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高信頼化技術適用事例紹介
D-Case導入によるシミュレーションS/Wの期待結果明確化と合意形成
ET-WEST20152015.6.10
三菱電機(株) 森 素子e-mail: [email protected]
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発表内容
1. 自己紹介
2. D-Caseとは
3. 三菱電機におけるD-Case活用事例
4. D-Case導入の実例
5. D-Case導入における課題
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自己紹介
• 三菱電機(株)通信機製作所
(兵庫県尼崎市)
• 業務:新人へのソフトウェア設計の教育
(新人と一緒にソフトウェアを製造)
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×
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D-Caseとは
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D-Caseとは
• システムのディペンダビリティについて説明、合意するためのツール、記法のこと
• ディペンダビリティとは
– システムの提供するサービスを安心して継続的に利用できること
• ディペンダビリティ技術推進協会(DEOS協会)にて提唱されている
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http://www.dcase.jp/ (D-Case)http://deos.or.jp/index-j.html (DEOS)
D-Caseロゴ
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D-Caseの記法
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達成できない
合意
主張したいこと
議論の仕方
主張や戦略の前提
となる情報
ゴールを保証する証拠
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D-Caseの記述例
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松野裕氏 「D-Case実用化へ向けて」よりhttp://deos.or.jp/event/files/ET2014presentation_D-Case.pdf
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三菱電機におけるD-Case活用事例シミュレータ開発への適用
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なぜD-Caseを導入したか
• 対象製品:順位付けするシミュレータ
パラメータA
パラメータB
パラメータC
シミュレーション計算
評価値A
評価値B
評価値C
パラメータA
パラメータC
パラメータB
パラメータに順位づけ
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乱数ユーザーが選択
合意形成に起因する手戻りを経験したから
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手戻り発生設計 製造 テスト
再検討手戻り!
上流設計者 製造担当者
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テスト担当者
こんな結果は私の知っている経験則と違う!作り直し!
有識者
なぜ不適切なシミュレーション結果になったのか?
シミュレーションの
計算式を設計
計算式通りに作ってテスト
有識者に見せたところ..
異常なく動くことを確認
1位 パラメータC2位 パラメータA
:
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不具合原因
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直接の原因=シミュレーションの制限条件が不適切
システム要求
計算式
計算式
計算式
関数
関数
関数
関数
モデルを簡易にしすぎ、現実とかけ離れた
上流設計者
根本原因・システムとしてどうあるべきか?(期待結果)という視点からのチェックが抜けていた。・そもそも明確にしていない。合意をしていない。
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バージョン2の開発バージョン2の開発がはじまった
パラメータA
パラメータB
パラメータC
シミュレーション計算
評価値A
評価値B
評価値C
パラメータA
パラメータC
パラメータB
パラメータに順位づけ
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計算パターン追加
順位付けに対する期待結果
何とかして明確化・合意したい
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D-Caseとの出会い
• そんなとき、たまたま参加したシンポジウムで「D-Case」の存在を知った。
• シミュレータ開発(ver2)へ適用することに。
D-Caseという
合意形成手法があります。
合意形成?これは使える
かも!
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D-Case作成の前提
• 前提
– 全条件に対する期待結果(順位)を事前に求めることはできない。
– 有識者が知っている、いくつかの
経験則が存在する。
パラメータA
パラメータB
パラメータC
パラメータD
パラメータA パラメータC
パラメータB パラメータD
経験則
ある条件下では
<
>
ある条件下では
すべての条件の順位付け
有識者
経験則と違う!
作り直し!
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ならば、経験則をいかそう
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D-Case適用方針• 方針
– シミュレーション条件を経験則のあるもの/無いものに分ける
– 経験則のあるもの:経験則を「前提」にする
– 経験則のないもの:別の手段(※)を検討or未達成
パラメータA パラメータC
パラメータB パラメータD
前提
ある条件下では
<
>
ある条件下では
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※別の手段とは、表計算ソフトウェアを使った確率計算や物理的な常識による検証を指す。
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作成したD-Case(順序付け)
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ゴール相対的な順序付けができる
ゴール経験則のある条件の場合、計算結果が経験値通りである
戦略経験則有無で分解
ゴール経験則が無い条件の場合、計算結果が妥当である
証拠
経験値との比較結果
戦略
別の検証手段の有無で分解
前提経験則を
まとめた文書
ゴール別の検証手段がある場合、計算結果が妥当である
証拠検証結果
ゴール別の検証手段が無い場合、計算結果が妥当である
未達成
開発の早い段階からエビデンス収集、合意活動
→手戻りを防げた!
一致しない場合、
シミュレーションの原理から合理的な説明がで
きれば妥当とした
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コスト評価
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No コスト種別 工数(h) 内訳分類 内容 工数(h)1 導入コスト 123 学習コスト D-Case勉強会 32
運用コスト D-Case作成、レビュー、エビデンス収集
91
2 削減コスト 150 手戻り削減 バージョン1での手戻り工数で換算
150
3 効果コスト(No2-No1)
27
コスト収支
•本開発では、27hの効果があった。•D-Case作成、エビデンス収集等の運用コストが大きい。効率化の必要がある。
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D-Case適用の振り返り(KPT)
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Keep(よかったこと)
• ステークホルダ間で合意に至ったことは大きな成果。
• できないこと(未達成)についても合意を取ることができた
• D-Case作成段階での気づきが、設計に反映されることがあった
• 体系的に検討書を残すことができた。
• 設計の進捗がわかりやすかった。
Problem(問題だったこと)
• 世の中に資料がなく、作成した図の議論方法が妥当か判断できない。
• 図が大きくなりすぎ、作成、合意やエビデンス整備に時間を要した。
• 前提無しで分解してしまった。
• 第三者が図を理解できるか不明
Try(挑戦したいこと)
• 今回は社内だったが、客先との調整にD-Caseを使用してみたい。
• コスト、リスク、重要度から、優先順位を付けて作成したい
• D-Caseデータの管理ツールの整備(エビデンスのリンク、DBとの連携など)の整備
ステークホルダの声
・合意形成・設計へのフィードバック・情報を体系化
・コスト・スキル
・適用範囲拡大・効率化
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D-CASE導入の実例
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最初の一歩(社内勉強会)• 体制:リーダ、若手(4年目、2年目、新人)
• 1回/週 × 6回
• 勉強会の内容
– 内作ツール(作業時間をITSに記録するタイマー)を題材にした D-Case記述練習
• トップゴール「ツールは簡単に正確な時間を計上できる」
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Goalツールは簡単に正確な時間を計上できる
Goalツールはディペンダブ
ルである
Context特性基準・簡単・正確
今思えばこちらのほうがよかった
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最初の一歩(社内勉強会)
※1 goo辞書よりhttp://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/49012/m0u/
ワークフローで分解してみた
・操作手順をなぞっただけ
・特性基準を満たしているかの証明になっていない。
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※1・「簡単に」の意味を辞書でひいた定義から分解
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D-Case導入における課題
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D-Case導入における問題
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コストの問題
余計な手間になる気がする
図の作成やメンテが大変(エビデンス取集など)
スキルの問題
何を書いたらよいか、わからない
議論の分解方法が難しい
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導入するための方策
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D-Caseによる明確化、合意形成の対象
• スコープ限定せずにD-Caseを作成するとコスト高
• リスクの少ない箇所のトレーサビリティ確認に使用するのは、費用対効果が小さい。
合意リスクのある部分や、重要な特性を抽出
大事な部分から書いてみよう(スコープの限定)
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スコープの限定
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要求仕様書 ビッグマウスの予感
このツールは
すごい効率化ができます
・できるかぎり安全であること
・いかなる時も速度性能を満
たすこと:
合意リスク例
重要な特性抽出例
ISO/IEC 25010品質モデル・機能適合性:・信頼性:・効率性・リスク回避性
このツールで効率アップを狙う
安全性が大事!
これらの特性を「前提」として具体化する
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スコープの限定
• リスクのある時、前提(要求基準)が明確でないことが多い
→前提を明確化することに大きな効果あり
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対象(活動、成果物)の妥当性
前提要求される基準
対象の構成
サブゴール サブゴール
証拠証拠
戦略
性能値あいまい期待結果あいまい責任範囲あいまい
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最後に
• D-Caseを使ってみて、有効なツールであることを実感。
• D-Caseをレビューできる人材育成や開発への定着の方策検討が必要。
• 企業での活用事例が少ない。今後の適用拡大に期待。
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ご清聴ありがとうございました。
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