高層オフィスビルにおける風力・重力換気併用型の …cv...
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高層オフィスビルにおける風力・重力換気併用型の自然換気に関する研究
(その 12)CFD 解析による室内温度および換気効率分布
4. 環境工学 -13. 空気流動応用
-f.オフィスの換気・空調
自然換気 ,大規模オフィス空間 ,CFD 解析
Natural Ventilation by Wind and Buoyancy Force of High Rise Office Building(Part12) Room Temperature and Ventilation Efficiency using CFD AnalysisSAJIMA Toshihiko,TANABE Shingo,KOTANI Hisashi,YAMANAKA Toshio, SAGARA Kazunobu,MOMOI Yoshihisa
1. はじめに
近年、省エネルギーの観点から、自然換気を採用
する建物が多くなってきている。しかし、室内外温
度差や外部風速・風向などの条件により自然換気量
は大きく変動する。そのような不安定な外界条件下
で、如何に安定した換気を行うかが自然換気システ
ムの課題となっている。特に大規模なオフィス空間
では広い室内の各所に新鮮外気が到達しなくてはな
らず、適切に換気システムを運用するために自然換
気の室内分布特性を把握する必要がある。
そこで本研究では、コーナーボイド ( 以下、CV)
を有する大空間オフィスを対象とした自然換気時の
換気性能の検討を行う。既報 1),2) までで、風速・濃度・
温度・差圧測定による自然換気性能の把握や居住者
を取り巻く室内環境について実測を行ってきた。
本報では、CFD(Computational Fluid Dynamics) 解
析を用いて、自然換気時の執務空間のより詳細な換
気性状を把握する。なお、本報は既報 4) を一部再検
討し、加筆した上で再構成したものである。
2. 建物概要と自然換気システム
解析対象の建物は大阪市内にある地上 38 階・地下
3 階建てのオフィスビル ( 自然換気対象フロア :11F
~ 37F) である。自然換気システムを図 1 に示す。大
阪市の卓越風である西風を利用する水平風力換気に
加え、建物隅部にコーナーボイド(以下、CV)を配
置し、日射熱による温度上昇を利用する重力換気を
組み合わせた自然換気システムになっており、外部
風に左右されない安定した換気が可能である。
3.評価指標
既報 2) で、トレーサガスステップダウン法を用い
て、新鮮外気分配性状の検討を行った。対象建物の
各測定点位置および測定の流れを図2に示す。トレー
サーガスとして CO2 を用いて行い、外気濃度を基準
とした次式により局所平均空気齢を算定した。
4.CFD 解析概要
4.1 対象領域と解析条件
CFD 解析モデルの概要を図 3 に、計算条件を表
1 に示す。本解析では、① CV の自然換気口を閉じ
た条件で水平風力換気を行う場合 (case1-1)、② CV
を開放し水平風力換気と重力換気を併用した場合
(case2-1)、③②で外部風速の小さい条件、すなわち
重力換気のみが主な駆動力となる条件 (case2-2) の計
3 つの条件について解析を行い、オフィス空間内の
温度分布、風速分布、及び局所平均空気齢を把握する。
正会員○佐嶋 俊彦 *1 同 田辺 慎吾 *2
同 甲谷 寿史 *3 同 山中 俊夫 *4
同 相良 和伸 *5 同 桃井 良尚 *6
図 1 自然換気システム
自然換気口による水平風力換気
側面自然換気口
CV自然換気口吸込口
CVによる重力換気
流入or 流出
外気導入
室内室外 室内
スリット
吸込み口
RA(天井チャンバー方式)
CV 部自然換気装置
CV へ流出
CV
Low-e ガラスシングルガラス
2,80
01,
000程
度
4.2 境界条件
自然換気口部風速・外気温度をそれぞれ変化させ
た条件で CFD 解析を行う。各自然換気口における流
出入風速を図4に、熱負荷条件を表3に示す。風速は、
自然換気口部で測定した値に角度による補正を行い、
面平均風速に換算した値を用いた 1)。また、風速計
を設置していない自然換気口では、室内外差圧測定
より換気量を算出し、換気口部面積を除して風速を
算定した。また、測定時の天候は曇天であったため、
鉛直面天空日射量のみを設定した。また、竣工前の
実測であったため、机、椅子等の家具やパソコン等
は無く、内部発生熱負荷は、照明のみとし、天井面
と床面にそれぞれ 6.5W/ ㎡ずつ与えた。
5. 結果と考察
温度上昇 ( 室内温度-外気温度 ) と局所平均空気
齢の測定値 2)、および解析結果を図 4に示す。グリッ
ド内の数値は、実測では測定点での値、CFD では、
高さ 1.1m におけるモジュール ( 約 100 ㎡ ) ごとの平
均値を表す。また、図 5、図 6 に温度上昇と局所平
均空気齢のモジュールごとの値を降順に並べたもの
と、完全混合時の温度及び名目換気時間を併記する。
5.1 温度上昇分布
図 4 において主風向が南西で安定していた case1-
1,case2-1 に着目すると、実測結果では、新鮮外気が
到達する風上側の温度上昇が大きく、風下側の温度
上昇が小さくなっており、CFD 結果とは一致しなかっ
た。実測値は、トレーサーガスの濃度測定終了時点
における温度上昇であり、定常状態における値では
ない。また、風上である南西側では日射により温度
が上昇したこと、風下側では、建物躯体の冷蓄熱の
影響で、温度上昇が起きにくかったことが理由とし
て挙げられる。
図 5 において、水平風力換気のみの場合と CV を
利用した場合を比較すると、分布に大きな差異は見
られないが、CV による重力換気併用時は、水平風力
換気時に比して、換気量の違い及び自然換気流路の
短いことから全体として温度上昇が抑えられた。
5.2 局所平均空気齢による自然換気性能の検討
図 4 において、実測値と CFD 結果を比較すると
CV による重力換気を利用した場合の空気齢分布は概
ね一致したが、水平風力換気時では一致していない。
不一致の原因として、実測時は換気口での流出の時
濃度上昇 減衰過程定常
経過時間 [s]
(a)
CO
2濃
度[pp
m]
(b)
室内
温度
[℃
](c
)空
気温
度[℃
](d
)風
速[m
/s]
自然換気口: 閉 自然換気口: 開
61,200
61,2
00
CV
CV
CV
CV
(1) (2) (3)
(1) (2) (3)
(1) (2) (3)
(1) (2) (3)
N
対象空間外 ( 建物コア部 )
4,8
00 1
0,00
0 4
,800
風速測定点内外差圧測定点自然換気口 ( 空気温度測定点 )CO 濃度・温度測定点 (FL+1100mm)2
測定点
W-6W-5W-2W-1 N-6N-5N-4N-3N-2N-1
N
CV(SW)CV(NE)
CV(NW)
S-1
S-3S-2
S-6S-5
E-1E-1
E-1E-1
E-1E-1
対象空間外(建物コア部)
2,65
0
61,200 61,200
150
S-4
CV(SE)自然換気口
CV部自然換気口
2つの開口を1つの開口として扱う
4つの開口を1つの開口として扱う
ガラス性能
1.6 0.296 0.475K[W/m2
・K ] τ [-] As [-]
CV 空間
オフィス空間
解析対象階
65.6
m4.
1m
24F(GL+110m)
37F
20F
15F
11F
▼GL+178.6m
2.75m
解析ソフト
乱流モデル
アルゴリズム
移流項差分スキーム
壁近傍処理
流体密度
圧力補間スキーム
乱流強度 10%水力直径 0.1mcase1-1 4,091,450case2-1case2-2
メッシュ数 2,092,670
標準壁関数
ブシネスク近似
Body Force Weighted
標準k-εモデル
SIMPLEQUICK
ANSYS FLUENT 16.1
流入境界条件
各開口部 開口面積[㎡]0.160.32
CV部自然換気口 0.64
個数[ヶ]2204
自然換気口
境界条件 単位
内部熱負荷(照明) [W/㎡床] 13N,E,W 60S 120日射 [W/㎡窓]
W-6W-5W-2W-1 N-6N-5N-4N-3N-2N-1
N
CV(SW)CV(NE)
CV(NW)
S-1
S-3S-2
S-6S-5
E-1E-1
E-1E-1
E-1E-1
対象空間外(建物コア部)
2,65
0
61,200 61,200
150
S-4
CV(SE)自然換気口
CV部自然換気口
2つの開口を1つの開口として扱う
4つの開口を1つの開口として扱う
ガラス性能
1.6 0.296 0.475K[W/m2
・K ] τ [-] As [-]
CV 空間
オフィス空間
解析対象階
65.6
m4.
1m
24F(GL+110m)
37F
20F
15F
11F
▼GL+178.6m
2.75m
解析ソフト
乱流モデル
アルゴリズム
移流項差分スキーム
壁近傍処理
流体密度
圧力補間スキーム
乱流強度 10%水力直径 0.1mcase1-1 4,091,450case2-1case2-2
メッシュ数 2,092,670
標準壁関数
ブシネスク近似
Body Force Weighted
標準k-εモデル
SIMPLEQUICK
ANSYS FLUENT 16.1
流入境界条件
各開口部 開口面積[㎡]0.160.32
CV部自然換気口 0.64
個数[ヶ]2204
自然換気口
境界条件 単位
内部熱負荷(照明) [W/㎡床] 13N,E,W 60S 120日射 [W/㎡窓]
W-6W-5W-2W-1 N-6N-5N-4N-3N-2N-1
N
CV(SW)CV(NE)
CV(NW)
S-1
S-3S-2
S-6S-5
E-1E-1
E-1E-1
E-1E-1
対象空間外(建物コア部)
2,65
0
61,200 61,200
150
S-4
CV(SE)自然換気口
CV部自然換気口
2つの開口を1つの開口として扱う
4つの開口を1つの開口として扱う
ガラス性能
1.6 0.296 0.475K[W/m2
・K ] τ [-] As [-]
CV 空間
オフィス空間
解析対象階
65.6
m4.
1m
24F(GL+110m)
37F
20F
15F
11F
▼GL+178.6m
2.75m
解析ソフト
乱流モデル
アルゴリズム
移流項差分スキーム
壁近傍処理
流体密度
圧力補間スキーム
乱流強度 10%水力直径 0.1mcase1-1 4,091,450case2-1case2-2
メッシュ数 2,092,670
標準壁関数
ブシネスク近似
Body Force Weighted
標準k-εモデル
SIMPLEQUICK
ANSYS FLUENT 16.1
流入境界条件
各開口部 開口面積[㎡]0.160.32
CV部自然換気口 0.64
個数[ヶ]2204
自然換気口
境界条件 単位
内部熱負荷(照明) [W/㎡床] 13N,E,W 60S 120日射 [W/㎡窓]
W-6W-5W-2W-1 N-6N-5N-4N-3N-2N-1
N
CV(SW)CV(NE)
CV(NW)
S-1
S-3S-2
S-6S-5
E-1E-1
E-1E-1
E-1E-1
対象空間外(建物コア部)
2,65
0
61,200 61,200
150
S-4
CV(SE)自然換気口
CV部自然換気口
2つの開口を1つの開口として扱う
4つの開口を1つの開口として扱う
ガラス性能
1.6 0.296 0.475K[W/m2
・K ] τ [-] As [-]
CV 空間
オフィス空間
解析対象階
65.6
m4.
1m
24F(GL+110m)
37F
20F
15F
11F
▼GL+178.6m
2.75m
解析ソフト
乱流モデル
アルゴリズム
移流項差分スキーム
壁近傍処理
流体密度
圧力補間スキーム
乱流強度 10%水力直径 0.1mcase1-1 4,091,450case2-1case2-2
メッシュ数 2,092,670
標準壁関数
ブシネスク近似
Body Force Weighted
標準k-εモデル
SIMPLEQUICK
ANSYS FLUENT 16.1
流入境界条件
各開口部 開口面積[㎡]0.160.32
CV部自然換気口 0.64
個数[ヶ]2204
自然換気口
境界条件 単位
内部熱負荷(照明) [W/㎡床] 13N,E,W 60S 120日射 [W/㎡窓]
図 2 基準階平面図 (24F) および測定の流れ 1)
図 3 解析モデル概要
表 1 計算条件
表 2 開口数および面積
表 3 熱負荷条件
CV
CV CV
CV
m/s
E1 0.25
E2 0.37
E3 0.31
E4 0.30
E5 0.34
E6 0.34
m/s
W1 1.04
W2 1.26
W5 1.22
W6 1.39
N1 N2 N3 N4 N5 N6
m/s -0.33 -0.44 -0.54 -0.44 -0.57 -0.66
S1 S2 S3 S4 S5 S6
m/s 0.87 0.87 0.35 -0.26 -0.34 -0.26
CV
CV CV
CV
CV(SW)
-
CV(NW)
-
CV(NE)
-
CV(SE)
-
m/s
E1 0.79
E2 0.76
E3 0.67
E4 0.73
E5 0.75
E6 0.71
m/s
W1 1.65
W2 1.56
W5 2.26
W6 2.60
N1 N2 N3 N4 N5 N6
m/s 0.67 0.61 0.57 0.52 0.52 0.47
S1 S2 S3 S4 S5 S6
m/s 1.65 1.65 1.74 0.74 0.90 0.72
CV(SW)
-3.16
CV(NW)
-2.47
CV(NE)
-2.39
CV(SE)
-2.64
m/s
E1 1.16
E2 1.19
E3 1.10
E4 1.26
E5 1.30
E6 1.18
m/s
W1 0.87
W2 0.87
W5 0.87
W6 0.87
N1 N2 N3 N4 N5 N6
m/s 0.83 0.81 0.87 0.92 1.00 1.05
S1 S2 S3 S4 S5 S6
m/s 0.52 0.52 0.52 0.53 0.61 0.49
CV(SW)
-2.27
CV(NW)
-2.12
CV(NE)
-2.35
CV(SE)
-2.49
CV
CV CV
CV
0.87 0.85 0.88 0.90 0.92 0.96
0.96 0.93 0.92 0.95 0.92 0.89
1.10 1.15 1.15 1.10 1.10 1.11
1.08 1.04 1.08 1.08 1.10 1.09
1.04
1.11
0.50
0.60
0.70
0.80
0.90
1.00
1.10
1.20
1.30
1.40
1.50
[h]
0
0.05
0.10
0.15
0.20
0.25
0.30
0.35
0.40
0.45
0.50
[h]
0
0.05
0.10
0.15
0.20
0.25
0.30
0.35
0.40
0.45
0.50
[h]
4.8 4.7 5.0 5.0 5.1 5.0
4.6 4.2 4.4 4.5 4.7 4.8
6.3 6.1 6.3 6.5 5.9 6.0
6.2 6.1 6.4 6.3 6.1 6.4
5.1
5.5
3.0
3.5
4.0
4.5
5.0
5.5
6.0
6.5
7.0
7.5
8.0
[℃]
5.5
6.0
6.5
7.0
7.5
8.0
8.5
9.0
9.5
10.0
10.5
[℃]
1.08 0.95 0.88 0.92 1.36 1.27
0.94 1.00 0.82 1.19 1.41 1.80
1.79
0.35 0.32 0.38 0.43 0.47 0.66
0.42 0.40 0.43 0.53 0.59 0.81
平均空気齢 0.85[h] 平均空気齢 1.01[h]
--
- -
N
0.23 0.23 0.22 0.22 0.24 0.29
0.23 0.22 0.20 0.23 0.26 0.26
0.37 0.37 0.37 0.37 0.37 0.33
0.34 0.33 0.34 0.35 0.34 0.37
0.28
0.30
N
15.0 15.0 15.3 15.6 15.8 16.1
14.9 14.6 14.9 15.3 15.7 16.2
16.3 16.7 16.7 17.0 17.3 17.0
16.0 16.6 16.7 17.2 17.7 17.5
16.7
16.8
N
9.4 9.4 9.3 9.0 8.9 9.2
9.1 9.3 9.7 9.1 8.6 8.6
6.8 6.8 7.1 7.4 7.8 7.9
6.9 6.9 7.1 7.5 7.7 7.8
8.1
8.0
N
0.42 0.37 0.30 0.27 0.27 0.34
0.44 0.45 0.37 0.33 0.33 0.32
0.37 0.35 0.35 0.39 0.28 0.27
0.35 0.34 0.35 0.35 0.29 0.28
0.28
0.28
N
0.61 0.63 0.59 0.58 0.62 0.55
0.53 0.48 0.55 0.57 0.61 0.49
0.52
0.31 0.33 0.36 0.38 0.44 0.48
0.38 0.36 0.38 0.43 0.46 0.48
平均空気齢 0.48[h] 平均空気齢 0.29[h]
0.961.00
0.58 0.78
N
0.55 0.59 0.59 0.48 0.43 0.42
0.44 0.53 0.60 0.51 0.40 0.37
0.39
0.73 0.79 0.64 0.56 0.54 0.53
0.74 0.74 0.67 0.59 0.58 0.59
平均空気齢 0.56[h] 平均空気齢 0.33[h]
0.780.88
1.04 1.16
N
平均温度上昇 6.6[℃] 平均温度上昇 5.5[℃]
5.0 5.0 5.0 5.4 5.3 5.7
5.3 4.8 5.4 5.3 5.4 5.6
5.9
5.3 6.0 6.2 6.6 6.0 5.9
7.6 6.6 6.5 6.1 5.9 6.1
N
平均温度上昇 5.4[℃] 平均温度上昇 8.2[℃]
4.9 4.8 4.6 4.6 4.8 4.9
4.5 5.2 5.3 5.1 4.9 5.1
5.4
6.2 5.8 6.4 5.9 5.7 5.8
6.2 6.2 6.1 5.2 5.9 5.7
N
水平風力換気Case1-1
水平風力換気+重力換気
水平風力換気+重力換気
Case2-1
7.5[℃] 平均温度上昇平均温度上昇 16.2[℃]
7.9 8.0 7.4 7.4 7.8 7.6
8.2 7.5 7.5 7.6 7.6 8.0
8.3
8.9 8.6 8.3 8.8 8.5 8.5
9.9 9.0 8.6 8.9 8.8 8.9
N
境界条件
境界条件
境界条件
測定結果(h=1.1m) CFD 結果 (h=1.1m)
温度上昇
[℃]
平均空気齢
[h]
温度上昇
[℃]
平均空気齢
[h]
温度上昇
[℃]
平均空気齢
[h]
13.5
14.0
14.5
15.0
15.5
16.0
16.5
17.5
18.0
18.5
19.0
[℃]
Calm0%
N
S
W E
20406080 %
Calm0%
N
S
W E10305070
1010101010103030303030303030303030305050505050505050707070
10101010101010101010
5050305030103030303030505050505050503050305030301030303030305050505050
Calm0%
N
S
W E10305070 %
Case2-2
N
N
測定結果(h=1.1m) CFD 結果 (h=1.1m)
測定結果(h=1.1m) CFD 結果 (h=1.1m)
総流量 24575[㎥/h]換気回数 3.28[回/h]
総流量 21277[㎥/h]換気回数 2.84[回/h]
総流量 6625[㎥/h]換気回数 0.88[回/h]
外部風SW , 3.3m/s外気温8.6℃
外部風SSW , 3.0m/s
外気温
7.8℃
外部風
N , 1.5m/s外気温
9.1℃
図 4 境界条件および測定・解析結果
*1大阪大学工学部地球総合工学科 学部生*2株式会社日建設計総合研究所*3大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻 准教授・博士(工学)* 4大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻 教授・博士(工学)* 5大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻 教授・工学博士* 6大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻 助教・博士(工学)
Undergraduate Student, Division of Global Architecture, School of Engineering, Osaka UniversityNikken Sekkei Research InstituteAssociate Prof., Division of Global Architecture, Graduate School of Engineering, Osaka University, Dr. Eng.Prof., Division of Global Architecture, Graduate School of Engineering, Osaka University, Dr. Eng.Prof., Division of Global Architecture, Graduate School of Engineering, Osaka University, Dr. Eng.Assistant Prof., Division of Global Architecture, Graduate School of Engineering, Osaka University, Dr. Eng.
間変動が大きな箇所があったことや、一部測定できて
いない箇所に差圧から換算した流量を与えたことな
ど、CFD の境界条件が適切でない可能性が考えられる。
図 7 は、高さごとの空気齢の平均値と名目換気時間
を示している。水平風力換気時に比して、CV を利用
した重力換気時では全体として空気齢の平均値および
ばらつきが小さく、空気質が大きく改善されている。
次に、換気回数の違いを考慮するため、図 8 に局所
空気交換指数 (= 名目換気時間 / 局所平均空気齢 ) を
示す。外部風速の大きな case1-1 及び case2-1 ではばら
つきが大きく、均一に全方位から流入する case2-2 で
は、均質な室内環境が形成されていることがわかる。
5.3 自然換気口における風速分布
各条件における自然換気口を通る断面における風速
分布を図 9 に示す。室内外温度差が大きい場合では、
天井面からの剥離が早く生じているのに対し、室内外
温度差が小さい場合では、コアンダ効果により、室の
奥深くまで気流が到達する結果が得られ、期待された
横吹き出しによる効果が検証できた。
6. まとめ
本報では、CFD 解析により自然換気時における大規
模オフィス空間の室内温度上昇及び局所平均空気齢に
ついて把握した。今後は、今回得られた解析モデルを
元に標準的モデルオフィスでのCFD解析を行い、風向・
風速・各開口の開閉条件ごとの空気・温熱環境を把握
する所存である。
【参考文献】1) 大森 ,山中 ,甲谷 ,桃井 ,相良 ,田中 ,高山 ,田辺 ,和田 ,田中 ,岡本:コーナー
ボイドを有する高層オフィスビルの自然換気性能に関する研究(その 1)自然換気計画の概要及び自然換気口における流入出量に関する検討,空
気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会論文集,pp.49-52,2013.32) 田中 ,山中 ,甲谷 ,桃井 ,相良 ,大森 ,高山 ,田辺 ,和田 ,田中 ,岡本:コーナー
ボイドを有する高層オフィスビルの自然換気性能に関する研究(その 5)新鮮外気の分配性状及び水平風力換気時と重力換気時の換気量比較,
空気調和・衛生工学会学術講演会講演論文集,第 4 巻,pp.137-140,2013.93)大森啓充:高層オフィスビルにおける自然換気性能検証に関する研究,
大阪大学大学院修士論文,2014.34) 佐嶋 , 田辺 , 甲谷 , 山中 , 相良 , 桃井 ,:コーナーボイドを有する高層オフィ
スビルの自然換気性能に関する研究(その 13)CFD 解析による換気性能
の分布,空気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会論文集,2017.3 掲
載予定
図 5 各モジュールにおける平均温度上昇
図 7 名目換気時間および高さごとの平均空気齢
図 9 自然換気口からの風速分布
図 8 高さごとの局所空気交換指数
図 6 各モジュールにおける平均空気齢
case1-1 : 水平風力換気時
case 2-1 : 重力換気併用時
case1-1 : 水平風力換気時
case 2-1 : 重力換気併用時 case 2-2 : 重力換気併用時
case 2-2 : 重力換気併用時
0
5
10
15
20
温度上昇
[℃]
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
1.4
平均空気齢
[h]
case1-1 : 水平風力換気時
case 2-1 : 重力換気併用時
case1-1 : 水平風力換気時
case 2-1 : 重力換気併用時 case 2-2 : 重力換気併用時
case 2-2 : 重力換気併用時
0
5
10
15
20
温度上昇
[℃]
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
1.4
平均空気齢
[h]
case1-1 : 水平風力換気時
case 2-1 :重力換気併用時
0
0.5
1
1.5
2
2.5
0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3
高さ
[m]
局所空気交換指数[-]
0
0.5
1
1.5
2
2.5
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2
高さ
[m]
平均空気齢[h]
case1-1 : 水平風力換気時
case 2-1 : 重力換気併用時
case 2-2 : 重力換気併用時
case 2-2 :重力換気併用時
case1-1 : 水平風力換気時
case 2-1 :重力換気併用時
0
0.5
1
1.5
2
2.5
0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3高さ
[m]
局所空気交換指数[-]
0
0.5
1
1.5
2
2.5
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2
高さ
[m]
平均空気齢[h]
case1-1 : 水平風力換気時
case 2-1 : 重力換気併用時
case 2-2 : 重力換気併用時
case 2-2 :重力換気併用時
0 1
1
2
2
2.8
3 4 5 6 7 8 9 10 [m]
case2-1(室内外温度差 6.1℃)
case1-1(室内外温度差 17.8℃)
天井高さ
[m]
天井高さ
[m]
到達距離 [m]
到達距離 [m]0 1
1
2
2
2.8
3 4 5 6 7 8 9 10 [m]
0
0.5
1.0
1.5[m/s]
自然換気口 :S-3 流入風速 :v=1.74[m/s]
自然換気口 :W-6 流入風速 :v=1.39[m/s]