evltにおけるレーザー焼灼引き抜き適性速度について
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EVLTにおけるレーザー焼灼引き抜き適性速度について
高知大学 外科2川田 通広
研究目的
下肢静脈瘤レーザー治療では、ファイバー先端から発せられる
莫大な熱エネルギーを血管壁の焼灼に利用することで、治療に
応用している。 そのためにも静脈血管壁への確実な熱伝導が
重要となり、治療血管内における不可逆性の蛋白変質が得られ
れば、静脈瘤治療成績もより向上すると考えられる。そこで血
液中におけるレーザー光熱反応及び引き抜き速度の関係から、
レーザーファイバー先端の状態変化について検討を行った。
レーザー焼灼実験炭化の有無
川田通広, 下肢静脈瘤レーザー治療におけるファイバー先端温度変化について ~810nm 半導体レーザーによる実験的検討~ .静脈学, 2009. 20(4): p. 299-305.
下肢静脈瘤レーザー治療におけるファイバー先端温度変化
レーザー励起光が血液内で温熱影響与える事象の変化レーザー焼灼開始直後
レーザー光は一瞬だけファイバー周辺の血液に励起するだけ熱変化小さい
レーザー焼灼数秒後
レーザー光は蛋白炭化物質に吸収され非常に高い熱を発生
川田通広, 下肢静脈瘤レーザー治療におけるファイバー先端温度変化について ~810nm 半導体レーザーによる実験的検討~ .静脈学, 2009. 20(4): p. 299-305.
ファイバー先端からのガイド光
血液中でのファイバー先端の熱伝導エリア
血液中でのファイバー先端の熱伝導エリア
レーザー出力数とPULLBACK SPEEDの関係 静脈血管径2MM、5MM、10MMの場合
J(レーザー出力W×sec)≧直径φ×π×GSV長(d)×20
GSV長35cm、GSV径5mmを焼灼する場合:
血管径が違うと、ファイバーを引き抜く速度差
は12.6秒から314秒となる。
Proebstle, T. M., F. Krummenauer, et al. (2004). "Nonocclusion and early reopening of the great saphenous vein after endovenous laser treatment is fluence dependent." Dermatol Surg 30(2 Pt 1): 174-178.
疑問点
レーザーファイバー先端の性状変化について
レーザー光反応時間は?
レーザー熱反応時間は?
炭化が起きるのはいつ?
高率な光熱反応を得るには5W、10W?
Fig.1 15W で紙に直接、ファイバーを接触させた場合。 数秒は変化なし。
Fig.2 15W で紙に直接、ファイバーを接触させた場合。 突然、発火し他後、焼灼は持続した。
Fig.3 CC(+)で5W の場合。 レーザー出力直後より焼灼痕を認めた。右下は先端の強拡大。 被覆部は焼けて消失、コア部がむき出しとなり、その先端にわずかなCC を認める。
5W Carbon cap(-)
5W Carbon cap(-)
5W Carbon cap(+)
研究方法
血液が付着した紙の上でのレーザー
ファイバー引き抜き実験を行った。
使用機器はオリンパス社製UDL-15、
レーザープローブはファイバーコア径
400umのDM-4065 を使用した。 可変
式引き抜きデバイス( 自作) を使用
し、設定スピードを1mm/sec,10mm/
sec,20mm/secとし、それぞれ引き抜
いた。 5W,10W それぞれの速度に応
じて6 回ずつ、そして15Wで1回焼
灼を行った。 焼灼毎にファイバー先
端にはcarbon の付着していない状態
を確認した。 各実験後、ファイバー
先端を鋭利に切断し、ファイバー先端
部分の変化を観察した。
レーザー出力と引き抜き速度および焼灼開始部位の関係
(mm/sec)
(cm)
引き抜き速度と単位時間あたりの比較
引き抜き速度と単位時間あたりの比較
レーザー出力5W における引き抜き速度とCC 発生時間の関係
(mm/sec)
レーザー出力10W における引き抜き速度とCC 発生時間の関係
(mm/sec)
まとめ
周波数が影響しているであろうレーザー光反応時間は平均0.23 ± 0.04secであった。
5Wより10Wでの焼灼で効率にCarbon Cap出現し、より安定した状態となることが判明した。
結語
レーザー光による下肢静脈治療では、周波数の影響するレーザー光反応は1%未満(平均0.25秒)であり、治療の99%以上(数十秒)はCarbonに対する熱反応によるものと結論できた.