnが規定値以上検出 されたことから、後天的に粒界腐食を生じ破断 したものと推定。 原因の推定 不純物含有量を定期的に確認する。 破断部に変形が認められない。 柄元の隙間部分に腐食(さび)が発生している。 破面の凹凸が著しい。 破損部の特徴 柄元と柄に隙間があったため、隙間腐食が生 じて孔喰及び粒界割れが発生し、柄元が破断 したものと推定。 原因の推定 柄元と柄の隙間をなくす。 よく洗い、水分を拭き取る。 事例手すりを固定する亜鉛合金ダイカスト製金具が破断した。 事例:ステンレス製包丁の柄元が折れた。 腐食に影響する不 純物が規定値以上 粒界割れ 金具破断面 粒界腐食 粒界腐食 孔喰 柄元破断面 柄元と柄の隙間 破断部 破断部 Al Cu Mg Fe Pb Sn Cd 事故品 4.87 0.27 0.039 0.01 0.019 0.005 分析対象外 JIS規定値 3.5~4.3 0.25以下 0.02~0.06 0.10以下 0.005以下 0.003以下 0.004以下 成分分析結果 網状のき裂(別製品) 事業者 事業者 消費者 事例脚立の支柱に使用されているロック機構のばねが折損した。 破断部に変形が認められない。 破面に、疲労破壊の特徴を示すビーチマーク 及びストライエーションが認められる。 疲労進展破面の面積が小さい。 破損部の特徴 使用材料の疲労強度が低かったため、疲労破 壊したものと推定。 原因の推定 疲労強度の高い材料を使用する。 形状変更等により応力を低下させる。 応力集中の原因となる加工傷等を付けない破断部に変形が認められない。 破面に、疲労破壊の特徴となるビーチマーク、 ストライエーションが認められる。 疲労進展破面の面積は、比較的大きい。 破損部の特徴 ボルトの材質及び硬さには、問題が見られな かったため、締め付け不足のためボルトにか かる荷重が増大し、疲労破壊したものと推定。 (ボルト:M8、クロムモリブデン鋼) 原因の推定 適正な工具を使用して、適正トルクで締め付ける。 事例自転車のサドルを固定するボルトが破断した。 ボルトの破断面 ビーチマーク ストライエーション ビーチマーク 破断 ロック機構 正常 折損 折損 破断部 固定ボルト 支柱 事業者 事業者 消費者 事業者 事業者 ~製品起因による事故とその対策~

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Page 1: 金属製品(部品)の破損解析事例金属製品(部品)の破損解析事例 製品安全センター •破断部以外の表面に網状のき裂が見られるこ

金属製品(部品)の破損解析事例

製品安全センター

•破断部以外の表面に網状のき裂が見られることがある。

•破断部近傍に変形が認められない。破損部の特徴

•破面が粒界割れを呈しており、成分分析で粒界腐食の原因となるPb、Snが規定値以上検出されたことから、後天的に粒界腐食を生じ破断したものと推定。

原因の推定

•不純物含有量を定期的に確認する。対 策

•破断部に変形が認められない。•柄元の隙間部分に腐食(さび)が発生している。•破面の凹凸が著しい。

破損部の特徴

•柄元と柄に隙間があったため、隙間腐食が生じて孔喰及び粒界割れが発生し、柄元が破断したものと推定。

原因の推定

•柄元と柄の隙間をなくす。•よく洗い、水分を拭き取る。

対 策

事例:手すりを固定する亜鉛合金ダイカスト製金具が破断した。 事例:ステンレス製包丁の柄元が折れた。

腐食に影響する不純物が規定値以上

粒界割れ

金具破断面

粒界腐食

粒界腐食孔喰

柄元破断面 柄元と柄の隙間破断部

破断部

Al Cu Mg Fe Pb Sn Cd

事故品 4.87 0.27 0.039 0.01 0.019 0.005 分析対象外

JIS規定値 3.5~4.3 0.25以下 0.02~0.06 0.10以下 0.005以下 0.003以下 0.004以下

成分分析結果

網状のき裂(別製品)

事業者

事業者

消費者

事例:脚立の支柱に使用されているロック機構のばねが折損した。

•破断部に変形が認められない。•破面に、疲労破壊の特徴を示すビーチマーク及びストライエーションが認められる。

•疲労進展破面の面積が小さい。

破損部の特徴

•使用材料の疲労強度が低かったため、疲労破壊したものと推定。

原因の推定

•疲労強度の高い材料を使用する。•形状変更等により応力を低下させる。•応力集中の原因となる加工傷等を付けない。

対 策

•破断部に変形が認められない。•破面に、疲労破壊の特徴となるビーチマーク、ストライエーションが認められる。

•疲労進展破面の面積は、比較的大きい。

破損部の特徴

•ボルトの材質及び硬さには、問題が見られなかったため、締め付け不足のためボルトにかかる荷重が増大し、疲労破壊したものと推定。(ボルト:M8、クロムモリブデン鋼)

原因の推定

•適正な工具を使用して、適正トルクで締め付ける。対 策

事例:自転車のサドルを固定するボルトが破断した。ボルトの破断面

ビーチマーク

ストライエーションビーチマーク

破断ロック機構

正常折損 折損 破断部固定ボルト

支柱

事業者事業者

消費者事業者

事業者

~製品起因による事故とその対策~