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13
Vol.30 No.155 研究 'id: iJJl 研究所季初 電波塔近傍地域における TV・FM放送波の 電力束密度の推定及び測定(I) ¥i 行* 小口哲雄* 川名述ー* 小宮紀且料大内智llM 林郁竹愛一郎** (昭和 59&F2 14 臼受怨) June 1984 pp.171 183 ESTIMATIONANDMEASUREMENTOFPOWERFLUX-DENSITY OFTVANDFMBROADCASTRADIATIONINNEARBYAREA OFA BROADCASTINGTOWER(I) By KangoTOKUSHIGE,AkiraSUGIURA, TetsuoOGUCHI,TatsuichiK AW ANA, NoriakiKOMIYA,TomoharuOHUCHIandAiichiroTSUZUKU With a rapid increase in I dio stations of late year 百, it has become necessary to estimate environmentallevelsofradio-frequencyenergyradiatedbythosestations. Especially, sincetheTV andF Mbroadcaststationscanbeconsideredoneoftheprincipal sources of radiation, it is important tocarefullyconsidereffectsontheelectromagnetic environment caused by TV andF M broadcast radiationinthenearbyeaofabroadcastingtowerlocatedinthedenselypopulateddistrict. Inthispaper, totalpowerflux-densityischosenasanappropriatevalueforassessingcomplicated electromagneticenvironmentinurbanareas, becauseitcanbesimplyexpressedasa power sumof wavesatvariousfrequenciescomingfromeverydirection, andcanbeeasilyobtainedby measuring electricfield. Thepowerfluxdensitymeasuringsystemhasbeendeveloped, which consists of a mutuallyorthogonaldipoleantenna,aspectrumanalyzerandamicrocomputer. Byusingthis system whichisequippedinavan, thefieldstrengthofeachorthogonal component was measured for VHF- TV(90 MHz-108 MHz, 170 MHz-222 MHz)wavesandFM(80 MHz-90 MHz)wavesradiated froma broadcastingtower, at78locationswithinaradiusofaboutllan. Thetotalpowerflux-density at everylocationwasobtainedbycalculatingthesquaresumoftheelectricfieldstrengthofthecom- ponentswhichweremeasuredbymovingantenna, atvariousfrequencies. Thispaperdescribestheprincipleofpowerflux-densitymeasurement, construction of measuring system, measurementmethodandcomparisonbetweeneachofmeasuredresultsandcalculatedones. It wasfoundthemeasuedvalues of total power fluxdensity agreed with the theoretical ones withinafewdBinthecasesofline-of-sightpropagation. ].はじめに 近年,無線局は急激に増加しており,これら無線局か ら発射された電波が他の無線局や各種電子機器,通信シ 料通信機器部標準測定研究室 171 ステム各市妨害を与え,誤動作と主E じさせるこどがあ り,強度によっては,生体i ζ悪影響を及ぼすおそれがあ るので国際的にも関心が高まっている(!) (2) (剖.このた め,無線局から発射された電波による電磁環境の実態を 周波数, H 寺聞及び空間の閣から把纏し,将米を予測しz

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  • Vol.30 No.155

    研究

    'id: iJJl研究 所季初

    電波塔近傍地域における TV・FM放送波の

    電力束密度の推定及び測定(I)

    f!l~旦克吾* 杉¥iii 行* 小口哲雄* 川名述ー*小宮紀且料大内智llM林郁竹愛一郎**

    (昭和59&F2月14臼受怨)

    June量1984pp.171 183

    ESTIMATION AND MEASUREMENT OF POWER FLUX-DENSITY

    OF TV AND FM BROADCAST RADIATION IN NEARBY AREA

    OF A BROADCASTING TOWER (I)

    By

    Kango TOKUSHIGE, Akira SUGIURA, Tetsuo OGUCHI, Tatsuichi KAW ANA,

    Noriaki KOMIYA, Tomoharu OHUCHI and Aiichiro TSUZUKU

    With a rapid increase in I百diostations of late year百, ithas become necessary to estimate

    environmental levels of radio-frequency energy radiated by those stations. Especially, since the TV

    and FM broadcast stations can be considered one of the principal sources of radiation, it is important

    to carefully consider effects on the electromagnetic environment caused by TV and FM broadcast

    radiation in the nearbyむeaof a broadcasting tower located in the densely populated district.

    In this paper, total power flux-density is chosen as an appropriate value for assessing complicated

    electromagnetic environment in urban areas, because it can be simply expressed as a power sum of

    waves at various frequencies coming from every direction, and can be easily obtained by measuring

    electric field. The power flux density measuring system has been developed, which consists of a

    mutually orthogonal dipole antenna, a spectrum analyzer and a microcomputer. By using this system

    which is equipped in a van, the field strength of each orthogonal component was measured for VHF-

    TV (90 MHz-108 MHz, 170 MHz-222 MHz) waves and FM (80 MHz-90 MHz) waves radiated from a

    broadcasting tower, at 78 locations within a radius of about llan. The total power flux-density at

    every location was obtained by calculating the square sum of the electric field strength of the com-

    ponents which were measured by moving antenna, at various frequencies.

    This paper describes the principle of power flux-density measurement, construction of measuring

    system, measurement method and comparison between each of measured results and calculated ones.

    It was found the measued values of total power flux density agreed with the theoretical ones

    within a few dB in the cases of line-of-sight propagation.

    ].はじめに

    近年,無線局は急激に増加しており,これら無線局か

    ら発射された電波が他の無線局や各種電子機器,通信シ

    *通信機器~j) 電滋球協研究室料通信機器部標準測定研究室

    171

    ステム各市妨害を与え,誤動作と主Eじさせるこどがあ

    り,強度によっては,生体iζ悪影響を及ぼすおそれがあ

    るので国際的にも関心が高まっている(!) (2) (剖.このた

    め,無線局から発射された電波による電磁環境の実態を

    周波数, H寺聞及び空間の閣から把纏し,将米を予測しz

    ;;~響評価をすることが,環境悪化を防止する対策,環境

  • 172

    の管理と共に重要な課題となっている.そこで,実態を

    犯録するための調査研究のーっとして,者II市内にある電

    波塔から発射されている TV・FM放送波の近傍地域に

    おける電力束密度の測定と分布の推定を行うことにし

    Tこ.

    j放送波を選定した理由は,実効ふく射電力が他の無線

    局lとくらべて大きく,発射源が電波塔IC集中していると

    いう特殊な状況にあること,また,人口が密集した都市

    に位置し,長時間にわたり連続発射している乙となどで

    ある.電磁環境を評価する物理的表示として,電界強

    度,磁界強度あるいはこれらの 2乗値または電力束密度

    等が用いられている.電力束密度は,ある方向から到来

    するある周波数の電波がこれに垂直な面を通過する単位

    面積当り単位時間当りのエネルギーの流れである.どの

    ような評価値を選ぶのが適切であるかは,電磁環境を形

    成する電磁波の周波数,近傍界か遠方界の別,環境内に

    ある対象物の種類,形状,配置,使用状態のほか評価値

    自体の測定の難易,再現性,精度等に左右される.

    ここでは, TV・FM放送波による都市内における電

    総環境を評価する物理的表示として,放送波の各波の電

    力束密度及びこれらの和をとった総合電力束密度を採用

    した. TV•FM 放送波が電波塔近傍地域内の任意の地

    点に到来する場合,周囲の地形,建物・樹木など地物の

    状態,近くを通過する自動車等の交通量などの状況によ

    り伝搬の様態はさまざまであると予想される.もちろん

    直接波だけが到来するとみられる場合もあるが,回折や

    反射・散乱を受けた波もさまざまな方向から到来し,こ

    れらが複合して時間的に変化すると考えられる場合が多

    い. ζのような環境の中に無線機器,各種電子機器及び

    通信・情報・医療等の各種社会システムが存在してお

    り,乙れらの形状,設置状況,使用状態は千差万別であ

    る.従って,これらの環境影響を評価する場合,放送波

    の各波を直角座標系の各軸について電界強度で表現する

    よりもその地点、に流入する同一周波数の電波のエネルギ

    ー,すなわち,電力束密度で表わすのが簡潔である.さ

    らに周波数に対して比較的選択性が小さい対象物iζ対し

    ては,複数の放送波のそれぞれの電力束密度の和で評価

    するのが適切である.とのような観点から,本論文で

    は,主として総合電力束密度を評価に用いている. ζの

    IT1'価値を用いた都市内の代表的な高層建築物における

    TV・FM放送放の測定は米国等で行われているが円

    浴波塔近傍地域内での;場所分布を測定したり推定するこ

    とは行われていない.

    筆者らは,電力束密度の測定用IC三紬直交ダイポール

    アンテナを考案し,これとスベクトル・アナライザ,マ

    イクロ・コンピュータ等で構成する電力束密度測定シス

    電波研究所季報

    テムを開発した山.とのシステムそ測定事に装備し,電

    波塔を中心に,半径 lkm以内の 78地点において, TV

    ・FM放送波16波の総合電力束密度を測定した.

    本論文は,三軸直交ダイポールアンテナによる電力来

    密度の測定原理,放送局の諸元IC基づく総合管力束密度

    の計算,測定システムの構成と測定方法及び測定結果に

    ついて述べる.なお,総合電力束密度の分布の推定,各

    波の偏波特性については,半径 1 ~ 3km の地域内のill~

    定を行った後に報告する予定である.

    2. 電力束密度の測定原理

    電力来密度(Powerflux-density)は空間の任意の

    点において,電磁波の伝搬方向に垂直な単位面積を単位

    時聞に通過するエネルギーの流れ,すなわち,ポインテ

    イングベクトルの大きさであって,伝送電力密度を表す

    物理量である.

    電磁界が正弦振動をする場合,次式で定義される時間

    平均ポインティングベクトル Pavで扱われる.

    P山=去j;π(Em×Hm)d(wt)=い吋ι[ι品n€ jlOc

    ζ乙で, Eη,, H.協は,電界及び磁界の最大値で,

    E前 =aeRe[Emei lwl-Oel J ……(2)

    H叩 =aeRe[Hmeilwt-OhlJ

    Re[ ]は実部を,また, ae,8/L はそれぞれ筒界,磁

    界の単位ベクトルを示す.P仰を実効値 E,Hで表せ

    ば,

    p刷=ae×a1JJ ……(3)

    今,空間の任意の方向から 1波の平面、波が到来する場

    合には, H=E/120πの関係から,

    Pav=JPavJ=~ ...... (4) 120π

    となるので,単一の平面波の場合には電力*密度 P"'v

    は,電界強度を測定することにより求めることができ

    る.

    次lζ,任意の方向から,楕円偏波をもっ複数の電波が

    到来する場合,三軸直交ダイポールアンテナで全電力束

    密度を測定するととができることを示す.

    楕円偏波は,位相差が巣なる 2つの直線偏波の合成と

    考えることができるので,任意の傾きのi直線偏波をもっ

    N波の同一周波数の電波が到来する場合を考える.

    第1図iと示すように,アンテナの中心点を原点,素子

    方向i乙x, Y, z軸をもっ座標系をとり,各軸及び電波

    の到来方向の単位ベクト Jレを,それぞれ, e,,,e加 e,及

    び ek,各軸と到来方向とのなす角をそれぞれ, aei,

  • 173 1984 June No.155 Vol. 30

    D.(n) 1 言出ιCOS)"ci COS )"cj COS (的一旬jn Ti J

    引』

    となる.

    (II)式で,第1項は,各波の電力の和であるが第2項

    は,各波の干渉によって生じた電力である.そ乙で,ア

    ンテナを例えばy軸方向へ数波長以上移動して得られる

    平均電力<Pz>は, (II)式の第2項がOになるため,次式で与えられる.

    qH制ー

    同様に, x, y軸についても,それぞれ<P.-r.>,

  • 174 '

    イJv,スーパ・ゲイン及び2ダイポールが採用されてお

    り,いずれも 6~8段の垂直配列になっており,相対利

    得は7~lOdBである.電界強度計算モデルとして,自由空間伝搬値 E1,.,平

    面大地伝搬値 Ev及び都市減衰を考慮した奥村氏の実

    験問に基づく伝搬値 Eoxの三つを採用した. とれら

    は,それぞれ次式で与えられる.

    EF=EoDv(O) ・・・(15)

    Ev=2EFS ・・・ H ・0日

    Eox=EFI' ……聞

    ただし, Eoは, 水平指向性だけを考慮花入れた自由空

    間値で,次式で与えられる.

    1J写p;_, DH(rp) H ・H ・側、Id2+(HT-HR)2 "t'

    乙とで, GT:送信アンテナ相対利得, LT:給電線系損

    失, P旨:送信電力, HT:送信アンテナ地上高, HR:

    受信アンテナ地上高, d:送受信アンテナ閣の水平距

    離, Dv(の:送信アンテナ垂直指向性, DH(rp):送信

    アンテナ水平指向性.なお,送信アンテナの指向性 D

    (O, rp)は, Dv(め とDH(伊〕の積で近似できるもの

    と考えられる.

    次IC,(!回式戸DSは,平面大地伝搬の場合の,直接波iζ対

    する反射波の路程差遅れ角 Sの関数で,次式で与えられ

    る.

    S= sin f=由子{./d2+(HT+HR〕2-./d2+ (HT-HR)2}

    とζで, A:送信電波の波長

    なお,ととで臨簡単にするために,接地角の大きさ

    にかかわらず,反射係数は- 1が成立つと仮定した.

    最後に, Fは,準平滑地形(伝搬路の地形プロフィ

    ルから判断して,地形の起伏高が約20m以下で起伏の

    うねりがゆるやかであるような平坦な地形をいう.)の

    市街地における実験的に求められた伝搬損失で,次式で

    ・・・(19)

    与えられる.

    I'= Lo LP

    乙乙で, Loは自由空間伝搬損失, Lpは準平滑地形の

    市街地における伝搬損失(実験的に求められたもの)で

    あり,とれらはそれぞれ次式で与えられる.

    ・・・自国

    Lo=ヂ 飢)Lp=A+B log(d/1000)…・・・(22)

    凶式のA, Bは,周波数/(MHz)が200MHz以下,

    距離 d(m)が1000m以上のとき,}fr=30~200m,

    電波研究所季報

    HR=1~lOmの範聞では,次式で与えられる問.

    A =69. 55-26.16 log/-13. 82 log H1・

    -8. 29(log 1. 5HR)宮ー1.10 ……闘

    B =44. 5-6. 55 log H1・ ……凶

    送信アンテナの垂直指指性 Dv(O), 水平指向性 DH

    (ψ)は,文献酬に示されている計算式を用いた.乙の

    場合,アンテナ素子聞の間隔,素子と反射板の間隔,鉄

    0.8

    電界強

    請ω値

    GU

    凋噌

    o

    a

    電界強度相対航

    1. 0

    スーパ・ゲイン, 8段

    -『計算値

    ートー工事設計資料値

    auτ AU

    0.2

    。。 30 60 術 角 〔 度 〕

    90

    (a) FM(A)波 (垂直)

    1. 0

    2ダイポール, 8段

    0.8

    計算値__ ,. __工事設計資料値

    0.2

    。。 30 60 僻 角 〔 度 〕

    90

    (b) TV(B)波 (垂直)

  • 175

    (川一〉円」‘〈J同

    1984

    T.N O'

    June No.155 Vol. 30

    Fhリ

    q,F

    a什1

    ρ

    h

    ヱ』い)

    Z凶巴ト小山コ」以HL

    引0・270・

    :》2 :1 ×10'

    - n

    :1 5 7 ×HI'

    DISTANCE

    ワ7 1 ×10

    (a) FM (A)i皮

    TV(B)i皮

    トー、 ト司 P、iL~1~~ EARTH ~C Ii HR=2.0m -..... E。

    l、I~ A f パ 先

    』-

    AZIM. =0.0・、 ト、‘I.< I 』..

    [! ¥

    Iii"' I 、問。K

    5 2 3 ×10'

    3 5 ×10' DISTANCE (m)

    7 2 7 1 ×10

    20

    U

    A

    U

    F

    h

    υ

    n

    L

    A

    a

    T

    P

    O

    目ト02ω出トωQJωHL

    (凶〉目ト〈J凶出∞唱)

    。}

    t

    t

    (映像電波)

    段への励振比や位相差を変えることにより,このような

    落込みが現れにくくなるように対策がとられている.乙

    のため,垂直指向性については,多少現実に合わないと

    とろがあると考えられる.

    以上,各波の電界強度計算値 Eiから,総合電力束密

    度Pは,調査対象各波の電力束密度 P,l'iのN伺の和と

    して次式で求める.

    (b) TV (B)i皮

    iii列強度距離特性(計算似)第3図

    ・・・0日

    Eiは,モデJレIC応じて E0,EF, En及び EoKを

    用い,これに対応した九, PF, Pn及び PοKを求め

    る.

    計算例として, FM(A)波と TV(B)波の電界強度

    Eo, EF, Ev及び EoKの真北方向における距離特性

    を第3図に示す.図中, Eo以外の電界強度に落込みが

    N N )';'.2

    P=I:Pni=I:ーと£___i=l i=l 120π

    塔側面の幅,側面端から素子中心までの距離などアンテ

    ナ構造の寸法がアンテナ各段によって異なるものについ

    ては,平均値を採用した.なお,素子励振電流振I~日比は

    放送局諸元に基づいた値を採用したが,位相について

    は,計算式が適用できるように,アンテナ段聞は同相,

    同一段の素子聞では90度と仮定した.

    TV波と FM波の垂直及び、水平指向性の計算結果の

    一例を第2図に示す.図(司,(防にみられるように,素直

    指向性には落込み部分があるが,現実のアンテナでは各

    (1Jυ!'-)

    180'

    (c) FM (A)1皮

    T.N o。

    270'

    (水平)

    霊直・水平指向性の計算例

    180・

    (d) TV(B) i皮

    第2図

  • TOTAL POWER DENSITY I I I I

    PLA~f I MRTH HC= 1 P。『‘ト』

    HR=2m

    トーp・

    尽;;:"'AZIM. =O. o・ ト、‘、

    Pr 、"'rv I¥ II' ~ 日 RI'ν ,, IY

    5

    TOTAL POWER DENSITY

    PLANE EARTH RC= 1

    Pr HR=lOOm I to- γ\「 AZIM. =o.o・

    |〉 v ト、rl'¥f' レ’ 卜\/

    TOTAL POWER DENSITY

    PLANE EARTH RC= 1

    ~ Pr HR=200m

    卜--..._v ~ZIM. =川。~、

    :;

    Pvの真北方向における距離特性を第5図(a)に示す各

    波の電界強度の落込みが,それぞれ異なった位置iとある

    ので相殺され,滑らかな曲線となる.受信点を順次高く

    電波研究所季報

    2 3

    ×10'

    2 3 ×10'

    2 3 ×103

    3 5 ×10'

    DISTANCE (m)

    P,, Pr, Pn (受信!.',i,;地 I:高 2m)

    3 5 7 ×10' DISTANCE (m)

    (b) P, (受信点;地k高lOOm)

    (c) P,. (受信点、;t也I・.高200m)

    (m)

    :~ 5 ×10' DISTANCE

    7

    7

    2

    2

    (a)

    旬Ea

    -A口、EA

    i

    ×

    lELにけ

    ハU

    ハり

    2

    4

    6

    0

    0

    (凶〉[ト〈」凶出∞司)〉ド円

    ωZ凶凸

    ×

    DJLM』凶〉〉

    C仏

    ハリ唱目目ゐ

    ’もFD

    nu

    a

    q

    ρ

    0

    0

    6

    〉ト目

    ωZ凶臼}〈DJ同区凶〉〉。仏

    7 1 ×10

    己-40'.fl z 凶。

    一日{)〉〈

    ー-8 2己目凶

    ~ c {

    。凶〉日

    ト〈..-l 凶E己o:i-20 てコ)

    凶〉『

    「司〈..-l 凶~,,

    o:i-20 司

    りII'

    411'

    みられるのは,垂直指向性 Dv(めに落込みがあるとと

    によるもので, さらに Evについては,大地反射波が

    直接波と逆相になるととにも起因している.

    次iζ,電波塔を中心IC:半径 lkm以内の地域における

    電界強度の EF分布図の一例を第4図 IC:示す.図(a)

    は,北西方向で電界が強いが,これは第2図(c)にみられ

    るように,乙の方向IC:指向性が強められているからであ

    る.また,図(b)は,鉄塔の四側面の方向IC指向性が強調

    されるので,ほぼ対称、な分布となる.いずれも受信点が

    地上高2mの場合の計算結果である.

    さらに,調査対象 16波の総合電力束密度 Po,PF,

    第4図電界強度 EFの分布図(計算位[)(電波格中心.半径1km. ~~~・5線の数字は EF の相対値)

    180'

    (b) TV(B)波(映像電波)

    180・(a) FM (A)i皮

    176

    270・

    270。

  • 177

    1984

    TOTAL ドowrn IJl~NS ITY I I I I I I I

    F', ドLAN I~ l・:Al

  • とこで, M=ln10/20::::'.Q.115

    各波の電力束密度 PuidB(lmW /cm2)は,次式で求

    められる.

    Pui=Eiー155.76 ・・・・・・(2四

    また,総合電力束密度 PdB(lmW/cm2)はN波の

    総和として,次式で求められる.

    と乙で, E町 1i=20Jog -v'[exp(MExi)]2+ [exp(MEyi)]2

    スベクトル・アナライザの設定条件は次のとおりであ

    る.(1)中心周波数;各波の搬送周波数. (2)掃引幅; 2

    MHz. (3)分解能帯域幅; 3MHz(映像電波), 300

    kHz (音声電波〕. (4)掃引時間; 20ミリ秒. (5)算術

    平均操作; 10回. (6)読取りレベル;中心周波数におけ

    る振幅レベル dB(lμV).

    このため,映像電波の読取りレベルは映像信号の平均

    変調時の値と考えられる.従って,同期信号時のレベル

    は,との測定値よりさらに数 dB高くなると推定され

    素子を水平にz車di素子-を垂直に設定し,アンテナを水平

    i乙一定間隔(90cm) foに, 10点移動させる.:九移動J,'.i,

    において各納素子の受信電圧 V,,,;., Vyi, Vz1を, l順次

    アンテナ素子を切替えるととにより,スペクトル・アナ

    ライザで測定する.この dB(1 μV)指示測定値は,ス

    ペクトル・アナライザが有する算術平均操作機能iとより

    10回の算術平均の結果を/.l:\力したもので,乙れにアンテ

    ナ校正係数(dB値)を加えて各紬の電界強度を求める.

    乙れら各波の三紬電界強度成分 E:,,;,Ev・i, E,.; dB(l

    μVim)は次式で求められる.

    移動点10点の,それぞれの総合電力束密度の平均債

    をその測定地点における総合電力束密度とする.

    各波の偏波比 DPidBは,電界強度の水平成分 E:cyi

    dB(l μV/m)と垂直成分 EzidB(l μV/m)とすると

    き,次式で求められる.

    る.

    アンテナの素子長は,微小ダイボールとして動作させ

    なければならない乙とから, 250MHz半波長とする.

    アンテナの位置は,到来電波が測定車の影響を受け測定

    値IC系統誤差が生じるのを避けるため,測定車から約

    15m離した点におき,そとから順次90cm毎IC9点す

    なわち, 8.lm測定車寄に移動させた点とし,合計10

    点、で測定する.乙の場合,アンテナの移動は,測釦血点、

    の状況により道路lと沿った方向にするなど容易な方向を

    Ei=20 Jog -v'[exp(ME,,;)]2+ [exp(M.E;;万7十[exp(ME,;)]2 …... (27)

    電波研究所季報

    ・…・閥r N ,

    P=IO Jogj ~ exp(2MP,心|

    DPも=E明 i-Ezi

    項目があげられる.

    (1)三紬合成指向性の理論特性に対するかたよりの最

    大誤差: ii=土0.6dB

    (2)三軸合成指向性の測定誤差:山=±0.5dB

    (3) 動作利得の測定誤差: σB=士0.5dB

    (4) スベクトル・アナライザの振幅特性誤差: σc=

    土0.5dB

    とれらは,それぞれの特性測定結果から評価した.

    (1)は,電波の到来方向を特定できないことから凶~(4)

    と同様に偶然誤差とみなすことlとする.

    との場合,システムの総合誤差 σは,

    σ=、/ δ2十σ;12+σB2+σ02'.::'.1. 0 dB ...... (2日

    一定間隔(90cm)移動させると信号が検出されて, 7

    イクロ・コンピュータが始動されるようになっている.

    乙のシステムの装置誤差要因には,三軸直交夕食イポー

    ルアンテナ及びスペクトル・アナライザに起因する次の

    測定地点の総合電力*待;度の最大ft古,最小値,平均値,標準備来の計算

    各測定地点の電力束密度を測定するには, 2章で述べ

    たように移動しながら電界強度を測定する必要がある.

    そ乙で,アンテナ素子中心を地上高2mとし, x' y軸

    各点の総合電力*"布 1交の計算

    B

    f上記計算結果をプリン lIll力及びテープに収録

    各j皮の合成電界強度の最大値,最小自立,平均依.標準偏予告の計算

    各点各j皮各市Iiiの屯界強度各点,各j皮の合1&"官界,偏波特伐の;)I-算

    限l手

    測定点(I=1~10)設定

    il!U

    点隣条

    一地ぬの

    一定・時

    A一測名注

    目ン-

    b則

    ;:Z

    I--H4符

    一月ァ・力

    一年7他人

    一定’方を

    一測名・件

    受信系の初期設定校正係数の読出し

    現lj

    第9図

    s.

    と評価される.

    178

  • Vol.30 No.155 June 1984

    ra

    ・:ー20;;,;L>-30dB 0 : -30;;,;L>ー40dB件目対値)砧:-40孟L>-50dB 口:電波塔

    179

    第 10 図説~定地点における総合電力東密度のレベル(電波都中心.半径 lkm.)

    選んだ.

    アンテナの高さを2mlと設定した理由は,ほぽ人間の

    高さや移動無線車のアンテナ地上高に近い乙と,さらに

    地表波の影響が無視できる最小有効アンテナ高さより高

    くするととが望ましい乙と,測定時に取扱いが容易であ

    るととなどである.しかし, 2mよりも商い位置では電

    力東密度がどのように変化するのかについても把握して

    おくととが望ましいので,測定地点の数保については,

    いわゆる高さ特性を測定する.乙の場合アンテナは,測

    定車に装備されている繰出しポールに取付け,測定車の

    !堕根による電界の乱れを受けるおそれはあるが地上高3

    ~7.5mまで, 0.5m毎に 10点移動させる.調査対象波は TV(映像・音声) 14波, FM2披の合

    計16波である.

    側出也点は原則として,電波塔を中心iζ半径100,

    200, 300, 500, 700 m及びlOOOmと方位30度毎の交

    点にできる限り近づいた72地点、とし, その他数地点も

    合せて選定する.

    6. 測定結果及び考察

  • 電波研究所季報

    I FM(A)波1 PLANE EARTH RC= 1

    ... ~.‘t IIR’=;"~; Om I I• 回 J明 h・' . I 11 AZIM. -300・0・

    • 7".. '• x r・ " ' ~ tヘ|/』』

    11 I

    5

    I TV(B)波PLIAINI~ I EART~ RC= I

    .... ・p・I¥ /'

    HR=2.0m ,

    la~ lJ・1" ,.-AZIM. /-2l0. O' ν,ー

    司,x . /

    ー. 陣.

    ‘ 圃

    r. :J 2 3

    ×10'

    0 アンテナ全体が見通し内ムアンテナの一部が見通し内A 樹木でアンテナが見通し外×建物でアンテナが見通し外

    2 3 ×10'

    電界強度距離特性(測定値)

    (m)

    3 5 × 10•

    DISTANCE (m)

    1

    (b) TV(B)波(映像電波)

    第 11図

    7

    3 5 7 ×10'

    DISTANCE

    (a) FM(A)i皮

    m

    qL

    4

    坦Lm

    ナ-T

    、ノ7

    4

    宮口受

    n

    u

    n

    u

    n

    υ

    n

    U

    A

    U

    1

    2

    3

    4

    5

    一一一一一

    (組設嬰)尚司制組採択嗣世

    2

    2

    7 1 ×10

    7 1 ×10

    2l

    (}

    ’η

    w

    m

    m

    ヱトロZ凶出’FmuQ」凶-L

    (凶〉FF〈」凶出∞づ)

    ELP内υ

    n

    u

    n

    u

    n

    U

    ハU

    。Ln

    L

    a

    q

    p

    o

    (凶〉H

    ト〈」凶出∞噌)

    Z’FOZ凶出ト

    ω白J凶円弘

    1000

    総会電力束密度距離特性(測定値)

    。印はほとんどが数 dB以内で計算値に合っている.距

    離がlOOm以内になると測定値が計算値より低下する

    傾向がみられる.なお,との傾向はすべての波について

    みられる.

    500 200

    距離(m)

    100

    第 12図

    -60 50

    6.1 総合電力束密度レベルの場所分布

    電波塔を中心IC半径約 lkm以内の地域で,~際iζ凱tl

    定を行った地点及びその地点における総合電力来密度の

    相対レベルをlOdB毎に3区分して表した分布図を第

    10図に示す.乙れら 3区分のうち最も高いレベル区分

    を“高レベル”とし,順次“中レベル”及び“低レベ

    ル”とする.分布の特徴をみるために,半径300m未

    満, 300m以上700m未満, 700m以上llOOm以内の

    三つの地域に分けて考察する.乙れらの地域内の測定地

    点数は,それぞれ33,18, 25になっており,全測定地

    点数は76である.

    半径300m未満の地域では“高レベル”である・印

    の809ぢがζ乙IC集中している.しかし,半径200mに

    は見通し内にもかかわらず“中レベル”である o印がみ

    られる.また,半径100~200mの範囲でも樹葉によっ

    て見通し外となるためo印となっている地点があり, o

    印は・印とほぼ同数である.なお,乙の地域内の測定地

    点では,建物にしゃへいされて見通し外となる地点は皆

    無であった.次lと半径300m以上700m未満の地域で

    は,半径が600mでも・印の地点、があるのが往目され

    る.この地点は見通し内であった.しかしとの地域内の

    地点の約4096が建物によって見通し外となっていたた

    め, o印の割合が多い.さらに,半径が700mを超え

    ると建物iとより見通し外となっていた割合が609ぢで,

    “低レベル”であるム印がo印より多くなっている.ま

    た,・印はこの地域では皆無であった.

    6.2 電界強度距離特性

    電源強度距離特性の一例として, FM仏)波と TVC防波

    (映像電波)の場合を,第11図(吋,(同 iと示す.図中o

    印は受信地点から送信アンテナ全体が見通し内にある場

    合を,またA印はアンテナの一部分が見通し内, f印は

    樹葉でアンテナが見通し外,×印は建物でアンテナが見

    通し外となる場合を表している.曲線は水平指向性が最

    大である方位における自由空間伝搬計算値 EFである.

    TVC鴎波の測定値は, 5章で述べたように映像信号の平

    均変調時の値であるから,計算値より数 dB低い値であ

    っても妥当である.FM(A)波の場合は,距離150~350m

    のとき計算値より lOdB程度高くなっている値がいくつ

    か見られる.高い値を示した原因としては, FMアンテ

    ナが塔の最下部にありさらに放射面長が大きいため,近

    距離では垂直各段の位相差が無視できず実際の指向性は

    計算債より大きくなること,建物等が不規則な反射面を

    形成しているにもかかわらず波長が反射面の規模に対し

    て比較的長いため,反射損失が少ないとすれば複数の反

    対波が存在する機会も多くなるととなどが考えられる.

    いずれにしても電界強度計算値の落込みの地点を除けば

    180

  • Vol. 30 No.155 June 1984

    6.3 総合電力束密度距離特性

    調査対象16波の総合電力束密度の測定結果の距離特

    性を第12図に示す.アンテナが部改的にしか見通せな

    い場合,しやへいによる減衰はほとんどみられない.し

    かし樹葉で見通し外になる場合には2, 3dB~数dBの

    低下が見られる.見通し内の場合,距離が80~350m

    程度の範囲ではレベルはほぼ一定である. 80m以内に

    なると逆に低下する傾向がある.図中の曲線は,電力束

    密度の自由空間伝搬計算値 PFのうち最大レベルとな

    る方位のものである.測定値と比較すると,見通し内の

    場合,距離がlOOm以遠では数dBの範囲内で一致して

    いる.lOOm以内では測定値が計算値より小さくなって

    いる.乙の原因として,係f角が90度に近づいてくると,

    電波塔自体の影響を受け,現実の垂直指向性が計算値よ

    りも小さくなるととが考えられる.建物によって見通し

    外となる場合,見通し内よりも平均数dBのレベル低下

    がみられ,土lOdB程度のばらつきがある. とれは,測

    定地点iζ到来する回折波,反射波の強度が周囲の建物等

    の規模, j惨状,とれら建物等からの距離,その他に大き

    く依存するためであろう.なお,平面大地伝搬値Pnに

    ついては,見通し内であるが前方iζ建物等があるため大

    地反射が阻止されているとみられる測定地点が多かった

    ので,測定結果と対比させないととにした.また,者llTIT

    減衰を考慮した奥村氏のモデルは,距離が 1kmを超え

    た場合について適用可能であるため,これについてもこ

    とでは対比していない.

    6.4 場所特性

    各測定地点において,アンテナを一定間隔で 10点移

    動させたとき,各波の電界強度の変動は測定地点、の周凶

    の状況,見通し内外の別,周波数によって異なった様子

    を呈する.測定地点毎i乙得られた FM(A)波の電界強度

    の標準偏差の分布を全測定地点、についてみると, dB正

    規分布をしており,平均1.8dB,標準偏差O.7dBであ

    る.他の放についてもほぼ同様な分布になっており,標

    準備差の最大値は6.7dBであった.場所変動の例とし

    て,再び FM仏)波と TV(防(映像電波)をとりあげ

    る.乙れを第13図(晶,), (b)に示す.(司は,地点A, 距離

    263m,方位44度の位置iとある公圏内の広場で,受信

    点から周囲約30mlとは建物・樹木がなく送信アンテナ

    全体が見通せる地点における電界強度の移動点の変動を

    示す.電界強度の標準偏差は, FM(A)波が1.ldB, TV

    (防波が1.6dBであった.な:ぉ, 総合電力束密度の標準

    偏差は0.4dBであった.(ゅは,距離700m,方位235

    度の位置にあり,交通量の多い道路端の地点Bである.

    数m横には木造二階建家屋が立並んでおり,前方約50

    mlC::は6階以上のビルディングがあり送信アンテナは見

    10

    -10

    w と-20ト〈-l

    ~ -30

    ∞ 唱)

    15 -40 tコz ~ -50 ~ -10 白同 1

    ~ -20 u

    。l

    ~ -30」仁』凶

    同一40

    181

    ~

    --一一下T 』

    ミtI~午;」f¥ ..V i TV (B)波

    一一一- IVI I 1 I I 1. 0 2. 0 3. () 4. 0 5. 0 6. 0 7. 0 8. 0 9. 0

    DISTANCE (m)

    (a)公園内の広場(見通し内伝鍛)

    FM (A) i度

    TV (B) ii庄

    1. 0

    第 13図 電'#強度の場所特性

    通せない.乙の地点の場所変動は FM仏)波が2.9dB,

    TV(B)放が3.8dBとなっており,(吋に比べて変動が大

    きい.イ也の測定地点についても,見通し内よりも見通し

    外の場合に場所変動が大きくなる傾向がみられる.

  • 凶〉

    182

    ヨ10凶a::

    4.0 5.0

    HEIGHT (m)

    tll 14 図屯w強度の~·:jさ特性

    6.5 高さ特性

    受信点の地上高を数mにわたり容易に変化させる都合

    上,測定車に装備されている伸縮ポールにアンテナを取

    付ける.とのポールの位置は場所変動を測定したときの

    10点の移動範囲のほぼ中央にくるように測定車を停止

    させておき,ポールを繰出して地上高が3~7.Smの範囲までo.sm毎に 10点移動させ,各点において各波の篭界強度の高さによる変動(高さ特性)を測定する.一

    例として,先に示した公圏内広場における測定結果のう

    ち2波についての特性を第14図i乙示す. 2波ともハイ

    トパターンが現われている.との特性が車体の影響をど

    の程度受けているかは明確ではない.高さ変動による電

    界強度の標準偏差は FM(A)波が 3.2 dB, TV(B)波が

    3.SdB になっており, 6.4で示した場所変動の場合より

    大きい.また,総合電力束密度の標準備差は1.4dBで

    あるので,乙れについても ldB大きくなっている.

    6.6 測定結果の再現性

    測定結果の再現性は個々の測定地点の周囲の状況の変

    化の影響により,一概に評価できないが,上記公圏内広

    場の測定地点については,一年半後iと同地点で再測定し

    た結果,総合軍力束密度は0.2dBの差しか認められず,

    とれはシステムの総合誤差の範凶内である. との場所

    は,自動車,通行人など変動要素がないので,特に良い

    値が得られたものと考えられる.

    電波研究所季報

    7. まとめ

    無線局から発射されている電波による電磁環境の実態

    把握の調査研究の一環として,ある電波塔から発射され

    ている TV•FM 放送波の電力束密度の分布を調査し

    た.

    まず,放送局の諸元をもとに,平滑な大地を仮定して

    三つのモデルiとより電界強度及び総合電力束密度を計算

    し分布図を求め,概略把鍾するととができた.

    次IC,電力束密度の測定原理を考察し,とれに基づき

    電力束密度測定用アンテナと乙れを含む電力束密度測定

    システムを開発した.とのシステムを測定車lと装備し,

    第一段階として,電波塔を中心に半径約 lkmJ.?J.内の地

    域で総合電力束密度を測定した.との結果,計算結果と

    ある程度対応がつく ζとが判明した.

    今後,測定地域を 3kmまで広げ,データを積重ねる

    ととにより,都市構造と都市減衰量の関係を求め見通し

    外地点を含めた,より精度の高い予測式を導く予定であ

    る.

    また,偏波特性についても 3kmまでのデータをもと

    に検討する予定である.

    謝 辞

    本研究の端緒にあたり,ど指導をいただいた宮島前通

    信機器部長に感謝いたします.また,実験の実施,まと

    めに終始御指導いただいた岡本通信機器部損,実験に御

    協力下さった機器課及び総務部の関係各位iと深謝いたし

    ます.

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