茅ケ崎西浜高校の防災教育 · 2013-10-04 · <第162 回> 10月4日(金)...
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<第 162 回> 10月4日(金)
茅ケ崎西浜高校の防災教育
【校内の防災訓練】
9月2日(月)に、今年度2回目の防災訓練を実施しました。第2回目は、地震発生か
ら津波警報が発令された状況を想定した訓練でした。生徒たちは落ち着いて、真剣に取り
組んでいました。
訓練の概要
① 地震発生の放送
② 全校生徒シェイクアウト動作(机の下に入り身を守る)
③ 津波警報の発令
④ 3年生は指定場所(北館3階・4階)に避難・点呼 ※避難場所は3階及び4階
(1・2年生はシェイクアウトの後、各教室で防災関係資料の学習)
※3年生の教室は北館2階、2年生の教室は北館3階、1年生の教室は北館4階です
担任の指示でシェイクアウト動作 北館3階に避難した3年生の一部
訓練終了後、体育館に集合 副校長より防災訓練全体の講評
7月には震度5強の地震が発生し、本校化学室から出火(津波警報はなし)したことを
想定した第1回目の防災訓練(グラウンドへの退避訓練)を実施しました。
本校は、「県立高校教育力向上推進事業 Ver.Ⅱ」において、「防災教育」の指定を受けて
おり、本校の学校防災力を高めるとともに、地域や社会に貢献できる総合的な能力を育て
る研究を進めています。
【災害図上訓練の取り組み】
昨年度初めて、1年生の「総合的な学習の時間」において、全クラスで災害図上訓練(デ
ィグ:DIG)を実施しました。今年も9月から11月にかけて、1学年の全クラスで同様
の訓練を実施します。「ディグ」とは災害(Disaster)のD、想像力(Imagination)のI、ゲ
ーム(Game)のGの頭文字を取って名付けられた「災害図上訓練」のことです。実施にあ
たっては、昨年度より毎回「ひらつか防災まちづくりの会」の皆様にご指導とご協力をい
ただいています。
クラス内でいくつかのグループに分かれ、大きな白地図を囲み、全員が書き込みを加え、
ワイワイと楽しく自由に、かつ活発に議論をしていきます。その過程で、参加者全員で情
報を共有し、地域ではどのような被害が発生し、どこに避難すればよいのかなどを学んで
いきます。
〔目的〕災害を理解する まちを探求する 防災意識を掘り起こす
〔実践〕・自然条件の確認 ・鉄道、道路、公園、水路、ビルなどの書き込み
・災害救援に関わる機関・施設の表示 ・地域防災において役立つ施設の表示
・倒壊・落下時に危険な施設等の表示 ・地域防災に役立つ人の所在地の表示
・災害時要支援者のいる場所の表示 など
(参照)「各学校で実践できる防災教育研修の手法について」(神奈川県情報防災課作成)
<DIGに必要なもの>
・透明シート ・油性ペン ・付箋
・ベンジン・ティッシュペーパー
・テープ類 ・はさみ・カッター
・丸型カラーシール
・昔の地形図(あれば便利なもの)
・ハザードマップ(あれば便利なもの)
【地域と連携した防災訓練】
○「茅ヶ崎市津波対策避難訓練」に協力参加(平成25年3月10日)
[地域とのつながり]&「西浜歳時記」3月12日に掲載
※茅ケ崎西浜高校は「津波発生時の一時退避場所に係る協定」を結んでいます
http://www.chigasakinishihama-h.pen-kanagawa.ed.jp/pdf/saijikiH250312.pdf
○「南湖地区自治会連合会防災訓練」に参加して(平成25年9月14日)
[地域とのつながり]&「西浜歳時記」9月24日に掲載
http://www.chigasakinishihama-h.pen-kanagawa.ed.jp/pdf/saijikiH250924.pdf
【全国の高校とのネットワークを活用した情報収集と情報共有】
一例を紹介します。
◆「学校防災に係るアンケート」をメールで依頼して実施(平成 25 年7月中旬)
学校防災に係るアンケート(7項目)
1 東日本大震災以後、またはここ数年間に、次の大きな地震や津波に備えて、学校のマ
ニュアルを大きく変更しましたか?
2 1の問いで「はい」の場合、大きく変更したのはどのような内容についてでしょうか?
3 生徒や保護者の意識を向上させるために、どんな訓練やプログラムを取り入れていま
すか?あるいは工夫していますか?
4 地域と連携したどんな取組をしていますか?地域とは、地域住民の他に、市(町、村)
や近隣小中学校、自治会を含みます。
5 これまでに効果があったと思われる取組があれば教えてください。
6 他の市町村や他の高校、他県との間で情報交換(情報収集)を行っていますか?
7 何かアドバイスがあれば、お願いします。
〔北海道 HK高校〕 ※一部の高校のみ掲載します
○南部。海岸から1km ちょっとの距離で、海抜が11mほど。地域の緊急避難場所。
1 はい
4 昨年の避難訓練から、近くの小学生や町内会のお年寄り、グループホームの方と合同
で実施している。地震発生、数分で10mの津波が来る設定です。4階建ての校舎の3,
4階部分に避難します。
5 6月に校内研修として、「HUG(避難所運営ゲーム)」を用いて、避難所の受け入れ
業務について模擬体験しました。
〔宮城県 KS高校〕
○東日本大震災の大きな被害を受けた土地で、高台に位置し、長期間避難所となった。
1 はい
2 ①緊急連絡カード及び避難連絡カードの提出 ②学校防災計画の策定 ③災害対策本
部組織の改編
3 保護者への引き渡し方法の工夫(メール配信等)
4 現在、検討中。
5 避難してくる地域住民への対応。駐車場の確保・交通整理・動線と人員の確保
7 想定にはきりがないので、危険回避の基本的な点を押さえつつ、対策本部からの指揮
系統を明確にし、常に臨機応変の対応が大切だと思います。
〔静岡県 NM高校〕
○県は「地震・津波対策アクションプログラム 2013」を公表し、南海トラフ巨大地震等の
対策を充実・強化することに。
1 はい
2 帰宅か学校待機か保護者との合意のうえ決定する。希望生徒と職員全員が毛布を購入
保管(自費)する。以前より避難所指定を受けていたが、その意識が強まった。
3 地震県なので、以前より防災への意識喚起を行っているため、震災後の特別はなし。
4 本校の担当者と地域の担当者で、防災担当者連絡会議を年1回程度実施している。
6 以前より年1回の県内高校担当者の会議を実施している。
〔三重県 KG高校〕
○伊勢湾の沿岸にある。
1 はい
2 地震が起こった後、
1 校舎の状況の確認と報告(液状化現象等により校舎がまっすぐに立っていない可
能性が考えられる)
2 その間生徒は待機
3 校舎が大丈夫であれば、生徒は3,4階に避難
4 校舎が危ない状況であれば、西の高台にある運動公園をめざして避難
5 教員が避難経路の確認
4 当該の町及び隣接する町の教育委員会の担当者と会議を持った。
5 教職員の災害図上訓練(DIG)は役に立つ。
【(ご紹介)減災風呂敷について】
今年の夏に、宮城県の被災地の先生からいただきました。ポリエステル100%(防炎加
工あり)で、サイズは約90cm×90cmです。「岩手~宮城~福島 心をつなぐ減災風呂敷」
とあり、企画・監修が東北大学津波工学研究室(宮城県)で、生地製造・加工が福島絹業
企業組合(福島県)、シルクスクリーンプリント・縫製が北上アビリティセンター(岩手県)となって
います。調べたら価格は3,150円(防炎加工がある場合)でした。
(説明文より)
減災は日々の備えと絆から
風呂敷は日本のたたむ文化(扇子、布団、
傘など)の代表格です。
被害もたたんで、少しでも小さくしちゃお
う!と企画されました。
1家に1枚、役に立つ情報満載!
災害時に役立つ「減災風呂敷」に防災グッズ
を包んで備えましょう。
災害に負けることなく、大切なものを守る
ために生き延びよう!
避難するときは
非常持出品と備蓄品 「津波は思っているよりも速い」
サバメシ(アルミ缶炒飯)
※サバイバルメシタキ[飯炊き]の略
防災に便利な風呂敷 「使い方」いろいろ
3.11 東日本大震災の傷あと
「揺れが小さくても油断しない」
屋内(屋外)で地震を感じたら
(書かれている言葉)
代表者 生年月日
血液型 RH
名前 生年月日
血液型 RH
非常時の連絡先
家から近い避難場所
①
②
【参考】 中部地区A県立高校の保護者向け資料より抜粋
平時に、地震に対する対応について、よく話し合っておいてください。
(1)自宅における安全について
ア 地震に備え、食糧などの確保、家具の固定等について確認してください。
イ 災害時、家族で待ち合わせることのできる緊急避難場所(2箇所以上)を確認
してください。
ウ 災害伝言ダイアル171を利用して家族間の連絡が取れるよう確認しておいて
ください。
(2)登下校時の安全について
一度、生徒の通学路を同じ通学方法でたどりながら、危険箇所を確認してくださ
い。
(3)在校時の帰宅について
緊急時の帰宅・待機の判断、帰宅方法などについて、もう一度、親子で確認をお
願いします。
(4)その他
学校からの情報をメールで確認できるよう、未登録の方はぜひ「○○○ネット」
サービスの登録をしてください。
【茅ケ崎西浜高校の生徒・保護者向け資料】(一部を省略)
学校防災力の向上をめざして ~ 大震災から命を守る ~
平成 24 年7月
茅ケ崎西浜高等学校
[注]浸水区域等は、平成 24 年3月 30 日に神奈川県より示された資料を基にしています。
「茅ヶ崎市津波ハザードマップ」「茅ヶ崎市津波ハンドブック」
「学校防災推進会議報告」「地域交流会 大震災から命を守る」等
【茅ケ崎西浜高校の標高】(設計図より)
・玄関付近地面 5.0メートル ・1階事務室床面 5.6メートル
・本館4階床面 16.5メートル
<参考>国道 134 号(「浜見平入口」交差点) 8.3メートル
【想定される津波の浸水域】
12 タイプの地震のうち、茅ヶ崎市で浸水深(浸水する深さ)が最も大きい慶長大地震
(※)型の想定浸水域
※1605 年2月、駿河湾から徳島沖の南海トラフを震源とし、推定マグニチュードが
8.5の“津波地震”。
南湖地区の最大津波到達高(◆):7.7メートル
◆朔望平均満潮位(大潮頃の満潮の水位)を基準とし、津波が海岸へ到達したときの
高さ。
[茅ヶ崎市防災対策課の説明]
・最大津波到達高が7.7メートルなので、国道 134 号を津波が超えることはない。
・茅ケ崎西浜高校は浸水区域にはなっていない。
[注]浸水区域でなくとも絶対に安心せず、周囲の状況に気を配る必要があります。
【津波に対する避難行動】
○放送の指示等に従い、生徒は北棟の3階と4階にすばやく避難する。
○職員は担当生徒の安全を確認し、本校の本部担当へ報告する。
○安全が確認されない場合は、生徒を下校させない。
※「学校防災マニュアル作成の手引き(平成 24 年3月文部科学省)」を参考
引き渡しルール
・[学校内震度5弱以上]保護者が引き取りに来るまで学校に待機させる。この
場合、時間がかかっても保護者が引き取りに来るまでは、生徒を学校で保護し
ておく。
・引渡しのルールは原則、上記によるが、被害の状況、火災の発生状況、公共交
通機関の復旧状況、学校周辺の交通事情などを十分に検討し、総合的に判断し
て生徒の保護の継続あるいは下校を決定する。
・下校については、安全が確認された後行うものとし、保護者への引き渡しの方
法や職員の引率での下校にあたってのグループの編成・下校ルートなどを、あ
らかじめ生徒・保護者と確認しておく。
・公共交通機関の運行中止により保護者が帰宅できないことを十分配慮する。
○地域住民や付近に滞在する帰宅困難者については、「津波発生時の一時退避場所に係
る協定」(平成 24 年8月に茅ケ崎西浜高校、茅ヶ崎市、当該自治会間で締結)に基づ
き、本館と南館の3階及び4階の指定された場所を使用する。
○学校関係者以外については、津波警報が解除されたら、自宅または避難所[市内の
小学校・中学校など]に移動する。 ※茅ヶ崎市防災対策課と確認済
○学校関係者以外への指示については、地元自治会や茅ヶ崎市と連絡を取り合う。
【神奈川県教育委員会及び茅ヶ崎市との連絡体制について】
■神奈川県教育委員会
(担当)情報防災課[平成 25 年度名称変更]
まなびや計画推進課
(非常時の連絡方法)災害用公用携帯電話
PHSイエデンワ
■茅ヶ崎市 保護者との連絡については
(担当)防災対策課 その時点で可能な方法を探る
(非常時の連絡方法)防災用無線
■茅ケ崎西浜高校
(非常時の連絡方法)上記に加え、
災害用優先電話
【防災教育】
(A)「ゆれたら」(初期対応)の訓練+「ゆれが収まったら」(二次対応)の訓練+
保護者への引き渡し訓練 など
(B)「自助の能力」と「共助」の精神を養う
※誰かが助けてくれるのを待つのではなく、自らが命を守るために動く!
(C)避難三原則 ※釜石の津波防災教育より
・「想定にとらわれるな」
・「最善を尽くせ」
・「率先避難者たれ」
【大地震発生で予測される津波以外の被害】
○建物(特に木造家屋)の倒壊
○火災発生 ※家屋が密集し、道路が入り組んでいる場所では特に注意が必要
○場所によっては液状化現象
【命を守るために】
家族で必ず話し合っておいてください
○自宅や普段よくいる場所から速やかに移動できそうな「津波一時退避場所」や「避難
所」の確認
○予想される危険や障害物を思い描きながら、「津波一時退避場所」や「避難所」への
安全と考えられる経路の確認
※避難渋滞が発生するので、車での避難は避ける。
○災害に関する情報収集の方法
東日本大震災では正確な情報を収集できたことにより、落ち着きを取り戻した例が多数
報告されています。
・防災行政用無線
・茅ヶ崎市防災情報サイト(居住する地域の防災情報サイト)
・FM放送等による災害情報、安否情報
・災害用伝言ダイヤル
・その他(ツイッターなど)
○登校時及び下校時に通る場所の標高及びその場所で災害に出会った場合の「津波一時
退避場所」や「避難所」の確認
○茅ケ崎西浜高校にいる時に大震災が起こった場合の学校の対応・生徒の行動と保護者が
生徒を引き取りに来校する場合の方法
○状況判断で避難をする
決めた避難所・避難経路で安心せず、状況を見ながら、自分で判断して避難する
○東日本大震災やその他の大災害で有効だったことや課題などについて、情報を収集しな
がら、役に立てるために、話し合ってください。
「津波てんでんこ」(東北地方の言い伝え)
家族がお互いに逃げてくれるはずだと信頼しあい、それぞれが「てんでんばらばら」で
逃げること。