大阪市の地域福祉等の向上のための有効性実証検証報告...Ⅰ-4章...

43
1 大阪市の地域福祉等の向上のための有効性実証検証報告 大阪市立大学 公共データ解析プロジェクトチーム 大阪市立大学地域連携センター 20177

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Page 1: 大阪市の地域福祉等の向上のための有効性実証検証報告...Ⅰ-4章 福祉のトランポリン機能の検証 2 都市研究プラザ 教授 水内 俊雄 分析対象である母集団の取り方について

1

大阪市の地域福祉等の向上のための有効性実証検証報告

大阪市立大学

公共データ解析プロジェクトチーム

大阪市立大学地域連携センター 2017年7月

Page 2: 大阪市の地域福祉等の向上のための有効性実証検証報告...Ⅰ-4章 福祉のトランポリン機能の検証 2 都市研究プラザ 教授 水内 俊雄 分析対象である母集団の取り方について

第Ⅰ部 福祉のマグネット、トランポリン仮説を検証する

―3期間の受給開始者を対象にした分析―

Ⅰ-1章 福祉のマグネット、トランポリンをめぐる研究

動向と本分析の狙い

Ⅰ-2章 3期間生活保護受給開始者の基本的特徴

Ⅰ-3章 福祉のマグネット機能の検証

Ⅰ-4章 福祉のトランポリン機能の検証

2

都市研究プラザ 教授

水内 俊雄

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分析対象である母集団の取り方について

2005年 全体男 15,946ケースのうち13,323ケース

全体女 8,179ケースのうち 5,163ケース

2010年 全体男 22,210ケースのうち18,986ケース

全体女 11,202ケースのうち 7,091ケース

2015年 全体男 11,853ケースのうち10,225ケース

全体女 7,321ケースのうち 5,122ケース

Ⅰ-2章 3期間生活保護受給開始者の基本的特徴

3

世帯主だけを抽出し、世帯員データは今回の分析には使用していない

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4.0%

8.2%

8.6%

22.1%

20.9%

18.8%

9.1%

11.7%

12.0%

9.0%

16.5%

13.2%

16.4%

17.9%

14.2%

11.1%

16.9%

13.5%

20.9%

20.7%

20.8%

10.8%

12.5%

13.8%

18.1%

18.5%

18.5%

41.7%

33.7%

23.7%

18.0%

16.4%

11.0%

35.1%

29.0%

19.5%

20.4%

16.6%

23.5%

19.8%

17.9%

19.3%

20.2%

16.9%

22.1%

3.9%

4.3%

10.1%

12.9%

14.3%

22.9%

6.4%

7.0%

14.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

2005年度(n=13323)

2010年度(n=18986)

2015年度(n=10225)

2005年度(n=5163)

2010年度(n=7091)

2015年度(n=5122)

2005年度(n=18486)

2010年度(n=26077)

2015年度(n=15347)

男性

女性

全体

~34 35~44 45~54 55~64 65~74 75~

539

1561

881

1140

1484

963

1679

3045

1844

1196

3126

1350

847

1272

729

2043

4398

2079

2788

3928

2129

560

885

3348

4813

2836

5561

6403

2427

930

1166

6491

7569

2988

2719

3151

2407

1020

1267

990

3739

4418

3397

520

817

1031

666

1017

1172

1186

1834

2203

0 5000 10000 15000 20000 25000 30000

2005年度

2010年度

2015年度

2005年度

2010年度

2015年度

2005年度

2010年度

2015年度 男性

女性

全体

~34 35~44 45~54 55~64 65~74 75~

4

図表Ⅰ-2-1 年度・性別ごとの年齢構成

2-(1) 男女別・年度別 年齢構成の特徴と推移

実数と%値の見え方が異なることは要注意、

2010年は異常値か?

年齢構成では、男女でかなり異なり、高齢化の傾向は男女ともみられるが、男子では若年層がシェアを増し、女子では後期高齢者の増加が目立っている。いずれも2010年は異様に突出したが、男子は特に2015年は2005年に比しても減っている。

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2.5%

12.1%

0.0%

5.5%

0.2%

0.1%

0.4%

0.8%

0.9%

5.2%

0.5%

1.2%

0.6%

4.2%

0.8%

7.9%

0.0%

0.0%

1.0%

6.1%

11.9%

28.2%

0.0%

1.9%

0.6%

0.6%

7.9%

1.3%

1.5%

4.3%

0.9%

2.8%

1.2%

14.4%

4.2%

10.2%

0.2%

0.0%

1.8%

3.5%

12.0%

0.0%

4.5%

0.3%

0.3%

2.5%

1.0%

1.1%

4.9%

0.6%

1.7%

0.8%

7.0%

1.7%

8.6%

0.1%

0.0%

1.2%

0% 10% 20% 30% 40%

市外からの転入

市内転入

世帯主の傷病

世帯員の傷病

急迫保護で医療扶助単給

要介護状態

働き手の死亡

働き手の離別・不在

定年・自己都合による失業

勤務先都合(解雇等)による失業

老齢による就労収入の減

事業不振・倒産

その他の働きによる収入の減

社会保障給付金の減少・喪失

貯金等の減少・喪失

仕送りの減少・喪失

その他

出生(異動区分)

転入(異動区分)

世帯復帰(異動区分)

世帯員の傷病(異動区分)

2005年度

男 (n=13323) 女 (n=5163) 全体 (n=18486)

48.3%

失業関連 男:8.6% 女:9.3%

4.3%

17.8%

27.8%

0.0%

5.3%

0.2%

0.1%

0.5%

4.8%

7.1%

3.7%

1.3%

7.1%

0.6%

6.6%

1.0%

10.8%

0.0%

0.0%

0.0%

0.9%

6.1%

15.8%

19.2%

0.1%

2.6%

0.8%

0.5%

8.0%

3.2%

3.7%

4.4%

1.0%

4.8%

0.9%

13.6%

4.0%

9.9%

0.0%

0.1%

0.0%

1.4%

4.8%

17.3%

25.5%

0.0%

4.5%

0.4%

0.2%

2.5%

4.4%

6.2%

3.9%

1.2%

6.4%

0.7%

8.5%

1.8%

10.6%

0.0%

0.0%

0.0%

1.0%

0% 10% 20% 30% 40%

市外からの転入

市内転入

世帯主の傷病

世帯員の傷病

急迫保護で医療扶助単給

要介護状態

働き手の死亡

働き手の離別・不在

定年・自己都合による失業

勤務先都合(解雇等)による失業

老齢による就労収入の減

事業不振・倒産

その他の働きによる収入の減

社会保障給付金の減少・喪失

貯金等の減少・喪失

仕送りの減少・喪失

その他

出生(異動区分)

転入(異動区分)

世帯復帰(異動区分)

世帯員の傷病(異動区分)

2010年度

男 (n=18986) 女 (n=7091) 全体 (n=26077)

5

8.3%

15.9%

29.7%

0.0%

3.5%

0.3%

0.1%

0.4%

5.4%

2.9%

3.5%

0.7%

4.2%

0.3%

11.0%

1.3%

11.4%

0.0%

1.0%

9.9%

19.0%

20.3%

0.0%

1.7%

0.8%

0.4%

5.0%

2.1%

1.5%

2.8%

0.4%

3.9%

0.4%

17.2%

3.5%

9.6%

0.0%

0.0%

0.0%

1.3%

8.8%

16.9%

26.6%

0.0%

2.9%

0.5%

0.2%

1.9%

4.3%

2.4%

3.2%

0.6%

4.1%

0.4%

13.1%

2.0%

10.8%

0.0%

0.0%

0.0%

1.1%

0% 10% 20% 30% 40%

市外からの転入

市内転入

世帯主の傷病

世帯員の傷病

急迫保護で医療扶助単給

要介護状態

働き手の死亡

働き手の離別・不在

定年・自己都合による失業

勤務先都合(解雇等)による失業

老齢による就労収入の減

事業不振・倒産

その他の働きによる収入の減

社会保障給付金の減少・喪失

貯金等の減少・喪失

仕送りの減少・喪失

その他

出生(異動区分)

転入(異動区分)

世帯復帰(異動区分)

世帯員の傷病(異動区分)

2015年度

男 (n=10225) 女 (n=5122) 全体 (n=15347)

失業関連 男:16.7% 女:10.7%

図表Ⅰ-2-3 男女別の保護開始理由

56.1%

失業関連 男:24.0% 女:17.1%

2-(3) 保護開始理由別の特徴と推移

開始理由は、男女で相当異なるが、大きなくくりとして、「傷病・介護」>「生保を持ったままの異動」≒「失業関連」>「健康上の困難」、の4つのカテゴリーがある。

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6

図表Ⅰ-2-4 男女別の保護廃止理由

3.1%

18.1%

13.3%

0.1%

22.3%

25.2%

5.2%

0.0%

1.6%

0.1%

0.4%

0.3%

0.2%

10.1%

11.4%

23.0%

1.3%

0.0%

23.7%

3.3%

13.0%

2.0%

2.2%

0.8%

3.2%

1.0%

0.3%

14.8%

5.0%

19.2%

10.5%

0.1%

22.7%

20.1%

7.0%

0.5%

1.7%

0.3%

1.0%

0.4%

0.2%

11.2%

0% 10% 20% 30% 40%

市外へ転出

市内転出

世帯主の傷病治癒

世帯員の傷病治癒

死亡

失跡

働きによる収入の増加・取得

働き手の転入

社会保障給付金の増加

仕送りの増加

親類・縁者等の引取り

施設入所

医療費の他法負担

その他

2005年度

男 (n=10938) 女 (n=3320) 全体 (n=14258)

5.4%

23.3%

3.0%

0.0%

15.4%

19.4%

12.5%

0.1%

1.9%

0.2%

0.6%

0.3%

0.1%

17.6%

12.7%

25.7%

0.4%

0.0%

18.6%

4.2%

12.1%

1.5%

1.5%

1.0%

4.2%

0.7%

0.1%

17.2%

7.1%

23.8%

2.4%

0.0%

16.2%

16.0%

12.4%

0.4%

1.8%

0.4%

1.4%

0.4%

0.1%

17.5%

0% 10% 20% 30% 40%

市外へ転出

市内転出

世帯主の傷病治癒

世帯員の傷病治癒

死亡

失跡

働きによる収入の増加・取得

働き手の転入

社会保障給付金の増加

仕送りの増加

親類・縁者等の引取り

施設入所

医療費の他法負担

その他

2010年度

男 (n=12863) 女 (n=3736) 全体 (n=16599)

6.5%

13.8%

4.0%

0.1%

15.1%

27.5%

10.9%

1.1%

0.1%

0.4%

0.3%

0.2%

19.9%

12.2%

28.2%

0.4%

17.2%

5.5%

9.2%

1.2%

1.4%

1.0%

2.6%

1.2%

0.4%

19.6%

7.7%

16.9%

3.2%

0.1%

15.5%

22.8%

10.6%

0.3%

1.2%

0.3%

0.9%

0.5%

0.2%

19.9%

0% 10% 20% 30% 40%

市外へ転出

市内転出

世帯主の傷病治癒

世帯員の傷病治癒

死亡

失跡

働きによる収入の増加・取得

働き手の転入

社会保障給付金の増加

仕送りの増加

親類・縁者等の引取り

施設入所

医療費の他法負担

その他

2015年度

男 (n=4073) 女 (n=1100) 全体 (n=5173)

2- (4) 保護廃止理由別の特徴と推移

廃止理由は、男女でさらに異なるが、大きなくくりとして、「失踪」男子のみ≒「死亡」≒「生保を持ったままの異動」>収入増の4つのカテゴリーがある。

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7

図表Ⅰ-2-5 年度・男女別の世帯類型

4,911

5,655

3,204

2,204

2,661

2,054

7,115

8,316

5,258

5,455

3,685

1,758

5,973

4,301

2,111

1,148

6,620

3,128

375

1,028

735

1,523

7,648

3,863

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000

2005年度

2010年度

2015年度

2005年度

2010年度

2015年度

2005年度

2010年度

2015年度

合計

単身高齢者 単身障害者 単身傷病者 単身その他 高齢者世帯 母子世帯(生別) 母子世帯(死別) 母子世帯(その他) 障害者世帯 傷病者世帯 その他世帯

36.9%

29.8%

31.3%

42.7%

37.5%

40.1%

38.5%

31.9%

34.3%

9.0%

8.9%

12.6%

10.0%

10.2%

11.6%

9.3%

9.3%

12.3%

40.9%

19.4%

17.2%

10.0%

8.7%

6.9%

32.3%

16.5%

13.8%

8.6%

34.9%

30.6%

7.3%

14.5%

14.3%

8.2%

29.3%

25.2%

8.5%

5.5%

2.1%

12.2%

14.3%

16.0%

3.4%

3.9%

5.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

2005年度(n=13323)

2010年度(n=18986)

2105年度(n=10225)

2005年度(n=5163)

2010年度(n=7091)

2105年度(n=5122)

2005年度(n=18486)

2010年度(n=26077)

2105年度(n=15347)

全体

単身高齢者 単身障害者 単身傷病者 単身その他 高齢者世帯 母子世帯(生別) 母子世帯(死別) 母子世帯(その他) 障害者世帯 傷病者世帯 その他世帯

2-(5) 世帯類型別の特徴及び推移

男性・女性の「単身その他」、女性の「母子世帯その他」の動きが変化の要因となっている

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Ⅰ-3章 福祉のマグネット機能の検証

8

「福祉のマグネット」率=rmを、t1<0日のケース数をn0、0≦t1<31日のケース数をn1、母集団全体ケース数をnとした場合、rm=(n0+n1)/nと定義する。世帯類型や開始理由、実施機関などを加味して、rmの値が≧0.1を目安に、福祉のマグネットがどのように働いているのか、マグネットは相対的に生活保護の増大や変動にどのように効いているのかを明らかにする。

他市から転入 大阪市に転入して直ちに受給開始

市民日 福祉の磁石が当てはまりやすい

生保開始日 (福祉のマグネット)

他市(他区)からの移管 他市町村で生保を受けていたが、

市民日 受給状態のまま大阪市に転入

生保開始日 (傷病などでの移管) 施設系

今回の分析で初めて新たに利用可能となった変数は、[生保受給開始日]-[市民日]=t1 である。

また、「福祉のマグネット」は、その後の受給者の受給期間の長期化を招くことも仮説として立てられる。

福祉のマグネットで吸い寄せられたと想定される層は、そうでない層よりも受給期間は長くなる、という仮説も検証する。

仮説1.「福祉のマグネットが、大阪市の生活保護世帯の増加要因となっている。

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9

図表Ⅰ-3-5 t1 期間の推移(男性)

1,460

1,542

134 104 78 72 49 35 60 66 49 53 27 33 48 34 30 32 36 19 43 42 27 26 33 34 348 307 324

1,243 1,038

2,519

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

1

ヶ月未満

1

ヶ月

2

ヶ月

3

ヶ月

4

ヶ月

5

ヶ月

6

ヶ月

7

ヶ月

8

ヶ月

9

ヶ月

10

ヶ月

11

ヶ月

12

ヶ月

13

ヶ月

14

ヶ月

15

ヶ月

16

ヶ月

17

ヶ月

18

ヶ月

19

ヶ月

20

ヶ月

21

ヶ月

22

ヶ月

23

ヶ月

24

ヶ月

3

4

5

6~10

11~20

20

年以上

男性

2005年度 2010年度 2015年度

3,035

4,114

市民になってから受給日までが、0日から6か月まで

注)1ヶ月未満には、市民日前を含む

3-(2) マグネット層に関わる市民日から受給日までの期間及び推移

初めて算出できた市民日から受給開始日までの期間の分布であり、福祉のマグネット機能の計測に、6か月未満を採用した。(男性のみ)

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10

図表Ⅰ-3-10 年齢別のマグネット機能率の推移(男性・女性)

14.1% 17.8%

19.5%

17.5% 17.7%

8.9%

17.4%

73.8% 69.0%

72.1%

80.9% 83.7%

90.9%

77.8%

15.8%

23.3%

22.3% 19.8%

14.9%

6.5%

19.2%

12.1%

10.6%

6.5%

4.7% 4.0%

2.0%

6.3%

21.6%

20.7% 19.9%

16.2%

11.1%

4.3%

16.8%

~34

(n=8

65)

35~

44(n

=172

0)

45~

54(n

=222

1)

55~

64(n

=395

8)

65~

74(n

=197

5)

75~

(n=4

51)

全体

(n=1

1190

) ~

34(n

=61)

35

~44

(n=1

13)

45~

54(n

=129

) 55

~64

(n=1

94)

65~

74(n

=129

) 75

~(n

=44)

全体

(n=6

70)

~34

(n=2

22)

35~

44(n

=468

) 45

~54

(n=6

64)

55~

64(n

=103

7)

65~

74(n

=442

) 75

~(n

=139

) 全体

(n=2

972)

その他 市外転入 市内転入

2010年度 男性

1ヶ月未満(市民日前を含) 1~6ヶ月

MG率:23.7%

MG率:36.0%

17.3%

16.9%

16.7%

16.5%

12.7% 6.8%

14.8%

76.6%

67.2%

75.0%

73.3%

78.3%

91.5%

75.5%

4.5% 3.7%

7.1% 6.5%

3.0% 0.5%

4.5%

9.1% 8.3%

5.0% 4.2%

3.6%

2.6%

5.0% 16.4%

7.4%

10.1%

7.4%

7.7%

2.6%

8.0%

~34

(n=5

39)

35~

44(n

=807

) 45

~54

(n=1

373)

55

~64

(n=1

490)

65

~74

(n=1

486)

75

~(n

=605

) 全体

(n=6

300)

34(n

=64)

35

~44

(n=1

19)

45~

54(n

=140

) 55

~64

(n=1

76)

65~

74(n

=161

) 75

~(n

=59)

全体

(n=7

19)

~34

(n=1

10)

35~

44(n

=163

) 45

~54

(n=2

96)

55~

64(n

=339

) 65

~74

(n=3

63)

75~

(n=1

95)

全体

(n=1

466)

その他 市外転入 市内転入

2015年度 男性

1ヶ月未満(市民日前を含) 1~6ヶ月

MG率:19.8%

MG率:12.5%

注)「その他」は、市内・市外転入以外の理由で受給を開始したグループ

3- (4) 年齢別のマグネット機能率及び推移 男性・女性

7.5% 8.8%

10.2%

4.4% 4.2% 2.6%

6.0%

89.2% 86.0% 85.2% 85.4% 87.7% 88.9% 87.2%

3.8% 4.5%

0.8% 1.4% 2.1% 0.9%

2.1%

7.8% 6.3%

4.5%

3.0%

3.6%

2.1%

4.6% 5.1%

8.2%

2.5% 4.1%

2.8%

0.4%

3.3%

~34

(n=6

37)

35~

44(n

=432

) 45

~54

(n=4

21)

55~

64(n

=361

) 65

~74

(n=6

15)

75~

(n=6

52)

全体

(n=3

118)

34(n

=83)

35

~44

(n=9

3)

45~

54(n

=61)

55

~64

(n=4

1)

65~

74(n

=81)

75

~(n

=63)

全体

(n=4

22)

~34

(n=1

58)

35~

44(n

=110

) 45

~54

(n=1

22)

55~

64(n

=73)

65

~74

(n=1

43)

75~

(n=2

32)

全体

(n=8

38)

その他 市外転入 市内転入

2015年度 女性

1ヶ月未満(市民日前を含) 1~6ヶ月

MG率:10.6%

MG率:5.4%

男性は2010年度に高く、2015年度は落ち着いたが、若年層のマグネット機能率は高い。女性は男性の半分程度である

Page 11: 大阪市の地域福祉等の向上のための有効性実証検証報告...Ⅰ-4章 福祉のトランポリン機能の検証 2 都市研究プラザ 教授 水内 俊雄 分析対象である母集団の取り方について

11

図表Ⅰ-3-14 世類型別のマグネット機能率(男性 2015年度)

13.1% 10.5%

17.3% 20.4%

1.6% 1.9% 1.7% 3.8%

14.8%

79.5%

69.2% 68.2%

75.5%

2.6% 2.6% 5.8%

9.6%

0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 4.5%

3.7% 5.1%

6.8%

6.2%

1.6% 1.9% 3.4% 2.6%

5.0%

6.0% 6.0%

9.4%

14.2%

0.0% 0.0% 0.0%

3.4%

8.0%

0%

10%

20%

30%

40%単身高齢者

(n=1

894)

単身障害者

(n=7

23)

単身傷病者

(n=1

003)

単身その他

(n=2

051)

高齢者世帯

(n=2

52)

障害者世帯

(n=5

3)

傷病者世帯

(n=5

8)

その他世帯

(n=2

66)

全体

(n=6

300)

単身高齢者

(n=2

19)

単身障害者

(n=1

50)

単身傷病者

(n=7

8)

単身その他

(n=2

39)

高齢者世帯

(n=1

3)

障害者世帯

(n=5

)

傷病者世帯

(n=3

)

その他世帯

(n=1

2)

全体

(n=7

19)

単身高齢者

(n=5

68)

単身障害者

(n=3

02)

単身傷病者

(n=1

71)

単身その他

(n=3

44)

高齢者世帯

(n=1

9)

障害者世帯

(n=2

4)

傷病者世帯

(n=9

)

その他世帯

(n=2

9)

全体

(n=1

466)

その他 市外転入 市内転入

男性 2015年度

1ヶ月未満(市民日前を含) 1~6ヶ月

単身その他世帯で、 26.6%

注)「その他」は、市内・市外転入以外の理由で受給を開始したグループ

3-(5) 世帯類型別、男性のマグネット機能率及び推移

2015年度だけであるが、「単身その他」世帯が最も高い。市内転入も同じ傾向にある。単身が圧倒的に高い

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3.6%

11.0% 9.0% 10.3%

0.0%

7.0%

0.0% 4.8%

11.1%

2.5% 1.8% 6.0%

0.0%

77.3%

1.6% 2.4% 3.4% 6.4%

0.0% 0.0% 0.0% 0.7%

6.7%

0.0% 0.0% 2.1%

3.1%

8.0%

4.7% 6.1%

1.8%

5.6%

0.0%

5.2%

0.0%

0.0% 4.2%

4.6%

0.0% 1.3%

2.4%

8.5% 5.1%

0.0% 0.0% 0.0%

7.5% 0.0%

0.0% 3.2%

3.3%

0%

10%

20%

30%

40%単身高齢者

(n=1

179)

単身障害者

(n=3

37)

単身傷病者

(n=2

12)

単身その他

(n=4

95)

高齢者世帯

(n=5

5)

母子世帯(生別)

(n=7

1)

母子世帯(死別)

(n=0

)

母子世帯(その他)

(n=5

18)

障害者世帯

(n=4

5)

傷病者世帯

(n=4

0)

その他世帯

(n=1

66)

全体

(n=3

118)

単身高齢者

(n=1

44)

単身障害者

(n=8

3)

単身傷病者

(n=1

9)

単身その他

(n=4

5)

母子世帯(生別)

(n=1

2)

母子世帯(死別)

(n=0

)

母子世帯(その他)

(n=8

1)

障害者世帯

(n=1

5)

傷病者世帯

(n=1

)

その他世帯

(n=2

2)

全体

(n=4

22)

単身高齢者

(n=3

71)

単身障害者

(n=1

23)

単身傷病者

(n=5

9)

単身その他

(n=7

8)

高齢者世帯

(n=8

)

母子世帯(生別)

(n=1

5)

母子世帯(死別)

(n=0

)

母子世帯(その他)

(n=1

34)

障害者世帯

(n=1

5)

傷病者世帯

(n=4

)

その他世帯

(n=3

1)

全体

(n=8

38)

その他 市外転入 市内転入

女性 2015年度

1ヶ月未満(市民日前を含) 1~6ヶ月

母子世帯その他で、10.0%

12

図表Ⅰ-3-17 世帯類型別のマグネット機能率(女性 2015年度)

注)「その他」は、市内・市外転入以外の理由で受給を開始したグループ

3-(6) 世帯類型別、女性のマグネット機能率及び推移

2015年度だけであるが、単身が相対的に高いが、「母子世帯」のMG率は高くない。

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27.5% 11.7% 11.4%

15.5% 16.2% 16.1%

11.9% 13.6%

12.9% 13.6%

9.1% 10.0%

11.3% 6.4%

10.7% 5.1%

7.6% 6.8%

2.6% 6.0% 6.4%

5.0% 6.5%

5.7% 1.4%

14.8%

5.7% 12.2%

9.5% 5.2%

2.8% 2.6%

6.2% 3.2%

3.6% 2.8%

7.3% 5.3% 3.1%

6.4% 1.8%

5.6% 3.0%

3.7% 7.7%

3.3% 2.9%

4.2% 2.2%

2.5% 1.4%

5.0%

0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35%

X (n=1674)A (n=222)J (n=220)

O (n=291)Q (n=247)K (n=193)

M (n=421)P (n=154)V (n=302)U (n=323)E (n=110)B (n=150)

I (n=97)L (n=282)S (n=112)

W (n=356)F (n=66)

T (n=219)C (n=39)

H (n=150)Y (n=172)D (n=120)G (n=184)N (n=122)

R (n=74)計 (n=6300)

2015年度(男性)その他

1ヶ月未満(市民日前を含) 1~6ヶ月

28.6% 11.3%

5.7% 6.2%

8.0% 7.9%

9.3% 7.1%

9.5% 6.0%

3.2% 7.9%

5.8% 3.0%

5.3% 3.8% 3.4%

5.1% 4.5%

3.8% 3.5%

1.9% 6.7%

2.5% 1.0%

6.0%

0.0% 7.3%

9.2% 8.6%

6.0% 5.3%

3.7% 5.9%

3.2% 6.0%

8.5% 3.4%

4.9% 7.6%

4.1% 4.8%

4.5% 2.6% 3.2%

3.3% 3.5%

4.9% 0.0%

2.5% 3.1%

4.6%

0% 5% 10% 15% 20% 25% 30%

Y (n=14)J (n=124)A (n=87)P (n=81)I (n=50)S (n=76)

M (n=270)O (n=170)X (n=252)N (n=67)G (n=94)

V (n=177)U (n=223)

E (n=66)W (n=338)B (n=105)D (n=89)F (n=39)

L (n=157)T (n=184)Q (n=144)K (n=103)

C (n=30)R (n=81)H (n=97)

計 (n=3118)

2015年度(女性)その他

1ヶ月未満(市民日前を含) 1~6ヶ月

13 図表Ⅰ-3-20 実施機関別のマグネット機能率(男性 2015年度)

3-(7) 実施機関別、男性のマグネット機能率及び推移

MG率:19.8%

MG率:10.6%

図表Ⅰ-3-20 実施機関別のマグネット機能率(女性 2015年度)

Page 14: 大阪市の地域福祉等の向上のための有効性実証検証報告...Ⅰ-4章 福祉のトランポリン機能の検証 2 都市研究プラザ 教授 水内 俊雄 分析対象である母集団の取り方について

40.1%

26.9%

37.0%

38.4%

28.6%

36.4%

41.4%

38.0%

41.3%

59.9%

73.1%

63.0%

61.6%

71.4%

63.6%

58.6%

62.0%

58.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1ヶ月未満(市民日前を含)(n=1942)

1~6ヶ月(n=709)

全体(n=11190)

1ヶ月未満(市民日前を含)(n=521)

1~6ヶ月(n=42)

全体(n=670)

1ヶ月未満(市民日前を含)(n=572)

1~6ヶ月(n=500)

全体(n=2972)

その他

市外転入

市内転入

男性

継続 廃止

40.0%

37.9%

50.5%

40.0%

47.4%

40.9%

41.2%

34.1%

42.8%

60.0%

62.1%

49.5%

60.0%

52.6%

59.1%

58.8%

65.9%

57.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1ヶ月未満(市民日前を含)(n=335)

1~6ヶ月(n=203)

全体(n=4618)

1ヶ月未満(市民日前を含)(n=315)

1~6ヶ月(n=19)

全体(n=367)

1ヶ月未満(市民日前を含)(n=51)

1~6ヶ月(n=85)

全体(n=963) その他

市外転入

市内転入

女性

継続 廃止

14

図表Ⅰ-3-25 保護の廃止・継続区分(2010年度)

注)「その他」は、市内・市外転入以外の理由で受給を開始したグループ

3-(9) マグネット層の保護継続と廃止の割合及び推移

2010年開始者の廃止状況は、マグネット層、非マグネット層ともあまり変わらず3分の2は廃止となっている

Page 15: 大阪市の地域福祉等の向上のための有効性実証検証報告...Ⅰ-4章 福祉のトランポリン機能の検証 2 都市研究プラザ 教授 水内 俊雄 分析対象である母集団の取り方について

7.6% 18.8% 13.2%

23.6% 12.3%

1.0%

7.9% 24.5%

9.3%

21.2% 11.8% 1.9%

742

622

1,070

459

750

49

336

290

915

332

717

48 0

200

400

600

800

1,000

1,200

0%

20%

40%

60%

80%

100%

平均

受給

日数

廃止

理由

男性

1ヶ月未満(市民日前を含)(n=1163) 1~6ヶ月(n=518) 1年未満の平均受給日数(n=1163) 1~6ヶ月の平均受給日数(n=518)

1ヶ月未満

21.9% 26.4% 14.4% 7.0%

9.5%

24.6% 20.6%

10.3%

3.2% 11.1%

748

551

933 861

939 821

678

1,049

830

984

0

200

400

600

800

1,000

1,200

0%

20%

40%

60%

80%

100%

平均

受給

日数

廃止

理由

女性

1ヶ月未満(市民日前を含)(n=201) 1~6ヶ月(n=126) 1年未満の平均受給日数(n=201) 1~6ヶ月の平均受給日数(n=126)

1ヶ月未満

15

図表Ⅰ-3-27 主な廃止理由と平均受給期間(2010年度)

注)「その他」は、市内・市外転入以外の理由で受給を開始したグループ

3-(10) マグネット層の主な廃止理由、受給期間の特徴と推移

マグネット層の2区分において、廃止理由は何であったか? 受給期間の長短を見たものである。男性は、「市内転出」と「失踪」の割合が高く、受給期間は短い

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16

3-(12) マグネット層に関わる転入層の住宅扶助、生活扶助、医療扶助の特徴

14.4%

22.9%

21.1%

20.0%

8.0%

10.8%

13.4%

12.6%

12.7%

19.4%

18.4%

17.5%

5.7%

8.7%

7.6%

9.7%

8.7%

5.1%

9.1%

8.0%

14.6%

10.1%

9.7%

10.6%

6.8%

8.0%

6.9%

6.9%

12.5%

9.5%

8.7%

9.3%

50.1%

43.7%

38.6%

41.0%

47.0%

41.5%

38.8%

39.9%

49.2%

43.1%

38.7%

40.6%

14.1%

11.9%

13.3%

13.4%

18.3%

23.3%

17.4%

17.8%

15.2%

15.2%

14.8%

14.9%

8.4%

7.4%

5.6%

6.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1ヶ月未満(n=1542)

1~6ヶ月(n=437)

6ヶ月以上(n=6506)

全体(n=8485)

1ヶ月未満(n=574)

1~6ヶ月(n=176)

6ヶ月以上(n=3628)

全体(n=4378)

1ヶ月未満(n=2116)

1~6ヶ月(n=613)

6ヶ月以上(n=10134)

全体(n=12863)

全体

住宅扶助 2015年

0円 ~2.8万円 ~3.2万円 ~3.6万円

~4万円 ~4.8万円 ~5.2万円 ~5.6万円

~6.2万円 6.2万円以上

14.1%

18.8%

13.9%

14.2%

4.7%

4.5%

6.3%

6.0%

11.5%

14.7%

11.2%

11.4%

0.1%

0.1%

0.1%

0.3%

0.6%

0.9%

0.8%

0.1%

0.2%

0.4%

0.3%

2.3%

4.3%

6.5%

5.6%

2.8%

1.7%

3.6%

3.4%

2.4%

3.6%

5.5%

4.9%

39.4%

33.9%

35.5%

36.1%

33.6%

35.8%

40.2%

39.2%

37.9%

34.4%

37.2%

37.2%

36.7%

35.5%

29.3%

30.9%

26.8%

23.9%

18.4%

19.7%

34.0%

32.1%

25.4%

27.1%

7.0%

6.6%

14.2%

12.5%

31.2%

33.5%

30.0%

30.3%

13.6%

14.4%

19.8%

18.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1ヶ月未満(n=1542)

1~6ヶ月(n=437)

6ヶ月以上(n=6506)

全体(n=8485)

1ヶ月未満(n=574)

1~6ヶ月(n=176)

6ヶ月以上(n=3628)

全体(n=4378)

1ヶ月未満(n=2116)

1~6ヶ月(n=613)

6ヶ月以上(n=10134)

全体(n=12863)

全体

生活扶助 2015年

0円 1円-2万円未満 2万円-4万円未満

4万円-6万円未満 6万円-8万円未満 8万円-10万円未満

10万円以上

38.8%

43.2%

35.5%

36.5%

25.4%

35.2%

26.4%

26.6%

35.2%

40.9%

32.2%

33.1%

61.2%

56.8%

64.5%

63.5%

74.6%

64.8%

73.6%

73.4%

64.8%

59.1%

67.8%

66.9%

0% 20%40%60%80%100%

1ヶ月未満(n=1542)

1~6ヶ月(n=437)

6ヶ月以上(n=6506)

全体(n=8485)

1ヶ月未満(n=574)

1~6ヶ月(n=176)

6ヶ月以上(n=3628)

全体(n=4378)

1ヶ月未満(n=2116)

1~6ヶ月(n=613)

6ヶ月以上(n=10134)

全体(n=12863)

全体

医療扶助有無 2015年

無 有

マグネット層の、住宅扶助、生活扶助、医療扶助の有無については、非マグネット層と違いはほとんど見られない

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3-(13) まとめ ー「仮説1.福祉のマグネットが、大阪市の生活保護世帯の増加要因となっている」の検証

仮説1の福祉のマグネット効果について、全国

でも初めて数値としてはじき出したので、比

較事例はない。 2 0 1 5年度において、 6ヶ月を区切りとして、

それ未満の市民日から受給日の期間を、マグネットで引きよさ

れた対象者とすると、男性で19.8%、女性で

10.6%となった。

性別、男女別、年齢別でかなり大きな違いが出ているが、男

性34歳以下で26.4%、45-54歳で21.7%、

6 5 - 7 4歳で 1 6 . 3%台に、 7 5歳以上だと 9 . 4%、これが女性だと

5 4歳以下までは 1 5 - 1 6%、それ以上は 3 - 6%台となっている。

さらにマグネットで想定しやすい男性単身のその他

世帯でみると、26.6%となる。総じて単身ではその比

率が高く、単身傷病者も 2 4 . 1%、単身高齢者で 1 6 . 8%、単身障

害者も 1 5 . 6%となっている。それにひきかえ、一般世帯

は5%を切る。女性の場合はたとえば母子その他世帯で

1 0%、その他世帯で 6 %なので、マグネットはやはり男

性単身の問題である。

これを区別でみてみると、男性の場合は、最大の区で

33.2%、次区23.9%、次々区20.9%となり、対

照的に数区で 1 0%を切っている。女性の場合は、区の

構成が男性と異なり、最大の区が18.6%、次

区が 1 4 . 9%、次々区が 1 4 . 8%となり、一方で 5 %に満たない区も

複数存在する。

この値が大都市特有の問題でもあり(他大都市や地方都市で

の検証も試みたいが、今のところ入手は不可能)、全国からの

困窮者を受け入れているのであれば、この層の負担だけでも、

全額国庫負担を求めても良い数値的根拠に

なるかもしれない。

17

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3-(13) まとめ ー「仮説1.福祉のマグネットが、大阪市の生活保護世帯の増加要因となっている」の検証

確かに引き寄せ効果はあるが、では引き寄せられてのその

後となると、継続率は男性では2005年からの

10年でみて20%前後で、2010年からの5年

で40%前後となり、全体とあまり変わらない、

また廃止理由において( 2 0 0 5年)、トランポリンの働く就労復

帰は、 1ヶ月未満で 5 . 6 %、逆に死亡が29.0%、失踪が

23.4%と高くなっている。 2 0 1 0年においても、 1ヶ月未満

でみると、就労復帰は 1 2 . 3%であるのに対し、失踪が 2 3 . 6%、

死亡が 1 3 . 2%となる。受給期間は死亡で両年でそれぞれ、

1 , 9 8 2日、 1 , 0 7 0日となり、失踪は短くなり512

日、459日と短くなる。 1~ 6ヶ月で見ると、それぞれ

2 1 . 6%、 2 1 . 2%のシェアを占める失踪の場合の受給期間は、さ

らに短く、 3 1 7日、 3 3 7日となり、失踪による離脱期間

が短い。医療のかかり方は 5 8%と、ほかの層よりやや低くで

ている。

この事実からして、マグネット層が他地方から押し出されて

くるという負担感が生まれやすく、確かに数は4分の1

と多いが、その後の継続がいい意味でも、悪い意味でも短

く、受給が長引かないという実態もある。同時に

死亡や失踪での廃止が多く、就労でのトラン

ポリン的な離脱はかなり低いと言わざるを得

ない。

フロー的にみれば仮説1は実証されるが、

ストック的には短期に廃止にいたることも多

いので、必ずしも生保の増加要因を形成して

いるとは言い難い。ただ往還の事例を今後追跡すること

で、マグネット効果の実態をさらに深く追究する必要がある。

18

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仮説2.生活保護のトランポリン的な機能が、2010年に激増した「その他世帯」に働くことによって、その後の生活保護率の減少に効を奏した。

「トランポリン」機能率=rtを、開始世帯類型の「その他世帯」を対象に、年齢、廃止理由をもとに推計、実施機関別にrtを算出する。どのような受給者のプロファイルのなかで、受給期間がどれくらいで、就労などにつくことができたが、その機能率を明らかにする。逆に、得られる廃止理由で、非機能の出現率、死亡、失踪≒往還の可能性が、継続率の実態も明らかにできる。

今回の分析で初めて新たに利用可能となった変数は、受給期間=[生保受給開始日]-[生保受給廃止日]=t2 である。

廃止理由、移管

→ 受給期間の長短 → 就労or失踪or死亡

生まれも育ちも大阪市で、

その後生保受給に or

(その後の区内移管あり) 生

大阪市に働きにきて、収入を得ていたが 継

その後生保受給に 保

(その後の区内移管あり) 続

大阪市を拠点に働きながら、 廃

 その後生保受給の際に市民に or

大都市の宿命? 止

大阪市に転入して直ちに受給開始 移

福祉の磁石が当てはまりやすい 理

(福祉のマグネット) 管

Ⅰ-4章 福祉のトランポリン機能の検証

19

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20

図表Ⅰ-4-2 世帯類型別の保護廃止理由(2010年度)

622

1782

397

5

2344

1407

628

17

214

24

123

50

17

1719

382

1955

7

335

1230

1288

11

78

13

55

17

2

1020

171

220

1

2

13

149

44

3

22

60

1

1

170

0 500 1000 1500 2000 2500

市外へ転出

市内転出

世帯主の傷病治癒

世帯員の傷病治癒

死亡

失跡

働きによる収入の増加・取得

働き手の転入

社会保障給付金の増加

仕送りの増加

親類・縁者等の引取り

施設入所

医療費の他法負担

その他

実数

その他・母子以外 単身その他 母子世帯

6.7%

19.1%

4.2%

0.1%

25.1%

15.0%

6.7%

0.2%

2.3%

0.3%

1.3%

0.5%

0.2%

18.4%

6.0%

30.6%

0.1%

0.0%

5.2%

19.2%

20.1%

0.2%

1.2%

0.2%

0.9%

0.3%

0.0%

16.0%

20.0%

25.7%

0.1%

0.0%

0.2%

1.5%

17.4%

5.1%

0.4%

2.6%

7.0%

0.1%

0.1%

19.8%

7.1%

23.8%

2.4%

0.0%

16.2%

16.0%

12.4%

0.4%

1.8%

0.4%

1.4%

0.4%

0.1%

17.5%

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 35.0%

市外へ転出

市内転出

世帯主の傷病治癒

世帯員の傷病治癒

死亡

失跡

働きによる収入の増加・取得

働き手の転入

社会保障給付金の増加

仕送りの増加

親類・縁者等の引取り

施設入所

医療費の他法負担

その他

構成比

その他・母子以外 単身その他 母子世帯 合計

トランポリン機能層

4-(1) 廃止理由の比較とトランポリン機能率

「働きによる収入増加、取得」を廃止理由としたケースをトランポリン機能層と定義、2010年に開始した事例を分析対象とする

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6.5% 7.2%

4.3%

9.4%

7.8%

4.5%

6.1%

4.0%

6.1%

5.3%

2.7%

3.8%

1.9%

3.0%

3.8%

7.6%

3.0%

1.0%

2.4%

1.0% 1.4%

2.4%

3.5%

0.3% 0.8%

0.3%

16.1%

9.8%

7.6%

6.6%

5.8%

4.7% 4.3% 4.3%

4.0% 3.4% 3.4% 3.3% 3.3% 3.3% 3.3%

2.9% 2.4% 2.3%

1.9% 1.9% 1.9% 1.6%

1.2% 0.9%

0.0% 0.0%

5.4%

9.4%

10.7%

9.4%

4.0%

5.4%

2.7%

4.0%

8.7%

2.0%

3.4% 3.4%

2.0%

0.7%

8.7%

0.7%

4.0%

1.3% 0.7% 0.7%

1.3%

2.7%

7.4%

1.3%

0.0% 0.0% 0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

12.0%

14.0%

16.0%

18.0%

X M O W J U L Q V E K G N P T A H S B F I D R C Z Y

その他・母子以外(n=628) 単身その他世帯(n=1288) 母子世帯(n=149)

21

図表Ⅰ-4-4 世帯類型・実施機関別のトランポリン機能層(=廃止理由「働きによる収入増加・取得」の)のシェア(2010年度)

4-(2) 実施機関別のトランポリン機能層の実数とシェア及びトランポリン機能率

市合計を100%とした場合の各区のシェア。3つの開始世帯類型において、分布のありようが大きく異なる

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42.7%

40.2%

30.2% 30.0% 29.6% 29.2% 28.8% 28.2% 28.0% 27.7% 27.6% 25.9% 25.6% 25.2%

23.6% 22.5%

21.6%

19.1% 19.1% 17.4%

16.3% 16.2%

14.0% 12.9%

20.2%

19.0

25.3

18.3

23.6 23.1

17.8

26.4

15.8

26.8

21.7

25.9 27.5

22.6 23.5 19.9

27.7

22.4 23.7 22.9 19.7

21.8 21.6 22.8

33.2

0.0 0.0

22.6

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

40.0%

45.0%

男性の単身その他

平均受給期間(月)

22

図表Ⅰ-4-10 男性の単身その他の実施機関別のトランポリン機能率(=廃止理由「働きによる収入増加・取得」)と受給期間(2010年度)

4-(4) 実施機関別の平均受給期間とトランポリン機能率― 「男性単身その他」

市平均TP率:20.2%

区によって相当TP率に相違が出ている。実数では少々異なる分布になるが、就労支援の目標値として、30%あたりを想定してよい。離脱には2年弱

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36.6%

33.9% 33.3% 32.0%

28.6%

24.2%

22.2% 21.3%

19.0% 18.4% 18.2% 17.9% 17.4% 17.4%

15.4% 15.0% 14.6% 12.7% 12.1% 11.8% 11.1%

9.1%

3.4%

0.0% 0.0% 0.0%

19.9%

26.3 29.4

27.6

33.1

26.3

19.5

28.0

18.3

38.5

17.8

28.5

35.1

22.3

29.3 29.0

6.7

26.7

34.4

39.3

7.5 4.0

51.0

7.0

0.0 0.0 0.0

26.6

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

40.0%

45.0%女性の単身その他

TP率:19.9%

平均受給期間(月)

23

図表Ⅰ-4-11 女性の単身その他の実施機関別のトランポリン機能率(=廃止理由「働きによる収入増加・取得」)と受給期間(2010年度)

4-(4) 実施機関別の平均受給期間とトランポリン機能率― 「女性単身その他」

区によって相当TP率に相違が出ている。実数がかなり少ないので一般化は危険であるが、男性と同じく、就労支援の目標値として、30%あたりを想定してよい

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36.7%

30.2%

25.0% 23.5%

22.7% 22.4% 22.2% 22.2% 20.9%

18.5% 18.2% 17.4%

16.0%

13.8% 13.5% 13.0% 12.2%

11.1% 10.7%

8.3% 7.5% 7.1%

6.3%

3.8%

0.0% 0.0%

17.4%

27.6

40.7

28.0

41.3

46.0

40.9 43.0

36.9 39.3 38.2

51.2

10.5

31.4 33.5

37.2

23.3

46.7

38.5 38.7

64.0

37.0

22.0 20.0

4.0

0.0 0.0

37.1

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

40.0%

45.0%

平均受給期間(月)

24

図表Ⅰ-4-12 母子世帯の実施機関別のトランポリン機能率(=廃止理由「働きによる収入増加・取得」)と受給期間(2010年度)

4-(4) 実施機関別の平均受給期間とトランポリン機能率― 「母子世帯」

TP率:17.4%

母子世帯

区によって相当TP率に相違が出ている。実数がかなり少ないので一般化は危険であり、その他の収入増要因が効く事例が多いので、参考値とする。

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17.2%

21.8%

25.7%

14.6%

19.9%

4.3%

2.7%

2.6%

4.3%

3.5%

76.6%

74.5%

69.6%

77.4%

74.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

~34(n=209)

35~44(n=188)

45~54(n=191)

55~64(n=164)

全体(n=752)

女性単身その他

働きによる収入の増加・取得

働き手の転入

社会保障給付金の増加

仕送りの増加

親類・縁者等の引取り

その他

25

21.9%

24.6%

22.1%

13.4%

20.2%

3.5%

76.3%

73.9%

77.1%

82.7%

77.8%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

~34(n=827)

35~44(n=1485)

45~54(n=1663)

55~64(n=1666)

全体(n=5641)

男性単身その他

働きによる収入の増加・取得

働き手の転入

社会保障給付金の増加

仕送りの増加

親類・縁者等の引取り

その他

4-(6) 年齢別のトランポリン機能率

15.6%

20.5%

20.8%

33.3%

17.4%

7%

2%

5%

33%

7%

7%

4%

7%

67%

69%

69%

33%

68%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

~34(n=557)

35~44(n=249)

45~54(n=48)

55~64(n=3)

全体(n=857)

母子家庭

働きによる収入の増加・取得

働き手の転入

社会保障給付金の増加

仕送りの増加

親類・縁者等の引取り

その他

年齢別で大きな特徴は、若年層でのTP率がトップにならないこと。各年代層のTP率はあまり変わらず、若年だからと言ってトランポリンが効きやすいわけではない

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26

9.3%

5.8%

4.5%

3.4%

5.2%

26.4%

24.4%

29.9%

38.2%

30.4%

1.5%

2.1%

5.0%

10.4%

5.3%

20.3%

22.9%

22.5%

17.1%

20.7%

42.6%

44.8%

38.1%

30.9%

38.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

~34(n=827)

35~44(n=1485)

45~54(n=1663)

55~64(n=1666)

全体(n=5641)

男性の単身その他のトランポリン非機能層の

市外へ転出 市内転出 死亡 失跡 その他

13.4%

13.8%

6.3%

12.8%

11.6%

34.4%

27.1%

33.0%

32.9%

31.9%

2.4%

4.3%

6.3%

6.7%

4.8%

7.7%

11.7%

8.4%

5.5%

8.4%

42.1%

43.1%

46.1%

42.1%

43.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

~34(n=209)

35~44(n=188)

45~54(n=191)

55~64(n=164)

全体(n=752)

女性の単身その他のトランポリン非機能層の比

市外へ転出 市内転出 死亡 失跡 その他

4-(9) 年齢別のトランポリン非機能層の廃止理由の構成

トランポリンが効かない層が、「失踪」にて生保廃止となる事例が、男性に高くて2割強あり、「市内転出」の事例も男女とも多い。市内転出の意味合いについての分析は、生保を往還する層の分析も含めて、今後の課題である。

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4-(10)まとめ -仮説2.生活保護のトランポリン的な機能が、2010年に激増した「その他世帯」に働くことによって、その後の生活保護率の減少に効を奏した

2 0 1 0年度に受給開始した世帯のみの分析であるというこ

とをまず前提に、トランポリン機能の効果を端的に表す指

標として、廃止理由における、「働きによる収入増加・取

得」をトランポリン機能率として、全体では、

12.4%という値を得た。ただしこれは世帯類型別にみ

る必要があり、高齢、障害、傷病を含む「その他・母子

以外」6.7%、「単身その他」については

20.1%、「母子世帯」17.4%となった。この稼働

年齢層を含む「単身その他」の20.1%という値

が、今回の調査で得られた稼働年齢層のトラ

ンポリン機能率である。この値が高いか低いかについ

ては、さまざまな比較を行う必要があるが、一応の目安値

と知見としておきたい。

その上で実施機関別にまず見てみると、トランポリン機

能率のもっとも高く出ると予想される「単身その他」の中

で、最大区の41.9%、次区の39.1%という値

は特筆されよう。その次に 2 5%台から 3 0 %台の、 2 0 . 1%

という平均値以上の区が 9区入っている。一方低い所では、

1 5 %前後で 6区存在している。なお実数では17.2%と

低い区が207であり、最大区は85ということは

注記しておく必要がある。また受給期間について、その長

短はトランポリン機能率の高低とあまり相関はなく、最短

区で 1 5 . 9月、最長区で 3 2 . 1月となり、平均は23.1ヶ

月である。多くの区はこの平均値のところに

分布しており、おおよそ2年弱というのが、就

労自立に必要な受給期間であるといえる。このよ

うに稼働世帯のトランポリン機能率は、高低で 2 . 5倍ほど

の差はあるが、受給期間は 2年前後で就労を果たしているこ

とを指摘しておきたい。

27

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4-(10)まとめ -仮説2.生活保護のトランポリン的な機能が、2010年に激増した「その他世帯」に働くことによって、その後の生活保護率の減少に効を奏した

年齢別でトランポリン機能率は男性単身その他で見る

と、34歳以下で21.9%、35-44歳で24.6%と

なりこの値が最高で、45-54歳で22.1%とな

る。この年齢別のトランポリン機能率が必ずしも若年が高

いという結果の出なかったことは注意しておきたい。

一方、トランポリン非機能の状況については、男

性の単身その他に限ると、継続は38.4%と

なっており、34歳以下では42.6%、35-44歳

では44.8%と高くなる。また失踪も平均で

20.7%であり、年齢層に関わりなく20%前後

と、他の世帯類型より高くなる。平均 3 0 . 4%を占める受給

を継続したままの市内転出も多く、年齢の若い層 2 5%

となり、トランポリンの回路になかなか乗れな

い層が、年齢に関係なく存在することが判明す

る。

そうした層の実施機関別の特徴については、トランポリ

ン非機能層については、 A所管轄が「市内転出」ということ

で、最も多く、その次に次区が続き、大きく差がついて

次々区という順になる。その内訳も失踪や死亡の割合の高

いことが特徴となる。

仮説2の検証についてであるが、最も高い

上位2区で40%近いトランポリン機能率を出し

ていると同時に、年齢別でみると、34歳以下や35-

44歳層で20%前半の値にとどまっている。阻

害要因として、若年層の失踪の多さとか、市

内転出という事由が考えられる。一部の区で、高い機

能率を出していることからも、全体としてその半分程度の

率にとどまっているというところで、一部の区を除

き、トランポリン機能はよく働いたとは言い難

いところがあるという結論となる。

28

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第Ⅱ部 期間分析による生活保護受給者数増加要因の検証

創造都市研究科 准教授 五石 敬路

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なぜ、生活保護受給者数は減らないのか?

入口と出口、どちらに課題があるのか?

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大阪市における生活保護受給者の推移(2001年6月~2016年11月)

求人倍率があがっても、生活保護受給者数は横ばい。何故か?

今月中の受給者数 先月の受給者数

1以上 受給者は増加 1未満 受給者は低下

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保護廃止数のみの影響 (保護開始数が一定だった場合、受給者数はどう変化するか?)

保護開始数のみの影響 (保護廃止数が一定だった場合、受給者数はどう変化するか?)

リーマンショック 保護を開始する人が一時的に急増した

保護廃止数の影響が拡大

保護開始数の影響は低下

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保護を受けると、受給期間が長期化するケースが多い。これが生活保護受給者数が減らない原因。

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平均受給日数と受給者数(全被保護者)

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1500

2000

2500

3000

3500

4000

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

2011年

11月

2012年

2013年

2014年

2015年

2016年

2016年

9月

受給者数(人)

平均受給日数(日)

受給者数(右軸) 平均受給日数(中央値)

579日

879日

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過去20年間、他先進諸国では、公的扶助の受給期間長期化が問題視され、抜本的な改革が実施されてきた。

北欧諸国の受給期間は2~3か月程度と短い。先進諸国では、比較的長い国でも1年程度。

大阪(日本)の受給期間は顕著に長い。

35

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海外のデータは、稼働年齢層(25~59歳)の公的扶助

受給者を対象にしている一方、日本のデータは高齢者や子供も含まれているので、日本の受給期間はその分長めにでている。 しかし、後に見るように、稼働年齢層の受給期間も海外に比べ長く、また長期化する傾向ある。 海外のデータは以下を参照した。ネットでダウンロード可能。

Immervoll, H., S. P. Jenkins and S. Konigs (2015), �Are Recipients of Social

Assistance 'Benefit Dependent'?: Concepts, Measurement and Results for Selected Countries, OECD Social, Employment and Migration Working Papers, No. 162, OECD Publishing.

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分析期間中に平均受給期間が長期化した日数(356.7日)のうちの 年齢別寄与度

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100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

0

500

1000

1500

2000

2500

2011年

11月

2012年

2013年

2014年

2015年

2016年

2016年

9月

受給者数(人)

平均受給日数(日)

受給者数(右軸) 平均受給日数

22歳以下の平均受給日数と受給者数の推移

「子育てをする」ということ自体が受給を長期化させる原因となっている

560日 1134日

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0

500

1000

1500

2000

250020

11年

11月

20

12年

2013年

2014年

2015年

2016年

2016年

9月

受給者数(人)

平均受給日数(日)

受給者数(右軸) 平均受給日数

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

0

500

1000

1500

2000

2500

2011年

11月

20

12年

2013年

2014年

2015年

2016年

2016年

9月

受給者数(人)

平均受給日数(日)

受給者数(右軸) 平均受給日数

01002003004005006007008009001000

0

500

1000

1500

2000

2500

2011年

11月

20

12年

2013年

2014年

2015年

2016年

2016年

9月

受給者数(人)

平均受給日数(日)

受給者数(右軸) 平均受給日数

01002003004005006007008009001000

0

500

1000

1500

2000

2500

2011年

11月

20

12年

2013年

2014年

2015年

2016年

2016年

9月

受給者数(人)

平均受給日数(日)

受給者数(右軸) 平均受給日数

01002003004005006007008009001000

0

500

1000

1500

2000

2500

2011年

11月

20

12年

2013年

2014年

2015年

2016年

2016年

9月

受給者数(右軸) 平均受給日数

22歳以下 23~39歳 40~49歳

50~64歳 65歳以上

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平均受給日数と受給者数(性別)

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2000

2500

0

200

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1400

1600

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2000

2011年

11月

20

12年

2013年

2014年

2015年

2016年

2016年

9月

受給者数(人)

平均受給日数(日)

受給者数(右軸) 平均受給日数

0

500

1000

1500

2000

2500

0

200

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600

800

1000

1200

1400

1600

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2000

2011年

11月

20

12年

2013年

2014年

2015年

2016年

2016年

9月

受給者数(人)

平均受給日数(日)

受給者数(右軸) 平均受給日数

男性 女性

労働市場での賃金格差等、社会的な要因による男女格差が受給を長期化させる原因となっている

861日 1592日

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稼動世帯 非稼動世帯

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200

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600

800

1000

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1600

1800

2000

0

200

400

600

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1000

1200

1400

2011年

11月

20

12年

2013年

2014年

2015年

2016年

2016年

9月

受給世帯数(件)

平均受給日数(日)

受給世帯数(右軸) 平均受給日数

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

2011年

11月

20

12年

2013年

2014年

2015年

2016年

2016年

9月

受給世帯数(件)

平均受給日数(日)

受給世帯数(右軸) 平均受給日数

平均受給日数と受給者数(稼働・非稼働世帯別)

「働いているか、働いていないか」に関わらず、受給は長期化している。

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生活保護受給者数が減らない=受給長期化の理由

● 貧困の子ども化

子どもの養育費、教育

貧困の長期化にともなう子どもへの影響

● 貧困の女性化

労働市場における女性の不利(非正規の格差)

● 貧困の高齢化

高齢者の所得保障

政策分野横断的な対応が必要

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大阪市の地域福祉などの向上のための有効性実験検証 報告書 編集 大阪市立大学地域連携センター 発行日 平成29年3月31日 大阪市立大学公共データ解析プロジェクトチーム リーダー 都市研究プラザ 教授 水内俊雄 サブリーダー 創造都市研究科 准教授 五石敬路 機器及びデータ管理者 文学研究科 准教授 木村義成