東京都の経済情勢報告

令和 2年 4月 27 日

財務省関東財務局 東 京 財 務 事 務 所

※掲載した経済指標等については速報値を含む。

１．総論

【総括判断】「都内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、

経済活動が抑制されるなか、足下で急速に下押しされて

おり、極めて厳しい状況にある」

項 目 前回（2年1月判断） 今回（2年4月判断） 前回 比較

総括判断 一部に弱い動きがみられるものの、回復している

新型コロナウイルス感染症の影響により、経済活動が抑制されるなか、足下で急速に下押しされており、極めて厳しい状況にある

（注）2年4月判断は、前回1月判断以降、4月に入ってからの足下の状況までを含めた期間で判断している。

（判断の要点）

個人消費や産業活動は、新型コロナウイルス感染症の影響により、弱含んでいる。雇用情勢は、改善

しており、人手不足感が続いている。

【各項目の判断】

項 目 前回（2年1月判断） 今回（2年4月判断） 前回 比較

個人消費 一部に弱い動きがみられるものの、回復しつつある

新型コロナウイルス感染症の影響により、弱含んでいる

産業活動 一部に弱い動きがみられるものの、回復しつつある

新型コロナウイルス感染症の影響により、弱含んでいる

製造業 持ち直しに向けたテンポが緩やかになっ

ている 横ばいの状況にある

非製造業 一部に弱い動きがみられるものの、回復

している

新型コロナウイルス感染症の影響により、

弱含んでいる

雇用情勢 改善しており、人手不足感が続いている 改善しており、人手不足感が続いている

設備投資 元年度は増加見込みになっている 元年度は増加見込みになっている

企業収益 元年度は減益見込みになっている 元年度は減益見込みになっている

企業の

景況感 現状判断は、「下降」超に転じる 現状判断は、「下降」超幅が拡大

住宅建設 前年を下回っている 前年を下回っている

【先行き】

先行きについては、感染症の影響による極めて厳しい状況が続く見込みであり、さらなる下振れリス

クにも十分注意する必要がある。

２．各論 個人消費 「新型コロナウイルス感染症の影響により、弱含んでいる」

コンビニエンスストア販売額は前年を上回っているものの、百貨店・スーパー販売額は前年を下回っ

ており、乗用車の新車登録届出台数は前年を下回っている。このほか、飲食サービス業や宿泊業におい

て、感染症の影響により厳しい状況となっている。このように、個人消費は、新型コロナウイルス感染症の影響により、弱含んでいる。

（主なヒアリング結果）

暖冬の影響により重衣料等が不振で1月まで若干の前年割れで推移していたが、2月以降は新型コロナウイルス感染症の

影響により大きく悪化している。（百貨店・大企業）

新型コロナウイルス感染症によるトイレットペーパー等の特需が発生。また、自宅の近くで買い物を済ます傾向にある

ことから来店客数は増加している。（スーパー・大企業）

2月以降の売上は新型コロナウイルス感染症の影響で日を追うごとに大きく落ち込む傾向が強まった。（ショッピングセ

ンター・大企業）

消費税率引き上げの影響が残っているほか、新型コロナウイルス感染症の影響によりマイナスが続いている。（自動車

販売・大企業）

新型コロナウイルス感染症の影響で、2月中旬以降、宿泊客が激減して前年を大きく下回っている。（宿泊・大企業）

産業活動 「新型コロナウイルス感染症の影響により、弱含んでいる」

製造業は、輸送機械や情報通信機械等で増産となっているものの、汎用・生産用・業務用機械や電気

機械等は減産しており、横ばいの状況にある。また、非製造業は、新型コロナウイルス感染症の影響に

より、宿泊や飲食などの生活娯楽関連サービス業などにおいて厳しい状況となっており、足下では情報

通信業などにも影響がみられ、弱含んでいる。このように、産業活動は、新型コロナウイルス感染症の影響により、弱含んでいる。

（主なヒアリング結果）

新型コロナウイルス感染症の影響で、海外での商談禁止により新規案件が取れていない等の影響が出ている。業績への

最終的な影響については現段階で不透明であり、今後の動向を注視しているところ。（汎用機械・大企業）

新型コロナウイルス感染症の影響で顧客への納品がストップしている状況であり、売上は伸びていない。前年度が過去

最高の状況であったため前年度と比較するとマイナスである。（電気機械・大企業）

一般消費者は人込みを避ける傾向にあり、駅前や街中の店舗は厳しい状況が続いている。（飲食サービス・大企業）

4月に入り、発注先の休業等により売上は大きく減少している。（情報通信・中小企業）

新型コロナウイルス感染症の影響で、海外への輸出やインバウンド需要の減少、世界各国の生産拠点が操業停止となっ

ていることから、製品の流通が滞っている。（運輸・大企業）

新型コロナウイルス感染症の影響により、国内旅行・海外旅行ともに販売が不振であり、特に3月以降は大きく落ち込ん

でいる。（旅行代理店・大企業）

雇用情勢 「改善しており、人手不足感が続いている」

有効求人倍率は高水準で推移しているほか、完全失業率が低水準であるなど、改善しており、全体としては人手不足感が続いている。

（主なヒアリング結果）

引き続き不足感が強く、特に都心部の店舗は、ほぼ通年で求人募集している。（小売・大企業）

IT部門など特定の分野の人材は引き続き不足感がある。（印刷・大企業）

設備投資 「元年度は増加見込みになっている」（全規模・全産業）「法人企業景気予測調査」2年1-3月期 ○ 元年度の設備投資計画は、製造業では前年比12.2％と増加見込み、非製造業では同10.0％と増加見込みになっており、全産業では同10.7％と増加見込みになっている。

企業収益 「元年度は減益見込みになっている」（全規模・全産業）「法人企業景気予測調査」2年1-3月期 ○ 元年度の経常利益（除く「電気・ガス・水道業」、「金融業、保険業」）は、製造業では前年比1.2％と増益見込み、非製造業では同▲5.4％と減益見込みになっており、全産業では同▲3.4％と減益見込みになっている。

○ これを規模別にみると、大企業、中小企業は減益見込み、中堅企業は増益見込みになっている。

企業の景況感 「現状判断は、「下降」超幅が拡大」（全規模・全産業）「法人企業景気予測調査」2年1-3月期 ○ 企業の景況判断ＢＳＩは、「下降」超幅が拡大している。先行きについては、7～9月期に「上昇」超に転じる見通しとなっている。

住宅建設 「前年を下回っている」

○ 新設住宅着工戸数の足下の動きを均してみると、貸家は前年を上回っているものの、持家及び分譲住宅は前年を下回っており、全体としては前年を下回っている。

東京都の経済情勢報告

資 料 編

※掲載した経済指標等については速報値を含む。

１．個人消費※Pは、速報値

【グラフ１】 【グラフ２】

【経済産業省】 【日本ショッピングセンター協会】

【グラフ３】 【グラフ４】

 

【経済産業省】 【日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会】

【グラフ５】 【グラフ６】

 

※農林漁家世帯を含む。 【総務省】 ※生鮮食品を除く総合 【総務省】

1

          

▲ 2.3

5.5

0

10

20

30

40

50

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

元年9月 10月 11月 12月 2年1月 2月

（万円）家計消費支出（東京都区部・二人以上の世帯）

消費支出額【右軸】

前年比【左軸】

（％）

▲ 3.1▲ 4.0

▲ 0.9

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

▲ 25

▲ 20

▲ 15

▲ 10

▲ 5

0

5

10

15

20

4-6月

31年

7-9月

元年

10-12月 1-3月

2年

10月

元年

11月 12月 1月

2年

2月 3月

(千台)乗用車新車登録届出台数（東京）

普通車【右軸】 小型車【右軸】

軽乗用車【右軸】 前年比【左軸】

（％）

▲ 3.5 ▲ 2.2

▲ 5.1

▲ 15

▲ 10

▲ 5

0

5

10

元年9月 10月 11月 12月 2年1月 2月

(％） ショッピングセンター販売額（東京区部）

前年比(既存店)

▲ 1.6 ▲ 3.4

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

元年9月 10月 11月 12月 2年1月 2月

百貨店・スーパー販売額（東京）

百貨店・スーパー前年比（全店）

百貨店 前年比（全店）

スーパー前年比（全店）

（％）

.

0.8 0.6

0.7 0.5

0.4

▲ 1.5

▲ 1.0

▲ 0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

元年10月 11月 12月 2年1月 2月 3月

消費者物価指数（前年同月比増減率）

消費者物価指数(全国)

消費者物価指数(東京都区部)

（平成27年=100）（%）

（P）

2.0

4.4

▲ 10

▲ 5

0

5

10

元年9月 10月 11月 12月 2年1月 2月

（%）コンビニエンスストア販売額（関東）

前年比（全店）

２．産業活動※Ｐは速報値

【グラフ７】

【東京都】

【グラフ８】

【東京都】

2

（生産）90.6

（在庫）99.4

（出荷）93.1

80

90

100

110

120

2月31年

3月 4月 5月元年

6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月2年

東京都工業指数（季節調整値）

生産指数 在庫指数 出荷指数

（P）

総合 90.6

輸送 103.7

汎用 71.5

電気 90.1

化学 75.0

印刷 80.7

情報 135.0

食料品 120.8

70

80

90

100

110

120

130

140

150

2月

31年

3月 4月 5月

元年

6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月

2年

（指数）平成27年＝100工業生産指数（業種別・季節調整値）

総合 輸送機械 汎用・生産用・業務用機械

電気機械 化学 印刷

情報通信機械 食料品

（P）

（指数）平成27年=100

【グラフ９】

【経済産業省、東京都】

【グラフ10】

【東京都】

3

107.3

101.9101.4

100

101

102

103

104

105

106

107

108

109

110

2月31年

3月 4月 5月元年

6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月2年

2月

第３次産業活動指数（季節調整値）

東京都（除く金融・保険業）

全国

（指数）東京都：平成22年=100

全 国：平成27年=100

107.3

86.6

118.3116.2

109.3109.6

94.4

135.9

112.0

80

90

100

110

120

130

140

150

2月31年

3月 4月 5月元年

6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月2年

東京都第３次産業活動指数（業種別・季節調整値）

総合（除く金融・保険） 卸売業 情報通信業

事業者向け関連サービス 生活娯楽関連サービス 不動産業

小売業 医療，福祉 運輸業，郵便業

（指数）平成22年=100

３．雇用情勢【グラフ11】

※季節調整値、パートを含む 【厚生労働省】

【グラフ12】

※原数値 【総務省】

４．設備投資【グラフ13】

※除く土地購入額、含むソフトウェア投資額 【法人企業景気予測調査】

4

2.5

2.4 2.4 2.4 2.3

2.2

2.4 2.3 2.3

2.4

2.2

2.4

2.0

2.5

3.0

30年7-9月 30年10-12月 31年1-3月 31年4-6月 元年7-9月 元年10-12月

（％） 完全失業率の推移

全国 東京

13.715.9

12.7 10.7 12.210.0

▲ 10

0

10

20

30

全規模・全産業 製造業 非製造業 全規模・全産業 製造業 非製造業

前年比増減率（％） 東京都内所在企業の設備投資計画（令和元年度）

〔令和2年1-3月期調査〕〔令和元年10-12月期調査〕

1.62 1.63 1.62 1.61 1.59 1.59 1.58 1.58 1.57 1.571.49 1.45

2.13 2.12 2.12 2.11 2.09 2.10 2.07 2.08 2.07 2.081.96 1.96

1.0

1.5

2.0

2.5

3月31年

4月 5月元年

6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月2年

2月

（倍） 有効求人倍率の推移

全国 東京

５．企業収益【グラフ14】

※除く「電気・ガス・水道業」、「金融業、保険業」 【法人企業景気予測調査】

６．景況感【グラフ15】

【法人企業景気予測調査　令和2年1～3月期】

5

30年10-12月 31年1-3月 31年4-6月 元年7-9月 元年10-12月2年1-3月

（現状判断）2年4-6月（見通し）

2年7-9月（見通し）

全規模 4.6 ▲ 0.1 ▲ 2.6 0.6 ▲ 6.3 ▲ 9.7 ▲ 3.9 2.7

大企業 5.1 0.0 ▲ 0.4 3.1 ▲ 3.4 ▲ 7.1 ▲ 1.9 5.3

中堅企業 6.6 2.3 ▲ 4.6 0.8 ▲ 8.3 ▲ 9.3 ▲ 4.4 2.2

中小企業 ▲ 0.5 ▲ 5.0 ▲ 6.9 ▲ 8.9 ▲ 13.2 ▲ 20.9 ▲ 10.4 ▲ 5.8

▲ 25

▲ 20

▲ 15

▲ 10

▲ 5

0

5

10（％ﾎﾟｲﾝﾄ）

東京都内所在企業の景況判断ＢＳＩ

全規模

大企業

中堅企業

中小企業

上

昇

超

下

降

超

【前期比「上昇」－「下降」社数構成比】

▲ 4.2 ▲ 4.4

0.7

▲ 8.5

2.3

▲ 7.0▲ 3.4 ▲ 3.7

3.3

▲ 1.4

1.2

▲ 5.4

▲ 20

▲ 10

0

10

20

全規模

全産業

大企業 中堅企業 中小企業 製造業 非製造業 全規模

全産業

大企業 中堅企業 中小企業 製造業 非製造業

前年比増減率（％）東京都内所在企業の経常利益（令和元年度）

｛ 全 規 模 ｝｛ 全 産 業 ｝

〔令和元年10-12月期調査〕 〔令和2年1-3月期調査〕

｛ 全 産 業 ｝ ｛ 全 規 模 ｝

７．住宅建設【グラフ16】

【国土交通省】　

８．公共事業【グラフ17】

【北海道建設業信用保証株式会社、東日本建設業保証株式会社、西日本建設業保証株式会社】

6

5.4

▲ 5.1

14.46.0

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

▲ 75

▲ 50

▲ 25

0

25

50

75

4-6月

31年

7-9月

元年

10-12月

元年

1-3月

2年

4月

31年

5月

元年

6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月

2年

2月 3月

（億円）公共工事前払金保証請負金額（東京）

地方の機関【右軸】 国の機関【右軸】

前年比【左軸】

（％）

▲ 2.3

1.4

▲ 6.0

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

▲ 75

▲ 50

▲ 25

0

25

50

4-6月

31年

7-9月

元年

10-12月

元年

1-2月

2年

3月

31年

4月 5月

元年

6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月

2年

2月

新設住宅着工戸数（東京）

持家【右軸】 貸家・給与【右軸】

分譲住宅【右軸】 前年比【左軸】

（％） （戸）

９．企業倒産

【グラフ18】

【東京商工リサーチ】

【グラフ19】

【東京商工リサーチ】

7

▲ 0.9

7.615.0

0

50

100

150

200

▲ 100

▲ 50

0

50

100

31年4月 元年5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2年1月 2月 3月

（件）東京都内における倒産件数の推移

件数【右軸】 前年比【左軸】

（％）

▲ 88.9

73.8

106.6

0

250

500

750

▲ 100

0

100

200

31年4月 元年5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2年1月 2月 3月

（億円）東京都内における負債総額の推移

負債総額【右軸】 前年比【左軸】

（％）