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食品ナノテクノロジープロジェクトのウェブサイトの開設 誌名 誌名 食品総合研究所研究報告 = Report of National Food Research Institute ISSN ISSN 03019780 著者 著者 曲山, 幸生 七里, 与子 杉山, 滋 巻/号 巻/号 75号 掲載ページ 掲載ページ p. 25-32 発行年月 発行年月 2011年3月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

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Page 1: 食品ナノテクノロジープロジェクトのウェブサイトの開設食品ナノテクノロジープロジェクトのウェブサイトの開設 誌名 食品総合研究所研究報告

食品ナノテクノロジープロジェクトのウェブサイトの開設

誌名誌名 食品総合研究所研究報告 = Report of National Food Research Institute

ISSNISSN 03019780

著者著者曲山, 幸生七里, 与子杉山, 滋

巻/号巻/号 75号

掲載ページ掲載ページ p. 25-32

発行年月発行年月 2011年3月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

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食総研報 (Rep.Nat'l Food Res. Inst) No. 75, 25…32 (2011) [研究ノート] 25

|研究ノート!

食品ナノテクノ口ジープロジェクトのウェブサイトの開設

曲山幸生*・七里与子・杉山 滋

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所

Opening the Website of Food-Nanotechnology Pr吋ect

Yukio Magariyama *, Kumiko Shichiri and Shigeru Sugiyama

National Food Research Institute, 2-1-12 Kannondai, Tsukuba, Ibaraki, 305-8642 Japan

Abstract

農林水産省委託研究プロジェクト「食品素材のナノスケール加工及び評価技術の開発J(食品ナノテクノロジー

プロジェクト)のウェブサイト (http://nfri.naro.a胎 c.go・.jp/yakudachi/foodnanotech/ind巴x.htmJ)を開設した.ナノテ

クノロジーが社会に受容される技術となるためには,研究者などの専門家だけではなく,一般の方にも初期の段

階から研究の状況を知ってもらい,ともに研究を推進することが重要だと考えられている.ここでは,研究の成

果や現状を専門家でない方にも理解してもらうために,ウェブサイトに組み込んだいくつかの工夫について紹介

する.

ウェブサイト開設の目的

本ウェブサイトのトップページ(図1)に,プロジ

ェクトリーダーである杉山滋が本サイトの目的を次の

ように記している.

不サペ(f (;t ,還が水産省、委託研究プロジェク fr貧

弱葉#のナノスターノル施工反抗評御技都の府芳ノの研

究成果を多ぐの才にjoフ τいただぐために周設 l-~l­

J士.

つまり,食品ナノテクノロジーの現状を専門家でな

い人たちにも知ってもらい,この技術のメリットとデ

5連絡先, [email protected]

メリットを公平に判断するための材料を提供すること

が本ウェブサイトの目的である.

日本やヨーロッパでは遺伝子組換え技術はうまく社

会に受容されたとは言い難い.その反省に基づき,社

会全体に影響を及ぼしそうな新技術分野の場合,研究

の初期の段階から研究者が研究成果を専門家以外の方

にもわかりやすく発信し,研究の方向性も含めて社会

全体で関わっていこうという考え方が強くなってきて

いるリ.食品ナノテクノロジープロジェクトはその考

え方で進められるべき研究課題であると位置づけられ

ている.そのため,本ウェブサイトは,これまでのも

のに比べて,専門家以外の方にとって役立つという点

が重視されなければならない.

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した.そのためこのプロソェクトで"働組加工された食品棄付の符性を体系..ζ研究

します.

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図1.食品ナノテクノ口ジープロジェクトサイ

トのトップページ

プロジ‘ェクトリーダーの巻頭言を掲載して

いる.

図 2.研究内容紹介のページ例

研究紹介のページには,研究担当者氏名を

記載し,責任を明確化した.また,関連す

る論文リストも付記し,詳細な情報にアク

セスできるようにした.

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一 一-一ー-ー-一一 一

研究成果

食品ナノテクノロジープロジェクトが農林水産省の

委託研究プロジェクトのひとつとして重要であること

を示すために,研究成果を解説するページを著者らは

最も重視している.研究課題が妥当か,その課題を担

当する研究者の課題遂行能力は十分か,また研究者は

真撃に課題に取り組んでいるか,といった視点で,国

民は本研究プロジェクトの成果を検討すると思われ

る.

その厳しい評価をしっかり受け!とめるという意味

で,研究担当者が自分の研究課題についてその成果を

解説するという形態を採朋し,各ページには担当者の

氏名を記した(図 2).また,担当者がその成果を発

表した論文(審査を受けたもの)リストを付記し,よ

り詳しく正確な情報を調べることができるようにし

た.これにより,その記述内容に対する責任が明確化

される一方で,担当者がその分野において高い専門性

を有していることを訪問者に示した.情報を受け取っ

てもらうためには,情報源の信頼感が高いこと,つま

り,専門性の高さと誠実な態度が必要だが,本ウェブ

サイトにその要素を盛り込めたと考えている.

用語解説

専門家以外の方が研究成果の文章を読むときの最初

の障害が専門用語である.用語解説には,語句の解説

にとどまらずその周辺の考え方もまとめて伝達しよう

27

図 3.用語解説ウインドウの例.

左側の本文ウインドウで青い字で示された

J!日号(ここでは iSPMJ) をクリックする

と,用語ウインドウがfiliiffuの右上で聞く.

とする百科事典タイプ(例,食品安全委員会の用語集計

と,文章を読むことに特化した軽い説明が掲載された

国語辞典タイプの,ふたつの方法がある.本サイトは

後者の方法を採用した.用語解説自身に内容の説明を

含めすぎて,訪問者が本文を読み進むリズムを崩して

しまう恐れがあるからである.研究成果の説明文に使

われているすべての専門用語をクリックすると,用語

解説ウインドウが聞き,簡単な解説を読むことができ

るようにした(図 3).本文ウインドウと用語解説ウ

インドウを重ならないように表示できるので,用語解

説ウインドウを聞いたまま本文を読み進めることがで

きる.

よくある質問

専門家以外の方にとって未知の新技術は,期待と裏

腹に,大きな不安も感じさせるので,ナノトライ 3'の

ミニ ・コンセンサス会議でまとめられた「鍵となる質

問」のような,専門家が答えにくいさまざまな質問が

発せられる.しかし,食品ナノテクノロジーが社会に

受容され,理想的な形で推進されるようにするために

は,専門家は誠実にこれらの質問に答えなければなら

ない.答えないことは,自分たちに不都合なことが秘

諸に進められていると専門家以外の方に感じさせるか

らである.

食品ナノテクノロジープロジェクトでは, Iよくあ

る質問」にあえて専門家が答えにくい質問を取り上げ,

プロジェクトリーダーが現状の知識をベースに正直に

答えている.例えば,

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9・・・・・・E 商 事E司

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食品ナノテク ノロジープロジ x? ト

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印刷脹{PDF)

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封印情報(回内卦出動向)

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也外l~j量

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ナノテヲノロジーの賞品応用への研究が加速しているが英国のU回.'C"nit¥'

rJf$tAndrt明の研究ブルーブが宜品、 oIE医療への応用が期再で曹

る可宜ナパ恥書を観威することに成司1た.著者の一人である'Jo阻><1"

Sb\\"úll~j呈はすヘての情造は可宜昔日守h、らなってL るので、宜品~*品

局のナA1T4としての特別の許可も不要たという.可宜ナノ1再選は安主で

安定したナノスケールの結品構造で lJマ屯カブセル封入力'可能たという.

論文11 Anre¥',岨dtcCh('l阻に掲敵された.

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.司,.. 民会均.. 'ò ì.l I~ t- , fòHt l!c-J. pl:<~問、m,oょh'ó:fPm!・ .:rC,iC.. fFf:-;¥...m・.辺

.f'['、・JJl;:jIi目。食品1ift.i!!:5:(:OlO.9.J)

9月!日わら実固の食品行政が大きく変わる.宜品行政の権限由幸〈が貴

ペ ~:Ja;手されました @ インタ+ネgト '''11モード曹"・ - 、山h 1・-

図 4"印刷版のダウンロード

トップページを始め、研究紹介などのペー

ジから、印刷版 (PDF) をダウンロードで

きるようにしてある.

図 5. 国内外の情報のページ

PEN News Letterより、食品ナノテクノロ

ジーに関係する記事を転載している.

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品ナノテクノロジーに関する記事を本サイトに転載し

ぞるぞるど Fの消佑器系が£呂をナノfとす-3システふ ている(図 5) 3)

だという尼才がで3ます. 二txるってナノ加工LJ..:

食dZ と,ぞラでない主主fJ?'~食べたとさに, λ併に若 利用状況

いは主主 ι4るのでL.tうがミ P

という問に対して,単に情報がないと答えるのではな

く,

通常定点の場合j二ti,経口買収Lt..:n受,ゆっぐりと

fjij {,とがif1み, h野管で吸収5れることにと去ります. ナ

ノ主主点の消ft吸収についての研究データはまだと必寸い

ですが,fi%とされたのと月荘'度のサイスの貧弱β'jjPJー

に到達すぶため,吸収不ti通常食dZに比べて高ぐと土

ぶことがデ/3されます.

とひとつの考え方を示すことにした.決着の付いてい

ない問題に対して,従来は客観性を重視してコメント

しないことが多かったが,本サイトでは,なぜこの研

究を推進したいのかという思いを示すためにプロジェ

クトリーダーが一歩踏み込んで答えることにした.

印刷版

食品ナノテクプロジェクトの研究成果を読みたいと

き,必ずしもインターネットに接続されたパソコンの

前にいるとは限らない.そのような場合に対応するた

めに,印刷して利用できる PDFファイルを提供して

いる(図 4).これは各ページ(個別研究課題)に対

応したパンフレットのようなものと,全体をとりまと

めた報告書のような形式のものがあり,資料として適

宜利用できるようにした.

外部情報(リンク集, PENから抜粋)

専門家以外の方にとって重要な情報は,食品ナノテ

クプロジェクトの研究成果だけではない.プロジェク

トの背景となる,世界の研究状況,各国のナノテクノ

ロジーに対する対応なども興味の対象である.そこで,

関係する国内外の諸機関やそれらが発行した報告書の

リンク集を充実させた. 8月25日現在で,国内20機関,

国外17機関,報告書等27件をリストアップしている.

また,独立行政法人産業技術総合研究所ナノシステム

研究部門の許可を受け, 2010年10月よりナノシステム

研究部門発行の IPENNews LetterJに掲載された食

2010年 8月10日にウェブサイトを公開した後 9月

30日までの訪問数は469件(図 6),サイト内のページ

の閲覧数は1198回(図7)であった(解析方法は補足

で記述した).この中には PDFファイルのダウンロー

ド数も含まれている.図 8はどのような情報が訪問者

に見られているかを示したグラフである.全閲覧数の

うち,食品ナノテクノロジープロジェクトの研究情報

が約 4割を占めており,研究内容に興味を持っている

人が多く訪問していることがわかった. PDFファイ

ルのダウンロードは 2割で,著者らの期待どおり資料

として活用する人が多いことを示している.また,

FAQ,用語集,リンク集というコンテンツからなる外

部情報(解析期間には国内外の情勢は掲載されていな

かった)の閲覧も 14%あり,本プロジェクトの背景と

なる情報にも興味を持たれていることがわかった.参

照元(訪問者が直前に閲覧していたページ)を集計し

たところ, I食品ナノテク」など適当な検索語を使っ

て検索サイトから食品ナノテクノロジープロジェクト

サイトを訪問した人が 6割以 tだ、った(図 9).一方,

個人のブログなど食総研サイトや検索サイト以外のサ

イトを経由した訪問はなかった.この結果は,食品ナ

ノテクノロジープロジェクトサイトが開設されて聞が

ないため,世間にほとんど知られていないことを示し

ている.

補足:アクセス解析の方法

食品総合研究所サイトのアクセスログファイル

(2010年 8月分 9月分)から,食品ナノテクノロジー

プロジェクトサイトのページ‘へのアクセスログを抽出

した.抽出条件は表 1のとおりである.その後,食総

石汗からのアクセス(ホスト:150.26.17.0/24,150.26.

147.0/24) を除外した.さらに,表 2の条件を満たす

ものを検索エンジンのロボットからのアクセスとみな

し,除外した.同じホストが30分未満に食品ナノテク

ノロジーサイトのページをアクセスした場合は同一セ

ッション(1回の訪問)と考えた.これらの操作は,

MS-ExceI2007にログデータを取り込み, VBAで作成

したプログラムにより実行した.

なお,ここで使用したアクセス解析に関する用語を

表 3にまとめておく.

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30

3D

25

訴 2JF

i L

泊 15e 回~ 13

8/9 3/16 8/23 8130 9/6 9/13 ~/lO

日付

9/27

図 6. 1日の訪問数

2010年 8月10日から 9月30日の期間の 1

日に食品ナノテクノロジープロジェクトサ

イトを訪問した件数を示した. 問じIPア

ドレスからのアクセスであっても, 30王子関

以上アクセスがなかった場合は別の訪問と

してカウントした.

J:ピ11t.j 1-=

Tjj illJ山JEll司~I占iEL図7. 1日の閲覧ページ数

2010年8月10日から 9月30日の期間の 1

日に食品ナノテクノロジープロジェクトサ

イトに含まれるすべてのページの閲覧数を

示した.E/9 8/16 8/23

その他

1%

8/30 Sj6 9/13

日付

6%

図8.情報の種類別に分けた閲覧数の割合

ウェブサイトのページをち トップページーイベント情報、

本プロジ、エクトに関する研究成果の解説などの研究情報,

本プロジ‘ェクト以外の情報,その他(サイトマップなど)

に分類し,閲覧数を集計した.用語解説ウインドウの閲覧

は含まれていない.

今後の課題

ウェブサイト利用者の信頼を高めるには,研究情報

や外部情報をできるだけ頻繁に更新七ていくことが望

0/20 9j'27

他のサイ

図 9. 参照元の割合

参照元をち情報なし(直接アクセスを含むし食総研サイ

ト,検索サイト,他のサイトに分類し,訪問数を集計した.

ましい5) そのためには,次の機能を実施できる仕組

みづくりが必要である.

①研究担当者からプロジェクトリーダーにタイム

リーに研究情報が集められる.

② プロジ、ェクトリーダーに集積された情報がウェブ

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表 1. 食品ナノテクノロジープロジェクトサイトのアクセス口グ抽出条件

リクエスト

(GET/yakudachi/foodnanotech/から始まる)AND ((htmlファイル)OR (pdfファイル))

ステータス

200・リクエストが成功

表 2.検索工ンジンのロボットの条件

(ユーザーエージェントに下記の文字列を含むもの)OR (情報がないもの)

“abby “Baidelmagespider" “Baiduspider" “BlinkaCrawler" “Buttertly" “CatchBot" “Cityreview Robot" “Comodo

Certificat巴s-Spider" “discobot" “Dotbot" “DotBot" “eGovRobot""“Exabot" “Gaisbot" “Google D巴sktop" “google-s巴arch"

“Googlebot" “Hyp巴rRobot" “ia_archiver" "ICC-Crawler" “ichiro" “kmbot" “L. webis" “librabot" “libwww-perl "“Mail.

Ru" “MJl2bot" “MLBot" “msnbot" 白 mxbot" “ndl-dnavi-japan" “N巴tcraftSurveyAgent" “NjuiceBot" "Nutch" “Oc巴lli"

“psbot" “Pur巴bot" “Speedy Spider" “t巴nteki・ org “Toata dragostea" “TurnitinBot" “TweetmemeBot" “Twiceler" “Twitt巴ト

bot" “Voyager" “VSIDX crawl巴r" "vspider" “webcollege" “WebCompass crawler" “WhatsUp" “WordPress" “WWW

Document" “WWWC" “Y ! J-BRI" “Yahoo ! Slurp" “Yandex" “Yeti"

表 3.アクセス解析に関係する用語の説明

月3 号1i"口 明説

アクセスログ ウェブサーバがおこなった動作をウェブサーバ白身が記録したもの.食総研サーバでは,ホスト(ア

クセス者の IPアドレス),日時,リクエスト(動作要求の内容),ステータス(成功/エラー情報),

サイズ(転送したファイルサイズ),参照元(アクセス者が直前に見ていたページ),ユーザーエージ

ェント (アクセス者カ刊誌!用しているブラウザ)を言己主主している.

検索エンジン インターネット上に存在するウエブページや画像ファイルなどを検索する機能.ロボット裂検索エン

(ロボット) ジン,ディレクトリー型検索エンジンなどがある.ロボット型検索エンジンでは,インターネット上

の文書や画像を周期的に取得し,データベース化するロボット(クローラ,ポット,スパイダーなど

とも呼ばれる)が使われている.

関覧 特定のウェブページにアクセスする行為.ページビューとも言う.

訪問 特定のウェブサイトに含まれるページを連続して閲覧する場合を,そのウェブサイトへの訪問として

いる.セッションとも言う.

サイト編集チームにも自動的に共有される.

① どの情報が掲載されるべきか常時判断できる.

また,食品ナノテクノロジープロジェクトの研究課

題の中で,どの課題の注目度が高いのかなど,社会の

要請をアクセス解析によって推定することができるか

もしれない6) このような情報を求め,今後もアクセ

ス解析を続けていく予定である.

謝辞

PEN News Lett巴rからの転載を許可していただいた,

独立行政法人産業総合研究所ナノシステム研究部門に

感謝します.

要 約

ナノテクノロジーの発展は期待されているが,一方,

社会にデメリットをもたらすかもしれない.そこで,

研究の初期の段階から,専門家でない人も含めて社会

全体で関わりを持ちながら,研究開発を推進していこ

うという考え方が強くなっている.その流れに沿って,

食品ナノテクノロジープロジェクトの研究成果を一般

の方に知ってもらうためにウェブサイトを開設した.

専門家でない一般の方にも研究内容と周辺情報をわか

りやすく提供し,食品ナノテクノロジーの価値を理解

していただくことを目的としている.ここでは,その

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目的のためにウェブサイトに組み込んだ次の項目につ

いて工夫した.

① 研究成果の説明に対して信頼感を高めるために,

研究担当者の氏名を記載し,論文リストを付記した.

② 研究成果の説明を読みやすくするために,用語解

説ウインドウを工夫した.

① 研究者が隠し事をしていないことを示すために,

「よくある質問Jで決着の付いていない答えにくい

問題にも回答した.

④ まとまった資料としても利用できるように,印刷

版 (PDF) を準備した.

① 周辺情報にアクセスしやすくするために,外部情

報(国内外の情報とリンク集)を充実させた.

参考文献

1) 三上直之,杉山滋郎,高橋祐一郎,山口富子,立

川雅司, 1上流での参加」にコンセンサス会議は使

えるか,科学技術コミュニケーション, no.6, pp.34

-49 (2009)

2 )食品安全委員会, 1食品の安全性に関する用詩集

(第 4版)j, 2008年10月, http://www.fsc.go.jp/yougoshu

fsc.pdf, (2010年10月14日アクセス)

3) CoSTEP,ウェプサイト INanoTRI(ナノトライ )j,

http://costep.hucc.hokudai.ac.jp/nanotri/index.php, (2010

年10月13日アクセス)

4 )ナノテクノロジ一戦略室,ウェブサイト「産業技

術総合研究所ナノシステム研究部門:ナノテク戦略

室j,http://unit.aist.go.jp/nri/nano-plan/index.html, (2010

年10月14日アクセス)

5) B. J.フォッグ,実験心理学が教える人を動かす

テクノロジ,日出~BP 宇土, ISBN4-8222-8246-5, 2005

年発行

6 )曲山幸生,七里与子,宮ノ下明大,今村太郎,ア

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度,農業情報研究, vol. 19, no.1, pp.1-9 (2010)