京都大学大学院理学研究科化学専攻集中講義 集積型...
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京都大学大学院理学研究科化学専攻 集中講義
集積型金属錯体の物性化学
1) 遷移金属イオンの電子状態と配位子場理論による解析
2) 配位化合物における様々な光学遷移とその解析
3) 遷移金属錯体の磁性とその解析
4) 混合原子価状態とそれに起因する物性現象
5) 光・スピン・電荷の相乗効果による多重機能性とその解析
配位子による静電場により,d軌道のエネルギーに差ができる(縮重が解ける)
M
L
LL
L
L
Ldz2
dx2-y2
dyz dxy dxz
遷移元素における5種類のd軌道
z z
x y+
z2 - x2 y2 - z2
M:金属イオン
L:配位子
dxy = (15/16π)1/2 sin2θ sin2 φ = (15/4π)1/2(xy/r2)
dyz = (15/16π)1/2 sin2θ sin φ = (15/4π)1/2(yz/r2)
dzx = (15/16π)1/2 sin2θ cos φ = (15/4π)1/2(zx/r2)
dx2-y2 = (15/16π)1/2 sin2θ cos2 φ = (15/16π)1/2{(x2 − y2)/r2}
dz2 = (5/16π)1/2(3cos2θ −1) = (5/16π)1/2{(3z2 − r2)/r2}
電子軌道:波動関数の軌跡と電子雲の形
d軌道の角度部分の関数は下記の式で表される。
dz2軌道 dx2-y2軌道
zz
yy
x x
物質の色の起源(4) :d-d遷移によるアクア錯イオン[M(H2O)6]n+の可視吸収スペクトル
dxy, dyz, dzx
dx2-y2, dz2
hν
B. Figgis, Introduction to Ligand Fields, Wiley-Interscience (1996).
遷移金属化合物の着色
(d軌道間の遷移)
H2O
アクア錯イオン[M(H2O)6]n+
Mn+
d1 Z = 1 d2 Z = 2 d3 Z = 2 d4 Z = 1
(HS)
d5 Z = 0
(HS)
E×T2 = T1 +T2 E×T1 = T1 +T2 A2×T1 = T2
d6 Z = 1
(HS)
d6 Z = 2
(LS)
d7 Z = 2
(HS)
d8 Z = 2 d9 Z = 1
E×A2 = E E×T2 = T1 +T2 E×T1 = T1 +T2 E×T2 = T1 +T2 A1×T2 = T2
hν
E
T2
hν
E
T1
hν
×
hν
E
A2
hν
E
T2
hν
E
T1
hν
E
T2
hν
A1
T2
hν
eg
t2g
hν
A2
T1
d2電子系の田辺・菅野準位図
d2電子系の多重項
d2電子系の田辺・菅野準位図
ψm
ψ’m
ψn
ψk
-P ・E
Parity
odd
even
even
even
3d24p1
Cr3+
4A2 (t23)
4T2 (t22e)
2E (t23)
λLS
Vodd
ルビーの吸収スペクトルと3d3電子配置の田辺・菅野準位図
11
光の波長変換(赤外光から可視光への変換):アップコンバージョン
12
Er3+イオンのアップコンバージョン
13
Er3+添加光ファイバー: Er3+の誘導放射を用いた光の増幅
14
エネルギー伝達
クーロン相互作用によるエネルギー伝達
15
エネルギー伝達過程
16
励起子伝達の機構
励起子とスピン波の同時励起
励起子とスピン波の同時励起
酸素分子間反強磁性相互作用による液体酸素の青色
O2の分子軌道
液体酸素は、沸点が90Kの淡青色の液
体である。磁石に近づけると、液体酸素は磁石に吸い寄せられる。
小川桂一郎、小島憲道編、新版 『物性化学の基礎』、講談社 (2010)
液体酸素の青色の起源:分子間に働く反強磁性相互作用と2電子励起
強磁場で液体酸素は無色になる
Inaba, Date, J. Phys. Soc. Jpn. (1987)