軽んじられた怒り -...

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論文 176) 19 軽んじられた怒り シェイクスピア『じゃじゃ馬馴らし』の考察 外国語学部 英語英文学科 4年 小林 真理 1 以下、チェマリーの英文の日本語訳はすべて本稿執筆者自身のものである。 2 ソラヤ・チェマリーはMirror Award for Best Single Article/Storyの受賞作家、活動家である。文化、政治、宗教、メディアにおけるジェンダー ステレオタイプについて研究している。Women’ s Media Center Speech Projectの代表。2018年、TED talkにて自身の著作に関する講演を行い、 一躍注目を集めた。 3 小林かおり、『じゃじゃ馬達の文化史 シェイクスピア上演と女の表象』、p.58、南雲堂、2007年

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論文 ●

(176) 19

軽んじられた怒りシェイクスピア『じゃじゃ馬馴らし』の考察

外国語学部 英語英文学科 4年

小林 真理

1 以下、チェマリーの英文の日本語訳はすべて本稿執筆者自身のものである。2 ソラヤ・チェマリーはMirror Award for Best Single Article/Storyの受賞作家、活動家である。文化、政治、宗教、メディアにおけるジェンダー

ステレオタイプについて研究している。Women’s Media Center Speech Projectの代表。2018年、TED talkにて自身の著作に関する講演を行い、一躍注目を集めた。

3 小林かおり、『じゃじゃ馬達の文化史 シェイクスピア上演と女の表象』、p.58、南雲堂、2007年

Page 2: 軽んじられた怒り - 神奈川大学human.kanagawa-u.ac.jp/gakkai/student/pdf/i16/1649.pdf論文 (176) 19 軽んじられた怒り シェイクスピア『じゃじゃ馬馴らし』の考察

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4 20年代には女性解放の象徴的な、モダンガールの服装のキャタリーナがだんだんと家庭に落ち着き、30年代や40年代に再流行したコルセットを着用して裾の広いスカートを履くようになる『じゃじゃ馬馴らし』も上演された。

5 小林かおり、『じゃじゃ馬達の文化史 シェイクスピア上演と女の表象』、第二章p.66 、南雲堂、2007年6 Diana E Henderson, p,242, “A Shrew for the Times : Mach Ado About Nothing and The Taming of the Shrew”, New Casebooks,

Basingstoke (2001).

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7 また上記の引用に関して、ショシャナ・フェルマンの『女が書くとき、女が読むとき』の第 二章「女性と狂気」の一部を引用する。 「チェスラー(フィリス・チェスラー『女性と狂気』)は、〈女性心理〉という概念自体に 議論を挑み、〈女性心理〉なるものは、抑圧的な父権制的男性文化の捏造したものであると 言っている。(中略)家庭教育に始まり、その後の成長期を通じて、女性に課される社会的 役割とは、権威を持つ中心的存在としての男性に奉仕することである。女性はその生涯を通じて、娘であり、母であり、妻であらねばならない。」(33-35)

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8 Jean E. Howard, ’’Feminist Criticism’’ from ‘Shakespeare ; An Oxford Guide’ Edited by Stanley Wells, Lena Cohen Orlin, p.413, Oxford University Press, 2013.

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9 [6]Introduction, xvii, Soraya Chemaly, ‘’Rage Becomes Her - The Power of Women’s Anger’’ , Atria paperback, 2018.

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参考文献

● Diana E Henderson, A Shrew for the Times: “ Mach Ado About Nothing and The Taming of the Shrew’’, New Casebooks, Basingstoke (2001).

● Edited by Dympna Callaghan, ‘’A Feminist Companion to Shakespeare second edition’’, WILEYBlackwell, 2016.

● Jean E. Howard, “Feminist Criticism’’from ‘Shalespeare ; An Oxford Guide’ Edited by Stanley Wells, Lena Cohen Orlin, p.413, Oxford University Press, 2013.

● Starring Meryl Streep and Raul Julia, ’’Kiss Me, Petruchio’’ at central park in 1981, Youtube, 2015.

● Soraya Chemaly, ‘’Rage Becomes Her - The Power of Women’s Anger’’ , Atria paperback, 2018.

● William Shakespeare, “ The Taming of the Shrew ’’, Oxford University Press,1990.

● エリザベス・テイラー、リチャードバートン主演、『じゃじゃ馬馴らし』、1967年公開映画

● エリザベート・ゴスマン著、岡野治子(ほか)訳、『フェミニズムとキリスト教』、勁草書房、1984年

● エレイン・ショウォールター編、青山誠子訳、『新フェミニズム批評』、岩波書店、1999年

● 小野良子、「キャタリーナのストーリー ― 『じゃじゃ馬馴らし』を読み直す」、 『桃山 学院大学文学部紀要 英米評論』16号(2001年)、33-50頁

● 小林かおり、『じゃじゃ馬達の文化史 シェイクスピア上演と女の表象』、南雲堂、2007年

● シェイクスピア、ウィリアム著、松岡和子訳、『じゃじゃ馬馴らし』、ちくま文庫、2010年

● ジュリエット・デュシンベリー著、森祐希子訳、『シェイクスピアの女性像』、紀伊国屋書店、1994年

● フィリス・チェスラー著、河野貴代美訳、『女性と狂気』、ユック舎、 1984年

● フェルマン、ショシャナ著、下河辺美知子訳、 『女が読むとき・女が書くとき ― 自伝的新 フェミニズム批評』、筑摩書房、1998年

● 淀川長治総監修、「世界クラシック名画100撰集」より、 メアリー・ピックフォード、ダグラス・フェァバンクス主演、『じゃじゃ馬馴らし』、1929年公開映画

● 若桑みどり『戦争とジェンダー』、大月書店、2005年

● 若桑みどり『象徴としての女性像』、筑摩書房、2000年