資源メジャーの最新生産動向(2015年7~9月)...

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2016.1 金属資源レポート 1 価格の役割 今から四半世紀ほど前の1990年代初頭、ゴルバチョフ大統領のもと「ペレストロイカ」「グラスノスチ」を断行した ソ連が崩壊した。この時、軍需が激減したこの国から余ったアルミニウムが大量に西側諸国へ流れ込んだことを知る 向きは今ではあまり多くないかもしれない。結果としてアルミニウム価格は1993年11月、「1,040.5 US$/t(LME3ヶ 月物)」まで下落、とうとう史上最安値を記録することになる。当時、国内のアルミ輸入価格は円高もありキロ当た り単価が「百数十円」となったのだが、重さでいうと当時ペットボトルで売り出されはじめていた「ミネラル・ ウォーター」、いわゆる「水」より安価な金属になってしまったのだからこれは衝撃的な出来事であった。 当然ながら生産コストを下回る市場価格に、大手を初め世界の製錬企業は悲鳴をあげた。そんなある日のこと、 ついに大手生産者(欧州連合、中東、米国、豪州、ロシア等)らの呼びかけによるアルミ産業史上最大の「協調減 産」が実施されるに至ったのは1994年1月のことであった。 当時、世界のアルミニウム地金生産量は今日の半分以下の約2,000万 t 強。これに対し年間100万 t 強の規模で段階 的に行われた協調減産は需給に十分なインパクトを与え、シナリオ通りに価格は上昇し1995年1月には2,000US$/t 台 まで回復することになる(その後、米国により独禁法提訴され公式には協調関係はなくなっている)。 さて、資源ブームが去り、どこを見ても反転する兆しのない相場が続く中、この業界では引き続き一部の鉱物で は増産をすすめる資源メジャーがいる。その一部の鉱物とは彼ら自身がそれぞれコストアドバンテージを持つセグメ ントである「鉄鉱石」や「銅」「ボーキサイト(アルミ)」といったもの。この機に寡占化を進め、短期的には痛むが中 長期的に優位性を高めるため一気に勝負に出るという算段のようだ。 「寡占化」は明らかに資源メジャーの戦略の一部になった今、非資源国ながら高い技術と経験を武器に、多種な金 属における製鋼・精錬大国とも言える我が国としては、価格が安くなっているからといってこれらの動きは看過でき ない。価格が価格の役割を失ってしまっている今こそ、寡占化の先に起こる事態を見据え、資源確保についてもう一 度考え直すべき時期ではないだろうか。 話は戻るが、アルミニウムは先の資源ブームの時、銅やニッケルの価格がまるで「イカロス」のようにどんどん舞 い上がるのを横目に少し距離をおいていた(おかざるを得なかった)。そして今得ているのは、「安定した価格」とい う優等生のレッテルだ。かつて「LMEで価格が上下する以上、我々自動車業界が鉄の代わりにアルミを大量に使う ことなどないだろう」と言っていた米国のビッグスリーでさえ、環境問題に起因した軽量化を迫られ、こぞってアル ミニウムに群がり始めた。これはこれで価格が価格の役割を担った一例でもある。 調査部金属資源調査課 資源メジャーの最新生産動向(2015年7~9月) 資源メジャー株価とダウ・ジョーンズ工業株価指数の推移(JOGMEC作成) (548)

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レポート

資源メジャーの最新生産動向(2015年7〜9月)

2016.1 金属資源レポート 1

価格の役割今から四半世紀ほど前の1990年代初頭、ゴルバチョフ大統領のもと「ペレストロイカ」「グラスノスチ」を断行した

ソ連が崩壊した。この時、軍需が激減したこの国から余ったアルミニウムが大量に西側諸国へ流れ込んだことを知る向きは今ではあまり多くないかもしれない。結果としてアルミニウム価格は1993年11月、「1,040.5 US$/t(LME3ヶ月物)」まで下落、とうとう史上最安値を記録することになる。当時、国内のアルミ輸入価格は円高もありキロ当たり単価が「百数十円」となったのだが、重さでいうと当時ペットボトルで売り出されはじめていた「ミネラル・ウォーター」、いわゆる「水」より安価な金属になってしまったのだからこれは衝撃的な出来事であった。当然ながら生産コストを下回る市場価格に、大手を初め世界の製錬企業は悲鳴をあげた。そんなある日のこと、

ついに大手生産者(欧州連合、中東、米国、豪州、ロシア等)らの呼びかけによるアルミ産業史上最大の「協調減産」が実施されるに至ったのは1994年1月のことであった。当時、世界のアルミニウム地金生産量は今日の半分以下の約2,000万t強。これに対し年間100万t強の規模で段階

的に行われた協調減産は需給に十分なインパクトを与え、シナリオ通りに価格は上昇し1995年1月には2,000US$/t台まで回復することになる(その後、米国により独禁法提訴され公式には協調関係はなくなっている)。さて、資源ブームが去り、どこを見ても反転する兆しのない相場が続く中、この業界では引き続き一部の鉱物で

は増産をすすめる資源メジャーがいる。その一部の鉱物とは彼ら自身がそれぞれコストアドバンテージを持つセグメントである「鉄鉱石」や「銅」「ボーキサイト(アルミ)」といったもの。この機に寡占化を進め、短期的には痛むが中長期的に優位性を高めるため一気に勝負に出るという算段のようだ。「寡占化」は明らかに資源メジャーの戦略の一部になった今、非資源国ながら高い技術と経験を武器に、多種な金属における製鋼・精錬大国とも言える我が国としては、価格が安くなっているからといってこれらの動きは看過できない。価格が価格の役割を失ってしまっている今こそ、寡占化の先に起こる事態を見据え、資源確保についてもう一度考え直すべき時期ではないだろうか。話は戻るが、アルミニウムは先の資源ブームの時、銅やニッケルの価格がまるで「イカロス」のようにどんどん舞

い上がるのを横目に少し距離をおいていた(おかざるを得なかった)。そして今得ているのは、「安定した価格」という優等生のレッテルだ。かつて「LMEで価格が上下する以上、我々自動車業界が鉄の代わりにアルミを大量に使うことなどないだろう」と言っていた米国のビッグスリーでさえ、環境問題に起因した軽量化を迫られ、こぞってアルミニウムに群がり始めた。これはこれで価格が価格の役割を担った一例でもある。

調査部金属資源調査課

資源メジャーの最新生産動向(2015年7~9月)

資源メジャー株価とダウ・ジョーンズ工業株価指数の推移(JOGMEC作成)

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レポート

資源メジャーの最新生産動向(2015年7〜9月)

2016.1 金属資源レポート2

価格の下落に歯止めがかからない中、各社は「聖域」としていた配当の停止や資産の売却、人員削減などを次々に表明し始めている。特に厳しい局面にさらされているのがGlencore、そしてそれを追うようにAnglo Americanが芳しくない。

資源メジャーの中では最も早く「低価格時代」に備え、打ち手(South32へのノンコア切り出し等)を断行したBHP Billitonは、その当初こそ他メジャーと株価の動向に違いが見られたが、コア事業として残したコモディティー(銅、鉄鉱石、原料炭)の価格でさえ予想していた以上に下降線を辿り続けていた最中、ブラジルのSamarco鉄鉱石鉱山にて大規模なダム決壊事故を起こしてしまったことは、パートナーであるValeとともに、この局面では相当な痛手となった。そのような中、Rio Tintoだけが豪州のボーキサイト権益の拡張事業(QLD州北部)で19億US$の大型の追加出資

を承認している(その後、モンゴルのOyu Tolgoi向けに44億US$の資金確保も発表)。その背後には中国がいるようだ。アルミ製錬で世界中のボーキサイト(およびアルミナ)を爆食している中国はアルミニウムの生産量世界第一位、全世界の半分以上に相当する。自国消費分を大きく超える過剰な生産キャパをもっており、いつ西側諸国に流入しはじめるのかと懸念されている。その中国がインドネシアによる鉱石輸出禁止政策でマレーシアに依存先を変えていたが、そのマレーシアも埋蔵

量の少なさに加え、採掘時にでる赤土による粉塵公害の問題もあり、あと数年ももたない。Rio Tintoは地理的にも近い中国のアルミ生産を「今後もしっかり支えましょう」ということのようだ。

銅や鉄の需要がさえない理由のひとつに価格が低位安定しているアルミニウムへの素材代替がある。もう協調減産は出来ないのだが。

以下、2015年第3四半期のメジャーの生産動向である。

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レポート

資源メジャーの最新生産動向(2015年7〜9月)

2016.1 金属資源レポート28

原油の生産量は57%増の8.0 Mbblとなったが、これにはチャドのBadilaおよびMangaraでの増産が影響している。掘削計画は、短期的な現金支出を削減しつつ長期的な価値の維持を目的に、当初より大幅に修正された。 Pasar(フィリピン)の銅の製錬所には新規設備が投入され、約330,000tへの生産拡大に向けて現在ランプアップ中である。

銅減産方針について Katanga及びMopani(いずれも銅)のプラントの停止と再開が完了した。 現在進行中のKatangaオペレーションは、公表がなされた9月7日の後に停止され、今後2015年と2016年のうちに追加的な銅生産は見込まれないだろう。本計画のもとでは、2017年の半期中に段階的に再開とランプアップをする。 Mopaniでは最適化に関する調査が終了し、スメルターは通常よりも低い水準で、あるいは外部との長期精鉱契約に沿って運転する。最大生産能力をもって運転するために、主にSynclinoriumとMopani Deepsプロジェクトからの自社生産を行う。2017に予定していた新しいコンセントレーターへの投資は延期するが、先のプロジェクトが完了した後2018年度に再開する。 9月7日に述べたように、こうした変更は当初の計画に比べ、18か月にわたって約400,000tの銅生産の減少が見込まれるであろう。Katangaの段階的な再開とMopaniの延期により、2017年末までには455,000tの見積もりとする。したがって、2015年度の予想銅生産は減少する。

亜鉛減産方針について 亜鉛と鉛の価格下落に伴い、Glencoreの収益価値を安定させるため、価格値が正常に戻るまで500,000t/年の亜鉛及び100,000t/年の鉛生産を削減することにした。 10月9日に公表があったとおり、この方針により2015年度の亜鉛生産及び鉛の生産量を、それぞれ100,000tと50,000tに減らす予定。

財務ハイライト Glencoreの債務削減計画(9月7日公表)、及び資金調達(10月6日の報告書より)に加え、我々は2016年度末までに少なくとも約20BUS$の債務を削減する方策を以下に記す。・ 9月16日に株式による資金調達から2.5BUS$ 。・ 2015年の最終配当及び2016年の中間配当の取りやめにより、2.4BUS$。・ 貴金属のストリーミング取引(現物後渡し契約)により、0.9BUS$。追加のストリーミング取引も現在進行中であり、年末に向けて公表予定である。・ 農業事業においては少数株主に対する売却を開始しており、Lomas BayasとCobarの銅事業に関しても同様である。・ ワーキングキャピタル、長期借入と先払い、そして設備投資の削減に取り組んでいる。 9月30日時点での資金調達枠は13.9BUS$に増加した(6月30日時点では13.8BUS$)。純資産の増大(株式資産の発行、及び中間配当の削減)に加え、当期に亘って現行事業と在庫引き出しが順調であったことによる。・ 資金調達及び債務はそれぞれ、年末までに40BUS$と25BUS$を目標にしており、2015年6月30日及び2014年12月31日の数値と比較し、約15%から20%減少している。 2015年9月30日の報告より・ 1.95BUS$相当の3種類の社債が償還された。・ 400MUS$相当の社債(2016年と2017年の満期で)が発行された。

我々は2015年を通して、EBITの方針を2.5BUS$から2.6BUS$へ調整してきた。マーケティングは順調であり、特に金属、鉱物、農業製品の分野に強く貢献した。 投資家向けの総会は2015年12月10日に開催する予定であり、2016年から2018に向けた当グループの事業やCAPEX、コストについて最新のコメントがなされる。詳細は近日中に公開予定。

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レポート

資源メジャーの最新生産動向(2015年7〜9月)

2016.1 金属資源レポート 31

African copperKatangaの自社生産量は113,700tとなり、前年同期

と同量であった。今年度始めの増産分は9月中の操業停止により相殺された。Mutandaでは161,000tとなり、一年を通して好調で

あったために前年同期比10,400t(7%)の増加となった。Mopaniの自社生産量は79,300tとなり、前年同期と

同量であった。コバルト生産は14,1000tとなり、Katangaでの回収

率が向上したため、前年同期比1,000t(8%)増となった。

Collahuasiグループ持分の生産量は138,000tであり、前年同期

比15,600t(10%)減となった。これは2月のミルの定期保守点検と、当期における粉砕工程の停止によるものであるが、一部はパフォーマンスと品位の向上により相殺された。

Antaminaグループ持分の生産量は93,200tであり、前年同期

比5,100t(6%)増となった。銅の生産量の増加は、主に本プラントにおいてボトルネッキング解消を行い、品位と回収率が向上した結果、年間を通して高い生産率を維持してきたことによる。亜鉛の生産量は59,700tであり、前年同期比7,900t(15%)増となった。

その他の南米事業銅の生産量は246,000tであり、前年同期比12,100t

(5%)減となった。予想どおりAlumbreraが操業終了間近であり(33,600tの減少)、低品位、また多様な品位の生産が見込まれる。一部Antapaccay(23,000tの増加)での生産に相殺されたが、当該プラントではTintayaが5月の再開後に最大生産能力で操業していることなどが影響している。

Australia自社生産量は187,700tであり、前年同期と同量であ

る。外部生産を含めた総生産量は253,000tであり、前年同期並みである。産金量は66,000ozとなり、Emest Henry鉱山の品

位向上により前年同期比20,000oz(41%)増となった。

カスタム・スメルター銅カソード生産量は、前年同期と変わらず312,000t

となった。2014年にはPasar製錬所が台風Haiyanの影響で一時生産を中止していた。当期にはPasarの定期ターンオーバーが行われ、製錬所を約330,000t/年の生産能力にするランプラップに順次取り組んでいる。

銅アノード生産量は380,000tとなり、2014年にAltonorteで行われた定期保守点検のため、前年同期比12,700t(3%)増となった。

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