高レベル放射性廃棄物の 地層処分の安全評価にいてについて ·...

28
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Page 1: 高レベル放射性廃棄物の 地層処分の安全評価にいてについて · 双方向シンポジウム どうする高レベル放射性廃棄物2013 (第2回2013年2月17日)

双方向シンポジウムどうする高レベル放射性廃棄物2013(第2回 2013年2月17日)

高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価に いて地層処分の安全評価について

石黒 勝彦

原子力発電環境整備機構

0

原子力発電環境整備機構Nuclear Waste Management Organization of Japan (NUMO)

Page 2: 高レベル放射性廃棄物の 地層処分の安全評価にいてについて · 双方向シンポジウム どうする高レベル放射性廃棄物2013 (第2回2013年2月17日)

内容

1. 地層処分概念と安全確保の考え方

2. どのように安全性の確認を行うか

• 地層処分における安全評価

安全評価の基本的な手順• 安全評価の基本的な手順

• シナリオの構築について

• 影響解析の例

3 事業期間中の安全確保の考え方3. 事業期間中の安全確保の考え方

4. 処分事業における安全確保に向けた重要な実施事項

5. まとめ

1

Page 3: 高レベル放射性廃棄物の 地層処分の安全評価にいてについて · 双方向シンポジウム どうする高レベル放射性廃棄物2013 (第2回2013年2月17日)

1 地層処分概念と安全確保の考え方1.地層処分概念と安全確保の考え方

2

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高レベル放射性廃棄物とその特徴

• 高レベル放射性廃棄物は,原子力発電所から出る使用済み燃料を再処理工場で再処理してウランとプルトニウムを取り出した後,残った核分裂生成物などをガラス原料と融かし合わせ固化体にしたもの

再処理工場

• 放射線量が高く,発熱量が大きい。

ガラス原料

核分裂生成物等約5%

約95%

再処理

排気ガラス溶融炉

電極ガラス固化体

ウランとプルトニウムを回収し,燃料として再利用

使用済燃料(約4m)

溶融ガラス電極ガラス固化体

・高さ:約1.3m・直径:約40cm・重さ:約500 kg・固化ガラス容積:約150ℓ

料として再利用

溶融ガラス

キャニスター

(ステンレス製容器)

固化ガラス容積:約150ℓ

表面線量:約1,500 Sv/h放射能:約2000万GBq表面温度 200℃以上 ※

製造時の数値

3

固化ガラス表面温度:200℃以上 ※

※周囲の環境条件により異なる

Sv:シーベルト G:ギガ(10億倍) Bq:ベクレル

(電気事業連合会,2011を編集)

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ガラス固化体の放射能の時間変化

• ガラス固化体の放射能は製造時には非常に高く,放射能は時間とともに減っていくが長期にわたって線源の隔離と放射性物質の閉じ込めが必要

人間による管理が失われ も問題とならな 長期的な対策(処分方法)が必要⇒ 人間による管理が失われても問題とならない長期的な対策(処分方法)が必要

(GBq)

1000万

本あたりの

総量 10万

100万ガラス固化体(1本)

固化体1本

放射能の総

1万

ガラス固 放

100万年年年1000年100年

1000

4製造後50年冷却してからの経過年数(年)

100万年10万年1万年1000年100年 表面線量の計算結果は,核燃料サイクル開発機構(現日本原子力研究開発機構)研究報告(2003),JNC TN8400 2003-022を参照した

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地層処分の安全確保の基本的な考え方

• 地層処分は,長期間にわたる人間の管理を必要としない処分方法• 放射性廃棄物の影響を防ぐため,人間の生活環境から「隔離」し,地下深部に「閉じ込める」ことによって,安全を確保とによ て,安全を確保

地層処分の安全確保の原則地層処分の安全確保の原則 121 2

放射性廃棄物を人間の生活環境から隔離する

放射性廃棄物を地下深部に閉じ込める

地層処分の安全確保の原則地層処分の安全確保の原則*1,2*1,2

5

放射性廃棄物を地下深部に閉じ込める

*1:IAEA, 2006, Geological Disposal of Radioactive Waste, Safety Requirements, IAEA Safety Standard Series, No.WS-R-4*2:IAEA, 2011, Disposal of Radioactive Waste, No.SSR-5

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日本の地質環境を考慮した安全確保策

地下水の存在火山・活断層・侵食・・・ わが国の地質環境

安全機能への著しい影響 地下水による放射性物質の運搬安全性への影響の可能性

地層処分にとって安定な場所を選定

人工バリア(工学的対策)(サイト選定)

対 策適切な多重バリアシステムを構築

隆起・侵食 気候・海水準変動

処分施設火山活動

安全性の評価

天然バリア(岩盤)地震・断層活動

6安全指標に照らして対策の妥当性を評価 (安全評価)

安全性の評価

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多重バリアシステムの構成

ガラス固化体・放射性物質をガラス構造に取り込む ガラス固化体

オ バ パ ク地

構造に取り込む・水に溶けにくい

オーバーパック(金属製の容器)

緩衝材

人工バリア

地下300メ

•放射能が高い期間,地下水とガラス固化体の接触を阻止

緩衝材(締め固めた粘土)

メートル以深

•低透水性•放射性物質を吸着し,移動を遅延

天然バリア 岩盤

深移動を遅延

•放射性物質を吸着し,移動を遅延

緩衝材

岩盤

移動を遅延

7

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2.どのように安全性の確認を行うか

「安全評価」について-「安全評価」について -

8

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地層処分の安全評価

地層処分システムの特徴:地層処分システムの特徴:

• 通常の工学システムと異なり,対象とする全時間・空間領域にわたって安全機能が働くことを直接確認できない。た て安全機能が働く とを直接確認できな 。

安全評価による対策の妥当性の確認:

• 地層処分における安全確保策の妥当性の判断を安全評価により実施

安全評価 想定 た オ 基づく解析 結果と安全基準と• 安全評価は,想定したシナリオに基づく解析の結果と安全基準との比較が基本的なプロセス(国際的に認知された手法)

• 安全評価の前提や過程には様々な不確実性が伴うので その取安全評価の前提や過程には様々な不確実性が伴うので,その取扱いが極めて重要

• 安全評価の結果を中心として,それを裏付ける広範かつ多面的な証拠や論拠をセーフティケースとして統合し,安全性の程度やその信頼性についての総合的な説明を事業の各段階で繰り返し実施

9

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安全評価の基本的な手順

地質環境の調査・評価,処分場の設計,技術開発等

・処分システムの科学的な理解に基づき将来の状態を想定し,可能性のあるシナリオを作成シナリオの構築

・シナリオに応じて放射性物質の核種の移動を概念モデル化し数式として表示

モデル開発

ドバック

化し数式として表示

・調査データ,設計データ,実験データ等からパラメータを設影響解析

フィー

定し,放射性物質の移動を計算影響解析

安全基準との比較

・解析結果を安全基準と比較評価・結果やその信頼性が十分でない場合は,調査計画,設計,技術開発へフィードバック

10

との比較 技術開発へフィ ドバック

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特質(F t ) 事象(E t ) プロセス(P )

シナリオの構築(1/3):考慮すべき特質・事象・プロセスのイメージ

特質(Features),事象(Events),プロセス(Processes)

隆起・沈降・侵食

気候・海水準変動

処分場

地質構造オーバーパック岩盤 緩衝材 ガラス固化体

火山活動火山活動 地震地震

岩盤中の放射性核種移行

火山活動

(火成活動)

火山活動

(火成活動)

地震

(活断層の動き)

(活断層の動き)緩衝材中の放射性核種移行

ガラスの溶解

・地下水流動・地下水の地球化学プロセス

11

ガラスの溶解

力学的プロセス

オーバーパックの腐食・水分拡散・ベントナイト-水反応

化学

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シナリオの構築(2/3):ガラス固化体周辺のシステム変遷のイメージ

• 科学的な知見に基づき, 人工バリア・周辺岩盤の安全機能の時間的変遷(劣化,機能喪失等)に着目してシステムの変遷の詳細を記述

• 安全機能の発揮に係る想定の保守性(十分に厳しい側の想定)を担保する。

緩衝材に地下水が徐々に浸透

岩盤

緩衝材に地下水が浸透

岩盤

ガラス固化体のゆっくりとした溶解

岩盤

ガラス固化体が溶解

放射性物質の

地下水の地下水の

侵入侵入

ガラス固化体

地下水の地下水の侵入侵入地下水の地下水の侵入侵入

オーバーパック ガラス固化体

溶解・溶解・拡散拡散

拡散・拡散・吸着吸着

地下水の地下水の侵入侵入地下水の地下水の侵入侵入

放射性物質の緩衝材への移動

移流移流拡散拡散吸着吸着

拡散・拡散・吸着吸着

溶解溶解地下水の地下水の

侵入侵入地下水の地下水の

侵入侵入

放射性物質の天然バリアへの移動

侵入

緩衝材オーバーパック

侵入侵入

オーバーパックの段階的な腐食(酸素の消費)

オーバーパックに亀裂発生

吸着吸着

オーバーパックの腐食による膨張

12

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シナリオの包括性や起こりやすさ 評価の目的などを考慮して複数のシナリオを考慮

シナリオの構築(3/3):安全評価で考慮するシナリオ分類の例

•シナリオの包括性や起こりやすさ, 評価の目的などを考慮して複数のシナリオを考慮。•シナリオの不確実性は, 複数のシナリオを想定することにより評価に取り込む。

“地 水 より放射性物質が処分場から人間環境

安全評価で考慮するシナリオ

“地下水により放射性物質が処分場から人間環境に運ばれる” ことを想定(地下水移行シナリオ)

接近シナリオ

“放射性廃棄物と人間との距離が接近することにより人間環境に影響が及ぶ”ことを想定

基本シナリオ

“地質環境条件が,想定範囲内 推移”

例:

変動シナリオ

「基本シナリオ」の想定に対する様々な変化の範囲内で推移”

“人工バリアが設計通り機能を発揮”

例:・マグマの処分場への直接貫入・人間の処分場への直接侵入

対する様々な変化

例:・天然現象の影響・将来の人間活動の影響

バ 等 初期欠陥 響

13

・人工バリア等の初期欠陥の影響

(参考):核燃料サイクル開発機構, 1999,我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性-総論レポート,JNC TN1400 99-020

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モデル開発(1/2):地下水移行シナリオに基づく核種移行モデルの例

河川河川

堆積層堆積層

帯水層帯水層

断層破砕帯岩盤岩盤

100m

処分場処分場

掘削影響領域

緩衝材

岩盤地下水の動き

岩盤

透水性亀裂

損 ガ 化体

: 放射性核種が溶解した地下水の動き

: 地下水の動き: 拡散による間隙水中の放射性核種の動き

14

破損したオーバーパック

ガラス固化体

核燃料サイクル開発機構, 1999,我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性-総論レポート,JNC TN1400 99-020

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モデル開発(2/2):安全評価における解析モデル・コードの体系

核種インベントリ把握

地下水移行経路形状・構造把握

温度環境把握

化学環境把握

ソースターム把握

物質移行挙動把握

線量把握

インベントリ評価コード

地下水流動

廃棄体デ タ

地下水流動評価コード

温度評価コード

学廃棄体データ核データ

分配係数データ地化学データ拡散データ熱力学データ

地下水化学環境

評価コードソースターム評価コ ド熱力学データ

濃縮データ・・・・・・

評価コード

核種移行評価コード

被ばく

評価基準設計・材料データ地質・地形調査データ

被ばく評価コード

15

評価基準設計・材料デ タ地質・地形調査デ タ

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モデル・データの不確実性の取り扱い例

モデルの不確実性:現象・プロセスのモデル化,コード化に係る理解不足,知識不足等に起因

(取り扱いの例)(取り扱いの例)研究開発による理解の促進⇒例:詳細な現象解析モデルの開発工学的対策による影響緩和・回避⇒例:低アルカリ性セメントの使用によるベントナイト劣化の不確実性低減トナイト劣化の不確実性低減複数のモデルを用いた影響の評価⇒例:核種収着の平衡論と速度論モデル,地下水中核種の溶質移行とコロイド移行など

データの不確実性:データの信頼性の欠如(データ不足,測定誤差など),ランダム性に起因するばらつきなど

(取り扱いの例)(取り扱いの例)調査,研究開発によるデータの信頼性向上(不確実性の影響低減)専門家の判断によるデータ幅や分布の設定響が 保 デ 定 デ 幅 考慮 響影響が過大側になるような保守的なデータ設定やデータの幅を考慮した影響

解析の実施

16

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“ 水 放射性物 が処 境 ばれ ” 線 布

影響解析(1/3): 様々な想定に対する解析結果の例

“地下水により放射性物質が処分場から人間環境に運ばれる”シナリオの最大線量の分布(40,000本の廃棄体を処分する場合を想定)

1.E+0410 4 Case 1: レファレンスケース

1.E+02

1.E+03

1.E+04

諸外国で提案されている安全基準 (100~300 μSv/y )

わが国の自然放射線レベル (900~1200 μSv/y )

10

10 3

10 2

-岩種:結晶質岩(塩基性)-地下水/GBI:降水系/河川水-地形:平野

1 E 01

1.E+00

1.E+01

μSv

y-1]

7,9

8, 11, 12

10

3335

2219, 2123

37

36

10 1

10 0

10 -1

量 [μS

v/y] Case 2- 32: システムの多様性

以下の可能性ある組み合わせより構成

-岩種:6種類地下水/GBI:

1.E-03

1.E-02

1.E-01 [μ

1(レファレンスケース)4

176

20

225

24

26,2829

32

2,3

343110 -1

10 -2

10 -3最大線量

-地下水/GBI:[降水系, 海水系]/[河川水, 沿岸海域, 深井戸]

-地形:平野,丘陵,山地-人工バリアの代替デザイン

1.E-05

1.E-0417

13, 15

161418

25,273010 -4

10 -5

10 6

Case 33: データ不確実性(ガラス溶解・岩盤収着・透水量係数)

Case 34: モデル不確実性(コロイド移行)1.E-06

1.E+04 1.E+05 1.E+06 1.E+07 1.E+08

処分後の時間 [y]

10 -6

10 4 10 5 10 6 10 7 10 8

処分後の時間 [y]

(コロイド移行)

Case 35-37: シナリオ不確実性-隆起・侵食(隆起・侵食速度 = 1mm/y)-埋め戻し・プラグの施工不良

17

-天然バリア機能を考慮しない

核燃料サイクル開発機構, 1999,我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性-総論レポート,JNC TN1400 99-020

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影響解析(2/3): 発生可能性が低い現象の取扱い

旧原子力安全委員会(NSC)における取扱い旧原子力安全委員会(NSC)における取扱い「シナリオの発生の可能性とその影響を組み合わせたリスク論的考え方の適用が有効であり,この考え方を放射性廃棄物処分の安全規制に導入する方向で,検討を進める必要がある 」める必要がある。」(NSC, 2004, 放射性廃棄物処分の安全規制における共通的な重要事項について)

→現象の発生可能性に応じて異なる基準値を適用する。

国際放射線防護委員会(ICRP)における取扱い国際放射線防護委員会(ICRP)における取扱い「このアプローチは,そのようなシナリオが起こる確率の正確な定量化を要求せず,むしろそれらの確率の推定された大きさに見合った,それらの放射線学的影響の評価を要求することに注意すべきである 」(ICRP 2000 P bli i 81)価を要求することに注意すべきである。」(ICRP, 2000, Publication 81)

→現象の発生可能性に応じて異なる基準値を適用する。

原子力研究開発機構(JAEA)における取扱い(核燃料サイクル開発機構, 1999,我が国における高レベ原子力研究開発機構(JAEA)における取扱い(核燃料サイクル開発機構, 1999,我が国における高レル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性-分冊3,JNC TN1400 99-023 )

「十万年程度の将来については,現在までの活動の継続として,断層活動を評価することが可能と考える。」能 考 。」「十万年程度の将来については,数十万年~数百万年程度の火山活動の時間的・空間的変化に基づき,将来の活動場を評価することが可能と考えられる。」

→基本的には火山・火成活動や地震・断層活動の影響を評価する必要性は低い。ただ

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基本的には火山 火成活動や地震 断層活動の影響を評価する必要性は低い。ただし,念のためにこれらの現象の影響が調べられた。

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影響解析(3/3): 活断層によるずれの影響の解析例

•断層の直撃により破壊されたガラス固化体約300本とその他のガラス固化体からの全放射性核種による被ばく線量を評価

還元性地下水の流れ 酸化性地下水の流れ

シナリオ1還元性深部地下水の上昇 シナリオ2 酸化性地表水の引き込み

還元性地下水の流れ 酸化性地下水の流れ

断層・破砕帯と交差する廃棄体断層・破砕帯と交差する廃棄体断層・破砕帯と交差する廃棄体

断層新生により移行距離の短縮する廃棄体

その他の廃棄体

断層・破砕帯

広範な変形領域

断層・破砕帯

広範な変形領域

断層・破砕帯と交差する廃棄体

断層新生により移行距離の短縮する廃棄体

そのほかの廃棄体

図 断層の活動性の予測が不確実な期間についての影響を検討図 断層の活動性の予測が不確実な期間についての影響を検討

人工バリアが機能を失ったことを想定しても,線量はわが国の自然放射線レベルを大きく超えない。 ⇒シナリオ上の取り扱いは,サイト情報や評価期間等に依存

19

情 期

(参考):NUMO, 2011,地層処分事業の安全確保(2010年度版)NUMO-TR-11-01

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3. 事業期間中の安全確保の考え方

地震や津波等の想定を超える外部事象に対して 以下の要素が地震や津波等の想定を超える外部事象に対して,以下の要素が有効に働き,放射線・放射性物質の漏洩に対する総合的頑健性が確保されるという見通しが,一定程度あると考えられる。

廃棄体を収納する容器 (オーバーパック)十分に厚い遮へい壁を備えた管理区域施設 (遮へい壁厚>耐震壁厚)埋設したガラス固化体からの放射線を遮へいする岩盤埋設したガラ 固化体からの放射線を遮 する岩盤

また,万が一の事故に対しても,放射線・放射性物質の漏洩に対する対応の見通しが一定程度あると考えられる。する対応の見通しが 定程度あると考えられる。検討例:地上施設の遮へい壁の損傷

地下施設への津波の浸入

なお,地震の加速度は地上に比べ,地下の方が小さい傾向がある。処分場建設時に処分坑道の力学的安定性が十分に確保できていれば 地震動のゆれによる影響は小さいので 地震時の処ていれば,地震動のゆれによる影響は小さいので,地震時の処分坑道の力学的安定性を確保することは可能

20

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予定される安全対策 安全裕度(想定を超える津波で施設が浸水した場合)

「津波」の影響

地上のガラス固化体取り扱い施設が水没しても,容器のステンレス製キャニスタが水密性を有する。

オーバーパックは埋設される深度の地下静水圧以上の圧力に

予定される安全対策 安全裕度(想定を超える津波で施設が浸水した場合)

津波の影響を受けにくい高台に施設を建設 オ ック 埋設される深度 地下静水 以 力

耐えられるように設計されるので,地下坑道において水没しても,その水密性は保たれる。*高台

周辺への放射線影響はない

高台に立地できない場合には・・・対策の強化のポイント

防潮堤の設置など

高台に立地できない場合には・・・

水密扉の設置地上搬送路の地下化

防潮堤

東北電力東通原子力発電所「PSつうしん」2012年4月26日号より

地域の条件に合わせて適切な対策を実施する

21

地域の条件に合わせて適切な対策を実施する。

*核燃料サイクル開発機構, 1999,我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性-総論レポート,JNC TN1400 99-020

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地震 「ゆれ」の影響①: 地上施設の遮へい壁の耐震性に関する裕度の検討 (例)

予定される設計• 厚さ1m以上の鉄筋コンクリート壁による遮へいと耐震性の確保性の確保

• 敷地境界からの建屋の離隔安全裕度の検討• 遮へいのために壁厚をかなり厚くする必要があり その• 遮へいのために壁厚をかなり厚くする必要があり,その厚さが耐震に必要な壁厚を上回る可能性が高い。

• 仮に設計想定以上の地震時に許容限界を超える変形が生じたとしても ひび割れ面の凹凸のため 放射線はが生じたとしても,ひび割れ面の凹凸のため,放射線は直接透過しない。

万が一の事故解析によれば 多数の貫通ひび割れの発生により 遮• 解析によれば,多数の貫通ひび割れの発生により,遮へい機能が1/100になったとしても,敷地境界では線量限度である1mSv/y以下となる。(ガラス固化体28本(受け入れ施設での仮置き数)を線 原子力施設の鉄筋コンクリ ト壁内部の(ガラス固化体28本(受け入れ施設での仮置き数)を線源とし,敷地境界までの距離を200m以上とした。 )

原子力施設の鉄筋コンクリート壁内部の配筋構造の実規模大模型

(日本原燃株式会社六ヶ所PR館に展示)

22

地上施設に対する地震の「ゆれ」の影響は小さい。

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地震「ゆれ」の影響③:地下坑道安定性の解析例(東日本大震災の地震波データ使用)

地地 名名 牡牡 鹿鹿

検討用地震波概要○常時,地震時いずれも,岩盤の最大せん断ひずみは局所的に「限界せん断ひずみ」(0.0134=1.34%)を超えるが,その範囲は 坑道壁面付近に限定される

マグニチュードマグニチュード 9.09.0

震央距離 (km) 121

観測位置観測位置 地表面

最大最大加速度加速度(Gal)(Gal)

南北方向南北方向 921

東西方向東西方向 688688

上下方向上下方向 254254

囲は,坑道壁面付近に限定される。○岩盤の最大せん断ひずみは,常時と地震時でほとんど変化が見られず,処分坑道周辺岩盤の安定性に与える地震の影響

観測位置観測位置 地表面 上下方向上下方向 254254

常 時

牡鹿(南北) 牡鹿(東西)

0.1

ひずみ地震時(常時+地震時増分)

響は小さい。

牡鹿(南北) 牡鹿(東西)牡鹿(南北) 牡鹿(東西) 0.0134

0.005

0.010

牡鹿(南北) 牡鹿(東西)

0 001

0.003

0.002

0.004

0.001

0

:坑道掘削径の20%の範囲地震時の坑道周辺岩盤の最大せん断ひずみの分布(坑道の深度 500m,断面図)

24

地下施設に対する地震の「ゆれ」の影響は小さい。

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4. 処分事業における安全確保に向けた重要な実施事項

年にわたる段階的な事業を 段階に分け 各々の段階 の目標 要件 実施100年にわたる段階的な事業を10段階に分け,各々の段階での目標,要件,実施方法を明示,これを支える技術開発項目を関連付け (NUMO-TR-11-01)

ボ 地 処 閉ボボーリング等によ

地下調査施設から

処分施設建設

建 操

閉鎖・閉鎖後

文献等による調

(概ね50

概要調査地区

精密調査地区

閉鎖後長期安全確保

応募・申し入

ボーリング等によ

安全審査よ

る調査

らの調査

地選定

設 業後管理

始調査

年)

区選定

区選定

入れ

SC:セーフティーケース

よる調査

SC1 SC2 SC更新

地層処分に適した地点の選定 地層処分システム構築と品 長期記録保存

地層処分事業の段階的な推進における重要な実施項目

3段階のサイト選定 建設・操業・閉鎖段階 閉鎖後

地層処分に適した地点の選定サイト選定プロセスの透明性の確保地域の意思決定・自主性の尊重

地層処分システム構築と品質管理放射線防護の実施モニタリング,回収性の維持

長期記録保存必要に応じたモニタリング

地層処分技術の安全性の追求と実用性の向上

セーフティケースの提示による処分の安全性に対する情報提供とコミュニケーション

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閉鎖時の世代が意思決定できるよう十分な情報を残す。

事業許可時の世代が意思決定できるよう十分な情報を残す。

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処分システムの安全性に係る段階的な意思決定と判断に資する文書

文献調査 概要調査 精密調査建設・操業・

閉鎖・事業廃止

処精密

概要

事業許可申請

概要調査地区選定上の

精密調査地区選定上の考

処分施設建設地選定上の 処

分施設建設

密調査地区の

要調査地区の

請実施中に得られた新たな知見

地区選定上の考慮事項

概要調査に関する法定報告書*1

地区選定上の考慮事項

精密調査に関する法定報告書*1

選定上の考慮事項

文献調査に関する法定報告書 1

文献情報 基づく

設地の選定

の選定

の選定

法定報告書*1

概要調査に基づく概

法定報告書 1

精密調査に基づく基本設計と安全評価

法定報告書*1

文献情報に基づく処分場の概要

安全レビュー

報告書*2

念設計と予備的安全評価に関する報告書

基本設計と安全評価に関する報告書

補足文書

セーフティケース セーフティケース セーフティケース

補足文書 補足文書

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*1:「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に従った報告書*2:「核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に従った報告書

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5. まとめ

地層処分の安全性は,安定な地層を選定し,多重バリアシステムを構築することにより確保することが基本築することにより確保することが基本

事業期間中および閉鎖後長期の安全確保をサイト調査・評価,工学的対策 安全評価の組み合わせで実現的対策,安全評価の組み合わせで実現

閉鎖後長期の安全性は,想定したシナリオに基づく安全評価を中心として それを裏付ける様々な証拠や論拠を合わせて総合的に判断して,それを裏付ける様々な証拠や論拠を合わせて総合的に判断

処分事業の進展の中で,新たな知見を取り込みつつ,繰り返し安全性を確認性を確認

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