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血液型ステレオタイプの変容 13 血液型ステレオタイプの変容 男女大学生を対象とした上瀬・松井α996)の追試 Changing stereotypes re璽ated to blood君roups undergraduates as a followup to the previous study by Yuko AMAYA キーワード:i血液型,ステレオタイプ,講義 Key words:blood-group, stereotype, lecture 要約 本研究では、上瀬・松井(1996)による女子大学生を対象とした血液型ステレオタイプが講義に より変容する過程を示した手続きに沿って、男女大学生を対象に同様の手続きを行い.変容の過 程に関して、男女を含めた検討と上瀬・松井(1996)の結果との比較検討を行った。私立男女大 学生227名(男性97名.女性130名)を対象として、.血液型ステレオタイプに対する態度尺度 を実施後、血液型ステレオタイプに関する講義を行った。その後血液型ステレオタイプに対する 態度尺度の一部と血液型ステレオタイプに対する講義後態度尺度を実施した。その結果、講義前 の時点では「自己理解」、「信念強度」、「行動調整」において男性より女性の方がより高かった。ま た講義前から講義後にかけての「信念強度」得点は、上瀬・松井(1996)の女子のみの結果と同様、 男女ともに有意に低下していることが示された。さらに講義後において、講義で伝達した反ステ レオタイプ情報をサブタイプとして処理する「サブタイプ形成」がより見られた者は、そうでない 者に比べ、講義前の段階で血液型ステレオタイプに対する態度の得点が総じて高かった。そして サブタイプ形成群は非形成群に比べて、講義後の「信念強度」得点の下がり方が小さかった。上瀬・ 松井(1996)の結果と同様に、サブタイプ形成はステレオタイプ維持機能として働いていること が支持された。 Abstract This study, a followup to the work of Uese and Matsui( procedure but added men as participants.、 Its aims were(a results of men and women challenged to change their stere (b)to compare these results with those of Uese and Matsui(1 undergraduates participated. Participants first responded group stereotypes. Then they attended a lecture by the aut

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Page 1: 血液型ステレオタイプの変容repository.tokaigakuen-u.ac.jp/dspace/bitstream/11334/267/1/kiyo_h… · blood君roup stereotype were higher than the men’s scores.、(2)After

血液型ステレオタイプの変容 13

血液型ステレオタイプの変容

男女大学生を対象とした上瀬・松井α996)の追試

  Changing stereotypes re璽ated to blood君roups童n men and women

undergraduates as a followup to the previous study by Uese and Matsui(1996)

                                  天 谷 祐 子

                                    Yuko AMAYA

キーワード:i血液型,ステレオタイプ,講義

Key words:blood-group, stereotype, lecture

要約

本研究では、上瀬・松井(1996)による女子大学生を対象とした血液型ステレオタイプが講義に

より変容する過程を示した手続きに沿って、男女大学生を対象に同様の手続きを行い.変容の過

程に関して、男女を含めた検討と上瀬・松井(1996)の結果との比較検討を行った。私立男女大

学生227名(男性97名.女性130名)を対象として、.血液型ステレオタイプに対する態度尺度

を実施後、血液型ステレオタイプに関する講義を行った。その後血液型ステレオタイプに対する

態度尺度の一部と血液型ステレオタイプに対する講義後態度尺度を実施した。その結果、講義前

の時点では「自己理解」、「信念強度」、「行動調整」において男性より女性の方がより高かった。ま

た講義前から講義後にかけての「信念強度」得点は、上瀬・松井(1996)の女子のみの結果と同様、

男女ともに有意に低下していることが示された。さらに講義後において、講義で伝達した反ステ

レオタイプ情報をサブタイプとして処理する「サブタイプ形成」がより見られた者は、そうでない

者に比べ、講義前の段階で血液型ステレオタイプに対する態度の得点が総じて高かった。そして

サブタイプ形成群は非形成群に比べて、講義後の「信念強度」得点の下がり方が小さかった。上瀬・

松井(1996)の結果と同様に、サブタイプ形成はステレオタイプ維持機能として働いていること

が支持された。

Abstract

 This study, a followup to the work of Uese and Matsui(1996>, used the same

procedure but added men as participants.、 Its aims were(a)to examine the combined

results of men and women challenged to change their stereotypes of blood君roups, and

(b)to compare these results with those of Uese and Matsui(1996).227 male and female

undergraduates participated. Participants first responded to questionnaires about bloo4

group stereotypes. Then they attended a lecture by the author discrediting blood君roup

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stereotypes。 Finally, the participants again responded to the part of the original

questionnaire dealing with‘‘strength of belief”and to the scale on attitudes toward

blood君roup stereotypes. The results were as follows:(1)Before the lecture, the women’s

scores on ‘‘sel:㌫understanding,” ‘‘strength of belief,” and ‘‘regulation o:f behavioプ’ by

blood君roup stereotype were higher than the men’s scores.、(2)After the lecture, both

meガs and womeガs scores on‘≦strength of belief’were significantly lower than before

the lecture, an outcome similar to that found by Uese and Matsui(1996).(3)After the

lecture, the group that accepted the information discrediting the stereotype consisted of

students who originally got higher scores on blood君roup stereotypes than the group

not accepting the information。 As to the decline of the score related to‘‘strength of

beliefラ’from before to after the lecture, the group that accepted the information was

significantly smaller than the group that did not。

                    問題と田野

 心理学において、血液型と性格の関連については否定されている。しかし、日本においては血

液型と性格については日常的な会話の中に取り入れられたり、テレビや雑誌のテーマとして取り

上げられたりすることが非常に多い。佐藤(1997)は「現代の日本では、血液型によって人の性格

や相性を考えることがごくあたりまえに行われて」いることを指摘している。

 このような現代の日本の(特に学生・生徒の間における)血液型と性格に対する考え方を受け

て、心理学では、性格心理学における両者の関連の否定(例えば、詫摩・松井,1985)、「なぜ一

般の人に受容されるのか」といった社会心理学的観点からの研究.特にステレオタイプに関する

研究(例えば上瀬・松井,1996)が展開されている。また、認知の歪み(例えば森・徳井・山田・

坂元,1998;橿淵・齋田・坂元,1999)、歴史的展,開(例えば佐藤・渡邊,1995)といった領域か

らの研究も行われている。

 その中で、本研究では.2008年現在の大学生が血液型と性格の関連についてどのように捉え

ているか、また心理学において両者の関連が否定されているという情報を大学生に講義において

与えることで.どのような態度変容が見られるか、もしくは見られないかといった教育的な視点

から実証的に検討する。そのために、上瀬・松井(1996)による血液型ステレオタイプの講義によ

る態度変容の知見に沿って同様の手続きを踏み、そのプロセスを実証的に検討する。また上瀬・

松井(1996)による研究は女子大学生のみが調査対象者となっているが、男子大学生も含めて一般

的な現代の大学生の捉え方を調べることも目的とする。

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血液型ステレオタイプの変容 15

                    方 法

調査対象春

 大学生227名(男性97名.女性130名)であった。

質問紙

(a)血液型ステレオタイプに対する態度尺度:上瀬・松井(1996)が作成した5因子19項目の

 うち、因子2「感情」の4項目を省く4因子「自己理解」4項目、「娯楽・関係促進」4項目、「信

 念強度」3項目.「行動調整」4項目、計15項目を使用した。「あてはまる」(5点)、「ややあて

 はまる」(4点)、「どちらともいえない」(3点)、「ややあてはまらない」(2点)、「あてはまら

 ない」(1点)の5件法で尋ねた。

(b)血液型ステレオタイプに対する講義i後態度構造尺度:上瀬・松井(1996)が作成した5因子

 20項目のうち、上瀬・松井(1996)の研究による肯定率が3%以下であった2項目、2因子に

 またがって寄与している項目3項目、その他1項目の計6項目を省く5因子「不可知性」4項目、

 「サブタイプ」4項目、「経験的根拠」2項目、「遊び」2項目、「意味づけ」2項目の計14項目

 を使用した。「そう思う」(5点)、「ややそう思う」(4点)、「どちらともいえない」(3点)、

 「あまりそう思わない」(2点)、「そう思わない」(1点)の5件法で尋ねた。

質問紙構成

1.第1時点(講義前)の質問紙

  前述(a)血液型ステレオタイプに対する態度尺度に回答を求めた。

2。第2時点(講義後)の質問紙

  前述(b)血液型ステレオタイプに対する講義後態度構造尺度と(a)血液型ステレオタイ

 プに対する態度尺度のうち「信念強度」因子3項目に回答を求めた。

手続き

 大学講義室において.講義前に回答者が一斉に質問紙(第1時点)に回答した後、血液型ステ

レオタイプを否定する内容の講義を受けた。講義後、回答者は質問紙(第2時点)に回答した。

講義は調査者(著者)自身が行った。

 講義内容については、上瀬・松井(1996)では以下の5点が見られた。(1)血液型研究の歴史、

(2)詫摩・松井(1985)の研究紹介(ステレオタイプの中身の曖昧性)、(3)サンプリング調査によ

るステレオタイプの否定(松井,1991)、(4)大村(1984)による研究紹介(フリーサイズ効果、ラ

ベリング効果).(5)血液型ステレオタイプの問題点であった。本研究における講義では、そのう

ち2点(上瀬・松井(1996)における(3)、(4))について部分的に取りあげて講義が行われた。つ

まり(1)松井(1991)による研究結果に基づく尺度の実施(上瀬・松井,1996における(3))、(2)

大村(1990)によるラベリング効果(上瀬・松井,1996における(4))の2点に加えて、(3)誰に

でもあてはまりやすい傾向が性格特徴として取り上げられていること(渋谷・小野寺,2006に

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よる)、(4)佐藤(1997)による確率的観点からの議論を.本研究における講義内容として実施した。

                    結 栗

咽。講義前(第唖蒔点)における結果

1-1.撫液型ステレオタイプに対する肯定率

(a)本研究における全体の肯定率と性劉による肯定率

 血液型ステレオタイプに対する態度尺度における各項目の肯定率を算出した(Table1参照)。

肯定率とは、各項目において5段階中「4」と「5」に回答した人の全体に占める割合を示して

いる。肯定率が半数を越えている項目は、「血液型性格判断は楽しい」(65.2%).「血液型によっ

て性格は異なる」(57.3%)の2項目であった。

 また性による肯定率の相違を検討するために.性別の肯定率も算出した(Table l参照)。そ

の結果、総じて女子の肯定率が男子よりも高い傾向が見られ、男子の肯定率が女子と同等もしく

は女子より高い項目は少数にとどまった。 なお本研究では性別の調査対象者の人数を確保する

ため、欠損値の見られる調査対象者についても分析対象とした。したがって、分析によって対象

人数が異なっている(以後の分析も同様)。

(b)本研究の結果と上瀬・松井(1996)による結果の比較

 本研究における肯定率と上瀬・松井(1996)による肯定率の比較を行うために、肯定率(%)を

度数に置き換えて、各項目について、両研究における調査対象者の肯定した人の人数と否定した

人の人数に関するカイニ乗検定を行った。まず、本研究における女子の肯定/否定の人数と、女

子大学生のみを対象とした上瀬・松井(1996)による結果についてカイ二乗検定を行った。その結

果(Table 1参照)、15項門中8項目について有意差が見られた。本研究における肯定者が上瀬・

松井(1996)の肯定者よりも多かったのは「自分を知るのに役立つ」.「知らない自分が分かる」.

「自己について新しい発見をする」といった「自己理解」因子4項目のうちの3項目、「塩液型に

よって行動を変える」、「他者行動の理解に役立つ」といった「行動調整」因子4項目のうちの2

項目であった。一方、本研究における肯定者が上瀬・松井(1996)の肯定者よりも少なかったのは

「初対面時に役立つ」、「血液型性格判断は信用できる」、「血液型性格判断は当たっている」の3

項目であった。

 次に、本研究における男女込みの肯定/否定の人数と、上瀬・松井(1996)による結果について

カイニ乗検定を行った。その結果(Table l参照)、15項目中7項目について有意差が見られた。

女子同十の比較の際に有意差の見られた項目と共通しているのは.そのうち5項目であった。

「血液型性格判断が好き」、「塩干型によって性格は異なる」の2項目については、本研究の肯定

者が上瀬・松井(1996)よりも有意に少なかった。

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17血液型ステレオタイプの変容

                                                          。翼」藩腿母「心疑刈〈獣盗粁」

鴬如聾二拶も慧樋.揮顧灘%埋幽艶築湘個緯e(鱒⑰駿)心海樽O褻.〉輪慧樋.櫃箒脇騒埋雌器鞘当個虹囚e獣臨粁。綻」お鰹P二〇西湘艘熱唱e獣盗騨脚義烈轟二輪慧樋.揮ψ脇

%埋雌罧.」擬趨り」鱒榔叢蝶民鶯隔心褻藤欄轄e(霧雲)患疑愚挙獣臨粁.姻癒くe電鷹島申鱒驚く翼」黒鰻継「噂」欝」覇ゆe名編瞬。リニOU皿世盛.鶯毅鰹蛇目や澱 .、魏想

        。ゆ麺螺当盤獅豪邸粥・膠漆e浄図翼器質嘩憩義義禦真魚皇図ゆむ鵜慧獣臨終。レ○想。ゆ総P鹸竪e怖図e(霧ζ沁騨)駄面・暴 刈.鴬紋で稠e皿轡eJ 。轡艇

8.紹  樹坤肺鰹畷

翻⑳.   お.   鵜卜.

お.

癒懸嬬

鱒卜噂興i噂鱗◎卜i噂勲臣卜i①畷灘翻⑩卜卜卜噂i卜卜⑪噂i綴織翻⑳鱒欝噂卜◎の◎卜i⑪陰◎噂鴎i翻騨鱒i噂⑪陰⑳卜騨。◎◎i◎o鱒⑳i◎o騨i騨騨噂騨

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翻㊤鱒醗i魏噂の◎卜i噂⑳翻i醗◎◎卜舗。◎◎i麟鱒騨騨i鱒鶴瞬i◎騨騨◎ !1

心疑刈八駕臨粁巽

心疑刈八駕臨妬

心疑網く獣臨終

心的網〉獣姦笹巽韓心疑網〉獣臨翻

心疑刈〉台臨粁巽聾心疑刈〉駕臨妬

心疑網〉獣臨終巽

の疑縄〉潔臨終巽憩の疑縄〉潔臨終

心疑刈〉駕臨粁巽

心疑刈八駕臨粁

 心疑網く獣話劇

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 心疑網く獣臨終

  ⑪陰.斜

巽騨.癖撃鶏

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⑩噂卜⑳i射⑳鴎⑳隠隠翻i N射欝◎鋸験鱒噂穏灘i繍鋤◎ゆ翻i卜卜騨i鵜畷灘鱒◎◎舗翻魏綱i㊤噂鵜綱i瞬騨鵜i騨 翻騨

◎瞬噂◎i⑪瞬噂◎i⑪瞬⑳i⑳⑳噂⑳鱒翻鋸験鱒櫛騨◎鱒i騨卜舗鴻噂噂鋸験魏騨騨翻i鱒⑪噂翻i卜魏瞬i  騨製

    ゆ閥欝細製畢私柵P補肥儲

    O似鰹慧盤騨e繍に野崎

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曝撫轟魚捧図却曝露海上蝋闘や備品蕪欝欝駐e蟹叱蟹額ゆ価被網トヤ“鞍櫃臨K副翻燦儲 罵羅環ト

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18 東海学園大学研究紀要 第14号

1-2.血液型ステレオタイプに対する態度飛白の因子鈴析結果

(a)本研究における血液型ステレオタイプに対する態度尺度の因子構造と最下位尺度得点

 血液型ステレオタイプに対する態度尺度について.因子分析(主因子法、プロマックス回転)

を行った。この尺度は上瀬・松井(1996)によると因子数が4であったので、本研究においても因

子数を4とした。固有値の減衰状況は、第1固有値から7.29、L48.1.06、0。99.0.65であった。

因子構i造としては、上瀬・松井(1996)による因子構造の第2因子が、本研究では第1因子と第4

因子に2項目ずつ分かれたものとなった以外は、概ね上瀬・松井(1996)によるものと同じものと

なった(Table l参照)。信頼性係数はαr73~。87であった。従って、上瀬・松井(1996)の因子

構造と同様の項目の得点を合計し、各下位尺度得点とした。

 各下位尺度得点について、性差が見られるかどうかを6検定を行い検討した。その結果(Table

2参照)、「自己理解」、「信念強度」、「行動調整」下位尺度について有意差が見られた(順に渉

(221)=一333,。ρ<。001,6(220)=一2.56,.ρ<。05,択225)=一2。04,。ρ<。05)。いずれも女性の

方が男性よりも有意に得点が高い結果となった。

       T醐d 講義前(第蝉寺点)における血液型ステレオタイプに対する           態度各下位尺度得点の男女差(f検定結果)

男性 女性 オ値有意水準

平均値  510 平均値  5:0

自己理解      ⑭。94 島島

娯楽・関係促進  繊島隠 13桝1

信念強度      a聡  13餌)

行動調整      8。⑪4 《3勲8》

筆領。7呂 13。⑭6) 一3。33糊

1黛。別  13。鋤  一1麗

舗⑪ ⑫。鋤  一黛。騒研

9。⑪融   《3。乏}7》   一二~。⑪4審

置く女

男く女

男く女

島.桝=ρぐ⑪⑪1,*1μ<。⑪5

(b)本研究の結果と上瀬・松井(1996)による結果の比較

 本研究における各下位尺度得点と上瀬・松井(1996)による下位尺度得点の比較を行うために、

両者間に有意差が見られるかどうかをt検定を行い検討した。その結果(Table 3参照)、「自己

      T繍bb 3 血液型ステレオタイプに対する態鹿尺度各下位尺度得点について          本研究と上瀬ら(億黛⑳間のオ検定結果

上瀬ら1柵⑳ 本研究

平均値  5:0  /V  平均値  510  〃 飴値有意水準

信念強度

自己理解

娯楽・関係促進

行動調整

α8  1慧。働  懸5

α7  (口腔) 嚢5

13。8    (3。嚇曝)  ⑭5

7。4  (3。43) 勲5

⑭。⑪β 1盤勲5) 難慧

11。⑪⑪ 14。1呂) 盟3

鶯憩  (3。71) 盟4

a64 13。鋤  難7

㊨。翻綿  本研究〉上瀬ら

9。⑪7綜  本研究〉上瀬ら

盤67継  本研究く上瀬ら

盤。7⑪綿  本研究〉上瀬ら

信念強度(講義後) 4。⑪  1黛。鋤  懸騒 &⑪3 13。鋤  罰㊨  1α盤聯  本研究〉上瀬ら

注.糎μ<。創

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血液型ステレオタイプの変容 19

理解」.「信念強度」、「行動調整」.「娯楽・関係促進」下位尺度得点すべてにおいて有意差が見られ

た(順に6(316)=9.07,択315)=6。52,6(320)=2。70,6(317)=2.67,全てρ<。Ol)。また講義後

(第2時点)における「信念強度」下位尺度得点についても有意差が見られた(6(309)=10.、68,ρ

<.01)。そのうち、「娯楽・関係促進」下位尺度得点については、本研究における得点よりも上瀬・

松井(1996)における得点の方が有意に高かったが、それ以外の下位尺度得点は全て本研究におけ

る下位尺度得点の方が上瀬・松井(1996)における下位尺度得点よりも有意に高い結果となった。

2。講義後(第2蒔点)における結果

2-1.面骨型ステレオタイプに対する講義後態度の肯定率

(a)本研究における全体の肯定率と性劉による肯定率

 血液型ステレオタイプに対する講義後態度尺度における各項目の肯定率を算出した(Table 4

参照)。ここでの肯定率とは、各項目において5段階下「4」と「5」に回答した人の全体に占

める罰合を示している。肯定率が半数を越えている項目は、「血液型と性格が関連ないと頭では

分かっていても、なんとなく関連ありそうな気がする」(5Ll%)、「塩液型性格判断は面白けれ

ばそれでよい」(65.6%)の2項目であった。

 また性による肯定率の相違を検討するために、性劉の肯定率も算出した(Table 4参照)。そ

の結果、総じて女子の肯定率が男子よりも高いかもしくは同等の傾向が見られ、男子の肯定率が

女子より高い項目は「血液型性格判断は遊びなのだから、心理学者がとやかく言うことではない」

等の少数の項目にとどまった。

(b)本研究の結果と上瀬・松井(1996)による結果の比較

 本研究における肯定率と上瀬・松井(1996)による肯定率の比較を行うために、肯定率(%)を

度数に置き換えて、各項目について、両研究における調査対象者の肯定した人の人数と否定した

人の人数に関するカイ二乗検定を行った。まず、本研究における女子の肯定/否定の人数と、女

子大学生のみを対象とした上瀬・松井(1996)による結果についてカイニ乗検定を行った。その結

果(Table 4参照)、14項目中9項目について有意差が見られた。本研究における肯定者が上瀬・

松井(1996)の肯定者よりも多かったのは「血液型性格剖断は科学で証明できない部分に真実があ

る」、「血液型と性格の関連については、もう少し自分で考えてから納得したい」、「これだけ血液

型性格判断が普及しているのだからどこかに真実がある」の3項目であった。一方.本研究にお

ける肯定者が上瀬・松井(1996)の肯定者よりも少なかったのは「塩液型性格判断は遊びなのだか

ら、心理学者がとやかく言うことではない」、「血液型性格判断は有害なものとわかった」、「血液

型性格判断を信じていたことがばからしく感じた」の3項目であった。

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                                                                   。翼」癬磁邸「89疑網

く獣臨粁」滋如馨二緬も慧樋、揮禰灘%埋雌職築㌍個紅e(霧駿)心疑↓O褻.Y無難髄.揮鞭灘%埋雌罧築㌍艘紅e獣盗粁。翼」認鰹P二〇慧湘個紅e獣臨騨細副詞紐義二輪一3嘲樋.揮禰

灘鰯蟹や禰粋騨燥.」鱒機母)駄」邸撚響講雛燃κ鵬無二〆嚢藤噸纏輪e(鱒⑰⑪騨)心騒鵯『幽幽謙譲即吟.蜜蝋灘ノ陶e球訪韓自邸蝋縄く翼」思舗晒癬「寸」「麟」覇心e蜘躍層鱗鴎。)ンゴい”㎞㎜緻騨ぬW.衝激黙鰍鱒可燃稲や飛 。魏概幅

           。ゆ拶蝋滋邸脇粥鱒粥・使嬰e捧図塁韓心々心鳥藤鰻洗魚序図ゆむ鴇鳳獣臨粁.Po澤。ゆ慮P憧嬰e浄図eお霧岬》執箪・疑↓.滋択で覇e皿轡e” .轡想

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第14号東海学園大学研究紀要

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20

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血液型ステレオタイプの変容 21

 次に、本研究における男女込みの肯定/否定の人数と、上瀬・松井(1996)による結果について

カイニ乗検定を行った。その結果(Table 4参照)、14項目中7項目について有意差が見られた。

女子同十の比較の際に有意味の見られた項目と共通しているのは.そのうち5項目であった。

「自分が塩液型性格判断について信じていたのは、講義で否定された部分とは違う」、「今後は血

液型性格判断を占いとして考える」の2項目については.本研究の肯定者が上瀬・松井(1996)よ

りも有意に少なかった。

2一一2.血液型ステレオタイプに対する講義後態度構造尺度の因子分析結果

 血液型ステレオタイプに対する講義後態度構造尺度について、因子分析(主因子法、プロマッ

クス回転)を行った。この尺度は上瀬・松井(1996)によると因子数が5であったので、本研究に

おいても因子数を5とした。固有値の減衰状況は.第1固有値から3.96、L66、136.1.、05、

LOO、。81であった。因子構i造としては、上瀬・松井(1996)による因子構造のうち5因子中3因

子(第2、第3、第5因子)については、本研究においても同様となったが.第1因子について

は本研究では第1因子と第3因子の2つの因子に分かれ、第4因子のうち1項目のみが第5因子

となった(Table 4参照)。本研究では上瀬・松井(1996)の尺度に含まれる項目のうち6項目を

省いたことも、このような因子構造になったことと関連していると考えられる。信頼性係数はα=

37~.70となった。2つの因子の信頼性係数が低いが、因子に含まれる項目数が2項目と少ない

こととも関連していると考えられるので、本研究では上瀬・松井(1996)の因子構造と同様の項目

の得点を合計し、各下位尺度得点とした。

 各下位尺度得点について、性差が見られるかどうかを診検定を行い検討した。その結果(Table

5参照).「不可知性」下位尺度得点と「経験的根拠」下位尺度得点において有意差が見られた(6

(212)=一236,.ρ<.05,厳222)=一2.00,ρ<。05)。いずれも女性の方が男性よりも有意に得点

が高い結果となった。

   T繍bb 5 血液型ステレオタイプに対する講義三態慶各下位二二得点の男女差(オ検定結果)

全体 男子 女子

平均値  5ρ 平均値  5:0 平均値  5:P

男女差のf検定

f値有意水準

不可知性

サプタイプ

経験的根拠

遊び

意味づけ

a⑪3

1⑪。鼎黛

器。9盤

α7嚇

4。3⑪

13231

1鱒⑪)

1窯。1呂》

(1。鋤

ll。鋤

1⑪勲鼎

1⑪。餌

5。5融

αβ7

4.輸

13。15)

13。11)

1盤。鋤

(四3)

(1。7黛)

11勲7

11。1黛

お.輪

a呂3

4。4⑪

1窯。鋤

1黛。731

1慧。13)

(1。37)

(1。5D

一黛。3嚇*

一1。櫓

一盤。⑪⑪零

一⑪69

一ω㊨

男く女

男く女

注.壌=ρ<。⑪5

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22 東海学園大学研究紀要 第14号

32蒔点におけるステレオタイプの変容

 本研究では、第1時点と第2時点において共通して、塩液型ステレオタイプに対する態度尺度

のうち「信念強度」下位尺度を尋ねている。そこで.時点に関して対応のあるt検定を行った。そ

の結果(Table6参照)、有意差が見られた¢(210)=7。48,.ρ<。001)。第1時点における得点の

方が第2時点における得点よりも有意に高い結果となった。

    軸bbの 信念強度下位尺慶得点に関する講義前・講義後の対応のあるf検定結果

平均値  5:0 オ値有意水準

講義前下位尺度得点  蝋⑪  に9励

講義後下位尺度得点  a⑪7  13忽)

7。4呂綿潔 講義前〉講義後

山.聯*1ρ<。⑪⑪噸

 またこの点について.性による違いが見られるかどうかを検討するために、性ごとに同様の分

析を行った。その結果(Table 7参照)、男女ともに第1時点における得点の方が、第2時点に

おける得点よりも有意に高い結果が見られた(男性は底87)=5.12,.ρ<。001、女性は6(122)=

5。48,ρ<。001)。

   T繍bl馨7 群鶴強度下位尺度得点に関する講義前・講義後の対応のあるオ検定(男女別)

男子 女子

平均値 5:ρ  二値有意水準 平均値 5ρ  オ値有意水準

講義前下位尺度得点  8馴 偉⑪515.腰辮講義前〉講義後  鼎。翻 1篇4) 5。48寒聯講義前〉講義後

講義後下位尺度得点  7。49 13.15)             a4鼎 13。働

注.桝=μ<。⑪⑪1

4,,サブタイプ形成の影響

 上瀬・松井(1996)では、塩液型ステレオタイプに対する講義後態度構造尺度の第2因子「サブ

タイプ」形成の有無による、態度変容についての影響の相違を検討している。そこで本研究にお

いても、サブタイプ形成の有無による態度変容の相違について検討する。上瀬・松井(1996)では

第2因子に負荷量の高い3項目の得点の高低によって2分割していたが、本研究ではそのうち2

項目(本研究において除外された1項目は、上瀬・松井(1996)において肯定率が2。9%と極端に

低かったため.質問項目から除外された)の得点を単純加算し、サブタイプ形成の強度を測定す

る尺度得点とした。全調査対象者を「サブタイプ形成群(N=106)」(尺度得点が6点以上)と、

「サブタイプ非形成群(N=109)」(尺度得点が5点以下)に2分罰し、群別に血液型ステレオタ

イプに対する態度尺度における各下位尺度得点について、対応のある2要因分散分析(時点(2)

×サブタイプ形成の有無(2))を行った。その結果(Table 8)、交互作用が有意であった(ア

(1,205)=634,ρ〈。05)。また時点、サブタイプ形成の有無両者の主効果も有意であった(順にア

(1,205)==56.66, メフ<.、001, ノ7(1,205)=32.25,メフ<.001)○

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血液型ステレオタイプの変容 23

T融bb霧 時点(信念強度下位尺度得点の講義前・講義後得点)×サブタイプ(サブタイプ形成の有無)の二要因分散分析結果

55 酵 儒サブタイプ

誤差

4呂O。3呂

3⑪533呂

 1  4呂⑪。3呂

盤⑪曝   14勲⑪

3盤。器激綿

時点

サブタイプ×時点

誤差

11慧。⑪1

1黛。騒4

4⑪5。31

 1  11盤。⑪1

 1   1黛。騒4

慧⑪5   1。%

器αおβ寒聯

a34*

全体 4⑪㊨3。囎 413

        注.*艦ρぐ⑪⑪1,窒脚く。⑪5

 そこで.各要因の単純主効果を検討した。サブタイプの要因(形成・非形成)における時点の

単純主効果の結果を見てみると、「サブタイプ非形成群」において時点の単純主効果が有意であっ

た(π(1,205)=50.21,.ρ<。001)。つまり、第1時点よりも第2時点の方が有意に得点が低かっ

た。一一方、「サブタイプ形成群」においても時点の単純主効果が有意であった(ア(1,205)=12.61,

.ρ<.001)。つまり第1時点よりも第2時点の方が有意に得点が低かった。以上から「サブタイ

プ非形成群」のπ値の方が大きく、「サブタイプ非形成群」の方が、時点における得点の下がり

方が大きい、言いかえれば「サブタイプ非形成群」の方が講義内容による態度変容が大きいこと

がうかがえる(Figure 1)。

 12

10

8

6

4

2

0

時点1 時点2

一■●■一サブタイプ非形成

■■■ ’サブタイプ形成

F{gur鰹1

時点(信念強度下位尺度得点の講義前・講義後得点)×サブタイプ(サブタイプ形成の有無)の

二要因分散分析結果

 また各時点におけるサブタイプ形成の有無の単純主効果の結果を見てみると.第1時点におけ

るサブタイプ形成の有無の間についての単純主効果が有意であった伊(1,205)=2121,.ρ<。001)。

つまり.「サブタイプ形成群」の方が「サブタイプ非形成群」よりも有意に得点が高かった。一

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24 東海学園大学研究紀要 第14号

方、第2時点におけるサブタイプ形成の有無の間についての単純主効果も有意であった(ア

(1,205)=36.36,。ρ<。001)。つまり、「サブタイプ形成群」の方が「サブタイプ非形成群」よりも

有意に得点が高かった。

 さらに、第2時点におけるサブタイプの形成の有無による、第1時点の血液型ステレオタイプ

に対する態度尺度の各下位尺度得点について6検定を行った。その結果(Table 9参照)、すべて

の下位尺度について有意差が見られた(「自己理解」は6(209)=4。48,。ρ<.001,「娯楽・関係

促進」は6(210)=一3.、463,.ρ<。001,「行動調整」は択213)=一3.73,.ρ〈.001)。いずれもサブ

タイプ形成群の方がサブタイプ非形成群よりも有意に得点が高かった。

      T融bb嚢サブタイプ形成の有無による講義前血液型ステレオタイプに対する           態度尺度各下位尺度得点の≠検定結果

サブタイプ非形成 サブタイプ形成

〃 平均値  5ゆ 〃 平均値  5ゆ オ値 有意水準

自己理解     1⑪4  鼎。71 《3勲①

娯楽・関係促進  鱒4 1矯㊨ (3。73)

行動調整     1⑪㊨  76⑪ に嚢⑪)

1⑪7 繊輸  14餌1 -4。4鐙聯 形成〉非形成

鱒呂 13。舗  (3。4⑪) 一3。4醗零審 形成〉奔形成

1⑪鼎  鼎。聡  色窯5) 一3。73辮 形成〉非形成

注.辮凋く。⑪釧

考 察

咽。講義前(第醤寺点)における結果

 本研究の結果、血液型性格判断について好意的な捉え方をしている男女大学生が半数を越えて

いることが示された。また全般的に男性よりも女性の方が血液型性格判断について.自己理解や

行動調整、血液型性格判断を信用している傾向がより強いことが示された。

 また、上瀬・松井(1996)による結果と比較してみると、「自己理解」や「行動調整」、「信念強

度」尺度得点については上瀬ら(1996)よりも得点が高かった。一・方、「娯楽・関係促進」につい

ては本研究における得点の方が上瀬ら(1996)よりも低かった。本研究における(男女込みの)傾

向として、血液型性格判断を「楽しみ」や「個人的な興味の範囲内」、「コミュニケーションを円

滑にする道具」として利用するよりも、自己理解や他者理解のための道具として利用する傾向が

上瀬ら(1996)における調査対象者よりも多いことがうかがえる。またその傾向は、本研究の結果

により、男性よりも女性の方がより強いことも示された。男性にとっての血液型性格剖断は.そ

れを信頼するか否か、自己理解に役に立つかどうかという観点は女性よりも「冷めて」おり、娯

楽として見ている傾向があると考えられる。

 そしてこのような傾向は、上瀬ら(1996)の調査が行われた時代よりも、2008年現在のこの時

代の方が血液型性格剖断に関する情報がテレビ・雑誌・書籍等でより多く見られ、一般の大学生

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血液型ステレオタイプの変容 25

により身近なものとして「浸透」しているあらわれかもしれない。2004年から2005年にかけて

はTV番組において血液型を扱う番組が急増し、 BPO(放送倫理・番組向上機構)青少年委員

会が2004年12月8日.「血液型を扱う番組」について.放送各局に対し.「時局の番組基準を=遵

守し、血液型によって人間の性格が規定されるという味方を助長することのないよう要望」して

いる。しかし、この要望が出されるより前の時期に、本研究における調査対象者は数多くの血液

型を扱う番組に触れていた可能性が高い。また2007年から2008年にかけて、血液型劉に性格を

示した書籍がベストセラーとなっている状況もある。例えば「B型自分の説明書」(2007年発行)

はアマゾン(Amazon。cojp)において2008年9月11日現在54位、「A型自分の説明書」(2008年4

月発行)は同63位、「AB型自分の説明書」(2008年6月発行)は同104位、「O型自分の説明

書」(2008年8月発行)は同12位となっている。本研究の実施時期は2008年5月下旬であり、

上記の4冊の本のうち2冊は発行済みで.調査対象者によるレポートの中にもこの書籍に触れて

いる者が見られた。このような状況のなかで、現在の大学生が以前よりも血液型性格判断につい

てより肯定的な味方をするような時代的な背景が存在していることが、本研究の結果にあらわれ

たと考えられる。

2。講義後(第2蒔点)における結果

 講義後における本研究の結果では、「不可知性」・「経験的根拠」について女性の得点の方が男

性よりも有意に高かった。塩液型性格判断を科学では証明できない部分に信じる部分を期待した

り、「(それでも)なんとなく関連ありそう」という形の態度変容への「抵抗」が、男性よりも女

性に見られることが示された。

 また本研究における結果と上瀬ら(1996)における結果の比較からは.「血液型は科学で証明で

きない部分に真実がある」、「血液型と性格の関連については、もう少し自分で考えてから納得し

たい」、「これだけ血液型性格判断が普及しているのだからどこかに真実がある」といった項目に

おいて、本研究における女子の方が有意に肯定率が高かったが、本研究における調査対象者の方

が、講義において否定された血液型性格判断と.自分自身の今まで持っていた信念や経験との間

の「すり合わせ」を即座に行うことができない状況が結果にあらわれていると考えられる。本研

究における調査対象者の講義後の小レポートにおいて科学で証明できない部分に真実を求めるよ

うなコメントとして、「もともとは信じていなかったのですが、血液型は今の科学の力では解明

できるものではないと思います。なので、血液型と性格が全く関係ないとは言いきれません。信

じてないといっても、今言われている血液型性格判断を信じてないだけです(男性)」、「理屈じゃ

ない不思議さを血液型の分類に感じることが多い(男性)」といった記述が見られた。また自分

の中で納得してから考えを整理したいといったコメントとしては、「考えが変わった。血液型と

性格は関連のあるものだと思っていたが、そうではないといわれ.わからなくなってしまった。

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26 東海学園大学研究紀要 第14号

またじっくり考えることが必要だと思った(女性)」という記述が見られた。さらに血液型性格

判断が普及しているという所に信じる根拠を求めるコメントして、「これだけ胆液型占いなどが

広がっているので.科学で証明できないような部分をもっと知りたいと思いました(女性)」、

「テレビで実験をしたりして、きれいに血液型別に分かれたりするのを見ると、0■%くらいは証

明できない部分もあるのではないかと思った(男性)」といった記述が見られた。講義によって

動揺が見られはするものの、自分の中で矛盾するような考えが同時に成立していたり、「不思議

さ」やほんの少しは信じたいという思いが払拭できない様子がレポート内容からうかがえる。

 そして「意味づけ」尺度得点において、本研究における肯定率の方が上瀬ら(1996)によるもの

よりも低かったという結果は、本研究における講義内容の中に、上瀬ら(1996)では含まれていた

「血液型ステレオタイプにおける差劉的な現状」を含まなかったことが影響したと考えられる。

3。2蒔点におけるステレオタイプの変容

 本研究の結果からは、「信念強度」について2時点における得点の有意な低下が示された。上

瀬・松井(1996)においても、同様の2時点において、「信念強度」得点の有意な低下が示されて

いる。これにより、女性だけでなく男性を含めた大学生においても、上瀬・松井(1996)の指摘す

るように、この種のステレオタイプ(例:「血液型によって性格は異なる」)を低下させること

に講義が有効であったことが示された。また上瀬・松井(1996)では講義から3ヶ月後にも同様の

調査を行っており、第2時点の得点に比べてやや元に戻る傾向が見られたが、第1時点の得点に

比べて依然低い得点を保っていることが見いだされている。本研究では第3時点の調査は行って

いないが、上瀬・松井(1996)と同様の傾向が見られることが期待される。

4.サブタイプ形成の影響

 本研究では.講義後(第2時点)において、講義で伝達した反ステレオタイプ情報を.サブタ

イプとして処理する傾向を示す「サブタイプ形成」がより見られた者は、そうでない「サブタイ

プ非形成群」に比べて、第1時点における段階で既に血液型ステレオタイプに対する態度の得点

が総じて高かった。この結果は上瀬・松井(1996)と同様の結果であった。またこれは講義後のサ

ブタイプ形成が、上瀬・松井(1996)の指摘する「ステレオタイプ維持機能を持つ認知活動」とし

て働いていることを示していると考えられる。つまり、講義において自身の持つステレオタイプ

に反する情報に接触したことによる一種の抵抗一態度変容を劇的に変容させない一種の折り合い

のっけ方一が、サブタイプ形成という働きによって見られていると考えられる。

 さらに上瀬・松井(1996)の分析には見られなかったが、本研究では.サブタイプ非形成群の方

がサブタイプ形成群よりも講義後の「信念強度」得点の下がり方が大きい結果となった。この結

果は、1回の講義の前後という短期間であっても、サブタイプの形成の有無によるステレオタイ

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血液型ステレオタイプの変容 27

プ変容への影響の仕方が異なっている、つまりサブタイプ形成によってステレオタイプ維持機能

が短期間であっても働いているということを示している。しかし、サブタイプ形成群・非形成群

ともに講義後の「信念強度」得点は有意に下がっており、少なくともこの種の講義を行わないよ

りも行なった方が、血液型ステレオタイプに対する態度変容は見られることが示唆される。

5.本研究の問題点と今後の課題

 本研究においては、一回の講義の前後のみについて、調査対象者に心理尺度に回答を求めた。

上瀬ら(1996)のように、同じ調査対象者に対して数ヵ月後に同じ心理尺度に回答を求め、長期的

な態度変容についても検討することが課題として残された。第2に、本研究における講義内容が.

上瀬ら(1996)における講義内容よりも少ないものを展開したことが挙げられる。その結果、講義

後の一部の尺度得点に影響が出たと考えられる。第3に、上瀬ら(1996)において使用した心理尺

度以外のステレオタイプに関する項目を追加して尋ね、多面的な観点から血液型ステレオタイプ

についての考察を行うことを、今後の課題として検討する必要がある。

文献

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