銀行による企業の海外展開支援のキーファクター 証 …...financial services...
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Financial Services Architect Vol.30
2013年夏号 金融サービス本部
銀行による企業の海外展開支援のキーファクター
証券業界規制対応と経営管理高度化の一体化
グローバル事例にみる保険会社の異業種参入
アナリティクスサービスの勃興
Financial Services Architect (FSアーキテクト)は、金融業界のトレンド、最新のIT情報、弊社サービスおよび貴重なユーザー事例を紹介する、日本オフィス発のビジネス季刊誌です。
Financial Services Architect
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1.銀行による企業の海外展開支援のキーファクター ~資金可視化による、更に密着したサービスの提供
シニア・プリンシパル小林 知弘
2.証券業界規制対応と経営管理高度化の一体化 ~リスクデータ集計諸原則推進の要諦 マネジング・ディレクター山本 晋五
3. グローバル事例にみる保険会社の異業種参入~収益源の多様化を目指して
シニア・マネジャー大喜多 雄志
4.アナリティクスサービスの勃興~マーケティング戦略の振り返りと再挑戦のアプローチ
マネジャー中村 隆太
5.最近話題のプロジェクト
6.アライアンスおよびパッケージ・システム
7.弊社外部講演およびレポートのご紹介
8.会社概要
目次
Financial Services Architect
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拝啓 盛夏の候、貴社におかれましては益々ご清栄のことと、お慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
全体的な株高騰も一段落し、いよいよ各企業の収益性・成長性をベースとした評価が始まろうとしています。特に重要となるのは成長戦略と考えます。リーマンショック以降、事業再編、コスト削減を中心に日本企業は苦しい経営を余儀なくされました。これに耐えた日本企業は堅実な経営基盤、組織力向上を実現できたと信じております。それを活かし、成長市場を見出し、新たな成長戦略で発展される事を心より願っております。
様々な方と会話する中で、欧州において日本金融機関への期待が高まって来ているようにも感じます。また、アジア地域では、オールジャパンとして各国の金融インフラの構築をどう支えるかについて、大きな期待を感じます。日本金融機関の存在感は徐々に高まりつつあると実感しております。
一方で、日本金融機関の海外ビジネスのオペレーティングモデルを見た場合、現地・支店主義が大きく残存しており、グローバルプレーヤーとの差を感じずにはいられません。機能強化、効率化、品質向上、各国規制対応を実現可能とするグローバルオペレーティングモデルはどうあるべきか。こういった問いへの検討支援と実装支援こそ、弊社の重要な存在価値と認識しております。
本号では、弊社の、銀行、証券、保険各ビジネスにおける海外での取組事例や新たな機能強化の取組をご紹介させて頂いております。ご一読いただき、貴社取組の一助となれば幸いです。
2013 年度は日本経済、日本企業、日本金融機関にとって大いなる飛躍ができるか否かの重要な年度と考えております。本年度も引き続き、貴社のビジネス価値の向上に貢献する競争力のあるサービスの構築に向け、鋭意努力させていただく所存ですので、ご検討の上ご用命いただければ幸いに存じます。
今後ともご愛顧の程、宜しくお願い申し上げます。
敬具
2013 年 7月吉日
アクセンチュア株式会社金融サービス本部統括本部長 関戸 亮司
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日系企業が海外ビジネスを拡大していく中、海外での銀行業務に制約のある地域銀行では、各国基礎情報の提供や提携銀行の紹介といった取組が中心となっており、積極的に企業の海外の銀行取引に関与できているとは言えない状況である。
本稿では、この状況から一歩踏み出す資金可視化サービスの提供、さらには、資金可視化サービスによる国内での取引拡大の方策について説明する。
日系企業における資金管理高度化ニーズの高まり
可視化から始まる資金管理高度化
日系企業において、グローバルレベルでの資金管理高度化の機運が高まっている。
この要因としては、海外ビジネスの拡大という内部環境の変化に加え、金融危機からの回復に伴うリスク回避モードから平時モードへの切り替わり、といった外部環境の変化により、グローバルでの内部統制強化、金融コスト削減が求められているものと考えられる。
企業との意見交換の中で最も聞かれるのは、資金・決済の可視化に関するニーズである。中堅・中小企業にとどまらず、年商 1兆円クラスの大企業であっても同様である。本格的な資金管理高度化に取組んでいく最初のステップとして、改革目標や、施策の優先度の設定のため、タイムリーかつ、より細かい粒度で現状把握を行える可視化ソリューションが求められている。(図表 1)
資金の可視化で金利支払を最小化
資金の可視化の目的は、余剰資金最小化の余地特定である。特定された余剰資金を借入金の返済に充てることで金利支払の削減が可能となる。
企業では、海外グループ各社の銀行残高について、月次等の決算書レベルで把握できているが、月中の残高までは把握できていないといったケースが多く、月中の資金移動を勘案した最低限必要な資金を特定できていない。さらには、月末残高の取得に 5~ 10営業日程度必要となることも多々存在する。
このため、日次等タイムリーかつ、入出金明細等細かい単位での情報取得が必要となるとともに、税制や外為規制等を踏まえ、実現可能な余剰資金最小化を特定するための、国、通貨等様々な切り口での資金移動シミュレーション機能が求められる。
決済の可視化で決済・為替手数料を最小化
決済の可視化の目的は、決済および、外国通貨売買の最小化余地特定である。相殺(ネッティング)により決済自体を抑制することや、決済通貨の見直しにより外国通貨の売買を抑制することで、各種手数料の削減が可能となる。
企業では、業種によっては企業グループ間での取引、つまり、決済が多数発生する。さらに、決済通貨などの取引条件について、グループ各社任せとしていて、グローバル・グループレベルでの最適化を図れていないケースが存在する。
このため、海外グループ各社の取引を日次から月数回といった高頻度で集約し、会社別、国別、通貨別など様々な切り口で情報提供する機能が求められる。
銀行による企業の海外展開支援のキーファクター~資金可視化による、更に密着したサービスの提供
小林 知弘
都市銀行を経て2001年アクセンチュア(株)入社金融サービス本部シニア・プリンシパル銀行グループ担当
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取引のモニタリング 不正抑止・早期是正
決済・資金共通
余剰資金の特定資金の可視化
借入返済による金利支払削減
グローバルビジネスの拡大
金融危機からの回復
内部統制強化
金融コスト削減
ネッティング取引条件見直し対象の特定
決済の可視化
決済・為替手数料の削減
可視化による効果資金管理高度化の必要性
環境の変化
可視化は内部統制強化にも寄与
資金、決済双方とも、可視化は内部統制強化に寄与する。日次レベルで資金、決済がモニタリングされていることで、不正への抑止効果が働くとともに、異常な金額の移動など、問題事象の発生を本社側で即座に把握し、アクションにつなげることができる。中には、この目的のためだけに可視化に取組む企業も存在している。
可視化ができたら効果の刈取り
可視化による効果創出余地特定後の効果創出に向けたアクションについては、税制・外為規制等制度面の確認が必要となるとともに、各社に分散していた資金・決済の管理をグローバルで集中管理することによるグループガバナンス体制の構築が必要となる。これらは大変負荷のかかる作業であるが、果実としての効果創出余地が可視化にて明確になり、全社的に目標が共有されることで、改革が強力に推進される。
地域銀行でも資金可視化サービスは提供可能
資金の可視化サービスは、海外支店を持たない地域銀行であっても提供可能である。
海外銀行から受領した入出金明細を集約して提供
銀行間のネットワークである SWIFTを活用することで、海外銀行の取引を地域銀行が受領し、企業に提供することが可能となる。
企業が海外の取引銀行に対して SWIFT 経由で地域銀行に入出金明細(MT940)を送信するよう依頼するとともに、地域銀行としては、海外銀行から受領したMT940を集約し、企業に提供する。(図表 2)
近年 SWIFTは、企業向け接続サービスに力を入れ、ハードルを下げていることから、企業が直接 SWIFTに接続して海外取引銀行からMT940を受取るという選択肢もある。しかしながら、企業が海外取引銀行と自ら手続きを行う負荷を考慮すると、地域銀行がノウハウを蓄積し、サービス提供していくことに対するニーズは充分あると考える。
海外銀行取引のハブ的位置付け
このようなサービスを提供することで、地域銀行としては、企業の海外銀行取引情報提供のハブとしての位置付けを担うことができ、既存の本邦における銀行取引も含め、企業に対するグローバルレベルでのサポートが可能となる。企業の本社にとっても、地域銀行にとっても、企業のグローバルの取引が可視化されることで、本邦での外為取引や、融資取引について相談できる幅が拡大される。
資金可視化サービスの結果を踏まえ、余剰資金削減のための海外仕向け、被仕向け送金サービスや、借入条件最適化のための海外から本邦への借入シフトといった提案が考えられる。
大きな初期投資なく試行可能
本サービスを提供するために地域銀行にとって必要となる仕組みは、SWIFT で受けたMT940を企業に還元する仕組みであり、大きく、① SWIFT上から取得
したデータのインターネットバンキング等情報提供チャネルへの連携、②情報提供チャネルでのレポート提供機能である。
図表 1 資金管理の高度化
© 2013 Accenture All rights reserved.
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初期残高
取引日
入出金額
取引種類
摘要
最終残高
データ提供(インターネットバンキング、電子メール等)
銀行取引(現金入出金、振込、等) 日次で送信
主な内容
MT940
地域銀行本社
海外現法等 取引銀行
SWIFT
企業 銀行
海外
国内
初期投資を抑えて試行的に始めるのであれば、手作業を中心とした対応として、SWIFTから取得したMT940を銀行内で整形してレポートを作成のうえ、電子メールで情報提供する、といった手段も取り得る。その後、利用企業数が増加した場合には、MT940をインターネットバンキングに自動連携し、国別、通貨別など様々な切り口でグラフ化して表示、といった仕組みに切り替えていくこともできる。
海外提携銀行の活用も視野
留意すべき点は、MT940の提供にあたって、情報を提供(開示)する企業および、金融機関、情報を受領する企業および、金融機関を巻き込んだ契約が必要になることである。
関係の薄い金融機関との間では、個別の契約手続きに時間や負荷がかかる。このため、提携している海外銀行との間で予め手続きを定義し、新たに海外進出する企業については、口座開設の紹介とともに、地域銀行向け MT940の発信サービスも同時にセットする、といったクロスセルも考えられる。
さらに、MT940の摘要欄に記載される内容は、銀行や国によってばらつきが存在している。このため、提携各行の入力ルールを把握のうえ、企業に提供するといった付加価値サービスも考えられる。
決済可視化サービスはハードルが高い
決済の可視化は、実際に海外銀行取引を提供できない地域銀行にとってハードルが高く、まずは資金の可視化を優先すべきである。
標準的なデータ収集方式の欠如
実現にあたっては、MT940から決済に関連する明細を取得する、各銀行への支払指示を集約する、といった選択肢があるが、前者については、MT940の情報量や内容が銀行や国によってばらつきがあるうえ、後者であれば、海外の国内決済など SWIFT経由で行われない決済も存在することから、企業側から情報を収集する仕組みが必要となる。
最後に
日系企業の海外ビジネス展開が一般的となる中、地域銀行としてのリレーションシップバンキングの機能強化にあたっては、本邦内の銀行取引のみならず、海外での銀行取引まで踏み込んだコンサルティングが求められる。
このため、企業にとっての可視化であるとともに、地域銀行にとっての企業の海外銀行取引の可視化に寄与する、資金可視化サービスについて、検討の価値があるものと考える。
図表 2 資金可視化サービスの提供方式
© 2013 Accenture All rights reserved.
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金融機関への規制の波は強化の方向にあり、一層加速することはあれ緩むことは無い。規制対応はマーケットプレーヤーにとって必達のアクションであり自社の企画・業務実行リソースを必要とする案件であるが、単なる外向き・当局向きのアクションにとどまらず、規制の根底にある方向性を把握し、自社課題と平仄し経営管理の高度化を推進するきっかけととらえることが肝要である。規制の根底にはマーケットおよび、金融機関経営を健全に発展させる意思があり、金融機関経営管理の高度化に資するヒントを見出す契機となる。
本稿では「実効的なリスクデータ集計とリスク報告に関する諸原則」を例示し、規制のみならず経営管理高度化に資する改革の要諦を紹介する。
証券業界規制対応と経営管理高度化の一体化~リスクデータ集計諸原則推進の要諦
山本 晋五
1992年 アクセンチュア(株)入社経営コンサルティング本部マネジング・ディレクターリスク管理担当
Regulation Tsunami
リーマンショック以降、各国金融当局および、グローバル視点での金融規制は強化の流れを強くしており、日本の金融機関においてもこれまで以上のスピードおよび、広範な影響範囲での対応を迫られる環境にある。
・ドッド・フランク法
・バーゼル 3
・日中流動性規制
・報酬規制
本邦においても規制対応は喫緊の課題であろうが、グローバルプレーヤーも類似の状況を呈している。彼らは、「Regulation Tsunami」との表現を使い、次から次へと新しい規制への対応を余儀なくされ、情報システムを中心としたコストとともに、リスク管理・経営企画人材リソースの新たな企画・改革推進力を損なっているとの声があがっていることを紹介している。
もちろん、監督官庁は、金融マーケットの健全性を維持し、各国および、グローバル経済の成長を維持することを大目的として規制を展開しており、金融機関の経営体力をそぐために規制を意図しているわけではない。個々の金融機関における自社の継続的成長を目的としたリスクの測定・予測・コントロールに照らせば、金融機関の経営管理高度化と規制対応は根本的には同一の方向にある。たとえば、ドッド・フランク法に関する捉え方が 2010年調査と 2012年調査でポジティブなものに変化している傾向があることも、金融機関自身および、当局がこの規制の方向を業界および、各金融機関のあるべき姿に向けていることを表している。(図表 1:参照)
“諸原則”
グローバルベースで金融機関(銀行・証券)に課せられる新たな規制の代表格として、バーゼル委員会が発行を予定している「実効的なリスクデータ集計とリスク報告に関する諸原則」(以下諸原則)がある。本規制では以下 4種類の主要項目(Key Topic)のもと、14 の諸原則(Principle)を提唱している。
1.包括的なガバナンスとインフラストラクチャ
2.リスクデータ集計能力
3.リスク報告実務
4.監督当局によるレビュー、ツール、協力
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同規制は金融機関におけるリスクデータの集計と報告(レポーティング)の強化を意図している。諸原則にて触れられている“リスクマネジメントデータ”とは、金融機関グループ全体を包含するものとされており、また、品質を確保したこれらのデータが、PL、BS、リスク調整後アセット等の財務指標、経営判断指標の礎となっていることを求めている。また対応を通じ金融機関の意思決定の高度化(以下 6 種類)を果たすことが期待されている。
1. 特にボードや経営層がリスクを把握・モニター・コントロールするための主要情報のレポーティング基盤整備
2. 組織全体での経営意思決定プロセスの改善
3. 企業体・グローバル横断での情報管理の高度化。グローバル統合レベルでのリスク把握
4. リスク管理力の欠落に起因する多大な損失可能性の抑制
5.経営判断に利用する情報が活用できるまでの時間の短縮
6.戦略的企画力 (Strategic Planning)および、新プロダクトや新サービスに伴うリスクの管理能力の強化
同規制は、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)および、国内のシステム上重要な銀行(D-SIBs)に対するものとして提唱されており、直接的に本邦証券会社すべてにかかわるものではない。一方、G-SIBsの銀行グループ全体での管理、すなわち銀行グループに属する証券会社も対象とする規制となる。また、規制そのものが適用対象とならない場合においても、根本となる以下の考え方については、本邦証券会社においても検査の視点となりうるもの、同時に経営管理高度化を果たすうえでヒントとして取り上げるべきものと考える。
図表 1 ドッド・フランク法による影響 (2010年調査と 2012年調査の比較 )
出所: 弊社米国経営層調査(2010年, 2012年)
ビジネスモデル見直しが必要(85%)
見直しが必要(66%)
長期戦略見直しが必要(70%)
見直しが必要(61%)
収益性悪化(48%)
良化(72%)
弱くなる(40%)競争力
強化される(64%)
「ドッド・フランク法の捉え方は前向きに変わってきている」
2012年調査2010年調査
© 2013 Accenture All rights reserved.
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経営管理高度化に向けて(5つの要諦)
諸原則の求める規制要件は、リスク値計量方法(指標の在り方)やリスク値を見たうえでの判断(判断態勢)を超え、リスク値計量や判断のもととなるデータの正確さ・集約範囲を対象としており、金融機関はそのプロセスおよび、元となるデータの品質を問われることとなる。同時に規制のみならず、間違いのない手順(プロセス)を経た正確なデータ(高品質)を活用できることは、より正確な経営判断の実現につながり、経営の高度化に資する。
他方、経営判断の高度化に資する全社データを取りそろえることおよび、これまでの結果(指標や判断態勢)重視より、経過(プロセスや元データ)を重視する点において、これまでの金融機関では到達できていない変化(チャレンジ)が求められる。このチャレンジを乗り切り、経営高度化に資する結果を得るために 5つの要諦があげられる。
1. 複数関係者巻き込み
判断に資する高品質な結果を得るには、国内外・複数商品 /部門 / 関係会社に渡る実務から生まれたデータを集約することとなる。現在は利用粒度や構造の異なるこれらの情報を均質に集約すべく、多岐にわたる社内複数ステークホルダーを巻き込むこと
2. 工程表
高品質な集約データおよび、その使いこなしの完成は長期の将来目標となる。複数の社内システムからのデータ収集を段階的に接続し、完成に向かうことを前提とした工程表を準備し複数年の取組を可視化すること
3. 原理原則
段階的であってもブレない取組とするための、改革の原理原則を最初に定めておくべき。社内各所のデータを集めるルール・品質を保持する手続き・集約したデータを利用する経営判断局面の定義を行っておくこと
4. フォワードルッキング
集約した全社データの活用にあたって、これまでの過去結果を確認する指標に加えて判断の選択肢とすべく、より広範囲な集約データを「予測的(Forward-Looking)」な指標に活用し経営判断の一助とすること
5.不完全データ
データ品質の向上は重要な活動であるものの、一方で、広範なデータであるため、不完全・欠落データは必ず存在する。これら不完全・欠落データを前提として、それらを補う手段・手続きを事前に定めておくこと
弊社は、これら規制対応を契機とした経営管理高度化を欧米および、アジア各国でも支援している。これらの支援経験を通じ、目標設定(自社の達成度調査)や将来像を議論するための枠組み(管理体系フレームワーク)といった改革に必要なツールを準備している。また、単なる規制対応に終わらない改革にあたっては、組織ガバナンス・業務プロセス・情報システムが一体となった推進が不可欠と考え、そのための方法論を整備している。これらの経験・ツール・方法論が証券会社をはじめとする金融機関改革のご支援に役立てば幸いである。
金融機関へ課せられる規制は、今後も様々な領域・切り口にて新設・改変されることになる。また、規制の主眼は、当局への報告内容などの結果に加えて、リスク等の経営管理の途中経過・手続きにも重きを置かれる潮流にある。
他方、これら規制対応を自社の企画・実行リソースを浪費するビジネスの重しとして負の方向に捉えるのではなく、規制の根底にあるマーケットや金融機関の健全な発展を目指す意図をくみ取り、自社経営管理高度化のヒント・道標と捉えることで、後ろ向きの活動から前向きの取組に切り替えることができる。規制の根底にある求めを達成するための要諦と、自社課題を結びつけ、一体として果実を得る改革活動の推進力につなげることが肝要となる。
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ハイパフォーマンス保険会社の6つのビジネスモデル
弊社のグローバルリサーチによると、先進国をはじめとした保険成熟市場において、保険会社がハイパフォーマンスであり続けるために求められる要件は、大きく 6つのビジネスモデルに収斂される(図表 1参照)。
いずれも競合他社に対する明確な差別化ポイントを持っているが、特筆すべきは、異業種参入を基軸としたビジネスモデルである“New Value Enabler”がその一角をなしているということである。
保険会社にとっての異業種参入の意義
保険会社にとっての異業種参入(本業とのシナジー)は、大きく 2つの観点で考えることができる。1点目は保険ビジネスのバリューチェーン強化、2点目は顧客基盤の活用である。
バリューチェーン強化
所謂「現物給付」として日本でも議論中のテーマであるが、主に保険金・給付金支払い後に発生する、周辺ビジネスの取込みを実現するものである。つまり、保険会社は「カネ」から「モノ(サービス)」の提供主体へと変わることになる。病院や介護事業等はわかりやすい例だろう。
顧客にとっては自ら病院等を利用する際の手続き負荷軽減等のメリットがあり、保険会社にとっては保険金・給付金を単純に支出とせず、自社ビジネスとして再び取り込むことができる。
顧客基盤の活用
異業種参入は、契約が比較的長期に及ぶ生命保険会社に対して特に親和性が高いが、顧客のライフイベントを捕捉し、それに見合った付加サービスを提供するものである。育児関連事業や教育事業等がこれに該当する。
顧客にとっては選択肢の一つということになるだろうが、保険会社からタイムリーに商品・サービス提案が提供されることによる利便性は大きいと考えられる。
当該ビジネスを実現する上では、顧客の事前同意だけでなく、ライフイベントの捕捉がポイントとなる。保険会社としては、ライフプランニング等による事前の捕捉と、保全異動の手続きをきっかけとした事後の捕捉をいかに徹底するかが重要である。
国内の保険市場において、生存保障や企業リスクへの対応等、潜在的な成長余地は一定程度想定されるものの、長期的には少子高齢化トレンドを受けた人口減少による縮退は回避し難いと考えられる。
そのような国内市場で安定的な成長を実現していく上では、既存顧客に対する本業シェアを上げていくという点に加え、本業以外の収益源を確保する視点が求められるのではないだろうか。
現行の規制下において一定の制約はあるものの、ここでは海外先進事例のご紹介を踏まえ、保険会社としての異業種ビジネスの可能性について考察したい。
グローバル事例にみる保険会社の異業種参入~収益源の多様化を目指して
大喜多 雄志
2001年 アクセンチュア(株)入社金融サービス本部 戦略グループシニア・マネジャー主に保険業界に対する全社改革、経営・事業戦略立案、マーケティング・オペレーション改革を担当
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効率性 多様性 機能性 商品/サービス チャネル オペレーション
•フルラインナップの商品
•全チャネルへの網羅的なカバレッジ
•規模の経済を活用し徹底的に効率化
•フルラインナップの商品(各国でローカライズ)
•グローバルに展開 •規模の経済を活用し徹底的に効率化•グローバルにBPO
•収益性の高い商品に特化
•顧客経験を活用し顧客を囲い込む
•ニッチマーケットのニーズに最適化
•(なし) •儲かる顧客(Right Customer)を見つける
• ITも駆使し、リスク分析・モニタリング強化
•製販分離・代理に特化し、数多くの商品を取り揃え
•全チャネルへの網羅的なカバレッジ(対面、Web)
•異なる保険会社の商品をコンバージョン
•他業種とのシナジーがある商品(クロスセル可)
•他業種とのシナジーがあるチャネル
•他業種との連携、ワンストップ化
Industrializer 2.0“工業化”
New Value Enabler“異業種シナジー”
Value Picker“高付加価値”
Risk Master“高度な査定力”
Broker 2.0“フロント貫徹”
Global Conqueror“世界進出”
差別化ポイント方向性ハイパフォーマンス保険会社のビジネスモデル
異業種参入のケース:メディカル・ツーリズム
メディカル・ツーリズムとは、海外で医療サービスを受けるだけでなく、観光も楽しんでもらうことで、その国の経済発展に貢献してもうらうことを目的とした事業である。通常は誘致する側の視点で言及されるが、欧米の保険会社がこのスキームを活用したビジネスを展開し注目を集めている。中でも一大ビジネスとなっているインドでは、様々な保険会社が現地の金融機関や、現地の一流病院とのネットワークを構築しているプレイヤーと提携している。
メディカル・ツーリズムの主なサービス内容は以下のようなものである(図表 2参照)。
1. 顧客は本国で保険会社から「メディカル・ツーリズム」のパッケージ商品を購入
2. 病気等により治療が必要な場合、ビジネスクラスでインドへ渡航
3.一流の病院にて最先端の治療を受診
4. 治療後、インドの観光地・リゾートを訪問
5. その間、5つ星のホテルに滞在
6. 帰国後、カウンセリング等のアフターサービスを利用
このビジネスの特徴は、第一に、既存のメディカル・ツーリズムを活用することで、自社のバリューチェーンを効率的に強化していることと、第二に、本国とインドとのコスト差(先進国に比べ約 10分の 1の治療費)を利用し、顧客にとってもメリットのある商品・サービスを提供できていることにある。
異業種参入 実行上のポイント
保険会社が異業種参入するにあたり、成功するために共通して考えるべき要素が 3つある。これらを踏まえ異業種参入に臨まなければ、その効果は限定的なものとなってしまうだろう。
ポイント① 本業とのシナジーは明確か
これは言うまでもないことであるが、単に保険との親和性が高そうであるとか、他社が乗り出している、といった短絡的なアイデアに数字を付けたようなビジネスプランでは、それぞれの事業が個別に運営されるという事態を招くだけである。
異業種参入の検討においては、本業と異業種との関係性は明確にする必要がある。いずれも収益源の柱として位置付けるか、異業種はあくまで集客源とし本業の収益向上を狙うか、またはその逆か。それによってどの業態へどういう形で参入するかも変わってくるはずである。
ポイント② EndtoEndでシームレスなオペレーションとなっているか
顧客に対する保険から他事業(あるいはその逆)への移動がスムーズにできず、その断絶を顧客自身の努力によって越えさせるようなものでは、絵に描いた餅となってしまう。
図表 1 ハイパフォーマンス保険会社のビジネスモデル
© 2013 Accenture All rights reserved.
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事例イメージ
顧客請求 連携
アメリカ
米国医師会の認証取得
航空機
ポイント
ワンストップで手配
病院
一流ホテル
Healthbase
Wellpoint
3
2
1
インド
1 顧客がメディカル・ツーリズムを希望する場合、Wellpoint
(保険会社)はHealthbaseへ対応依頼
2 Healthbaseは、メディカル・ツーリズムの手配をワンストップで対応
3 顧客はメディカル・ツーリズムの一連のサービスを利用
• インドの病院で最先端の治療を受診
• 一流ホテルに滞在、観光• カウンセリング等アフター
サービスを利用
1
2
3
顧客にとって保険から他事業への移動が一連のサービスの流れであるかのようなビジネスプロセスと、それを支える IT、組織が一体となったオペレーションこそ、シナジー効果を最大化させるための鍵となる。
例えば、旅行代理店に行けばフライトやホテルはもちろんのこと、手術の日程やアフターケアの段取りまでの全てをその場でアレンジしてくれたり、保険会社から支給されるバウチャー(クーポン)を持って行くと、常に優待価格で自動車修理がおこなえるといったアイデアは有効であろう。
ポイント③ 顧客志向となっているか
前述のポイントにも共通することであるが、顧客にとって複数の商品・サービス提供を一つの保険会社から受けることに、どれだけのメリットを実感してもらうかが重要になる。
一般的には、会社が異なる場合に発生する顧客の手続き負荷の軽減であったり、価格面での優遇といったものがあるが、本質的には顧客に対してどれだけの付加価値が提供できるかが、競合優位性を築く上で検討されなければならない。
例えば、VIP顧客に対しては著名な医師を紹介したり、手術日程を優先的に設定するエクスプレス・サービスのようなものがこれに該当する。
まとめ
現在、金融庁の金融審議会にて保険会社の異業種参入について様々な議論がなされている。少子高齢化による国内マーケット縮退が不可避である以上、保険会社が提供すべき価値も再考される段階にきているのではないかと思われる。
今後の規制動向にもよるが、本稿でご紹介した事例をはじめ、グローバル保険会社のビジネスモデルは一つの参考になるだろう。
図表 2 メディカル・ツーリズム(Wellpoint)の事例
© 2013 Accenture All rights reserved.
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アナリティクスの重要性の高まり
デジタルコミュニケーションの時代において、消費者のニーズや嗜好性はますます複雑化、多様化している。バーチャルな世界においては関心事を軸に様々なネットワークが構成され情報が交換されており、年齢や地域、職業といった単純な属性区分のみでは十分に顧客を捉えきれなくなってきた。
一方で、ソーシャルネットワークやデジタルデバイスの爆発的な普及を背景に、膨大な量の顧客データが記録・蓄積されている。加えて、テクノロジーの進化によりそれらビッグデータを高速に処理することが可能になっている。
この様な背景のもとアナリティクスを活用した顧客理解 /マーケティングの高度化に対する期待・重要性が再び高まっている。
アナリティクスの目的
マーケティングにおけるアナリティクス活用の目的は、「適切な顧客」に対して「最適なコミュニケーション」を実施することにより、「自社へのロイヤリティを高める」一連のプロセスの「効率的な実行」を実現することである。実際に、図表1に示すようにハイパフォーマンス企業ではこれらのプロセスにおいて高いアナリティクスのケイパビリティを構築している。
過去の取組の振り返り
冒頭でも述べたが、アナリティクスを活用してマーケティングを高度化する取組自体は目新しいものではない。
特に金融機関は顧客の属性情報や取引情報が入手しやすい環境にあったこともあり、多くの組織がアナリティクスを活用したマーケティングの高度化に取組んでいる。
しかしながら、満足のいく成果を出せている企業は多くない。
成果を上げられない企業からは、時間をかけて複雑な分析を実施しているがビジネスの視点が欠如していて実際の施策に繋がらない、分析モデルのメンテナンスができておらず分析精度が低下して使い物にならない、などといった声が聞こえてくる。
効果が出せない理由
そのような声が上がる要因は大きく 3つあると考える。
① リソース /ノウハウの不足
高精度のアナリティクスを実現するには、高度な統計知識・テクニックとビジネス領域における知見の双方を有する人材が必要となる。しかし、ほとんどの企業では、十分な数のスキル人材がおらず、また、組織的な人材育成やノウハウ蓄積が実施されていない。
アナリティクスサービスの勃興~マーケティング戦略の振り返りと再挑戦のアプローチ
デジタルコミュニケーションの時代において、消費者のニーズや嗜好性はますます複雑化、多様化している。そのような背景の下、ビッグデータの分析に基づき顧客理解を深め顧客リレーションを強化するマーケティング・アナリティクスの重要性が再び高まっている。
金融機関の多くは従前よりアナリティクスを活用したマーケティングの高度化に取組んでいるが、満足できる成果を創出できている組織は少ない。その要因は、不十分な資源投入と、ガバナンスの不足により十分なケイパビリティを構築できなかったことにあると考える。
一方、他業種や海外などでは外部サービスを活用して必要なケイパビリティを構築し、優れた成果を創出している企業もある。
アナリティクス/デジタルに関する高いケイパビリティを有する他業種がリテール金融領域への参入を更に活性化することが予見される中、アナリティクスにどう向き合うかを再考する必要がある。
中村 隆太
2005年 アクセンチュア(株)入社経営コンサルティング本部デジタルマーケティンググループマネジャーマーケティング・アナリティクス担当
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顧客理解
顧客エンゲージメント
オファリングイノベーション
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顧客・市場データからインサイトを抽出し戦略に活かしている
ポテンシャルが高いセグメントを識別し集中している
差別化された価値を提供している
ブランドと整合した差別化した顧客経験を設計している
新しい顧客層/市場を開拓できている
マーケティングオペレーション
戦略的にマルチチャネルを活用している
顧客のライフサイクルに渡ってブランドと整合した顧客経験を提供している
強固で長期的な顧客リレーションを構築している
マーケティングのパフォーマンスをモニタリング/最適化している
効率的なマーケティングオペレーションを実現している
ローパフォーマー ハイパフォーマー
図表 1 自社のマーケティングケイパビリティに関するアンケート
② テクノロジーへの投資不足
効率的なアナリティクスを実現するツールやプラットフォームに十分な投資がなされない。あるいはツール間の連携がなされていない。
③ ガバナンス不足
データ提供はシステム部、データ整備と分析はマーケティング部、施策立案と実行は各事業部という様に、各プロセスを異なる部署が担当している場合が多い。その結果、一貫性を持って取組をガバナンスする体制が欠如している。
この様にケイパビリティの構築が中途半端であることが原因であり、過去の経験のみでアナリティクスそのものが役に立たないと結論付けるのは早計である。
一方で、自社のリソースのみでケイパビリティを構築しようとした場合、ある程度の取組規模がなければ投資対効果が見込めず、取組に躊躇してしまうという側面も否定できない。
外部サービスの活用によるケイパビリティの構築
このような状況下において、ノンコア業務における外部のビジネスサービスの活用という考え方は着実に広まってきており、アナリティクスもその対象として捉えられつつある。
特に海外の企業はそのような取組に積極的で、実際にアナリティクスサービスを活用している組織も多い。
自社要員をマーケティング戦略・企画立案と全体管理のコア業務に集中させ、インフラ構築、データ管理、分析モデル作成・メンテナンス、施策の実行、効果測定・レポーティング等の業務は外部のビジネスサービスを利用するのである。
顧客解約率 30%~ 40%低減の事例も
実際に、外部サービスを利用することで強力なアナリティクスのケイパビリティを構築し目覚ましい成果を出している事例もある。
ある企業ではアナリティクスを活用することにより顧客の解約率を約 40%低減しつつ、施策コストを約 15%削減することに成功している。
この企業のマーケティングプロセスには至るところでアナリティクスが活用されている。
例えば、顧客価値分析、顧客セグメンテーション、セグメント毎の解約予測モデル構築、キャンペーン反応率予測モデル、キャンペーン投資最適化、キャンペーン効果分析などである。
そして、これら膨大なアナリティクスをタイムリーに実行しメンテナンスする強力なアナリティクス・ケイパビリティを外部サービスの活用により構築している。
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ターゲティング分析
ロイヤリティ分析
顧客離反防止分析
価格分析
Product Innovation
マルチチャネル分析
Web アナリティクス
顧客理解 オファリングイノベーション 顧客エンゲージメント マーケティング
オペレーション
フィードバック & アナリティクスのアプローチの見直し
Cross-Sell /Up–Sell分析
見込客/顧客セグメンテーション
嗜好性/レスポンス モデリング
LTV (ライフタイムバリュー) 分析
トリガー/イベントベース マーケティング
マーケットミックス・モデル
マーケティングROI分析
図表 2 総合的なアナリティクスサービス
まずはスモールスタートで
外部サービスの利用においてはパートナー企業の実力の見極めと、最適な役割分担によるオペレーティングモデルの構築が重要である。
まずは特定の領域や地域などにおいて、小規模のパイロットプロジェクトで試行し、見込める投資対効果、あるべき役割分担を確認した上で、本格的な導入を検討することを推奨する。
Accenture Analytics Service
弊社ではアナリティクスを戦略上、極めて重要なサービスと位置づけグローバルで注力している。
金融業界においては例えば図表 2に示すようなアナリティクスサービスを提供している。
弊社ではグローバルで経験を積んだエキスパートをアサインし、業界ベストプラクティスの知見・方法論に基づき高付加価値なサービスを提供する。
また、各領域における最先端のテクノロジーから最適な組み合わせを選択して、高付加価値の提供と生産性の向上を両立している。
加えて豊富なコンサルティング、PMO経験に基づき、効果を最大化するガバナンス体制および、オペレーティングモデルの構築や、組織変革のサービスにも併せて対応可能である。
そうした強みを活用して、中長期的なパートナーシップに基づく、成果創出フォーカスした企画から実行までの総合的なサービスを提供している。
最後に
金融取引におけるデジタル化の流れがますます加速する中で、アナリティクスの活用が金融機関の強力な武器になることは間違いない。
また、アナリティクス /デジタルの強力なケイパビリティを有する他業種からのリテール金融領域への参入がますます活発化し、さらに競争が激化することも予想される。
これに対抗するには、ご紹介した外部サービスの活用も視野に入れ、アナリティクス・ケイパビリティの構築、知見の蓄積に取組むべきであろう。
本稿が金融機関におけるアナリティクスへの取組の再考のきっかけとなれば幸いである。
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業態 案件概要 CS OS TC
銀行 アジアにおける入金ビジネス拡大に向けたシステム導入
アジアにおけるキャッシュマネジメントシステムの統合
クライアントの次世代勘定系構築に係る検討支援業務
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証券 ファイナンスに係るグローバル・オペレーティングモデルの構築
外貨資金繰りの為のシステム・プロセス導入支援
アルゴリズムトレーディング・SOR・DP基盤の導入支援
ホールセール営業分析基盤構築に向けた要件整理・導入計画策定
全社コミュニケーション基盤更改、次世代UC基盤導入支援
リテール情報系高度化に向けた要件整理・導入計画策定
障害発生低減に向けた全社システム品質改善施策の策定・推進
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保険 リアルタイムの情報活用に向けた全社デジタル化計画策定・推進
業務品質向上に向けた全社内部管理組織モデルと運営態勢の構築
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カード 次世代システムのプランニング
業容拡大に向けた人事制度刷新
不正検知システムのプランニング
国際ブランドのレギュレーション対応
収益機会拡大に向けた新規事業立案・事業性検証・参入プラン策定
加盟店への送客強化に向けたO2Oサービスの立案・事業化推進
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最近話題のプロジェクトアジア圏を中心とした国外関連のプロジェクトや、ビジネスアナリティクスに求められる情報システム基盤のプランニング・構築に関する継続的な引き合いに加えて、今四半期では、全社的な業務・システムの品質向上に資する取組について複数ご支援機会をいただいております。ビジネスの拡大に向けたご支援から、それを下支えする基盤の構築まで、幅広い領域でより一層のご支援ができればと考えております。
(略)CS:コンサルティング、OS:アウトソーシング、TC:テクノロジー
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社名/ソリューション名 ソリューションタイプ ソリューション概要
弊社/
Accenture Mobility Managed Service (AMMS)
銀行・カード会社向けプラットフォーム
モバイルコマースのサービスデリバリープラットフォーム。モバイルバンキング・ポイント管理・ペイメント(NFC含む)・クーポン・マーケティングなどのモバイルマネー系のコンポーネントを有する。従来、携帯キャリアが提供していたモバイルマネー系のサービスを金融プレーヤーが主導で構築できるため、スマートデバイスを新たな攻めのチャネルとして活用することが可能。欧米において多数の導入実績を有する。
弊社/
Accenture Life Insurance Platform (ALIP)
生命保険会社向け契約管理システム
生命保険・年金保険の契約管理(サイクル)業務を包括的に支援する基幹系パッケージシステム。コンポーネント単位の組み合わせによって、最適な機能のみの導入が可能。北米を中心に60社以上に提供中。2006年8月アクセンチュアがNaviSys社を買収後、ソリューション名をアクセンチュア生命保険プラットフォーム(Accenture Life Insurance Platform–ALIP)に改称。
弊社/ Claim Components Solution(CCS)
損害保険会社向けパッケージシステム
損害サービス業務全般をカバーするグローバルNo.1のソリューション。北米トップ三社のうち二社が導入しており、約7万人の事案担当者が日々CCSを使用、米国個人保険損害全事案中36%はCCS で処理されている。初期導入は1998年で、16社に導入済。個人保険、企業保険といった全商品に対応。業務分析ツール等変革に必要となる要素を包括的に含む。
弊社/Underwriting Components Solution (UWC)
損害保険会社向け引受業務支援パッケージ
アカウント管理、リスクセグメンテーション、外部データとの統合、指標管理といった機能に強みを持つ全商品に対応し、引受業務全般をカバー。より迅速かつ適切な見積・引受を可能にし新たなリスクセグメントの開拓、コンバインド・レシオの改善に大きな効果をもたらす。英RSAや米Allstate, Travelersといった欧米トップ企業9社が既に採用済。
弊社/ Memetrics (Digital Marketing Optimization)
マーケティングチャネル最適化ソリューション
Webサイトのランディングページ、E-mail、DM、リスティング広告、コールセンター等ダイレクトマーケティング手段の活用を最適化し、売上増加、口座開設率の向上等、ROIの最大化を科学的かつ自動的に実現。2007年12月アクセンチュアがMemetrics社を買収したことにより、コンサルティングを含めたより総合的なソリューションとして提供可能。
Calypso Murex
トレーディング・リスク管理システム
デリバティブ(株式、金利、コモデティ、クレジット)、外為関連のディーリングフロントオフィス・リスク管理やバックオフィス業務を行うための市場系システムの導入支援。欧州を中心に世界で200名以上のエンジニア(国内では約20名)と多数の導入経験により培った方法論を最大活用。
日興システムソリューションズ(NKSOL)
証券・資産運用系システム&コンサルテーション
銀行、証券、投信投資顧問等を主要顧客として、総合証券システム、オンライントレーディングシステム、投信窓販システム、投信経理システム等を、ASP型のシステムサービスとして提供。また、豊富な実務・運用経験に基づく、業務・システム・技術コンサルティングを展開。2005年、より高度で幅広いサービスをワンストップで提供すべく、アクセンチュアとアライアンスを締結。
Odyssey Financial Technologies
プライベートバンキング・システムウェルス・マネジメント・システム
プライベート・バンキング/ウェルス・マネジメント・ビジネスを展開する上で必須となる顧客管理・ポートフォリオ管理・リスク管理・レポーティングを統合化したシステム「Odyssey」。要件定義、開発・導入、運用・保守までOdyssey Financial Technologies社とのアライアンスに基づいて日本にて展開。
Oracle Financial Services Software
銀行勘定系システム コア・バンキングパッケージとして、新規顧客獲得数4年連続世界第一位にランキング(2002~2005年、IBS誌)。現在の顧客数500以上、115ヵ国以上でサービスを提供している「Oracle FLEXCUBE」。モジュール・アーキテクチャとして、機能が部品化されており、必要な機能のみの導入が可能。また、商品をパラメータで設定可能なため、新商品の導入が容易。
SAP BaselⅡ対応システム銀行勘定系システムERP(人事・会計)システムデータベース・システム
高品質・高付加価値な導入コンサルテーション、豊富な成功事例に裏づけされた安全・確実なシステム導入、およびSAP社とのグローバルアライアンスに基づく手厚いサポートを提供。“BWを中核とした情報系システムの再構築”等、個別課題へのソリューションとして提供可能。
SAS Institute イベント・ベースト・マーケティングクレジットライン最適化リスク・マネジメントサステナビリティ
CRM、リスクマネジメント、サステナビリティ等同社ソフトウェア・コンポーネントにより、金融業界では、個人・法人向け顧客営業支援、クレジットカード与信分析、BaselⅡAMA分析、カーボンモデリング等のCSR環境アプローチ等、様々な分野における高度データ分析をリードするソフトウェア。
Temenos 銀行勘定系システム バンキング・システムとして、世界120カ国、600顧客サイトで利用されている「Temenos」。「T24」は、オープン・アーキテクチャにもとづき、カスタマイズ性と拡張性を提供し、リアルタイム対応を可能とするモジュラー構造。ハイ・パフォーマンスをリードするコア・バンキング・ソフトウェア。
アライアンスおよびパッケージ・システム
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弊社外部講演およびレポートのご紹介
外部講演のご報告
( 株 ) セミナーインフォ主催 金融フォーラム 2013(5月 10日 (金 )開催)に於いて、マネジング・ディレクター宮良浩二が「金融リテールビジネスにおけるクロスセリング~ディストリビューション改革がもたらすインパクト~」と題し、またマネジング・ディレクター山本晋五が「規制対応をチャンスに変える~グローバル調査が示すリスクアナリティクス時代の到来~」と題し、それぞれ講演させて頂きました。お蔭様でご好評頂き、大変嬉しく思います。それぞれの講演で紹介させて頂いたレポートをご案内させて頂きます。
バンキング・ディストリビューションに 関する専用サイト -「バンキング 2016:ディストリビューションとマーケティングにおける成長の加速とコストの最適化」など複数のレポートを掲載しております。www.accenture.com/bk/distribution/jp
「リスク・アナリティクス調査 2012 - 銀行業界の洞察」www.accenture.com/bk/riskanalytics2012/jp
( 株 ) セミナーインフォ主催のセミナー(5月 28日 (火 )開催)に於いて、経営コンサルティング本部マネジング・ディレクター原仁志、金融サービス本部シニア・プリンシパル保険業界スペシャリスト大窪章敬および、金融サービス本部シニア・マネジャー大喜多雄志が、「成長する保険業の今後の在り方~ディストリビューション改革がもたらすインパクト~」と題し講演致しました。お蔭様で、お申込み頂いた方全員にご参加頂くなどご好評頂き、関係者一同大変嬉しく思っております。
講演で紹介させて頂いたレポートをご案内させて頂きます。
「保険業界の新しい幕開け」www.accenture.com/digitalinsurer/jp
いずれの講演内容につきまして、ご興味がございましたら、金融サービス本部マーケティング担当(AccentureAsiaPacific @accenture.com)までお問い合わせ下さい。
バンキング2016ディストリビューションとマーケティングにおける成長の加速とコストの最適化
「バンキング2016:ディストリビューションとマーケティングにおける成長の加速とコストの最適化」
アクセンチュアリスク管理グループ:リスク・アナリティクス調査 2012
銀行業界の洞察
「リスク・アナリティクス調査2012-銀行業界の洞察」
保険業界の新しい幕開け保険会社のデジタル化
クラウド・コンピューティングが変革する保険市場
「保険業界の新しい幕開け」
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会社概要グローバル拠点数:世界54カ国200都市以上
売上高:279億米ドル(2012年8月期)
従業員数:26万1千名以上
会長:ウィリアム・D・グリーン(William D. Green)
会長兼最高経営責任者:ピエール・ナンテルム(Pierre Nanterme)
アクセンチュア株式会社
本社所在地:〒107-8672 東京都港区赤坂1-11-44
赤坂インターシティ
電話番号:03-3588-3000(代表)
FAX:03-3588-3001
従業員数:5,000名以上(2013年5月31日時点)
代表者:代表取締役社長 程 近智
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