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豊島区空き家実態調査 ー 報 告 書 ー 平成24年3月

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Page 1: 豊島区空き家実態調査 ー 報 告 書 ー - Toshima · 【本調査の空き屋の定義】 本調査では将来的に「(仮称)住宅活用プ ロジェクト」の下で利活用できるように、一

豊島区空き家実態調査

ー 報 告 書 ー

平成24年3月

豊 島 区

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豊島区空き家実態調査 報告書

- 目 次 - Ⅰ.概 要 ...................................................................................................................................... 1

1.1 目的 ................................................................................................................................. 1 1.2 調査内容 .......................................................................................................................... 1

Ⅱ 調査手法 .................................................................................................................................. 2 2.1 調査手順 .......................................................................................................................... 2 2.2 調査の準備 ...................................................................................................................... 3 2.3 現地調査 .......................................................................................................................... 4 2.4 アンケート調査 ............................................................................................................... 6 2.5 ヒアリング調査 ............................................................................................................... 6 2.6 立地状況図の作成 ............................................................................................................ 7

Ⅲ 調査対象地区の概況 ................................................................................................................ 9 3.1 調査対象地区の抽出 ........................................................................................................ 9 3.2 豊島区の空き家の概況 .................................................................................................. 12 3.3 対象地区の概況 ............................................................................................................. 16

Ⅳ 空き家実態調査の結果 ........................................................................................................... 22 4.1 現地調査の結果 ............................................................................................................. 22 4.2 アンケート調査の結果 .................................................................................................. 32 4.3 ヒアリング調査の結果 .................................................................................................. 45

Ⅴ 空き家活用方策のアイデア ................................................................................................... 56 5.1 空き家所有者の意識の醸成 ........................................................................................... 56 5.2 利活用できる空き家の抽出 ........................................................................................... 56 5.3 市民団体等のニーズ ...................................................................................................... 58 5.4 空き家活用方策の検討 .................................................................................................. 59

資料編 空き家立地状況図 池袋 3 丁目............65 上池袋 2 丁目...... 66 上池袋 3 丁目...... 67 池袋本町 2 丁目...... 68 池袋本町 3 丁目.....69 南池袋 2 丁目...... 70 南池袋 3 丁目...... 71 東池袋 5 丁目.......... 72 駒込 6 丁目............73 駒込 7 丁目.......... 74 長崎 2 丁目.......... 75 長崎 4 丁目..............76 南長崎 2 丁目........ 77 千川 2 丁目.......... 78 千早 3 丁目.......... 79 高松 2 丁目..............80

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Ⅰ.概 要

1.1 目的

「平成 20 年住宅・土地統計調査(総務省実施)」では、豊島区内の住宅総数が 168,250 戸に

対し、空き家となっている住宅は 21,680 戸、住宅総数に対し約 12.9%を占め、住宅政策を検討

するうえで、空き家の実態について正確なデータを把握することが必要となっている。

しかし、空き家の総数やその構造等は、住宅・土地統計調査により把握できるものの、空き

家発生の原因やその対策を検討するための基礎的な情報は、各種統計調査で詳細に分析されて

おらず、把握することができない状況にある。一方、豊島区住宅マスタープラン(平成 21 年 3

月策定)では、空き家の活用による「住宅活用プロジェクト」を重点プロジェクトとして推進

していくことを明記し、既存住宅ストックの有効活用を図って、住宅活用の仕組みづくりを構

築していくことを目指している。

こうした背景の下、本業務は、豊島区内の空き家の現状について属性の把握や空き家の所有

者へのアンケート等を実施し、今後の既存ストックを利活用した住宅政策の充実を図るための

基礎資料とすることを目的に行うものである。

1.2 調査内容

本調査では、以下の調査・業務を実施した。

図 1.1 調査の実施項目と手順:()内は該当する章番号

【準備作業】

調査手法の検討(2.1~2.6)

【空き家実態調査】

調査対象地区の抽出(3.1)

調査対象地区の概要整理(3.3)

建物所有者へのアンケート調査(4.2):空き家利活用の意向や課題を把握

ヒアリング調査(4.3):空き家利活用について所有者の生の声を聴取

調査結果のまとめ(5.1~5.4):空き家活用方針の検討

豊島区の空き家の概況(3.2)

現地調査(4.1):調査員による空き家確認

空き家立地状況図の作成(資料編)

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Ⅱ 調査手法

2.1 調査手順

空き家実態調査では、現地での空き家確認調査、空き家所有者アンケート、空き家所有者ヒ

アリング、立地状況図作成を以下に示す手順に従い実施した。

図 2.1 空き家実態調査の実施手順

12 月

1月

2月

3月

11 月

関連文献・データ の収集

調査対象地区の 抽出

調査対象地区の 概要整理

調査表作成等 現地調査準備

空き家現地調査

プレ調査 ↓

現地調査

空き家 所有者の 登記簿調査

アンケート発送

アンケート督促

空き家所有者 アンケート 集計・分析

空き家立地状況図

作成

アンケート調査票

作成

アンケート宛名 作成等準備

調査結果のまとめ:空き家有効利用の検討

空き家 属性データ整理

ヒアリング対象者

抽出

空き家所有者 ヒアリング調査

アンケート回収

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2.2 調査の準備

空き家実態調査に先立ち、調査対象地区の概況把握、モデル地区での事前調査、調査対象と

する空き家の定義の確認を行った。また、区を通じて調査概要を対象地域の住民へ事前に周知

した。

①調査対象地区の概況把握

空き家の可能性が高い建物を事前にある程度把

握するため、ゼンリン住宅地図を用いて、居住者

等の記載がない建物・敷地を抽出し、記録した。

②モデル地区での事前調査

現地調査においては、調査員によって空き家か

否かの判断が異なることのないよう、調査精度を

一定に保つことが重要となる。このため、池袋本

町2丁目をモデル地区として、全調査員で同時に

調査を行い、手順や空き家の判断方法を確認した。

このモデル調査によって、空き家の判断に迷う

ケースを抽出して判断基準、調査方法を見直し、

その結果を調査員に周知することで、以後、同様

のケースで判断のぶれが生じることを防止した。

③空き家判定基準の作成

現地調査では、次頁に示す「空き家の判定基準」

に従って各戸を調査し、空き家と判断された物件

について、建物の状況、周辺の状況、敷地の状態

を記録した。また、建物の写真を2方向から撮影

した。

④現地調査

調査員が対象地区における住宅を1件ずつ目

視観察し、空き家判定基準に従って「空き家の可

能性の高い建物」を抽出するとともに、建物の状

態等を記録した。

【参考:住宅・土地統計調査の空き屋の定義】

「居住世帯のない住宅」で次のもの。 ①二次的住宅

週末や休暇時の利用が目的で、普段は住んでいる人がいない住宅

②賃貸用の住宅 賃貸のため空き家になっている住宅

③売却用の住宅 売却のため空き家になっている住宅

④長期不在などその他の住宅 転勤等で長期不在や取り壊す予定の住宅

①調査対象地区の概況把握 ・住宅地図を用いた空き家の概況把握

②モデル地区での事前調査 ・調査員全員によるモデル地区の調査

・空き家の判断に迷うケースの抽出

・判断基準、調査方法の見直し、調査員へ

の周知

③空き家判定基準の作成 ・空き家の可能性の高い建物を判断する

指標の整理

④現地調査 ・各調査員による担当地区の調査

図 2.2 現地調査の進め方

【本調査の空き屋の定義】

本調査では将来的に「(仮称)住宅活用プロジェクト」の下で利活用できるように、一戸建て住宅のほか、ほとんど入居者がいない共同住宅を対象とした。 次頁の「空き家の判定基準」に従い、外観

を目視した上で、「空き家の可能性の高い建物」を抽出した。

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①外観が廃屋風(人が住んでいる気配がない)

②雨戸を締め切っている

③電気メーターが動いていない

④郵便受けに大量に郵便物やチラシ等がたまっている(戸建て・共同住宅)

⑤居住実態を表す物品(物干し、カーテン、表札等)が見当たらない

⑥建物の周囲に不動産会社の「入居者募集」や「売家」の案内看板がある

2.3 現地調査

現地調査では、空き家判定の項目についてチェックし、空き家の可能性の高い建物について、

対象物の区分(建て方、構造、階数)、建物の状況(外壁、窓ガラス、出入り口の状況)、敷地

の状況(門扉、塀、雑草の状況)、危険度、周辺の状況(接道状況、募集の有無)を調査するこ

ととした。

表 2.1 空き家の現地調査項目

項目 調査のポイント

対象物の区分 物件に関する基本的な情報を整理

建て方 一戸建、長屋建、共同住宅に区分

構造 木造と非木造(鉄骨、鉄筋コンクリート)に区分

階数 1 階建、2階建、3階建、4~9階建、10 階建以上の建物に区分

建物の状況 外観の状態を調査

外壁 外壁の汚れ具合を調査

出入り口 侵入防止措置が取られているかを確認

窓ガラス 破損状況を確認

敷地の状況 建物のほかに敷地内の状態を調査

門扉 門扉など入り口が管理されているかを確認

塀 塀の有無を調査

雑草の状況 敷地内が管理されているかを確認

危険度 外壁、屋根、窓台など建物の破損状況を調査

周辺の状況 周辺の道路幅員と物件の賃貸募集状況を調査

【空き家の判定基準】

Step1

目視による

確認

Step2 隣家の住民、管理人(集合住宅等)からの聴き取り

図 2.3 現地調査における空き家判定手順

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調査対象地区において調査員が各戸を目視調査し、空き家の可能性が高いと判断した建物に

ついて、その建物の状況を記録するため、以下に示す調査票を準備した。

表 2.2 空き家現地調査の調査票

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2.4 アンケート調査

1)調査対象の抽出

空き家が活用されていない理由や所有者が抱える悩み・課題、今後の活用の意向を把握す

ることを目的に、現地調査で把握した「空き家・空き家の可能性が高い建物」の所有者を対

象に、郵送によるアンケート調査を実施した。

アンケート送付先となる建物所有者は、現地調査で抽出した空き家の可能性の高い建物に

ついてブルーマップで地番を確認した後、登記簿を基に所有者を特定した。所有者特定に際

し、登記簿情報のうち、地番が一致しており、現地調査で確認した建物階数や用途(住宅)

が一致したものについて、当該の空き家であると特定した。なお、登記簿は豊島区を通じて

法務局に申請し取得した。

2)アンケート調査項目

アンケートにあたっては、建物所有者が当該建物を「空き家」と認識していない可能性が

あることに配慮し、「当該登記物件」の利用状況の確認を導入部に据え、その上で今後の利活

用の意向、利活用にあたっての課題、要望等を調査した。なお、回答者の中からヒアリング

調査対象者を抽出して連絡を取るため、電話番号またはメールアドレスの記載を依頼した。

3)配布・回収できない物件の原因調査

アンケート調査が、配布・回収できない原因について要因を検討した。登記簿と宛名ラベ

ルを照合し、宛名にミス等があれば訂正した上で再送した。回収できないときには、回答無

しとした。

2.5 ヒアリング調査

1)対象者の抽出

アンケート調査の回答を得た所有者 16 名にヒアリング調査を行い、空き家を利用する上で

の課題等の生の声を把握した。ヒアリング対象者は、アンケート回答の記載内容と、建物・

敷地の状況(立地、建物の構造・老朽度など)の 2 点を考慮し、多様な意見が得られるよう

にできるだけ偏りがないように抽出した。

2)実施方法

ヒアリング調査方法は、電話による聞き取りとした。ヒアリング調査では、空き家を今後

どのように利用していきたいのか、その際の問題点は何か、どのようにすれば利活用が進む

のかを詳細に聴取した。

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2.6 立地状況図の作成

1)立地状況図の作成方針

空き家の立地状況と利活用の意向などが一目で分かるように、空き家立地状況図は、調査対

象地区ごとに A3 版の 1 枚の図に印刷できるよう整理した。

ベース地図は、委託者を通じて 新の東京デジタルマップ(TDM:縮尺 1/2,500)地形図を

借用し、これに現地調査の結果として整理した空き家の概況及び建物の位置を表示した。

図 2.4 空き家の立地状況図例

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2)属性データの作成

空き家の現地調査で得られた建物・敷地の状況、アンケート調査に基づく利活用意向を立

地状況図の属性データとして整理した。

表 2.3 空き家立地状況図の属性データ

項 目 属性の内容

調

建て方 一戸建、長屋建、共同住宅

構造 木造、非木造、

階数 1 階建、2階建、3階建、4~9階建、10 階建以上

外壁 外壁の汚れが目立つ、ほとんど汚れていない

出入り口 扉が開いている、施錠されている

窓ガラス 破損している、破損していない

門扉 門扉がある、門扉がない

塀 塀がある、塀がない

雑草の状況 手入れされている、手入れ無し

危険度 外壁の一部に破損、崩れがみられる屋根の瓦やトタン板等に剥がれがみられる 窓台、物干し、バルコニーに崩れがみられる 塀が道路側に傾いている 建物が明らかに傾いている

接道状況 2m未満、2~4m、4m 以上

募集状況 募集有り、募集無し

空き家利活用の意向 利活用したい、条件次第で利活用を考えたい、 利活用するつもりはない

「(仮称)住宅活用プロ

ジェクトへの関心 とても関心がある、まあまあ関心がある、 あまり関心がない、関心がない

利活用する上での条件 建物の修繕費用の目処が立てば利活用したい よい借り手が見つかれば利活用したい 十分な利益が確保できれば利活用したい 貸し出す期間を限定し、期間終了後は自分で利用でき

るなら利活用したい

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Ⅲ 調査対象地区の概況

3.1 調査対象地区の抽出

本調査では、空き家が多いと想定される地区をあらかじめ抽出した上で調査を実施した。

都心部における空き家の発生要因として、建物の老朽化や住人の高齢化・死亡によって徐々

に空き家が増加する社会要因、駅からの距離等交通条件が不利な地区において賃貸物件の借

り手が付かないといった立地要因が考えられる。この要因が単独または複合することで、空

き家が発生すると仮定し、以下の A~C の視点に該当する町域を重ね合わせ、調査対象地区

を抽出した。

A:老朽住宅の多い地区

豊島区都市再開発方針等で老朽木造住宅の建替え・不燃化が課題となっている地区

B:高齢化率の高い地域

65歳以上人口の比率が平成 22年全国平均 23.1%より高い地区(住民基本台帳による)

C:JRや地下鉄等の駅から遠い地域

JR、地下鉄、都電の駅からおおよそ半径 500m 以遠の地区(地図上の実測による)

表 3.1 対象地区抽出の視点

A 老朽建物が多い地区 B 高齢化率の高い地域 C 駅から離れた地区

東池袋 4~5 丁目、上池袋、

南長崎 2~3 丁目、北大塚

3丁目、長崎地区、池袋 3

~4 丁目、要町3丁目、西

巣鴨、染井霊園周辺地区、

池袋本町

駒込 2~3 丁目、駒込 6~7 丁目、巣鴨

5 丁目、西巣鴨 2 丁目、西巣鴨 4 丁目、

北大塚 1 丁目、南大塚 2 丁目、上池袋

2 丁目、東池袋 5 丁目、南池袋 3 丁目、

池袋 1 丁目、池袋本町 2~3 丁目、長

崎 2~4 丁目、千早 4 丁目、要町 3 丁

目、高松 2 丁目、千川 1~2 丁目

駒込 6~7 丁目、上池袋 2

丁目、東池袋 4 丁目、池袋

本町 2 丁目、池袋 3 丁目、

南池袋 2 丁目、南長崎 2 丁

目、千川 2 丁目、千早 3 丁

目、長崎 6 丁目

上記 A~C の視点を基に調査対象地区を絞り込み、池袋 3 丁目、上池袋 2 丁目、上池袋 3

丁目、池袋本町 2 丁目、池袋本町 3 丁目、南池袋 2 丁目、南池袋 3 丁目、東池袋 5 丁目、駒

込 6 丁目、駒込 7 丁目、長崎 2 丁目、長崎 4 丁目、南長崎 2 丁目、千川 2 丁目、千早 3 丁目、

高松 2 丁目の 16 町域を調査地区とした。表 3.2 に各町の概況を示す。

本調査では、調査対象として 2,000 戸以上の空き家を把握することを目標としている。平

成 20 年住宅・土地統計調査(総務省実施)によると豊島区の空き家率は 12.9%であること

から、少なくとも 15,500 件以上の住宅を対象とした調査を行う必要がある。ここでは、戸建

住宅の敷地面積を 1 件当り 30 坪(約 100m2)と仮定し、2.0km2(200ha)以上の範囲を調

査するものとした。各地区の規模は、1 地区あたり 10~20ha 程度である。

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表 3.2 空き家調査対象地区の概況

番号 地区名 面積(km2)

人口(人)

世帯数(世帯)

65 歳以上 比率(%)

人口密度(人/km2)

- 豊島区区全域 13.01 246,800 145,822 20.7% 18,911

- 対象 16 地区合計 2.50 49,502 29,308 - -

① 池袋 3 丁目 0.27 6,032 3,915 22.7% 22,554

② 上池袋 2 丁目 0.22 3,053 1,927 24.3% 14,125

③ 上池袋 3 丁目 0.15 3,797 2,291 21.8% 26,062

④ 池袋本町 2 丁目 0.15 3,176 1,856 23.7% 21,020

⑤ 池袋本町 3 丁目 0.13 3,102 1,797 27.6% 23,870

⑥ 南池袋 2 丁目 0.21 2,115 1,283 19.9% 10,406

⑦ 南池袋 3 丁目 0.14 1,786 1,087 26.3% 12,632

⑧ 東池袋 5 丁目 0.15 4,223 2,601 24.9% 29,110

⑨ 駒込 6 丁目 0.12 3,100 1,643 22.8% 25,213

⑩ 駒込 7 丁目 0.10 1,561 815 27.4% 16,663

⑪ 長崎 2 丁目 0.14 3,211 1,987 25.2% 22,810

⑫ 長崎 4 丁目 0.15 3,757 2,234 25.4% 24,854

⑬ 南長崎 2 丁目 0.11 2,556 1,541 22.6% 23,664

⑭ 千川 2 丁目 0.12 2,243 1,183 26.7% 18,719

⑮ 千早 3 丁目 0.16 2,327 1,199 22.7% 14,810

⑯ 高松 2 丁目 0.18 3,463 1,949 23.1% 19,830出典:面積、人口密度は「住民基本台帳による町丁別世帯と人口(平成 23 年 1 月 1 日)」

人口、世帯数、65 歳以上比率は、「住民基本台帳による年齢別人口(平成 23 年 4 月 1 日現在)」

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図 3.1 調査対象地区

0 500 1000m

番号 町丁目 番号 町丁目

① 池袋3丁目 ⑨ 駒込6丁目

② 上池袋2丁目 ⑩ 駒込7丁目

③ 上池袋3丁目 ⑪ 長崎2丁目

④ 池袋本町2丁目 ⑫ 長崎4丁目

⑤ 池袋本町3丁目 ⑬ 南長崎2丁目

⑥ 南池袋2丁目 ⑭ 千川2丁目

⑦ 南池袋3丁目 ⑮ 千早3丁目

⑧ 東池袋5丁目 ⑯ 高松2丁目

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3.2 豊島区の空き家の概況

1)空き家の戸数

「平成 20 年住宅・土地統計調査」によると、豊島区の住宅総数は 168,250 戸であり、こ

のうち「居住世帯あり」は 141,130 戸、「居住世帯なし」は 27,120 戸である。空き家は 21,680

戸となっており、住宅総数に占める割合は 12.9%である。(参考:東京都 11.1%、特別区部

11.3%)。

表 3.3 豊島区の空き家数および空き家率 住宅総数

居住世帯あり※1 居住世帯なし※2 一時現在者のみ※3 空き家 建築中※4

168,250 141,130 27,120 5,420 21,680 20 100.0% 83.9% 16.1% 3.2% 12.9% 0.0%

出典:平成 20 年住宅・土地統計調査 ※1 居住世帯あり:人が居住している住宅

※2 居住世帯なし:ふだん人が居住していない住宅

※3 一時現在者のみ:昼間だけ使用している、何人かの人が交代で寝泊まりしているなど、ふだん居住し

ている者が一人もいない住宅。

※4 建築中:住宅として建築中のもので、棟上げは終わっているが、戸締まりができるまでにはなってい

ないもの(鉄筋コンクリートの場合は、外壁が出来上がったもの)

【参考:住宅・土地統計調査に基づく住宅の分類】

住宅 居住世帯あり

居住世帯なし 一時現在者のみ

空き家 二次的住宅(別荘・その他)

建築中 賃貸用

売却用

その他

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特別区のうち、豊島区の空き家率は6位に位置しており、東京都の中でも高い空き家率と

なっている。

表 3.4 特別区における空き家の種類別比率 番号

空き家率 空き家の種類(%) 区 名 (%) 二次的住宅 賃貸用の住宅 売却用の住宅 その他の住宅

- 東 京 都 11.1 2.2 65.5 7.1 25.1- 特 別 区 11.3 2.1 65.1 7.2 25.61 千 代 田 区 25.8 7.6 74.3 3.6 14.62 中 央 区 25.4 6.4 54.6 1.1 38.03 目 黒 区 16.3 0.5 78.9 13.4 7.34 台 東 区 15.1 0.9 50.2 16.1 32.85 渋 谷 区 13.7 0.9 47.5 5.7 45.86 豊 島 区 12.9 2.8 76.9 3.1 17.27 荒 川 区 12.8 0.2 73.2 23.5 3.08 新 宿 区 12.6 5.4 64.5 5.3 24.89 足 立 区 12.5 2.0 74.4 8.4 15.2

1 0 大 田 区 12.2 1.2 67.8 4.9 26.11 1 葛 飾 区 11.8 1.6 64.9 5.8 27.71 2 品 川 区 11.7 2.8 51.0 24.5 21.81 3 板 橋 区 11.6 1.3 66.1 5.0 27.51 4 杉 並 区 10.3 2.7 68.1 2.8 26.41 5 北 区 10.3 0.2 64.3 3.7 31.81 6 文 京 区 10.2 5.6 53.9 2.8 37.71 7 練 馬 区 10.0 1.8 71.7 4.4 22.11 8 港 区 9.9 3.1 70.4 9.1 17.51 9 江 戸 川 区 9.5 0.7 71.2 5.1 23.12 0 墨 田 区 9.1 2.5 47.8 6.4 43.22 1 中 野 区 9.1 1.9 69.8 2.2 26.12 2 江 東 区 8.3 1.6 43.1 13.8 41.62 3 世 田 谷 区 7.6 0.2 64.2 5.5 30.2

出典:平成 20 年住宅・土地統計調査

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2)空き家の種類および腐朽・破損の状況

「平成 20 年住宅・土地統計調査」を基に、豊島区における空き家総数を建て方別にみると、

「一戸建」が 1,760 戸、「長屋建・共同住宅・その他」が 19,920 戸となっており、約9割は

「長屋建・共同住宅・その他」である。

空き家の種類は、総数で見ると「賃貸用の住宅」が も多く、76.9%を占めている。「一戸

建」では「長期不在など、その他の住宅」が 79.5%で多い。「長屋建・共同住宅・その他」で

は「賃貸用の住宅」が 82.7%を占めている。

腐朽・破損の状況は、77.8%が「腐朽・破損なし」となっている。なお、一戸建、長屋建、

共同住宅ともに、腐朽・破損状況は木造が非木造より高い割合となっている。

表 3.5 豊島区における空き家の種類別比率

総数 一戸建 長屋建・共同住宅・その他

木造 非木造 木造 非木造

空き家総数 21,680 1,760 1,610 150 19,920 5,670 14,250

100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%

二次的住宅 600 30 30 - 570 80 490

2.8% 1.7% 1.9% - 2.9% 1.4% 3.4%

賃貸用の住宅 16,680 190 190 - 16,480 5,150 11,340

76.9% 10.8% 11.8% - 82.7% 90.8% 79.6%

売却用の住宅 680 140 120 10 540 - 540

3.1% 8.0% 7.5% 6.7% 2.7% - 3.8%

長期不在など、 3,730 1,400 1,260 140 2,330 450 1,890

その他の住宅 17.2% 79.5% 78.3% 93.3% 11.7% 7.9% 13.3%

腐朽・破損なし 16,860 1,030 920 110 15,840 3,180 12,660

77.8% 58.5% 57.1% 73.3% 79.5% 56.1% 88.8%出典:平成 20 年住宅・土地統計調査(住宅・土地統計調査は標本調査による推計値であり、10 位まで表示しているが、

100 位を有効としているため、内訳と総数が一致しないことがある。)

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3)空き家数の推移

豊島区の住宅数と空き家数の推移を昭和 58 年からの「住宅・土地統計調査」で見ると、空

き家率は昭和 58 年に 9.9%であったものが、平成 20 年に 12.9%まで増加している。

表 3.6 豊島区における住宅と空き家の推移

住宅総数 居住世 帯あり

居住世帯なし 一時現在者のみ 空き家 建設中

昭和 58 年 138,830 120,830 3,710 13,800 490

87.0% 2.7% 9.9% 0.4%

昭和 63 年 137,420 118,200 3,700 14,290 1,240

86.0% 2.7% 10.4% 0.9%

平成 5 年 151,010 124,740 5,990 19,790 480

82.6% 4.0% 13.1% 0.3%

平成 10 年 152,190 124,940 4,150 22,500 590

82.1% 2.7% 14.8% 0.4%

平成 15 年 156,390 130,170 5,920 20,120 180

83.2% 3.8% 12.9% 0.1%

平成 20 年 168,250 141,130 5,420 21,680 20

83.9% 3.2% 12.9% 0.0%出典:住宅・土地統計調査(住宅・土地統計調査は標本調査による推計値であり、10 位まで表示しているが、100

位を有効としているため、内訳と総数が一致しないことがある。)

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3.3 対象地区の概況

1)建物密度

豊島区は、戦後の急速な市街化によって、駅周辺以外の地域では高密度な住宅地が形成さ

れている。このため、利便性の高い土地でありながら、住環境や防災面で課題を抱える木造

住宅密集地域が広く分布している。平成 18 年度の土地利用現況調査によると、東池袋 5 丁目

や池袋本町 3 丁目などに木造住宅密集地域が特に多く存在する。

図 3.2 木造住宅密集地域の現況

資料:豊島区住宅マスタープラン(H21.3)に対象地区の境界を加筆

0 500 1000m

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2)交通

公共交通は、区を東西南北に横断する鉄道と、区東部側を中心に運行するバスから成り立

っている。鉄道は、区の中央を南北に横断する JR 山手線・埼京線を中心に、西部では東京

メトロ有楽町線や西武池袋線、東部は JR 山手線や都営三田線などによって、区内の公共交

通を支えている。バスは、都営バスや国際興業バスなどによって運行されている。

対象地区の中で駅やバス停からの距離が比較的長く交通利便性が低いと考えられる地区は、

駒込 6 丁目、駒込 7 丁目、池袋本町 2 丁目、千早 3 丁目、千川 2 丁目などである。

図 3.3 鉄道及びバス路線図

0 500 1000m

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3)上位関連計画

「豊島区都市計画マスタープラン」、「豊島区住宅マスタープラン」等における調査対象地区の

位置づけを整理した。

①豊島区都市計画マスタープラン

「豊島区都市計画マスタープラン」(平成 12 年 3 月)によると、調査対象地区の多くは、道路

が狭あいな木造住宅密集地を抱えており、建物の不燃化・共同化などの防災街づくりが課題であ

るとしている。

表 3.7 豊島区都市計画マスタープランにおける調査対象地区の位置づけ 区分 対象地区 地区の現況 地区の課題 地区整備方針

駒込地区(駒込 1丁目~7 丁目)

駒込 6 丁目、駒込 7 丁目】

台地部は規模の大きい敷地が多く非木造の社宅・マンションや文教施設などが立地し、低地部は戸建住宅・木造アパートが密集。

染井霊園周辺地区をはじめとする密集住宅地は、防災性の向上が必要な地区。

駒込 2 ・3 丁目および 6 ・7 丁目の低地の住宅地は、狭あい道路の拡幅やすみ切りの整備により安全で良好な住環境の形成。

池袋北地区(池袋本町 1~4 丁目、上池袋 2 丁目~4 丁目)

池袋本町2丁目、池袋本町3丁目、上池袋2丁目、上池袋 3 丁目

土地利用は住宅系が大部分を占めており、ほぼ全域が木造住宅密集地。幅員 4m未満のものが多く、生活道路や地区道路が不足。

都市計画道路の整備や、安全・安心で快適なまちを形成することが課題。木造アパートが老朽化し、そこに住む居住者も減少。

道路網の形成、建物の共同化、建替にあわせた狭あい道路の拡幅やすみ切りの整備などにより、住環境を改善。

池袋東地区(東池袋 1~5 丁目、南池袋 1・2 丁目、上池袋 2 丁目)

東池袋 5 丁目、南池袋2丁目、上池袋2丁目

商業業務系の占める割合が高い。都電荒川線の沿線に住宅地。

道路等の基盤が未整備な密集住宅地があり、これらの地区を中心に安全・安心なまちを形成することが課題。

老朽住宅等の建替促進、建物の不燃化・共同化、道路やオープンスペースの確保など、居住環境の総合的な向上。

池袋西地区(池袋 1~4 丁目、西池袋 1 丁目および 3~5 丁目)

池袋 3 丁目 池袋駅周辺は商業業務系の占める割合が高いが、その他の地区は住宅地。

地区の生活に密着した商店街や公共施設などを生かしたアメニティの維持・向上が課題。

地区道路の形成をはかるとともに、周辺住宅地の生活の中心地として、利便性の高い商店街の形成。

雑司が谷地区(雑司が谷地 1~3 丁目、南池袋 3~4 丁目)

南池袋 3 丁目

土地利用は住宅系が過半を占めるが、副都心に近接する南池袋では商業業務系も見られる。

閑静で潤いのある地区の保全に努め、防災性の強化や住環境の改善を進め、安心して済み続けられるまちの形成。

木造建物が密集している一部の地区は、建物の不燃化・共同化や行き止まり道路の解消等により防災性を強化。

高松・要町・千川地区(高松 1~3 丁目、要町 1~3 丁目、千川1・2 丁目)

千川 2 丁目、高松 2 丁目

土地利用は住宅系が大半を占め、専用住宅の構成比が高い。 地区の東側には幅員 4m未満の道路が多く、地区道路や生活道路が不足。

一部には狭あい道路や狭小宅地が多い木造住宅密集地があり、防災まちづくり活動を育み、安全・安心で快適なまちを形成することが課題。

道路網の形成とともに、建替にあわせた狭あい道路の拡幅やすみ切りの確保、接道部の緑化、建物の外観の工夫などにより住環境を向上。

長崎・千早地区(長崎 1~6 丁目、千早 1~4 丁目および要町 1 ~3 丁目)

長崎 2 丁目、長崎 4 丁目、千早 3 丁目

土地利用は住宅系が大半を占め、比較的低密度の住宅地と、土地の細分化等により木造アパートや併用住宅が多い高密度の住宅地に二分。

狭あい道路や狭小宅地の多い木造住宅密集地では、防災まちづくり活動を育み、安心・安全で快適なまちを形成することが課題。

木造アパート等が密集している地区は、建物の不燃化・共同化や行き止まり道路の解消、オ-プンスペースの確保などにより、防災性を強化。

南長崎地区(南長崎 1~6 丁目)

南長崎 2 丁目

土地利用は住宅系が大半を占め、店舗付きの併用住宅の割合も多い。敷地が小さい木造住宅やアパートが密集しているところも多い。

住環境の改善や住民主体の防災まちづくりをすすめ、災害に強いまちを形成することが課題。

道路網の形成をはかるとともに、建替えにあわせた狭あい道路の拡幅やすみ切りの整備、接道部の緑化などにより住環境を向上。

※本調査の対象外となる巣鴨・西巣鴨地区、大塚地区、高田地区、目白地区を除く。

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②豊島区住宅マスタープラン

「豊島区住宅マスタープラン」(平成 21 年 3 月)によると、豊島区は区内の過半を占める

住宅地、池袋副都心と鉄道駅周辺に広がる商業業務地、これらの中間にある都市型用途混在

地の 3種に大別される。このうち、住宅地は、「区の南部や山手通りの西部を中心とした戸建

て住宅が比較的多い住宅地と、北東部を中心とした木造賃貸住宅などの共同住宅が多く密集

する住宅地に分かれます」としている。

なお、「豊島区住宅マスタープラン」では、様々な住宅ニーズに対応する良好な住宅・住環

境を形成していくため、人材を育成し、ネットワークを広げて、支援組織・協力組織(専門

家等)など、協働による区民組織を育成していく「(仮称)住まいづくり協働プロジェクト」

と、「空き家・空き室等」の活用による「(仮称)住宅活用プロジェクト」の 2 つの取組みを

重点プロジェクトに位置づけている。このうち、「(仮称)住宅活用プロジェクト」は、賃貸

と賃借について相互に情報交換できる仕組みをつくり、住宅としての活用を進めるほか、地

域貢献活動などに取り組む区民のグループに斡旋することを目的としている。

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③都市再開発方針

豊島区では街づくりを積極的に実現するために、各種の再開発施策を長期的かつ総合的に

体系づけた「都市再開発方針」に沿って、地区の整備を進めている。本調査の対象地区にお

ける「都市再開発方針」の指定状況は以下のとおりである。

表 3.8 再開発促進地区(2 号地区) 平成 21 年 3 月現在

地区名(面積:ha) 地区の再開発整備等の主たる目標

池袋駅西口地区 (約 19.0)

既存の商業集積を活かしながら業務や文化機能の立地を進め、公共施設

の整備や駅周辺の再開発により、副都心機能の拡充、強化を図る。

東池袋四・五丁目地区

(約 19.2) 老朽木造建築物の建替え、不燃化、生活基盤施設の整備、オープンスペ

ースの確保等により、総合的な住環境整備を進める。

雑司が谷霊園周辺地区

(約 21.3) 避難場所周辺の建築物の不燃化、共同化を図り、地区計画等により安全

で快適なまちづくりを進める。

染井霊園周辺地区 (約 85.0)

地区計画等により建築物の不燃化、共同化を促進して避難場所の防災性

の向上を図るとともに、都市型住宅の供給、公共施設の整備など災害に

強くうるおいのあるまちづくりを進める。

上池袋地区 (約 67.1)

老朽木造住宅等の建替え、不燃化を促進し、良質な都市型住宅の供給を

図るとともに、地区防災施設や生活基盤施設の整備等総合的な住環境の

改善を図る。

南長崎二・三丁目地区

(約 25.3) 老朽木造建築物の建替え、不燃化を促進するとともに、地区防災施設や

生活基盤施設の整備等により総合的な住環境の改善を図る。

池袋本町地区 (約 63.6)

延焼防止機能を有する道路、公園等の整備を行い、防災性の高い安全で

快適なまちづくりを進める。

南池袋地区 (約 30.6)

密集市街地の防災性の向上と住環境の整備を図り、災害に強い安全で快

適なまちづくりを進める。

※本調査対象地区のみ記載

表 3.9 再開発促進地区(1.5 号地区) 平成 21 年 3 月現在

地区名 地区の再開発整備等の主たる目標

池袋 既存の商業、娯楽機能に加え、業務、文化機能の拡充を進め、副都心機

能の強化を図る。 南長崎・長崎 老朽木造住宅の不燃化、共同化を促進するとともに区画道路、広場及び

防災施設の整備など住環境の改善を図る。 池袋三・四丁目 木造住宅の不燃化、共同化を促進し、良質な都市型住宅の供給を図ると

ともに、広場等オープンスペースの確保により、防災性の向上と住環境

の改善を図る。 東池袋 緑豊かな住宅地の特性を生かして、区画道路、広場及び防災施設の整備

など、住環境の改善を図る。 ※本調査対象地区のみ記載

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表 3.10 特定促進地区 平成 21 年 3 月現在

地区名(面積:ha) 地区の整備又は開発の目標

上池袋地区 (約 67.0)

老朽木造住宅等の建替え、不燃化を促進し、良質な都市型住宅の供給を図

るとともに、地区防災施設や生活基盤施設の整備などの防災街区の整備と

合わせて総合的な住環境の改善を図る。 染井霊園周辺地区 (約 53.0)

老朽木造住宅等の不燃化、共同化を促進して避難場所の防災性の向上を図

るとともに、良質な都市型住宅の供給、公共施設の整備など災害に強くう

るおいのあるまちづくりを進める。 東池袋四・五丁目地区

(約 19.0) 老朽木造建築物の建替え、不燃化、生活基盤施設の整備、オープンスペー

スの確保等により、総合的な住環境整備を進める。 池袋本町地区 (64.0)

道路の拡幅整備や公園・広場の整備等を進め、併せて老朽住宅の建替えを

促進するなど、地域の居住環境の改善について、総合的に取り組む。 南池袋二丁目地区 (約 6.0)

池袋副都心に隣接した立地特性を活かし、副都心内のサンシャインシティ

や東池袋の再開発地区と連携した地域の拠点的なまちとなるよう、土地の

高度利用を図るとともに、安全で快適なまちづくりを進める。 ※本調査対象地区のみ記載

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Ⅳ 空き家実態調査の結果

4.1 現地調査の結果

1)調査結果の集計

現地で目視調査を行った結果、対象とした対象 16 町丁目において「空き家の可能性の高い

住宅」は 551 戸であった。各地区の住宅戸数が不明であるので、ここでは「平成 15 年住宅・

土地統計調査」、「平成 20 年住宅・土地統計調査」および「豊島区住宅白書 08」(平成 20 年

9 月)から地区毎の住宅戸数を推計した上で、空き家率を推計した。

表 4.1 調査対象地区の空き家数と空き家率

No. 町丁目区分 空き家数 推計住宅数※ 空き家の可能性の

高い住宅の比率

1 池袋 3 丁目 43 5,626 0.8%2 上池袋 2 丁目 19 2,173 0.9%3 上池袋 3 丁目 100 2,549 3.9%4 池袋本町 2 丁目 15 1,972 0.8%5 池袋本町 3 丁目 45 2,013 2.2%6 南池袋 2 丁目 34 1,821 1.9%7 南池袋 3 丁目 10 1,226 0.8%8 東池袋 5 丁目 42 3,775 1.1%9 駒込 6 丁目 25 1,915 1.3%10 駒込 7 丁目 15 964 1.6%11 長崎 2 丁目 46 2,103 2.2%12 長崎 4 丁目 66 2,378 2.8%13 南長崎 2 丁目 36 1,612 2.2%14 千川 2 丁目 13 1,234 1.1%15 千早 3 丁目 12 1,298 0.9%16 高松 2 丁目 30 2,014 1.5%

合計 551 34,673 1.6%※町丁目区分ごとの推計住宅数の算出方法は次頁参照

「平成 20 年住宅・土地統計調査」による豊島区の空き家率は 12.9%であるが、今回の調

査では「空き家の可能性の高い住宅の比率」は 1.6%であった。両者の違いは、対象とする空

き家の定義の違いによるものと考えられる。「平成 20 年住宅・土地統計調査」は建設中の住

宅や分譲中のマンションなども空き家として扱っているが、本調査は既存の一戸建住宅を中

心とした建物を目視調査によって確認しているため、対象とする空き家が異なる。

先例の「北区空き家調査」によると、北区では調査対象地域内の住宅総数約 4 万 5 千戸に

対して、一戸建の空き家が 480 戸、分譲マンションが 112 戸、賃貸住宅が 1,981 戸となっ

ており、北区における一戸建の空き家率は 1.1%と推計される。今回の調査で得られた豊島区

の一戸建を中心とした空き家率 1.6%は北区と同程度であり、妥当な比率であると考えられる。

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【町丁目ごとの住宅戸数の推計】

「平成 20 年住宅・土地統計調査」では特別区単位の住宅戸数が集計されているが、町丁単位

の住宅戸数は公表されていない。一方、「豊島区住宅白書 08」では、「平 15 年住宅・土地統計

調査」地方特別集計により、区内を5地区に区分した住宅戸数を集計している。このデータと

地区毎の世帯数を指標にして、各地区の住宅戸数を推計した。

平成 15 年の5区分の住宅総数と世帯数の関係は下表の通り。

表 4.2 平成 15 年における5地区の住宅数と世帯数

合計 東部 北部 南部 西部 中央部 住宅総数 156,390 31,620 27,300 23,690 39,980 33,800 居住世帯あり 130,170 26,620 22,410 20,330 34,700 26,110 居住世帯なし 26,220 5,000 4,890 3,360 5,280 7,690 世帯数※ 133,393 26,756 24,167 21,558 37,392 23,520 対象町丁目区分 - 駒込 1~7 丁

目、巣鴨 1~5丁目、北大塚 1~2 丁目、南大

塚 1~3 丁目

西巣鴨 1~4丁目、北大塚 3丁目、池袋本

町 1~4 丁目、

上池袋 1~4丁目

南池袋 3,4 丁

目、西池袋 2,4丁目、雑司ヶ

谷 1~3 丁目、

高田 1~3 丁

目、目白 1~5丁目

南長崎 1~6丁目、長崎 1~6 丁目、千早

1~4 丁目、要

町 1~3 丁目、

高松 1~3 丁

目、千川 1~2丁目

東池袋1~5丁目、南池袋 1~2 丁目、西池

袋 1,3,5 丁目、

池袋1~4丁目

出典:「豊島区住宅白書 08」 ※世帯数は豊島区統計(住民基本台帳)による平成 16 年1月1日現在の値

平成 15 年における住宅総数と世帯数の5地区ごとの比率は、平成 20 年においても同じであ

ると仮定し、平成 20 年の5区分毎の住宅総数を推計した。ただし、「平 20 年住宅・土地統計

調査」から、豊島区全域の住宅総数は 168,250 件であるので、推計値を住宅総数で補正した。

表 4.3 平成 20 年における5地区の住宅数推計

合計 東部 北部 南部 西部 中央 H15 住宅総数 156,390 31,620 27,300 23,690 39,980 33,800 H20 世帯数 142,704 29,233 25,862 22,943 38,641 26,025 H15 世帯数に対する

H20 世帯数比率 1.070 1.093 1.070 1.064 1.033 1.107

H20 住宅総数 推計値 167,689 34,547 29,215 25,212 41,315 37,400

住宅数補正値※ 168,250 34,663 29,312 25,296 41,454 37,525 出典:「平成 20 年住宅・土地統計調査」 ※住宅数補正は「平 20 年住宅・土地統計調査」による豊島区全域の住宅数 168,250 戸で各地区の住宅数を補正し

たもの

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5 地区の住宅戸数を町丁目ごとの世帯数で按分して、各町丁目の住宅戸数を推計した。この

住宅戸数推計値を基に表 4.1 に示した空き家率を求めた。

表 4.4 平成 20 年における調査対象町丁目における推計住宅数

東部 北部 南部 西部 中央 各地区の総世帯数※ 29,233 25,862 22,943 38,641 26,025 調査対象町丁目の世帯数※

2,428 7,682 1,112 9,917 7,783

各地区における調査対象町丁目の世帯数比

0.083 0.297 0.048 0.257 0.299

住宅数補正値 34,663 29,312 25,296 41,454 37,525 調査対象町丁目の住宅戸数 2,879 8,707 1,226 10,639 11,222

※世帯数は豊島区統計(住民基本台帳)による平成 21 年1月1日現在の値

表 4.5 平成 20 年における区内各地域の住宅数推計

町丁目区分 地区区分 世帯数※ 各地区における世帯数按分比率

推計住宅数

池袋 3 丁目 中央部 3,902 0.50 5,626上池袋 2 丁目 北部 1,917 0.25 2,173上池袋 3 丁目 北部 2,249 0.29 2,549池袋本町 2 丁目 北部 1,740 0.23 1,972池袋本町 3 丁目 北部 1,776 0.23 2,013南池袋 2 丁目 中央部 1,263 0.16 1,821南池袋 3 丁目 南部 1,112 1.00 1,226東池袋 5 丁目 中央部 2,618 0.34 3,775駒込 6 丁目 東部 1,615 0.67 1,915駒込 7 丁目 東部 813 0.33 964長崎 2 丁目 西部 1,960 0.20 2,103長崎 4 丁目 西部 2,217 0.22 2,378南長崎 2 丁目 西部 1,503 0.15 1,612千川 2 丁目 西部 1,150 0.12 1,234千早 3 丁目 西部 1,210 0.12 1,298高松 2 丁目 西部 1,877 0.19 2,014合計 - 28,922 - 34,673※世帯数は豊島区統計(住民基本台帳)による平成 21 年1月1日現在の値

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2)空き家調査結果の分析

(1)外観等

現地調査で空き家であると推測した建物の状況を整理した。

外観を見たとき、廃屋風なものは 71.1%であった。表札がない建物が 52.5%、雨戸が全

部または一部閉まっているものが 50.3%であった。電気メーターが動いていない建物が

54.8%、動いている建物が 7.8%、電気メーターの設置場所が不明なものが 37.4%であっ

た。郵便受けは、塞がっているものが 27.0%、郵便物が溜まっているものが 20.7%、郵便

物が溜まっていないものが 26.9%であった。

外見が廃屋風な建物について、表札がないもの、電気メーターが動いていないもの、郵

便受けが塞がっていたり郵便物が溜まっているものは、特に空き家の可能性が高いと考え

られる。

塞がっている27.0%

廃屋風71.1%

無し52.5%

全部閉切り21.4%

動いていない54.8%

郵便物が溜まっている

20.7%

廃屋風でない28.9%

有り46.8%

一部閉切り28.9%

動いている7.8%

郵便物が溜まっていない

26.9%

未確認0.7%

閉切り無し45.9%

郵便受けが不明25.4%

メーターの所在不明37.4%

未確認3.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

郵便受け

電気メーター

雨戸

表札

外観

図 4.1 空き家と推察した建物の外観等

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(2)建て方等

空き家であると推測した建物の建て方では、一戸建が 61.2%、長屋建が 4.0%、共同住

宅が 27.4%であった。構造は 83.7%が木造、16.2%が非木造であり、木造の比率が高い。

建物の階数は 2 階建てが多くを占めており 87.5%、1 階建てが 8.2%であった。調査対象

とした建物は主に一戸建やアパートなどの共同住宅であるため、1~2階建てが多い結果と

なった。「豊島区都市計画マスタープラン」では、今回の調査対象地区について、木造の一

戸建やアパートが多い箇所があることを指摘しており、現地調査でも同様の状況が確認さ

れた。

1階建て8.2%

木造83.7%

一戸建て61.2%

2階建て87.5%

非木造16.2%

長屋建て4.0%

3階建て3.1%

共同住宅27.4%

3階建て以上1.3%

その他7.1%

不明0.2%

不明0.4%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

階数

構造

建て方

図 4.2 空き家と推測した建物の建て方等

なお、空き家であると推測した建物の建て方を地区別にみると、駒込 6~7丁目と上池

袋3丁目では一戸建の比率が高く、池袋本町 3 丁目と池袋 3 丁目では共同住宅の比率が高

い。

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表 4.6 地域別の空き家であると推測した建物の建て方

地区 一戸建 長屋建 共同住宅 その他 不明 総計 池袋 3 丁目 18 3 22 0 0 43 41.9% 7.0% 51.2% 0.0% 0.0% 100.0%上池袋 2 丁目 10 2 6 0 1 19 52.6% 10.5% 31.6% 0.0% 5.3% 100.0%上池袋 3 丁目 81 0 13 6 0 100 81.0% 0.0% 13.0% 6.0% 0.0% 100.0%池袋本町2丁目 10 0 4 1 0 15 66.7% 0.0% 26.7% 6.7% 0.0% 100.0%池袋本町3丁目 17 0 28 0 0 45 37.8% 0.0% 62.2% 0.0% 0.0% 100.0%南池袋 2 丁目 15 2 11 6 0 34 44.1% 5.9% 32.4% 17.6% 0.0% 100.0%南池袋 3 丁目 6 0 3 1 0 10 60.0% 0.0% 30.0% 10.0% 0.0% 100.0%東池袋 5 丁目 21 6 12 3 0 42 50.0% 14.3% 28.6% 7.1% 0.0% 100.0%駒込 6 丁目 23 0 1 0 1 25 92.0% 0.0% 4.0% 0.0% 4.0% 100.0%駒込 7 丁目 11 0 2 2 0 15 73.3% 0.0% 13.3% 13.3% 0.0% 100.0%長崎 2 丁目 26 1 17 2 0 46 56.5% 2.2% 37.0% 4.3% 0.0% 100.0%長崎 4 丁目 45 2 5 14 0 66 68.2% 3.0% 7.6% 21.2% 0.0% 100.0%南長崎 2 丁目 23 3 6 4 0 36 63.9% 8.3% 16.7% 11.1% 0.0% 100.0%千川 2 丁目 8 1 4 0 0 13 61.5% 7.7% 30.8% 0.0% 0.0% 100.0%千早 3 丁目 7 1 4 0 0 12 58.3% 8.3% 33.3% 0.0% 0.0% 100.0%高松 2 丁目 16 1 13 0 0 30 53.3% 3.3% 43.3% 0.0% 0.0% 100.0%総計 337 22 151 39 2 551 61.2% 4.0% 27.4% 7.1% 0.4% 100.0%

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(3)建物・敷地の状況

建物・敷地の状況については、外壁の汚れが目立つもの 61.7%、汚れていないもの 37.4%

であった。出入り口の扉が開いているもの 12.3%、閉まっているもの 71.3%、窓ガラスが

破損しているもの 6.7%、破損していないもの 92.2%であった。敷地に門扉があるもの

40.1%、ないもの 59.9%、塀があるもの 54.1%、ないもの 45.4%であった。雑草の手入れ

がされているもの 12.3%、手入れされていないもの 48.8%であった。

手入れ有り12.3%

有り54.1%

有り40.1%

破損している6.7%

汚れが目立つ61.7%

扉が開いている12.3%

手入れ無し48.8%

無し45.4%

無し59.9%

破損していない92.2%

扉が閉まっている71.3%

汚れていない37.4%

不明38.8%

不明0.5%

不明1.1%

不明16.3%

不明0.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

雑草の繁茂

塀の有無

門扉の有無

窓ガラス

出入り口

外壁

図 4.3 建物・敷地の状況

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(4)賃貸等の募集状況

空き家と推測した建物について、看板等から賃貸等の募集状況をみると、募集している

もの 2.7%、募集していないもの 97.3%であった。

2.7%

97.3%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

募集している

募集していない

図 4.4 賃貸等の募集状況

(5)建物の危険性等

外観から、建物の破損の状況を観察した。外壁に破損等が認められたものは 21.6%、屋

根等に破損が見られたものは 21.4%、バルコニー等に崩れが見られたもの 6.0%であった。

また、塀が傾いたもの 0.5%、建物が傾いたもの 1.1%であった。なお、全 551 戸のうち、

何らかの破損等がみられた建物は 201 戸、破損等が見られなかった建物は 350 戸であり、

全体の 36.5%に何らかの破損が見られた。

21.6%

21.4%

6.0%

0.5%

1.1%

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0%

外壁の一部に破損、崩れがみられる

屋根の瓦やトタン板等に剥がれがみられる

窓台、物干し、バルコニーに崩れがみられる

塀が道路側に傾いている

建物が明らかに傾いている

図 4.5 建物の危険性

建物の危険性を地域別にみると、池袋本町 2 丁目と高松 2 丁目で、外壁の破損や屋根等

に破損が見られた空き家が比較的多い。一方、空き家の件数が多い上池袋 3 丁目や長崎 4

丁目では、破損の割合が低い結果であった。

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表 4.7 地域別の空き家の破損状況

地区

外壁の一部に 破 損 、 崩れ が み ら れる

屋根の瓦やトタン板等に剥がれがみられる

窓 台 、 物 干し、バルコニーに崩れがみられる

塀が道路側に傾いている

建物が明らかに傾いている

総計

池袋 3 丁目 9 13 4 0 1 43

20.9% 30.2% 9.3% 0.0% 2.3% -

上池袋 2 丁目 2 4 2 0 0 19

10.5% 21.1% 10.5% 0.0% 0.0% -

上池袋 3 丁目 28 17 9 1 1 100

28.0% 17.0% 9.0% 1.0% 1.0% -

池袋本町 2 丁目 8 4 2 1 1 15

53.3% 26.7% 13.3% 6.7% 6.7% -

池袋本町 3 丁目 4 17 0 0 0 45

8.9% 37.8% 0.0% 0.0% 0.0% -

南池袋 2 丁目 8 5 3 0 0 34

23.5% 14.7% 8.8% 0.0% 0.0% -

南池袋 3 丁目 2 2 1 0 0 10

20.0% 20.0% 10.0% 0.0% 0.0% -

東池袋 5 丁目 6 9 3 0 0 42

14.3% 21.4% 7.1% 0.0% 0.0% -

駒込 6 丁目 3 3 2 0 0 25

12.0% 12.0% 8.0% 0.0% 0.0% -

駒込 7 丁目 5 3 0 0 1 15

33.3% 20.0% 0.0% 0.0% 6.7% -

長崎 2 丁目 8 4 0 0 0 46

17.4% 8.7% 0.0% 0.0% 0.0% -

長崎 4 丁目 8 7 0 1 0 66

12.1% 10.6% 0.0% 1.5% 0.0% -

南長崎 2 丁目 12 8 4 0 2 36

33.3% 22.2% 11.1% 0.0% 5.6% -

千川 2 丁目 2 4 0 0 0 13

15.4% 30.8% 0.0% 0.0% 0.0% -

千早 3 丁目 1 3 1 0 0 12

8.3% 25.0% 8.3% 0.0% 0.0% -

高松 2 丁目 13 15 2 0 0 30

43.3% 50.0% 6.7% 0.0% 0.0% -

総計 119 118 33 3 6 551

21.6% 21.4% 6.0% 0.5% 1.1% -

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(6)接道状況

接道状況をみると、道幅 2m未満は 11.3%、道幅 2m 以上~4m未満のもの 61.5%、4m

以上のもの 22.5%であった。狭あいな道路に接している地区に空き家の可能性の高い建物

が多い状況がわかった。

11.3%

61.5%

22.5%

4.7%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0%

道幅2m未満

道幅2~4m未満

道幅4m以上

その他

図 4.6 接道状況

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4.2 アンケート調査の結果

現地調査で空き家であると推測された建物のうち、登記簿で所有者が確定できた 386 物件に

ついて所有者アンケートを行った。なお、同一物件で所有者が複数であったり、逆に複数物件

を同一所有者が有していることがあるため、アンケートの送付先は 461 件であった。このうち、

回答があった 81 件(回答率 17.6%)の回答を整理した。

1)建物の使用

(1)建物の使用状況

建物の使用状況については、「使用している」が 66 件(81.5%)、「使用していない」が

14 件(17.3%)であり、多くの所有者が何らかの利用をしていることがわかった。

表 4.8 建物の使用状況

項 目 回答数 比率

使用している 66 81.5%

使用していない 14 17.3%

不明(無回答) 1 1.2%

回答者数 81 100.0%

(2)建物の使用内容

建物を「使用している」と回答のあった所有者のうち、使用内容をみると、「賃貸住宅と

して貸し出している」が 22 件(33.3%)、「物置として使用している」、「自宅として居住し

ている」が 16 件(24.2%)であった。現地調査によって空き家の可能性の高い住宅の所有

者にアンケートを行ったが、約 1/4 は居住している住宅であった。

そのほかの利用として、介護のための一時的な寝泊り、親戚が一時使用している、一部

を賃貸として貸し出しているなどの回答があった。 表 4.9 建物の使用の内容

項 目 回答数 比率

通勤のため平日のみ居住している 2 3.0%

週末や休暇時に居住している 2 3.0%

賃貸住宅として貸し出している 22 33.3%

居住地はほかにあり、物置として使用している 16 24.2%

自宅として居住している 16 24.2%

その他 6 9.1%

不明(無回答) 2 3.0%

回答者数 66 100.0%

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(3)建物の利用頻度

建物を「使用している」との回答があった 66 件のうち、利用頻度は、「週に1回以上」

が 32 件(48.5%)、「月に 1 回以上」が 12 件(18.2%)であった。比較的頻繁に利用して

いる状況がわかった。

表 4.10 建物の利用頻度

項 目 回答数 比率

週に 1 回以上 32 48.5%

月に 1 回以上 12 18.2%

2~3 ヶ月に 1 回 3 4.5%

1 年に数回 6 9.1%

数年に 1 回 4 6.1%

不明(無回答) 9 13.6%

回答者数 66 100.0%

(4)建物を使用していない理由

建物を使用していないと回答のあった 14 人のうち、「建物が老朽化して使用できない」

が 7 件、「税制上の理由で取り壊しを控えている」が 3 件、「借り手・買い手がいない」が

2件であった(複数回答)。老朽化のため利用できない建物が 5割を占める実態がわかった。

表 4.11 建物を利用していない理由(複数回答)

項 目 回答数 比率

転勤等で不在にしている 1 7.1%

建物等が老朽化して使用できない 7 50.0%

近々売却が決まっている 0 0.0%

近々取り壊すことが決まっている 1 7.1%

借り手・買い手がいない 2 14.3%

税制上の理由で取り壊しを控えている 3 21.4%

その他 4 28.6%

回答者数 14 -

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2)空き家を利用する上での課題

(1)建物について困っている点

空き家について所有者が困っている点では、「特に困っていることはない」との回答が

48 件(59.3%)であった。ほかには、「遠方に住んでおり維持管理ができない」が 6 件(7.4%)、

「借り手・買い手がつかない」、「修繕して使用したいが費用が不足している」が 5 件(6.2%)

であった(複数回答)。

表 4.12 空き家を利用する上での課題(複数回答)

項 目 回答数 比率

借り手・買い手がつかない 5 6.2%

遠方に住んでおり維持管理ができない 6 7.4%

修繕して使用したいが費用が不足している 5 6.2%

取り壊したいが費用が不足している 1 1.2%

近隣から建物及び使用状況について苦情がある 0 0.0%

特に困っていることはない 48 59.3%

その他 14 17.3%

不明(無回答) 9 11.1%

回答者数 81 -

(2)建物の破損等の状況

建物の破損等の状況については、「特になし」が 57 件(70.4%)で も多く、「外壁の一

部に破損、崩れがみられる」が 7 件(8.6%)、「屋根の瓦やトタン板等に剥がれがみられる」

が 6 件(7.4%)、「窓台、物干し、バルコニーのいずれかに崩れがみられる」が 5 件(6.2%)

であった。塀や建物が傾くなどの危険性が高いとの回答は無かった(複数回答)。

表 4.13 建物の破損等の状況(複数回答)

項 目 回答数 比率

外壁の一部に破損、崩れがみられる 7 8.6%

屋根の瓦やトタン板等に剥がれがみられる 6 7.4%

窓台、物干し、バルコニーのいずれかに崩れがみられる 5 6.2%

塀が道路側に傾いている 0 0.0%

建物が明らかに傾いている 0 0.0%

特になし 57 70.4%

不明(無回答) 12 14.8%

回答者数 81 -

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(3)修繕の予定

今後の建物の修繕の予定について、「2~3 年以内に建替えまたは改修を行う予定である」

が 13 件(16.0%)であるが、61 件(75.3%)は「当面、建替えまたは改修を行う予定は

ない」との回答であった。

表 4.14 建物の修繕予定

項 目 回答数 比率

年内に建替えまたは改修を行う予定である 1 1.2%

2~3 年以内に建替えまたは改修を行う予定である 13 16.0%

当面、建替えまたは改修を行う予定はない 61 75.3%

不明(無回答) 6 7.4%

回答者数 81 100.0%

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3)空き家の利活用の意向

(1)空き家の利用の意向

空き家の利活用の意向については、「利活用したい」が 23 件(28.4%)と「条件次第で

利活用を考えたい」が 14 件(17.3%)であり、合わせて 37 件(45.7%)が空き家を利活

用したいとの意向があることがわかった。一方、「利活用するつもりはない」が 34 件

(42.0%)であり、「利活用したい」と「利活用するつもりはない」がほぼ 2 分する結果と

なった。 表 4.15 空き家の利活用の意向

項 目 回答数 比率

利活用したい 23 28.4%

条件次第で利活用を考えたい 14 17.3%

利活用するつもりはない 34 42.0%

不明(無回答) 10 12.3%

回答者数 81 100.0%

(2)空き家の利活用の内容

「利活用したい」または「条件次第で利活用を考えたい」との回答者が考える利用形態

は、「賃貸住宅として貸し出したい」が 21 件(56.8%)で、これに次いで「自らの居住の

ために使用したい」が 14 件(37.8%)であった。なお、「ボランティアや地域活動に貸し

出したい」が 3 件(8.1%)、「公共用地(公園等)として行政に使用してもらいたい」が 2

件(5.4%)、「商店・事業所として貸し出したい」が 6 件(16.2%)であり、少数ではある

が、多様な利用方法を考えている所有者がいることがわかった(複数回答)。

表 4.16 空き家の利活用の内容(複数回答)

項 目 回答数 比率

自らの居住のために使用したい 14 37.8%

自らの所有物を保管する物置として使用したい 3 8.1%

賃貸住宅として貸し出したい 21 56.8%

商店・事業所として貸し出したい 6 16.2%

ボランティアや地域活動に貸し出したい 3 8.1%

建物・土地を売却したい 8 21.6%

建物を取り壊して公共用地(公園等)として行政

に使用してもらいたい 2 5.4%

その他 3 8.1%

回答者数 37 -

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(3)空き家の利活用の条件

空き家を「利活用したい」または「条件次第で利活用を考えたい」との回答 37 人のうち、

空き家利活用の条件として、「良い借り手が見つかれば利活用したい」が 14 件(37.8%)、

「十分な利益が確保できれば利活用したい」を挙げる意見が 12 件(32.4%)であった。

表 4.17 空き家の利活用の条件(複数回答)

項 目 回答数 比率

建物の修繕費用の目処が立てば利活用したい 8 21.6%

良い借り手が見つかれば利活用したい 14 37.8%

十分な利益が確保できれば利活用したい 12 32.4%

貸し出す期間を限定し、期間終了後は自分で利用

できるなら利活用したい 6 16.2%

その他 7 18.9%

不明(無回答) 11 29.7%

回答者数 37 -

(4)空き家を利活用する上で区に期待する支援

空き家を「利活用したい」または「条件次第で利活用を考えたい」と回答した所有者が

区に期待する支援の内容は、「耐震性と老朽化の診断」が 17 件(45.9%)であり、老朽化

した空き家の安全性を懸念している状況がわかった。また、「修繕・取り壊しの費用を助成

してほしい」との意見が 13 件(35.1%)あり、修繕等の費用を負担に感じている所有者が

いることがわかった(複数回答)。

表 4.18 空き家を利活用する上で区に期待する支援(複数回答)

項 目 回答数 比率

修繕・管理に詳しい建築・不動産の専門家を紹介してほしい 4 10.8%

資金繰りに詳しい金融・不動産の専門家を仲介してほしい 1 2.7%

良い借り手を仲介してほしい 9 24.3%

建物の耐震性、老朽化による危険性の診断を支援してほしい 17 45.9%

修繕・取り壊しの費用を助成してほしい 13 35.1%

その他 5 13.5%

不明(無回答) 10 27.0%

回答者数 37 -

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(5)空き家を利活用しない理由

空き家を「利活用するつもりはない」と回答した 34 人の所有者に理由を尋ねると、「資

産として保有していたい」が 17 件(50.0%)、「将来使用する予定がある」が 7 件(20.6%)

であった(複数回答)。

表 4.19 空き家を利活用するつもりがない所有者の理由(複数回答)

項 目 回答数 比率

将来使用する予定がある 7 20.6%

建替・売却がすでに決まっている 0 0.0%

他人に貸し出したくない 6 17.6%

資産として保有していたい 17 50.0%

その他 8 23.5%

不明(無回答) 5 14.7%

回答者数 34 -

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4)「(仮称)住宅活用プロジェクト」に対する関心

(1)「(仮称)住宅活用プロジェクト」対する関心の有無

アンケートを送付する際、「豊島区住宅マスタープラン」に記載された「(仮称)住宅活

用プロジェクト」の概要を抜粋して同封した上で、同プロジェクトの内容について関心が

あるかを尋ねた。

「(仮称)住宅活用プロジェクト」に「とても関心がある」と「まあまあ関心がある」を

合わせると、関心のある所有者は 27 件(33.3%)であり、「あまり関心がない」と「関心

がない」は合わせて 41 件(50.6%)であった。

表 4.20 「(仮称)住宅活用プロジェクト」への関心

項 目 回答数 比率

とても関心がある 10 12.3%

まあまあ関心がある 17 21.0%

あまり関心がない 17 21.0%

関心がない 24 29.6%

不明(無回答) 13 16.0%

回答者数 81 100.0%

(2)「(仮称)住宅活用プロジェクト」のうち関心のある項目

関心のある所有者 27 件について、「(仮称)住宅活用プロジェクト」の内容で関心のある

項目を尋ねると、「専門家の支援が受けられる」が 20 件(74.1%)に次いで「地域貢献で

きる」が 13 件(48.1%)であった(複数回答)。空き家の利活用について支援を期待する

ほか、地域貢献を志向する所有者がいることがわかった。

表 4.21 「(仮称)住宅活用プロジェクト」のうち関心のある項目(複数回答)

項 目 回答数 比率

信頼できる機関が借り手を仲介してくれる 11 40.7%

建物の利活用について専門家の支援が受けられる 20 74.1%

地域に貢献できる 13 48.1%

その他 3 11.1%

不明(無回答) 1 3.7%

回答者数 27 -

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5)空き家活用の意向の分析

(1)建て方別で見た空き家の利活用の意向

アンケート回答を基に、建て方別に空き家利用の意向を整理した。81 件の回答のうち「利

活用したい」との意向がある所有者は 23 件であり、このうち一戸建の所有者は 18 件であ

った。一戸建の所有者は 49 件であるので、36.7%が利活用したいとの要望を持っている。

一方、共同住宅の所有者は 22 件あり、このうち「利活用したい」との意向があるのは 2

件であるので、利活用したい所有者は 9.1%に留まる。

表 4.22 建て方別で見た空き家活用の意向

項 目 利活用 したい

条件次第で利活用を考え

たい

利活用するつもりはない

不明 (無回答) 総計

一戸建 18 8 20 3 49

長屋建 1 0 0 2 3

共同住宅 2 4 12 4 22

その他 0 2 0 0 2

不明(無回答) 2 0 2 1 5

総計 23 14 34 10 81

(2)建て方別で見た「(仮称)住宅活用プロジェクト」への関心

建て方別に「(仮称)住宅活用プロジェクト」への関心の有無を整理した。一戸建の所有

者 49 件のうち「とても関心がある」と「まあまあ関心がある」の回答は 14 件(28.6%)

であった。共同住宅の所有者 22 件では 9 件(40.9%)であり、建て方別では、大きな違い

は見られなかった。

表 4.23 建て方別で見た「(仮称)住宅活用プロジェクト」への関心

項 目 とても関心がある

まあまあ関心がある

あまり関心がない

関心がない

不明 (無回答) 総計

一戸建 6 8 13 14 8 49

長屋建 1 1 0 0 1 3

共同住宅 2 7 3 7 3 22

その他 1 1 0 0 0 2

不明(無回答) 0 0 1 3 1 5

総計 10 17 17 24 13 81

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(3)建物の登記年で見た空き家の利用の意向

所有者に空き家を利活用する意向があるものの、老朽化した空き家は実際には利用でき

ないことが想定される。ここでは、昭和 56 年の新耐震基準を満たす住宅がどのくらいある

のかを、登記年を基に整理した。なお、建物の登記年が特定できたものは回答のあった 52

件中 39 件である(土地の登記のみで建物の登記がない物件があるため)。

登記年が特定できた空き家のうち、登記年が昭和 56 年以前のものは 35 件であり、これ

らの空き家は耐震補強等の修繕をしないかぎり安全面での不安が残るため、実際には利活

用できないと考えられる。登記年が昭和 57 年以後で「利活用したい」との意向がある所有

者は1件に留まる。

表 4.24 建物の登記年で見た空き家利活用の意向

項 目 利活用 したい

条件次第で利活用を 考えたい

利活用するつもりは

ない

不明 (無回答) 総計

登記年が昭和 56 年以前 8 8 14 5 35

登記年が昭和 57 年以後 1 0 2 1 4

総計 9 8 16 6 39

(4)建物の登記年で見た「(仮称)住宅活用プロジェクト」への関心

建物の登記年別に「(仮称)住宅活用プロジェクト」への関心の度合いを整理した。昭和

57 年以後に登記した建物で「とても関心がある」または「まあまあ関心がある」と回答し

た所有者は合わせ 2 件に留まった。どのような点に関心があるのかを見たところ、「利活用

について専門家の支援が受けられる」が 2 件であった。昭和 56 年以前の建物についても地

域貢献等で利用することに前向きな所有者が少なからずいるが、利用に際しては耐震補強

等の改修が課題となる。

表 4.25 建物の登記年で見た「(仮称)住宅活用プロジェクト」への関心

項 目 とても関心がある

まあまあ関心がある

あまり関心がない

関心がない

不明 (無回答) 総計

登記年が昭和 56 年以前 5 10 6 10 4 35

登記年が昭和 57 年以後 1 1 0 0 2 4

総計 6 11 6 10 6 39

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6)建物の使用状況と空き家の利活用の意向

建物の使用状況別に、空き家の利活用の意向について整理した。建物を「使用していな

い」と回答した 14 件のうち、「利活用したい」、「条件次第で利活用を考えたい」と回答し

た所有者は合わせて 11 件であった。回答全体に占める割合は、合わせて 13.8%に留まって

おり、空き家と推測される建物の中で、利活用の可能性がある建物は非常に少ないことが

分かる。さらに、実際の利活用にあたっては、新耐震基準や接道義務などをクリアしなけ

ればならないため、利用できる建物はさらに限定されると考えられる。

表 4.26 建物の使用状況と空き家の利活用の意向

建物の使用状況(表 4.8) 空き家の利活用の意向(表 4.15)

回答内容 件数 比率 回答内容 件数 比率

使用している

66

81.5%

利活用したい 18 27.3%(22.5%)

条件次第で利活用を考えたい 7 10.6%(8.8%)

利活用するつもりはない 32 48.5%(40.0%)

不明(無回答) 9 13.6%(11.3%)

使用していない 14 17.3%

利活用したい 4 28.6%(5.0%)

条件次第で利活用を考えたい 7 50.0%(8.8%)

利活用するつもりはない 2 14.3%(2.5%)

不明(無回答) 1 7.1%(1.3%)

※( )は回答総数 80 件に対する比率

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7)空き家の利活用の条件と区に期待する支援

空き家の利活用の条件別に、区に期待する支援について整理した。利活用の条件として、

建物の修繕費用の目処やよい借り手と回答した所有者は、区に期待する支援に関しても同

内容を期待しており、条件が満たされれば、利活用する意向のある所有者が少なからずい

ることが分かった。

ただ、全体の傾向として、危険性の診断や修繕・取り壊し費用の助成を期待している所

有者が多く、所有者の建物は登記年が昭和 56 年以前の物件が大部分を占めるため、実際に

利活用するにあたっては、大規模な修繕が必要になると考えられる。このほか、借り手の

仲介や金融機関・不動産専門家の紹介などの要望もみられた。

表 4.27 空き家の利活用の条件と区に期待する支援(複数回答をクロス集計)

区に期待する支援 (表 4.18)

修繕・管理の専門家紹介

金融・不動産の専門家仲介

良い借り手の仲介

危険性の診断

修繕・取り壊し費用の助成

その他

空き家の利活用の条件(

表4.17)

建物の修繕費用の目処

3 1 3 6 6 0

良い借り手 1 1 9 6 7 2

十分な利益の確保

1 1 7 7 7 1

貸し出す期間を限定し、期間終了後は自分で利用

0 0 2 1 5 1

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8)回答者の居所

アンケートに回答した所有者の居所は、豊島区内が 57.9%であり、次いで東京都内が

22.8%であった。

豊島区57.9%

東京都内22.8%

関東15.8%

関東以外1.8%

不明(未回答)

1.8%

豊島区

東京都内

関東

関東以外

不明(無回答)

図 4.7 アンケート回答者の居所

なお、現地調査で空き家の可能性の高い建物 551 件のうち、登記簿で所有者が特定でき

たものは 386 件であった。特定できなかった物件は、所有者が建物の登記を行っていない、

敷地分筆などにより同地番に建物が複数あるため登記簿上で特定できない、登記上の所有

者住所と実際の所有者の居所が異なっているなどの理由が考えられる。

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4.3 ヒアリング調査の結果

1)空き家所有者へのヒアリング内容

空き家の利活用に対する意向や、空き家を利用する上での課題等の生の声を把握するため、

アンケート回答者のうち 25 名に電話ヒアリングを行い、16 名から有効な回答を得た。ヒアリ

ングでは、アンケートの回答内容に従って、「空き家利活用の意向の有無」と「(仮称)住宅活

用プロジェクトへの関心の有無」の2つの視点でグループ化して内容を整理した。

表 4.28 空き家所有者へのヒアリング内容 ①空き家を活用する意

向があり、住宅活用プロジェクトに関心がある

②空き家を活用する意向はあるが、住宅活用プロジェクトに関心がない

③空き家を活用する意向はないが、住宅活用プロジェクトに関心がある

④空き家を活用する意向はなく、住宅活用プロジェクトにも関心がない

アンケート回答数

19 13 4 26

ヒアリング実施数

7 1 3 5

空き家の現状

普段、どのように空き家を管理しているか。 空き家を活用する上で一番の問題点は何か。 -

周辺の環境等の状況は良好か。困っていることはあるか。

空き家活用の支援状況

空き家の活用について、これまでに行政や民間業者等に相談したことはあるか。その結果はどうであったか。

空き家について、区に支援にしてほしいことはあるか。

空き家活用の意向

今後、空き家を活用する際、どのような人に、どのような方法で活用してほしいか。

なぜ空き家を活用したくないのか(アンケート回答の内容を基に理由を詳細に伺う)。

- どのような条件であれば空き家を活用してもよいと考えるか。(例:助成金、期間の制限、現状維持等)

住宅活用プロジェクトへの関心

なぜ住宅活用プロジェクトへの関心を持ったのか。

なぜ住宅活用プロジェクトに関心がないのか。

なぜ住宅活用プロジェクトへの関心を持ったのか。

なぜ住宅活用プロジェクトに関心がないのか。

- 住宅活用プロジェクトで助成金や支援等がある場合、関心があるか。

- 住宅活用プロジェクトで助成金や支援等がある場合、関心があるか。

住宅活用プロジェクトへ協力する意向はあるか。

- 住宅活用プロジェクトへ協力する意向はあるか。

NPOなど地域活動の拠点として活用することは考えられるか。 -

条件が合えば、NPOなど地域活動の拠点として活用することは考えられるか。

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2)ヒアリングの結果

空き家所有者へのヒアリング結果を、空き家の現状、空き家活用の支援、空き家の活用意向、

(仮称)住宅活用プロジェクトへの関心の視点で整理して以下に示す。

(1)空き家を活用する意向があり、住宅活用プロジェクトに関心がある空き家所有者

○回答者①-A

性別 所有物件 登記年 所在地 女性 一戸建 昭和 56 年以前 長崎 2 丁目

項 目 回 答

空き家の現状 対象となっている家屋は空き家ではなく、母の介護等で利用してい

る。

なお、隣家は、一人暮らしの住人が亡くなってから空き家になってい

る。死後数日たって発見されたため、自分も一人暮らしなので心配で

ある。また、隣の家にビワの木があって、実がなるとタヌキに似た動

物(白い線の入った:ハクビシンか?)が来る。自分の家にも来るの

で、なんとかしてほしい。近所に空き家が増えると、動物も多くなっ

て困る。

空き家活用の支援 住居も老朽化しているので、耐震性・老朽化の危険性診断など相談し

たい。また、空き家も所有しており、やはり耐震性・老朽化が心配で

ある。修繕などで区の支援があるなら利用したい。簡単なことなら自

分で修理しているが、大変である。

空き家の活用意向 所有している空き家は、将来は友人と話す場として自分で利用するこ

とを考えている。賃貸にしたり NPO 等に貸し出したりするつもりは

ない。今は、母親の介護で利用している。

(仮称)住宅活用

プロジェクトへの

関心

空き家を利用して地域貢献をする「(仮称)住宅活用プロジェクト」

には期待しており関心もある。特に空き家所有者に対する支援を期待

している。「(仮称)住宅活用プロジェクト」で、空き家や老朽化した

住宅の対策が進めばよいと思う。

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○回答者①-B

性別 所有物件 登記年 所在地

女性 一戸建 不明 上池袋 3 丁目

項 目 回 答

空き家の現状 遠方(北海道)に住んでおり、管理は豊島区在住の親戚の方にお願い

している。建物が古いので、今後何らかの対策を考える必要があるが、

現在は具体的には考えていない。

空き家活用の支援 これまで空き家の活用について行政や民間業者等に相談したことは

ない。区による支援もあるかもしれないが、現状維持なので特に支援

してもらうことは考えていない。

空き家の活用意向 建物に荷物があり、その処分を考えると、活用していただくのは難し

いのではないか

(仮称)住宅活用

プロジェクトへの

関心

プロジェクトには少し関心があるが、具体的な内容まではまだわから

ないので、特段の意見はない。

○回答者①-C

性別 所有物件 登記年 所在地 女性 その他 昭和 56 年以前 長崎 4 丁目

項 目 回 答

空き家の現状 元々母の持ち物として賃貸として貸していたが、母が亡くなり管理等

が難しい事もあり(現在は武蔵野市に住んでいる)、昨年入居されて

いる方には出ていただき今は空き家の状態。

隣の家に御兄さんが住んでいる。アパートは全 6 部屋で簡易なキッ

チンとトイレがついている。

空き家活用の支援 空き家を活用しようとすると、修繕が必要であり、費用の助成等が

あるのかを知りたい。また、遠方に住んでいるので、管理をうまくで

きるようにしたい。

空き家の活用意向 現在は特に利用を考えていない。

(仮称)住宅活用

プロジェクトへの

関心

今後についてはあまり考えていなかったので、地元の役に立つのなら

ば活用していただきたい。

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○回答者①-D

性別 所有物件 登記年 所在地 男性 長屋建 不明 長崎 4 丁目

項 目 回 答

空き家の現状 店舗兼住宅で、4、5 年前まで賃貸住宅として貸していた。当時の賃

借人は 3~4 年程ご夫婦で古着屋を経営していた。建物は、昭和 30

年から 40 年代に建てられた古い物件であるが、リフォームすれば使

用できる状態であり、1 階の店舗には自動ドアも設置されている。

空き家活用の支援 なかなか借り手が見つからない時代なので、よい借り手を仲介してほ

しい。

空き家の活用意向 より借り手がいれば、是非活用していただきたいと考えている。

(仮称)住宅活用

プロジェクトへの

関心

今までこのような取組みがあることを知らなかったので、豊島区の方

で仲介していただければ、お貸ししたいと考えている。

○回答者①-E

性別 所有物件 登記年 所在地 女性 一戸建 不明 長崎 4 丁目

項 目 回 答

空き家の現状 4 年程前、母親が亡くなってから、引越しをした。自分が生まれ育っ

たまちだが、 近は近所に知り合いがいなくなってしまったので、通

う頻度も少なくなり、月に 1 回空気の入れ替えに訪問する程度であ

る。

空き家活用の支援 知り合いの方に一級建築士の方がいるので、これまで行政に相談した

ことはない。

空き家の活用意向 駅から徒歩 2、3 分の場所に位置し利便性もいいので、手放したくは

ない。昨年建替えの予定があり、知り合いの一級建築士にモデルまで

作成してもらったが、震災後、方位等なども考慮し、一旦白紙に戻し

た。現在も建替えの意思はあるが、具体的な予定は決まっていない。

構想としては、3 階建に建替えをし、2 階を賃貸として貸したい。た

だ、借り手は身元が分かるしっかりした方で女性が望ましい。

(仮称)住宅活用

プロジェクトへの

関心

プロジェクトには関心があり、女性で希望の方があれば、早急に建替

えの計画を立てたいと考えている。

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○回答者①-F

性別 所有物件 登記年 所在地 男性 一戸建 不明 池袋本町 3 丁目

項 目 回 答

空き家の現状 全部で 4 戸(自宅 1、共同住宅 1、その他母屋等)の土地・建物を同

じ方にお貸ししている。自宅は 2 年前にご夫妻が高齢のため、老人

ホームに入居されてから空き家となっており、現在は息子さん(50

代)が管理されており、私も時々訪問している。自宅は築 40 年以上

が経過しているが、中はきれいな状態である。共同住宅も古い物件だ

が、中をリフォームしており、使用できる状態にある。賃借人は、他

に自宅があり、4 戸とも手放したい意向をお持ちなので、現在協議を

している。

空き家活用の支援 土地・建物の有効活用のため、豊島区にご協力いただけるとありがた

い。

空き家の活用意向 公園にしたり、震災で家に困っている方のために利用していたただき

たい。

(仮称)住宅活用

プロジェクトへの

関心

上記のような土地・建物の状況から、プロジェクトには関心があるの

で、利活用できるようご協力いただきたい。

○回答者①-G

性別 所有物件 登記年 所在地 男性 一戸建 昭和 56 年以前 上池袋 3 丁目

項 目 回 答

空き家の現状 建物に関して、特に破損状況等はない。ただ、当地は道路から奥まっ

た袋小路のため、建替えができない。

空き家活用の支援 近い将来空き家になる可能性が高いので、民間業者には相談したこと

がある。

空き家の活用意向 空き家を活用する場合は、賃貸収入を目的とする。

(仮称)住宅活用

プロジェクトへの

関心

収入がなければメリットがないと考えている。また、当地は道路から

奥まった袋小路 深部のため、拠点としては非常に不向きではないだ

ろうか。

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(2)空き家を活用する意向はあるが、住宅活用プロジェクトに関心がない空き家所有者

○回答者②-A

性別 所有物件 登記年 所在地 男性 一戸建 昭和 56 年以前 長崎 4 丁目

項 目 回 答

空き家の現状 母親がいた 10 年前までは居住していたが、以後は他の住居に住んで

おり、月に 1 回程度訪問している。その後は、現在までの間に 2 年

間親戚の方に貸していたことがある。建物は 10 年前に全面改築を行

っており、居住できる状態になっている。昨年の震災時は、瓦が破損

したが、全面修理した。

空き家活用の支援 これまでに行政や民間業者に利活用の相談をしたことはない。

空き家の活用意向 何か困った時のために、資産として保有しておきたい。

(仮称)住宅活用

プロジェクトへの

関心

今後も親族間での利用を想定しており、現在の建物を子どもの住

居にしたいと考えている。したがって、プロジェクトにはあまり

関心がない。

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(3)空き家を活用する意向はないが、住宅活用プロジェクトに関心がある空き家所有者

○回答者③-A

性別 所有物件 登記年 所在地 男性 一戸建 昭和 56 年以前 池袋 3 丁目

項 目 回 答

空き家の現状 回答した物件は空き家ではなく、居住している。1件隣に倒壊しそう

な空き家があり、近所と連名で区にも対処を要望していたところ、先

日、区より所有者に命令書が出て、助かった。ただし、まだ具体的な

対策は取られていない。

空き家活用の支援 近所に空き家がまだあるため、防犯や防災の面で心配である。道が狭

いところもあるので、壊れそうな空き家を見ると心配である。

空き家の活用意向 自分が住んでいるところは、今後も居住するつもりである。人に貸す

つもりはない。

(仮称)住宅活用

プロジェクトへの

関心

「(仮称)住宅活用プロジェクト」には関心がある。商店街なので、

空き家を利用して地域を活性化して欲しい。壊れそうな危険な空

き家は、プロジェクトの一環として区が対処してほしい。近所の

空き家は多くが取り壊されて駐車場になっている。どのように空

き家や空いた土地を利用するのかはいろんな考え方があるが、区

が空き家対策を進めることは良いことである。

○回答者③-B

性別 所有物件 登記年 所在地 女性 長屋建 昭和 57 年以後 高松 2 丁目

項 目 回 答

空き家の現状 2 階に 4、5 部屋あり、賃貸として貸していたが、部屋が狭く老朽化

がひどいため、現在は募集をしていない。そのままにしてある。建っ

てから 60 年以上になるため、解体しないと人が住める状況ではない。

空き家活用の支援 老朽化がひどいため解体したいが、費用の面や解体後の利用など、ま

だ具体的な方針は決めていない。

空き家の活用意向 建物が老朽化しており、今の空き家を利活用するつもりはない。

(仮称)住宅活用

プロジェクトへの

関心

プロジェクトは内容がよくわからない。空き家の修繕や解体の支

援等があると良い。

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○回答者③-C

性別 所有物件 登記年 所在地 男性 共同住宅 昭和 56 年以前 池袋本町 3 丁目

項 目 回 答

空き家の現状 現在は賃貸住宅として、全 5 部屋の全てを貸し出している。外観の破

損もなく、特に困っていることはない。

空き家活用の支援 修繕・取り壊しの費用の助成や、不燃化、ビル化のための支援をして

ほしい。

空き家の活用意向 現在は賃貸住宅として貸し出しており、利活用する意向はない。活用

する場合は、ボランティア、地域活動や公共用地として活用してもら

いたい。

(仮称)住宅活用

プロジェクトへの

関心

プロジェクトにはとても関心があり、商店街、住宅密集地の再開

発計画の推進や公園、緑地化、防災区域への活用をお願いしたい。

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(4)空き家を活用する意向はなく、住宅活用プロジェクトにも関心がない空き家所有者

○回答者④-A

性別 所有物件 登記年 所在地 男性 一戸建 昭和 56 年以前 池袋 3 丁目

項 目 回 答

空き家の現状 現在特に困っていることはない。空き家はそのままにしてあり、その

うち個人で利用するつもりである。

空き家活用の支援 空き家(住宅)の利活用は個人の問題なので、行政が関わる問題では

ない。

空き家の活用意向 空き家を利用するつもりは全くない。空き家の活用について助成等が

あったとしても、特に空き家を利用しようとは思わない。

(仮称)住宅活用

プロジェクトへの

関心

「(仮称)住宅活用プロジェクト」には関心がない。住宅について

支援も求めないし、地域活動等で利活用するつもりもない。

○回答者④-B

性別 所有物件 登記年 所在地 男性 共同住宅 昭和 56 年以前 池袋 3 丁目

項 目 回 答

空き家の現状 以前は母親が住んでいたが、亡くなってからは空き家となっており、

多少物が置いてある程度となっている。現在は、月に 2 回程、風通し

のため訪問している。建物自体はかなり古いので、住める状態ではな

い。現時点では解体の予定はなく、震災の際にも破損はみられなかっ

たので、現状のままにしておこうと考えている。

空き家活用の支援 これまで利活用について豊島区に相談したことはない。

空き家の活用意向 特に生活に困っているわけでもないので、活用するつもりはない。

(仮称)住宅活用

プロジェクトへの

関心

建物に関して利活用の予定はなく、プロジェクトにも関心がない。

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○回答者④-C

性別 所有物件 登記年 所在地 男性 一戸建 昭和 56 年以前 駒込 6 丁目

項 目 回 答

空き家の現状 物置として使用しており、現在は別の住まいを在宅介護用にリフォー

ムしている。建物に関しては、特に破損状況はみられない。

空き家活用の支援 夫婦とも高齢で、現在は別の住まいに住んでいるので、支援は必要と

していない。

空き家の活用意向 夫婦とも高齢で、介護が必要になった場合、いろいろな手続きが大変

になるので、人に貸すことは考えていない。

(仮称)住宅活用

プロジェクトへの

関心

プロジェクトに関してはあまり関心がない。

○回答者④-D

性別 所有物件 登記年 所在地 男性 共同住宅 昭和 57 年以後 長崎 4 丁目

項 目 回 答

空き家の現状 以前は賃貸住宅として貸していたが、現在は募集をしておらず、物置

として使用している。中は手入れをしないと使用できない状態で、当

面は現状維持を考えている。

空き家活用の支援 当面、建て替えや改修を行う予定はなく、特に困っていることもない

ので、区に支援をお願いしたいことはない。

空き家の活用意向 建物を将来使用する予定があり、利活用するつもりはない。

(仮称)住宅活用

プロジェクトへの

関心

プロジェクトには関心がない。

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○回答者④-E

性別 所有物件 登記年 所在地 女性 共同住宅 昭和 56 年以前 高松 2 丁目

項 目 回 答

空き家の現状 現在賃貸住宅として使用しており、1 部屋住んでいる方がいる。ただ、

築約 45 年で昨年の震災でも非常に危険な状態だったので、募集はし

ておらず、現在お住まいの方で 後にしようと考えている。

空き家活用の支援 売却の意向があり、支援は必要としていない。

空き家の活用意向 周辺の共同住宅でも結構空室が目立っていると聞いているので、今後

は売却の方向で考えており、利活用するつもりはない。

(仮称)住宅活用

プロジェクトへの

関心

今後利活用の予定はなく、プロジェクトにも関心がない。

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Ⅴ 空き家活用方策のアイデア

5.1 空き家所有者の意識の醸成

空き家所有者に対するアンケートやヒアリング調査によると、賃貸向けの物件を除き、空き

家所有者の多くは、現在も何らかの形で空き家を自ら利活用しており、将来的にも自身の用途

で利活用したいとの意向を持っている。一方で、物件の老朽化や地域での空き家の増加による

防犯・防災面での不安など、多様な課題を抱えており、区をはじめとした支援を求める声も多

い。このため、「(仮称)住宅活用プロジェクト」についても、区の支援を期待する意見が多数

を占め、プロジェクトが掲げるような空き家を地域活動等で利活用するといった意識は薄いの

が現状である。一方、「(仮称)住宅活用プロジェクト」を地域貢献として賛同する意見も少数

あるが、あくまでも総論としての賛同であり、自身の物件を活用するとの積極的な賛同意見は

少ない。そもそも、地域の不動産仲介市場に出てこない物件は、老朽化して賃貸に適さないと

いった問題等があるほか、所有者が自身で利用するので市場に出さないことが考えられる。ま

た、税制上の理由から、老朽化した空き家を現状維持している所有者も見られる。

空き家所有者には、空き家を利活用することで所有者や地域にどのようなメリットがあるの

かを理解してもらい、積極的に利活用に参加してもらうために、「(仮称)住宅活用プロジェク

ト」の中で、普及啓発を推進することが重要となる。

5.2 利活用できる空き家の抽出

昭和 56 年に建築基準法の耐震基準が改正され、「新耐震基準」では人命の保護に重点を置き、

中地震では損傷しないこと、大地震では倒壊、崩壊しないことが求められている。阪神・淡路

大震災で大きな被害を受けた建築物のほとんどは、昭和 56 年以前に建築された木造住宅で、「新

耐震基準」以降の住宅には、大きな被害が少なかったと指摘されている。

空き家実態調査で、登記年が特定できた 211 物件を見ると、昭和 56 年以前の建物は 176 件

であり全体の 83.4%を占めた。これらの物件はそのまま利用するには耐震性の面で不安があり、

耐震補強をするにも多くの費用が必要になるため、実際には利活用は困難であると推測される。

今回調査した物件の 83.4%が新耐震基準を満たしていないことは、利活用できる空き家が非常

に少ないことを示している。なお、昭和 56 年以前に登記された建物でも、歴史的に貴重な建物

などの物件については、利活用を含めて対策を検討することも考えられる。

表 5.1 空き家実態調査で確認した建物の登記年 登記年 件数

昭和 56 年以前 176 83.4%

昭和 57 年以後 35 16.6%

総計 211 100.0%

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空き家所有者アンケートのクロス集計結果(表 4.26)によると、「ボランティアや地域活動

に貸し出したい」、「商店・事業所として貸し出したい」、「公共用地(公園等)として行政に使

用してもらいたい」のように地域の活性化・まちづくりに利用したいと考える所有者は、全回

答数 80 件のうちの 11 件(13.8%)であった。昭和 57 年以降に登記された建物の比率が 16.6%

であるので、新耐震基準を満たした上で、地域活動に利活用する意向のある空き家所有者は、

全体の 2.3%程度となる。今後、「(仮称)住宅活用プロジェクト」を推進する中で、全空き家の

うち 2.3%をどのように利活用していくのかが課題になるが、残る 97.7%の空き家について、

耐震性の改善や利活用への誘導をどのように進めるのかも重要な課題である。

図 5.1 地域活動等で利活用できる空き家の比率

新耐震基準を満たしていない空き家 (登記年が昭和 56 年以前)

全空き家の 83.4%

新耐震基準を満たしているが、地域活

動等で空き家を利用することに消極的 全空き家の 14.3%

新耐震基準を満たしており、地域活動

等で空き家を利用することに積極的 全空き家の 2.3%

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5.3 市民団体等のニーズ

空き家を利活用した地域活動として、高齢者向けサービスや子育て支援等のまちづくり活動

が考えられる。従来は行政や商店街などの取組みが中心となってまちづくりが進められてきた

が、近年は市民団体の活動が活発になってきており、こうした団体の果たす役割が大きくなっ

ている。区は市民団体と協働の下で、多様な地域の課題に取り組む体制を整備することが必要

となる。

介護・福祉やまちづくりの市民団体は、地域に密着した活動拠点を求めているほか、人が集

うカフェなどの施設を望むことも多い。「平成 18 年度豊島区-立教大学共同研究事業 NPO 活

動の現状と協働のあり方に関する調査研究報告書」(平成 19 年 3 月、豊島区政策経営部企画課・

立教大学コミュニティ福祉学部)によると、団体名義の事務所の有無は、総収入額の多寡と有

意な関係にあることがわかる。規模の小さな団体は会員の個人宅等を連絡先としているが、規

模の大きな団体は団体名義の事務所を借りている。いずれも事務所経費は大きな負担となって

おり、安価に利用できる活動拠点が必要である。なお、同報告書によると、市民団体は、「保健・

医療・福祉」を筆頭に、「社会教育・生涯学習」、「国際協力」、「子どもの健全育成」、「まちづく

り」に取り組む団体が多い。このうち豊島区では、「国際協力」に取り組む団体が、全国平均に

比べて多いことが特徴である。

市民団体は、活動資金を圧迫しない程度の安価な活動拠点(事務所)を求めており、区内の

空き家をこうした拠点として活用することで、地域に密着した活発な活動を展開できることが

期待される。

図 5.2 豊島区における市民団体の事務所の設置状況

出展:平成 18 年度豊島区-立教大学共同研究事業 NPO 活動の現状と協働のあり方に関する調査研究報告書、平成 19 年 3 月 豊島区政策経営部企画課・立教大学コミュニティ福祉学部

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5.4 空き家活用方策の検討

空き家実態調査の結果を踏まえ、空き家活用方策の方向性を以下に整理する。

①所有者の意識醸成のための施策

○ 所有者の協力なしに、空き家の有効活用は不可能である。様々な空き家の有効活用事

例や老朽化が進んだ空き家が周辺地域に与える防犯・防災面での影響等をイベントや

パンフレットにより周知し、所有者の意識向上を図る必要がある。

○ 空き家所有者の中には、地域貢献活動に関心のある人も見られる。高齢者サービスや

子育て支援など、市民団体の活動拠点としての利活用についての協力をお願いする。

○ アンケート調査では、空き家の有効活用のために必要なこととして、「補修に対する支

援」「耐震・老朽化診断」「防犯・防災」などがあげられていることから、区の既存の

施策に加え、「(仮称)住宅活用プロジェクト」では、所有者への具体的な支援策を立

案する。

○ 国は「住宅セーフティネット整備推進事業」「空き家等活用推進事業」等、都は空き家

をグループリビングに利用する際のバリアフリー改修費の助成など、空き家有効活用

のための施策や、高齢者が所有する住宅等を子育て世帯へ賃貸する制度、老朽化した

既存住宅を活用するための改修費の支援策等を講じている。区においてもこうした既

存事業を促進するとともに、地域の特性に合わせた独自の支援策として「(仮称)住宅

活用プロジェクト」を推進する。

②空き家修繕支援策の検討

○空き家を利用するには、「現状のまま利活用できる空き家」と「補修が必要な空き家」

に区分され、それぞれのタイプに応じた活用方策を検討する必要がある。

○「現状のまま利活用できる空き家」については、所有者の活用意向を把握した上で、

「(仮称)住宅活用プロジェクト」への参加を促す施策を展開する。

○「補修が必要な空き家」は、既存の補修支援や耐震診断等の制度を活用するなど、補

修を促進するとともに、補修後に「(仮称)住宅活用プロジェクト」への参加を促す。

○所有者の高齢化に対して、空き家利活用に必要となる支援策を進める。例えば、改修

費に対してリバースモゲージを検討したり、家賃への補助、ニーズに合わせた補修や

改修等、行政として直接的な仕組みや間接的な補助を検討する。

○建替えやリフォームが困難であったり、相続により取得したが入居予定がなかったり、

借地返還予定であったりと、様々な理由による空き家があることから、このような状

況に対応した対策が求められており、課題の優先度に応じた施策の検討を行う必要が

ある。

○老朽化が進み、改修困難な空き家については、跡地を区が利活用案を提示するなど、

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固定資産税の負担が増加しない検討を行い、地域防災の向上と空き家利活用を推進す

る施策を展開する。

③空き家を利用した事業内容の検討

○ 「豊島区重点プロジェクト準備会」における豊島区高齢者福祉課、介護保険課に対す

るヒアリングでは、高齢者サービスの拠点として、以下のような利活用方法の意見が

出された。介護施設、医療施設と住宅を複合した施設の整備を指向する利活用方法で

ある。

・ グループホーム:事業意欲のある所有者は多いと想定される。豊島区では地代が高

いことがネックとなっており、助成等で安価に拠点を提供できれば、空き家利活用

方法として有望である。

・ 御泊りデイ:高齢者住宅が不足しており、宿泊可能な介護サービス施設に対する需

要は多い。

・ 介護事業所のサテライト施設:地域のニーズに合わせた施設・サービスを提供でき

る。また、高齢者サロンなど高齢者の居場所の整備も考えられる。

・ 高齢者住宅:地域包括ケアシステムの基盤として、介護サービス付高齢者住宅や病

院から退院した後の高齢者の住まいは、今後必要となる施設。

○区民活動の拠点として、以下のような活用方法が考えられる。

・ インキュベーション施設:芸術家、音楽家、漫画家を目指す若者のアトリエやスタ

ジオなど、テーマ性を持った事業の拠点施設。

・ シェアオフィス:複数の団体が空き家を継続的に活用することができるシェアオフ

ィスとして整備する。

・ イベント会場の場:単体のイベントを開催する場として、空き家を利用することが

考えられる。活動の発表や自己表現の発表の場として、利用したい人は多いと考え

られる。

・ 居場所づくり:子供の遊び場や高齢者の居場所、ホームレスの住まいなど、居場所

が必要な方の施設として利用する。

・ 国際協力の拠点:海外からの居住者や観光客と交流するためのスペースとして利用

する。日本の伝統的な家屋での国際交流イベント等のニーズが考えられる。

④区民や地域の関連団体との連携強化-マッチングのためのプラットホームづくりの検討

○地域の空き家については、自治会や地域のまちづくり活動を行う団体等が把握してい

ると考えられる。利用可能な空き家のストックを整理するとともに、利用ニーズとの

マッチングを図るなど、区民等との連携体制の構築が求められる。

○区では詳しい空き家の情報を得ることは難しい。不動産賃貸市場で扱われる空き家に

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対しては、地域の不動産事業者等が取り組んでいることから、事業者等との連携体制

を強化し、情報や問題点の共有を図ることで、行政の立場でできる支援策を検討する

必要がある。

○民間においても空き家の維持管理等、空き家を対象としたビジネスも成り立ってきて

おり、古い住宅を活用する仲介ビジネスが見られる。民間との協働を促進し、民間ノ

ウハウなどの活用や情報提供などの関係づくりを考えていく必要がある。

○豊島区では新耐震基準を満たしていない老朽化した空き家が多く見られることから、

所有者には補修や建替えをはじめ、借り手の仲介や利活用方法に至るさまざまな悩み

や相談事があると想定される。こうした空き家所有者の相談窓口となる仕組を創るこ

とが求められる。区の施策として窓口を設置するほか、将来的には市民団体等が窓口

機能を持ち、地域の情報を集約した中で、空き家の有効な利活用方法を提案できるよ

うにする。

空き家の利活用とその支援策等については、本調査結果を踏まえ、今後の「(仮称)住宅活用

プロジェクト」において具体的な施策を検討し、関係者との協議を進めることが望まれる。

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資料編 空き家立地状況図

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豊島区空き家実態調査報告書

編集・発行 平成 24 年(2012 年)3月

豊島区都市整備部住宅課

〒170-8422 豊島区東池袋一丁目 18 番 1 号

TEL 03-3981-1111(代表)

調 査 協 力 株式会社 創建

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