食品産業におけるesg課題 - 農林水産省ホームページ united, business & human...
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2006年、国連のアナン事務総長(当時)が責任投資原則(PRI)を公表
ESG(環境、社会、ガバナンス)の要素を投資の分析と意思決定、株主行動に組み込むことを宣言 ➢ 「責任投資」または「ESG投資」
2017年3月時点で、約1700機関(運用資産総額62兆ドル)が署名。
事務局はロンドン。世界のESG投資のムーブメントを牽引。
ESG(環境、社会、ガバナンス)課題を投資の分析と意思決定のプロセスに組み込む。積極的な株主となり、ESG課題を株主としての⽅針と活動に組み込む。投資先企業によるESG課題に関する適切な情報開⽰を求める。投資業界がこれらの原則を受け⼊れ、実践するよう促す。これらの原則の実施にあたって、効果が⾼まるよう相互に協⼒する。これらの原則の実施に関する活動と進捗について報告する。
アセット・オーナー 運用機関
国名 機関数 比率(%) 国名 数 比率(%)イギリス 46 13.3 アメリカ 244 21.2オランダ 43 12.5 イギリス 163 14.2オーストラリア 34 9.8 フランス 133 11.6カナダ 31 9.0 オーストラリア 74 6.4アメリカ 31 9.0 オランダ・カナダ 51 4.4小計 185 53.8 小計 665 58.0日本 14 4.0 日本 30 2.6全体 344 100.0 全体 1,146 100.0
出所:PRIウェブサイトより(2017年3月17日時点)
(公的年金・政府系基金)ノルウェー政府年金基金、ABP、PGGM(オランダ)、AP1‐AP4、AP7(スウェーデン)、ERAFP、FRR(フランス)、CalPERS、CalSTRS、NY州年金基金、NY市年金基金(アメリカ)、イギリス環境庁年金基金、等
(企業年金)BT、BP、ユニリーバ、BBC、M&S(マークス・アンド・スペンサー)、シェル、アビバ、バークレイ、USS(大学教員年金スキーム)、SAUL(ロンドン大学職員年金制度)
世界のPRI署名機関1704件、うちアセットオーナー343件出所:PRIHPより、一部抜粋、2017年4月25日現在
(年金等)GPIF、企業年金連合会セコム、キッコーマン、上智大学
(保険・金融)
損保ジャパン、太陽生命、日本生命、日本政策投資銀行、大同生命、富国生命、第一生命、MS&AD、東京海上日動、
日本のPRI署名機関55件、うちアセットオーナー14件出所:PRIHPより、一部抜粋、2017年4月25日現在
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人):国民年金と厚生年金の積立金を一括して運用。
運用資産総額約140兆円。世界最大の年金。
2015年9月にPRIに署名。
2017年7月、ESG指数の採用を公表。当面、国内株式の3%(1兆円)程度で組入れ予定。
2014年に、スチュワードシップ・コード公表、2017年3月に改訂版公表 → 機関投資家に企業との建設的な対話(エンゲージメント)を要請。
Task Force on Climate‐related financial disclosure金融市場に気候リスクが蓄積しているとの認識
気候変動のリスクと機会を整理
①移行リスク(規制・技術変化)
②物理的リスク(突発的・長期的)
Mainstream financial filings(主流の財務開示書類)での開示を提案
Core Elements①ガバナンス
②戦略と財務計画③リスクの評価とマネジメント
④指標と目標
シナリオ分析
Business Benchmark on Farm Animal Welfare (BBFAW)工場的畜産(Factory Farming)のリスク(鳥・豚インフルエンザの蔓延、抗生物質耐性の獲得など)を指摘
Coller Capital Compassion in World FarmingWorld Animal Protection
提唱・設立
AVIVAインベスター、BNPパリバ、Robeco、
シュローダーなど
賛同・支持 世界の食品産業・小売業90社をレーティング(2015年)。
評価の高い企業を称賛し、低い企業とエンゲージメント。
2016年、Aviva Investors、PRI、SustainableFisheries Partnershipが共同で投資家向けガイダンス『Sustainable Seafood and Responsible Investment』を公表
漁業資源の保護、漁船の操業時の強制労働の排除、養殖時の抗生物質の利用などが複合した課題
<事例>タイ・ユニオン: 世界最大手のツナ缶メーカー。
サプライチェーンのタイ漁船で強制労働が発覚。国際的な批判にさらされた(2015年)。
Carbon Tracker Initiativeを設立したInvestorWatchの第2のイニシアチブ。
水産会社の多くは環境容量の限界(environmental limit)を超えた漁獲によって、自然資源のリスクであると同時に、投資リスクでもある。
水産会社はどの魚種を、どこで(どの海域で)、どれだけ獲っているのかの開示が必要。
大手水産会社を調査し、リスクプレミアムを正しく価格に反映させることを目指す。
日本の植物油消費量の24%2大生産地はインドネシア(54%)とマレーシア(31%)。 → 熱帯地域
熱帯林伐採によるプランテーション化の問題と、現地における人権侵害
RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil)が持続可能なパーム油の認証をしているが批判も。
IOI社は2016年に一時、認証取り消し(その後復活)。Wilmar社は強制労働・児童労働等でアムネスティがレポートを公表(Amnesty International(2016), The Great Palm Oil Scandal)
ILO(2014), Profits and Poverty: The economics of forced labor.2012年の世界の強制労働2090万人。(うち、民間セクターが1870万人。18歳以下が540万人)
56%
18%
8%
8%
7% 3%
強制労働の地域別内訳
アジア・太平洋地域
1170万人
アフリカ 370万人
ラテンアメリカ・カリ
ブ地域 180万人
東欧・中欧地域 160万人
先進国及びEU 150万人
Humanity United, Business & Human Rights Resource Centre, Sustainalitics, VERITEの共同プロジェクト
サプライチェーンの人権問題に焦点
①IT産業、②食品・飲料、③アパレル・シューズの時価総額上位20社ずつをランキングして公表
<評価基準>
①コミットメントとガバナンス、②トレーサビリティとリスクマネジメント、③購買活動、④リクルートメント、⑤労働者の声、⑥モニタリング、⑦救済