除草作業における安全対策・工夫について -...

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- 83 - 除草作業における安全対策・工夫について 発注者 新庄工事事務所 施工者 株式会社 新庄砕石工業所 工事名 最上川中流大石田地区維持工事 発表者 現場代理人 大友 好矢 1.はじめに 本工事は、大石田出張所管内の尾花沢市毒沢~北村山郡大石田町今宿地内において堤防の除草 及び維持修繕を目的として施工するものです。本報告は、現場において予想される事故、傾斜地作業 における転倒、スズメ蜂による事故等、であり、また内水排除作業や出水時等状況把握等の緊急作業 又、今宿地区護岸補修、小菅地区河岸崩落対策工もあり、これらに対する工事の安全対策について述 べるものです。 2.工事概要 平成23年4月 1日~平成24年3月31日 工事内容 除草工 1式 堤防養生工 1式 清掃工 1式 内水排除等作業 1式 出水時等状況把握 1式 雑作業 1式 横山消流雪取水口対策工 1式 今宿地区護岸補修工 1式 小菅地区河岸崩落対策工 1式 3.除草作業時スズメバチ駆除の安全対策について 3-1)ハンドガイド式草刈機械の作業中や、法尻面の人力による集草時にスズメバチによる事故等 が予測される。 例年スズメ蜂にさされて死亡する人は30人程度いるようです、スズメバチに刺されると一度目より 二回目の方がアナフィラキシ-ショックを起こす確立が非常に高く、暑い夏に大量発生するといわれ ています。攻撃性の強いキイロスズメバチは除草の作業員で駆除するのは大変困難で危険性が大なの で駆除の専門家に依頼しました。 (写真-1・2 キイロスズメバチ)

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除草作業における安全対策・工夫について

発注者 新庄工事事務所

施工者 株式会社 新庄砕石工業所

工事名 最上川中流大石田地区維持工事

発表者 現場代理人 大友 好矢

1.はじめに

本工事は、大石田出張所管内の尾花沢市毒沢~北村山郡大石田町今宿地内において堤防の除草

及び維持修繕を目的として施工するものです。本報告は、現場において予想される事故、傾斜地作業

における転倒、スズメ蜂による事故等、であり、また内水排除作業や出水時等状況把握等の緊急作業

又、今宿地区護岸補修、小菅地区河岸崩落対策工もあり、これらに対する工事の安全対策について述

べるものです。

2.工事概要

工 期 平成23年4月 1日~平成24年3月31日

工事内容

除草工 1式 堤防養生工 1式 清掃工 1式 内水排除等作業 1式

出水時等状況把握 1式 雑作業 1式 横山消流雪取水口対策工 1式

今宿地区護岸補修工 1式 小菅地区河岸崩落対策工 1式

3.除草作業時スズメバチ駆除の安全対策について

3-1)ハンドガイド式草刈機械の作業中や、法尻面の人力による集草時にスズメバチによる事故等

が予測される。

例年スズメ蜂にさされて死亡する人は30人程度いるようです、スズメバチに刺されると一度目より

二回目の方がアナフィラキシ-ショックを起こす確立が非常に高く、暑い夏に大量発生するといわれ

ています。攻撃性の強いキイロスズメバチは除草の作業員で駆除するのは大変困難で危険性が大なの

で駆除の専門家に依頼しました。

(写真-1・2 キイロスズメバチ)

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(写真-3・4 今宿堤防川表側駆除状況)

(写真-5・6 豊田堤防川表側駆除状況)

a)スズメバチの巣は、堤防高水敷の茅に高さ50cm~60cm位の所に作るので除草作業前に

必ず点検をしてから刈り取りをします。又巣を刺激すると激しく攻撃してきますので、不用意な

処理はさけるようにしました。

b)駆除法として、防護用の服や装備を着用する

1回目 下見して薬注入

2回目 蜂が戻っているか確認して薬注入

3回目 蜂がいるか確認して薬注入後巣を撤去

4回目 残りの蜂が戻っていないか確認

このような手順で処理しました。

3-2)室内に入ったハチの巣の対処法

(写真-7・8 川前水防倉庫駆除状況)

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a)巣が天井にあるときは、ハチが隙間から侵入してくるので注意し駆除する。

ハチが巣に集まっている夕方から夜間に薬剤を噴霧すると、巣に止まっていたハチが飛び散り

ますが、これは攻撃ではなく飛んでくるハチの体に触れないように注意して噴霧を続けました

薬剤が数秒でもハチの体に付着すると、ハチは攻撃性がほとんどなくなり、飛び立ったまま巣に

戻ることもなく死亡しました。薬剤のかかったハチは人を刺すことはありませんでした。

巣を取り除いて下に置き、一晩そのままにして置き、翌日確認に行った時には、戻って来たハチ

が一匹巣のそばで薬剤に触れて弱って死亡しました。

ハチの巣の駆除の際にはハチに刺されないようにするのも大事ですが、あわてて脚立から落下し

て大けがをする可能性の方が高くなるので安全に対する意識をもって取り組みました。

(写真-9・10 川前水防倉庫駆除状況)

4.安全訓練の実施について

4-1)安全訓練をやることで尚一層の安全を図るため、現場事務所で安全訓練を下記とおり実

施した

・ 労働災害の事例及びその対策(ビデオ等)

○助かったヘルメット・安全帯の底力について

○守っていますか?現場の安全・安全は誰のためについて

○掘削現場の危険・あなたがみくびったとき山がくるについて

○現場で出来る実技体験訓練

○現場での合図の種類、方法及び確認について

4-2) 安全訓練実施しての結果

最上川中流大石田地区維持工事の安全訓練は皆さんが初心に戻り安全対策を熱心に取組み

これからも頑張りたい思う。

その中で作業員から出た意見と、安全教育の実施

・当工事における安全管理のリスクアセスメントを自動化し客観的かつ漏れなく正確に作成

できることにより労働安全管理にかかる時間短縮と安全教育の効果及び労働災害防止に役立

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てました。

・法面での作業で滑って転倒する事が多いため、滑止めの付いた安全靴を着用している。

・毎日の作業前の体操がマンネリ化しないように、ラジオ体操のほかに首の運動、腰の運動、

膝の屈伸運動・肩たたき運動を実施している。

(写真上-11・12 リスクアセスメント)

(写真下-13・14 安全訓練状況)

おわりに

維持作業の工事完成を振りかえって見て維持工事を無事故で1年、工期内で終わることが出来そう

です。維持工事の作業は心から出来た商品であり、年々これ以上に求められると思います。事故のな

かった現場として地域住民は元より、一番うれしいのは工事担当者だと思います、これからも事故の

ない安全な現場として積み上げて行きたいと思っています。

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熱中症対策の取組みについて

発注者 新庄河川事務所

施工者 株式会社 柴田組

工事名 最上川中流庭月地区築堤工事

発表者 ○現場代理人 黒坂 良太

監理技術者 安彦 雄輔

1.はじめに

本工事は平成21年に完成した庭月築堤において、H.W.Lまで盛られた既存の築堤に、高さにして約1.60

mの嵩上げ盛土を実施するものであり、平成 21 年度工事に引き続き築堤の盛土工事を行います。

ここでは工事を進めるにあたり実施した安全対策について述べたいと思います。

2.工事概要

工事名 最上川中流庭月地区築堤工事

工 期 平成23年3月8日~平成24年1月30日

工事内容 河川土工(佐渡地区)

盛土工 V=39,800m3

張芝 A= 6,460m2

野芝種子吹付け A=20,470m2

天端敷砂利工 A= 5,250m2

大型連節ブロック張 A= 398m2

観音寺地区工事(増工分)

盛土工 V= 1,000m3

法面整形工 A= 560m2

階段護岸工 A= 一式

階段工 A= 一式

コンクリートブロック工 A= 一式

水路工 V= 一式

標準断面図

1:2.8

1:3.

0

1:2.4

1:2.2

計画堤防高

敷 砂 利 ( R C - 4 0 ) t = 1 0 c m

既設 築 堤

HWL

5 0 0 0

400

張 芝 工

野 芝種 子吹 付

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3.現場環境の問題点について

工事箇所が河川沿いに位置していることから、森林等による直射日光を遮るような日陰がほぼゼロに

等しく又、施工時期においても夏期に施工することから、高温多湿な期間が連日続くことが予想された。

以上のことから当現場では、熱中症を未然に防ぐことを大きな課題とした。

4.最近の熱中症の傾向と対策として

4.1『熱中症』とは

熱中症とは、高温多湿な環境下において、体内の水分及び塩分(ナトリウム等)のバランスが崩れたり、

体内の調整機能が破綻するなどして、発症する障害の総称で、めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の

発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐(おうと)・倦怠(けんたい)感・虚脱感、意識障害・痙攣(けいれ

ん)・手足の運動障害、高体温などの症状が現れること。

図 1. 職場における熱中症発生件数 図 2. 業種別の熱中症発生件数

4.2『熱中症』の発生傾向

厚生労働省が発表した過去 10 年間の職場における熱中症による死亡災害発生件数の推移(図 1)を見

ると、2001 年~2009 年間の熱中症発生件数に比べ、去年 2010 年においての熱中症発生件数が著しく高

いことが分かった。又、業種別での発生状況(図 2)においても、建設業が断然多いことが示されてい

る。このことから、当現場においての熱中症発生確率が非常に高いことが推測された。

4.3『熱中症』の予防と対策

【作業環境の改善】

直射日光に長時間さらされてしまう当現場の作業環境において、まず始めに取り組んだのが熱中症発

生原因の一番の要因とされる直射日光を遮るための日除け設備の設置だった。この度の築堤盛土の施工

延長が約 L=1.60km と非常に長かったことから、その日の作業箇所へ容易に移動可能な設備として、簡易

テントを設置することにした。又、作業員さん方の休憩所としての使用も考慮し、周囲にはスダレとい

った清涼感溢れるものや、熱中症対策に欠かせない水分補給グッズも常備した。外見からも多少のユー

モアを取り入れた明示をすることで、作業員さんの炎天下作業時による精神的な苦痛を少しでも和らげ

る工夫を施してみた。テント内部には折りたたみ式の机や椅子等も設置し、過ごしやすい環境とした。

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写真 1.日除けテント設置 写真 2.熱中症対策キッド常備

写真 3.給水所の明示 写真 4. 体調チェック資料の掲示

【体調の自己管理】

同時に現場従事者一人一人の自己管理の徹底が一番の事故防止となることから、現場独自の取り組み

として、厚生労働省配布による『熱中症を防ごう!』というパンフレットを用いた体調チェックを行っ

た。WBGT値(暑さ指数)の算定等は現場の作業員さん方には若干理解しづらい面もあったが、簡単

なチェックリストに沿った自主点検を各自行ってもらい、自己管理の徹底に努めた。

図 3. 体調チェック資料例

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【作業衣服の改善】

長い時間炎天下での作業を行うと、どうしても肌を露出しての作業になりがちな傾向にあるため、毎

朝の朝礼時に服装の指差点検を入念に行い肌の露出防止に努めるとともに、市販の日除けグッズを支給

した。直接肌に直射日光を浴び続けると疲労の蓄積が著しく高くなるということもあり、このような熱

中症対策グッズは通気性も良く軽量なことから使用した作業員さん方には大変好評を得ることが出来た。

写真 5. 日除けグッズの支給 写真 6. 日除けグッズ

写真 7. 作業時使用状況 写真 8. 作業時使用状況

6.評価

上記の対策を実施した結果、熱中症予防に対する効果が大きいことが分かった。また今回実施した熱

中症対策も含め、より安全性を高めるために今後改善するべき点として、昨年の東日本大震災を基に『早

めの判断行動』を重視した作業従事者個人の自己判断の強化と、連絡体制のさらなる明確化を今後の課

題とした。

7.おわりに

これらの安全活動を現場だけではなく全社一丸となった取り組みを行い、ほんの小さな危険の芽も取

り除いて行けるよう、今後一層の安全対策を検討していきたいと思います。

本工事は増工分も含めまだ進行中ですが、これからの残りの工期も油断する事無く『無事故・無災害』

を達成するため、日々安全対策に取り組んで参りたいと思います。