超早期診断技術開発プロジェクト...
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超早期診断技術開発プロジェクト(P3)
ー 先端計測技術を活用した超早期・安全・迅速な「診断・医療機器」の開発 ー
「日常生活で生体情報をモニタリングするセンサ・デバイスの開発」 (グループ3)
-- H23年度成果とH24年度の計画 --
グループリーダー
佐藤一雄
愛知工業大学 教授
「知の拠点 」重点研究プロジェクトP3公開セミナー
2012年5月11日
超早期診断技術開発プロジェクト
グループ3: 生活習慣病等に関係する生体情報を 無侵襲・低侵襲で日常的にモニタリングできる センサとデバイスの開発
「知の拠点」重点研究プロジェクト
サブグループ1 ガスセンシング機器開発と呼気分析
公益財団法人科学技術交流財団
サブグループ2 皮膚ガス分析と病との関連解明
サブグループリーダー 産業技術総合研究所 主任研究員 申ウソク
サブグループリーダー 名古屋工業大学 津田孝雄
呼気・皮膚ガス成分と生活習慣病等との関係の解明
ならびにデバイス・システム開発
グループリーダー
名古屋大学 教授 佐藤一雄
サブグループリーダー 名古屋大学 教授 間瀬健二
圧力センサ、伸縮センサを装備した健康管理ウェア
ラブルシステムの開発とそれによる日常生活管理
サブグループ3 究極のウェアラブルシステム 手のひら,指先,体表
からのガス採取 (提供:㈲ピコデバイス)
呼吸のモニタリング
伸縮する布センサ (提供:県産技研尾張センター)
伸縮する布センサ
参加研究機関 : 名古屋大学、産業技術総合研究所、名古屋工業大学、 愛知県がんセンター、愛知県産業技術研究所、 豊田工業大学、名古屋市立大学 参加企業 : ブラザー工業㈱、㈱スズケン、㈱LIXIL、倉敷紡績㈱、 ㈱槌屋、㈱デンソー、㈲ピコデバイス、フィガロ技研㈱、 ㈱NAST
生活習慣病等に関係する生体情報を無侵襲・低侵襲で日常的にモニタリング できるセンサとデバイスを確立 し新たな健康管理システムを開発する.
呼気ガスの分析 (提供:産総研中部センター)
プロジェクトの出口
開発する技術
• 呼気・体表ガスから病の兆候,体調を知る技術
センサ・計測器 / 健常者との違い、健常者の体調変化を特定
• 着衣、シーツから生体情報を得る技術
センサ・配線機能を持つ織物 / 医療・介護ニーズにあった応用
医療・産業への展開
• 体ガスによる健康管理の普及(家庭内、車室内システム)
• 寝たきりの床ずれ未然防止,肺機能不全(COPD)発見, 乳幼児突然死の兆候警報
• 介護・医療情報システムへの展開
呼気・皮膚ガスによる 健康診断システムの開発
サブグループ S1, S2
H23年度の成果
体ガスの課題と研究の進め方 これまでの研究から、呼気・皮膚ガス成分が体の状態を反映することは明白.
ただし、関連ガス成分は1-10 ppm程度と希薄、多くの要因(個人差、時間差、食事内容など)で成分が変動しやすい.
1.簡便な検出器を開発する(従来はGC) 希薄な成分の濃縮手段、高感度固体センサの開発
2.検出対象ガスと診断対象を決める 複数ガスが複数の体調とかかわる因果関係が未解決.
既存代替手段(ex. 血液診断)に代わる価値があるか.
3.定量性を持った診断基準を確立する 実地で統計データをとる
(健常者・患者からガス採取、倫理審査、統計処理)
対象とするガスを調査して絞り込む
技術課題:(1)ガス種・濃度と体調の関係の定量化(日内変動・食事の影響・個人差) (2)ガスの採取方法・濃縮方法(健康診断のための簡便なシステム) (3)ガス種を選択的に検出できるセンサ
大分類 化学式 ガス名称 体調との関連(文献情報) センシング方式
還元性
H2 水素 腸内嫌気性菌の異常 半導体 (ppm)
CH4 メタン 腸内嫌気性菌の異常
CO 一酸化炭素 喫煙,酸化ストレス El-Chem (ppm)
C2H5OH エタノール 飲酒 半導体 (ppm)
C3CHO アセトアルデヒド 肺がん、飲酒代謝産物 El-Chem (ppm)
CH3COCH3 アセトン 糖尿,肥満,ダイエット
半導体 (ppm) H2O2 過酸化水素 喫煙
C5H8 イソプレン コレステロール合成中間体
弱還元性 NO 一酸化窒素 ぜんそく,喫煙,気道感染 化学発光 (ppb)
アミン系 NH3 アンモニア 肝炎,ピロリ菌検査 半導体 (ppm)
VOC C9H18O ノナナール 肺がん
ガスクロ質量分析 (ppb) ベンゼン系 肺がん
簡便なガス分析システム を目指した触媒開発 大規模サンプリング に向けた機材開発
S1:申グループ 呼気ガス分析のためのセンサ開発
H2: 開発(H22-23) CO: 開発(H23) 1 ppm CH4: 開発中 ノナナール: 開発中
燃焼触媒型センサ構造の熱バランス改善で オフセット電圧を抑制
(1) ダミー膜の搭載(水素センサ) (2) 改良したセンサの熱バランス
オフセット電圧の抑制に成功
8
αAl2O3膜(ダミー) Pt-αAl2O3膜(触媒) 膜厚6μ m
-2.00
-1.50
-1.00
-0.50
0.00
0.50
0 50 100 150 200 250
Off
set-
Vo
lta
ge,
/m
V
Catalyst Temperature, /℃
ダミー膜有 6 μm (計算値) ダミー膜有 3 μm (計算値) ダミー膜有 6 μm (実測値) ダミー膜有 3 μm (実測値) ダミー膜無 0 μm (実測値)
平均膜厚 3 , 6 μ mのダミー膜を 搭載したセンサのオフセット電圧を比較
2011年9月マイクロ・ナノ工学シンポ
CO用触媒の開発
9
・AuPdPt/Co3O4
・Au/Co3O4
・貴金属Pd, Ptを加えることによって
・燃焼性能の向上に加え、
・低い動作温度で高いCO選択性
活性温度の低い触媒材料の作製 燃焼性能の向上のためAu触媒にPd、Ptを加えたCO用燃焼触媒
(2) 熱電デバイスに搭載して燃焼性能を計測 (1) 触媒の調整
金属酸化物
Stirred at 70˚C
貴金属コロイド
mixing
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0 100 200 300
Vo
lta
ge
sig
na
l, D
V / m
V
Temperature / ℃
ガス濃度 1000ppm
AuPdPt_CO
AuPdPt_H2
Au_CO
Au_H2CO燃焼性能の向上
高分散触媒作製のため コロイド法を採用
2012年1月若手セミナ
燃焼触媒型センサのCO濃度検知性能
10
1 ppm (=2 mV) まで検知 S/N=16.1
接触式燃焼触媒でppmレベルの感度を実現
低濃度COガスへの応答電圧
0.0070 ℃ (a=0.30 mV/K)
COガスに対する応答電圧
2012年1月若手セミナ
ABCD
電源 SW
測定 SW電磁弁SW
スクラバー
流量計
着脱ホルダ
流量調整ノブ
LCD
電気系調整ノブ
サンプルIN
300
150
燃焼触媒型水素検知器プロトタイプ試作
11
Display and control
Amplifier
Sensor Housing
filter
Pump
GC(ガス分離)無しで水素を検知する熱電式センサ搭載 ガスサンプルバックに取り付けて測定を行う 熱電式の弱点の問題の流量変動の影響を受けにくい構造 ガス濃度表示・パソコン読み取りが簡単に 簡単な構造で従来品より高速検知、数~数十倍低コスト化
Pt,Pd,Au添加SnO2半導体型センサのノナナール応答性
12
0
1
2
3
4
5
6
0 2 4 6 8 10
9.5 ppm
1.0 ppm0.18 ppm0.055 ppm
350 oC
Resis
tance [M
]
Time [min]
0
5
10
15
20
0 2 4 6 8 10
300 oC
9.5 ppm1.0 ppm0.18 ppm0.055 ppm
Resis
tance [M
]
Time [min]
1
2
3
4
5
6
7
8
0.01 0.1 1 10 100
Nonanal (250oC)
Nonanal (300oC)
Nonanal (350oC)
H2 (250oC)
H2 (300oC)
H2 (350oC)
CO (250oC)
CO (300oC)
CO (350oC)R
a/R
g
Concentration [ppm]
#20b
ノナナール雰囲気による抵抗変化
Ra: 空気中での抵抗値 Rg: 各濃度下での抵抗値
• 低濃度ノナナール(55 ppb)検知 • H2, COに対し選択的に応答
ノナナール、H2、COに対する応答値
2011年11月 ACCS2011 Taiwan
高感度化 ガス選択性
半導体型VOC検知器プロトタイプ試作
13
本体正面
本体上部
ここにステムを搭載
0
500
1000
1500
100 200 300 400 500
Counts
[a.u
.]
Retention Time [s]
Heptanal
Octanal
Nonanal
<計測結果>
素子:SnO2+1wt%(Pt,Pd,Au) ガス:混合VOCガス 500 ppbヘプタナール、
500 ppbオクタナール、 500 ppbノナナール
S2:津田グループ 皮膚ガスのこれまでの研究とこれからの利用
1.糖尿病 → アセトンが増加
2.過剰なダイエット → アセトンの増加
3.慢性肝炎 → アンモニアの増加
6.汗中のグルコースの増加 →皮膚表面の汗による血中グルコース測定の非侵襲化
4.アルコール疾患/酒帯運転 → 指からのアルコ-ル測定
皮膚ガスとは、ヒトの皮膚表面から放出されているガスのことで、古来糖尿病の人は甘酸っぱいなどの事実を、化学的に検知して非侵襲的な測定法として、疾病の予知、予防、回復に用いる。
5.一酸化窒素は血圧、運動負荷、低酸素負荷等と関係有り → 血管・循環器系の体調との相関が予想される
G3S2 皮膚ガスの病の関連の解明
パーキンソン病治療薬(L-ドーパ)代謝のモニタとして皮膚ガスの利用 (被検者 約20名) 臨床データ測定実施中 (対象:皮膚ガス、汗中成分)
皮膚ガスと病との関連
予備実験:ラットに抗がん剤シクロスポリン、タキソールのラットへの投与 ラット尾からの皮膚ガスに変化が認められた
健常人の皮膚ガス測定 (測定データ検討中) 高齢者群及び一般健常人における一酸化窒素の測定:身体情報の検討(血管、血圧、 他)(約100名)
G3S2 皮膚ガスの病の関連の解明
G3S2
住居・労働環境に由来する有害ガスが生体に取り込まれて、皮膚ガスとして放出されることを確認した
1. 薬剤投与効果の非侵襲把握への応用追求
2. さまざまな事象との関連探索
抗癌剤 シクロスポリンをラットに投与したときの、ラット尾から採集した皮膚ガス
皮膚ガスにより 抗癌剤濃度の経時変化
検知可能
推定化合物
抗癌剤投与量の最適化
これまでの研究: 皮膚ガスアセトンについて、糖尿病疾患においては、健常人の2倍のアセトンが放出されている。 Yamane,Tsuda, Kondo et al., Clin.Chim.Acta, 2006, 365, 325-329; この事象は、ラットにおける追実験でも、糖尿病ラットは
アセトンを数倍放出した。大桑、津田他、第70回分析化学討論会、2009.
B:抗がん剤投与前、A1~A4:投与後1時間ごとに測定
G3S2 皮膚ガスの病の関連の解明
加圧中・無でのNO濃度 (同一被験
者)
0.0
2.0
4.06.0
8.0
10.0
12.0
1st 2nd 3rd 4th
NO
co
nce
ntr
atio
n
(pp
b) 加圧無
加圧中
加圧中・無でのNO濃度
0.0
2.0
4.06.0
8.0
10.0
12.0
J O T M Y Y T O
Subjects
NO
con
cent
rati
on
(ppb
)
加圧無
加圧中
上腕部を加圧{160mmHg:.P.C.(WelchAllyn)使用}する、30秒間保持}
皮膚ガス 一酸化窒素の加圧による変化
A.
B.
G3S2 皮膚ガスの病の関連の解明
2-エチル-1-ヘキサノール、1,3ジクロロベンゼンの比較 黒:皮膚ガス(TM) ピンク:皮膚ガス(SK) 青:皮膚ガス(MH) オレンジ:クリーンガス Rt8.0 2-エチル1-ヘキサノール Rt8.5 1.3ジクロロベンゼン
身体への可塑剤や防腐剤の取り込み (改築の部屋からの取り込み)
被検者A
被検者B
被検者C
可塑剤の分解物
防腐剤
皮膚ガス測定器の開発
1.エタノール/アセトン簡易測定器 ① 試作器 分離部の入ったもの (7分間で測定が可能) ② 選択性の良いガスセンサーの利用 対象:アセトン、VOC等 (選択性の良いアルコールセンサーの利用) (1分間で測定が可能)
皮膚ガス濃縮―自動測定装置 (低温濃縮―液化炭酸ガス、 分離部―小型GC,アセトン・エタノール測定専用)
G3S2 皮膚ガスの病の関連の解明
指からの皮膚ガス採取
究極のウェアラブルシステム の開発
S3:間瀬グループ
H23年度の成果
P3S3 課題と進め方
適用効果のある対象疾患の絞込み、試作・試用で検証 (医学・看護・工学専門家の協働)
検出疾患 計測項目 計測センサ
慢性閉塞性肺疾(COPD)
患者の呼吸機能評価
肺活量 胸・腹の伸縮を計測する布織物
乳幼児突然死症候群(SIDS)の検出
呼吸
心電
血中酸素飽和度
体温
胸・腹の伸縮を計測する布織物
電極と配線
パルスオキシメータ
熱電対を織り込んだ織物
褥瘡(床ずれ)検出 体圧分布
体温分布
感圧織物
熱電対を織り込んだ織物
特徴:布・着衣で物理計測(圧力・伸び・体温)、大面積で低価格
伸縮布センサによる 人体動作モニタリング
• 衣類型センサ
• 各部の“伸び”を計測
• 計測例: 関節の可動性
約13cm
布センサ開発: 尾張繊維技術センター 回路設計開発: 株式会社槌屋
伸縮布センサによる 人体動作モニタリング
• 衣類型センサ
• 各部の“伸び”を計測
• 計測例: 関節の可動性
約13cm 約20cm (7cmの伸び)
布センサ開発: 尾張繊維技術センター 回路設計開発: 株式会社槌屋
伸縮布センサによる 人体動作モニタリング
• 衣類型センサ
• 各部の“伸び”を計測
• 計測例: 関節の可動性
約13cm 約20cm (7cmの伸び)
布センサ開発: 尾張繊維技術センター 回路設計開発: 株式会社槌屋
C C+ΔC
圧力センサ布による 人体モニタリング (例:寝姿)
駆動 回路
20
00
mm
900mm
(64×128検出点)
赤: 高圧体圧部位
約90cm
約200cm
布センサ開発: 尾張繊維技術センター 回路設計開発: 株式会社槌屋
圧力布センサによる 人体モニタリング (例:寝姿)
駆動 回路
20
00
mm
900mm
(64×128検出点)
赤: 高圧体圧部位
約90cm
約200cm
布センサ開発: 尾張繊維技術センター 回路設計開発: 株式会社槌屋
圧力布センサによる 人体モニタリング (例:寝姿)
駆動 回路
20
00
mm
900mm
(64×128検出点)
赤: 高圧体圧部位
約90cm
約200cm
布センサ開発: 尾張繊維技術センター 回路設計開発: 株式会社槌屋
センサ布をベッドに敷く深さ位置による 圧力分布検出能の変化
マットレス
マットレスパッド
センサ布
防水パッド
マットレス
マットレスパッド
センサ布
マットレス
マットレスパッド
センサ布
防水パッド
マットレス
マットレスパッド
センサ布
センサシーツの水濡れ対策 (フッ素コーティング加工による防水効果で出力変化を抑制)
0
1
2
3
4
5
6
7
水滴なし 水滴あり 水滴なし 水滴あり
防水加工なし 防水加工あり
規格
化静
電容
量値
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
防水加工なし 防水加工あり
規格
化静
電容
量変
化率
※: 布の風合いは維持
スマートフォンと連携した日常的な データ収集・行動解析と超早期診断
• センサデータ収集機としてのスマートフォン
診断 治療
通知 警報
スマートフォンによる行動解析
• 布センサや他のセンサと合わせて健康度を測定
• 日常生活の場で早期診断への活用
– 歩行時の動作で心肺機能評価
– 階段の上りやすさから足腰周りに装着
歩行 自動車 その他
電車 歩行