京都府立医科大学における 男女共同参画の取り組み

京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・代謝内科学 牛込恵美

平成29年11月11日 第54回日本糖尿病学会近畿地方会 ワークショップ「女性糖尿病医をpromoteする委員会企画」

日本糖尿病学会 ＣＯＩ開示

発表者名：牛込恵美、福井道明

演題発表に関連し、開示すべきCOI関係にある企業などはありません。

京都出身 平成15年 京都府立医科大学卒業 家族：主人（外科医） 息子3人（7歳、3歳、2歳）

自己紹介

Japan Medical Association 6 日本医師会調べ

76.3 74.8 73.7 74.4 70.3 69.4 68.2 69.2 66.2

66.2 66.3 67.3 66.6 65.5 65.8 66.8 67.5 68.2 67.3 68.2

23.7 25.2 26.3 25.6 29.7 30.6 31.8 30.8

33.8 33.8 33.7 32.7 33.4 34.5 34.2 33.2 32.5 31.8 32.7 31.8

0.0%

20.0%

40.0%

60.0%

80.0%

100.0%

H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

男 女

医師国家試験合格者の男女比

Japan Medical Association 7 厚労省「医師・歯科医師・薬剤師調査」

240,908 248,611

255,792 262,687

270,371

277,927 286,699

295,049

303,268

32,259 35,008 36,852 41,139 44,628 47,929 51,997 55,897 59,641

13.4

14.1 14.4

15.7 16.5

17.2 18.1

18.9 19.7

0.0

3.0

6.0

9.0

12.0

15.0

18.0

21.0

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

H8 H10 H12 H14 H16 H18 H20 H22 H24

（％） （人） 医師総数

女性医師数

構成割合

女性医師数の推移

Japan Medical Association 8

厚労省「医師・歯科医師・薬剤師調査」平成２４年

289

16,771

22,514 24,260

27,096 29,136

31,375 28,492

22,886

13,382

9,132 7,974 5,812

4,508 194

9,212

10,677 9,434

8,007 6,392

5,116

3,795

2,431

1,474

838 660

681 730

0

10,000

20,000

30,000

40,000

24歳以下 25～29 30～34 35～39 40～44 45～49 50～54 55～59 60～64 65～69 70～74 75～79 80～84 85歳以上

女

男

年齢階級別医師数の男女比

Japan Medical Association 9

「医師・歯科医師・薬剤師調査」平成２４年 ～主たる診療科より

※内科（呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、腎臓内科、神経内科、糖尿病内科、血液内科、感染症内科含む）、皮膚科（アレルギー科含む）、精神科（心療内科含む）、外科（呼吸器外科、心臓血管外科、乳腺外科、気管食道外科、消化器外科、肛門外科、脳神経外科、小児外科含む）、整形外科（リウマチ科含む）、形成外科（美容外科含む）、産婦人科（産科、婦人科含む）、その他（リハビリテ―ション科、放射線科、麻酔科、病理診断科、臨床検査科等）

83.7

56.2

66.3

78.6

93.3 95.0 94.6

74.1

62.5

80.0

68.5 71.7

83.5

16.3

43.8

33.7

21.4

6.7 5.0 5.4

25.9

37.5

20.0

31.5 28.3

16.5

0%

50%

100%

内科 皮膚科 小児科 精神科 外科 泌尿

器科

整形

外科

形成

外科

眼科 耳鼻

咽喉科

産婦

人科

その他 不祥

女

男

診療科別男女別 医師割合

Japan Medical Association 10

内閣府「男女共同参画白書」平成２３年

※労働力率・・・１５歳以上に占める労働力人口（就業者＋完全失業者）の割合。

※米国の「１５-１９歳は、１６～１９歳。

※日本は総務省「労働力調査（詳細集計）」（平成２２年）、その他はILO「LABORSTA」より作成。

※日本は平成２２年（２０１０年）、韓国は平成１９年（２００７年）、その他の国は平成２０年（２００８年）時点の数値。

女性の年齢階級別労働力率（国際比較）

Japan Medical Association 11

内閣府「男女共同参画白書」平成２３年

※労働力率・・・１５歳以上に占める労働力人口（就業者＋完全失業者）の割合。

※米国の「１５-１９歳は、１６～１９歳。

※日本は総務省「労働力調査（詳細集計）」（平成２２年）、その他はILO「LABORSTA」より作成。

※日本は平成２２年（２０１０年）、韓国は平成１９年（２００７年）、その他の国は平成２０年（２００８年）時点の数値。

女性の年齢階級別労働力率（国際比較）

日本では、出産、育児を機に労働市場から退出する女性が多い。（M字カーブ）

欧米先進諸国では、子育て期における就業率の低下はみられ

ない

Japan Medical Association 12

※医師が２５歳で卒業すると仮定した場合の就業率。

「日本の医師受給の実証的調査研究」（主任研究者 長谷川敏彦）

女性医師の就業率のM字カーブ

Japan Medical Association 13

※医師が２５歳で卒業すると仮定した場合の就業率。

「日本の医師受給の実証的調査研究」（主任研究者 長谷川敏彦）

女性医師の就業率のM字カーブ

卒後11年

京都府立医科大学 卒業生就業実態調査

H18年度以降 H13～H17年度 H8～H12年度 H3～H7年度 S61～H2年度 S60年度以前

アンケート対象者 66 107 81 78 82 87 501回答数(人) 25 40 33 35 31 34 198回答割合(%) 37.9 37.4 40.7 44.9 37.8 39.1 39.5

アンケート対象者 183 256 305 323 356 541 1964回答数(人) 25 59 50 76 89 125 424回答割合(%) 13.7 23.0 16.4 23.5 25.0 23.1 21.6

アンケート対象者 249 363 386 401 438 628 2465回答数(人) 50 99 83 111 120 159 622回答割合(%) 20.1 27.3 21.5 27.7 27.4 25.3 25.2

合計

女性

男性

合計

卒業年度

卒業年数16年目

卒業年数17年目

卒業年数18年目

卒業年数19年目

卒業年数20年目

卒業年数21年目

卒業年数22年目

卒業年数23年目

卒業年数24年目

卒業年数25年目

卒業年数26年目

卒業年数27年目

卒業年数28年目

卒業年数29年目

卒業年数30年目

0% 20% 40% 60% 80% 100%

男性 女性

0% 20% 40% 60% 80% 100%

卒業年数１年目

卒業年数２年目

卒業年数３年目

卒業年数４年目

卒業年数５年目

卒業年数６年目

卒業年数７年目

卒業年数８年目

卒業年数９年目

卒業年数10年目

卒業年数11年目

卒業年数12年目

卒業年数13年目

卒業年数14年目

卒業年数15年目

医育機関 公的病院（医育機関以外）

私立病院（医育機関以外） その他の教育機関

研究機関 診療所 老人保健施設 行政 企業 その他 無職

勤務施設

0% 20% 40% 60% 80% 100%

卒業年数１年目

卒業年数２年目

卒業年数３年目

卒業年数４年目

卒業年数５年目

卒業年数６年目

卒業年数７年目

卒業年数８年目

卒業年数９年目

卒業年数10年目

卒業年数11年目

卒業年数12年目

卒業年数13年目

卒業年数14年目

卒業年数15年目

0% 20% 40% 60% 80% 100%

男性 女性

大学院生 研修医 常勤 非常勤

経営者（開業医など） その他 無回答

卒業年数16年目

卒業年数17年目

卒業年数18年目

卒業年数19年目

卒業年数20年目

卒業年数21年目

卒業年数22年目

卒業年数23年目

卒業年数24年目

卒業年数25年目

卒業年数26年目

卒業年数27年目

卒業年数28年目

卒業年数29年目

卒業年数30年目

身分

Japan Medical Association 17

日本医師会「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」 平成２１年３月

女性医師の休職・離職理由

Japan Medical Association 18

日本医師会「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」平成２１年３月

n=2,918 複数回答あり

女性医師の休職・離職期間

Japan Medical Association 19

日本医師会「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」平成２１年３月

n=7,230

院内保育所・託児所の設置状況①

Japan Medical Association 20

日本医師会「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」平成２１年３月

ある

30.4%（729人）

ない69.6%

（1,668

人）

病児保育・２４時間保育の実施状況

Japan Medical Association 21

女性医師の子どもの保育の現状

Japan Medical Association 22

n=2,843

日本医師会「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」平成２１年３月

院内保育施設の利用状況①

Japan Medical Association 23

41.7

9.1

11.9

16.0

18.6

18.8

19.6

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0

その他

定員枠が少ない

保育プログラムがニーズに合わない

保育時間と勤務時間が合わない

施設までの送迎の負担が大きい

施設の環境などのニーズに合わない

利用制限がある

（％）

院内保育所を利用しない理由

日本医師会「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」平成２１年３月

院内保育施設の利用状況②

Japan Medical Association 24

4.9

33.4

92.6

0.0 50.0 100.0

その他

欠勤

預ける

（％）

n=2,984 複数回答あり

13.6

6.0

20.4

24.2

78.3

0.0 50.0 100.0

その他

友人・知

人

配偶者

ベビー

シッター

親・親族

（％）

n=2,759 複数回答あり

病気や予定外の保育が必要な時 病気や予定外の保育が必要な時の預け先

日本医師会「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」平成２１年３月

子どもの病気や予定外の保育が 必要な時の対応

京都府立医科大学 卒業生に占める女性比率

京都府立医科大学

医学部学生の女性比率は30%前後 大学院生に占める女性比率は25％

H22年～H24度、

文部科学省の科学技術人材育成費補助金

｢しなやか女性医学研究支援‐みやこモデル｣の採択を得る。

男女共同参画センターが開設 ～女性医学研究者の支援事業を推進～

京都府立医科大学 みやこモデル

実施体制

運営委員会

男女共同参画推進センター センター長 副センター長２名 専任事務職員

広報・啓発 WG ・フォーラム等の企画・開催 ・ニュースレター作成 ・HP 運営 ・相談窓口担当

保育室WG （病児保育室 運営委員会） ・病児保育室の運営 ・病児保育室を軸とした 子育て支援・教育研修

在宅支援 WG ・女性支援ネットワーク

・文献オンラインシステム

・テレビ会議システム運営

就労形態検討 WG ・勤務体制・採用枠拡大 に向けた制度設計 ・フューチャーステップ研 究員・研究支援員の採用 ・就業実態調査の実施

キャリア支援コンソーシアム“えん”

実施体制

運営委員会

男女共同参画推進センター センター長 副センター長２名 専任事務職員

広報・啓発 WG ・フォーラム等の企画・開催 ・ニュースレター作成 ・HP 運営 ・相談窓口担当

保育室WG （病児保育室 運営委員会） ・病児保育室の運営 ・病児保育室を軸とした 子育て支援・教育研修

在宅支援 WG ・女性支援ネットワーク

・文献オンラインシステム

・テレビ会議システム運営

就労形態検討 WG ・勤務体制・採用枠拡大 に向けた制度設計 ・フューチャーステップ研 究員・研究支援員の採用 ・就業実態調査の実施

病児保育施設の設置

おむかえ保育の設置

保育園入園待機乳児のための保育施設設置

相談窓口の設置

駐車場確保や再教育プログラム等の環境整備

育児支援のための奨学金制度の設置

女性医学研究者支援センターの設置

女性医学研究者同士の交流の推進

情報窓口の設置

研究支援補助雇用制度の設置

意識啓発の推進

女性教員採用の数値目標の設定

0 20 40 60 80 100 120 人

京都府立医科大学において特に緊急に整備すべき女性医学研究者支援体制

平成２１年度調査（複数回答可；３項目まで）

特に緊急に整備すべき女性医学研究者・医師支援体制 （平成21年度学内調査）

病児保育施設

お迎え保育システム

待機乳児の保育

相談窓口

駐車場確保など環境整備

育児支援の奨学金制度

平成２２年度 文部科学省科学技術振興調整費

女性研究者支援モデル育成事業

京都新聞

平成２３年７月 学内に病児保育室開室

京都府立医科大学 病児保育室「こがも」

面談コーナー

京都府立医科大学 病児保育室「こがも」

隔離室

保育室

総面積 ： 98 m2

定 員 ： 5 人

開室時間： 8:00～17:30

利用料 ： 1時間 500円

0 100 200 300 400

利用児数の日々の変動

当日利用のキャンセル

人件費等採算の問題（赤字）

利用が少ない

病児・病後児をあずかるリスク

病児・病後児に対応できる保育士の確保

病児・病後児に対応できる看護師の確保

利用のニーズが多く断ることが多い

指導医への経費補助が少ない

病児・病後児保育運営において困っている課題 平成25年度 厚生労働科学研究

「病児・病後児保育の実態把握と質向上に関する研究」班

全国病児・病後児保育施設実態調査（平成25年7月）

N=719

利用児数の変動や、児の年齢や状態も配慮した柔軟な受入体制の調整が可能となった。

0

1

2

3

4

5

月 火 水 木 金 月 火 水 木 金 火 水 木 金 月 火 水 木 金

3 4 5 6 7 10 11 12 13 14 18 19 20 21 24 25 26 27 28

１日あたり利用児数 人

地域スタッフ登録システム

１日：保育士

２人体制

必要に応じ

地域スタッフ(保育士)

+

病児保育の課題を克服する実践的取組①

課題①：利用児数の変動

病児保育の課題を克服する実践的取組②

Web予約システム

課題②：キャンセル率の高さ

「念のため予約→キャンセル」

がなく、当日、本当に必要な児が利用できるようになった。

事前登録後、IDとパスワード

確実に利用を決めた時点でweb予約（朝7時まで）

キャンセルする場合も朝7時まで

当日朝7時の予約状況で地域スタッフ保育士の調整

京都府立医科大学「くすのき保育園」

平成２７年１２月 学内に院内保育園 開園

実施体制

運営委員会

男女共同参画推進センター センター長 副センター長２名 専任事務職員

広報・啓発 WG ・フォーラム等の企画・開催 ・ニュースレター作成 ・HP 運営 ・相談窓口担当

保育室WG （病児保育室 運営委員会） ・病児保育室の運営 ・病児保育室を軸とした 子育て支援・教育研修

在宅支援 WG ・女性支援ネットワーク

・文献オンラインシステム

・テレビ会議システム運営

就労形態検討 WG ・勤務体制・採用枠拡大 に向けた制度設計 ・フューチャーステップ研 究員・研究支援員の採用 ・就業実態調査の実施

●研究支援員雇用事業 のべ21名の研究者を支援（基礎６、臨床１５） ⇒論文数4,学会発表4,受賞２,著作1,外部研究費獲得2

●フューチャー・ステップ研究員 短時間 (週28h) の勤務形態で 3 名採用し試行 ⇒ 医学研究の断念を回避、研究を継続 学会発表14, 受賞１, 論文・執筆11, 外部研究費獲得2

勤務時間の明確化・差別化研究支援員配置の効果

特定専攻医

週28時間以下の勤務で

臨床および研究に従事

（2013年8月より実施）

利用者 時間的制約による精神的・物理的困難が軽減、研究が飛躍的に進んだ

研究支援員 実験手法や解析方法を学ぶことができて、自分自身に役立った Win-Win の関係

内訳(延べ21名） 本学 5名 京都府立大学 9名 京都工芸繊維大学 6名 京都大学 1名

就労支援

To our bright future…..

医学博士取得

離職

教育・研究職 女性は医師としての

キャリアパスと研究を

両立しにくい

平成22年 申請時 現在

子育てと臨床医の両立困難

研究継続、ほぼ不可能

医学博士取得

教育・研究職 モチベーション維持

臨床研究の活性化ﾟ

多様性

仕事の質

医学科を卒業した女性医師のキャリアパス

医局 ・後進の女性医師のサポート（4割が女性医師） ・産休体制整備（男性医師の負担に配慮） ・関連病院の雇用形態 大学 ・男女共同参画推進センター CCえん 世話人 ・医学生（文化祭、セミナー、etc.） 学外（勤務医部会総会） 日本糖尿病学会 ・女性糖尿病をpromoteする委員会 委員

～遣り甲斐を感じて働ける環境に～

ご清聴ありがとうございました。