陶の里水系協議会の活動を顧みて -...

1
S G S be e e e G

Upload: others

Post on 09-Jul-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 陶の里水系協議会の活動を顧みて - Sakai...の農産物即売会、日曜朝市など地域で穫れた新鮮 な野菜を安価で販売し好評で大変賑わいました。

64号最終号

  発 行

令和2年

3月31日

陶の里水系

協 議 会

堺市中区

上之・辻之

陶の里水系協議会の活動を顧みて 陶の里水系協議会の活動を顧みて 陶の里水系協議会 会長 溝端洋陶の里水系協議会 会長 溝端洋         平成 12 年に「午池周辺整備推進協議会」

        からスタートし、平成 14 年 12 月に午池堤

        の改修を機に「午池水系ため池保全協議会」

        として、上之、辻之両自治会・太田之内土地

        改良区の皆様と結成致しました。その後平成

        20年4月に車庭水利組合の参加を得て「陶

の里水系協議会」と名称を変え、約 20 年間

         皆様のご協力を得ながら歩んできました。

 大阪府・堺市の行政の方々、さらに大阪府立大学大学院の先

生、コンサルタント会社のアドバイザーなど多方面からのご指

導ご協力のもと「陶の里で暮らすーふるさとづくりー」を活動

理念に活動して参りました。

 活動の内容は、地域の皆さんが希望する次の三つのグループ

に入部します。1つ目は「情報発信グループ」で、季刊紙「陶

の里便り」を年 4 回発行することを主に、地域のイベント、特

技や趣味を持たれている方々の取材や投稿。可愛い赤ちゃんの

誕生の紹介。地域の皆さんの協力を得て子育てに奮戦されてい

るお母さんからの投稿。地域の歴史や昔の遊びの紹介等編集委

員の熱心な活動に敬意を表します。

 2 つ目は「“はな”と“みどり”の里づくりグル

ープ」で、今池堤・陶の里広場、辻之観音堂花壇

などの花の植栽や管理などに精を出しています。

また、このグループが企画する「陶の里巡り」は、

会員や地域外からも参加され、陶の里及び近隣の

歴史や風物に触れることで、この地域に親しんで

いただき、大人から子供まで毎年変わったコース

を賑やかに歩きます。また近年は、抽選会なども

行い子供たちや大人にも好評を得ています。

 三つめは、「農業ファン倶楽部」で、主に地域の

遊休地と耕作放棄地の解消に取り組み、米作りや

5 月末のジャガイモ収穫オーナー制度、11 月末

の農産物即売会、日曜朝市など地域で穫れた新鮮

な野菜を安価で販売し好評で大変賑わいました。

 近年は、各イベントも諸事情で取り止めになっ

たり協議会メンバー全体の高齢化が進み、役員の

皆様の負担も多々ありましたが、今振り返ると楽

しい思い出が浮かびます。地域の皆様本当にあり

がとうございました。 陶の里便りの題字は3号から

青野幸子さん書によるものです

�当時大阪府立大学大学院生�

 陶の里水系協議会活動に携わって    陶の里水系協議会活動に携わって   大阪府立大学大学院  教授 加我宏之大阪府立大学大学院  教授 加我宏之

         ニュータウン開発を中心とした都市計

        画事務所を経て、母校の大学に助手とし

        て赴任したのが約 20 年前です。当時は、

        開発を中心とした緑地計画に没頭してい

        ました。人口減少時代、少子・高齢化社

        会の到来に伴って、成長の時代から地域

        の個性を育み、成熟型社会における緑地

        計画の新たな展開はどうあるべきかの議

論がはじめられようとしていた時に、陶の里水系協議会に

関わらせていただくようになりました。

 当初は、保全型の緑地計画として、永らく受け継がれて

きた「共」の仕組みを基盤に地域を活性化しようとする皆

さんの取り組みに、どのように携わればいいのか、戸惑っ

ていたことを思い出します。

 21世紀は、環境の時代と言われ、消費することで成長

してきた都市の時代から消費地とともに生産地を保有し、

都市圏の持続可能な開発のあり方が求められる時代となり

ました。2015 年9月には国連で開かれたサミットの中で

国際社会共通の目標として持続可能な開発目標(SDGs:

Sustainable Development Goals) として 17 の目標が

示されました。17 の目標のうち、「住み続けられるまちづ

くりを」、「陸の豊かさも守ろう」、「飢餓をゼロに」、「すべ

ての人に健康と福祉を」、「平和と公正をすべての人に」、そ

して、「パートナーシップで目標を達成しよう」、それは、

「話・輪・和」を大切に、ため池、水路、農地によって構成

される水系のつながりを大切にした陶の里水系協議会の取

り組みに合致します。

 日本では、2015 年に都市農業振興基本法が策定され、

都市農業の保全が重視されるようになりました。都市農業

の振興は、これを営む者及びその他の関係者の努力により

継続されてきたものであり、その生産活動を通し、都市住

民に地元産の新鮮な農産物を供給する機能のみならず、都

市における防災、良好な景観の形成並びに国土及び環境の

保全、都市住民が身近に農作業に親しむとともに農業に関

して学習することができる場並びに都市農業を営む者と都

市住民及び都市住民相互の交流の場の提供、都市住民の農

業に対する理解の醸成等農産物の供給の機能以外の多様な

機能を果たしていることに鑑み、これらの機能が将来にわ

たって適切かつ十分に発揮されるとともに、そのことによ

り都市における農地の有効な活用及び適正な保全が図られ

るよう、積極的に行われなければならない、とされていま

す。

 時代は、陶の里水系協議会を追随し、その大切さが認識

されるようになりました。活動に長く携わり、多くの経験

をさせていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

 今後も「陶の里で暮らす-ふるさとづくり-美しく、豊

かな自然を守り、活かそう、伝えよう、緑と伝統文化を育

み、次の世代に受け継いでいく、人情味豊かな、ふるさと

陶の里をめざして・・・」、陶の里の“話・輪・和”を育

み、陶の里で暮らす皆さんの“力”と“知恵”と“工夫”

の活動にこれからも関わらせていただき、皆さんとともに

次の展開を模索したいと思います。

溝端洋会長

加我宏之教授

陶の里水系協議会活動のシンボル 午池に写る陶の里広場