タイにおける駐在員の個人所得税の最新動向とコスト...

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タイにおける駐在員の個人所得税の最新動向とコスト削減案 Deloitte Touche Tohmatsu Jaiyos Advisory Co., Ltd. 202072

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タイにおける駐在員の個人所得税の最新動向とコスト削減案Deloitte Touche Tohmatsu Jaiyos Advisory Co., Ltd.

2020年7月2日

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本日のアジェンダ

2

ご挨拶

駐在員の個人所得税の最新動向

タイ特有のコスト削減案

アジェンダ

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ご挨拶Deloitte Touche Tohmatsu Jaiyos Co., Ltd.

日系企業サービスグループ

パートナー

小口 誠司

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講師紹介

木谷 聡/So Kitaniデロイトシンガポール事務所東南アジア日系企業向けグローバルモビリティのサービスリーダーシニアマネージャーEmail: [email protected]:+65 6530 8051

大手税理士法人、コンサルティングファームを経て、2014年にデロイト トーマツ税理士法人へ入所

2019年10月よりDeloitte Singaporeに駐在

海外派遣社員及び外国人派遣社員の国内外における所得税税務申告コーディネーション、等のプロジェクトに従事

グローバル駐在員の所得税一元管理

出張者管理ツールの導入支援

オンサイトによる業務プロセスの効率化

給与支払スキームのオペレーション最適化

中国外貨送金規制対応 等

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駐在員の個人所得税の最新動向

5

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今まで以上に「企業の個人所得税」に関するリスク対応・管理は重要度を

増しており、税務当局の動きに合わせた対応が求められます

税務調査における環境の変化と税務当局の動き

個人所得税(赴任者・出張者)

金融口座情報の自動的交換(CRS)

重点管理の富裕層PTの設置

国外財産調書の提出の義務化

法人税(人の異動に係る項目)

国外関連者に対する寄附金

移転価格課税(BEPS)

組織再編税制

今後、日系企業がグローバルで事業を展開していくにあたって、社員個人に関する税のリスクへの対応や管理がより重要となります

相互情報交換制度

共通報告基準(CRS)に基づき、納税者の取引などの税に関

する情報が二国間の税務当局で互いに提供される

2018年度は日本は64の国・地域から55万件の口座情報を入

手、タイは2023年から情報交換開始予定(2020年5月時点)

デジタル化

税務当局の情報収集手段としてビッグデータを活用し、納税者

に対しても電子申告の推進を行っている

例)中国の金税三期システム

イミグレーション

VISA申請時における情報が税務当局に連携され、個人の情報

が共有されつつある

例)シンガポール、オーストラリア、カナダ

ぜ 税務調査における重点事項 税務当局の動き

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赴任者・出張者(グローバルモビリティ)の管理体制には様々なものがある

が、日系企業には「分散型(部分最適型)」が多く見受けられます

赴任者管理体制の類型

イメージ

特徴

各国の子会社に赴任者の現地税務処理を任せていて、Tax

providerは統一されていない

本社サイドは必要な事項を吸い上げる体制

一部の重要拠点はTax provider

(日本・現地)と本社・現地法人の四極体制を組み上げている

必要な事項はTax providerを通じてデリバリーされる

全ての拠点について本社・現地・Tax provider(日本・現地)との四極体制がセットされている

包括的な全体管理

異動者の管理を別法人(Global

Employment Company)で行う集中型管理体制

包括的な管理に加え、異動者の処遇を本国の報酬体系と切り離すことも可能

データ管理

各国からのリクエストベース 一部最適化されている 全部最適化 全部最適化

Payroll Split paySplit pay /

一部の拠点がHome payHome pay Off shore pay

税マネジメント

現地からの情報が把握できず、税務リスクが生じやすい

主要拠点は税務リスクが生じにくい

その他拠点はリスクが生じやすい

税務リスク・優遇税制など、全体が管理されている

全体管理

本社のモビリティ戦略に沿った運営

事務手間

各国が異なるオペレーションを組み上げることも多く、煩雑になりがち

一部拠点のオペレーションが簡素化されつつある状態

全体のオペレーションが簡素化されている

オペレーションの集中・簡素化に加え、モビリティ戦略の立案も実施

分散型 コーディネート型 集約型

各子会社

Tax Provider

現地Tax Provider

日本Tax Provider

一部コーディネート型 全部コーディネート型

本社

GEC

子子

子子

子子

本社本社本社

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Polling Question

貴社の「赴任者の個人所得税の申告書の作成の類型」に関して、下記対応状況についてお伺いさせてください

1.グローバルで駐在員の個人所得税のベンダーを選定している

2.タイ国内で駐在員の個人所得税のベンダーを統一している

3.各現地法人ごとに駐在員の個人所得税のベンダーを選定している

4.自社で対応している

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現地にてLocal担当者任せの管理による問題点

グローバルモビリティの税務は本社との連携による戦略的な対応が必要とな

ります

属人的な管理

• 長年同じ担当者に管理を任せてしまっている場合には、申告処理の妥当性の検証が難しく、また担当者が交替した場合に内容の引継ぎが困難

• 日本本社の国際人事も現地における問題点を把握できず、問題の早期発見が遅れるリスク

不正リスク

• 現地担当者個人が赴任者の高額な納税資金を受け取り、移動させること自体、高いリスクを抱えている

• 納税が適切に行われているかの判断が現地人事担当者個人の裁量に委ねられるリスク

現地での個人情報保護の管理

• EUのGDPRのような、個人情報保護法が東南アジアにおいても増加(タイでは2021年6月からPDPAが施行予定)

• 現地の納税資金を現地法人の現地人事担当者が管理することによる個人所得も含めた情報が漏洩するリスク

問題点

PDPAは、日本の個人

情報保護法の対象とされる情報より範囲が広く、日本本社も対象とな

りうる。

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グローバルスタンダード化された赴任者データ展開のイメージ

メリットデメリット

日系企業によくある例 (データの流れが複雑) データの流れを整理 (データが標準化された状態)

ペイロールの事務負荷がかかっている

プロバイダーが統一されていない

事務負荷の軽減 プロバイダー統一による

ボリュームディスカウント データの一元管理ベンダー費用増大

人件費削減人件費増大

ベンダー費用削減

データの有効活用

データフローを見直し、オペレーションを改善することにより、煩雑さと事務コス

トを軽減することも可能です

担当者担当者

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モビリティプロセスが進化しデジタル管理されたデータを戦略的に利用するこ

とにより、様々な領域で活用できます

出張者リスク

タレントマネジメント

赴任者業務のKPI分析

各種ツール

海外現地法人人材の有効活用

赴任コストや赴任の障壁を分析し赴任者

選定時のランク付けを行う

税務リスクの低減と管理工数削減

イミグレーション業務の効率化

常に最新情報を入手できる体制の構築

事業戦略と連動した適切な人材配置と

進捗管理

赴任者タイプの分析と効果測定

データ活用例

候補者分析 候補者優先順位

出張者課税進捗 出張先VISA要件

国別赴任者状況 VISA更新進捗

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海外赴任におけるあらゆる場面において、デジタルソリューションは活用でき

ます

デジタルを活用したグローバルモビリティの未来像

オンラインツールを使った

出張前のイミグレーション

リスク判定、出張に係る

イミグレーション・税務リ

スクの従業員研修

オンラインデータ

ベースに保存さ

れた従業員の

スキルと置かれ

ている状況をも

とに、赴任者候

補を選定

グローバルポー

タル経由で赴

任者のイミグ

レーション業務

開始をアドバイ

ザーへ指示

赴任コストを最新

のマーケットデータと

過去の類似した赴

任者情報からモデ

ル化

赴任先の住居、勤務

先や子女の学校等の

現地状況を赴任元に

いながら確認

赴任者が持つ疑問

や課題を24時間対

応のインスタントメッ

セージで解決

赴任関連データ

はシステムに入

力後保存され、

KPIのモニタリン

グや戦略的な

情報分析に使

管轄部署の担当者は、

イミグレーションと税務に

関するデータを1つのプ

ラットフォームから入手可

赴任決定

Pre Travel

Assessment

Deloitte

Passport

タレント選定

ツール

赴任先税務

コンプライアンスチャットボット

VR型モビリティイミグレーション

赴任コスト試算

ビザ更新

手続き分析

赴任

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タイ特有のコスト削減案

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東南アジアの良くある落とし穴

タイを含む東南アジアには、地域特有の難しさがあります

1

実務運用細則や厳密なルールが不明瞭な部分が多く、対応のさじ加減や、法改正があった場合にどのタイミングでどのような対応をすべきかの判断が難しい

税務当局と移民局の情報共有は、国によっては、一部限定的ではあるものの、確実に進んでいる

他の地域と比べ、確定申告による還付金の受け取りが(理論上は可能であっても)実務上難しい国が多く、対応に留意が必要

良くある落とし穴

不明瞭なルール、頻繁な法改正

2

3

還付受領のハードル高4横並び対応のリスク

現地の他の日系企業と足並みを揃えた対応を行っている場合、税務当局の進化の度合を見誤る可能性あり

5 当局間の連携の加速属人的なオペレーションのリスク高

コンプライアンスを内製化している場合、現地スタッフの質の問題や、間違った認識に基づくオペレーションによるリスク高

各国の特性を把握しておくことも重要

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各国ごとの個別調査・運用への反映が必要になるが、外資系の場合は国別のアプローチを積極的に採用することが多い

赴任者はグロスアップ影響があるため、削減(グロスダウン)の影響も大きく、削減余地が大きい

赴任者税コストが全体的に減免される優遇税制の例 個別手当ごとに課税が減免されるタイプの優遇税制

シンガポール

タイ

地域駐在員(Area Representative)スキーム非通常居住者(Not Ordinary Resident=NOR)

スキーム

International Business Centre(IBC)制度による税務恩典

インド日印社会保障協定適用によるProvident Fundの還付申請

国別に様々なものがあるが調査不足により適用されていないケースがある

赴任者別のエビデンス・事前手続き・データが必要であるため現地が認識しつつも、適用されていないケースがある

日本

タイ

法定家賃(Legal Rent)スキーム

配偶者控除・扶養控除の適用

SEA現地法人にリチャージされない限り(現地法人が費用負

担していない限り)課税されいなケース

各国 課税範囲や税率が選択できるケース 等

事例1 事例2

15

国別の優遇税制や特別な税務上の取扱いを個別に理解し、その国に応じ

たアレンジを行うことで税コストの削減を図ることも可能です

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税コスト削減案

タイ特有の税制を理解し、適切なオペレーションにより税コストを削減できる

可能性があります

帰任後に発生する現地税金を会社が負担することで、日本でも所得として課税が必要になるため、グロスアップコストが発生する。

帰国後に現地税金を発生させないよう、帰国前に納税(PND93の提出)することで、グロスアップコストを削減することが可能。

一定要件を満たせば、IBC(International

Business Center)業務に従事する外国人従業員の個人所得税率を一律15%に優遇することが可能。

タイから日本へ赴任する場合、タイの社会保険に加入している場合、実務的に日本赴任期間中でもタイで源泉徴収が行われてしまうが、赴任期間中はタイ源泉税は本来日本源泉である。

人的控除や海外保険料の控除の適用を行うことで税コスト削減可能。また法人間の付替えの有無によって課税が決まる項目を理解することでも税コストの削減は可能。

出国時申告(PND93)による帰国後納税コスト削減

タイ非居住者の源泉税の徴収(タイ→日本の赴任の場合)

IBC制度による税務恩典

その他

1 2

43

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帰国後に現地の納税を行った場合

日本に帰国した後に生じるタイ税金は日本でも課税と

なり、税コスト・日本サイドの事務作業が発生します

日本人海外赴任者が赴任を終え日本に帰国すると、日本の税務上、帰国日の翌日より永住者に該当し、全世界所得が課税対象となります。

帰任 2020

Jan

海外勤務 日本勤務(日本の税務上永住者)

2019

Jan

2019年課税年度に係る確定申告

海外勤務先国の確定申告提出・納税

日本で課税対象*2現地で追加納税*1

2021

Jan

帰国後納税

*1 現地で追加納税が生じる例:月次ペイロールに誤りがあり源泉徴収税額に不足があるケース、申告時に新たに課税アイテムが発見されるケース 等*2 日本において外国税額控除は適用不可

140万円の追加納税、対象200名、日本の税率を30%とすると ・・・ 140万円÷(1-30%)×30%×200人=1億2千万円のインパクト

Point 1

一方タイでも赴任期間に係る所得は課税対象となるため、帰国後も引き続き申告義務が発生します。

上記の賞与にかかるタイ税金を会社が赴任者本人に代わって負担をした場合には、当該税金について日本側で手当として所得認識されるため、帰国後納税に対するグロスアップ処理が必要となります。

Point 2

Point 3

Point 4

そのため、帰国後に賞与が支払われ、一部タイ源泉が含まれている場合には、タイでも課税されます。

出国時申告(PND93)による帰国後納税コスト削減

タイ源泉税の免税適用(タイ→日本の赴任の場合)

IBC制度による税務恩典

その他

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税コスト削減案

日本へ帰任後に生じるグロスアップコストは、帰任前に

前払いすることでコスト削減の余地があります

日本:非居住者 日本: 居住者

帰任 賞与支払

70

70 30

30

タイ源泉 日本源泉

タイ課税所得 70

日本課税所得100

タイ課税所得 0

日本課税所得30

70 タイ課税所得 70

25

30

25

9

タイ所得税 25(35%の場合)

日本所得税 30(30%の場合)

タイ所得税 25

(税率35%)

日本所得税 9(30%の場合)

25 11

11

日本課税所得36

日本所得税 11(30%の場合)

グロスアップ計算

通常は帰任時には賞与の支払はないのでタイで課税もされない

賞与の前払=税金の前払

通常 (帰国後の賞与(100)に一部タイ源泉(70)が含まれている場合)

帰国前に、タイ源泉の賞与見積額を算出し、タイ源泉部分(70)を支払う場合

①タイ源泉70についても日本で課税されてしまうため、一時的に二重課税が発生(FTC適用可)

②タイ税金に対しても、日本で課税され、さらにグロスアップ計算が必要(FTC適用不可)

税コスト合計 66

(=25(タイ)+11(日本)+30(日本))

③帰国前に、タイ勤務にかかる賞与を算出し、帰任前に賞与を前払いすることで、同時にタイ税金の前払いも行い、上記で生じる帰国後のグロスアップコストを削減可能

税コスト合計 34 (=25(タイ)+9(日本))

一人当たり削減コスト 32 (=66-34)

賞与100万、対象者50名の場合、

32万x30人=約1000万円のコスト削減余地

日本:非居住者 日本: 居住者

帰任 賞与支払

出国時申告(PND93)による帰国後納税コスト削減

タイ源泉税の免税適用(タイ→日本の赴任の場合)

IBC制度による税務恩典

その他

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出国時申告(PND93)による帰国後納税コスト削減

タイ源泉税の免税適用(タイ→日本の赴任の場合)

IBC制度による税務恩典

その他

19

International Business Centre制度による

税務恩典により、コスト削減を図れる可能性があります

(法人税)

• IBC業務に要したタイ国内の年間経費支出額に応じて、

以下のとおり、関係会社から受領する役務提供に係る所得は減税

年間60百万THB 8%

年間300百万THB 5%

年間600百万THB 3%

• 関係会社から受領する配当は免税

(源泉税)

• 国外の関係会社に支払う一定の配当金及び借入利息は免税

(特定事業税)

• 関係会社から受領する受取利息は免税

(個人所得税)

• IBC業務に従事する外国人従業員の個人所得税率を一律15%に減免

• 関係会社に以下のいずれかの役務を提供

一般管理業務、事業計画立案、ビジネスコーディネーション

原材料、部品の調達

製品の研究開発

技術サポート

マーケティング、販売促進

人事管理、教育研修

財務アドバイザリー

経済投資分析研究

与信管理

財務センター

その他歳入局長官が定めるサービス

• 会計期間の末日の払込資本金が10百万THB以上

• IBC業務の知識・技術を有するフルタイム勤務の従業員が10名(財務センターは5名)以上

• IBC事業運営費が年間60百万THB以上

適用要件 恩典内容(15会計年度)

IBCの適用要件と主な恩典

個人所得税の恩典を受けるためには下記要件も充足する必要がある 適格IBCに正社員

として雇用されていること

IBC事業に従事し

ていること(他の事業にも従事している場合IBC事業による所得が全体の所得の70%超であること)

税務年度中に180

日以上タイに居住していること

適格IBCにおける雇用から生じる平均月収が20万バーツ以上であること

その他一定の要件

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税コスト削減案

タイ特有の税制を理解することによる

税コストの削減余地は他にもあります

タイから日本への赴任者は、赴任期間中も、タイの社保に加入しているケースがよく見受けらえるがその場合会社負担の社会保険料があると、実務上引き続きタイで源泉徴収が課されてしまうケースがある

1. 配偶者・扶養控除適用配偶者が日本に残っていても、タイで配偶者控除を適用することが可能

2. 海外旅行保険の控除適用タイに法人登記されている保険会社に加入していれば控除可能(上限有)

3. 社保年金部分(雇用主負担分)などタイへの付替請求が行われなければ非課税となる

4. 赴任開始時の一時的な宿泊滞在費は一定期間非課税として取り扱える

タイ源泉税の徴収(タイ→日本の赴任の場合)

その他

出国時申告(PND93)による帰国後納税コスト削減

タイ源泉税の免税適用(タイ→日本の赴任の場合)

IBC制度による税務恩典

その他

前提• タイから日本への研修生30名• 支給額240万円/人/年• 税率15%

源泉徴収額の計算240万円x15%x30人=年間約1,000万円削減可能

具体例

具体例

表1 配偶者控除 扶養控除 /人

2017年以降 THB 60.000 THB 30,000

配偶者+扶養家族2名の控除適用が可能とすると、見込まれる節税額は、1件当たり最大で2017年以降: 約 THB 42,000(15万円)の節税(*)

(*) 前提• 最高税率35%を適用 ・円貨は、為替レート@3.5円/THB にて計算

15万円×50人=750万円のインパクト仮に50人対象者がいると・・・

* 配偶者控除・扶養控除の適用には一定の証憑(英訳・公証人による承認要)が必要となります

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Closing

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