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内部監査に必要な能力のサーベイ 2014年版

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内部監査に必要な能力のサーベイ2014年版

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はじめに

今日の内部監査は、伝統的な内部統制の分野のみならず、全社

的リスクマネジメント(ERM)、コーポレートガバナンスなど多岐の

分野にわたってガイダンスや専門性を提供し、組織体の活動に

付加価値を提供することへの期待が一層高まっています。その

結果、内部監査の果たす役割はその範囲や複雑さにおいて大

幅に増大しており、内部監査人の専門職としての知識やスキル、

専門性を高めることが必要となっています。

このような状況を踏まえ、プロティビティでは内部監査人の能力・

スキルに関する調査を日米で毎年実施しております。今年も「内

部監査の専門知識」、「監査プロセスの知識」、「個人のスキルと

能力」の3つの分野において現状の能力がどの水準にあると考

えているのか、また向上の必要性を感じている項目は何かについ

て調査を実施しました。

調査では、日本の内部監査担当役員、内部監査部門長、マ

ネージャ、その他の専門職の計165人と多数の方々にご協力

をいただきました。調査結果の詳細は本文に述べております

が、大変興味深い結果が得られています。例えば「内部監査

の専門知識」及び「監査プロセスの知識」では継続監査と不正

リスクマネジメント・対応が、「個人のスキルと能力」においては

外部とのネットワーキングが高い関心を集めています。また、IT

に関連する知識はどの分野においても向上の必要性が認識さ

れています。

今回の調査結果は、内部監査の役割が急速に変化する中で、

内部監査の専門家のみならず、監査役、監査委員会、取締役

会、及び内部監査機能の向上を目指している経営幹部や専門

家の皆様にとっても参考になるものと信じております。

最後になりましたが、調査にご協力いただいた方々に厚く御礼申

し上げます。

2014年11月

プロティビティLLC

内部監査担当マネージングディレクタ

谷口 靖美

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Ⅰ.当調査について

当調査は、日本の内部監査担当役員、内部監査部門長、マネージャ、その他の専門職の計165人のご協力を得て、内部監査に必要な能力及び向上の必要性について、3つの分野(内部監査の専門知識、監査プロセスの知識、個人のスキルと能力)に分けてアンケート形式で質問し、分析を行いました。

調査では3つの分野における知識や能力等を予めリストにし、回答者に「知識・能力のレベル」を5段階で、「知識レベルの適切性・向上の必要性」を2段階で評価していただきました。

調査結果は以下の点数(表1、表2を参照)に換算した上で平均値を算出し、「知識・能力のレベル」、「知識・能力レベルの適切性・向上の必要性」の2軸にて分析を行いました。

表1 点数表(知識・能力のレベル)

点数 評価内容

0  該当なし

1  1. 知識がない

2  2. 限られた知識がある

3  3. 精通している

4  4. 非常に精通している

5  5. 専門知識がある

表2 点数表(知識・能力レベルの適切性・向上の必要性)

点数 評価内容

2 A. 適切

4 B. 向上の必要性あり

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Ⅱ.内部監査の専門知識の評価

概要

今年の向上の必要性では、「継続監査(GTAG3)」が1位となり、2位は「GAIT」、3位は「不正リスクマネジメント(FRM)」となりました。

現有能力については「不正リスクマネジメント(FRM)」が2.4であるのに対して、「継続監査(GTAG3)」や「GAIT」は2.0を下回るかなり低い評価となっています。

表3 内部監査の専門知識

向上の必要性の順位(今年)

向上の必要性の順位(前年) 内容 能力

(今年)能力

(前年)

1(3.6) 11(3.5) 継続監査(GTAG3) 1.9 1.7

2(3.6) 3(3.7) GAIT 1.7 1.6

3(3.5) 2(3.7) 不正リスクマネジメント(FRM) 2.4 2.3

4(3.5) 5(3.7) データ分析 2.3 1.7

5(3.5) – IT監査(ITガバナンス、情報セキュリティ) 2.4 –

6(3.5) 8(3.6) CobiT 1.9 1.8

7(3.5) 1(3.7) 国際財務報告基準(IFRS) 2.1 2.1

8(3.5) 16(3.5) ERM(エンタープライズ・リスク・マネジメント) 2.6 2.6

9(3.4) 15(3.5) ソーシャルメディアアプリケーション 1.7 1.9

10(3.4) – モバイルアプリケーション 1.8 –

11(3.4) 17(3.4) クラウドコンピューティング 1.9 2.0

12(3.4) 18(3.4) 会社法 2.5 2.5

13(3.3) 12(3.5) 改訂COSO内部統制フレームワーク 2.7 2.5

14(3.3) – 事業継続管理・事業継続計画 2.4 –

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図1 内部監査の専門知識(向上の必要性と能力)

3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 3.6 3.71.5

1.7

1.9

2.1

2.3

2.5

2.7

2.9

3.1

能力

継続監査(GTAG3)

GAIT

不正リスクマネジメント(FRM)

データ分析

IT監査(ITガバナンス、情報セキュリティ)

CobiT

国際財務報告基準(IFRS)

ERM(エンタープライズ・リスク・マネジメント)

ソーシャルメディアアプリケーション

モバイルアプリケーション

クラウドコンピューティング

会社法

改訂COSO内部統制フレームワーク

事業継続管理・事業継続計画

向上の必要性

能力

前年比較

今年の知識レベルの適切性・向上の必要性では、「継続監査(GTAG3)」が1位となりました。この項目は前年の調査結果では11位でした。昨今のビジネス環境の激変に伴ってリスクやコントロールが変化する中、従来の往査で行われていた内部統制に関する一定時点の事後的モニタリングではなく、重要なリスク指標に対して、ITを活用しながら継続的にモニタリングすることへの意識が高まっているものと考えられます。

向上の必要性の2位には前年3位だった「GAIT」が入っています。「GAIT」と同様にIT関連項目である「CobiT」も前年の8位から6位に順位を上げており、「IT監査(ITガバナンス、情報セキュリティ)」も5位にランクインしています。これらの項目が上位に入っていることからは、内部監査人がITに関する専門知識向上の必要性を強く認識していることがうかがえます。

「不正リスクマネジメント(FRM)」は、前年の調査で2位、今年の調査で3位と継続的に順位の高い項目です。不正リスクに焦点をあてた取り組みは内部監査人にとっての大きな課題であり、近年特に高い関心を集めているといえます。

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米国との比較

米国において向上の必要性が最も高い項目は「モバイルアプリケーション」でした。この項目は今年新たに追加された項目であり、日本では10位でした。米国ではこの他にも「ソーシャルメディアアプリケーション」や「クラウドコンピューティング」が上位に入るなど、IT関連の新たな領域に対する関心が高まっています。近年これらの項目が社会に広く浸透し、急激に発達したことで、内部監査人が新たにリスクの識別・評価・モニタリングを適切に実施すべき項目として認識していることがわかります。

注目すべきは、IT関連の新たな領域に関する知識の現有能力について、日米で大きな差があることです。「モバイルアプリケーション」、「ソーシャルメディアアプリケーション」、「クラウドコンピューティング」に関しては、向上の必要性だけでなく現有能力についても米国の方が高い評価となっており、評価点には日米で1ポイント程の差があります。米国では新たな領域に関する知識向上の必要性を認識しているだけでなく、積極的に知識向上に取り組んでいることが表れています。

表4 米国における内部監査の専門知識

2014 2013

向上の必要性の順位 内容 能力 内容 能力

1 モバイルアプリケーション 2.6 ソーシャルメディアアプリケーション 2.7

2 NIST サイバーセキュリティフレームワーク 2.4 内部監査基準 3.1

3 ソーシャルメディアアプリケーション 2.8データ分析テクノロジ (GTAG16) 2.8

クラウドコンピューティング 2.7

4 クラウドコンピューティング 2.8

GAIT 2.7

システム化された環境における 不正の防止と発見 (GTAG13) 2.8

国際標準化機構(ISO)27000 (情報セキュリティ) 2.4

改訂COSO内部統制フレームワーク 2.9

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内部監査部門長の特徴

表5 内部監査部門長の内部監査の専門知識

向上の必要性の順位(今年)

向上の必要性の順位(前年) 内容 能力

(今年)能力

(前年)

1(3.8) 10(3.6) 不正リスクマネジメント(FRM) 2.2 2.4

2(3.8) – IT監査(ITガバナンス、情報セキュリティ) 2.3 1.9

3(3.8) 16(3.5) クラウドコンピューティング 2.0 2.2

4(3.8) 1(3.8) CobiT 1.9 2.0

5(3.8) 11(3.6) ソーシャルメディアアプリケーション 1.8 2.0

6(3.7) 2(3.8) 継続監査(GTAG3) 1.7 1.8

7(3.7) 14(3.5) GAIT 1.5 1.7

8(3.6) 7(3.7) 国際財務報告基準(IFRS) 1.9 1.7

9(3.6) 19(3.3) 会社法 2.7 2.4

10(3.5) 9(3.6) 改訂COSO内部統制フレームワーク 2.3 1.8

11(3.5) 14(3.5) ERM(エンタープライズ・リスク・マネジメント) 2.7 1.9

12(3.5) 3(3.8) データ分析 2.4 –

13(3.5) – モバイルアプリケーション 2.0 –

14(3.4) – 事業継続管理・事業継続計画 2.7 –

内部監査部門長の回答では、全体の調査結果で3位だった「不正リスクマネジメント(FRM)」が1位となっています。内部監査部門長も全体の調査結果と同様に、不正防止の取り組みに対して大きな関心を抱いていることがわかります。

内部監査部門長の回答の2位には、全体の調査結果で5位だった「IT監査(ITガバナンス、情報セキュリティ)」が入っています。昨今のトピックとなっている情報セキュリティやITマネジメントに関して、内部監査部門長が重要な課題と捉えていることがうかがえます。

全体の調査結果で11位と低評価だった「クラウドコンピューティング」は、内部監査部門長の回答では3位にランクインしています。「クラウドコンピューティング」は米国の調査結果でも4位にランクインしています。今後は内部監査部門長だけでなく、あらゆる内部監査関係者の中で「クラウドコンピューティング」のような新しい分野に対する関心が高まっていくことが考えられます。内部監査人には、米国での動向にも注視しながら新しい分野に対する知見を高めていくことが求められます。

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Ⅲ.監査プロセスの知識の評価

概要

今年の向上の必要性では、「不正対応(不正リスク評価/不正予防/抑止、不正発見/調査、モニタリング、監査)」が1位、「CAAT(データ分析、CAATツール操作、サンプリング)」が2位、「継続監査」が3位という結果となりました。

「CAAT(データ分析、CAATツール操作、サンプリング)」と「継続監査」に関しては向上の必要性を認識している一方で、現有能力はそれぞれ2.1と2.0と低評価となっています。

表6 監査プロセスの知識

向上の必要性の順位(今年)

向上の必要性の順位(前年) 内容 能力

(今年)能力

(前年)

1(3.5) 3(3.6)不正対応(不正リスク評価/不正予防/抑止、 不正発見/調査、モニタリング、監査) 2.6 2.5

2(3.5) 1(3.6) CAAT(データ分析、CAATツール操作、サンプリング) 2.1 2.0

3(3.4) 8(3.4) 継続監査 2.0 2.0

4(3.4) 11(3.4) リスク評価(新たに顕在化する課題) 2.7 2.8

5(3.4) 7(3.4) 監査戦略の立案 2.5 2.5

6(3.4) 4(3.6) 内部監査の品質評価 2.5 2.6

7(3.3) 2(3.6)IT監査(セキュリティ、変更管理、運用管理、プログラム開発、IT業務継続) 2.4 2.2

8(3.3) 5(3.4) 有効な改善提案(発見事項の根本原因を含む) 2.8 2.7

9(3.3) 15(3.0) コントロール自己評価(CSA) 2.3 2.5

10(3.3) 11(3.4) リスク評価(組織、プロセス、拠点) 2.8 2.9

11(3.3) 12(3.3) リスクアプローチ 2.9 2.9

12(3.2) 10(3.4) 継続的モニタリング 2.6 2.6

13(3.2) 13(3.3) 業務の有効性・効率性の評価 3.0 2.8

14(3.1) 6(3.4) 監査リソース(人的資源)の採用・研修・管理 2.5 2.4

15(3.0) 14(3.2) 監査計画の立案 3.0 3.0

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図2 監査プロセスの知識(向上の必要性と能力)

2.9 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 3.6 3.71.7

1.9

2.1

2.3

2.5

2.7

2.9

3.1

能力

向上の必要性

能力

監査計画の立案

監査リソースの採用・研修・管理

業務の有効性・効率性の評価

継続的モニタリング

リスクアプローチリスク評価

コントロール自己評価(CSA)

有効な改善提案

IT監査

内部監査の品質評価 監査戦略の立案

リスク評価

継続監査

CAAT

不正対応

前年比較

今年の向上の必要性で1位となった「不正対応(不正リスク評価/不正予防/抑止、不正発見/調査、モニタリング、監査)」と2位となった「CAAT(データ分析、CAATツール操作、サンプリング)」は、前年の向上の必要性でもそれぞれ3位と1位にランクインしています。不正対応に関するこれらの項目が継続的に高い関心を集めていることがわかります。

特に「CAAT(データ分析、CAATツール操作、サンプリング)」は、2007年の調査開始以来1位もしくは2位を占めており、内部監査人が常にテクノロジを活用したデータの収集及び分析に関する能力の必要性を感じていることがうかがえます。一方で現有能力の評価は2.1であり、前年度から0.1ポイントの上昇に留まっています。内部監査人は引き続きテクノロジの活用に関する能力を高めていく必要があります。

今年の向上の必要性では、「継続監査」が3位に入っています。「Ⅱ.内部監査の専門知識の評価」の全体調査では「継続監査(GTAG3)」が1位となっており、内部監査人が継続監査に関する知見を高めていくことの必要性を認識していることが表れています。

現有能力については、全体的に前年と比べて大きな変化はなく概ね同じレベルにあります。

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米国との比較

表7 米国における監査プロセスの知識

2014 2013

向上の必要性の順位 内容 能力 内容 能力

1 CAAT 3データ分析ツール(ツール操作) 3.3

不正対応(モニタリング) 3.4

2 データ分析ツール(ツール操作) 3.1

IT監査(セキュリティ、変更管理、運用管理、プログラム開発、IT業務継続) 2.9

不正対応(不正リスク評価) 3.4

3 データ分析ツール(データ分析) 3.1データ分析ツール(データ分析) 3.3

不正対応(不正発見/調査) 3.4

4 IT監査(新しいテクノロジ) 3不正対応(不正予防/抑止) 3.5

CAAT 3.1

米国においても、向上の必要性については「CAAT」等の「データ分析ツール」が上位を占めています。これは日本の調査結果と同様の傾向であり、上記の項目については国際的に高い関心が寄せられていることが表れています。

日本で前年の2位から7位にランクダウンした「IT監査」が米国では4位に入っています。米国では前年も「IT監査」が2位に入っており、継続的に高い関心を集めていることがうかがえます。

現有能力については、「Ⅱ.内部監査の専門知識の評価」と同様に日米間でかなりの開きがあり、米国内部監査人の専門性の高さがうかがえます。

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内部監査部門長の特徴

表8 内部監査部門長の監査プロセスの知識

向上の必要性の順位(今年)

向上の必要性の順位(前年) 内容 能力

(今年)能力

(前年)

1(3.6) 3(3.5) 継続的モニタリング 2.3 2.9

2(3.5) 14(3.0) リスク評価(組織、プロセス、拠点) 2.6 3.0

3(3.3) 5(3.4) 継続監査 2.7 2.2

4(3.3) 2(3.5)IT監査(セキュリティ、変更管理、運用管理、プログラム開発、IT業務継続) 2.2 2.6

5(3.2) 1(3.6) CAAT(データ分析、CAATツール操作、サンプリング) 2.5 2.1

6(3.2) 11(3.1) リスクアプローチ 2.3 3.2

7(3.1) 8(3.2) リスク評価(新たに顕在化する課題) 3.1 3.2

8(3.1) 12(3.1) 業務の有効性・効率性の評価 3.1 3.1

9(3.1) 10(3.2) 監査リソース(人的資源)管理(採用、研修、管理) 2.6 2.9

10(3.1) 7(3.3) 有効な改善提案(発見事項の根本原因を含む) 2.9 3.1

11(3.1) 15(2.9) 監査計画の立案 2.7 3.4

12(3.0) 4(3.4)不正対応(不正リスク評価/不正予防/抑止、 不正発見/調査、モニタリング、監査) 2.7 2.7

13(2.8) 9(3.2) 内部監査の品質評価 3.0 2.7

14(2.8) 13(3.1) コントロール自己評価(CSA) 3.0 2.7

15(2.5) 6(3.4) 監査戦略の立案 3.2 2.9

内部監査部門長の回答では、「継続的モニタリング」が1位、「リスク評価(組織、プロセス、拠点)」が2位、「継続監査」が3位となっています。「継続監査」は全体の調査でも3位にランクインしていました。全体の調査結果と同様に、内部監査部門長も重要なリスク指標に対する継続的な監査の必要性を感じていることがわかります。

全体の調査結果で1位だった「不正対応(不正リスク評価/不正予防/抑止、不正発見/調査、モニタリング、監査)」が12位に、2位だった「CAAT(データ分析、CAATツール操作、サンプリング)」が5位に、それぞれランクダウンしています。全体調査の結果に比べて内部監査部門長は、会社全体にとって、より価値を付加する項目に焦点をあてることを望んでいると考えられます。

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Ⅳ.個人のスキルと能力の評価

概要

今年の向上の必要性では、「外部とのネットワーキング」が1位、「新しいテクノロジとアプリケーションの活用」が2位、「対立の解決能力」が3位に入りました。

これらの項目の現有能力は2.4~2.6と、一定レベルを維持しているとの評価になっています。内部監査人は上記の項目に対する一定の能力を備えていることを認めながらも、変化する内部監査へのニーズに対応していくためには更なる能力の向上が必要であると認識しているようです。

表9 個人のスキルと能力

向上の必要性の順位(今年)

向上の必要性の順位(前年) 内容 能力

(今年)能力

(前年)

1(3.4) 5(3.4) 外部とのネットワーキング 2.4 2.4

2(3.4) 1(3.6) 新しいテクノロジとアプリケーションの活用 2.4 2.3

3(3.4) 2(3.5) 対立の解決能力 2.6 2.4

4(3.3) 4(3.4) プレゼンテーションスキル 2.8 2.7

5(3.3) 3(3.5) コーチング/メンタリングスキル 2.5 2.4

6(3.3) 8(3.4) 担当外取締役との関係強化 2.3 2.3

7(3.3) 7(3.4) 説得力 2.8 2.7

8(3.3) 13(3.3) 戦略的な思考力 2.8 2.7

9(3.2) 10(3.3) インタビュースキル 2.8 2.7

10(3.2) 12(3.3) 内部監査人の業績評価 2.4 2.3

11(3.2) 9(3.4) リーダーシップ 2.7 2.7

12(3.2) 6(3.4) プレッシャーへの対応力 2.8 2.6

13(3.2) 11(3.4) 交渉力 2.8 2.7

14(3.2) 15(3.2) 文章表現力 2.9 2.9

15(3.1) 14(3.3) 時間管理能力 2.8 2.7

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図3 個人のスキルと能力(向上の必要性と能力)

向上の必要性

能力

3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 3.62.2

2.3

2.4

2.5

2.6

2.7

2.8

2.9

3.0

能力

文章表現力

外部とのネットワーキング

新しいテクノロジとアプリケーションの活用

対立の解決能力

プレゼンテーションスキル

コーチング/メンタリングスキル

担当外取締役との関係強化

説得力

戦略的な思考力

インタビュースキル

内部監査人の業績評価

リーダーシップ

プレッシャーへの対応力

交渉力

時間管理能力

前年比較

今年の向上の必要性では、前年5位の「外部とのネットワーキング」が1位となっています。ランクアップの大きな要因として、内部監査をより有効にするためには外部との交流が必要であることが改めて認識されるようになったことがあげられます。「外部とのネットワーキング」を向上させるためには、日本内部監査協会の業界別部会、業界で自主的に行っている情報交換会、先進的な取り組みをしている企業の内部監査部へのヒアリング、外部コンサルタントからの情報収集などの機会を積極的に活用してくことが有効です。

今年の向上の必要性の2位には、「新しいテクノロジとアプリケーションの活用」が入りました。「Ⅲ.監査プロセスの知識の評価」においては「CAAT(データ分析、CAATツール操作、サンプリング)」が2位にランクインしていました。内部監査人がデータ分析ツール等の新しいテクノロジやアプリケーション活用の必要性を強く認識していることがわかります。

向上の必要性3位には、前年2位の「対立の解決能力」が入っています。近年では内部監査に対するステークホルダー(利害関係者)の期待が高まっており、これに応じて準拠性監査から有効性監査への移行や積極的なコンサルティング活動に取り組む機会が増加しています。こうした現場の業務に踏み込んだ監査を実施する中で、関係者との対立を解決する能力への関心が高まっているものと考えられます。

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米国との比較

表10 米国における個人のスキルと能力

2013 2012

向上の必要性の順位 内容 能力 内容 能力

1 プレゼンテーションスキル 3.4 対立の解決能力 3.5

2 交渉力 3.4交渉力 3.4

説得力 3.5

3

説得力 3.5 プレッシャーへの対応力 3.5

新しいテクノロジとアプリケーションの活用 3.5 プレゼンテーションスキル 3.5

4対立の解決能力 3.5

戦略的な思考力 3.8時間管理能力 3.6

米国では、「プレゼンテーションスキル」や「交渉力」、「説得力」が上位にランクインしています。日本に比べてコミュニケーションスキルや表現力といった、相手へのアクションを起こす際に求められるスキルに対する関心が高いことがうかがえます。

米国では「交渉力」が2位、「説得力」が3位にランクインしています。これらは、日本ではそれぞれ13位と7位と比較的関心の低かった項目です。この結果は、日本に比べて米国の方が外部や監査先とのコミュニケーションを重視していることを示しています。また、上記2項目についての現有能力の評価は、米国ではそれぞれ3.4と3.5、日本では双方ともに2.8となっています。米国では既に高いコミュニケーション能力を備えていると認識しているにも関わらず、更なる向上の必要性を感じていることがわかります。

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内部監査部門長の特徴

表11 内部監査部門長の個人のスキルと能力

向上の必要性の順位(今年)

向上の必要性の順位(前年) 内容 能力

(今年)能力

(前年)

3.5 13(3.0) 内部監査人の業績評価 2.8 3.0

3.4 3(3.4) 外部とのネットワーキング 2.7 2.8

3.4 4(3.3) 新しいテクノロジとアプロケーションの活用 2.5 3.1

3.2 2(3.4) コーチング/メンタリングスキル 2.8 2.4

3.2 5(3.3) プレゼンテーションスキル 3.0 3.0

3.1 14(3.0) 交渉力 3.1 2.9

3.1 9(3.1) 戦略的な思考力 3.1 3.0

3.1 7(3.3) インタビュースキル 2.9 2.9

3.1 6(3.3) 担当外取締役との関係強化 2.9 2.9

3.1 11(3.1) 時間管理能力 3.0 3.1

2.9 8(3.2) リーダーシップ 3.1 2.9

2.9 1(3.5) 説得力 2.9 2.7

2.9 12(3.1) 対立の解決能力 2.9 3.0

2.8 10(3.1) 文章表現力 3.3 3.0

2.8 15(2.9) プレッシャーへの対応力 3.1 3.1

内部監査部門長の回答では、「内部監査人の業績評価」が1位となりました。内部監査に対する期待が高まり、内部監査人の役割が増大する中で、内部監査部門長が業績評価を通して内部監査人のスキルを向上させ、価値を付加する監査を実施することに関心を寄せていることがうかがえます。

2位には、全体の調査結果で1位であった「外部とのネットワーキング」が入りました。内部監査部門長も全体の調査結果と同様に、ポジテイブな内部監査への期待を示唆しているものと考えられます。

3位には、全体の調査結果で2位であった「新たなテクノロジとアプリケーションの活用」が入っています。内部監査部門長もビジネス環境の変化や高まる内部監査への期待に応えるため、新しいテクノロジやアプリケーションを有効活用しながら、内部監査の効率性を向上させることの必要性を強く感じていることがわかります。

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回答者についての情報

アンケート回答者165人の内、回答者自身についてご記入いただいた項目の集計結果は以下の通りです。

1. 地位(回答者145人)

地位 該当数

監査担当役員 1

監査部門長 15

監査マネージャー 51

監査スタッフ 57

IT監査担当部長 6

IT監査マネージャー 1

IT監査スタッフ 4

監査契約社員 2

外部監査人 1

退職者 2

監査役または監査委員会メンバー 2

経営コンサル 1

その他 2

2. 現在の地位の期間(回答者145人)

現在の地位の期間 該当数

10年以上 11

5年以上10年未満 42

1年以上5年未満 73

1年未満 19

3. 業界(回答者142人)

業界 該当数

通信 7

ハイテク 2

流通 3

小売 7

ヘルスケア 2

製薬 12

製造 42

銀行・証券 12

保険 12

その他金融 5

不動産 2

エネルギー 4

教育 2

公共サービス 2

専門サービス 4

公共事業 2

その他 22

4. 組織形態(回答者142人)

組織形態 該当数

一般企業 137政府 0公共団体 0非営利団体 3その他 2

5. 組織規模(連結売上高)(回答者127人)

組織規模(連結売上高) 該当数

2兆円以上 221兆円以上2兆円未満 185000億円以上1兆円未満 201000億円以上5000億円未満 29500億円以上1000億円未満 5100億円以上500億円未満 2350億円以上100億円未満 450億円未満 6

6. 監査部門設立時期(回答者140人)

組織形態 該当数

10年以上前 975年以上10年未満前 311年以上5年未満前 91年未満前 3

7. 内部監査部門の人員数(回答者141人)

組織形態 該当数

50人超 1621〜50人 3211〜20人 231〜10人 70

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NOTES

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EUROPE/MIDDLE EAST/AFRICA

FRANCE

Paris

GERMANY

Frankfurt Munich

ITALY Milan Rome Turin

THE NETHERLANDS

Amsterdam

UNITED KINGDOM

London

BAHRAIN*

Manama

KUWAIT*

Kuwait City

OMAN*

Muscat

QATAR*

Doha

UNITED ARAB EMIRATES*

Abu Dhabi Dubai

SOUTH AFRICA*

Johannesburg

ASIA-PACIFIC

AUSTRALIA

Brisbane Canberra Melbourne Perth Sydney

CHINA

Beijing Hong Kong Shanghai Shenzhen

INDIA

Bangalore Mumbai New Delhi

INDONESIA**

Jakarta

JAPAN

Osaka Tokyo

SINGAPORE

Singapore

SOUTH KOREA*

Seoul

* Protiviti Member Firm ** Protiviti Alliance Member

THE AMERICAS

UNITED STATES

Alexandria Atlanta Baltimore Boston Charlotte Chicago Cincinnati Cleveland Dallas Denver Fort Lauderdale Houston

Kansas City Los Angeles Milwaukee Minneapolis New York Orlando Philadelphia Phoenix Pittsburgh Portland Richmond Sacramento

Salt Lake City San Francisco San Jose Seattle Stamford St. Louis Tampa Washington, D.C. Winchester Woodbridge

ARGENTINA*

Buenos Aires

BRAZIL*

Rio de Janeiro São Paulo

CANADA

Kitchener-Waterloo Toronto

CHILE*

Santiago

MEXICO*

Mexico City

PERU*

Lima*

VENEZUELA*

Caracas

プロティビティについて

プロティビティ(Protiviti)は、リスクコンサルティングサービスと内部監査サービスを提供するグローバルコンサルティングファームです。北米、日本を含むアジア太平洋、ヨーロッパ、中南米、中近東、アフリカにおいて、ガバナンス・リスク・コントロール・モニタリング、オペレーション、テクノロジ、経理・財務におけるクライアントの皆様の課題解決を支援します。プロティビティのプロフェッショナルは、経験に裏付けられた高いコンピテンシーを有し、企業が抱えるさまざまな経営課題に対して、独自のアプローチとソリューションを提供します。